へたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、隠れ家で仲魔に出会う

 白く輝く不落の城、ケテル城。世界を救った英雄達の居城。謁見の大広間は豪奢な細工を施された大理石の円柱が立ち並び、中央には金縁の刺繍も美しい、幅広の赤いカーペットが敷かれている。部屋を直線状に縦断するカーペットはゆるやかな階段を通り過ぎ、玉座へと至る。玉座の背面の壁に設置された扉は円卓会議室へと繋がり、国の重臣のみ使う事を許されていた。今夜、その重臣達による円卓会議が開かれていたが、中から響いてくるのは年老いた老人の重苦しい咳払いではなく、年若い女性の華やいだ笑い声だった。

「でね、ボクがダーッて行ったら、相手がザッて来たわけ。そこをビュンってね……」
 
 得意満面の笑顔で今日の訓練の成果を語っているのは、騎士団長のニャムカだった。まだ少女のようなあどけない笑みを浮かべ話を続けようとする彼女を、対面に座っていた宮廷魔術師のマグダレーネが制する。その外見は幼い少女のそれだが、口調は大人そのものだった。

「待て、ニャムカ。お前の話は擬音ばかりでさっぱり分からん。……少しは本でも読んだらどうだ? 騎士団長の仕事は訓練だけではないぞ? 軍学の基礎でも学んでおかん事にはこれから先……」
「そういうのは副団長に任せてあるからいいのっ!」

 話の腰を折られ頬を膨らませるニャムカをやれやれといった表情で眺めると、ずり落ちてきた大きすぎる三角帽を元の位置に戻す。その様子を隣で微笑みながら見ていた大司教ソフィーヤが柔らかく口を挟む。

「大丈夫ですよ、マグダレーネ。ニャムカだってきっと分かっています。……六英雄と呼ばれる事は大変名誉な事ですが、いつまでも名声に胡坐をかいていてはいけません。私たちは常に人々の期待を受けるのです。その期待を裏切るような事はここに居る誰にも出来ないでしょう。努力を怠らず、いつでも皆の見本となるような人物であらねば……そうでしょう、ニャムカ?」
「う、うん……」

 理路整然とした説得に返す言葉も無く借りてきた猫のようになってしまったニャムカに、出窓に腰掛けながら竪琴を爪弾いていたエルフのサーフィアは思わず吹き出す。

「ふふ、まったく人間って誰も彼も生き急ぐのね。もっと吹き抜ける風のように、流れ行く水のように、大らかにいかないものかしら。……ゆっくりやるといいわ、ニャムカ。慌てて何かを成しえようとしても大抵上手くはいかないものよ。」
「う、うん、そうだよね、そうだよ。……マグダレーネ、ボク頑張るよ…………ゆっくり」
「全く、お主らが甘やかすから……」

 いつもの宮廷魔術師のぼやきが出た所で会議室は柔らかい笑い声に包まれる。
 そのタイミングを待っていたように円卓の一番奥に座っていた女王イリーナが声を発する。それはいつもの女王然とした堅い口調ではなく、信頼する仲間に向けた親しげなものだった。

「で、マグダレーネ、皆に話しておきたい事って何? 一週間後の記念式典の事?」
「うむ、そうかもしれんし、そうでないかもしれん。……いや、すまん、謎めかすつもりはないんだが、一応耳に入れておこうと思ってな」
「どういう事?」
「私の占星術で凶兆が出た。ごくごく僅かでその兆候はすぐに消えてしまったが。……凶兆自体は大した問題ではない。問題はその消え方のほうだ」
「……まさか……魔王の力……?」
「いや、その可能性は無い。とにかくあんな事は初めてだったから、私にもなんと言ったらいいのか……とにかく注意だけでもと思ってな……」
「うーん、ハヤ、あなたはどう思う?」

 いつに無く歯切れの悪い宮廷魔術師の言葉に、イリーナは会議室の端に座っていた近衛騎士団長に水を向ける。
 それまで瞳を閉じ皆の言葉を無言で聞いていた、ハヤはその切れ長の瞳を開けると短く言葉を紡ぐ。

「マグダレーネ殿が正体を掴めない凶事というのは気になります。とはいえ、私に出来る事は命にに代えても殿をお守りする事だけですが」
「トノ……ねぇ。私が即位してから一度も名前では呼んでくれないのね」

 イリーナの冗談交じりながらもどこか寂しげな問いかけに、ハヤは一瞬困った表情を見せたがゆっくりとかぶりを振る。

「即位なされ私がその家臣である以上、殿は殿ですから」
「まったく、硬いんだからなぁ、ハヤは。もうちょっと柔らかく生きなよ、ボクみたいにさっ」
「……お前は柔らかすぎだ」

 硬くなりかけた場の空気をマグダレーネとニャムカの掛け合いが和ませる。いつもの光景だ。イリーナは安心する。たとえこの先どんな苦難が襲って来ても私は耐えられる。信頼する仲間達が側にいてくれるのだから―――――。

 残り日数20日の夜。俺のたてた作戦は簡単だった。リズに出来る限り大量の睡眠薬を買って来させる。よく効き、遅効性が望ましい。
 ルカを呼び出し、夕食の釜にそれを入れさせる。ソフィーヤの方針で末端のシスターからテンプルナイツ、幹部からもちろん大司教本人まで同じものを食べるのは確認済みだ。
 皆が寝静まったら俺が颯爽と登場して、大司教ソフィーヤ猊下にエロ調教を施す。

 ……うーん、我ながら完璧な穴だらけで隙だらけの作戦だ。俺は頭を抱える。

 大体いくらシスターの朝が早く、早寝だとしても全員が同じ時間に寝るはずが無い。周りの人間がバタバタ倒れていったら当然大騒ぎになるだろう。
 偶然食事を取らない人間がいたら?……俺にはそれを確かめる手段が無い。
 なにより問題なのは奇跡的に作戦が上手くいき、俺が無障害でソフィーヤの元まで辿り着けたとして、どうやって<絶対聖域>を破るか、だ。
 あの呪文は絶対に常時発動型だ。でなければ俺より力を持った他の淫魔が寝てる隙にとっくに洗脳完了してる筈だ。
 つまり俺は奇跡のような可能性にすがって絶対に勝てないと分かってる相手の下へ単身乗り込まないといけないわけだ。……我ながら泣けてくる。
 俺の全魔力を集中すれば、<絶対聖域>を破れるだろうか? いや、多分無理だ。てゆうかそんな一か八かは怖くて出来ない。
 ……ああ、もう帰りたい。リズとルカをお土産に持って帰って、アリサとエロい事したい。

「マルコーダ様っ!」

 鋭くリズが叫ぶ。俺はのろのろとリズの視線を追い……目を見張った。いつのまにか女が立っている。蜘蛛を基調としたデザインの薄手の漆黒のドレスに身を包み柔和な微笑みでこっちを見ている。いつ、どこから入った? ……てゆうかこいつは……。

「……こんばんわぁ、お久しぶりねぇ、マルコーダ」
「……サマエラかよ。吃驚するからノック位してくれ……」

 こいつは俺の仲魔、というか同族のサマエラだ。
 いや、完全な同族かというと少し違うな。同じ淫魔だがこいつはサキュバス族、俺はインキュバス族だ。
 俺と一緒で中級淫魔だが、魔力は俺より高い……と思う。大体今の突然現れる魔法どうやったんだ?

「人が落ち込んでるときに俺には出来ない事して見せるなよ……ますます落ち込む……」
「あら、ごめんなさぁい。お詫びに凄くいい話もってきたんだけど、聞いてみない?」
「俺の今のどん底の気分をちょっとでも明るくしてくれるなら聞いてみてもいい」
「そうねぇ……マルコーダ、あなたのところにも魔王様から念話が届いたんでしょお? それでここまでやって来た……違う?」

 まあ望んで来た訳ではないが、概ねその通りだ。俺は黙って頷く。

「私も吃驚したわよぉ。一番来そうに無かったあなたが来たんだもの。……でね、モノは相談なんだけどぉ、私と組まない?」
「はぁ? どういう事だよ」
「だからぁ、一緒に六英雄をやっつけちゃいましょ、って話よぉ」

 そうか。魔王様の念話はなにも俺一人に届けられたものじゃない。いや、俺のようなビビリに個人的に念話を寄越す程、魔王様もヒマじゃないだろう。なにせ死に掛けだ。俺の他にもサマエラのように来てる奴もいるかもしれない。
 仲魔を募るなんてのは確かに盲点だった。まあ、盲点だったのには理由があるんだが……。俺はそれをサマエラに尋ねてみる。

「……なんで俺なんだ?」
「それがねぇ、ここに来るまでに何人かに当たってみたんだけど、皆ダメねぇ。六英雄に怯えちゃってるか、20日後の魔王さまの術式に全てを掛ける、なんて現実逃避を受け入れちゃってるか、どちらかなのよぉ。……だからここに来て、あなたを見つけた時は嬉しかったわぁ」

 やっぱりだ。淫魔なんて元々、個人主義で享楽的、刹那的な生き方も好む奴が多い。……俺を含めて。
 大体俺が今ここに居るのが奇跡みたいなもんなんだ。自分でも良く分からないが、生に対する執着が他の淫魔よりちょっぴり強いのかもしれない。
 ……でもこいつは……サマエラは多分違う。

「で、お前は死にたくないから、ここに来たのか?」
「いやぁねぇ。あなたも魔王様の念話聞いたんでしょお? 六英雄をやっつければ、一気に魔王様の右腕よぉ、それに世界の半分……夢のようだと思わなぁい?」

 その場で優美にワルツでも踊りだしそうな微笑を浮かべてサマエラが答える。
 ……そうだ、こいつはこういう奴だ。
 その日その日を面白おかしく過ごす事を第一と考える淫魔の中で、サマエラの野心、いや、野望の高さは異常といってもいい。
 だからインキュバスである俺に声を掛けてきたんだ。サキュバスであるサマエラの力は女性には非常に効きづらい。
 いくら魔力が高くても、全員が女性である六英雄に相手に、ハナから大きなハンデを背負っているようじゃ勝ち目は無い。
 
「でも、相手は六英雄だぞ。自分でいうのもアレだが、俺の力は大した事無いし、お前だってハンデ背負ってちゃ……」
「その辺は心配御無用よぉ。私が腕によりをかけて作った、魔具を貸してあげる。私の魔具にあなたの魔力を上乗せすれば、六英雄なんてイチコロコロリよぉ」

 ―――――魔具。悪魔にしか使えない呪われたアイテム。
 確かにサマエラは魔具作りのエキスパートだ。俺は面倒で手を出した事が無いが、上手く作った魔具はとんでもない威力を発揮するらしい。

 ……これはチャンスだ。俺の中のチャンスの虫が動き出す。サマエラの作った魔具、それに俺の魔力を上乗せ出来ればあるいは六英雄にも……。
 ……どうしよう。俺の中のヘタレの虫が同時に動き出す。サマエラは魔具を俺に貸すだけ。実行犯はあくまで俺だ。もし六英雄に通じなかったら……。

「で、でもさ、絶対に勝てるなんて保障は無いわけだろ? そんな便利な魔具があるなら、最終戦争の時、俺より強い上級淫魔にでも渡せばよかったじゃないか」
「そうなんだけどねぇ。魔具ってかなりの人間の魂が必要な上に、調整が凄く難しいのよ。で、最終戦争には間に合わなかったってわけ」
「え、じゃあ、試してないのかよ! ……ぶっつけ本番で人を死地に送り込むな! てゆうかマジで怖いよ!」 
「しょうがないわねぇ……じゃ〝契約〟してあげる。この計画が成功したら、私が魔王様から頂いた土地から十分の一をあなたに譲るわ。もちろん、この大陸よ。そこでの事に私は一切口出ししない。あなたはそこで千人でも一万人でも人間を飼っていいわよぉ。魔王様には私から話しておくし。どう? あなたは出世になんか興味がないんだから、いい条件でしょお?」

 ……ちょっと待て、こいつは今、契約って言ったのか……?
 ……誰がいつ決めたルールなのかは知らないが、俺たち悪魔にとって〝契約〟の強制力は絶対だ。
 〝契約〟に違反すると悪魔は魂ごと完全に消滅してしまう。だから俺たちはまずその言葉を使わない。
 サマナーに召喚された時もあの手この手で契約という言葉を言うまい、言わせまいとする。だから俺たち悪魔は嘘つきだと言われるんだ。

 つまり、今、サマエラが〝契約〟したという事は、この面倒なミッションが終った後の俺の安全が、確実に保障されたという事だ。
 確かに気苦労が多そうな魔王様の右腕なんかに興味は無いし、世界の半分なんて貰っても持て余しそうだ。
 世界の二十分の一を貰って、選りすぐりのエロ奴隷と暮らす。それは俺にとってこの上ないユートピアだし、サマエラの言うとおり、破格の条件だった。

「んん、うむぅ~~ん」

 俺の中でチャンス虫とヘタレ虫がお互いを貪り喰らい、苦鳴をあげる。……このままだと確かにジリ貧だ。サマエラが協力してくれるなら、それは大きな助けになるだろう。
 ……いや、でもなぁ……。
 
 視界の隅に、今のやり取りを半分も理解出来なかったであろうリズがポカンとした表情で突っ立っていた。
 情けない話だが、俺は藁にもすがる思いでリズに話しかけてみる。

「なぁ、リズ。俺は魔王様の為にこれから六英雄をエロ奴隷に堕とさなきゃならない。……お前的にそれはOKか?」

 なぁんだ、そんな事、とリズは朗らかに笑うと甘えたように俺の胸にしなだれかかって来た。

「マルコーダ様、もっと自信持ちなよ。あたしはマルコーダ様のエロ奴隷になれて、ホント幸せなんだからさ。六英雄の方々だってきっとそうだよ。……魔王が復活して世界が滅びたって、あたしはマルコーダ様の側にいられるならどうでもいい……」

 うっとりした目付きで見上げてくるリズの顔を見て、俺の犯る気……いや、もとい、やる気がヘタレ虫を駆逐していく。
 そういえば辺境の水車小屋でもアリサに背中を押してもらったっけ。
 ……なんだか俺は女に励まされてばっかだな……。

 リズに教えて貰ったなるべく目立たない道筋を通り、俺は真夜中の闇の中、大聖堂の前まで辿り着いた。
 大聖堂はその名の通り大きく美しい威容を誇っている。華美な装飾が無い分かえって荘厳な雰囲気だ。
 金細工などの派手な装飾は全て取り払われ、金に換えられ大司教ソフィーヤの命によって貧しい者達に分け与えられたらしい。
 ……もう、ここまで来たらやるしかない。
 バクバクとうるさい音を立てる心臓を叱りつけながら、布袋からサマエラに借りた魔具を取り出す。
 門番との距離は50メートル程か。
 俺の肘から先程もあるびっしりとルーン文字の刻まれた大きな鉄の釘を、門番に見咎められないようビクビクしながら大聖堂全体余裕を持ってを包む位置、その四隅の一角に静かに立てる。
 サマエラに教えられた呪文を唱えると、鉄釘はまるで泥の中に沈みこむようにズブズブと石畳の中に飲み込まれていった。
 俺はその鉄釘に全魔力の四分の一程の魔力を送り込む。これを後三回繰り返す。四隅に鉄釘を埋め込んだ時には俺の魔力はすっからかんになっていた。
 ……ヤバイ、マジで死にそう。

 その時大聖堂の扉がゆっくり開かれる。中から顔を出したのは……ルカだ。俺が念話で指定した時間ぴったりだ。流石、真面目なエロ奴隷シスター。
 突然開いた門に驚いた門番は当然ルカを詰問している。
 俺は疲れと恐怖で震える足をなんとか奮い立たせると、やっとの思いで正門前まで近づく。門番……テンプルナイツだろう……聖堂騎士の鎧に身を包んだ屈強な男が俺を見咎める。

「何者だ!!」
「……俺はこの先に用がある。だから通らせてもらう。何か問題があるか?」
「……いえ、何も問題はありません。どうぞお通りください」

 短いやり取りだったが、俺はサマエラの魔具が正常に機能している事にほっとする。
 ……できるだけ威厳のある声を出したつもりだが、少し震えていたのは秘密だ。

 『支配者の鉄杭』……サマエラから借りた結界魔具の名前だ。この鉄釘の範囲内の人間は挿した者の言う事に逆らえない。というか逆らおうという気さえ起きない。なぜなら挿した悪魔の言う事はこの世の常識であり、絶対のルールだからだ。

 俺はルカを伴い大聖堂を疾駆する。いや、正確にはルカの方が早い。魔力を使い果たしてボロボロの俺はルカについて行くのがやっとだ。前をゆくルカの小振りだがぷりぷりした尻に欲情する。美しいステンドグラスや古めかしいが立派なパイプオルガンなんか眺めている余裕は無い。
 大聖堂を抜け、ルカは俺を女子寄宿舎に案内していく。教会の常として男と女の生活スペースが完全に分離しているのは俺にとって幸運な事だった。
 そして俺にとってもう一つ幸運な事は……。

「ルカ、間違いなく大司教は寝てるんだろうな」
「はい、間違いないです。普段からこの時間にはお休みになっておいでですし、今日もお休みの挨拶をなされた後、自室に戻られるのを確認しました!」

 本当に使えるエロ奴隷だ。なら、俺のやる事は一つ。

「ルカ、テンプルナイトの詰め所に案内してくれ」
「え、はい……でも大丈夫なんですか?」
「大丈夫だと思う……多分……」

 我ながら自信なさげだが、しょうがない。こんな状態で六英雄の一角に会っても何も出来ないだろう。なによりも優先されるのは魔力の回復だ。それが修行を積んだテンプルナイトなら更に望ましい。
 ルカの案内で詰め所に入る。そこには5人のテンプルナイトが居た。多分宿直だろう、全員若くてレベルが高い。20台後半位の黒髪を腰まで伸ばしたリーダー格っぽい女が話しかけてくる。

「誰です? ここは男子禁制ですよ」
「俺は特例だ。というか神殿査察官だ。お前たちがきちんと仕事をしているか抜き打ちでチェックさせて貰う」
「ああ、これは失礼しました。私はプレゲトン神殿テンプルナイツ所属、第四班班長イセリナと申します。お忙しい中、ご苦労様です」

 俺が適当に名乗った嘘職業になんの疑いも持たず、丁寧な挨拶を返してくる。ヤバイ、このシチュエーションだけでゾクゾクする。それにしてもサマエラの魔具の力はやっぱり凄いな。
 折角だし、この状況を利用させて貰おう。

「あ~、お前達はなっていない!」
「え!? 私達になにか問題がありましたか?」
「査察官の男性を迎えるときは手甲と足甲を除いて全裸が決まりだろうが。全く、これが栄えあるプレゲトンテンプルナイツとは……嘆かわしい」
「あ、これは大変失礼しました! ……総員全裸! 手甲と足甲はそのまま! 急げ!」

 イセリナのキビキビとした指示に残りの四人が慌てて鎧と服を脱ぎ捨てていく。もちろんイセリナ自身も含めて。因みに手甲と足甲を残したのは単に俺の趣味だ。完全な全裸よりその女の職業が分かる一部分を残した方が興奮する。
 おかげで鈍くさい女なんかは手甲に服が絡まり、バタバタともがいたあげく、上腕を自分の服に拘束されてしまう奴もいたが。
 イセリナの怒声が響く。

「何をやっているの、プリシラ! 査察官の方の目の前で無様な姿を晒す事はプレゲトンテンプルナイツの恥、ひいてはソフィーヤ様の恥になるのよ!」
「ごっ、ごめんなさい、イセリナさんっ、なんだか絡まっちゃって……」
「ま、構わんよ。そこまで脱げば全裸と見なそう。……プリシラとかいったか? そんなに気に病むな」
「すっ、すみません……お見苦しい所を……」

 涙声で謝ってくるプリシラだが、見苦しいどころか俺にとっては天国の様な光景だ。五人の美女が目の前でオッパイをプラプラと揺らし、性器を隠そうともしないで見せつけてくる。
 興奮で目の前がくらくらする。生きるっていいね。

「よし、身だしなみについてはOKだ。次は査察官を迎えた時の礼儀作法だな。イセリナ、そのテーブルに腰掛けて足で俺のモノを扱け。あ、ブーツは脱いでな」
「は? それは一体どういう……」
「礼儀作法と言っただろう? テンプルナイツともあろう者がそんな事も知らないのか?」
「はっ、申し訳ありません。直ちにその……ソレを扱かせて頂きます!」
「ソレとは何だ? いやらしい事をはっきりと口に出すのも礼儀作法の内だぞ」
「はっ、あの……その……おち……おちんちんを足で扱かさせて頂きます……」
「全然ダメだな。もっと男が興奮するように言わなきゃ、正式な礼儀作法では無い。これは上に報告する必要があるな」

 どこの上だかは知らないが、俺がそう脅しをかけるとイセリナは慌てた様に懇願してきた。

「申し訳ありませんっ。……あの……チン……さ、査察官様の熱く反り返ったチンポに、私のいやらしい足でご奉仕する事をお許しくださいっ」

 仮にも僧職にある者にしては頑張った方だろう。てゆうかどこで仕入れた知識なんだか。
 イセリナはテーブルに座ると足をガニ股に開き、おずおずと足の裏で俺の怒張を挟み込む。そしてチラチラと俺の顔色を窺いながら、脚をゆっくりと上下させていく。当然ながら、ぱかりと開いた脚の付け根のアソコはまる見えだ。ヒクヒクと別の生き物の様に蠢くソコを眺めているだけで俺の劣情が高まっていく。
 割と毛は濃い方だろうか。女は薄い方がとか言う奴がいるが、実際抱いてみると違うんだな、これが。いや、薄いのも薄いので捨てがたいが……。

 俺がそんな事を考えてる間も、イセリナの足コキは続いている。ぎこちない様子で、強弱も無く規則的に扱いてくるだけだが、その初々しさにかえって興奮する。
 陰茎を擦り上げるたびにカチャカチャ鳴る足甲の音もいい感じだ。
 ふと見ると部屋にいる全員の顔が上気し、ふうふうと荒い息をついている。
 締め切った部屋の中で揮発した俺の汗の成分、認識は出来ないが背徳的な行為をしているという深層心理下でのせめぎ合いにあてられたんだろう。
 礼儀作法とは言ったが、エロイ行為ではないとは言ってないしな。
 このままボーッと立たせておくのも何なんで、俺は新たな命令を口にした。

「お前ら全員、そこで立ったままオナニーしろ。イッたらお前達は俺の事をご主人様と認識するようになる。もちろん俺はソフィーヤより大事な存在だ」

 ルカも含めて全員がぼうっとした表情でオナニーを始める。首筋や鎖骨をやたら撫で回すやつ、乳房を鷲掴みにしこね回し、たまに人差し指で弾いては甘い声を漏らす奴。脇腹から指を這わせ、ぷっくりと膨らんだ土手を柔らかく擦る奴。
 これだけ人数がいるとオナニーの仕方も様々だ。
 イセリナはといえばいきなりアソコに指をはわせ陰唇をなぞったり、引っ張ったり弄んだかと思えば、充分濡れてきた所で指を突っ込みやがった。全くこのエロ班長め。
 でも俺は知ってる。真面目で堅そうに見える奴ほど意外な程、ベッドでは淫らだったりするものだ。

 ちゅぷ、じゅく、くちゅ……といやらしい音を響かせる蜜壷から、どろりと白っぽい本気汁が溢れ出す。がに股のせいで俺の位置からヒクヒク物欲しげに口を開ける秘所が丸見えだ。
 快感に悶えながら必死に震える足を動かそうとしてくるイセリナがたまらなく可愛い。
 そろそろ一発目を出しとくか、なんて考えてた俺の耳にふいに泣き声が聞こえてきた。振り返ってみるとプリシラとかいうまだあどけなさを残す金髪癖毛のショートカットの少女だった。
 どうやら自分の服による拘束がまだ解けないらしい。バタバタと必死に両腕を上下に振っているが、そんなもんで絡まった服が解ける訳が無い。
 おかしいな。テンプルナイツってのは神殿の中でもエリートの筈だが。まあ、中にはこういうのも居るのか。
 俺の命令を遂行出来ない焦燥感、自分自身の欲求が満たされない切なさ、そんなのがないまぜになって、ついに感情が爆発してしまったらしい。
 人目も憚らず、プリシラは泣き続けている。

「ぅう、ひっく、ふぇ、ふえぇぇぇんっ」

 とりあえず、泣かれるのはマズイ。人が来ちまう。それをいちいち操ってたら収拾がつかなくなる。
 ……でも……両手を拘束された、まだ若いテンプルナイツってエロイよな……。

「大丈夫だ、泣くなプリシラ……」
「ひっくっ、ひっ、でも、でもぉっ、ひっ」
「大丈夫だ、お前にしか出来ない仕事をやる。そのままの格好で俺とイセリナの間に入ってイセリナのマンコを舐めろ。イセリナがイッたら、お前もイク事が出来る」
「ほっ、本当ですか!? 査察官様!」
「マルコーダでいい。ああ、本当だ。そしてイった時、本当に忠誠を尽くす相手は俺だという事にお前は気づく」
「分かりました、あたし頑張りますっ。……イセリナさん、失礼します」

 プリシラは両手を拘束された格好のまま俺とイセリナの間に潜り込むと膝立ちになり、恐る恐るイセリナの秘裂に舌を伸ばしていく。
 慌てたのはイセリナだ。

「ちょ、ちょっと待ちなさい、プリシラっ。今、そんな事されたら私……」
「うふふっ、だめですよぉ、マルコーダ様のご命令ですもん。これは班長の命令権限より上位に位置します。……さ、大人しくペロペロされちゃってください」

 どことなく意地悪そうな微笑を浮かべながら、プリシラがイセリナの淫裂に舌を這わす。……なにか、かねてから鬱屈したものでもあったんだろうか。
 不自由な体勢ながら器用に体を動かし、イセリナを攻め立てる。
 ……何故その器用さを服を脱ぐ時に発揮出来ない。

「ひゃあああっ、プリシラぁっ、だめっ、だめぇっ!」
「ふふっ、どこがダメなんですかぁ? ちゃんと言ってくれないと分かりませんねぇ。ここですか? それともこっち?」
「ちょ、プリシラいい加減にっ、あひゃっ、はぅんっ、そこっ、そこダメっ、ほんとにだめだからぁっ、プッ、プリシラお願いよぉっ、あぅんっ」
「あれぇ、イセリナさんがあたしにお願いなんて、珍しいですねぇ。……でも止めてあげません。これは、ぴちゃ、大事なお仕事なんですから、ちゅうっ」
「あっ、あっ、だめぇっ、吸わらいでぇっ、はぁっ、クリすっちゃらめぇっ、あああっ」

 欲情に溶けた顔を晒して喘いでいるイセリナだが、俺の息子への奉仕は怠っていない。まあ、これは彼女にとって大事な仕事だしな。
 いや、怠ってないどころかますます足の動きを早めてくる。理性が吹っ飛びかけて余計な事を考える余裕が無くなったからだろう。
 ガチャガチャと足甲の調べを奏でながら、より激しくイチモツを扱き上げる。
 俺は後ろからプリシラの頭を撫ぜると囁く。

「そろそろ出すぞ。思いっきりイかせてやれ。この場に居る全員もイっていいぞ。ただしあまり大声はあげるな」

 俺の号令と同時に全員の指の動きが激しくなる。立ったままのオナニーは辛そうで今にも膝から崩れ落ちそうだ。そこがまたエロい。
 ルカも蕩けそうな顔をして必死に指を動かしている。
 イセリナに至ってはもうどろどろだった。

「ひゃあっ、あふっ、ひぃっ、いひぃっ、らめぇっ、ぎぃっ、んあああっ、はあっ」
「ちゅぷ、くちゅ、ぺちょっ、れろ、ちゅ、ちゅぷっ、くちゅっ、ちゅううっ」
「あはぁっ、だめっ、いっちゃいますっ、イセリナはしたなくイっちゃいますぅっ!、ふああっ、皆の規範のテンプルナイトが、アソコびちょびちょにしていっちゃいますっ、ああんっ、ソフィーヤ様、お許しくださいっ、ひっ、いくっ、いくうううぅっ!! 」
「ああっ、イクっ、あたしもイセリナさんと一緒にいっちゃうっ、はぁっ、あはああぁっ」
「わっ、私もイきますっ、マルコーダ様、一緒に、一緒にぃっ、あああぁぁぁっ」

 ルカ以下の四人がイクと同時にイセリナが体をビクビクと震わせ絶頂を迎える。その痙攣に耐えられず、おれも白濁液を放出する。

「うっ、うおおっ、おおおおっ」

 吹き出した大量の精液はイセリナの顔面に達し、腹や秘所を乳白色に染め上げていく。
 イセリナをいかせた事で絶頂を迎えたプリシラの後頭部にもかなりの量が降りかかっていた。

 射精した俺は疲れを感じるどころか身体中に気力体力が満ち満ちてくるのを感じていた。シスター1人とテンプルナイト5人の精気を吸い取り、俺の魔力はかなり回復したようだ。
 だがまだだ。まだ全快じゃない。てゆうかまだエロい事したい。
 俺はぐったりと横たわる可愛いエロ奴隷達に声をかける。

「おい、お前たちの本当の主人は誰だ?」
「もちろん、マルコーダ様です!」
「神の教えや、ソフィーヤはいいのか? テンプルナイツは教団の教えを広める為に存在するんじゃないのか?」

 全員が不思議そうな顔で俺を見る。代表してイセリナが話し出した。

「もちろん、教団やソフィーヤ様は大切です。でも私達はそんなものよりマルコーダ様を何倍もお慕いしているのです。……申し訳ありません、私なにかおかしな事言ってますか?」
「いいや、全然変じゃない。俺もお前等を愛してるからな」
「えっ! ……勿体無いお言葉ありがとうございます……嬉しい……あっ、申し訳ありません……嬉しすぎて……うっ、ぐすっ……」

 イセリナは零れ落ちてきた一筋の涙をそっと拭った。見渡せば全員が幸せに感極まった表情で俺を熱く見つめている。
 もう限界だ。皆犯してやる!俺は欲情に任せてイセリナの上にのしかかっていった―――――。

 ―――――ここはどこだろう……。
 私はぼんやりした頭で考える。考える……何を?
 確かテンプルナイトのイセリナ―――真面目な仕事振りで評価の高い娘だ―――に呼び出され、詰め所に……そこで耳の中に何かが入ってきたような記憶がある……。
 何かってなんだろう? 誰に……。
 駄目だ、頭が重い。モノを考えるという行為自体が億劫だ。

(どうでもいい、深く考えないほうがいい)

 どこかで声が聞こえる……凄く優しく、温かい声……そうだ、私は何も考えなくていい……この声に従ってさえいれば、幸せになれる……

(お前がアデプトのマリアだな?)

 そう……そうだ……私はアデプト……教会の上級幹部……

(今からお前の体に変化が起こる。触られたり、舐められたり、体の中になにかが入ってくるような感覚があるだろう。……だがお前はその肉体の変化が全く気にならない。なぜならそれはお前自身が望んだ変化だからだ……)

 全て私自身が望んだ事……体の変化は全然気にならない……

(そろそろいいぞ、お前達、マリアの体を気持ちよくしてやれ……)

 お前たち?……お前達って……
 っ!あひゃうっ!突然の刺激に私の体がビクンと跳ねる。なに?、これなんなの!?
 まるで全身をたくさんの舌で嘗め回されているようだ。それにたくさんの手が這い回っている様な感じもする。
 ……でも、でも気にする事はないんだ。だってこれは私が望んだ事なんだから……。
 そう考えると一気に気持ちが楽になった。
 私が望んだ愛撫に身を任せてるととても気持ちいい。あん、声出ちゃう。

「あっ、あっ、あんっ、はっ、あぅんっ」
(30過ぎとは思えないな……まだまだ20代で通用するんじゃないか……胸の張りも文句無しだ……てゆうかでかいし……)

 髪を撫ぜられる感覚がした後、突然乳首をつままれる。体中に電撃で撃たれたような快感が突き抜ける。

「ひゃうっ、あっ、そこっ、だめぇん、はぁっ」
(感度もいいな。……いいかマリア、どこがどんな風に感じるのかはっきり言うんだ……自分の意思でだ……何も恥ずかしい事なんか無い……)

 その言葉は私の心を幸せで満たしていく。私はこの大きな胸が子供の頃からのコンプレックスだった。よってくる男は皆胸目当て……酷いからかいの言葉を受けたのだって一度や二度ではない。
 だから、私はシスターになり、必死で勉強して現体制での最年少アデプトになれた。
 私の今の人生は神とソフィーヤ様の為にある。あの方のように優しく気高い人間になりたくて……・。
 まだこの当時アデプトだったソフィーヤ様にかけて頂いた言葉は私の一生の宝物だ。
 昼は仕事、夜は勉強の無理が祟り倒れてしまった私に、あの方はいつものように優しく柔らかな笑みを浮かべながら言われた。

『マリアさん、あなたの努力はとても素晴らしいと私は思います。でも大事なのは努力そのものではなく、努力しようとする姿勢なのではないでしょうか?』

 私より一回り以上も年が違うのに。
 自分はもうアデプトだというのに。
 天才には凡人の気持ちなんか分かりっこない。
 私はムキになって反論した。

『ソフィーヤ様はそうおっしゃいますが、じゃあ努力しても叶わなかったらどうされます? 死ぬ程の努力の上に成り立つ幸せもあると私は思います』

 相変わらずソフィーヤ様は優しい微笑みのまま答えられた。

『だから生涯努力し続けるのです。目的の為努力するのではなく、日々の行いの中で反省を繰り返し、壁を一つ一つ乗り越えていく。……マリアさん、努力を苦痛と思ってはいけません』

 見抜かれていた。
 私は自分のやり方に少なからず疑問を感じていた。
 アデプトになった後なにをするかなんて、考える余裕も無かった。
 ソフィーヤ様の言葉がなければ、私はアデプトどころか全てが嫌になり教会も辞めていたかもしれない。

(なんだ? この状態から精神抵抗出来るのか?……これがアデプトか……)

 声が聞こえる……でもさっきよりはだいぶ遠い……

(しょうがない、左手首全部だ。ここまで徳の高い僧侶なら堕とせば全回復できる筈だ……いいかマリア、お前の頭になにかが入ってきた時、お前は抵抗する気力を無くす。いや、抵抗しようとも思わない。そしてそれはとても幸せな事だ……)

 声と同時に私の頭の中になにかが入ってくる……私は抵抗しようとも思わない……ああ……幸せ……

 再び愛撫の快感が私の中に戻ってくる。
 あれ?さっき何を考えていたんだっけ?……思い出せない……いや、多分どうでもいい事だったんだろう。それより……。

「あっ、乳首つままれるの気持ちいいです、くりくりってされると凄く感じちゃいます。もっと強く摘まんでくださいっ」

 自分の意思ではっきり感じてる事を伝える……大丈夫、全然恥ずかしく無い。

「いろんな所ペロペロ舐められたり、体中触られてるの凄いですっ。エッチな声が自然に出て来ちゃって、乳輪もぷっくり膨らんでぇっ、乳首もいやらしく立っちゃってますっ、あっ、アソコから恥ずかしい汁が溢れちゃって、あんっ、止まらないですっ」

 口に出すと一層体中の快感が強まる。
 いや、実際に強まっている。何本もの手、いくつもの舌が柔らかく、荒々しく、時には焦らしながら私の体を弄りまくる。
 凄い、こんな気持ちいいの凄すぎる。
 私は全身から汗を吹き出し、ピクピクと細かく痙攣する。もう、声も止まらない。

「ひぃっ、うなじ舐められるのゾクゾクしますっ、腋の下もぉっ、感じますっ、あっ、キスっ、んっ、んぅっ、ちゅぱっ、ぴちゃ、くちゅっ、んっ、こくっ、ごくっ、ごくっ、ふぁあん、アソコ弄られながら吸われてますっ、あん、あっ、指っ、お尻の穴に入ってきたぁっ、あああぁぁっ」

 なにがなんだかわからない。髪を撫でられ、耳を執拗に愛撫され、胸を捏ね繰り回されながらしゃぶられ、吸われ、キスされて唾液を飲んで、お尻を撫で回されながら指で穴の周りをコリコリと引っ掻かれ、アソコに指を突っ込まれながらクリを舐め回され。
 とんでもない快楽の渦の中、私がとろけていく……。

 ずぶりと私のアソコになにかが入って来ただけで、私は真っ白になる。

「あっ!! ああああぁぁぁぁぁっ!!!」
(あっ、声もっと抑えろっ)

 指示に従って出来るだけ声を抑えるが、だめ、気持ちよすぎる。
 私の中のモノが出入りする度、この上ない幸福感に包まれる。
 全身が火照り、息をするのも苦しい。息が熱い。身体が熱い。もっと、もっとして。

(今から俺のチンポが出入りする度、お前はソフィーヤに対する忠誠を忘れていく。この快楽を与えてくれる者がお前にとって心から忠誠を誓うご主人様だ)
「分かったっ、分かりましたからぁっ、もっと動いてぇっ、気持ちよくしてぇっ」

 ずるずると私の内壁を擦りながらチンポが出たり入ったりするごとに、私は激しい絶頂を迎える。
 痙攣しながら内股に力を入れ、必死にチンポを締め上げる。
 アソコからとめどもなくエッチな汁が溢れ、太腿を流れ落ちていくのを感じる。
 結合部からぐちゅぐちゅといやらしい音が聞こえる。
 
 私がこの素晴らしい快楽を味わえるのは、この方のお蔭。ソフィーヤ様のお蔭じゃない。
 ん、あれ?ソフィーヤ様?
 ソフィーヤ様って何?あんなのなんで尊敬なんかしてたんだろう?
 天才だからって偉そうに、なんでもお見通しって態度の生意気な説教馬鹿。
 あんな小娘、ソフィーヤで充分だ。
 そんな事より、この方だ。この方が私が真に仕えるべきお方。
 神様より大事な私のご主人様。

「あっ、ご主人様ぁ、最高ですっ、ご主人様のお蔭でマリアは生まれ変わりましたぁ、ああんっ、ありがとうございますぅっ」
(よし、よく言ったマリア、ご褒美に中に出してやるっ、出されたらお前の俺に対する忠誠は絶対の物になるっ)
「ああっ、かしこまりましたぁっ、マリアの中に一杯注いでくださいっ」
(いくぞ、マリアっ)
「きてっ、きてくださいっ、マリアの中に一杯っ、あっ、ああっ、ああああああぁっ」
 
 とても気持ちのいいものをどくどくとお腹の中にたくさん出して頂いた。
 こんな幸せ生まれて始めて。
 これからもエロ奴隷のマリアを一杯可愛がってください、マルコーダ様―――――。

 ―――――突然、詰め所のドアが開かれる。
 マリアに精液の後始末をさせていた俺は心臓を鷲掴みにされるほど吃驚して振り返り、入ってきた人物を見てその心臓が握りつぶされた。
 そこに立っていたのは誰あろう、六英雄の一人、『神の慈愛』、大司教ソフィーヤ・レーシュだった。
 普段の温和な表情は欠落し、無表情に俺を見据える。
 だが、感情が無い訳ではない。びりびりと震えるような怜悧な殺気が俺の心を凍らせる。

「あなたは淫魔ですね。……ここで何をしているのですか?」
 
 一瞬で正体を見抜かれた。ヤバい、マジでヤバい。
 俺が口をパクパクさせていると、ソフィーヤは周りを見回した。
 そして今、まさに俺の息子に絶賛ご奉仕中のマリア、俺の身体をチロチロ舐めているルカやイセリナ、プリシラなどのテンプルナイツ達を認めると……。

 無表情だった顔がみるみる歪み、一筋の涙を零した。
 その悲しみの表情は俺にも伝染し、思わず同情してしまいそうな程だ。
 いや、現状の張本人の俺が言っても説得力が無いが。

「悪い予感がしたので来ましたが……こんな、酷い……」

 そう言って、涙に濡れた瞳で俺を睨みつける。
 明らかに殺気の量が増えている。
 泣いても怒っても美しいとか、そんな事考えてる場合じゃない。

 魔力は確かに全快してるが、心の準備が全く出来てない。
 
「命を奪う事はあまりしたくないのですが……あなたのした事を許す事は出来ません。……その命、神に還しなさい……」

 ソフィーヤがずいと進み出てくる。……これ、俺マジでここで死んじまうのか?
 死因―――――エロに夢中になりすぎ―――――。
 
 ……そんなのは嫌だ―――――。

< 続く >

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