麻衣編
ある女の前に男女が跪いている。
その女は誇らしげに笑っている・・・
それを柱の影から眺める女性が居る・・・
「わ、私が・・・私がやるしかないんだ・・・」
大きく深呼吸をすると、勢い良く飛び出していった。
麻衣が大学2年の時・・・
大学構内・・・午前中・・・
麻衣は携帯を取り出し、電話をかけた。
「龍正さん!!今日お邪魔してよろしいですか!?」
麻衣は周りも驚くほど元気な声で話す。
「ああ・・・ぐわあっ!!い、痛い!!や、やめろって!!」
龍正が何か慌てているようだ。
「お、おいちょっと・・・」
そういうと龍正の声が聞こえなくなった。
「??龍正さ~ん・・・」
不審に思った麻衣が呼びかける。
「何よ何よ!!昨日もりゅ~せ~の家に居たんでしょ!!連日来るなんてあつかましいわよ!!・・・ねえ?りゅ~せ~!!」
優嘉の声だ。どうやら携帯を奪い取ったらしい。
「お・・・俺は別に・・・・ぐえええっ!!し、死ぬっ・・・」
龍正の声が再び途切れた。どうやら優嘉が原因のようだ。
「わ、私本当に遊びに行くだけですから・・・」
「へぇ~。男の家に遊びに~・・・」
「もう!虐めないで下さい!!」
麻衣はムッとした顔で携帯をしまった。
昼・・・
麻衣の居る講義室・・・
麻衣は携帯の時刻を食い入るように見ていた。
(今日は優嘉さんと私は同じ時間・・・龍正さんのいる講義室に近いのは優嘉さん・・・でも優嘉さんの講師は数分遅く終わる・・・ここから走れば先につけるかも・・・そうだわ。いつもいつも優嘉さんに独占されてたまるもんですか!)
「え~。羽山さん?まだ終わってないんですが?・・・じゃあ羽山さん。この非同期回路を解析してください。それが終わったら終わりにしましょう」
「えっ!?わ、わかりましたっ!!」
麻衣はダッシュで黒板を埋めた。周りが感心するほどの速さと正確さだ。
「羽山さん。カルノー図・状態図をきちんと全て描くように」
麻衣は全ての図を書き記した。殴り書きだが間違ってはいない。
「い、いいでしょう。完璧です」
(ふっふっふ・・・ただ龍正さんに惚れてるだけじゃないのよ)
麻衣は急いで荷物をバッグに詰め込み、いち早く講義室を出た。
皆が唖然として見ていた。
(あ、あと5分・・・勝てるかも!!)
龍正の居る講義室があるのは6階・・・
麻衣はエスカレーターを勢い良く駆け上がっていく。
(よい子は真似しないようにね)
終了時間の音楽が流れる。
「じゃあ来週はプレゼンです。それまでにグループで集まって段取りをしておくように。以上です」
講師が終わりを告げ、龍正は背伸びをする。
「・・・はあ・・・プレゼンか・・・面倒だな・・・」
のんびりと道具をバッグに片付け、のんびりと担ぐ。
次にいつ集まるかの段取りを決め、役割を話し合った。
「さて・・・飯でも食いにいくかな・・・」
龍正は講義室を出る。
「龍正さん!!」
げほげほと咳き込みながら麻衣が立っていた。
「お、おい・・・大丈夫かよ・・・」
「はあはあ・・・す、すみません・・・」
あまりにも苦しそうに息を整えているので、龍正もしばらく話しかけなかった。
数回深呼吸をして、龍正の腕を取った。
「もう大丈夫です。では行きましょう!」
(早く行かないと優嘉さんが来ちゃう!)
「行くって・・・どこへ?」
「ちょっと歩いたところにパスタのお店があるんです。知ってます?」
「・・・知ってるよ。俺の方が先輩だぜ?あそこか~。女ばかりだもんな~」
「い、嫌・・・ですか?」
麻衣は龍正を見つめる。走ってきたばかりなので顔が赤い。
「わ、わかった。行こう・・・」
龍正が歩き出す。麻衣は並んで歩く。
「な、何で麻衣ちゃんが居るのよ!!」
龍正に会いに来た優嘉が、顔を真っ赤にして驚く。
「今日はお前の負けだな。まあたまには麻衣にも譲ってやれよ」
龍正は優嘉の肩をぽんぽんと叩いた。
「く、くぅ~っ!!」
大学の外へ出たところで、麻衣が走り出した。
「お、おい・・・」
「早くしないと混んじゃいますよ!」
麻衣は龍正に満面の笑みを見せて腕を引っ張る。
「べ、別に慌てなくても次の時間は俺も麻衣も空いてるんだし・・・」
「ダメです!並んで時間を潰すなんて嫌なんです!」
「あ、そう・・・」
(まるで優嘉が2人に増えたみたいだ・・・)
2人は店内の席に座っていた。
「う・・・やはり男が居ると浮くぞ・・・」
「ふふふふ。同伴だからいいんです」
「いや・・・カップルでも浮くって・・・」
周りは若い女性で一杯だった。
「龍正さん。何にします?」
「ん~。お前に任せる」
龍正は興味無さそうにおしぼりで手を拭き、水を飲む。
「任せるって言うのは一番困ります!」
「じゃあ・・・どれが美味い?」
「え~っと・・・あ、これなんか人気ありますよ!それにこれも評判みたいです!」
「・・・んじゃあそれにするか」
麻衣が呼び出しボタンを押そうと手を伸ばした。
その時だった。
「こちらでございます」
ウエイトレスが龍正達の席にやってきた。
「やあ!奇遇だね~。お2人さん!」
優嘉だ。麻衣に向かって悪戯っ子のような笑みを見せている。
「やっぱりここに居ると思った!いや~。男の人の連れですって言ったら簡単に案内してくれたわ」
優嘉は龍正の横に座る。
(な、何でたまにぐらい譲ってくれないんですか・・・)
麻衣はがっかりとして肩を落としている。
龍正達の席に注文の品が運ばれた。
ペスカトーレ、カルボナーラ、パエリア、ピザ、ドリンク3つ。
3人は誰がどれを食べるでもなく、いろんなものを取り分ける。
「りゅ~せ~。それ美味しい?」
優嘉が龍正の皿の物を食べる。
「ちょっと!!ここにあるんですから!」
麻衣が優嘉を睨む。
「それに・・・その手!!」
「ふえ?」
優嘉は手で龍正の脚を触っている。
「!!?」
龍正が考え込むような表情を見せる。
「どうしたんですか?」
「いや・・・この空気は・・・」
見ると優嘉もピザを咥えたまま険しい顔をしている。
「空気・・・ですか?誰かが煙草でも・・・」
「ち、違う・・・この違和感は・・・」
龍正が振り返るとウエイトレスと目が合う。
ウエイトレスは顔を真っ赤にして両手で覆った。
「間違いないみたいね・・・」
優嘉が龍正に呟く。
「あ、あの・・・」
女性が龍正の席に寄ってくる。
「わ、私・・・一目あった時から・・・あなたの事が・・・好きなんです・・・」
「わ、私も!!」
続々と女性が群がってくる。
ウエイトレスが大群を押しのけてやってくる。
「食後に私でもいかがでしょうか?」
顔を真っ赤にしながら営業スマイルで意味不明な発言をする。
「そ、そんなはずは・・・だって奴ならAV女優に・・・」
龍正は驚いた表情のまま固まっている。
「それにこんなに短時間で効果は出なかったはず・・・」
それは優嘉も同じだった。
麻衣は全く状況が読めない。
「ヤバイな・・・出るぞ」
「え?ちょ、ちょっと龍正さん!まだこんなに・・・」
龍正と優嘉は逃げ出すように店を出た。
しぶしぶ麻衣も後を追った。
全部は食べなかったが、ウエイトレスのご好意で(!!)お金は無料だった。
「うふふふふ・・・お久しぶりですわぁ。結城さまぁ・・・」
前方から女性がやって来る。
「だ、誰ですか?この・・・見てるだけで目がちかちかする女性は・・・」
麻衣が龍正に尋ねる。
「顔出しOKのAV女優・・・」
「AV?・・・そんな人がどうして・・・」
「コイツには不思議な力があって、人の好感度を操るのよ・・・それでりゅ~せ~も自分のものにしようとしたんだから!!」
優嘉が女性を睨みつける。
「まあ結局はコイツをお仕置きしたんだがな・・・なんかマゾが芽生えちゃったみたいで」
「何か1人よけいなものが増えてますわねぇ。でも今はそんな事はどうでもいいですわぁ。鳳綾乃・・・今はAVでも稼いでおりますの。なかなか居ませんわよ?AVお嬢様・・・」
綾乃は龍正しか見ていない。
「で?これは何の挑戦かな?」
「私・・・力が上がりましたの。範囲を小さくすればそれに比例して短時間で操れるようになりましたわぁ」
綾乃は空を眺めながら笑みを浮かべた。
「今日は本当にただのお礼ですわ」
綾乃は去っていった。
一週間後の昼・・・
(きょ、今日は優嘉さんに勝たないと!!)
麻衣は再び龍正の元へ走っていた。
「ふぅ~。プレゼンは苦手だ~」
龍正は疲れたようにバッグを担いで講義室を出た。
突然後ろから口を塞がれる。
「んぐっ!?」
龍正は後ろをちらりと確認する。
そこには怪しい笑みを浮かべながら舌でちろっと唇を舐める綾乃が立っていた。
(き・・・貴様・・・こんな真似を・・・)
龍正の意識は闇に溶けていった・・・
数分後の同場所・・・
「あ、あれ?・・・龍正さんは?・・・」
「ふえ?一緒じゃないの?」
麻衣と優嘉は顔を見合わせる。
今龍正がどのような状況下にあるのか・・・知るすべは無かった。
どこかの場所で龍正は目覚めた。
何も無い真っ白な空間・・・かなり広い。
「・・・そうか・・・綾乃が薬で・・・」
龍正は起き上がって自分の状態を確認する。
拘束されたり暴行を受けた形跡は無い。
ただ自分の服に涎らしき痕がある・・・自分の匂いでは無い。どうやら眠っている間にキスをして楽しんでいたようだ。
「さすがにこんなところにずっと居ると気が狂いそうになるな・・・」
「・・・お目覚めですか?結城さま・・・」
どこかから綾乃の声が聞こえる。スピーカーでもあるのだろうか。
「・・・結城さまの全てを見せてください・・・」
そう言って声は聞こえなくなった。
室温がじわじわと上がっていく。龍正の身体から汗が噴出す。
「く・・・こんな強引な手を使わなくても・・・服ぐらい脱いでやるっつううの!!」
龍正は服を脱ぎ、全裸になった。
「・・・ああ。ぞくぞくします・・・さっそく抱いて欲しいのですが・・・ちょっと改良させてくださいませ・・・」
そう言うと辺りから煙が噴出した。
「く・・・何て手の込んだ・・・部屋・・・だ・・・」
龍正は気を失ってどさっと倒れこんだ。
ここは・・・どこだ?・・・
あのあと・・・どうなったんだっけ・・・
「結城さま・・・聞こえますか?・・・聞こえてたら返事をしてください」
ああ・・・聞こえる・・・
「結城さま・・・私、綾乃です・・・覚えてらっしゃいますね?」
ああ・・・覚えてる・・・あのクソ生意気な女・・・
「くっ・・・今あなたが頼れるのは綾乃だけなのです・・・」
頼れるのは・・・綾乃だけ・・・
「あなたは綾乃をとてもよく愛しております・・・」
・・・ありえないな・・・
「くっ・・・あ、あなたは・・・綾乃を少し良い女だと思ってます」
・・・無理だ・・・
「くっ・・・で、では・・・あなたは綾乃を良くも悪くも思っておりません」
いや・・・悪女だ・・・
「くううっ!!・・・い、いい加減になさい!!」
何をいい加減にするんだ?・・・俺は事実を言っている・・・
「・・・正直へこみました・・・で、では・・・あなたは綾乃の身体を美しいとおもっております!!」
・・・思っておりません・・・
「・・・ええい!!もう壊してやります!!あ、あなたは綾乃を愛するのです!!」
無理だ。
「いいえ!!絶対に愛するのです!!」
無理だ。
「くうっ!!・・・ち、畜生・・・ですわ・・・」
「はあっ!はあっ!し、しぶといですわね・・・」
そうか?別に俺はなんとも無いぞ・・・
「で、では・・・私の裸体を思い浮かべてください・・・」
思い浮かべたぞ・・・
「もっとじっくり・・・性器までしっかりと・・・」
うむ。で?
「・・・なんとも思いませんか?」
ああ。ちっともまったく全然。
「あなたは男・・・私は女・・・あなたは本能的に犯したい気持ちが湧き上がります・・・それは本能的なもの・・・自然界に生きる人間の本能・・・」
・・・む・・・
「そう、そうですわ・・・いいですのよ。人間の本能なのですから・・・ほら、あなたのおち○ちんも起き上がってきましたわ・・・当然ですわね・・・犯したいから興奮する・・・ほら、もっと犯したい」
うぐ・・・む・・・
「ほら、綾乃の裸体が息づいている・・・恥じらいの顔・・・喘いだ顔・・・すっごくそそりますわね・・・体が熱くなってきます」
が・・・あ、熱い・・・や、止めてくれ・・・
「止めるだなんて・・・私はサドじゃありません・・・マゾなのです・・・あなたはサドですから相性抜群ですわ!!」
マゾ・・・サド・・・相性・・・
「うふふふふ。その虚ろな瞳がたまりません・・・私があなたにキスをすると、あなたの性欲は我慢できなくなります・・・」
ぐむっ?・・・あ、ダメだ・・・お、犯したい・・・
「あらあら・・・もうお顔が真っ赤ですわぁ・・・とっても時間がかかりましたけど・・・欲には勝てませんのね・・・」
は、早く・・・抱かせてくれ・・・
「ところで・・・何故あなたは発情しているのでしょうか・・・」
な、何故って・・・綾乃を犯すため・・・
「あら。だったら通行人の女性は全て犯すんですか?全て発情するのですか?」
ち・・・違う・・・
「そう。違いますわね・・・だから綾乃は特別なのです・・・」
とく・・・べつ?・・・
「そう。愛しているから抱きたいと思うのです・・・嫌いなら抱きたいとは思いません」
た・・・確かに・・・でも俺は・・・
「誰でも抱きたいと思う変態さん?・・・違いますわね・・・だったら・・・やっぱり綾乃を愛してるんですわぁ」
あ、綾乃を・・・愛してる?・・・俺が・・・
「そう・・・綾乃を愛してる・・・」
綾乃を・・・愛してる・・・
「愛してます・・・綾乃を・・・そうですわね?」
ああ・・・綾乃を・・・愛してます・・・
「では・・・優嘉を思い浮かべてください・・・」
・・・優嘉?・・・
「どうですか?抱きたいと思いますか?」
少し・・・
「そうですか・・・では綾乃を抱きたい気持ちは消えましたか?」
消えてない・・・抱きたい・・・
「では・・・綾乃を思い浮かべてください・・・優嘉を抱きたいと思ったわずかな気持ちは消えましたね?」
ああ・・・消えた・・・
「そう・・・あなたの愛するのは綾乃・・・ほかは幻想だった・・・」
綾乃だけ・・・ほかは幻想・・・
「うふふふふ・・・ついに私は結城さまをモノにしたのです・・・能力ではなく薬を使って完璧に・・・」
モノ・・・何のことだ?・・・
「ああ。忘れてください・・・愛する綾乃のお願いです・・・」
わかった・・・わすれる・・・
龍正は再びあの白い部屋で目を覚ました。
「・・・はあ。またこの部屋か・・・頭がくらくらする」
龍正はあぐらをかいて座り込んだ。
-ガチャッ-
扉が開かれる。白い指が見える。
「結城さま・・・お目覚めですか?」
「ふん。綾乃か・・・また能力でも使ったのか?」
「それより・・・何かをお忘れでは?」
綾乃は扉の影から出て白い部屋に入る。
-ドクンッッ!!-
「!!?あ、綾乃・・・」
龍正は綾乃の裸体に釘付けになる。
「どうしました?結城さま・・・ペニスがビンビンですわよ?」
「く・・・あ、ありえない・・・」
龍正は湧きあがる性欲を理性とプライドで抑え込んでいた。
「やはり粘りますわね・・・」
「はあっはあっはあっはあっ・・・」
「私は結城さまを愛しております」
そう言って両手を広げる。
(愛して・・・)
龍正は弾かれるように綾乃の胸に飛び込み、押し倒した。
「く、な、何をした!!」
「・・・洗脳・・・もう結城さまは私無しではいられない精神になりました」
「く・・・ど、どうりで・・・ありえない感情が湧き上がる訳だ・・・」
龍正は綾乃を野獣のようにこねくり回す。
「あ、ああっ!私、激しいのが・・・好きなのおっ!!」
綾乃が龍正に腕を回す。
龍正はそれをうけて、綾乃の脚を大きく開き、ペニスを挿入した。
「ああっ!!ふ、ふっとい・・・前より太いですわ・・・」
快感に打ち震える綾乃だが、龍正の顔は屈辱に歪んでいた。
「ちっ・・・AVのやりすぎだ・・・締りは落ちたしこの色も嫌いだ・・・」
「でも絶対に綾乃を愛してしまう・・・うふふふふふっ」
「ち、畜生がぁっ!!うぐっ!!」
-ドクン!ドクッ-
「くふううぅぅぅぅっ!!!」
綾乃はAVでも見せたことが無いぐらい激しく絶頂に達した。
翌日・・・龍正は何事も無かったように大学に来ていた。
昼・・・
「ちょっとりゅ~せ~!!昨日はどこに居たのよ!!」
優嘉は龍正の姿を見つけ、後ろから声をかけた。
「・・・なんだよ。俺が居なかったら悪いのか?」
龍正のすました顔を見て、優嘉は異変を感じ取った。
いつもと雰囲気が違う。そう、それは高校の時の・・・
「ま・・・まさか・・・また綾乃に・・・」
「綾乃か・・・俺は綾乃を愛してる。それだけだ」
龍正はそう言って立ち去ろうとする。
「ちょ、ちょっと待ってよ!!あんたは洗脳されてるのよ!?」
優嘉は龍正の腕をつかむ。
2人の視線が交錯する。
「洗脳?バカも休み休み言えよ。俺は高校からアイツが好きだったんだ」
龍正が遠くを見る顔をする。
思わず優嘉は手を放してしまった。
呆然とする龍正の横に、麻衣がやってくる。
「どういうことなんですか?」
「・・・綾乃にりゅ~せ~を持ってかれた・・・今度はより強力に洗脳されてる・・・」
優嘉の目からぽろぽろと涙が零れ落ちた。
「りゅ~せ~・・・今度も元に戻るよね?・・・」
「大丈夫ですよ。きっと・・・」
今度とはどういう意味かは知らないが、麻衣はただただ背中をさすった。
「りゅ~せ~・・・」
優嘉はとぼとぼと家に向かって歩いていた。
龍正は綾乃に連れて行かれたようだ。
というよりは自分から行ったのだが。
「優嘉・・・」
優嘉の前に龍正が現れる。
「りゅ~せ~・・・」
「すまなかったな・・・もう大丈夫だ」
龍正が笑顔を見せて手を広げる。
「い、嫌っ!・・・りゅ~せ~・・・戻ってない!!洗脳されてる!!」
優嘉は龍正に背を向けて走り出した。
「ふ、相変わらず勘の鋭い・・・」
龍正は簡単に追いつくと優嘉を羽交い絞めにした。
「や、やだっ!!放して!!」
「わかった」
龍正は優嘉を放す。
優嘉は龍正をちらっと見ると、無我夢中で逃げ出した。
-ドスッ-
すぐに追いついた龍正の拳が優嘉の腹にめり込む。
「あっ・・・あっ・・・・・・」
龍正は気を失った優嘉を担ぎ上げ、綾乃の待つ車に乗せた。
優嘉は龍正と同じあの部屋で目を覚ました。
「う・・・」
辺りを見渡す。探しているのは・・・
「りゅ~せ~?・・・どこ?」
-ガチャッ-
「りゅ~せ~!?」
優嘉が期待して振り向くが、立っていたのは綾乃だった。
「龍正龍正って煩いですわね~。いつかの借りを返させてもらいましょうか・・・フフフフフ・・・よくも散々私を弄んでくれましたね・・・許しません。絶対に許しませんわ!! じわじわとなぶり殺しにしてやります・・・」
「い、嫌・・・りゅ、りゅ~せ~はどうしたのよ!!」
「・・・分かってますよ。あなたは羞恥には屈しない。結城さまのためにもね」
「・・・・・・」
綾乃をキリッとした顔で睨み返す。
「あなたにも思い知らせてあげる・・・あなたは結城さまを愛するがゆえに私の奴隷になるのよ」
「な、何をバカな!!あんたの奴隷なんて死んでもお断りよ!!」
「じゃあ死んじゃえば?うふふふふっ」
-バタン・・・-
綾乃が部屋を立ち去り、噴出した煙によって意識は途切れた。
ここは・・・アタシはどうなったの?・・・
そうだ・・・りゅ~せ~は・・・
「うふふふふっ。黒田優嘉・・・聞こえる?聞こえたら返事をしなさい!」
なんか・・・ムカつく・・・
「返事をなさい!!」
・・・はい・・・聞こえてます・・・
「あなたは結城龍正を愛している・・・そうですわね?」
はい・・・愛してます・・・
「結城龍正を助ける為なら命も捨てれる・・・そうですわね?」
はい・・・命も捨てれます・・・
「結城さまが愛している女の奴隷にもなれるわね?」
はあ?・・・無理に決まってるじゃん・・・
「くっ・・・結城さまが命令した事は何でもする・・・そうですわね?」
それは無理・・・
「くっ・・・こんな部分だけ似ているとは・・・」
似てる?・・・りゅ~せ~とアタシ・・・
「!!そ、そうですわ!あなたたちは似ているのです。似たものカップルなのです」
似てる・・・似たものカップル・・・
「凄く似ています・・・そう・・・お互いの気持ちがシンクロするのです・・・」
気持ち・・・シンクロ・・・
「結城さまの気持ち・・・私を愛しているという気持ち・・・」
りゅ~せ~は・・・綾乃を愛してる・・・
「だからあなたも綾乃は愛するのです。だって結城さまが愛してるのですもの」
アタシも綾乃を愛する・・・りゅ~せ~と一緒・・・
優嘉が目を覚ます・・・
目の前には龍正と綾乃が立っていた。
「あ・・・りゅ~せ~・・・」
「優嘉・・・俺は綾乃を愛してる・・・お前はどうだ?」
「りゅ~せ~が愛するなら・・・アタシも綾乃を愛する・・・」
「そうか・・・」
龍正と優嘉が綾乃の前に跪いた。
「うふふふふっ!!ついに夢にまで見た結城さまが私の手に!!そして優嘉への復讐のチャンスだわ!!」
綾乃は高笑いをした。
龍正は綾乃だけを愛している。
優嘉は龍正を愛し、綾乃も愛している。
綾乃は龍正を愛し、優嘉を憎んでいる。
優嘉は目の前で愛する2人の性交を何度も何度も見せ付けられた。
だが1回も交わる事は出来なかった。
両手を拘束され、オナニーすら許されなかった。
綾乃は泣きじゃくる優嘉を見ながら龍正とのセックスを楽しむのである。
翌日・・・
龍正は相変わらず様子がおかしい。
ところが、優嘉も龍正をこそこそと見守るだけで、声1つかけられていない。
「優嘉さん?」
麻衣に呼びかけられ、優嘉がビクッとして振り返る。
「ま・・・麻衣ちゃん・・・アタシまで・・・おかしくなっちゃった・・・」
優嘉が涙する。
「わ、分かりました!!私が何とかしてみます!!」
優嘉はそれ以上は何も言わずに龍正を追いかけていった・・・
麻衣は龍正の後を付け、綾乃の隠れ家に着いた。
こっそりと中へ入り、様子を伺う。
綾乃の前に龍正と優嘉が跪いている。
綾乃は誇らしげに笑っている・・・
それを柱の影から眺める・・・
「わ、私が・・・私がやるしかないんだ・・・」
麻衣は大きく深呼吸をすると、勢い良く飛び出していった。
「待ちなさい!!龍正さんを返しなさい!!」
麻衣はどうどうと綾乃を指差す。
「やれやれ・・・この人もですか?・・・結城さま・・・私のお願いです・・・この人を少しばかり苦しめてください」
「わかった」
龍正は麻衣にゆっくりと近づく。
麻衣は汗をたらたら流しながら、その場に立っている。
優嘉は何も言えずに黙り込んでいる。
「うっ・・・・・・」
龍正が麻衣の首をつかんで持ち上げる。
その目にかつての龍正の姿は無い。
意識がなくなり始めた麻衣は賭けに出た・・・
龍正を正気に戻す賭けだ。
『た、助けて・・・』
「!?」
麻衣はテレパシーで龍正に助けを求める。
あの時と同じ様に・・・・
「な、何だ?・・・何か忘れているような・・・」
龍正の手の力が弱まり、麻衣は崩れ落ちた。
「結城さま!?どうされたのです!!」
綾乃が慌てる。
麻衣は服を脱いで全裸になった。
「・・・」
そしてぐったり横たわると、再びテレパシーで呼びかける。
『助けてください・・・』
「!!!ま・・・まい・・・」
それは龍正が麻衣を助ける為に乗り込んだときの格好だった。
龍正の記憶が甦る。
本当の記憶が・・・
「てめえ・・・よくも2回も俺に手を出してくれたな・・・」
龍正は麻衣に駆け寄り、服をかき集めて麻衣に手渡す。
「ま、まさか!!薬を以ってしても・・・こ、これは・・・その・・・」
綾乃は予想外の展開に慌てる。
「おい!優嘉!俺は綾乃が大っ嫌いだ!!だからお前も嫌いだろ!?」
龍正がそう叫ぶと、優嘉の綾乃を見る目が冷たいものに変わった。
「そ、そうよ!!あんたみたいなの大っ嫌いなんだから!!よくもアタシを弄んだわね!!許さないんだから!!」
3人が立ちはだかる。
綾乃は負けを悟った。
「さて・・・たっぷりお仕置きしてやる・・・」
龍正は綾乃の顎をつかんで強引に上を向かせる。
「ご・・・ごめんなさい・・・ゆるして・・・」
綾乃が涙を浮かべて懇願する。
だがその喉がゴクンと音を立てた。
「いいか。俺はお前で遊ぶつもりは無い・・・さすがマゾだな?これじゃあお仕置きじゃなくてご褒美だろ」
龍正は綾乃の股間を脚で蹴って笑う。
「お前から記憶を奪う・・・セックス以外考えられないようにしてやるから覚悟しろ」
「ひ、ひいっ・・・い、嫌・・・それは本当に嫌・・・」
(綾乃はマゾだから弄ばれても喜ぶだけだ。こいつにふさわしい復讐・・・)
龍正は麻衣の元に歩み寄る。
「お前のおかげだ。礼を言うぞ」
龍正は麻衣に渡した服を奪い取ると、激しいキスをした。
「ぷはっ・・・こ、ここでやるんですか?・・・」
「まあ俺に任せてくれよ」
龍正は麻衣をそっと床に寝かせる。
「あ、アタシは・・・」
優嘉が困惑の眼差しで龍正を見る。
「・・・今回は麻衣の手柄だ。お前は無しだ」
「そ・・・そんな・・・」
優嘉はがっかりしてその場に座り込んだ。
(俺に考えがある・・・お前を最初に抱かない理由もな)
龍正は服を脱ぎ、麻衣の身体を優しく撫で回す。
「りゅ・・・龍正さん・・・もっと激しく・・・」
「ふ、すっかりスケベだな!」
龍正は麻衣の形のよい胸を激しく揉む。
麻衣の口から喘ぎ声が漏れ始める。
「麻衣のGスポットはここだろ?」
龍正は舌で麻衣の左のわき腹を舐める。
しばらく舐め続けると、麻衣の身体がピクンと震えた。
「・・・効いてきたか。じっくりやろう」
「あ、もっと!激しくお願いします!!」
麻衣は顔を真っ赤にして龍正に抱きついた。
「ふむ。じゃあ・・・」
龍正は麻衣を支えたまま、麻衣のおま○こに指を入れる。
「ふあっ・・・」
龍正にしがみ付く腕が震えだす。
「辛いだろ。離して良いぞ」
「い、いいんです・・・つかんでいたいんです・・・」
龍正は小さく笑みを浮かべると、体位を入れ替えた。
「ほら、これならいいだろ?思うようにやってみろ」
「は、はいっ!!」
麻衣は身体を龍正に密着させ、こすり付ける。
「ああっ!乳首が!クリが!感じるっ!」
「俺も、ペニスが擦れて・・・」
「い、挿れさせてください!!」
「ああ、ゆっくり挿れるんだ」
(いいな・・・アタシもして欲しい・・・)
優嘉はそんな2人を見つめている。
手は自然と胸とおま○こに伸びている。
「はあ・・・はあ・・・ずるいよ・・・欲しいよ・・・」
綾乃も熱のこもった目で龍正を見ている。
(ど、どうして犯してくれないのです・・・)
顔は赤く、口は半開きに・・・しかし手は動いていない。
龍正は横目でちらりとその様子を確認する。
「あ、全部入らない・・・」
「ゆっくりでいい。動け」
「あ、奥に当たる・・・」
麻衣は龍正に身体を擦りつけ、妖艶な表情を浮かべる。
「ああっ!凄いっ!!中も!龍正さんも!!暖かいですうっ!!」
龍正は麻衣を抱く腕に力を入れる。
「だ、出すぞ!!」
「今日は中にっ!!中に出してぇっ!!」
「くっ!」
-ドクンッ!!ドクン!-
「あああぁっっ!!」
麻衣は身体を反らしてイッたあと、龍正の上に脱力した。
「龍正さんの心音・・・安心する・・・」
麻衣は満足そうな顔をする。
「まだ行けるか?」
「はい。何度でも・・・」
麻衣は龍正から身体を起こし、龍正に口づけした。
遠くから聞こえる喘ぎ声・・・
優嘉と綾乃のものだ。
「優嘉・・・こっちへ来い」
「ふぇ・・・」
優嘉は誘われるように龍正の元へふらふらと歩み寄る。
そんな優嘉を睨むように見つめる綾乃・・・
「優嘉・・・服を脱げ!もうビショビショじゃないか。帰るときどうするんだ?」
「あ・・・は・・・」
優嘉は急いで服を脱いでいく。
麻衣は龍正の身体を撫で回している。
「え?・・・」
優嘉はようやく気がついた。龍正は麻衣と抱き合っているのだ。
「どうした。一緒じゃ嫌なのか?・・・こっちへ来い」
四つんばいになってゆっくりと歩み寄る優嘉。
龍正は優嘉の手をつかみ、強引に引き寄せる。
「あ・・・」
「え?・・・」
優嘉の顔が麻衣の顔と接近するぐらい近寄る。
お互いが見詰め合う。
-トクンッ・・・トクンッ-
(麻衣ちゃん・・・セックスのときこんな顔してるんだ・・・)
(優嘉さん・・・発情した時の顔・・・すごく綺麗・・・)
「優嘉・・・下を頼む・・・」
龍正の言葉で我に返った優嘉は、麻衣の顔を最後にじっと見つめ、意を決したように龍正の下半身に近づく。
「ぁ・・・」
麻衣も優嘉の顔が離れると正気に返り、再び龍正の身体の感触を楽しむ。
「凄く熱い・・・咥えるよ・・・」
優嘉がフェラチオを始める。
「う・・・いいぞ・・・むぐっ」
麻衣は龍正の口を塞ぐ。
「あ・・・は・・・」
綾乃は激しく舌を突き出し、龍正にアピールする。
自分にも下さい・・・と。
「う・・・で、出る・・・」
龍正の言葉を聴き、優嘉は口を離した。
ペニスがビクンとはね、優嘉の顔に大量の精子がかかる。
優嘉は光悦の表情でその快感に浸っていた。
「「すごい・・・2回目なのに・・・」」
優嘉と麻衣の言葉が重なる。
その言葉は量だけではない。まだビンビンなペニスも含めた言葉だ。
「麻衣・・・仰向けで寝てくれ・・・」
龍正に言われ、麻衣は仰向けになり、龍正が上体を起こす。
「優嘉・・・そこをどいてくれ」
「うん・・・」
龍正は一度立ち上がった。
「優嘉・・・麻衣の上に覆いかぶさってくれ・・・」
「え?・・・麻衣ちゃんの上に?・・・」
優嘉は仰向けになっている発情した麻衣を見る。
こくんと喉を鳴らすと、麻衣の上に四つんばいになった。
「ゆ・・・優嘉・・・さん・・・」
「・・・大丈夫・・・りゅ~せ~に任せて・・・」
優嘉は麻衣の両手首をつかみ、身体をそっと麻衣に重ねた。
「うふ・・・麻衣ちゃんのドキドキが伝わるよ・・・」
「ふふっ・・・優嘉さんこそ・・・負けてないですよ・・・」
「麻衣ちゃんのお腹・・・熱い・・・」
「優嘉さんのおま○こだって・・・」
優嘉は麻衣の顔に自分の顔を近づける。
2人の唇が重なる。
麻衣は優嘉の頬や鼻の頭に付いた精液を舐め取る。
龍正は激しく興奮していた。
ペニスが燃え滾り、激しく脈打つ。
(いい!!美女2人がレズプレイ・・・しかも両方とも俺を愛してる・・・こんなシチュエーション最高!!奪い合いより数倍そそるぜ!!!)
両拳を握り締め、感動に浸っていた。
綾乃は激しく興奮している。
それでもオナニーを我慢するのはこれからを期待しているからなのだろうか。
「・・・優嘉。もう少し下だ。キスばかりしてても終わらんぞ」
龍正は冷静さを取り戻し、優嘉と麻衣に指示する。
優嘉は名残惜しそうに麻衣の口から顔を遠ざけると、少し身体を下にずらした。
身体が擦れて、2人はくふっと鼻を鳴らす。
「そうだ。おま○こを重ねるようにするんだ」
「「・・・あっ!!」」
2人のおま○こが合わさる。
龍正に『調整』されているだけあって、同じ様にピンク色をしている。
「始めるぞ・・・」
龍正は激しくしたい気持ちを押さえ、優嘉の身体に手を置いた。
2人のクリトリスとペニスが擦れる。
「あっ・・・熱い・・・」
優嘉が小さな喘ぎ声をあげる。
「ふあっ・・・イッたばかりで・・・感じるっ」
麻衣も鼻を鳴らす。
綾乃は目の前で起きている現象を見てついに耐えられなくなり、手を胸と恥部に移動させる。
「あ・・・ああああっ!!!わたくしもおぉぉっ!!!」
一気に快感の波が押し寄せる・・・
だが・・・龍正のアレがないと物足りない・・・
中途半端にイキたくない・・・
「な、何これっ!!凄いのおっ!!!」
「はっ!はっ!2人が感じられて・・・いいですうっ!!!」
快感に喜ぶ2人。
「ああっ!!凄いっ!!何か充実するうっ!!!」
「き、気持ちいいですうっ!!!優嘉さんとやってるみたいっ!!」
(く・・・俺も気持ちいい・・・)
龍正の脚に何かが絡みついてくる。
綾乃だ。完全にAVの世界に入っている。
「邪魔だっ!!」
龍正はその脚を振り上げ、綾乃の手を解くと、腹をめがけて思いっきり蹴り飛ばした。
裸体が背中から壁にぶつかる。
「うあああぁぁぁぁっっっ!!!」
綾乃が凄まじい声でよがる。
どうやら痛みと快感を感じているようだ。
(うぐっ!今・・・脚を動かしたから・・・出るっ!!)
龍正は歯を食いしばって持ちこたえると、優嘉と麻衣を狙って突いた。
「ふあああああぁぁぁぁっっ!!!」
「くううぅぅぅぅぅぅっっっ!!!」
「出るっ!」
-ドピュッ!ドピュッ-
2人はクリトリスを勢い良くペニスに弾かれ、絶頂に達した。
麻衣は優嘉の身体を押し上げるほど身体を反らし、優嘉も身体を弓なりに反らした。
麻衣と優嘉は重なり合って脱力し、互いの呼吸と鼓動を感じあっていた。
「ふう・・・」
龍正は綾乃を見る。
さっきの痛みでまだよがっている。
龍正が歩み寄る。
「あ・・・ああ・・・・ゆうきさ・・・」
震える手を龍正に伸ばす。
届かないので今度は身体を這わそうとする。
「俺は絶対にお前を抱かない・・・何があってもだ」
「!!?・・・あ・・・ああ・・・」
綾乃の顔が絶望に染まる。
「お・・・お願いです・・・・・・」
綾乃は唇を震わせて懇願する。
「洗脳しなければ抱いてもらえない・・・知っていたはずだ・・・高校のあの時からな」
龍正は冷たく言い放つ。
「あ、あなたは始めて会ったときから・・・私に屈しなかった・・・見向きもしなかった・・・嫌いだと言い放った・・・」
綾乃が顔を伏せる・・・
「私のものにならない男など居ない・・・それを証明したかった・・・それだけだったんです・・・」
綾乃は龍正を見上げる。強い目だ。
「ですが・・・私を愛した貴方は・・・優しすぎました・・・私の知らない世界を沢山見せてくれました・・・好きになったんです・・・最初はそんな気なんてありませんでした・・・でも本気になってしまったんです・・・弄ばれても何をされても・・・貴方を好きなままだったんです・・・だから屈辱にも耐えられたんです・・・」
綾乃の目から大粒の涙がこぼれる。
あのときのような逃げ出したい涙ではない・・・
「わ、私を・・・奴隷でも何でも・・・一年に一回だけでも・・・お願いです・・・」
龍正はそんな綾乃を見ても冷たい目のままだ。
「俺はお前は嫌いだ。それは変わらない・・・だがお前の事は覚えておく・・・哀れな女として・・・」
龍正は綾乃に背を向け、ライブラリーを発動した。
綾乃は今から龍正が何をしようとしているのかを悟った。
「い、いや・・・やめて・・・もう手を出さない・・・顔も見せない・・・だ、だから・・・お願い・・・記憶だけは・・・貴方の記憶だけは・・・お願いします・・・」
「・・・お別れだ・・・」
「いやああああぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」
優嘉と麻衣はその声で目が覚めた。
龍正は2人に手を差し出した。
「・・・行こうか」
3人は気絶している綾乃を哀れむように見ると、部屋を後にした・・・
翌週の大学構内・・・
次の講義は学科全体で受ける講義。
選択科目なのだが、龍正は楽そうなこちらを選んだ。優嘉も同じにした。
なのでりゅ~せ~の横にべったり優嘉がひっつく時間だ。
今日も優嘉は講義室に入るなり、龍正を探す。
「ん~。おっかしいな~。まだ来てないなんて・・・1回帰ったのかな?」
とりあえずいつも龍正が座りそうなところに座る。
「もう少しで時間になっちゃうよ~・・・何かあったんじゃないでしょうね・・・」
優嘉の心配など知らないという感じで、龍正が教室に入ってくる。
(あ、りゅ~せ~!お~い!)
優嘉が手を振る。龍正はちらっと確認するが、すぐに赤面して目を逸らした。
龍正はいつものように優嘉の横に・・・は座らず、後ろに座った。
「ちょっと!何で後ろに座ってるのよ!!」
「ま、気にするな」
「アタシ後ろに行く」
優嘉は龍正の横の席に移ろうとする。
「お、おい。もう始まるぞ。たまには良いだろ」
優嘉は頬を膨らませて前を向いた。
龍正はニヤリと笑いながら優嘉の頭を見ていた。
(「ライブラリー」発動!2人!)
優嘉は自分の身体の異変に気がついた。
(な、何だろう・・・ドキドキする・・・どうして?)
優嘉は深呼吸をして気分を落ち着かせる。
しかし一向に気分は収まらない。
(う、こ、これは・・・身体が熱い・・・感じちゃってる・・・)
優嘉の額から汗が浮かぶ。
(ほ、欲しい・・・何でこんな時に・・・ま、まさか・・・)
「り、りゅ~せ~・・・あんた・・・」
優嘉は後ろを向いて龍正の顔を見る。
「ん?どうしたんだ。お、顔が真っ赤だぞ。汗も凄い。風邪か?」
「し、しらじらしい・・・あんたがやったんでしょ・・・」
優嘉は息をあがらせて龍正を睨む。
「ほら、怒られるぞ」
「く・・・」
龍正に促されて前を向く。
(な、何も授業中にしなくても・・・いいじゃない・・・)
優嘉は湧きあがる性欲を静めようとしていた。
このままでは暑いので上着を一枚脱ぐ。
「痛・・・」
わざと龍正にぶつけるようにして脱ぐ。
「うくっ!!?」
優嘉が突然背中に感じた刺激に身体を震わせる。
龍正がシャーペンの頭で優嘉の背中をなぞったのだ。
(や、やめて・・・ホントに・・・お願い・・・)
優嘉は身体を机に伏せ、龍正の悪戯から逃れようとする。
乳首が硬く尖り、身体を捻ると感じてしまう。
ポタポタと机の上の汗が増えていく。
「ひゃっ・・・・」
優嘉が出した声に近くの席の人が反応する。
突然お尻に刺激が走った。
龍正が足で優嘉のお尻をつついたのだ。
傍から見れば優嘉1人でよがっているようにしか見えない。
(だ、だめ・・・濡れちゃう・・・)
そんな優嘉の耳にころころと何かの音が聞こえる。
龍正が消しゴムを落としたのだ。
(ど、どうしよう・・・アタシが取れば感じちゃう・・・りゅ~せ~が取れば何かするに決まってる・・・)
優嘉が考え込んでいると、龍正が席を離れて消しゴムを取りに来る。
「な、なんてことするのよ・・・次の授業どうやって受ければいいの?」
優嘉は泣きそうな顔で龍正に話しかける。
龍正は優嘉のうなじにふっと息をかける。
そして耳元で呟いた。
「イッちゃえば?」
「くぅっ・・・・」
優嘉が一層身体をくねらせる。
「大丈夫ですか?」
優嘉がはあはあと息をしていると、講師が声をかけてきた。
優嘉は何とか顔を上げた。
「だ、大丈夫です・・・風邪で・・・ひぐぅっ!」
優嘉は声を上げて歯を食いしばる。
龍正が再びお尻を足でつついたのだ。
そのまま固まってしまった。
「あの、診療所へ連れて行ったほうが良いんじゃないですか?」
「そ、そうですね・・・しかし講義がありますんで・・・」
そりゃあそうだ。皆だって高い授業料払っているのに一人の淫乱女のオナニーで潰されたくないだろう。
「じゃあ俺が連れて行きます」
「よろしくお願いします」
龍正は優嘉の前に座りこんだ。おぶされということらしい。
優嘉は荒い息のまま、龍正の背中を見る。
倒れこむように龍正にしがみ付いた。
男子トイレ・・・
「ははははは!ダメだって!ばれてたぞ!」
龍正は笑いながら優嘉を洋式の便器に座らせた。
「し、信じらんない・・・ひどい・・・」
優嘉はさっきの惨めさを思い出して涙をこぼした。
唇を噛み締めているところを見ると、そうとう悔しかったようだ。
「じゃ、慰めたら来るんだぞ?」
「え?・・・」
優嘉は驚きの声を上げる。
「今の時間このトイレに人が来る可能性はきわめて低い」
「そ、そうじゃなくて・・・」
「ああ。出席の事か・・・お前は1回欠席になっちまったな~・・・」
「そうじゃない・・・」
優嘉は顔を逸らす。
「して・・・くれない・・・の?」
「ああ。俺まで欠席になりたくないし・・・」
「どうして・・・ここまでしておいて・・・」
「ふっふっふ・・・忘れたとは言わせんぞ・・・あの日の事を!!」
あの日・・・
龍正の右横に居た優嘉は、左手を伸ばして龍正のペニスをズボンの上から触っていた。
「あ、おい・・・授業中・・・」
「だったら静かにしなきゃね」
優嘉は前を向いてペンを取りながら、表情を変えずに呟く。
「くそ・・・」
「こんな人前で出したら臭うね~・・・恥ずかしいね~」
「だから止めろって・・・」
-ころころころ-
「あ、消しゴムが・・・」
そういって優嘉は龍正の股間に堂々と手を伸ばし、ズボンの上からぎゅっと握った。
その講義後・・・
「どしたのりゅ~せ~。次の講義室行かなくていいの?」
優嘉は平然と龍正に話しかける。
「・・・動けないんだよ・・・」
「え?じゃあ頑張ってね!アタシ準備があるから!」
優嘉は走って行ってしまった。
「く・・・あのアマ~・・・抜いてけっつうの!!」
結局龍正は次の講義に集中できなかった・・・
そして、その講義ではテストが行われた・・・
龍正は再試験を受けるため、昨日は遅くなった・・・
「やべ~な。麻衣の奴、怒ってないだろうな・・・」
龍正は麻衣の携帯に電話する。
「龍正さん・・・最低です・・・約束破るなんて・・・」
「い、いや・・・これは優嘉がだな・・・」
「優嘉さんならここに居ます。人のせいにするなんてもっと最低です・・・」
「お~い。聞いてくれ~」
「あ、りゅ~せ~!ダメよ!女の子泣かせちゃ」
「お、お前のせいだろうが!!・・・・・・切りやがった」
龍正はため息をついて今日の復讐を決めた。
優嘉は龍正の話をぼ~っと聞いていた。
「ああ、あれ。そんなに気持ちよかった?」
「・・・知らん!」
龍正は扉を開けて出て行こうとする。
「あ、ちょっと待って・・・わ、悪かったって・・・そ、そんなに長い時間治まらないものだとは思わなくってさ・・・じゃ、じゃあ『かくかくしかじか』するから許して?」
「な、何だと!?・・・そ、それなら許す!!」
龍正はズボンを下ろし、ペニスを取り出す。
「は、早く挿れて!!欲しいの!!」
「おう!!」
翌日・・・
マーケティングの講義に龍正は出ていた。
希望者のみの講義で、優嘉は出ていないが麻衣が出ている。
「あ、龍正さん・・・」
麻衣は龍正をちらりと見るが、顔を伏せる。
「まだ怒ってるのか?あれは・・・」
「・・・」
龍正は麻衣の横に座る。麻衣は顔を伏せたままだ。
許したいけど許せないのだろうか。
講師が大きなスクリーンを使って説明している。
麻衣はときどきメモを取っている。
龍正は優嘉の言葉を思い出していた。
「アタシがさあ、麻衣ちゃんにバイブを挿れて、それでスイッチをりゅ~せ~に渡すから・・・アタシのせいってことで思いっきりやっていいよ!」
(ふむ・・・どうやって挿れたのかは知らんが・・・ぽちっとな)
「っ!!?」
麻衣は慌てて机に伏せる。
手で恥部を押さえている。
「うあ・・・な、なん・・・」
ビクビクと震えている。
(う、嘘・・・優嘉さん・・・動かさないって言ってたのに・・・)
龍正はそんな麻衣を見て調子に乗り始めた。
スイッチを入れたり切ったりして、麻衣の反応を見る。
「りゅ、龍正さん・・・顔赤いですよ・・・」
「だ、だってそんな動きをしている麻衣を見たら・・・」
麻衣を見つめる龍正・・・麻衣は確実に龍正を欲していた。
「りゅ、龍正さん・・・あ、あの・・・ひぐっ!?」
「ど、どうしたんだよ・・・その・・・いやらしいぞ」
「い、言わないでっ・・・あ、す、すみません・・・くふっ」
講義が終わる。
麻衣はしなだれるように龍正に寄りかかった。
「龍正さ~ん・・・抱いて欲しいです~」
「お、おう・・・家に行こう・・・」
「い、嫌・・・今すぐ・・・ここで欲しいのぉ」
「が、我慢しろ!!」
龍正は麻衣をおぶって家までダッシュで帰った。
「あ、やんっ!!振動が・・・」
「くぅ~っ!!ヤりまくってやる!!」
こうして龍正と麻衣は仲直りしましたとさ。
< 麻衣編END >