種蒔きは男の本能

「信じていいんだよな、これ…」

 澤田正治は、自宅のソファーに沈みこみながら、診断結果が記載された紙を穴の開くほど見つめていた。数字があまりに変わりすぎていて、なかなか信じられない。

 精液の量、精子の濃度・運動率の高さ、そして奇形率の低さ、いずれも2週間前の数字とは桁違いの…ものによっては2桁も違う数字を示していた。

 念のため、前回のクリニックとは別のクリニックで検査したところ、説明をした医者も一つ一つの数字については稀にありえる数字だが、すべてがこういった高レベルで揃っている例は国内外の論文や国際的な調査でも見たことがない、と言っていた。

 お金はいいからと2回目の検査をすすめられ、2回目もこのような数値が出るようならば、データを症例報告に使っていいか、とも聞かれたが、丁重にお断わりした。

「その検査では出てないけど、精子の生存期間も凄いんだよ~。射精から2週間たっても何億匹もの精子くん達が女性の膣の中で元気に卵子ちゃんを待ち構えちゃうからね」
「なんだ、お前か…」

 予告なしに正治の横に現れたのは、正治につきまとっている女悪魔だ。フィオナと名乗っている。150cmに満たない身長と幼なさの混じった顔付きに似合わぬボン・キュッ・ボンな―しかも「はいてない・つけてない」と思しき―成熟したナイスボディーを超ミニな黒のタイトスカートと、どうやって乳を入れたのが不思議なくらいピチピチなライトブラウンのセーターで覆っている。

「正治ちゃんはつれないな~。サービスの履行状況の確認とフォローアップに来ただけでしょ~」
「はいはい」
「で、元カノさんには検査結果はお伝えしたの?精液の造成速度も上がったから、一晩に何回でも孕ませ専用濃厚精液を注入してあげられるよ~って」
「診断結果票は写メして送ったよ」
「返事は?」

  ピロロー、ピロロー、ピロロッ、ピロロー、ピッピロロロー、ピロロロー

「今来たっぽい」
「まだ専用着信音のままなんだ。かわい~」
「黙れ」

 正治がはやる心でケータイを開くと、元婚約者の濱岡真奈美からのメールが来ている。

「なにこれ?フォトショ?なんで前と病院が違うの?他人の精子を試験に出したの?何考えてるのか知らないけど、私達はもう終わったんだし、こんなインチキでよりを戻そうとするなんて最低…」

 正治が「は?」と驚愕しているとすぐ次のメールが来た。

「私、来週お見合いすることになったから。二度と連絡しないで。というか、今、着拒に設定したから、諦めて。バイバイ~」

 大手商社の経理マンである澤田正治と、薬学部生の濱岡真奈美は交際期間約1年半で婚約した。真奈美が奥手であったため、キスをするのに8ヶ月、真奈美が体を許すまでにはさらに6ヶ月かかったが、そこから婚約までとんとん拍子で進んでいた。
 まだ22才だった真奈美と30才になっていた正治との年の差を理由に真奈美の両親は反対したが、真奈美の説得と正治の誠実な対応に、最後は折れた。
 結婚式の日取りも内々には来年の6月と決め、正治は幸せの絶頂にいた。

 …真奈美の両親に頼まれ、泌尿器科で行なったブライダルチェックの結果が出るまでは。

「無精子症ですね。再検査の結果にもよりますが、自然妊娠はほぼ無理、と思っていただいた方がいいです」
「顕微授精の技術は日々進歩していますから、何回か採卵を行なえば、受精卵を得ることはできる可能性もあります。ただし、どうしても奥さんの負担が高くなりますし、着床が約束できるものではありません」
「費用もかかります。普通はタイミング療法も試してもらってから人工授精に進むのですが、あなたの場合は子どもを作ろうと決めたら、すぐ奥さんと一緒に治療を始めてもらう必要があります」

 正治が検査結果を真奈美に伝えてから、「再検査の結果が出てから、不妊治療について考えよう」という約束がまとまるまで、約150分。5日後の再検査でまったく同一の結果が出た後、正式にお別れを切りだされるまで、約30分。

 突然の別れを受け入れられず、勤務時間以外はベッドに引き込もっていた正治の前にフィオナが現れて、三つの願いの取引を提示してきたのは、その2週間後。

 迷った末に、自分を子どもが作れる体にして欲しいと頼んだのがその翌日の今日。仕事を早退して前回とは別のクリニックにかけこんで、検査結果が出たのが、45分ほど前。

 そして、新たな診断結果を信じてもらえずに、真奈美に着拒されたのが45秒ほど前だった。

「なかなか信じてもらうのは難しいかもね~。せっかく世界史上ぶっちぎり一位の孕ませ能力を秘めたスペシャルウェポンにしてあげたのに、残念。でも、いつまでも沈み込んでいる必要は無いわよ!」

 フィオナが、その薄茶色の瞳で正治を見つめる。

「まだ願いは2つも残ってるし、一つめの願いのポテンシャルもまだまだ残ってるんだから!」

 フィオナが、正治の腕をつかみ、その規格外の胸をギュッと押し当ててくる。

「真奈美ちゃんが泣いて謝ってきて、あなたに永遠の愛を誓うようにもできるし、逆に親も社会も公認の性処理奴隷にしてあげてもいいし、真奈美ちゃんよりもいい子に次々モテるようにしてあげることもできるよ。せっかくおちんぽ強化したんだから、使わないともったいないよね!」

 フィオナの美しい、少しだけ茶色の入ったストレートの黒髪が肩にかかっても、正治は黙ったままだ。

「ちなみに、真奈美ちゃん、今日から危険日突入なのよね。週末エッチできてれば、きっとこどもできたでしょうに。あ~あ~、残~念~」

「あいつが…真奈美が…」と、正治がつぶやくとフィオナがたたみかける。

「真奈美ちゃんが、どうなればいいの?」

***

「了解。正治ちゃんの願いのままに♪」

***

 二つ目の願いを告げた4分後、正治のケータイが鳴り、真奈美からメールが届いた。

「さっきは、酷いこといっちゃってごめんね。私、びっくりしちゃって…正治さんが私に嘘付くわけないのに…ねえ、今すぐ会えない?まなみん、正治さんが恋しい…」

 正治が歪んだ笑みを浮かべるのを、フィオナは満足気に見つめていた。

 皇居を臨む高級ホテルの一室で、澤田正治は、元婚約者の濱岡真奈美をベッドに抑えつけて挿入し、一心不乱に腰を振り続けていた。
 真奈美のたわわな胸は両手でわし掴みにし、ペニスを押し込むたびに握りつぶしていた。過去の真奈美であれば、決して許さなかったであろう乱暴なセックスであったが、今の真奈美はこれを喜んで受け入れていた。

「真奈美…真奈美…いいんだな…いいな…出すぞ…」
「うん…お願い…正治さん…真奈美の中に来て…全部…出して…」

 正治の頭の中には、真奈美の中に精を吐き出し、孕ませることしかなく、真奈美の頭の中にも、正治の種を受けいれ、子を宿すことしかなかった。

「正治さんの…赤ちゃんが欲しいの…ねえ、ママにして…」
「いいぞ…これでママにしてやる…ぞ…ん…出すぞ…」

  ビュッ、ビュュュッ

 精を受けとめるために降りて来た真奈美の子宮の中に、正治は勢い良く射精を始める。
「おぉぉぉぉ………」
 願いによって授精能力が強化された後に射精するのは、クリニックでの自慰に続いて、まだ2回目である。人間離れした勢いで精液が尿道を駆け抜ける快感にまだ慣れず、正治はたまらず声を上げてしまった。
「ああ…正治さん…来てる…来てるの…」
 正治の射精を子宮と膣で感じながら、真奈美は、体中から絶頂の快感と、身体中からしっとりと湧き出る幸福感に包まれていた。そう、自分が女に生まれてきたのは、正治に身体を求められ、その種を預けられて、子をなすためだったのだ。

  ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッッ、ドクッッ…

 20秒近くかけてやっと射精を終えた正治は真奈美の上に息も絶え絶えで倒れこんだ。

「真奈美、最高だったよ」

 正治は真奈美の耳に囁く。

「正治さん、素敵だった。本当のエッチがこんなに気持ち良くて、幸せだなんて、知らなかった」
「本当のエッチ?」
「そう、正治さんとベビーを作るためのエッチが本当のエッチ。他のはぜーんぶ偽物」
「そうか、そう言ってくれると嬉しいな。じゃあ、これからも本当のエッチをたくさんしような」
「うん!」真奈美が正治をぎゅっ、と抱き締めてくる「正治さん、大好き」
「俺もだよ」正治も囁き返す「パパとママになるために頑張ろうな」

 正治の子作り宣言に、真奈美は、口を唇で塞ぐことで返し、

  ジュルッ、ジュルルル…

 二人の舌が絡み合い始めるのもすぐだった。

***

 ホテルのロビーで待ち合わせたとき、真奈美は、正治のお気に入りのワンピースを着ていた。白主体で、薄いピンクのレースの使われた、いかにも清楚なお嬢さん風。腰近くまで伸びたほぼ黒の髪ととても相性がいい。

「真奈美さん、お久しぶり。やっぱりその服、似合うね」
「正治さん、私は、なんていったらいいか…」真奈美は今にも泣き出しそうな表情だ。
「いいから、いいから、まずは一つだけ聞かせて」正治は真奈美の手を取って聞く「赤ちゃん欲しい?」

 真奈美はうなずく。

「じゃあ、まずは子作りしようか。善は急げということで、部屋は取ってあるんだ」

 真奈美は顔を真っ赤にしながら力強くうなずいた。

 部屋に入ってから、真奈美がワンピースを脱ぎ捨て、そのまま全裸になるまで、30秒かかったか怪しい。

***

「正治さんのまた欲しいけど、まだもう少し休ませた方がいいのかな?」

 正治と真奈美はシーツを1枚だけかぶって、ベッドで横になっていた。
 久しぶりに会ったため、積る話は尽きないし、ときどき相手の身体に手を出しあいながらイチャイチャしている様はただのバカップルにも見えた。

「なんで?」
「だって~、休ませないと薄くなっちゃうんでしょ?」

 真奈美は正治のペニスに手を伸ばすと、優しくさする。

「真奈美に入れても出さないで我慢することってできる?まなみんきっと出して、イって、ってついお願いしちゃうけど、我慢できる?私だって正治さんに中でイって欲しいけど、赤ちゃんの方がもっと欲しいから」

 そんなことを心配していたのか、と正治は吹き出してしまう。

「大丈夫だよ。何回連続で出したって、量は減らないし、出すたびに元気な精子を何十億匹も送りこんであげるから」
「本当に?なんでそんなに元気なおちんちんになっちゃったの?最初の数値はあんな酷かったじゃない」

 その話で俺がどれだけ傷付いたのか分かってないのか、と、正治の顔が一瞬陰るが、他人の感情については天然気味な真奈美はこれを見逃がす。

「私の中に出た量も凄く多かった気がするけど…いや、中に出してもらった経験は他に無いから比較はできないんだけど」

 真奈美が正治のペニスをさすり続けるとまた正治のペニスが固くなりはじめる。そうだ、真奈美の中に射精したことがあるのは自分だけだ、という自信で、正治は機嫌を直した。

「前はこんなにすぐ復活しなかったよね…なんかまた、どうしても入れてもらいたくなっちゃった…正治さんの子どもが今欲しい…」
「女の直感ってやつだね。真奈美の本能は俺がまだまだ子種を注ぎこめることが分かってるんだよ」
「そうかも…」

 真奈美は、もうしばらく正治のペニスをいじって、勃起しきったのを確認する。身体をおこすと、正治の顔を見ながら馬乗りになり、腰を持ち上げると、ペニスを掴んでヴァギナにあてる。

「口でしてあげたいとも思ったんだけど…正治さんにすぐ入ってもらってもいい?なぜか我慢できないの」
「俺の子どもが欲しいならいいよ」
「うん…正治さんのベビーが欲しいの」

 真奈美は照れる様子も見せずそう言うとゆっくりと腰を沈めはじめた。

「あん、素敵…幸せ…」
「暖かいよ、真奈美」
「えへへ、もう全部入っちゃった…動いてもいい?」
「いいよ。真奈美の好きなように動いてごらん」

 真奈美が、こんなにセックス、特に挿入に積極的なのは始めてだったので、正治は任せてみることにした。これまではベッドを共にしても今日は最後までする気分ではない、とイチャイチャどまりなこともよくあったし、中でイかせられたことがあるのか、正治としても自信は無かった。
 多分、先程の膣内射精のときに始めて中イきさせたのだろう。それなら、ペニスを使わせるだけでイかせられるのか、確認してみたい。

「あん…なんで、こんなに気持ちいいの…腰が止まらない」
「自分で行ってたじゃない。本当のセックスだからだよ?子作りのための本当のセックス」
「本当の…子作りセックス…」

 真奈美の顔がニヘら、と緩む。本人は気が抜けたときの自分の顔が嫌いらしいが、正治としては、自分に気を許してリラックスしたときにしか見せないその姿は、むしろ好物である。

「今晩は、真奈美の中に10回は出すからね。覚悟しててよ」
「10回…子作りセックスが10回…」

 真奈美の頬がさらに緩み、とても他人様には見せられない形相になったかと思うと、膣がいきなり収縮し、正治のペニスを締め付ける。

「おぉ…」
「あん、一晩中子作りエッチするんだと思ったら、軽くいっちゃったかも…ねえ、早く出して、ねえ、一杯出してくれるんでしょ?真奈美の中に早くいっぱい出してぇ」

 真奈美の腰の動きが激しくなり、膣もまた正治の精液を絞りとろうと脈動をはじめる。心と身体が共に受精に向けた欲望に一致した真奈美に対し、正治は抵抗せずに精液を吐き出した。

「ああぁぁーーー来てる…キてるのーーイっちゃうぅぅぅーーー」

 正治がまたしても20秒近く射精を続ける間、真奈美はその上で、痙攣し、イき続けていた。

 正治は全面ガラス張りの壁から大手門を見下ろして自分の生殖能力の強化と真奈美の変貌を反芻し、これからの生活をどう組み立ていくべきか考えていた。一日に何度でも不自由なく種付けができるようになったのだから、真奈美の受胎だけで満足してはあまりにもったいない。種馬としての自分と、経理の仕事をどう両立していくべきか…それとも両立させる必要はもう無いのか…
 真奈美の方を見ると、腰を振り続けて疲れたという真奈美は腰の下にまくらを敷いて休んでいた。「腰は上げておいた方がいいよね。流れ出ちゃったら、もったいないし」ということらしい。

「せっかく景色がいい部屋を借りたんだから、ちょっとこっち来なよ」
「は~い」

 真奈美を呼ぶと、わざわざシーツを巻いて向かって来た。

「う~。歩いてこぼれちゃったらどうしよう。もったいないよね?」
「じゃあ、蓋をしてあげるよ」

 シーツの真奈美を掴むと窓の外を向かせて窓に押し付ける。

「蓋できるように脚広げて…そうそう」

 正治はシーツをまくりあげると脚の間に腰を入れ、真奈美の手を掴んで自分のものを握らせる。

「蓋できるように大きくして」
「もー」

 真奈美は恥ずかしいのか、クスクス笑いながら、シーツの下で正治のペニスを手で刺激する。

「どうして蓋して欲しいのか、説明して」
「説明って…蓋とか言いだしたのは、正治さんじゃない」
「蓋して欲しくないの?」
「………して欲しい」
「じゃあ、説明できるよね?」
「…うんとね。正治さんにいっぱい貰った精液がね、こぼれちゃったら嫌だから、正治さんの固~いおちんちんで真奈美の膣を一杯にして、蓋して欲しいの。そしてね、そのまま情熱的に突き上げて、真奈美を一杯気持ちよくして、メチャメチャにして欲しいの。そしてね、そしてね、正治さんにも気持ち良くなってもらって真奈美の中でまたいっ~~ぱいせ~えき出して欲しいんだ」

 正治も流石に吹き出してしまう。

「そこまで言えとは言ってないよ?」
「でも~、それが正直な気持ち。正治さんのおちんちんも、そう思ってる感じな硬さになってきてるよ?」
「まあね」

 せっかくおねだりしてくれたことだし、正治はそのままズブリとペニスを真奈美に挿入する。

「あん、窓際だとやっぱり恥ずかしいかも。シーツで隠しても、何してるか分かっちゃうよね」
「誰からも見えないし、俺たちが子作りすることは何にも恥ずかしくないよ。そうでしょ」
「あん、正治さん…好き…」
「俺も真奈美のことが大好きだよ」
「ありがとう…」

「もう、隠す必要ないよね?」
 真奈美ができあがってきた頃合いをみはからって、正治はシーツを剥いでしまう。
「いや…あん…うん…だめぇ…恥ずかしい…」
 真奈美はイヤイヤするが、突かれつづけて息もたえだえになっており、抵抗する気力は無い。
「子作りするとこ、見てもらおう」

 実際のところ、ホテルの部屋自体がかなりの高層だし、照明をつける間もなく窓からの明かりだけでエッチをしてきたので、日の沈みはじめた今は外からは何も見えないはずである。

「ダメぇ…」
「出すよ!」
「ああぁ……熱いぃぃぃぃぃ…」

 正治の射精に合わせて絶頂を迎えた真奈美の膣は、精子を絞りあげるかのようにペニスを締めつける。

「うん…いいよ……真奈美の身体がママになりたがってるのが良く分かる」
「本当に…真奈美…ママになれる?」
「ママになるまで何度でも種付けしてあげるから、大丈夫」

 3回目の中出し、強化後から4回目の射精も勢いは変らなかったが、正治はだいぶ冷静に受け止めることができるようになってきた。

 射精を終えると、全面ガラス張りの窓を背にカーペットに座ると、真奈美を自分の上に跨らせ、両手で自分のペニスを掴ませる。

「勃ったら、また真奈美の中に入れるから、刺激して」
「うん」
「真奈美が貪欲に求めてくれればくれるほど、休まずできるからね。頑張ってどんどん淫乱になってね」
「うん。頑張る。ねえ、正治さんのオチンチン、おいしそうだから、お口で食べちゃってもいい?」
「いつでもどーぞ」
「あーん。ん、ぅんん~んうんぅ~」
「真奈美のお口で元気になったらすぐ抱っこエッチにするからね」

 全面ガラスの壁に背中を預けた座位での4回目の中出しを終えて、正治と真奈美はそのまま繋がりながらのイチャイチャモードに突入していた。

「そうだ、またパパとママにご紹介っていうか、ご説明しないといけないよね」
「何で?」
「だって、結婚やめるのをやめるのを早く報告しないと。妊娠してからじゃパパママびっくりしちゃう」
「いや、結婚やめるのはやめないよ。真奈美が妊娠したがってるから、妊娠させてあげるけど、結婚はしない。養育費も払わない。子どもは勝手に育てて」
「えっ?」
「あんなにこっぴどく婚約破棄されて、まさか改めて結婚するつもりがあるわけないじゃない。そんなことを条件にするなら、セックスもお断わり」
「ええっ!?そんなことを、もうこんなにされてから言われても訳わかんなんだけど!」
「訳わかんないのはこっちだよ。結婚を条件にするっていうならエッチなんかする訳ないじゃん」
 呆然とする真奈美に対して、正治は冷たく告げる。
「結婚しないと子ども欲しくないってなら、ペニス抜いて、早く病院行って緊急避妊ピル飲みな。そのお金くらいは出すよ。ピルが効かなきゃ中絶費用も出す」
「そんな酷い…」
「酷いと思うなら、まずは抜いたら?俺のまた固くなってきてるよ?ほっとくと5回目の種付けはじまっちゃうよ?シングルマザーが嫌なら抜きな」
「………」

 正治が本気なことがやっと分かったのか、真奈美は黙りこくる。

「逆にね、結婚とか言わずにかわいくしてくれてれば、この週末はず~とエッチしてあげる。それだけじゃなくてね、妊娠が分かるまでは、毎週末、真奈美の子宮を精液漬けにしてあげる。どっちがいい?返事がないなら、射精始まる前に抜くよ」
「ふっ、二人目は?」
「二人目?」
「ベビーが一人できたら、もうエッチしてくれない?二人目や三人目のベビーは生ませてくれないの?」

 真奈美の必死な形相に正治は笑いに堪えるのに苦労する。堕ちたと宣言するのも馬鹿らしい。こいつは最初から墜ちきっている。

「真奈美が俺のいうことをなんでも聞いて、俺を楽しませてくれて、俺にはな~んも負担も迷惑をかけないいい子でずっといれるなら、3人でも5人でも8人でも何人でもベビーを生ませてあげるよ。真奈美の体が耐えられる限りね」
「…まなみん分かった。絶対いい子にする。だから…」

 真奈美は上目使いで正治に懇請する。

「5回目出して」

 正治はニヤッと笑うと、

「嘘…いきなりこんなに…いやん、イックーーーーーーゥ」

 ペニスを意識的に爆発させ、真奈美の子宮をさらなる精液で飽和させる。

「じゃあ、今晩だけで後5回出すからね。疲れてもちゃんと可愛く求め続けるんだよ」

 突然の中出しで絶頂を強いられて息も絶え絶えの真奈美に、正治は念押しする。

 その後、正治を求め続け、それに応えた正治に体位を変えて犯され続けた真奈美も、正治が10回目の種付けを終えた後には「ちょっと寝かせて」とギブアップし、腰を枕で持ち上げた体勢で眠り込んでいた。
 正治は客室内のメニューで適当にルームサービスを頼んだら、自分のスマホの連絡先やフェイスブックの友達リストを見直し、魅力的といえる女性をリストアップする作業をはじめていた。

  ピンポーン。

 ドアベルを鳴らして、ルームサービスを運んできた従業員はインド系の女性だった。国際的な需要を見込んだ高級ホテルだけあって、多国籍の従業員を雇っている、とは聞いている。

 部屋の中へとカートを押してくる女性が、こちらに見せつけるようにお尻を振るのを見て、つい「Nice ass!」と声をかけてしまう。

 女性は「Thank you」と笑うと、真奈美が寝ているのをチラッと確認し、満面の笑みで振り返ると、「もし良かったら、触って下さいませんか。お客様」と言ってくる。
 願いの力は、真奈美以外にも効いている。しかもそれは職務中の従業員に、女性同伴の男性顧客を、(寝ているとはいえ)同伴女性の前で誘惑させずにはいられなくさせるほどの力があるのだ。

「sure。でもいいの?仕事中でしょ?」といいつつ、正治は背を向けたままスカートの後ろをめくりあげてくれた女性の尻を両手で鷲掴みにすると、遠慮なく揉みはじめる。
「Oh yeah… お客様への『おもてねなし』ですよ。mmm…」
「そう?」

 正治はそのまま前にも手を伸ばしスカートを全部めくらせ、パンストの上から性器を刺激する。

「お客様、邪魔なものは脱ぎますので、よろしかったら、直に触っていただけませんか?」

 サラと名乗った女性従業員を真奈美を起こさぬよう脱衣室に連れ込むと、彼女はスカートから下の衣服をすべて脱ぎ捨てた。後ろから抱き占めたまま性器を指で刺激し、いつころ挿入をねだるか見てみようと思ったら、

「お客様を私の中でおもてなしさせてくれませんか」

 と、すぐにリクエストしてきた。サラも最初から堕ちているのだ。

「僕の子種もちゃんとおもてなししてくれる?」
「ぜひ、私の卵子でおもてなしさせてください。お客様の精子で受精できれば、私の卵子も喜びます」
「そうか、じゃあ、洗面台に座って」
「上は…?」
「脱がなくていいから」
「はい♪」

 正治としては長期戦にするつもりはなかった。正直腹が減っていたし(悪魔的に強めた造精能力でもエネルギーは使うらしい)、折角注文した食事も暖いうちに食べたかった。

「My God, Oh my God… Yes…」

 ロビーで見掛けたときから、挿入されたくて犯されたくてたまらなかった男のペニスをやっと受け入れ、サラは感動に震えていた。想像していたよりもずっと気持ちいい。
 ルームサービスを誰が運び込むかは立候補した9人の従業員による厳選な抽選によって決められ、自分が選ばれた幸運に感謝したが、ここまでスムーズに犯してくれるとはなんともできすぎである。

「Yhea, yes, YES!」

 サラは、自分のヴァギナを責めるペニスを歓迎し、もっと、もっととねだるように、正治の腰に脚を巻きつける。

「oh yes, more, don’t stop」
「あんまり、moreはしてられないんだよね」

 正治は、願いによって射精を自在に制御できるようになったことをいかして、自らのペニスに射精を促し、放出させた。

「oh, I’m comminnnnnnnnnngggg!」

 そして、正治に中出しされた女性はそのままオーガズムへと導かれる。正治の約20秒の射精に合わせて、サラはいきっぱなしだ。

「もうちょっと出してもいいな」

 サラへの射精を終えた後も満足しきらなかった正治は、再び射精を開始する。

「え、いや、イくぅぅぅぅぅぅ!」

 射精はまた20秒ほど続き、その量も濃度も前回と変わらない。そして、

「what, だめぇ いきいやfuk ny」

 続けて行なった三回目の射精で運び込まれたオーガズムの境地では、サラの意識も言葉も混濁を極めていた。

「ふう、すっきりした。サラさん、ありがとう。いいおもてなしだったよ」

 サラと連絡先を交換し、いくつか指示を言い含めて帰し、ルームサービスで頼んだバーガーを食べていると、真奈美も起きだしてきたので、一緒に食べる。

「おいしい?」

 サラダとパスタをバランス良く食べている真奈美に聞く。

「うん。おいしい。でも、正治さんのおちんちんの方が、もっとおいしかったな♪」

 不意打ちを受けた正治はつけあわせのポテトを吹き出してしまう。

「きたな~い!」
「まなちゃん、俺、そういう振りで言ったんじゃないんだけど」
「でも、正治さん、私にかわいく求めろって言ったじゃないですか。まなみん、正治さんにいい気持ちでいっぱいセックスしてもらうために、心に浮かんだエッチなことはどんどん言うことにしたんです。さっき起きたときから、ず~っとエッチしたいな、正治さんのおちんちんを私のおまんこが恋しがってるな~って感じたまなみんの気持ち、伝えちゃだめですか?」

 正治としてはあの奥手で潔癖だった真奈美の遠慮のない堕ちっぷりにニヤニヤしてしまう。

「もちろんいいよ。じゃあ、そこまで言ってくれるなら、食事終わったら、俺のペニスで好きに遊ばせてあげる。食べちゃってもいいからね」
「やった♪、じゃあ、まなみん急いで食事終わらせるね」

 ガツガツと食事をかきこむ真奈美を見ながら、正治は、子どもが作れないと診断されてむしろ良かった、と思いはじめていた。別れる前の自分自身を持っていた真奈美より、正治のペニスと精液のためならなんでもする今の真奈美の方が100倍かわいい。このためなら魂なんて安いものだ。

< 終わり >

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