大家さん 第1話

 私の仕事はアパート管理。
 そう、いわゆる大家さんです。
 30才過ぎて早5年…。
 世間一般的には一番働き盛りのこの歳に、親の遺産だけで呑気に暮らしております。
 両親には、昨年このアパートだけを一人息子の僕に残してもらい、縁もゆかりもない田舎で隠居生活に入ってもらいました。
 毎月十分な生活費を送金していますが、このアパートには一切の関心を持たず、私からの要請がない限りは、帰る気を起こさせないようにして…。

 そう、私には能力があります。
 結界を作る能力です。
 その結果の中では、私は支配者となります。
 支配されている側も、その関係をごく自然なものとして受け取ります。
 そして、その結果内で交わされた約束は、結界の外でもその効力を発揮し続けます。
 ですから、もうお分かりでしょう。
 私が両親に結界内で先ほどの約束を交わさせたのです。

 この能力が身についたのは一年前の交通事故の後です。
 ニュースにも取り上げられるほどの追突事故に遭遇しました。
 頭部を強打し、しばらくの間昏睡が続きました。
 奇跡的にも一命をとりとめましたが、頚椎損傷からの歩行困難がしばらく続き、リハビリに要する時間確保と、そもそも運送労働という仕事だったため継続が困難になり、仕事は辞めました。
 特に仕事に情熱を燃やしていたわけではないので、退職に関してはさほど抵抗感もなく受け入れることができました。
 もともと地主という家柄、経済的にも裕福な方で、30過ぎの息子が家にいても生活には全く影響ありませんし、親としてもこの先、地主業を継いでもらえればいいという楽観的な考えでした。
 しかし、そうなると時間の過ごし方がかなり緩慢になります。
 歩行困難な状態はもうしばらく続きそうで、そうなると外に出るのも億劫になりますので、いつの間にかボーっと、もの思いに耽ることが多くなり…。
 そんな時です。
 能力に気付いたのは…。

 日常のあまりの緩慢さに多少イラつきを覚えていた私は、親の干渉を煩わしく思うようになり、ある日自分の部屋中を見回して「この部屋には誰も入るな」と強く念じました。
 その後、何時間経ってもそれまで頻繁に私の様子を窺いに来ていた両親が全く来なくなりました。
 私が部屋の外に出れば、自然に接してくるのに、部屋には来ません。
 何かメッセージを伝えたわけでもなく、もちろんドアに立ち入り禁止の張り紙もしていません。
 ただ念じただけ…。
 それから色々と試し、それと共に経験も積み、あのとき念じたことに対する偶然のような結果が確信に変わっていきました。
 同時に能力をコントロールできるようになっていきました。
 今では、2DKタイプの部屋が8部屋あるアパートと母屋を含む敷地全てに結界を張り巡らすことができるようになりました。

 この能力がもっと開花すれば、さらに広域エリアに結界を張ることも可能なのでしょうが、今の私には自分の敷地程度の範囲に結界を張り続けることが精一杯のようです。
 それに、これから行おうとしているプラン以外に今のところ征服欲は沸いてきませんので…。
 そのプランの第一段階として、干渉してもらいたくない両親には転居してもらったのです。
 そして、それまでそのアパートで生活していた、あまり興味のない方々にも、話し合いの末、速やかに転居していただきました。
 話し合いといっても、部屋に伺って「一ヶ月以内に立ち退いてください」と伝えただけです。
 もちろん、鬼ではありませんので、転居にかかる費用と幾ばくかの申し訳料も添えてです。

 一ヵ月後には、アパートは無人となり、事故の保険金と慰謝料などで全面改築をしました。
 これからの私のプランに見合う設計のもとに、内装外装全てに手を施しました。
 その様子は、これからの物語の中で少しずつ明らかになっていくことでしょう。

 私はこのアパートの大家です。
 単なる管理者ではなく、支配者だということが他の大家さんとの違いですが…。
 言わば、ここはこれから私の王国になる領地なのです。
 領地の準備が整えば、次は王に従う家来と領地の住民を揃えなくてはなりません。
 その家来と住民は、王に満足を与えてくれる者たちでなくてはならないのです。
 そのかわり、王はその者たちに安住の地を与える訳ですから…。
 その住民たちからは、租税すなわち家賃を取り立てることはしません。
 住民には少しでもゆとりある生活をしてもらいたいので…。

 では、どうやって王国運営の財源を確保するのか…。
 この王国は、外部との交易で財を成す仕組みにすればいいわけです。
 手っ取り早いのが、広告収入。
 敷地の外壁に企業の看板を貼り付けさせることで得る収入です。
 今はこのアパートの改修を依頼した建設会社の看板が張ってあります。
 社長と直々に私の領地内で契約を結びました。
 まぁ、他の場所との契約とは一桁違う額面での契約ですが、先方からの強い依頼という形で契約書も作成
 し、帳簿上も問題なくしてあるわけですので…。
 私の領地…すなわち結界内ではこのような交渉での支配権も私にあるのです。
 このようにして土地の有効活用をしていけば、家賃などに頼らずとも十分な収益が得られます。
 それには決済権を持つ立場の人間にこの領地内に入って交渉してもらうことになりますが…。
 それはさほど難しくないことですので。
 さて、そんな仕組みで私は自分の領地に住む住民にとって、その者たちの生活の潤いに尽力する良き王となるわけですが、その分住民には私に快楽を与えてもらうことになります。
 快楽が提供できなくなれば、この領地に住む権利を失うことになります。
 そのあたりも十分に理解して、王のために励む住民を探さなくてはなりません。

 8つの住居…。
 ここにどんな住民たちを住まわせるかも王の仕事です。
 さてさて、それではその住民たちを探しにいきましょうか…。

第1話~101号室(1)~

 住民探し…。
 簡単だと思っていたけれど、いざ探してみると、意外と見つからないものです。
 一番最初の住民だから…という余計な思い入れが働いてしまうせいもあると思いますが、やはり一番最初は忠実なしもべタイプの一人暮らし女性がいいですね。

 そんなことを思いつつ、駅前のある大手不動産会社の住宅情報館の前を通りかかった時、ガラス張りの館内で真剣な眼差しで山のような物件表を見つめている20歳代の学生風の女性を見かけました。
 小柄ではありますが、程よい肉付き感が、ピッチリ張り付いているジーンズ越しに伝わってきます。
 よく手入れされたセミロングのヘアスタイルの中に、明るそうな人懐っこい愛嬌のある顔が覗けます。
 その可愛らしい顔の中で作られる真剣な眼差しが、妙に私の欲情を掻き立てました。
 しばらく館内を見回っていたようですが…
 どうやら中々いい物件が無いようです。
 私は惹きつけられるように館内に入り、それとなく観察を続け、ようやく諦めかけた頃合を見計らって声をかけました。
「かなり真剣に探していますね」
「え、あ…はい…中々いいところが無くて…」
「この辺りでお探しですか?」
「ええ、今度この近くの会社に就職することになって、それで近くで…と思って」

 どうやら地方から都会への就職のため上京されるようです。
 その女性は、私の頭の中でまだ都会の中で擦れていない無垢な白桃を連想させながら、困っている様子で会話を続けてくれました。
「もしお困りでしたらですが、よろしければうちのアパートをご覧になりませんか?実は私、大家なんです」
「えっ、本当ですか!?、この近くなのですか?」
「ええ、駅からも歩いて15分程度の静かないい場所ですよ」
「へぇ…」
「間取りも2DKでゆったりしていますし、何よりつい先日ようやく改築が済んだところで…それでこうして不動産屋さんに出向いてきたところなんです。どうですか?よかったら見に来ませんか?」

 そう言いながら住民スカウト用に作った、アパート宣伝用の内外装写真を彼女に見せると、さすがに新しい物好きな若い女性らしく目を輝かせて写真に見入りました。
 俄然興味が湧いたらしく、私と共にアパートへの道を歩き始めました。
 もうこの時点でこの女性の安住の地は私の意思によってほぼ決められているということにも気付かずに…。
 私の結界に一歩でも脚を踏み入れれば、ごく自然に私の思うがままに彼女の生活を支配できます。

 彼女はようやく見つけられるかもしれない入居先への期待に駆られ、私はこの後から始まることになるであろう彼女との生活に胸を躍らせ…それぞれの欲望の力で足どりも軽く、宣伝用に作ったパンフレットに記載した駅までの所要時間よりも早くアパートにたどり着きました。
 改修したての外装、最近のニーズに適ったシンプル且つスタイリッシュにまとめられた内装、どれをとっても田舎からの上京で、都会生活に憧れていた彼女の目に適ったらしく、キャーキャー言いながらあちこち見て回っています。

 外側の錠前以外に鍵の無い玄関、ドアを開けるとピンク色で塗装が施された細い鋼鉄製の鉄格子の扉が出迎えます。部屋全体が一つのゲージのような造りになった部屋。
 そう、彼女に紹介した部屋〈101号室〉はまさにペット飼育用の内装が施されているのです。
 ゲージの中に入ると、2DKの床面積はそのままに、壁が一つも無い造り…。
 建物を支える大黒柱が何本か剥き出しになっています。
 その柱を横に結ぶように、これも剥き出しの梁が伸びていて、その梁にはいたるところに金属製の滑車やフックが付いています。
 その目的は、当然ペットを縛り上げるためのものです。
 一応、普通のシステムキッチンや最新式の冷蔵庫&乾燥機付き洗濯機、十分な広さのクローゼットも標準装備にしてありますが、全面ガラス張りの浴室、壁の無い剥き出しの和式便器…それもフロント部分の金隠しすらない、ただの深い皿のような便器、手枷足枷付きのベッド…。

 普通の目で見たら異様この上無い内装の部屋を、何故彼女は嬉々として目を輝かせながら見入っているのでしょう。
 それは、この部屋の玄関ドアに私の念が込められているからです。
〈この部屋はとても都会的であなたの憧れとする内装に仕上がっています〉
〈この部屋にあるもの全て、あなたが日々憧れ、使いたい物ばかりです〉
 この念によって、このドアの先…すなわちこの101号室が一つの小結界となるのです。
 ですから、今彼女の目に映っているのは、彼女の脳の中で憧れとしている都会的なイメージばかりなのです。言うなれば、彼女は単なる自己満足の世界に浸っていることになります。
「どうです?このトイレなんか最新式で使いやすそうでしょう」
「ええ、とっても!広さも十分でこれがトイレ!?っていうくらいとってもオシャレ!」

 普通に見たら、余りにも羞恥的でレトロチックな便器に歓喜の声を上げる彼女。
「ベッドなんてオシャレでいいでしょう、毎晩手と足をロック出来るんですよ」
「すごーい!恥ずかしいけど、私寝相が余りよくない方だから、これでベッドから落ちたりしませんね~」
 少しおかしな解釈ですが、彼女の脳は、この異様な環境の理屈と彼女の憧れの理屈を必死で重ね合わせているようです。

 これも、私の念力トレーニングの賜物と言えるでしょう。
 今やこの結界内で行われることは、結界の外からこちらを見る人々にも、ごく普通の光景として写るまでになっています。
 例えば、彼女がもし裸で庭を歩いているのを道行く人が見たとしても、誰も訝しがりません。
 一人の女性がごく普通に自分の庭を歩いている風にしか見えない…ということになります。
 外から見てもそうなのですから、結界内にいる彼女は、当然ここで目の当たりにする、または体験するどのような異常なことも、ごく当たり前で異常のないこととして脳が処理してくれることになっています。

「どうですか?どうやら気に入っていただいた様子ですが…」
「はい、とっても気に入りました!…でも、こんなに素晴らしいっていうことは、けっこう家賃も高そう…」
「ははは、気にしなくてもいいですよ、家賃は存在しません。無料ってことです」
「えっ!!」
「おや、驚かれるとは思いませんでした。私は当然のことを言っただけだと思いますが…」
「えっとぉ…そ、そうですよね!私ったら、余りの嬉しさに動転しちゃって…」
「喜んでいただけてこちらも光栄です。では早速契約手続きをしますか?」
「すぐにそうしたいのですが、契約時には両親も同席という約束になっているので、一度連絡をしないといけないんです」
「大切なお嬢さんのことですからね、それは当然でしょう。ご両親はまだ郷里のご自宅にいるのですか?」
「いえ、一緒に来ていますが、買い物をしているので、もうすぐ駅で待ち合わせることになっています」
「そうでしたか、それは好都合ですね。では私はここでお待ちしていますので、後ほど皆さんでいらしてください」
「はい!わかりました!」
「そういえば、まだお名前を聞いていませんでしたね」
「あ、ごめんなさい!河野美紀といいます」

 粘りに粘って諦めかけたところにふいに飛び込んできた夢の御殿に、喜び勇んで駅に向かう美紀を見送った後、美紀の両親用に101号室に新たな念を植え付ける作業に入りました。
 結界内で人の脳に作用させる念を植え付けるのには、相応の時間がかかります。
 玄関ドアの前で目を閉じ、静かに気を落ち着かせ、作用させる小結界内に思念を送りつづけます。

 ようやく念を植え付けたところで、美紀が両親を連れて帰ってきました。
 美紀の両親も101号室の見事さに心を奪われた様子です。
 私がこの部屋に新しく植え込んだ念は…
〈この部屋はとても洗練されていて、セキュリティも万全で安心して娘を住まわせることが出来る〉
〈どこのどんな部屋よりもどんなことをしても、娘をこの部屋に住まわせたい〉
〈大家が住居について説明する全てのことは、ごく当たり前に受け入れることができる〉

 この念によって、今美紀の両親の目にはさぞかし満足のいく光景が写っていることでしょう。
 そこで、3番目の念を使って、この両親をちょっとからかってみたくなりました。
「お母様、この梁についているフックや滑車ですが、何のためだと思いますか?」
「あら、そういえば…何に使うのかしら、最近のお部屋にはこういうものが付いているのですか?」
「ええ、標準装備ですよ。お母様はヨガをご存知でしょう」
「ええ、知っています。最近流行っているようね。この子もやりたがっていますよ」
「それはグッドタイミングですよ。実はこの滑車やフックは、慣れないヨガポーズを助けてくれる装備なんです。ほら、付属の手枷や足枷、ロープもあるのですよ」
「まぁ、そうだったの。美紀ちゃん、よかったじゃない」
「うん!嬉しい!これで家でも簡単にヨガができるのね!」
「丁度いい、せっかくだからお母様、一つヨガポーズを試されてみては?気持ちいいですよ。いいですよね?」
「え…、ええ、せっかくの大家さんのお誘いですから断れないわね」

 この部屋を含む、全結界内では、私のリクエストには逆らえない念が植え付けられています。
 そのために、お母様は私の「いいですね?」というリクエストに自然と逆らえなくなっているわけです。
 前述した広告宣伝料金契約もこの寸法で穏便に実に友好的に結ばれています。
「ではお母様、両手首にこの手枷をはめますね。それと同じように両足首にも」
「何かわくわくしてきたわ」
「そうでしょう、遊園地気分でいてください。ではそのまま腰を下ろしてください」

 床に座ったのを確認してから、手枷と滑車を繋いだロープを引っ張ります。
 母親の両腕は高々と挙上され、座ったまま大きく背伸びをした状態になりました。
「ほら、伸ばされて気持ちいいでしょう」
「ええ、とっても…ちょっと運動不足だったからとても気持ちがいいわ」
 続いて足枷と梁に取り付けたフックをロープで繋いで引っ張り上げました。
 フックは母親を中央にして左右少し離れた位置に付いているので、引っ張り上げれば当然両脚を大きく開いた形になります。
 今や、シックなタイトスカートなど腰巻同然に捲くれ上がり、ベージュのパンストとともに、薄いピンク色のいわゆるオバサンパンツを丸出しにした姿で縛り上げられています。
「ちょっとスカート捲くれちゃいましたが、それはごく自然なことでいいですよね?」
「ええ、仕方ないですものね。スカートなんて穿いてこなければよかったわ。はぁ…それにしても、ヨガのポーズって大変なのね」
「こんなポーズは中々一人では出来ないので、こういう仕掛けが必要なんです。私はインストラクター資格も持っていますので、今後、時間をかけて美紀さんに一から手ほどきしますよ」
「やったぁ!前からやりたかったんだぁ!嬉しいっ!」
 これから開始されるであろうヨガレッスンがどんなに羞恥的な事かも知らずに喜ぶ美紀。
 この母親もさすがに美紀の母親だけあって、品のある美熟女なので、私の欲情がかなり掻き立てられていました。
 そこで好都合と思い、愛娘の入居祝いに、もう少し過激なヨガレッスンに励んでもらうことにしました。

「お父様、奥様のヨガ姿はいかがですか?おや、お笑いになっていますね」
「ははは…お前、パンツの上にはみ出ているお腹の出っ張り何とかしなさい。おかしくてたまらん」
「ずいぶんと身体の中で血液や気の流れが滞っているようですね。いかがでしょう、せっかくですから、美紀さんにとっても参考になると思いますし、契約手続きを進めながら奥様にはもう少しヨガを続けていただいてみては?」
「それはありがたい。お前、せっかくだから大家さんにみっちりしごいてもらいなさい」
「はぁ…それは嬉しいですけど…でも大変そうね…できるかしら」

 今やヨガはキレイになりたい女性の憧れのエクササイズとして定着している時代です。
 この母親も言葉で発せられる不安よりも、心の中の期待感に溢れている様子がありありと分かります。

 聞くところによると、美紀の両親は地元の地主さんだそうでけっこうな資産家だそうです。
 言わば、私と同業なわけですね。
 そんないい所の奥様が私と家族の面前で、パンツ丸出しのだらしない大股開きで拘束されていても、アットホームな雰囲気に変えてしまう…私の念力も我ながら大したものだと思います。

「お母様、ではレッスンの準備をしますので、一旦ポーズを解きますね。私はレッスン用の服に着替えてきますので、皆さんと部屋の中で待っていてください」
「はい、わかりました」
「お母様、お名前は?」
「良子、河野良子と申します」
「では、良子さん、このあといいレッスンをしましょうね」

 そういい残して部屋を出た私は、ドアに向かって再び新たな念を植え込む作業に入りました。
 もちろん、着替え…とは、念を植え付けるための時間稼ぎの口実です。
〈この部屋の中で行われる大家のヨガレッスンは、最高のレッスンである〉
〈最高のレッスンを受けられることは、最高の喜びと快感である〉
〈大家の行動の全てに対しては部屋の中にいる全員が何の疑いも持たず、喜びを持って受け入れる〉
 これで家族の面前でどんなに羞恥的で過激なことをしても、さっきと同じようにアットホームに受け入れてくれることでしょう。

 SM用滑車やフックの利用方法の口実として、とっさの思いつきで偽ヨガインストラクターになった訳ですが、中々いい思いつきなので、どうせなら全結界内で有効なものにしたいところです。
 しかし、敷地全体への念込め作業はかなりの時間と精神的疲労を必要とするので、それは後で折をみて行うこととし、今は101号室という小結界内だけに有効な念込めとしました。

 もちろん、ここで行われる全てのことは、記憶として残るわけですが、それは自己妄想的満足のままの状態で残るので、結界の外に出てもそのことについて疑いが生まれることも無いのです。
 またその念は言霊〈ことだま〉のように言葉にも含まれるので、例えば良子がここで行われたレッスンのことを他人に話しても、良子がそれを当然のこととして解釈している以上は、それを聞いた相手もその話の内容を良子と同じ感覚で受け取ってくれます。
 あの交通事故で開花した脳内パワーをここまで強力に成長させるために、実の両親を実験台にしながら続けた努力の成果で、この結界内でもし殺人を犯しても、それを内外に対して全て正当化できるまでになっているのです。

 さて、念込めとヨガレッスンに使用する小道具の用意など、一通りの準備を済ませて、部屋に戻りました。
「お待たせしました。では良子さん、始めましょう」
「よろしくお願いします」
「ではまず、ヨガレッスンにふさわしい格好になりましょう。私と同じ格好です。わかりますね?」
 部屋に戻った私の格好…それは一糸まとわぬ全裸だったのです。
 普通ならば、この異常な行動に対して、部屋の中にいる者全員が驚愕しそうなところですが、〈大家の行動の全てには何の疑いも持たず…〉の念がきちんと作用して、この家族全員が全裸の私を笑顔を持って迎えてくれました。

「お父さんと美紀の前で裸になるなんて、何年…いえ何十年ぶりかしらね…ちょっと恥ずかしいけど、レッスンに必要なら仕方ないわね」
「そうよお母さん、私だって今度そうしてもらうんだから、ブツブツ言ってないで早く準備しなきゃ」
 すごい効力ですね。既に美紀も全裸レッスンを当然のこととして認識しているとは・・・。
 父親もそんな異常な会話や光景に何の疑いも持たないどころか、長年連れ添ってきた伴侶のことなど気にもしない様子で、先ほど買い求めてきたであろう雑誌を読んでいます。

 全裸になった良子の肢体は、40代後半の熟した色気をまだまだ十分に備えています。
 一人娘の美紀のために栄養価の高い母乳を出しつづけたであろう乳房は、まだまだボリューム感を残しながらも、その重みに耐え切れず程よく垂れ下がり、下腹部から太ももにかけては熟女の証とも言える積年の肉付きが見られます。
 そして、その中心部に巨大な三角地帯を形成している濃い陰毛地帯…。
 良子の毛深い陰毛地帯を見つめながら、美紀もこの遺伝子を受け継いで童顔に似合わず毛深いのか…と想像してしまいました。

 この光景に私の下半身も大いに反応を示し、一気に膨張しました。
 私は3人に向かって自分の屹立した男根を指差しながら、ここがヨガのパワーの源であることを説明し、この中で熱く滾っている精を体内に取り入れることで、そのパワーの恩恵が受けられる…などというどう聞いても怪しげな講釈を続けます。
 父親は余り興味なさ気で、雑誌とこっちを交互に見ながら気にしている振りをしているようですが、良子と美紀はじっと聞き入っています。

「では分かりましたね。今日のレッスンの目的は、良子さんの体内にこの男根に宿るパワーを注入することと、体内の浄化にあります。では、さっそく両腕を背中に回してください」
「はい、こうでしょうか」
 素直に背中に回した良子の両腕を、手際よく後ろ手に拘束して、ロープにフックで固定します。
 直立姿勢で後ろ手に拘束された良子の左足首に足枷を取り付け、今度は滑車と繋いでゆっくりと少しずつロープを引いていきます。
「さぁ、ではまずフラミンゴのポーズです。柔軟性の許すギリギリの所まで引き上げますので、痛くなったら教えてくださいね」
 そう言いながら更に引き上げていきます。
 つま先部分が腰よりも少し高くなった時点で、良子が限界を訴えてきました。
 今回はいじめ抜くつもりはないので、その訴えに応じて、その高さで固定してあげました。
「さぁ、ではそのポーズを維持しながら、笑顔でゆっくり大きく呼吸を繰り返してください。それから美紀さん、せっかくの機会ですから記念撮影でもしておきましょう。お母様の後ろに回って、大きく開かれた股間の辺りから顔を出してください」
「はーい!」
 そう言いながら、にこやかに撮影位置に移動する美紀を横目に、カメラの準備をして、撮影に入りました。
 全裸の片足開脚姿で縛り上げられて、恥ずかしい濃い茂りを顕わにしているそのすぐ下で微笑みながらピースサインをしている娘。
 縛られている母親もにこやかな表情で、これが普通の日常の姿であればとても微笑ましい母娘のスナップになったであろうその写真には、今とても異常な母娘の関係が映し出されているのです。

 その後も良子にいくつかの羞恥ポーズをさせ、その熟れた肢体が織り成す淫靡な姿を堪能させてもらっているうちに、いよいよ私の男根の噴火も迫ってきました。
「では良子さん、そろそろ私のパワーをあなたの体内に注入しましょう。いいですね?」
「はい…お願いします」
 私は男根を指差して、意地の悪い質問をします。
「これを体内に受け入れる結合部分は分かっていますね?どこですか?教えてください。手が使えないので当然口で教えてくださいね。それも良子さんが知っている最もいやらしい表現じゃないといけません。それを言葉にすることで、体内が浄化されていきますから。これはヨガの一環の作業ですから、口に出すことが恥ずかしいなんてあり得ないですよね」
「ええ、わかりました…。私のオマ○コで受け入れます…」
「ほう…これはいやらしいですね。いいところの奥様もオマ○コなんていうお下劣な言葉を口にするのですねぇ」
「普段はそんなこと言いません…」
「ははは、そうでしょうね、ではいきますか」
 私は良子の手足の枷を外して、さらに羞恥的なシチュエーションへと導くことにしました。

「良子さん、そこに仰向けになって、自分で両脚を広げたまま膝を抱えたポーズをとってくださいね」
「あ、はい…こうでしょうか?」
 何の疑いも持たず、家族の面前で大股をおっぴろげている良子奥様。
「それから、美紀さんとお父様の協力も必要ですので、お手伝いいただけますか?」
「はーい!」
「何だ、私も駆り出されるのか」
 お父様は読書を中断させられて少し面倒くさそうに近づいてきました。
「恐れ入りますが、美紀さんはとても高潔な気を持っている方のようです。ですから、その高潔なお口でお母様の不浄な部分…すなわち、先ほどお母様が声高々に教えてくれたオマ○コをキレイに舐めて差し上げてください」
「きゃー、高潔なんて言われたことないですよぉ。わかりましたぁ、頑張りますね!」
 そういって、さっそく美紀は母親の股の間に顔を埋めて、ペチャペチャ音を立てながら、かつて自分自身が通り抜けてきた穴周辺を丹念に舐め始めました。
 良子は恥ずかしそうにしながらも、徐々に表情を恍惚感で満たし始め、同時に「あふぅ…んふ…」などと数年来出したことも無いであろう喘ぎ声をあげはじめました。
 当然、濃い繁みの奥では熱い泉が湧き始めていることでしょう。
 今やヌラヌラと黒光りしている秘部周辺は、美紀の唾液か良子の愛液か見分けがつかなくなってしまっていますが…。
「そしてお父様、私が下からパワーを注入している間、良子さんの口から不浄な気が追い出されてきます。それをお父様の体内で浄化させてあげてください。そうすれば、その不浄な気はそこで霧散されて、消えてなくなりますので…。
 すなわち、私が下から突き上げている間、ずっと良子さんとディープキスをしていてください。
 ちょっと気恥ずかしいと思いますが、奥様の浄化のため、そして私のお願いですからいいですよね?」
「大家さんの頼みとあっちゃ仕方ないですね、妻とディープキスなんて美紀が生まれてからは記憶にないですが…やってみますか」

 今、私の前ではとても異常で微笑ましく、仲睦まじい家族愛の光景が広がっています。
 真ん中で仰向けになっている母親は全裸に自らの大股開きで、その下の口を娘が舌で愛撫し、上の口を父親がお互いの唾液をむさぼり合うようにディープキスをしている光景…。
 私は、父親をそのままにして美紀を外し、一気に自分の一物を良子の膣内へ挿入させました。
 長年男性を迎え入れていなかったためか、一瞬全身をビクンとさせて身体を仰け反らせましたが、その後はやはり熟女の包容力でしょうか、とろけるよな膣内の感触に、かなり早く私の一物も最大緊張状態を迎えました。

「良子さん、そろそろ私のパワーが解き放たれます。しっかり体内で受け止めてくださいね」
 自分の旦那に口を塞がれている良子は、それでも何とか私の言葉に答えようと首を縦に振りました。
 良子の体内に私の熱い精液が勢いよく放たれたのは、その返答動作とほぼ同時でした。

 それからしばらく…
 良子もすっかりシャワーとお化粧直しを終え、スッキリとした表情で部屋に戻ってきました。
「良子さん、家族全員で良子さんの体内浄化を行いましたが、いかがでしたか?」
「ええ、とても興奮した分、体の中がとても軽くて清々しい気分です。美紀がここでお世話になっている間、ちょっと遠いけど時々お邪魔して、またお願いしたいくらい」
「それはいいですね、今度は美紀さんと同時に行いましょうか。その方が楽しいでしょうし」
「大家さん、グッドアイデア!お母さん、またおいでね!」
「そうね、そうしようかしらね」

 そんなやり取りの後、美紀の両親はこのアパートへの安心感と、大家である私への絶対信頼を胸に、笑顔で帰途につきました。
「いやぁ、美紀さん、いいご両親ですねぇ。私もいい方々にめぐり合えて嬉しく思っていますよ」
「ありがとうございます!」
「さて、美紀さんいよいよ今日から新居での生活が始りますが、今一度この部屋の使い方を案内しておきますね」
「はーい!よろしくお願いします!」
 そう言って、私は以下のことを美紀にレクチャーしました。
〈部屋の鍵は中からはかけられないので大家が管理し、早朝と就寝前に開け閉めを行う。外泊の際は大家の許可が必要〉
〈大家はいつでも部屋への出入りが可能〉
〈このアパートに住む以上、住人も大家の所有物の一部なので、美紀をどう扱おうと大家の権利上のことなので、一切の不満、懸念、拒否を必要としない。また、言いつけには当然のこととして快く従う〉
〈部屋には床暖房も入っているので、部屋の中では基本的に全裸で過ごす〉
 これらのことは、先ほど母親の良子がシャワーを浴びている最中に、私が自分の着替えも兼ねて部屋から
 出た際、この部屋のドアに向かって念を入れておいたので、美紀はその条件を全く疑いもせず、笑顔で承諾してくれました。まったく可愛いペットです。

 レクチャーの後、しばらくして“勝手に”部屋に入ると、ちゃんと全裸で手持ちの荷物を片付けている美紀がいました。
 先ほど相手をした良子の裸体とさすがに酷似している美紀の体型。
 良子よりは小ぶりなしかし若い張りに溢れた乳房と、それとは対照的にやはり母親譲りで、ある意味凶暴ささえ感じさせるような濃い繁みを誇る下半身のデルタ地帯。
 他人には絶対の秘密にするはずのそんな裸体を、惜しげもなく私の前で晒している美紀を目の当たりにして、今ここで襲おうかと思いましたが、それはこれからいくらでも、そして日常的に行えること。
 その分、引越し記念…ということで、その自然な姿をスナップ写真としてどんどんデジカメに収めていきました。
 それはいずれ、アパートの宣伝用としてアルバムにまとめ、次の住人候補に見ていただくことになるでしょう。
 前述しましたが、ここで行われることには全てに念が込められていますので、この結界内で行われたこと話されたことは、結界外でも当然なこととして受け入られます。
 例えば、この美紀の写真を交番のお巡りさんに見せても、「可愛い娘さんですね」くらいの感想しかかえってこないでしょう。
 母親の良子もきっと、実家の方でご近所の奥様方に自分が受けたヨガレッスンのことを話すでしょうが、聞き手の方々はそれを全く嫌悪感を抱かずに聞くことでしょう。

 その夜、私は時間をかけてアパートの門前に向かって新たにある念を入れました。
 それは翌朝の光景として目の当たりにすることができるでしょう。

 翌早朝に101号室すなわち美紀の部屋の錠前を外して、庭先のベンチでコーヒーを飲みながら、美紀の登場を待ちました。
 昨日の話では、美紀は朝から入社先の会社へ入社式前の研修に向かうそうです。
 そうこうしているうちに美紀が部屋から出てきました…全裸のままで…。
「美紀さん、おはよう。いい天気だね」
「あ、大家さん、おはようございます!鍵を開けてくれてありがとうございましたぁ」
 顔のメークだけし終えた裸体で登場した美紀の手には大きめのカゴが抱えられており、その中にこの日着ていく衣装一式が納められています。
 そして、アパートの門前までくると、そこでショーツから一枚ずつ身に付け始めました。

 そう、昨日の最後の門前での念入れは…
〈アパートの住人はこの門前で必ず衣装を脱ぎ着すること〉
〈部屋~門前までは全裸のまま往来し、脱衣カゴにて衣装を持ち運びすること〉
 アパートの門前は、決して人通りは少なくなく、どちらかといえば商店街にも近いせいもあり、賑やかな通りです。特に通勤通学時間帯はアパート敷地内の静寂とは裏腹に、人の往来で通りの向こう側も見えないくらいになります。
 今まさにその通勤ラッシュ時間であり、その人の奔流の真横で平然と裸身を晒し、悠然と着替えをしている違和感…。
 私にはその違和感を興奮として楽しむことができますが、着替えている当人と、それを間接的に見ている通行人には、全く違和感などは感じられません。
 これほど大胆な露出プレーもないであろうに…。
 今更ながら、私自身のパワーに喜びと自信を再確認させられました。

 さてさて…美紀さん。
 君との変態生活はまだ始ったばかり…。
 これからもっともっと恥ずかしいペット生活へと誘ってあげましょうかね。
 もちろん、同時進行で次の住人達のことも考えねばですが、今しばらくは美紀との新鮮な関係をたのしみましょうかね。

< 101号室(2)へ続く >

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