ダンジョンマスターの日記帳 1ページ

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獅子の月4の日
 地下迷宮一応完成。
 まだまだ細かいところに手を加える必要はあろうが、当分はこれでよい。
 これで私も一国一城の主、ダンジョンマスターだ。
 これを機に日記をつけることにする。
 明日は奴隷のゴブリンどもにも一日休みをやろう。

獅子の月5の日
 先日入手した古文書の解読作業。
 どうやら死霊術(ネクロマンシー)の呪文書のようだ。
 望みのものとは違うが、何かの役に立つかもしれない。
 作業がはかどらず、夢中になっていたら昼食を食べ忘れる。
 休みをやったとはいえゴブリンどもも気が利かない。
 迷宮の工事、侵入者の撃退といった仕事ならゴブリンでも十分だが、
 研究の助手、身の回りの世話、そういったことを任せる僕が必要だろう。

獅子の月6の日
 意地汚いゴブリンどもが昨日一日で食料の大半を食い尽くしたため、
 山に狩に行ったところ、巨大蜘蛛に遭遇。
 愚かな三匹が網にかかって、一匹餌食になった。
 『魔物支配』の呪文をかけて僕とする。
 いくらでかくても所詮虫けら、たやすいものだ。
 ダンジョンの一室に入れる。
 いい衛兵になるだろう。

獅子の月8の日
 昨日は忙しくて日記が書けなかった。
 わが迷宮に初の招かれざる客が、略奪者が来たのだ。
 定番の冒険者と呼ばれる盗人どもではない。
 なんとオーガー(人食い鬼)の群れだ。
 ゴブリンは大半が殺され、巨大蜘蛛もやられた。
 結局私が『魔物支配』をかけるなりして無力化したのだが、全く許せん。
 苦労して集めた下僕どもを。
 特に許せんのは、群れの長がメスだということだ。
 こいつらにはたっぷり償いをしてもらおう。
 死霊術の実験に使えるかと思い、蜘蛛やゴブリンの死体は氷室へ。
 まあ、オーガーの餌にしても良いだろう。

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 逃げる茶色の小鬼を追い、馬鹿でかい蜘蛛を蹴散らした、オーガーたちは、ついに迷宮の最深部にたどり着いた。
 みな等しく傷を負っている。しかし意気は衰えない。もうすぐこの地下迷宮と、奴隷兼食糧となるゴブリンの群れが手に入るのだ。
 醜いオーガーどもの先頭に立つ、赤毛の美女が叫ぶ。
「やろうども!あと少しだ!気を抜くんじゃないよ!」
 彼らを率いるは、“赤毛の”ソニア(レッドソニア)、男女差別の激しいオーガーの社会で珍しい、女戦士にして族長だった。
 人間よりふた周りからだの大きいオーガーという種族は、男は醜く恐ろしいが、女は大きな牙と角、全身が毛深いことを除けば人間の女と変わらない。むしろ平均的な人間より美しいといわれる。その美しさで男を惑わして食うのだとも言われる。
 レッドソニアもその例外でなく美しかった。彼女の赤毛は炎のように美しく、その顔には金の眼が輝いていた。申し訳程度毛皮で隠されている裸体は、鍛え上げられながらも女性の美を失っていない。
「どうやらここで最後のようだね。いくよ!」
 目の前の扉を蹴破り、部屋になだれ込むオーガーたち。
 その彼らを頭痛が襲った。
「グアアアア!」
「ギヒイイイイ!」
「ぐうう!な?なんだあ!」
 頭の中に手を突っ込まれ、かき回されるような苦痛。それをこらえて正面をにらむ、レッドソニア。
 そこにはローブに身を包んだ魔道士がいた。
「!こいつのしわざか!」
 怒りが痛みをねじ伏せた。愛用の戦斧を投げつける。かつて自分を殺そうとした人間から奪った業物だ。全く人間とは弱いくせに器用な連中だ。
「!」
 魔道士があわててよける。そのフードに隠された顔があらわになった。
「女!いや餓鬼か!」
 そう、その魔道士は美女と見まごうばかりの美少年だった。金髪碧眼。切れ長の眼とすっと通った鼻筋、卵形の顔。貴族の御曹司といっても通るだろう。ガラスで作られた彫刻のようにはかなげで美しい。しかしその美しい目には憎悪の炎が燃え盛っていた。
「ち!腰抜けの魔道士が!つまらぬ小細工しやがって!」
 こんな小僧は素手で十分だ。そうおもって飛び掛ったレッドソニア。
 しかし。
「がはあ!」
 地に伏していたのは彼女のほうだった。
「な、なにい!」
 立ち上がろうとする彼女のあごを蹴り上げる魔道士。宙を舞って手下たちの中に倒れこむレッドソニア。
「ば、ばかな、人がこんなに強いはずが、それも魔道士の癖に…」
「弟子思いの師匠のおかげでな、いろんな薬を飲ませてもらったのさ」
「ひ、卑怯な!それでも男かい!屑め!」
 魔道士の眼がさらに憎悪に燃え上がる。
「貴様こそメスのくせになんだ!」
 魔道士が指をはじいた。その音を聞いたオーガーたちが動き出す。
「みんな!手を出すな!こいつはあたしが!って、こ、こら、なにをすんだよ」
 なんということか。手下たちが自分の手足を抑えこみ、身動きできなくなってしまった。
 先ほどの苦痛を思い出すレッドソニア。あの痛みでみんなどうかしてしまったのだろうか。
 そして彼女は思い出す。魔物の精神に打撃を与えて、その魔物を操り人形のようにしてしまう魔道士の一派のことを。
「お前、魔物使いか!滅んだはずだよ!」
 うめくように答える魔道士。
「…ああ、この未熟者を残してな」
 未熟者、ああ、だから自分は耐えられたのか、こいつの魔法に。しかし、自分に知能、精神力で劣る男どもは魔法で支配されてしまったのだ。
「まあ、今ではこっちが本職のようなものだ」
 そういって魔道士は懐から薬便を取り出し中身をレッドソニアに振りかけた。甘い刺激臭が鼻をつく。
「な、なにをした?!」
「なにをした?これからするのさ」
 鼻で笑ってレッドソニアの首筋をすっとなでる。
「ひわああ!」
 レッドソニアの肉体に電流が走った。その電流は子宮の奥に到達し火花を散らす。
「こ、このエロガキィ!」
 全身の力を搾り出して、束縛から抜け出そうとする。しかし全く力が入らない。反対に子宮のうずきは強くなり、呼吸が乱れる。
「はあっ、はあっ」
「さっきの薬はな、一部の神経を敏感にさせる代わりに、他の神経を麻痺させる。何の神経が敏感になるかは・・・もうわかるな?」
 上半身を覆っていた毛皮が剥ぎ取られ、たくましい筋肉に負けない胸のふくらみがぷるんとあらわになる。そのとがった乳首を男がつまんでひねった。
「ふぎゃあああ!」
 脳内に激しく火花が散る。全身から完全に力が抜け、緩みきった身体から暖かい液体がこぼれた。白目をむき、よだれをたらすレッドソニアに男が声をかける。
「おいおい、まだまだこれからだぞ」
 男が今度はレッドソニアの下半身に手を突っ込む。指が陰核に触れた。
「きい!」
 動かない身体が痙攣する。それを見て冷たく笑う男。
「くくくく・・・」
「いぎっ!ひいぁ!はぅ!くん!」
 男が指を動かすたびに痙攣が起きる。
「や、やめてぇ、あたしこわれるぅ、おかしくなっちゃうぅ」
 プライドも何もかも捨てて、哀願するレッドソニア。しかし男は冷笑を返すのみ。
 男が見せつけるようにローブを脱ぐ。オーガーと比べても大きい、人間としては異常なサイズの男根があらわれる。
「ひいぃ!いやぁ!そんなのぅ、さけちゃう、こわれちゃう!」
「壊してやるさ。今までのお前をな!」
 無慈悲なまでに傲然と挿入する。
「いやぁあああああ!」
 今まで以上の苦痛と快楽が一体となった激しい感覚に悲鳴をあげるレッドソニア。
「ふん、はじめてだったのか」
「あうあうあうあうあうあうあう」
 男が身体を動かすたびに絶頂に襲われ、男の揶揄にも反応しない。
 レッドソニアの目の前で、文字を書くように指を動かす男。
 しかし快楽により崩壊寸前の彼女の脳には意味が理解できない。
 それでも男の言葉は、彼女の魂の奥にしみこんでいく。
「いいか、女はより強い男に支配されて当然なんだ。こうやって男に屈服して犯されて、快楽におぼれる以上の幸福なんてないんだ。さあ、覚えろ。お前の主たるものの顔を。このエロルの顔を声を臭いを、お前の魂に焼き付けろ」
「ら、らめえぇ、わらひ、くるふうぅ!」
 自らの尊厳を忘れ去ったかのように、白目を向いて舌を出し、よだれと淫液を撒き散らして叫ぶレッドソニア。
 この肉体と精神双方への陵辱は何時間も続いた。その間、魔道士エロルはレッドソニアに暗示をかけ続けた。

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獅子の月9の日
 数えてみればゴブリンが十匹しか残っていない。
 衛兵としてはオーガーを使えばいいのだが、
 穴掘りや罠設置には彼らのほうが向いている。
 残ったゴブリンのメスに媚薬と成長促進剤を飲ませる。
 さかりのついたゴブリンどもは浅ましく交わった。
 生まれてくる子供は、成長促進剤のおかげですぐに大人になるだろう。
 労働力補充には役立つ。

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 意識を取り戻したレッドソニアは、自分が鎖によって四肢の自由を奪われていることを知った。
「!うがああ!」
 鎖を力で引きちぎろうとする。しかし彼女の力でもびくともしない。
「はずせ!はずせ、くそやろう!」
「くそやろうとは俺のことか?」
 何時からいたのかわからない。だがエロルの声を背後に聞いたとき、彼女の心臓は跳ね上がった。
 背後を振り返る。ローブのフードを下ろしたエロルの顔に眼がひきつけられる。
 動悸が激しくなる。顔が熱くなる。乳首がとがる。
 自由にならない太ももをこすりつけるように、身をよじる。自分が『濡れている』事を何とか隠そうとして。
「もう一度聞く。くそやろうとは誰のことだ?」
 髪をつかまれ無理やり顔を引き寄せられる。いやでもエロルの顔が視界いっぱいになる。
 呼吸が乱れる。股間からさらに液が漏れる。
 エロルの臭いを鼻いっぱいにかぐ。本来胃袋を刺激する人間の体臭が、今は子宮を刺激していた。
「ああ、そうさ、おまえのことだよ」
 眼を逸らして、そう吐き捨てたのはせめてものプライドゆえ。
「ふん」
 その侮蔑をものともせず、レッドソニアの胸をつかむエロル。
「はぁん!」
 思わず喜びの声を上げてしまい、愕然となるレッドソニア。
「そのくそやろうに胸をさらわれて、喜んでいるお前はなんだ?」
「よ、よろこんでなん・・・はぅ!」
 エロルの手が股間を襲った。
「ここもこんなに濡れているぞ」
 濡れた手が目の前に突きつけられる。
 顔を赤くして眼を逸らす。
「それはお前の使った薬のせいだ!誰がお前なんかに・・・」
「その姿で言っても、説得力はないぞ」
「!」
 知らず知らずのうちに足を開き、股間を突き出していた。
「くう・・・」
「自分の立場をもう一度教えてやるよ」
 そういって服を脱ぐエロル。
 あらわになったその肌から眼を離せないレッドソニア。
 臨戦態勢となった肉の槍。それを見る眼が輝いていることを、彼女は自覚できなかった。

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獅子の月10の日
 オーガーのメスが眼を覚ました。
 残念ながら暗示は不十分のようだ。
 やはり師匠のようには、あの魔女のようにはいかない。
 先日から解読を進めていた魔法書を解読。
 死者を操る術はいろいろと応用が利きそうだ。
 そうなるとあの魔女の死体をバラバラにしたことが悔やまれる。
 新しい書に手を出す。
 次は魔獣合成の書だ。

獅子の月11の日
 オーガーどもが飢えている。
 食料調達に遠出することにする。

< 続く >

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