エピソード 0 「暗黒の暴竜」(後編)
第2章
レックスはチャンスを窺っていた。既にターニャから谷の場所は聞いていたが、すぐに向かう訳にはいかない。
万が一、自分が谷に行った事が知られ、ユーナが追っ手としてやって来たら・・・・・・正直、確実に勝つ自身は無かった。
それに上手くいった時だが、もう一つ計画がある。それを実行する為にも、しばらく集落に滞在する必要があった。
レックスは傷が完治し体力が完全に戻るまでという条件で、集落の手伝いをしつつ居候をする事を許される。
これはターニャの口添えも大きい。集落の仲間の元を周り、彼の滞在を説得してくれたのだ。
ターニャがレックスに惚れている事は周知の事実になっていたが、それについては特に反対の声が挙がる事は無かった。
集落の人口減少は深刻な問題であり、例え白人だろうが新しい血が入る事は歓迎された。
レックスにはあくまで欲望の捌け口に過ぎなかったが。
体力が完全に戻るまでという条件はレックスにとっても有難かった。
谷の場所は知っていたが、そこで何が行われるのかは全く分からない。体を万全の態勢に保っておくのは絶対条件だ。
―――――そしてじりじりとする時間が過ぎ、数ヵ月後ようやくチャンスが訪れる。
この集落では当然の事ながら、金属の精錬技術は無い。
磨耗した鍋や釜などの日用品、その他の雑貨を得る為、近くで一番大きなインディアンの村に物々交換に行く事が決まったのだ。
近くと言っても往復で十日以上はかかる距離らしい。
女が三人と、護衛として戦える人間が数人加わり、集落の人口は一時的に半数程度まで減る事になる。
レックスが一番喜んだのは護衛の中にユーナがいた事だった。
(これを逃す訳には、いかねぇな)
ユーナ達が出かけた夜、レックスはひっそり集落を抜け出した。
大体の場所をターニャから聞いていた事、スラムの入り組んだ路地で鍛え上げた方向感覚、薪を取りにいく振りをして徐々に調べていた道筋、全ての知識を使い聖なる禁忌の谷を目指す。
獣道すらない深い森を抜け、ついにレックスは左右を高い絶壁に囲まれた峡谷に辿り着いた。
そしてその日の光も届かない薄暗い奥、人目から隠れるように口を開けている洞窟の入り口を発見する。レックスは松明に火をつけ慎重に中に入る。
知らない者が来ても絶対にそれとは分からないだろう、レックスが体を半身にしてやっと通れるような入り口は、中に入ってしばらく進むと意外な程広くなっていく。
(死臭だな)
レックスにとって嗅ぎ慣れた臭いが鼻腔を刺激する。道なりにしばらく進むと突然天然の大広間が現れる。
大広間の真ん中にはレックスには全く意味の分からない巨大な魔方陣が描かれ、その周囲にはいくつもの白骨が散らばっている。
「・・・力を手に入れられなかった連中の成れの果てって訳か。いかにもな場所じゃねぇか。・・・逆に胡散臭い位だぜ」
わざと小声で呟く。この場のただならぬ空気はレックスも感じていた。それを吹き飛ばすために言った独り言だったが、返答があるとは思ってもいなかった。
《本当にそう思うか?》
老人とも老婆とも思えるしわがれた声だ。
「ッ!誰だっ!!」
多少怯えの混じったレックスの言葉は無視され、今度は妖艶な女の声が聞こえる。
《あら、こんな短い時間にまた人間が来るなんて珍しいわねぇ・・・・何百年振りかしら》
《三年の間隔で人間が来たのは百二十年振りですよ・・・一番新しいものではね》
女の問いに神経質そうな男の声が答える。
《キャハハハハ、人間、ようこそ!》
少年とも少女ともとれる甲高いキンキン声が聞こえた時、レックスは自分が恐怖で冷や汗をかいているのに気づいた。
それらの声は頭の中に直接聞こえてくるようでもあり、耳のすぐ側で囁かれているようでもあり、遠くの方から聞こえてくるようでもあった。
レックスは三半規管を狂わされ、軽い眩暈を覚える。
「何なんだ!てめえ等は!神って奴か?それとも悪魔か!?」
苛立ったレックスの声にしわがれた声が答える。
《そのどちらでもあり、どちらでもない》
女の声が続ける。
《私たちは終焉から生まれ、始源に還るものなの》
男の声が更に続ける。
《私達は全にして一にして無なるもの・・・・力を求める者に力を与え、及ばぬ者に死を与えるものです》
キンキン声が最後を引き取る。
《つまり、力そのものって訳!分かった?人間?》
「・・・・・・なんとなくは分かったぜ。つまりお前等が人間に力をくれる奴等って訳だな?ならさっさと寄越せ・・・と言いたいとこだが、一つ聞きたい事がある」
《どうした?今更怖気づいたか?》
「ふざけんな、俺は力を手に入れる為なら死ぬ覚悟なんてとっくに出来てんだ。・・・只、無駄死にはしたくねぇ。インディアンが言ってたぜ、ここは聖地だってな。・・・悪党にはお前らの力が効かねぇなんて事はねぇんだろうな?」
《善も悪も人間が勝手に決めた価値観に過ぎないのよ》
《私達はあなたに力を与えるだけ、そして目覚めるかどうかもあなたの力次第です》
「・・・・・・分かった。じゃあ始めてくれ・・・・俺は何をすればいい?」
《ん?とっくに始めてるよ?だって喋ってるだけなんて退屈だもんね。キャハハハ・・・》
レックスはその言葉を最後まで聞き取る事が出来なかった。
突然の激痛が全身を襲う。今までの人生で味わった事の無い、そしてこれからも味わう事が無いと断言出来るような激痛だ。
「がああぁぁぁっっっ!!ぐううぅぅっ!!ぎゃあああああぁっっっ!!!」
涙を流し絶叫する。骨が粉々に砕かれる。内臓が捻じ切られる。神経の一本一本が切り裂かれる。筋肉が引き千切られる。脳に手を突っ込まれて掻き回される。
それらは全てイメージだったがレックスにとっては実際に起こっている事だった。
号泣し涎を垂らしながら、地面に転がる。
もう声すら出せない。ひくひくと痙攣しながら痛みに必死に耐える。
口からはブツブツと意味の無い呟きが漏れていたが、それはいつの間にか子供の声になっていた。
「・・・くらい・・・ここはくらいんだ・・・あけて、あけてよかあさん!・・・・・・こわいよ・・・たすけて!・・・・・・ぼくをみて・・・みんなもっと・・・もっとぼくをみてよ!!・・・・・・」
《『心の声』が始まったな》
《生き残るかしらねぇ?彼》
《どちらでも同じ事です・・・いつもの通り、何も変わりありませんよ》
《死んじゃう?生き残る?キャハハハハ》
「・・・・・・ふざ、けるな・・・」
魂ごと体を切り刻まれるような痛みに耐えつつ、レックスは低く呻く。それは子供の声ではあったが、世を呪う怨嗟の響きに満ちていた。
ガリガリと音を立て地面を引っ掻き生爪を剥がす。
いつの間にか思い切り噛み締めていた唇からは血が流れ、口の周りを赤く染めていた。
「俺は・・・死なねぇ・・・俺の事を・・・見下した連中を・・・俺が見下してやる・・・」
言いながらレックスはだんだんと正気を取り戻していった。
「俺は・・・誰よりも高いところに行くんだ・・・俺の事を見下した連中を逆に見下ろし、嘲笑い、小便を引っ掛けてやる・・・・それまで!俺は絶対に死なねぇ!!」
―――――いつの間にか体の痛みは消えていた。
そしてレックスは自分が右手に何かを握っている事に気づく。・・・それは見たことも無い銃だった。
《それがお前の『心の力』だ。持っていくがいい》
「心の力だと?」
《そうよ、あなたの心が生み出した力・・・使い方は分かるでしょう?》
確かに何故かは分からないが、自然と使い方は分かっていた。自らの心が生み出した力だからだろうか?
《おめでとう、これであなたも『法則の破壊者』です》
「法則の破壊者?」
《あー、気にしないで。その力で好きな事しちゃいなよ、キャハハ》
「・・・で、俺はこのまま帰っていいってのか?・・・お前等の目的は何だ?」
《言っただろう。我等は力を与えるのみ。お前がこの後どう生きようと我等には関係の無い話だ》
「そうかよ。・・・感謝はしねぇし、礼も言わねぇぜ。こっちは危うく殺されるとこだったからな。・・・だがこの力はせいぜい有効に使わせて貰うぜ」
唇の端を歪め笑う。レックスの心は今まで感じた事も無いような万能感に満たされていた。
レックスが去った後、誰もいない空間に声が木霊する。
《どうかしらね?彼。『法則の破壊者』にはなれたけど、『運命の超越者』にはなれるかしら?》
《それは分かりませんよ。今の所『予定』には無いですが、人間というものは突然変わりますからね》
《キャハハ、じゃ、またしばらく寝たきりだね?》
《そういう事だな。これからしばらくの間、誰かがここを訪れる・・・それもまた『予定』には無い》
しわがれた声が最後にそう告げると、魔方陣の描かれた大広間は静まりかえる。
まるで太古の昔からそこには何も無かったかの様に・・・・・・・。
「レックス、どこ行ってたの!?ターニャ、凄く心配だった!」
集落の近くの森でターニャが泣きながら駆け寄ってくる。レックスを心配してここまで探しに来たのだろう。
「ああ、ちょっと聖なる禁忌の谷までな」
そう言って皮肉げに唇を吊り上げる。
驚愕の表情を浮かべるターニャをうすら笑いながらレックスは言う。『揺らめく暗闇』と。
既に何度も催眠をかけられているターニャはその一言だけで深い催眠状態に落ちる。
(せっかく一人で出て来てくれたんだ、いろいろ実験させて貰うぜ)
レックスはリボルバーのリールを回すと、ターニャに<洗脳>の魔弾を躊躇無く撃ち込む。
「ターニャ、お前は俺の事が好きだな?」
焦点の合わないぼんやりとした目をしながら、ターニャはゆっくりと答える。
「・・・うん、ターニャ、レックスの事好き・・・」
「好きな人の命令にはどんな事でも従うのが、お前の悦びだ」
「・・・ターニャ、好きな人の、命令従う・・・幸せ・・・」
「お前にとって俺の言葉以外は全てどうでもいい事だ。俺の望みを叶える為だけにお前は生きる」
「・・・ターニャ、レックスの為だけに生きる。それがターニャの幸せなの!」
力強く言い切ったターニャを酷薄に見つめながらレックスは<洗脳>の魔弾を解除する。
「ターニャ、お前は俺の何だ?」
明るく、心底幸せそうな顔をしてターニャは答える。
「ターニャ、レックスの物!レックスの言うとおり、レックスの命令通り生きていくの!」
「俺が部族を裏切れって言ったら、どうする?」
「もちろん、すぐ裏切る!部族なんかどうでもいい!レックスの言葉の方が全然大事!」
笑顔で答えるターニャの瞳には躊躇の光など一切浮かばなかった。
レックスはその答えに満足する。いや、どちらかと言うと身を捩って笑い転げたい気分だった。
(予想以上だぜ。この力は無敵だ。上手く使えば俺は誰より上に行ける!)
そう確信すると信頼しきった顔でこちらを見ているターニャに告げる。
「・・・それじゃあレックス様が、自分の道具に最初の指令を出してやるぜ。今日から一人ずつ気づかれないように、集落の奴を俺のテントに連れて来い。もうすぐレックスはここから出て行くから世話になった礼に、最後にとっておきの白人の呪いをかけてくれるって言ってな。・・・どうしても来たがらない奴は俺の方から出向くから無理強いはすんな」
「分かった、レックス様。ターニャに任せて!」
ターニャは弾むような足取りで集落の方へ駆け出していく。
その後姿を感情の籠らない冷たい視線で見送りながら、レックスはかねてからの計画を実行する事を考えていた。
ちゅぷっ、ちゅっ、くちゅっ、ぴちゃ・・・・・・
レックスの足の指を美味しそうにしゃぶっているのはジルという20代後半のインディアンだった。
ターニャと合わせても二人しかいない、この集落の若い女と言い換えてもいい。あとは中年以上と子供しかいない。
ユーナと一緒に出かけた護衛の男の一人の妻だった。そしてターニャの姉でもある。
子供を一人産んでいるとは思えない抜群のプロポーションと滑らかな長い黒髪、その髪の毛と同じ色をした神秘的な黒い瞳が特徴的だ。
「ああっ、レックス様ぁ、美味しいっ、レックス様のチンポ、凄く美味しいっ、あんっ」
レックスの陰茎を舐め上げながら、淫蕩な嬌声を上げているのはターニャだ。
今、レックスはテントに横になり二人の姉妹に奉仕させていた。
ターニャに命じて連れ出させた人々をレックスは催眠と魔弾を使い次々に洗脳していた。
この集落は今や完全にレックスに掌握されている。
「はぁっ、レックス様の体舐めると、とても幸せですぅ。ずっとこうしてたい・・・」
ジルは媚びるような声をあげレックスの土踏まずをべろりと舐めると、足指の一本一本を口に含み丹念に舌で綺麗にしていく。
(こいつも最初はずいぶんと抵抗しやがったな)
ターニャは催眠の影響下にあったからか簡単に魔弾の刷り込みを受け入れたが、ジルは最初<洗脳>の魔弾の暗示に抵抗してきた。
「私は夫と子供が命より大切!」
そう言い切った彼女だったが、今の彼女にとって一番大切な事はレックスの体の汚れを舐め取る事になっていた。
そしてレックスは魔弾の効き目には個人差がある事を学ぶ。
「んふぅっ、レックス様ぁ、指の間のカス、とっても美味しいぃ、んあっ」
「チンポぉ、美味しいチンポ、もっとターニャに食べさせてぇっ!」
自分の体を愛しげに熱狂的に舐め続ける二人の女にレックスは言う。
「そろそろ抱いてやるか」
その言葉に姉妹はこれ以上無い、至福の表情を浮かべ懇願する。
「あっ、お願いします、レックス様、ジルのいやらしいオマンコに、お仕置きしてくださいぃ」
「ダメっ!、ターニャに先にしてぇっ、レックス様っ、大好きなのっ」
「そうだな、お前ら二人でレズってみろよ。気に入った方に入れてやるぜ」
その言葉を聞いた途端、ターニャとジルはお互いに襲い掛かるように絡み合う。
「ああぁん、ジルぅ・・・」
「はあっ、ターニャぁ・・・」
姉妹は蕩けた視線で見つめ合い、濃厚なディープキスを交わす。ちゅくちゅくと出来るだけレックスの興味を引きそうないやらしい音を奏でながら、お互いの唾液を交換していく。
既に二人の体は欲情と興奮で桃色に染まり、汗が幾粒も流れ落ちていた。
ターニャはジルの首筋に、ジルはターニャの耳に舌を這わし、触れるか触れないかの柔らかなタッチでお互いの乳頭を刺激していく。
女性ならではの優しく官能的な愛撫だった。
片方の手で胸を揉みしだき、もう片方の手で股間の秘裂をそっとなぞる。もちろんその間も舌は休まず動き回っている。
「ひゃんっ!」
ターニャが甘い声をあげて、腰を浮かす。
「あら、ターニャ、ここが弱いの?」
ジルは意地悪そうな瞳でターニャの秘裂を指でなぞると、一番敏感な肉芽を軽く掠る。
「あぁんっ、ちょっと待っ、はぁんっ、ジルぅっ」
「・・・待たない。もっと苛めてあげる」
「はぁうんっ、あっ、はっ、はあぁっ」
陰唇を焦らすようにゆっくりなぞると、人差し指をターニャの肉壷に突き入れる。
ぐちゅ、ちゅ、くちゅ・・・
淫靡な音を立て、ジルの指がターニャの中を好きなように蹂躙していく。しかしその愛撫は決して強引なものでは無く、ターニャの感じる所を的確に探り当て、より一層の高みへ彼女を誘っていく。
「きゃはあぁん!あああぁぁん、ああっ」
テクニックはさすがに経験が違うという事か、ジルの方が上のようだ。ターニャは自分が攻める事も忘れ、されるがままになっている。
その様子を見てレックスは横に置いていた魔弾の銃に手を伸ばす。そしてシリンダーを回転させ言う。
「魔弾№.3<発情>」
シリンダーの回転の止まった銃からレックスはジルに向けて続けざまに二発の魔弾を発射する。
魔弾の一発は全身に行き渡り、もう一発はこちらに向けて突き出している秘裂の上部・・・陰核に命中する。その効果は劇的だった。
「はぁっ!あああぁぁぁっっっ!!」
体を弓なりに撓らせジルは絶叫する。秘所から断続的に何度も潮を噴き出し、ガクガクと痙攣しながら何度も絶頂を繰り返す。
「んはあぁぁっっ!だめぇっ!きもちいいいぃっ!きもちいいですぅぅっ!」
目は焦点を失い、両手は虚空を掴もうとするようにピクピクと蠢く。全身から汗を撒き散らし、両足の指は反り返ったまま戻らなかった。
「・・・ハンデをやるよ。何ボケっとしてんだ?お前の番だぜ」
羨ましそうな顔をしてジルの様子を見ていたターニャは、レックスの言葉に漸く我に返りジルの股間に口を寄せて行く。
「あぁっ!やめてぇ、ターニャぁ・・・・これ以上されたら、狂うっ、狂っちゃうぅっ」
弱々しいジルの抵抗を全く無視して床に押し倒し、ターニャはジルの秘裂に舌を這わせる。
「ダメ。レックス様の命令だもん。狂っちゃえばいい」
意地悪い微笑みを浮かべ、出来るだけ伸ばした舌で愛液にまみれたジルの秘裂を下から上へべろりと舐め上げる。
それだけでジルは身をのけ反らせ激しい嬌声をあげる。
ターニャは楽しそうにジルの陰唇といわず、肉芽といわず、縦横無尽に舐めまくり、膣内にも舌を突っ込み膣壁も愛撫していく。
それはテクニックとは言えないような乱暴な愛撫だったが、逆に発情した獣のような情欲にまみれた官能美があった。
「ひゃあぁああぁぁぁん!!もういいっ!もうどうでもいいっ!くるわせてぇっ、ターニャぁ、もっとぉっ、もっときもちよくしてぇぇっ!!あはああぁぁっ」
連続した絶頂を迎え、あまりの快感にむせび泣きながらジルは妹に懇願する。
「よし、もういいぜ。ターニャ、そのままジルの上に乗ってケツをこっちに向けろ。二人同時に犯してやる」
「はいっ、ありがとう、レックス様っ」
ターニャは悦びの表情を浮かべながら、姉の体の上に伸し掛かっていく。
レックスは目の前にある愛液で光った二つの秘所の中間、姉妹の腹の上に陰茎を挿入していく。
それは柔らかな腹の感触にターニャの体重の圧迫感が加わり、膣内を犯すのとはまた違った快感だった。
姉妹は満足そうな嬌声をあげていたが、レックスは時々思い出したように膣内にも陰茎を挿入する。
それだけで二人は達し、レックスの分身をぎゅうぎゅうと締め上げる。
「・・・そろそろ出してやる」
「嬉しいっ、レックス様、好きな所に出して下さいっ」
「大好きっ、レックス様っ、たくさん出してぇっ」
姉妹の淫らな催促の声を聞きながらレックスは大量の精液を放出する。
重なり合った二人の腹の上に精液を放出しながらレックスは全く別の事を考えていた。
(・・・あの場所を知っているのは俺一人で充分だ)
洗脳の深度の深い数人にレックスはある命令をしている。この村には数家族しかいない。それで充分だった。
あとの数人は麻薬も利用した催眠で決行の日はぐっすり眠っていてくれればいい。
ユーナが帰って来る前にレックスは集落を出る。
「いいか?上手くやれよ。特にユーナだ、必ずあの斧を持ってない時を狙え」
自分が殺る事も考えたが、まだこの能力を使いこなせてはいない。
かたやユーナは自分の物にしていると言っていいだろう。・・・もっと訓練と実験台が必要だ。
「任せて、レックス様。きっと、ターニャ上手くやる!」
笑顔で見送るターニャに薄く微笑むとレックスは森の中に消えて行く。
そして誰にも聞こえないような声で呟く。
「お前らの信仰じゃ、死者は生まれ変われるんだろ?今度はもっと強い奴に生まれ変わって来いよ・・・」
その言葉が侮蔑から出たのか、憐憫から出たのか・・・・・・最後までレックス自身にも分からなかった。
エピローグ
ユーナ達が帰って来た日、人々が寝静まった真夜中、集落は惨劇に見舞われる。
愛する家族の手によって人々は無残に殺されていく。そして周りに動くものが無くなった時、殺人者は自ら命を絶つのだ。
ユーナの元にはターニャが現れた。
シルバー・ファングを手放していたユーナは左腕を軽く切られたものの、間一髪で心臓への一撃は避けられた。
咄嗟にユーナはトマホークに飛びつき構える。
仲間の命を奪うつもりはなかった。
しかし失敗を悟ったターニャは、ユーナが止める間も無く持っていたナイフで自分の喉を刺し貫く。
「ご免なさい、レックス様。ターニャ、失敗しちゃった・・・」
泣きながら、その言葉を残して。
ターニャの亡骸をかき擁きながら、ユーナの瞳は憎悪に染まっていた。
今日帰ってから姿が見えないレックス。ターニャは山を下りたと言ったがその態度はどこか不自然だった。
これが全てレックスのせいだというのか。・・・・まさかあの谷の・・・・・・。
幼い頃両親を流行り病で亡くし、ユーナは部族皆の子として育てられていた。
黙って聖なる禁忌の谷に行ったのも、伝承に出てくるような皆を守れる強い英雄になりたかったからだ。
―――――だけど、自分は皆を守れなかった・・・・・・。
ユーナは自分自身に激しい怒りを覚える。
「許さない、レックス。皆の名誉に懸けて!部族の誇りに懸けて!必ず探し出して大いなる報いを受けさせてやる!」
部族の言葉で神聖な誓いを口にする。
次の日にはもうユーナは旅立っていた。
誰も迎えてくれる者の無くなった故郷を離れ、どこに居るかも分からないレックスを探すために―――――。
< 完 >