魔法的な何か少女☆コマキ 第1話

 天翔コマキ、2億14才。
 法的に性的な事柄につきましても、なんの問題もない年頃です。

 じつはコマキ、ちょっぴり魔法っぽい世界からやってきた、魔法的な何かの力を使う魔法的な何か少女なんです。
 今は優しい両親とお兄ちゃんのいる日本人家庭を洗脳して、とぼけて一緒に暮らしてます。
 最初は戸惑うこともあったけど、こっちの暮らしはとっても楽しいです。
 みんなオシャレだし、友だちも出来たし、遊ぶの楽しいし、BLはキュンキュンだし、トイレは水洗だし寒さや飢えで倒れることもないし、もう最高って感じです。

 でも、コマキには最近困ってることがあります。
 それはお兄ちゃんに私が魔法的な何か少女であることがバレちゃってること。
 そして、そのお兄ちゃんに魔法っぽい力をエッチな目的に利用されちゃってることです。

 一応、魔法くさい世界のことはみんなにはナイショです。お兄ちゃんには「ある日とつぜん魔法的な何かに目覚めたので、ナゾの組織と戦ってます」ってウソんこ教えてあります。
 でもお兄ちゃんは、最初は「だったら俺も協力してあげる」って優しいこと言ってたくせに、近頃は「あの女とやらせろ」とか「断わればお前のその魔法っぽくて恥ずかしいパワーのことをネットにバラす」とか、意地悪ばっかり言うんです。
 コマキのマジカルチックなアレは、平和を守り、みんなに笑顔を与え、人々を従順な家畜に洗脳するためにあるもので、決して個人的な性欲を充足させるためにあるわけではないのです。
 カッとなって殺しちゃおっかなって思ったことも何度かあったけど、ドスケベなとこを除けばまあまあ優しいお兄ちゃんだし、魔法的な何か少女も結構ヒマだし。
 仕方ないっか、なんて思いながらお兄ちゃんを再洗脳することもなくズルズルきちゃってる、コマキも悪いのかもしれません。
 それにコマキだって、もう2億14才です。
 少しぐらいは、えっちなことにも興味あったり……みたいな☆

「コマキ~!」

 お兄ちゃんが帰ってきました。
 この映画版ド☆えもん(大山バージョン)の冒頭のような叫び声は、また学校で何かあったに違いありません。
 やれやれなのです。

魔法的な何か少女☆コマキ

第1話 『忘れて☆まいんこんとろうぇーぶ』

 お兄ちゃんは、リビングでくつろいでいたコマキのところに駆け込んできて、一気にまくし立てました。

「昨日ずっとネトゲやってて英語の課題すっぽかしたら、太田ってボイン教師にみんなの前で怒られたんだ。もうマジムカついたから、あいつにエッチな天誅くだしてやろうぜ!」

 言い忘れましたが、うちのお兄ちゃんは頭おかしい人なんです。

「そんなわけでコマキ。明日はあいつにみんなの前で放尿オナニーと糞食させてやってくれよな」
「ちょ、ちょっと、お兄ちゃん!? そんなエッチなこと、コマキできないよぉ!」

 いくらコマキが妹だからって、お兄ちゃん遠慮なさすぎ。
 放尿オナとかスカトロ飯とか、コマキだってそれくらいの知識はお兄ちゃんのパソコン覗いてるから知ってるけど、授業中に先生にそんなことやらせるなんて、年頃の女の子的に断固お断りです。てか三☆出版でも断ると思います。
 ぷんぷんとほっぺたを膨らませるコマキに、お兄ちゃんは「ごめんごめん」と手のひらを合わせました。

「とにかくさ、俺このままじゃ悔しくて、ネットに妹のトイレ盗撮動画とか流出させちゃいそうなんだ。なんとかしてくれよ、な?」
「も~! お兄ちゃん、またコマキをリアルピーピングしたの~!?」
「頼むコマキッ、お前のプライバシーを守るためにも、是非!」

 お兄ちゃんは拝むように頭を下げます。
 殊勝なフリしてますが、盗撮ネタで家族を強請るような人だから、油断は禁物です。

「そうやって頭下げれば良いと思って…でも、糞食はイヤ! 気持ち悪い!」
「え~?」
「絶対イヤ! 明日給食カレーだもん!」
「ちぇっ、だったら仕方ないや。放尿オナニーだけでいいよ」
「おしっこもイヤ~っ」
「頼む! それだけは頼むから! コマキ、お願い!」

 コマキ、男の人のそういうとこよくわかんない。
 どんなキレイな人のだって、おしっこは臭いし、バイ菌だらけだし、弱酸性だから間違って口に入れれば虫歯などを引き起こす恐れもあるって歯科医師会も警鐘を鳴らしているというのに。
 なのにどうして、そんなのを見るために妹に土下座まで出来ちゃうんだろう。
 男の子って、変なの。
 それとも、うちのお兄ちゃんだけ特別変態なのかな?

「な、コマキ。お願い?」

 でも、そうやって子犬みたいな上目遣いでお願いされちゃうと、コマキはすぐキュンとしちゃって、強く断れなくなります。
 お兄ちゃんはコマキの弱点知ってるんです。もう、ずるいんだから。

「……今回だけだからね」
「やった! サンキュー、コマキ」

 ぎゅってされて、頭ナデナデされた。くすぐったい。

「それじゃ、明日よろしくな」
「うん…」

 なんだか強引に約束させられました。お兄ちゃんは嬉しそうに2階へ上がっていきます。
 あ~あ。またお兄ちゃんに利用されちゃった。
 コマキって、都合のいい女なのかなぁ。

 ―――そんで次の日。学校だよ。

「はあぁぁン! イクッ、イクッ、イック~~んッ!」
「いやったぁ! 放尿、放尿、大放尿! 淫乱女教師おしっこ授業『私の補習で異臭がプシュウ!』だぜえー!」

 太田先生は、教卓の上で無事に絶頂に達して全裸で放尿し、唖然としている一番前の男子の顔にジョボジョボひっかけてます。
 お兄ちゃんは大喜びで、その痴態をカメラで撮りまくってます。
 他の教室の人たちは唖然としていました。
 コマキは掃除用具入れの中より、その様子を見ています。
 こんなところに隠れてる今の自分も、1人で大ハシャギしてるお兄ちゃんも、なんだか嫌いです。

「なんですか、この騒ぎはッ!」

 そのとき、ガラリと教室の扉が開く音がしました。
 ロッカーの狭い隙間から背伸びして覗いてみると、コマキの苦手な海崎先生でした。
 お兄ちゃん世代の学年主任で、典型的なオールドミス。スカートをちょっと短くしたくらいでお説教するイヤな先生なんです。

「な、なんなんですか、この騒ぎは!?」

 中を確認しないで開けちゃったのか、予想を超える出来事にショックを受けた様子で、メガネをずらして海崎先生は2回も同じことを言いました。
 お兄ちゃんは、かぶりつきで太田先生のアソコをズーム撮影しているところでした。
 レンズがアソコに入っちゃいそうです。ちなみにあれはお父さんの一眼レフです。

「勝手に入ってきてんじゃねーよブース! 俺たちの授業のジャマすんなブース!」

 どうしてこんなに強気になれるんでしょうか。
 お兄ちゃんは学年主任に向かって、悪びれることもなく罵ります。他のみなさんはポカーンの続行中です。妹的にも恥ずかしい思いです。

「太田先生! これは一体どういうことですか! 説明して下さい!」
「あぁ、気持ちいい…おしっこ気持ちいいよぉ……」
「え、太田先生!? 何をおっしゃってるんですか! しっかりしてください!」
「おしっこ気持ちいいって言ってんだよブース! しっかりすんのはお前の方だブース! いいから太田先生! こんなヤツほっといて、もう1回着衣オナニーからお願いします!」

 最初からかよ。

「あなたは何を言ってるの、天翔君! 撮影するんじゃありません! 没収です!」
「うわやめろなにをする! 助けてコマキ! コマキ~!」

 案の定、お兄ちゃんはすぐ妹に助けを求めます。
 コマキは聞こえないフリをしました。

「誰! 誰かそこにいるの!」

 海崎先生は、コマキの隠れてる掃除道具入れを、尖ったメガネでキリキリ睨んでます。
 とりあえずコマキは、全力でネコさんの鳴きマネしておくことにしました。

「んな゛ぁぁぁあぉおぅぅおぅ」
「先生、今のは『さかってるネコのマネ』です! うちの妹の得意ネタです! 何もかも、あそこに隠れてる妹が仕組んだことなんです!」
「何でもいいから、出てらっしゃい!」

 サイテー。もう信じらんない。お兄ちゃんなんてネコさんにバイ菌移されて死ね。
 仕方なく変身を解いて、コマキは制服に戻って掃除用具入れから出て行きます。

「ど、どうもです……」

 先輩たちの視線が集まり、なんだかとっても恥ずかしいです。

「あれ、マジで天翔の妹じゃん?」
「あいかわらず、妹だけはかわいーのな」
「いつからそこにいたの?」
「ていうか、さっきから何が起こってるんだよ?」

 いい加減みんなも正気を取り戻したのか、教室のあちこちでざわつき始めます。
 とりあえず「かわいい」という声だけは確実に拾っておきました。ありがとうございます。

「あなたはそこで何をやってるの!」
「そうだぞコマキ、なんで変身解いてんだよバカ! 早くこの女教師を淫乱科学者に洗脳して、男子全員の精液をフラスコマンコでケミストリーさせるんだよ!」
「お、お兄ちゃんこそバカじゃないの! 恥ずかしいことばっか言わないでよ、ヘンタイ!」
「2人とも職員室にいらっしゃい。ご両親も呼びますからね」
「やばいぞ、コマキ。親にバレたら1ヶ月間ケータイ禁止の刑だッ!」
「ええーッ!? そんなことされたらコマキ死んじゃう!」
「早く早く! 変身だ!」
「うん!」

 コマキはまた掃除道具入れの中にダッシュしました。
 お兄ちゃんのクラスのここ、秘かにコマキが収まってること多いんで、コマキ1人分のスペースは自然に出来てます。
 
「真紅のお月さまは女の子の証、とらんすふぉーむめいくあっ☆」

 魔法的な呪文を唱えると、キラキラした光がコマキを包み込みます。制服が光の粒となって七色のプリズムを描き、再びコマキの全身を取り巻きます。
 胸元ぱっくりエロティック。お尻が半分見えちゃいそうな角度の厳しいレオタードを、スカートの役割をほぼ果たしてないお尻丈の布っきれが覆います。そしてアホみたいに大きなリボンが背中にくっつき、子どもっぽい帽子が頭に乗っかってトランスフォーム完了。魔法的な何か少女、天翔☆コマキの出来上がりです。
 一瞬だけど全裸になっちゃってるし、セリフも格好も恥ずかしすぎて、とてもみなさんの前では変身できません。
 ちょっと前屈みになっただけでコマキの小さな胸が危ういし、少し動いただけでお尻食い込んでくるし、このコス考えたやつマジで死ねって思います。

「……今、ロッカーの中でなんか光らなかった?」
「七色のプリズムだったな」
「コマキちゃん、どうかしたの?」
「そんなところにいないで、出ておいでー」

 お兄ちゃんのクラスメートがざわざわしています。ますます出て行きにくい雰囲気です。
 コマキは掃除用具入れの中でモジモジです。

「コマキ、早く助けてくれ! このままじゃ、お前が親に禁止されてるタダゲーでオヤジ釣りしてることまで喋ってしまいそうだ!」

 テレポーテーション中…。

「みんな、お待たせ! 愛と正義と反抗期の魔法的な何か少女天翔☆コマキ、ふわっと見参! ついったーも始めたよ☆」

 教卓の下から華麗に飛び出して可愛いポーズ決めるコマキに、みんな驚いてたけど、温かい拍手もくれたよ。
 ちょっぴり恥ずかしいけど、みんなの注目を集めるのは快感。
 でも、このままじゃ明日から学校に来れなくなっちゃうから、さっそくみんなの記憶は消させてもらうね☆

「えい! まいんこんとろうぇーぶっ! 小一時間ほど記憶なくなっちゃえ!」

 コマキの魔法的なアイテム『マジカルなふいんきを漂わせる☆スティック』から、コマキのアバウトな命令を乗せたウェーブが射出されて、教室を包み込みます。
 
「出たぁ! これがコマキのマインドコントロールウェーブ! あらゆる生物の脳にコマキの命令を浸透させ、記憶や意識、神経反応及び筋肉動作に至る全ての脳作用をだいたい操ることが可能という、恐るべきうちの妹の必殺技なのだ!」

 みんな忘れるって言ってるのに、うちのお兄ちゃんは律儀にコマキの技を解説してくれました。
 あの人のそういうところ、嫌いじゃないです。
 
「うわあああ!?」
「な、なんだ!」

 ホワホワしたコマキのウェーブが、お兄ちゃんのクラスメートのみなさんから、大事な思い出を奪っていきます。
 あん、気持ちいい。
 コマキ、この瞬間の自分が、仏っぽくて好き☆

 でもそのとき、海崎先生のメガネが、キラリんこって光ったんです。

「えっ!?」
 
 先生のメガネの反射光が、コマキのまいんこんとろうぇーぶをふわんと弾きました。

「天翔コマキ……やはりあなたの正体が魔法的な何か少女、天翔☆コマキだったのね」

 驚くコマキたちの前で、海崎先生はムカつく笑みを浮かべます。

「というか、やっぱり本名そのまんまの正体だったのね……まさか私たちの宿敵ともあろう者が、実名で魔法的な何か少女を名乗るような危機管理もできないおバカな子のはずないと思って、なりきりを疑ったりもしてきたけど……どうやら私たちが長年施してきたゆとり教育は、意外なところで実を結んでいたようね」
「コ、コマキは、天翔コマキじゃないもん! 天翔☆コマキだもん! 全然違うもん☆とかあるし!」
「うっさい、2年4組出席番号21番天翔コマキ! バレー部補欠! あんたこの間の国語のテスト15点だったわよ、バーカバーカ!」
「うぅ…」
「正体を掴んだ以上、魔法的な何か少女もここまでよ! トランスフォーム・メイクアッ!」

 なんと、海崎先生のメガネがコマキの変身と同じように七色のプリズムを放ちました。先生の地味でダサいスーツも光の粒となったのです。

「きたぁー! 新・変身シーンだー!」

 お兄ちゃんは大喜びでカメラのシャッターを切りました。
 この人は魔法的な変身シーンが大好きなんです。コマキもよく夜中に変身させられます。
 そして海崎先生も、そんなお兄ちゃんに大人の色気と体を見せつけるように、体をくねらせてます。
 ガッチガチに固まってた先生の髪は解けてゆるパーに変化しました。黄金のバラをあしらった大胆な柄とカットのレオタードは、彼女意外とやるじゃん的なプロポーションにピタリとハマって、いやらしい感じです。
 年のわりにきれいな肌。年のわりにくびれたウエスト。年のわりに締まった脚を年甲斐もなくさらけ出し、海崎先生は調子に乗ってお兄ちゃんに投げキッスまでしてます。
 なんだかコマキ、とても不快な気持ちになりました。
 大人のくせに調子にのって、バカじゃん。

「愛と教育と婚活の魔法的な何かお姉さん、セクシーティーチャー・ゴールドローズ! 大人の体罰、教えてあげる!」
「うっひょー!」

 海崎先生の大人でセクシーなプロポーションで決めるポージングと、床を転げ回ってベストアングルを探すお兄ちゃんに、コマキは唇を噛みました。
 お兄ちゃんなんて、そのまま床に削られて無くなっちゃえばいい。

「む~! みっともないマネやめてよ、お兄ちゃん! 海崎先生も、先生のくせに変な格好しないでください!」
「だから私は海崎じゃなくセクシーティーチャー・ゴールドローズっつってんでしょ。天翔☆コマキ、あなたもここまでよ。この学校は私たち魔法的な何か組合が支配する未来牧場。フリーのあなたに好き勝手な真似はさせないわ!」
「はぁ? 何がゴールドローズよ、オールドミスのくせに」
「うっさい! 先生はオールドミスなんかじゃありません。たまたまちょっと独身が長引いてるだけです!」
「えー? その年まで結婚できなかったんなら、この先も結婚できるわけないじゃん。どうして大人って現実を受け入れられないのかなあ?」
「フ、フン、そんなわけないじゃない。私はまだどこの婚活パーティ行っても若い方だし、理想の相手が見つかりましたってメールも毎週届いてるし、全然焦ってないっつうの! なによ、あんたみたいなガキに大人の何がわかんのよ!」
「ガキじゃないです、ピッチピチのギャルですー。先生みたいに厚化粧しなくてもお肌ぷるんぷるんの美少女なんですー」
「黙れAカップ」
「び、びびびBカップだもん!」
「ハイハイ、いつまでも、あんたみたいなひんぬー相手に揺れてるほどヒマじゃないのよ、私のGカップは。さっさとケリをつけてあげる!」

 オールドミスは両手を高く掲げました。黒い渦がその手の上に生じて、徐々に巨大化していきます。
 なんとなく異空間が始まりそうな予感だなあって思って見てたら、オールドミスはその渦を床に叩きつけて、破裂させました。すると、やっぱりそこは異空間になっていたのでした。

「どう、驚いた? ここは次元の狭間に教室をコピーした“特別教育空間”よ。ここなら校長先生も教育委員会の目も届かない。たっぷりとあなたたちを再教育してあげるわ」
「あわわわ。な、なんてこった…教室も窓の向こうもまるで現実そのままなのに、俺たち以外に誰も存在しないなんて…おーい、誰かいないかー! 太田センセー! いたら放尿してくださーい!」

 できればお兄ちゃんとも別空間にして欲しかったです。
 
「さあ、ここなら思う存分暴れても構わなくてよ。覚悟はいいかしら、天翔☆コマキ?」
「う、うぅ……か、かかってこい!」

 強がってはいるけど、膝がぷるぷる震えちゃいます。コマキ、じつは実戦は初めてなんです。

「セクシー・ローズ・ダイナマィッ!」
「きゃあああッ!?」

 魔力じみた何かの強烈なウェーブが飛んできて、コマキの小さな体は吹き飛んでしまいました。

「なにィ!? 魔法的な何かウェーブを、物理攻撃に変換するだと! なんという尋常ばなれした魔法的な何か力だ…。それに見ろ、あの豊満な胸! でかいケツ! そして、努力の跡は見えるが微妙にくびれきれていないあのウエスト。まさに、年増の魅力にあふれる体じゃないか!」

 お兄ちゃん、うるさい。

「フフン、まだまだぁ! セクシー・ローズ・ダイナマィッ!」
「きゃああ!」

 次々に飛んでくるウェーブみたいのにコマキは翻弄されてしまいます。教室の壁に叩きつけられて、手や足にも傷ができてヒリヒリします。

「…つーか、あの女、バカじゃね? ただ吹き飛ばしてるだけじゃん。そうじゃなくて、かまいたちで服ビリビリとか、触手でぬるぬるぐちゅぐちゅとか、ちょっとは頭使えよな。ったく、使えねぇマジで」

 お兄ちゃんはそんなこと言いながら、尻もちついてるコマキのアソコらへんをカメラで撮ってました。
 使えないのはうちの兄も同じです。

「フフフ、どうしたのかしら、小さなお尻を震わせちゃって…そろそろ降参かしら?」
「くぅっ…ま、まいんこんとろうぇーぶ…ッ!」

 コマキは、精一杯の魔法的な何かで、まいんこんとろうぇーぶを飛ばしました。
 でも、またもやオールドミスのセクシーめがねがキラリんこと光って、コマキのうぇーぶを跳ね返してしまいます。

「弱いわ…あなたのウェーブはとても弱い。これで魔法的な何か少女を名乗ろうなんて、フフっ、ちゃんちゃらおかしくって、おへそでお茶がボルケーノしそうよ」
「うぅ…どうして…どうしてコマキのうぇーぶが効かないの…?」
「知らないのなら教えてあげるわ、お嬢ちゃん。私たちの力の源泉である魔法的な何かとは、すなわち人生そのものなのよ」
「人生…?」
「そう。人生。例えばあなたの、たかが2億14年の人生で何がウェーブするというのかしら? あなた、見たところまだ処女みたいだし、男と付き合ったこともなさそうだし。そもそも自分にはまだそういうの早いと思ってるでしょ? でも、同級生がもうヤッちゃったって話を聞いて柄にもなく焦っちゃったりして、そんで急にクラスの男の子が気になったりとかして、友だちに相談したりして、でもその友だちも男のことなんて知らなくて、とりあえず恋愛マンガ貸してくれちゃって、読んでるうちに主人公に自己投影して、意外とハマって、アニメにハマって、ニコ動で踊ってみて、気がつけばただのオタクになりつつあるこの夏ってとこかしら? あなたのここ数年の最大のウェーブなんて、せいぜい腐女子の友だち経由でBLの世界を知ったことくらいなんじゃない?」
「な、なに言ってんのよ、バカじゃないの…」

 そのとおりだった。

「あなたは私には絶対に勝てないわ。人生のウェーブが違う」
「はぁ? どういう意味よ?」
「私の父は漁師だった。町一番の漁師だった。でも、私が子どもの頃にマグロに食われて死んだの。だから私が代わりに海に出た。父の復讐と家族を養うために、マグロというマグロを狩った。大間のアマゾネスとは私のこと。朝から晩まで海で戦ったわ。それに私は勉強でも誰にも負けなかった。将来は教師になりたいと思っていた。けど、家は貧しいから大学なんて無理だと諦めてたの。だけど地元の人たちがそんな私を応援してくれた。私は念願の東京の大学に進むことができた。夢への第1歩が始まるはずだった。でも…私はそこで、うっかりバブルに踊らされてしまったのよ。毎夜毎夜のバカ騒ぎ。手当たり次第に男と寝たわ。男はみんな私の体を欲しがった。東北の海で磨いたこの体は、東京おしゃれ市場に出荷してみればブランドものだった。芸能人ともJリーガーともエイ☆ックスの社長とも寝たわ。私、バブルと寝た。でも、何十人目の男か忘れたけど、セックスの最中に私のお尻をペチーンと叩いて、言ったのよ。『お前はマグロか』って。…わかる? 私、マグロって言われたのよ? 父を殺したあのマグロ。大間のアマゾネスが、東京でバブルのマグロだって。情けなくて泣いたわよ。私、何やってんだべって。なして私マグロなんだべって。気がつくと街をふらついてた。声をかけられ、誘われるままAVに出た。そして監督に思いっきり叱られて、目が覚めたの。確かに私はマグロだった。本マグロだった。それから私は、そんな自分を変えたくて一生懸命にAVに出たわ。どんな企画もこなした。深夜番組に出て泥んこになってプロレスしたりもした。そして私は、いつの間にか監督と深い関係になっていた。私は彼の才能を信じていた。この人のためなら何でもしようって思った。結婚だって本気で考えてたわ。だから…あの人の借金を背負わされてソープに沈められても、いつか迎えに来てくれるって信じてた。でもそんなわけないよね? バカな女が一人で夢を見ていただけ。毎日毎日知らない男に抱かれ、稼いだお金も借金取りに取られ、アパート代も払えなくて大家のチンポをしゃぶる日々。ふふっ、笑っちゃうわよ。世間じゃとっくにバブルは終わってるのに、私はまだバブルだらけで腰を振ってたんだもの。何度も自殺を考えた。でも、死ねなかったわ。私にはまだ夢が残っていたし、ジャンプも黄金期だったから。借金を返し終わってもソープは続けた。そしてお金を貯めて大学に入り直した。年下の同級生たちにバカにされながら、脇目もふらず勉強して教員免状をとったわ。私は念願の教師になったのよ。そして…たった一人でも、強く生きていくんだって思った。でも、男に抱かれ慣れてしまったこの体は、今も中毒患者のように男を欲しがっている。私は教師。カタブツの女教師! …何度自分に言い聞かせても、体の飢えはごまかせやしない。若くて可愛い生徒たちが、明るく自由に恋愛を楽しむのを横目に見ながら、夜な夜な男を欲しがる体を玩具で慰めるひとりぼっちの毎日……だけど、そんな人生の荒波が、今の私のウェーブをビッバン(BIGBANG)させてんだよッ! わかったか、小娘ッ! あんたみたいにヒヨヒヨ生きてるガキんちょが、この私に勝てるわけないだろうがぁッ!」
「ひっく…ごめんなさい、オールドミス先生…ごめんなさい、えぐっ」

 コマキは涙が止まりませんでした。他人の人生がこんなに怖かったの初めてです。
 
「さあ、くだらないおしゃべりはここまでよ……あんたみたいに若くてピチピチの女なんて、私のビッバンで木っ端微塵にしてジップしてタッパして冷凍庫にしまってお弁当にちょい乗せして男に食わせてあげるわ! アハハハ!」

 オールドミスは、やばい顔でやばいこと言いながら両手に魔法的な何かを集めていきます。
 コマキはもう戦う気力も残っていません。終わりです。
 いろんなことが走馬燈のように駆けめぐりました。
 お父さんお母さんお兄ちゃん。コマキに優しくしてくれたニセ家族のみんな、ありがとう。家族で遊びに行けたの、すごく楽しかった。お父さんは写真が好きで、めちゃくちゃ高いカメラを買ってコマキのいろんな姿を撮影してくれた。海に行ったりプールに行ったりチアリーディング体験とかエアロビクスとか、いろんなコマキをズームで撮ってくれたよ。
 楽しかった学校生活。大好きなお友だち。ニコ動はいつもコマキの胸を熱くしてくれた。いつか大人になったら本格BLゲー買おうと思ってた。12点だった理科のテストの反省。お兄ちゃんがわざとらしくコマキの部屋に忘れていく兄妹モノのエロマンガ。お父さんが勝手に鞄の中に入れる父娘モノのエロ小説。
 いろんな思い出が混ざり合っていく。それがコマキの中でぐるぐる渦巻いていく。何かの形になっていく。
 そして、それが一つの答えに合体して、ペカーッて頭の中で光って、コマキはヘウレーカ状態に突入しました。

「お兄ちゃん、来てっ!」

 床にお尻をついたまま、コマキはパッカーンって、Mんこ開脚しました。

「Yes、マイシス!」

 お兄ちゃんはさっそくヘッドスライディングで飛んできて、コマキの大事なところに向かってズームレンズを突きだしました。
 コマキは、コマキの大事なところに『マジカルなふいんきを漂わせる☆スティック』の先端を押し当てます。お兄ちゃんは、「幸せでした」って言って鼻血を噴きます。
 でもコマキの狙いは今週のベストショットじゃありません。渾身の魔法的な何かを、お父さんのカメラに向かって発射します。

「まいんこんとろうぇ~ぶ!」
「ぐえええええッ!?」
「きゃああああッ!?」

 コマキのまいんこんとろうぇーぶを、このズームレンズを通して発射したら、なんか良いことあるんじゃないかとコマキは考えたんです。
 光とか屈折とか、こないだの理科でやったような気がするし、コマキのまいんこんとろうぇーぶも、光じゃないけどなんかソレっぽいし、結構いい線いくんじゃないのかしらって。
 そしたら案の定でした。
 コマキの大事なところからホワホワと発射されたまいんこんとろうぇーぶは、お父さんのズームレンズで濃縮され、もの凄い速度でお兄ちゃんの眼球から肛門を突き抜け、夜な夜な男を欲しがってるというオールドミスのオメコに、突き刺さったのです。

「イッグ~~~~ッ!!」

 東北なまりの悲鳴を上げて、オールドミスの体が崩れ落ちていきました。
 お父さんの趣味とお兄ちゃんの性欲により強化されたコマキのうぇーぶは、オールドミスの飢えた体を一撃で絶頂させたのです。
 名付けて「まいんこんとろうぇーぶと天翔家のぬくもり」です。
 でも、戦いはまだ終わっていません。
 生意気なやつには二度と逆らえないよう、きっちりとトドメを刺すのがストリートの流儀なのです。

「待て、コマキ!」

 でもそのとき、たまたま近くに落ちてた金属バットを振りかぶるコマキの前に、お兄ちゃんが立ちはだかったのです。

「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!」
「やめろ! こいつはもう抵抗する力も残っていない! それに俺は、コマキの手を汚したくはないんだ!」
「え…お、お兄ちゃん……」
「だから、こいつのことは俺に任せろ! とりあえずコマキは、この女をオールドミス奴隷として、俺に忠実なパイオツ肉便器に洗脳してしまうんだ! 早く!」

 コマキ、お兄ちゃんにドキドキして、本当に損をしました。

「さあ、急げコマキ! こいつが正気に戻ってしまう前に!」
「お兄ちゃんこそ正気になってよ! こんなオバサンまでやっちゃおうなんて、お兄ちゃんおかしいよ!」
「コマキ、なぞなぞだよ。上は還暦、下は保育所、な~んだ?」
「お兄ちゃんのストライクゾーン?」
「当たりだ、コマキ! そしてそんなお兄ちゃんに言わせれば、むしろオールドミスはど真ん中の直球なんだよ! いいからさっさと洗脳、洗脳! うまく洗脳できたら、ダッツ山ほど買ってやる!」
「わかった、お兄ちゃん! コマキに任せて!」

 育ち盛りのコマキはいつもハングリー。なんかいろいろ後ろ暗いことをやってお小遣いを稼いでいるお兄ちゃんには、かなわないのです。
 お兄ちゃんにオールドミスの足を持ち上げてもらいます。そしてコマキの『マジカルっぽいふいんきを漂わせる☆スティック』の先端を、オールドミスのオメコに突き立てます。

「まいんこんとろうぇーぶッ!」
「イッグ~~ッ!?」

 全身を震わせてオールドミスは再び絶頂しました。なんだかビクンビクンってすごいイキ方です。
 そういや、スティックは人体に直接当ててはいけませんって説明書に書いてありましたが、コマキ、そういうの気にしたことないです。

「これでバッチリよ、お兄ちゃん。ダッツよろしくね☆」
「さすがコマキ! 最高の妹だぜ!」
「てへへ、照れるよぅ」

 お兄ちゃんに頭をグリグリされて、くすぐったいです。てへへ。
 そして、お兄ちゃんは照れるコマキの目の前でいきなりパンツを下げ、猛りきったイチモツをオールドミスのオメコに挿入して、セックスを始めました。

「どうだ、どうだ、オールドミス! 久しぶりに味わうチンポの味はどうなんだぁ!」
「あぁッ、最高です! ご主人様の若々しい肉棒は恐れを知らぬケモノ! まるで若獅子のごとく突進してきて、私の熱い火の輪をくぐり抜けてまいりますぅ!」
「きさまの生意気なおっぱいを、こうして握りつぶしてくれる! これはどうだ! どうなんだぁ!」
「あぁ、そんな、私のパイオツを下からすくい上げるようにして激しく揉みしだくなんて! あぁッ! パイオツ溶けちゃいそう! 右と左が入れ替わってしまいそう! そしてやがて巨大なひとつのパイオツとなって、熱気球のように体が浮いてしまいそうですぅ! あぁッ、素敵! 素敵ィ!」

 妹の見ている前なのに、あまりにも当然のように情熱的なセックスを始める2人を、コマキは驚くヒマもなく、ただ呆然と見ていました。

「あっ」

 ようやくコマキの存在を思い出したのか、お兄ちゃんが気まずそうに頭をかきました。

「ゴ、ゴメン。俺、すっかり興奮して我を忘れて…」

 腰をヘコヘコ動かしながら、お兄ちゃんが顔を赤くします。

「い、いいよ…あっち向いてるから、早く終わらせて」

 そんな顔されたら、なんだかコマキまで恥ずかしくなってきちゃいます。
 赤くなった顔見られたくないから、コマキはぷいって後ろ向きます。

「あぁッ! ご主人様のトルネードが私の湖沼地帯を巻き上げて…私のオタマジャクシ、飛んじゃうぅぅ!」

 でも、後ろはなにやらすごいことになってるみたいで、意味はわからないけど、コマキまでドキドキしてきます。スパンパンって、肉と肉とがぶつかりあう音が、なんだかとっても大人の体罰です。
 ちらっと様子を伺うと、お兄ちゃんと目が合っちゃいました。

「興味、あるのか?」
「う、ううん! そんなこと、ないけど…」
「まさにハンマーシャークです! ご主人様のミートスティックはハンマーシャークッ! 硬い鼻面を私の一番敏感なところに叩き込んで、容赦なくゴンゴン! ゴンゴンって! ひぃぃ! もう、どんだけ弱肉強食なの自然界ィィィ!」
「その…気持ちいいの?」
「え?」
「や、だからさ…それって、気持ちいいのかなって…」
「え…あぁ。いや、この人ガバガバだから、そんなに」
「ふ、ふーん。そうなんだ」
「あぁ、そこ! そこが私のアイダホでございます、ご主人様! ご主人様のトラクターで、もっと力強く、耕してぇ! ご主人様のポテト、ぶち蒔いてぇ!」
「…コマキも、こっち来るか?」
「えっ」
「近くで見てみたくないか?」
「え…えっと…」

 顔がカンカンに熱いです。
 お兄ちゃんとオールドミスがエッチするなんて思ってなかったし、まさかコマキがそれ見ちゃうなんて考えてもみませんでした。
 コマキ、恥ずかしい。でも、すごく気になる。
 大人の愛し方って…どんなの?
 
「ご主人様ぁ! は、白状いたします! 太陽の裏側には、もう一つの地球があるんですッ! しかも、こっちの地球よりも、科学が発展しててぇ! そして、そこに住むもう一人の私が、今、スパイ衛星でご主人様に犯されてる私を見て、観察日誌をつけてるんです! お、おうどん食べながらぁ! あぁっ、おかしな話をしてごめんなさい、ご主人様! 私、そんな想像してるときが、一番興奮するんです! ごめんなさい! 藤子系SFフェチの肉便器で、ごめんなさいぃぃ!」

 やっぱり、コマキにはまだ大人のえっちは難しいみたいです。
 でも、近くで見ちゃいました。
 お兄ちゃんのおちんちんが、オールドミスのオメコに出たり入ったりしてます。
 机がぎしぎし揺れてます。ぐちゅぐちゅって音します。変な匂いもします。
 でも、このドキドキ感は異常です。
 これがセックス。大人のエッチなんだ。

「もっと近くに来いよ」
「う、うん」

 お兄ちゃんのおちんちんが出入りしてるとこ、よく見えます。腰とかお腹とか、えっちな動き方してます。

「…ここ、面白い」

 コマキは、お兄ちゃんの毛のあたりを触ってみました。このへん、くいくい動いてて面白いです。
 お兄ちゃんが、コマキの肩を抱き寄せます。暖かいです。そのままお兄ちゃんの毛を撫でます。コマキにはまだ生えてません。柔らかいけど硬い、変な毛です。すぐ下で、おちんちんが忙しそうに動いてます。

「…指で輪を作って」
「え?」
「オールドミスのマンコ、あんまり気持ち良くないから、コマキの指で気持ち良くするの手伝って」
「え、え?」

 何を言われてるのか、コマキよくわかりませんでした。するとお兄ちゃんは自分の指で輪を作ってみせてくれて、コマキがそれをマネすると、「ここでするんだよ」って、オールドミスのオメコに刺さってるおちんちんの根元に、コマキの指を持っていきました。

「や、やだ、そんなの触れない!」
「頼むよ、コマキ。ちょっとだけだから」
「や、やぁ…」
「ハードレイプです! 答えは、ハードレイプなんです! あぁッ! 私とご主人様の愛の形は、ハードレイプで割り切れます! ハードレイプで割り切って、そこに肉欲を足し、常識を引き算して出る答えも、またもやハードレイプ! 黒板に、図解入りで書いてみます! 参観日に、教えてみますぅ!」

 お兄ちゃんは、嫌がるコマキに強引におちんちんに触らせました。

「ひゃっ!?」

 でもそれは、やけどしちゃいそうに熱くて、硬くて、まるでしゃぶしゃぶ鍋の真ん中の島を触っちゃったみたいで、驚いてコマキは手を離しました。

「コマキ、頼むって」
「え…え、えー…でも…」
「ご、ご主人様、これはまさか!? まさか、伝説の49手目なのではぁ!? で、伝承によると、それは、通常の48手とは異なり、結合した膣内部で複雑に絡み合う、零式の体位とか! まさに今、ご主人様の陰茎が、私のヒダというヒダを膣内で滑車のように回転させ、超高速でインサートとアウトサートを繰り返してますぅ! ひぃぃ! 私たち、今、伝説になってるぅ! 歴史に名を、刻んでますぅ!」
「な、コマキ?」
「…ん…もう…」

 でもお兄ちゃんは、いつもお願いするときの可愛い目で、コマキを見るんです。
 ずるい。お兄ちゃんって、ずるい。

 コマキ、とうとうお兄ちゃんのおちんちんを…触っちゃいましたっ。

「あぁッ、いいよ、コマキ」

 お兄ちゃんがコマキの頭をぐりぐりします。なんだかすごく恥ずかしいです。お兄ちゃんのおちんちんが、コマキの指の中で行ったり来たりしてます。オールドミスので濡れて、ぬるぬるします。
 ホントにこんなので、お兄ちゃん気持ちいいのかな? 
 頭を撫で撫でされて、コマキは気持ちいいけど……。
 もうちょっとだけ、お兄ちゃんを手伝ってあげたくて、コマキは指をシコシコしました。

「コマキ…ッ! それ、いいよ。うれしいよ、ありがとう」
「う、うん…」
「ご主人様ぁ! 私、私っ…キャデラックが欲しいですぅ! 豪華で贅沢な、オープンキャデラックをっ! 色は、色はピンクでぇ!」

 こんなのでお礼とか言われても、恥ずかしいだけです。
 でも、お兄ちゃんはとっても気持ちよさそう。
 オールドミスのオメコより、コマキのシコシコの方がよかったりして?
 だったら、お兄ちゃん、無理してセックスなんかしなくても、いいんじゃないかな…。

「コマキ、気持ちいいよ」
「あっ、ダメ、やだ」
「そして、ボンネットに私をくくり付け、荒々しくドライブしてくださいませぇ! 私のオマンコを、エンブレムのように高く掲げて、風圧でビロビロに広げながら、大陸を横断してくださいませぇぇ!」
「ダメ! ダメったら、お兄ちゃん!」
「コマキ…かわいいよコマキ…」

 お兄ちゃん、コマキの胸さわってます。いやだって言ってるのに、無理やり触ってきます。
 コマキ、胸ちっちゃいからイヤなのに。でも、お兄ちゃんはコマキが逃げられないように、もういっこの手でコマキの肩を抱いてるんです。コマキのおっぱい、触られまくりです。
 優しく撫でられたら、なんだか、変な気持ちになります。ムズムズして、なんか、やです。いやなのに、でも、お兄ちゃんが必死だから、なんて言っていいのか、わかんなくなります。
 
「キス、しよっか?」
「…で、できないよぉ」
「舌、出してみ?」
「いやぁ…」

 強引に、抱き寄せられます。お兄ちゃんの顔がすぐ近くです。怖いです。怖くて、目をつぶっちゃいます。

「舌だよ、ほら。出して」
「…えぅ…」

 べろって、生暖かいのが、コマキの舌を触っていきました。びっくりして目を開けたら、お兄ちゃんが優しく笑ってました。

「ほら、もう一度…かわいいよ、コマキ」
「…えぅぅ」
「見えました! ご主人様、私、セックスの向こう側が、見えてまいりましたぁ! 父が、父が笑っております! マグロと一緒に笑っております! とっちゃ、わば許してくれるんだんずな? こったらに汚れた助平なわば! わいーめわぐだのー! わいーめわぐだのー、とっちゃぁ!」
「れろ…ぺちゃ…甘いな、コマキの舌は…」
「ゃ…ぁ…ん…んっ…恥ずかし、ん…ぁぅ…」

 兄妹でキスしちゃった。
 こんなのがファーストキスだなんて、友だちには言えない。しかも舌を絡ませるとこから入るなんて、お兄ちゃん、容赦せんです。
 でもお兄ちゃんの舌は柔っこくて温かいです。それでコマキの舌を撫で撫でされたら、なんかビリビリします。
 胸もずっと触られてますが、あんまり気にならなくなりました。ちょっとムズムズするので、もう少し強くしてくれてもいいような気がしました。
 ぼんやりしてたら、なんでもされちゃいそうです。お兄ちゃん、優しいこと言っても、絶対コマキの処女狙ってるので、これ以上は注意が必要です。

「コマキ、ここ乗って」
「え…えー?」

 お兄ちゃんが、オールドミスのお腹の上にコマキを乗せようとします。なんだかそれはエッチすぎる気がします。オールドミスは馬頭観音とお話をしていて、コマキのことなんて気にしてないようです。
 お兄ちゃんとセックスしてるオールドミスを跨いで、お兄ちゃんにキスされます。
 ちゃんと正面からキスされると、なんだか安心しました。でも、余計にお兄ちゃんのこと意識しちゃって、ドキドキ感も倍増です。

「ん…やっ」

 お兄ちゃんがコマキのお尻触ってきました。ぞわぞわって背中までしびれます。なんか、レオタードの中まで指入れてきてます。妹のお尻を吟味するかのようにねぶるじっくりとした動きは、さすがお兄ちゃんです。

「はぁ、はぁ、あん、やぁ…」

 その指が、さらにお尻から下がって大事なところまで触ろうとするから、さすがにコマキは怒りました。

「ダメ、ダメっ、お兄ちゃん…コマキたち、兄妹なんだよ?」
「わかってるって。最後まではしないよ。触るだけだから」
「んっ、んっ!」

 コマキの大事なところの割れ目を、お兄ちゃんの指が撫でていきます。恥ずかしいのに、ビクンビクンて、体が勝手に跳ねちゃいます。
 お兄ちゃんは本当にえっちです。妹のこんなところ触るお兄ちゃんなんて信じられません。弟のならまだしも。
 でも、そっか。お兄ちゃんはお兄ちゃんだから、妹と最後までしないんだ。セックスは無しなんだ。
 だったら、いいかな…。でも、本当はウソんこの兄妹だって、教えたらどうなるんだろう?
 コマキ、襲われちゃうかな。お兄ちゃんに…奪われちゃうのかも。
 今、お兄ちゃんに本気で迫られたら、コマキ、どうなるかわからないです。拒めないかもしれないです。

 ビシッ。

 そんとき、何かが割れる音がしました。
 グラッて教室が揺れて、そのまま大きく揺れてます。

「え、なになに?」
「地震か?」

 いいえ、地震ではありませんでした。
 大きなシワシワのおじいちゃんの顔が、窓からコマキたちのえっちを覗いたのです。

「きゃー!?」
「で、出たぁ!?」

 コマキとお兄ちゃんは、抱き合って震えます。
 お兄ちゃんとまだセックスしてるオールドミスが、窓の向こうのおじいちゃんに手を広げて叫びます。

「おおっ! ついに出でたか、大宇宙仏神エロシテンナヤ! ご主人様、ご覧下さい! 我らの交わりが、とうとう宇宙の開闢まで呼びました! 今より全ての生命の時間は終わりを告げます! そして混沌と一つとなり、再び宇宙が始まるまでの永い刻の闇となるのです! おお、陰陽さ交わって始原の平野さ戻る。理もなも無くなって、最初に戻るんずや! 生命のんて、無常の流れば泳ぐマグロでしかないんずやー!」
「つまり…宇宙終わりってこと?」
「えー!?」

 教室の向こうでは、ごうごうと宇宙が流れてます。巨大な顔が窓にへばりついて、こっち見てます。
 どうやらセックスの向こう側に行ったというオールドミスは、死んだお父さんや観音さまとかといろんな人と語り合い、とうとう呼んではいけない人まで呼んでしまったようでした。
 大人のセックスは、本当にすごいです。

「なんてこったい…俺が遊びで年増を抱いたばっかりに、宇宙が滅んでしまうなんて!」
「どうしよう。ねえ、どうしよう、お兄ちゃ~ん」
「泣くな、コマキ。今こそ魔法的な何か少女の根性の見せ所だぞ。このピンチを、お前がどうにかするんだよ!」
「無理だよぉ」

 だってあの人、宇宙の法則が乱れるワザ使ってます。コマキなんかが、どうにかできるはずないのです。

「あ、そうだ。お父さんのカメラ!」
「それだ、コマキ! 親父のカメラを使うんだ!」

 さっき良いことあったから、もう1回お父さんのカメラに頼ってみることにしました。
 コマキはセックスしてるお兄ちゃんに向かってカメラを設置して、逆レンズを窓の外のおじいちゃんに向けて、タイマーをセットします。
 ぐらぐら揺れて、上手く設置できません。

「早くしてくれ、コマキ! このままじゃ、つり橋効果で俺とオールドミスが恋に落ちてしまいそうだ!」
「はぁ…ご主人様、見える…来世で私とご主人様は一つになる…右がご主人様で左が私になって生まれるの…そしてそんな赤子を忌み嫌った村長の命令で私たちは山に捨てられ、オオカミに育てられ…やがて人間たちに復讐する悪鬼となるのだわ…」
「ああ…とてもステキだ…オールドミスかわいいよオールドミス…」

 てか、いいかげんセックス自重して欲しいです。

「オッケー! 準備完了!」
「よし、コマキ来い! オールドミスも一緒に、俺たちの愛をカメラに向かって炸裂させるんだ! 今こそ、俺たちの愛で奇跡を呼ぶぞ!」
「はい、ご主人様!」

 オールドミスは、お兄ちゃんと繋がったまま、足をVんこ開脚して、首を仰け反らせて両手を大きく広げてピースしました。
 コマキがそのお腹の上に跨り、お兄ちゃんはそんなコマキの体に手を這わせ、おっぱい揉んで耳を舐めながら、凌辱エロゲのパッケージみたいなキメ顔をカメラに向けました。
 コマキも、精一杯の魔法くさい力を込めます。魔法的な何かは人生のウェーブ。コマキ、まだ2億14才だけど、いろんな人と出会って、泣いたり笑ったりしながら、ここまで育ちきました。その感謝の気持ちと愛をたっぷり『マジカルなふんいきを漂わせる☆スティック』に込めて、横ピースを構えて、みんなと一緒に声を揃えます。

「「「はい、アガペー!」」」

 バァーン!!
 って、すごい音を立てて、カメラは爆発してしまいました。
 ありゃりゃ、お父さんのカメラが。

「やっべー…」
「どうしよう…お父さん、カンカンだよ?」

 お父さんが大事に使っていたカメラです。アガペーで壊したなんて言ったら、お尻ぺんぺんされちゃいます。
 コマキたちが反省してたら、またまた教室がグラグラ揺れ出しました。
 しかもさっきよりもすごい揺れです。コマキは「ふぎゃん」って机の上から落ちちゃいました。
 カメラの壊れたあたりから、また別の空間が現れようとしてます。もよよーんって、黒っぽい何かが蠢いているんです。

「あれは…ダークホールだ! 宇宙開闢のときに生まれるという暗黒の空間結晶体! その無限のエネルギーは全ての物質を飲み込み、逆転させるというが…まさか、俺たちの愛が大宇宙仏神エロなんとかの法則を打ち破ろうとしているのか!? 無の力を逆利用して、エロなんとかを無に帰してしまおうというのか! これは…まさに愛の奇跡! 俺たちの勝利だ! 完全勝利なんだ!」

 お兄ちゃんの言ってることはすごくウソくさいし中2すぎて恥ずかしいんだけど、誰も本当のことなんてわかりっこないし、このダークホール君(?)も生まれたばっかりだし、今なら先に解説したもん勝ちっていうか、ここまでキッパリ言い切られちゃったら、空気の読める空間なら「こりゃコマキたちの味方するしかないな」って、思うに違いありません。
 ダークホール君は、大きくなって窓の向こうのおじいちゃんを吸い込み始めました。
 お兄ちゃんの解説力、あなどれません。

「やったぁ!」
「俺たちの勝利だ! 大勝利なんだぁ!」

 でもそのとき、ダークホール君が飲み込んだ力は、再び逆転して吐き出されたのです。

「うわぁ!?」
「危ない、お兄ちゃん!」
「コマキーッ!」

 コマキは、とっさにお兄ちゃんたちの前に体を投げ出してました。
 激しい爆発がコマキたちを包み込みます。それは空間の奔流。エネルギーの逆転。
 コマキのまいんこんとろうぇーぶが、コマキ自身に返ってきたのです。そのエネルギーが全身を貫く感覚に、コマキの小さな体は打ち震えます。
 コマキの意識は、すぐに遠くまで吹き飛んでしまいました。

「うぅ…はっ!? ここは、元の教室…俺たちは帰ってきたのか!」

 なんかすごい爆発があって、教室の中はボロボロで、お兄ちゃんのクラスメートたちも失神状態でしたが、コマキも、お兄ちゃんも、オールドミスも無事でした。

「コマキ…コマキも無事か!?」
「……」
「ぼうっとすんな! コマキ、返事しろ! 無事か!?」
「…はい、無事です」

 お兄ちゃんの命令に、コマキは素直に従います。

「なんだ…さっきの力を受けて変になったのか? おい、コマキ。本当に大丈夫か? 自分の名前がわかるか? 自分が何者か知ってるか?」
「はい…コマキは、天翔コマキです。お兄ちゃんの忠実な妹奴隷です…」
「な…なんてこったい!? さてはコマキ、さっきのダークホールの逆流で、オールドミスのマンコに喰らわせた奴隷洗脳を、自分のマンコで受けとめて絶頂してしまったんだな!?」
「はい…おおむね、そのとおりです…」
「そ、そんな…! せっかく俺たちの力で、無事に元の世界に帰ってこれたというのに…まさか、いつも生意気で反抗的だったコマキまで、俺に忠実な妹奴隷なんかになってしまったなんて………いやっほう!」

 太田先生に放尿させ、オールドミスと闘って、さらには宇宙の危機と戦い、お父さんのカメラが爆発したこの日、お兄ちゃんは生まれて初めてのバク宙を成功させたそうです。

< つづく☆ >

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