危ないやつら 第二話

第二話

 俺たちがガキの頃大流行した超能力番組。
 の名も『○○と××のゴールデン脳開発委員会』。
『脳開発委員会』の読み方は脳=ブレインに後半の委員を掛けてブレイイン。略してゴルブレ。
 この番組がはやった要因といいか印象深かったのはそれまでの手品を見せるような番組は外国の■■地方で起こった超能力の紹介、などではなく実際にテレビに出演した人間を超能力者にしようというバラエティをメインに押し出したことだったと思う。
 ○○と××ってのは特定の人間ではなくテレビの前のあなたが超能力を、みたいなコンセプトでつけられた名前らしい。

 前に言ったとおり俺と早紀ちゃんの幼少期はこの番組に釘付けでした。
 番組の第一回に催眠術を使って人間の動物的な才能を引き出すっていうコンセプトで何人かに催眠術をかけて動物だと思い込ませるって言うコーナーがあったんですよ。
 夜の十時にやってた番組なんでそんなに過激なシーンはなかったんですけどそれでも当時の俺たちは憧れましたねー(今考えればどう考えてもやらせだったんですよねーなんであんなに嵌っちゃったのか……)
 で、その後も時々催眠術で脳開発っていうコーナーで度々人にあなたは力持ちだーだの頭が良いーだの暗示を掛けるわけなんですよねー。
 まあ、それなりに一般受けもよくてクラスでの話題のためにもとりあえず見ておけ、みたいな番組だったんですがある回でやらかしちゃったんですよね、。
『テレビの前の視聴者が超能力者に!!』だったかな。
 そんな感じの謳い文句。夏の特番枠でのゴルブレの特別企画。
 今までは抽選で選ばれた人が出演して脳開発を受ける、っていう内容だったんですがこの回はテレビから視聴者全員へ向けて脳開発をするっていう企画だったんです。
 やー、よく企画通ったなあって感じな企画ですよね。
 何も起こんなかったら苦情きちゃうんじゃないのかなーって子供心に思ってました。

 結局苦情はTV局に死ぬほど寄せられてみたいですけどね、別の意味でですが……

 十年前の事件なんですが今だ『ゴルブレ事件』といえば大半の人が眉をひそめる程認知度の高い大事件。
 その要旨はテレビの前の視聴者を昏倒させ病院送りにしたこと。
 ゴルブレが視聴者を超能力者に、という企画でしたことは光による脳開発。
 企画の目玉だった『脳開発のための光源ソフト』が生放送中に異常な光を発生。
 全国で多くの昏倒者をだしたというのが今も語られるゴルブレ事件。
 これが十年前でゴルブレは事件発生後即効で放送中止となっちゃいました。
 この事件に関しては後に多くのドキュメンタリーが作られたんですが制作段階では何の問題もなかった『光源ソフト』がどうして異常を引き起こしたのかは未だにはっきりとした原因は見つかってないみたいなんです。

 当時ゴルブレにどっぷりと使っていた俺と早紀ちゃんも勿論この事件でノックアウト。
 二人仲良く病院行きでした。
 さいわい大体一週間くらいで倒れた人たちは回復しました。
 俺と早紀ちゃんも早いうちに回復してよかったよかった。

 って残念ながらそうではないんですよねー。
 や、別に長引いたーとか実は今も病院通いってんじゃないですよ。
 俺も早紀ちゃんも健康そのものです。

 ただ、あの企画の目的。
 というかゴルブレの目的そのもの、要するに脳開発なんですがこれが成功しちゃったんですよね。
 今思えば失敗したから昏倒者が出たんじゃなくて成功したからこそ昏倒したんじゃないでしょうか。
 とにかくこの『ゴルブレ事件』で多くの超能力者が作られちゃったんです。
 あ、別に笑うところじゃないですよ。

 もちろん俺と早紀ちゃんも『能力』がいつの間にか身についてました。
 それはかまわないんですが事件のあと、『能力』が一般に認知されるあたりに前後してずいぶんはっちゃけた奴がではじめましてねー。
 ちょっとしたドンパチがあったりしちゃって今じゃなんとなーく『能力』について語るとか、それを行使するっていうのがタブーな空気なんですよね。
 雰囲気重視というかこの話題に触ると場の空気が悪くなっちゃうんですよ。
 だから、折角多くの人が手に入れた超能力ってのは自粛の空気にのまれちゃっているんです。
 日本人気質ってやつですかね。

 まあ、俺の知ったことじゃないですけどね!!
 俺の立場はどっちかっていうと『能力』を使ってはっちゃけた奴ら寄りなんです。
 世間じゃ俺たちみたいな奴らのことを『悪の組織』なんていうんじゃないですか。
 知ったこっちゃないんですけどね。

 昨日のすばらしい体験がから一晩あけてようやく早紀ちゃんから頼まれた三億円の借金について真面目に考える時間がもてました。
 あの後家に帰ってから真面目に考えようとしたんですがなんかもう悶々とするばっかりで隣のお姉さんを『装置』を使って無理やりたたき起こして眠くなるまで下半身のお世話をしてもらっちゃって。
 それでお姉さんに大きなおっぱいに二度目のぶっかけをしたところでいい感じの眠気がきてそのままグースカ眠っちゃいました。
 てなもんで借金対策は未だ思いついてないんですが……んー、どうしたもんですかねえ。

 ドンッ

「おろ?」
「あっ」

 ありゃ、眠いまま廊下を歩いてたんでぶつかっちゃいました。
 相手が体勢崩しそうだったのでとっさに肩を引き寄せてみたり。
 別に女性だからとかもしかしたら胸当たるかもとかの他意はなかったんですがおもっくそ体が近づいちゃいました。

「あ、あのー」

 なんか良い匂いがすると思ったら引き寄せた女子生徒から香水の匂いが漂ってます。
 蓮の花の匂いですかね。
 強いにおいなんですが鼻につく感じじゃなく逆に爽やかな印象を与える良い匂いです。
 校則で香水は禁止だからシャンプーの匂いかな?

「あのーー!離してもらえませんか!?」
「あ……どうも、失礼しましたーあははー」

 いつの間にか廊下の真ん中で相手を抱きしめる形になっちゃってたみたいです。
 蓮の匂いがする女子が顔を背けて赤くなっちゃってます。
 この子の声が大きかったので周りの注目を集めちゃってます。
 ひええ、恥ずかしい。
 思わずこっちも赤くなりながら手を離します。

「う、うわー。恥ずかしいなーもう」
「や、すんませんした。気いつけて歩きますねー」
「い、いえ。こちらも不注意でしたので」

 やばいですねー。
 思った以上に体力消耗+寝不足がたたってます。
 こりゃ残りの授業は寝てすごすことになるかな…

 さっきの子は俺が手をはなすとあっという間に廊下を進んでいっちゃいました。
 残り香がしたので後ろを振り向くとさっき俺が触れてた部分を軽くパンパンと叩いてます…

 ガーン
 ウシロそんなに汚くないよ!?

 何気ない仕草だったのかも知れませんが傷つくなー。
 ……今三時限なんで後一時限で昼休みか。

 眠くて倒れそうなので次の時間はサボりで睡眠、ついでにさっきの子の名前とクラスを調べておきますか。
 無意識かもとはいえ俺を傷つけるとは……次の昼休みにキャッキャッウフフだ覚えておけ。

「やっほー成美ちゃんと沙織ちゃんこれからお昼なんだよね?」
「えっとどちらさまでしょうか、お姉ちゃんの友達の先輩?」
「ううん。私は知らないけど…沙織の知り合いじゃないの?」
「さ、さっき会ったばっかりなのに…ま、まあいいんですけどね」
「え、私のこと?ごめんねー何組だったっけ?や、まったくおぼえないんだけど」
「お姉ちゃん何気にひど…」
「え、酷かった?ごめんねー。でも、本当に覚えてないんだからしょうがないじゃん」
「お姉ちゃん…」

 なんかなれなれしく声かけたせいかさっきより言葉遣いが…

「まあまあ、俺のことはいいじゃん。大事なのは君たちの名前なんだから。ね、名和成美さんと名和沙織ちゃん。」
「え、ちょっと話掛けといて携帯いじくるのって失礼じゃない?用ないならもういくんだけど?」
「あ、ごめんなさい。ちょっと現代の若者ごっこしてみただけなんです。実は話すことなんて何もないのにお二人が美しすぎてとりあえず呼び止めただけなんてことはまったくないんです。あ、ちなみに俺の名前は青山ウシロ。親しい人からはオナモミ青山って愛称で親しまれてます。よろしくね!」
「いこっか沙織。お昼休み無駄にしちゃったね」
「う、うん。お姉ちゃん知り合いは選んだほうがいいと思うんだけど…」
「えっ、今の私のせいなの」
「うん、お姉ちゃんのせい」
「そうなんだ……ま、いいや。行こう」
「あーあ、まだ購買売ってるかなー」
「売り切れてないといいんだけど…」
「ねー時間無駄にしちゃったからもう駄目かも」
「そんときは学食かー。空いてりゃいいんだけど」

 こ、この子らナチュラルに冷たいよ。
 こいつが無関心な現代の若者ってやつか。
 なんて時代だ。

「あ、あのー。ちょ、ちょっとだけお話いいでしょうか」
「もう、まだなんかあるの?用件あるんなら早く話してよ」
「お姉ちゃんまだー?」
「そ、そんなに時間かかんないですよ?。とりあえず『送信』っと」

 早いとこ用件をやっちゃいますか。
 今回『命令』したのは…

「ってまた携帯いじってるし、話す気ないなら私たちもう…………ってあれ?沙織、私たち何話してたんだっけ」
「もう、急がないと昼休み終わっちゃうって話でしょ」
「あ、そっか。んじゃダッシュしよっか?」
「駄目ー。廊下は走っちゃ駄目です」
「もう、硬いんだから」

 二人とも俺のことを無視して廊下を歩き出しました。
 廊下を見渡しても人はまだらで誰もこっちを見てません。
 俺は二人そろって歩きだした姉妹にぴったりくっ付くように歩いてみますが二人とも特に気にする様子はありません。
 えい、っと勢いをつけて後ろから二人のスカートをめくってみます。
 姉の成美さんのショーツは柔らかそうな布地に淡い青にで清純そうな下着。
 妹の沙織ちゃんの方は……なぬ!?この子スカートの下に短パンジャージ着とる!!
 こ、これは…なんという、なんということか…………すげえいいな!?
 スカート捲っても恥ずかしくないってことか、やっぱり自分から捲らせたいなー。
 例えばスカート捲るともう一枚短パン、でもってスカートの端咥えてもらって短パン太ももまで落としてもらってショーツを指でずらしてもらえば……やばい、興奮する!
 なんて後ろで勝手にスカート捲りながら熱くなっている俺だったが二人はスカート捲られてることも気にせずそのまま歩いていく。
 そう、今回おれが『命令』したのは『青山ウシロが何をしても気にならない』っていう命令なんですよ。
 別に俺が見えなくなったわけじゃなく二人ともなんとなく俺が気にならなくなるっていうのが今回の趣旨です。
 しかも……

「でも、急がないと本当に閉まっちゃうよ?」
「うーん、それじゃあ早足、早足なら妥協します」
「ほんっと沙織ってかたいなあー」
「お姉ちゃんが大雑把なの」
「ほらほら、喋ってると先にいっちゃうよー」
「もう、待ってよお姉ちゃん」
「駄目駄目、早く学食に行かないと……」

[その前に用具室にいかないと]

「っと、その前に用具室にいかないと……いけないんだっけ?」
「そうだよ、お姉ちゃん本当に忘れっぽいんだから。私が先にいっちゃうよーだ」
「ちょ、ちょっと忘れてただけだってば。待ってよ沙織ー」

 今回はこのように青山ウシロの言葉には無意識に従ってしまうようになっています。

「もう、なんで用具室なんかにいかないといけないんだろ。お昼の時間終わっちゃうじゃない」
「だから、急がないとでしょ」
「はいはい」

[面倒だし行く途中に短パン脱がないと、いざという時にすぐにパンツが脱げないからね。ついでに沙織ちゃんはブラも取っちゃおうか]

「あ、そうだ。お姉ちゃんは先にいっててよ。わたしなんかあった時のために先に短パンとブラ脱いでから行くから」
「もう、さっき脱いでおきなさいよ。待ってるから早く来なさいよ」
「はーい」

 成美ちゃんは沙織ちゃんを置いてさきに用具室に。
 沙織ちゃんは俺しかいないとはいえ廊下で短パンを降ろしちゃいます。
 そのまま制服の前ボタンも外さず下からブラのホックをはずしてスルッとブラジャーを取り出します。
 色は濃い目のピンク。
 お姉ちゃんとは違ってちょっと大胆な下着ですなー。
 よっと、もう一回スカートを捲ってみるとショーツも上と同じようにピンク色。
 セットの下着だったんですね。
 それもやっぱり気にせずに沙織ちゃんはお姉ちゃんのところに向かいます。

[いまのうちにブラの匂いを吸い込んでおかないと後で時間かかっちゃうな]

「そうだ、いまの内にブラの匂い嗅いでおかないと」

 フンフンと犬のように鼻を動かして自分の汗がしみこんだブラジャーの匂いを確認する。
 沙織ちゃんはそのあと後ろをつけてる俺を気にせずにブラを鼻に擦り付けながら用具室まで歩いていきました。
 ちなみに後で使うかもしれないので短パンは俺がもって行きました

 酒城南学園の三階の一番南端にある用具部屋の中。2年のバレー部に所属している名和成美は困惑していた。

〔用具室に来たはいいんだけど……いったいなんの用事だっけ?〕

 お昼ご飯を食べる大事な昼休みを削ってまで来るほど大事な用があったはずなのに一体どんな用事があったのか思い出せなかったのだ。

〔今日はただでさえ朝ごはん抜いてきたからお腹すいてるのに……変な男子には会うし用事も思い出せないし最悪!〕

 沙織も短パンとブラを脱いでないせいで遅れてくるし。
 ちゃんと朝からしてこないなんてしっかり者の妹らしくない。

〔これは購買パンを買って次の休みに食べることになっちゃうかな〕

 刻一刻と進んでいく時計の針を見て昼休みに食事を終えることをあきらめる。

〔とりあえず、早く用事を思い出してパンを買いに行かないと!〕

 そう決めた所でドアが開く。一瞬沙織がきたのかと思ったが入ってきたのは先ほどの変な男子生徒だった。

「ちゃんと妹を待ってくれたんですね~。こういうところは感心、感心。沙織ちゃんはすぐに来るよ。ちょっとブラの匂いを嗅いでて遅れただけだから」

 男子生徒はなにか変なことを言っていた気がしたが特に気にはならなかった。
 そんなことより早く用事を思い出さないと……

[ここに何で来たのか?って思ってるんですよね。成美ちゃんがここに来たのはガムテープでエッチな格好をして妹に見せ付けるためですよ。ほら早くガムテープを見つけないと]

〔そうだ、何で今まで忘れていたんだろう。私は沙織にガムテープを使ったエッチな格好を見せるためにここに来たんだった!〕

 目的が思い出せると急に嬉しくなる。はやくガムテープを見つけないと。一体どこにあるんだろう?多分どこかの棚の中にでも入っているはずだ。
 また、さっきの男子がまたスカートを捲ってる。スカートの中の新品のショーツが晒されているけどそんなことはどうでもいい。
 今のうちにエッチなポーズも考えておかないと。スカートをまくってガムテープで止めればエッチだろうか?駄目だ、もっとエッチな格好があるはずだ。例えば……

「こんなポーズどう?ほら、沙織に私のエッチな所全部見られちゃってるよ。私の汚いところ全部沙織に見られちゃってる~」

 あの後成美はガムテープを使ったエッチなポーズをいくつか考えた後時間を省くためにすぐにエッチなポーズをとってそのまま沙織を待つことにした。
 初めは年頃の女性としての羞恥心もありスカートとブレザーを捲りあげたままくっ付けてブラとショーツをさらしたまま頭を上に固定したポーズぐらいしかできなかったが、すぐにもっとエッチなポーズじゃないと妹に見せることはできないと思い直し自分の知識を総動員してエッチなポーズを考え出した。
 途中であの男子生徒が何か言った気もしたが精々成美が思いっきり開いて両端をガムテープで止めたオマンコをまじかで除かれたぐらいで彼女の気に止まるようなことはなかった。

 ブラの匂いを嗅ぎながら用具室に来た沙織は一瞬普段では考えられない企画物のAVのような格好をしている姉の姿を見て驚いたが、すぐに用具室に来たのはエッチな姉を汚い言葉で罵ってあげるためだと思い出しそのまま自分の姉を精一杯罵り始めた。
 そして、

「ああんっ、も、もう、お姉ちゃん本当に信じられないよね~。……はあっ、はあっ、妹にお尻の穴もオマンコの穴も全部開いて見せるなんて本当に露出狂だよ」
「うん、お姉ちゃん露出狂なんだ……」
「あはっ……ううんっ……な~んだ、自分でも分かってるんだ。はあっ、はあっ、まあ、尻毛が見えちゃうくらいガムテ-プでお尻の事開いたままにしてたんじゃ……はああっ……誰だって変態さんだって分かっちゃうけどね~」
「も、もう。沙織だって変態なのは変わらないでしょう。ほら、オマンコから精液漏れた格好で言ったって説得力ないよ~」
「あふううんっ、わ、私はただ先輩のチンポくわえ込んでるだけだもん。全然変じゃ……ああんっ……ないよ」
「どうかな~、チンポ入れてるだけなのにすっごくエッチな顔してるよ?」
「も、もう!ガムテープを勃起させたクリトリストと乳首に張ってるお姉ちゃんが言わないでよ!」

 用具室の中はあきらかに異様な空間になっていた。
 成美は一糸纏わぬ姿で妹に自分の体を見せ付けている。
 それもただ裸というわけではなく自分のオマンコとお尻の穴を最大限開いた状態で維持するようのガムテープが張られている。そのほかにクリトリスと乳首を保護するような形で三枚張られているが茶色いテープの上からでもその三つの部分が膨張しているのが分かるくらい膨れ上がっていた。
 妹に罵ってもらうためクルクルと自分がエッチだと思うポーズを作る。
 最初はただ自分の恥ずかしい部分を見せればいいと思っていたのだが途中から体勢も大事だと考え自分の胸に下を伸ばすようなポーズやオマンコを弄びながら大きくV字に足を上げるポーズなど色々工夫して披露してみた。

 沙織もそんな姉の姿を見て普段は絶対に使わないようなメス豚や淫乱のような汚い言葉で姉を罵っていた。
 そして沙織もただ罵るだけでなくそんな姉妹の姿を見て勃起させた男子生徒がチンポを入れたいと言ってきたので自分から男子生徒の股の上に跨りチンポを咥え込むことになった。
 沙織自身はただ先輩の性欲解消に付き合ってるだけなので何で自分が快感を感じているのか理解できないが、知らない男の上に跨り自分から積極的に腰を振ってる姿は姉に負けず劣らず淫乱な姿だった。

[そろそ成美ちゃんもエッチな格好だけじゃ飽きてきたでしょう?妹がセックスしているところを見てオナニーしないと。ほらほら、そういうところ見られてもっと妹に罵られたくなってきた]

「ま、まったく……あんっ!……チンポにはめてる……だけじゃなくて……キャッ……お姉ちゃんの……オナニーを……ちゃんと見なさいよ……」

 ウシロに指示されたとたんに成美はカポッと開いている自分の指を口で濡らして何度もアソコに入れ始める。
 言われたとおりに妹が犯されている姿、とくに二人の結合部のあたりの白濁液が染み出している股間を凝視しながら自慰に浸る。
 元から妹に言葉攻めをされて興奮していたのでヌチャヌチャとした粘膜がいやらしく濡れる音がすぐに二人に聞こえるほど大きくなった。

「う、うわ~お姉ちゃん……つっ………ああんっ……妹がチンポいれられてるの見て興奮してるんだ。あはっん……本当に……変態すぎるよ……指一気に三本も入っちゃうなんて……お姉ちゃんは胸も大きいけど、アソコも大きくて……ガバガバなんじゃないの?…きゃ、チンポもっと大きくなった!……」
「だ、だって~……沙織がいけないんだよ…やんっ……そんなに……気持ちよさそうに……してるから……あはっ…」
「そういう………きゃ…妹に興奮しているのが……変態なんだよ……ぎゃっ!!……あっつい……また……出てるよ……」

 ウシロの本日3度目の射精が沙織の中に注ぎ込まれる。沙織の処女だったアソコは何度も犯されて段々と広がり一回目の倍以上中に進入できるようになっていた。
 そしてウシロの指示により妹の精器からこぼれた精液と体液の混合液は姉である成美が犬のように舐めてふき取ることになっている。
 芋虫のような姿勢でオナニーをしながら床に落ちた液体を舐めとる姉の姿をみて沙織は再び犯されながら姉を罵倒するのだった。

「あ~、もうそろそろお昼の時間終わっちゃうじゃない。沙織がいつまでもチンポに跨ってるのが悪いんだからね」
「え~、しゃくとり虫みたいな格好でお姉ちゃんがずっとオナニーしているのが悪いんでしょ~」
「もう、そんなこと言い合ってる暇も無くなっちゃったわよ。ほら、早く着替えてパンだけ買ってこよう」
「わ、お姉ちゃんちょっと待ってよ」

 あれから4度目の射精を終えて時間を見るともうすぐお昼も終了っていう時間帯でした。
 ここからダッシュしても購買は間に合うか間に合わないかの瀬戸際でしょう。
 なんですが……

[お昼なんかよりよりお互いのお尻の掃除をしないとでしょう。姉妹でおしっこ掛け合ったりお尻を舐め合ったりしないといけないんですよね?]

「ってなんで購買に行かなきゃいけないのよ!そんなことより、沙織早くお尻出してよ」
「え~お姉ちゃんが服着ろって言ったんじゃない。もう、おしっこ掛けないといけないのになんで服着ないといけないのよ」
「ちょ、ちょっとした間違いよ、間違い。ほらお尻舐めるから沙織は上に載ってよ」
「お姉ちゃん脱ぐのはや!私のほうは別にお知りじゃなくてオマンコなめてもらってもいいんだけどね~ちょうど汚れちゃってるし」
「駄目、初めはお尻から綺麗にしてあげるの」

 二人とも着ていた制服をあっという間に脱いで再び全裸に。
 そして、シックスナインの体勢でお互いのお尻の中に舌を突っ込み始めます。
 俺にできるのは二人のお尻のなかに実が詰まってないことを祈るだけですね。
 ありゃ、沙織ちゃんの方は我慢してたのかはやくも成美ちゃんにおしっこを引っ掛けてます。

「さ、沙織~、出すときは出すっていってから掛けてよ~。一緒に掛け合おうと思っていたのに~」
「えへへ。ごめんね~。少し我慢したから残りは最後にお互いの顔にかけようか?」
「まったく、しょうがないな~」

 この後の姉妹によるスカトロ気味のプレイも見たくはあるんですがあいにく俺は一時間早まったバイトのために英気を養っておかないとならないんです。
 さっき4回も出しちゃいましたしね。

『次の時間には今までのことを全部忘れて後始末をした後教室に戻る。あと、なにも覚えてはいないがこれから夜には姉妹でアナルをつかったプレイがしたくなる』

「送信っと」

 これでよし。これから成美さんもお尻に興味を持てばもっと匂いに気を使わなくてはならなくなりますね~。頑張ってください。
 さてと、教室に戻りますか。

 ◆

 蓬原千尋の人生遍歴は女性との歴史だった。
 幼い頃の記憶をたどってみても自分が男性と交流した覚えがない。父でさえほとんど記憶になく気づいたときにはいなくなっていた。
 昔から、そういう性質とでもいうのか千尋は女性には意味もなく近づかれ男性にはわけなく距離をとられた。
 今現在普通に接することがある男子は『身内』という立場におかれている青山ウシロだけ。
 まあ、他の身内も女性とは見ていなかったが。
 ようするに千尋は本人の好む好まざるに関係なく男性とはほとんど接することはなかった。

 対して女性との出会い、交流は呆れるほど鮮明でかつ多彩である。
 とりあえず上に姉がいる(口うるさくお節介で兄妹思いだ)
 下には妹がいる(最近携帯を買って貰い意味もなくメールを打ってくる)
 隣には幼馴染がいる(朝起こしに来るし時々一緒に帰る)
 その友達の委員長でなぜかよく遊びに来る(テストは満点でもちろんメガネを掛けている)
 よく行く図書室の受付はなぜかこちらを気に掛けている(図書室に行くたびにお勧めの本を紹介してくる)
 クラスのムードメーカーはなぜか毎回ちょっかいを出してくる(あっちから手を出してくるくせにこっちから手を出すと赤くなる)

 ウシロに言われたことがある。
「女の子と付き合うことはないんすかね?」
 多分ないんじゃないのか、と漠然と考える。
 異性と付き合うことに興味があるとかないとかの話しではない。
 俺が好きなのはもっと別のこと……

 例えば俺に付きまとわってくる女を自分の好き放題にすること。それは決して恋人同士になるようなことじゃない。
 相手のことを自分の意のままにする独裁者のような趣味趣向だった。

 最上橋を一望できる酒城駅から十分ほど歩いた日和山公園の頂の一角。
 そこがウシロ達のバイト先、カフェ『エジト』日和通り店。
 ポストモダン風の建築がなされた入り口から薄暗くなった表通りへエジトを支える勤労少女、雁辺宮子とあまりシフトを入れたがらない不真面目な少年蓬原千尋が並んで出てくるところだった。

「んで、これから家にくるんだっけ?」
「え、いつからそんなこと決まったんですか?」
「はっ?なんか話しあんだろ。どっか寄るの面倒くさいし家に決まってんだろ」
「……そうですね」
「だろ?」

 宮子は一瞬なにか言いたそうな顔をしたが千尋が一度決めたことを変えるわけがないと思ったのかなにも言わずに後をついて行った。

「歩きながらでも用件は聞けんだけど。詳しく話さないといけないようなことなの?」
「次の仕事の目処がついたんでそのことでしっかりと打ち合わせしたくて。とりあえず見取りと段取りはしっかり理解してもらって、あと日付は三日後あたりになりそうです」
「内容はなんだよ内容は?今話せることだけ話しとけよ」
「酒城の西口に最近でかいビルできたの知ってますか」
「あーなんだっけ。いっつも見てんだけど名前知らねーな。あの悪趣味な白い光まくってるビルだろ」
「そうそう、そのあれです。ちなみに名前はパレスですね」
「で、そのパレスがどうかしたの、まさかウチがそこに出店することになったなんて……ねえーな」
「まあ、ないんですけどね」

 二人はすこしだけ顔を見合わせて薄く笑う。
 多少自虐的な冗談を笑い会える関係というのが宮子と千尋の仲が浅くないということを感じさせる。

「んでさ、これからコンビニ寄るんだろ。ローソン近いからいいんだけどあそこ俺の好きなパン置いてないからさチョイ離れたデーリーいかねえ?」
「えっ、いつからそんな話になったんですか?接続語がまったく機能してないんですが…」
「はっ?これから何も飲まないつもりなの。明日休みなのに飲まないわけないだろ」
「…………そうですね」
「だろ?」

 宮子は大きく眉をひそめるがそれでも何も言わずについて行った。

 俺が推薦したコンビニのレジ前。
 宮子は結局酒しか買わなかった。
 こいつって大人しそうで黙ってりゃそれほど悪くないしいかにも私いいところのお嬢様ですって雰囲気出してるくせに料理できないおしゃれはしない何気に大雑把と結構なやつなんだよな。
 はあ、早紀がいりゃ上手い飯作ってもらえたってのに。
 あーでも最近妹の弥生が料理勉強してんだっけか。
 適当になんか作らせてみっかな。

 レジのバイトは近くの女子大生だろうか、髪を後ろでまとめて胸も結構大きい。名前は高田とプレートに書いてある。
 髪が黒に近い茶髪だと周りに合わせて髪染めましたって思っちゃうのは俺の偏見かね。
 この女も黒に近い茶髪で周りに合わせてんのかなって思ったけど耳に小さなピアス二つ。微妙なところだ。

 とりあえずレジに来たんだがカゴの中は大半が飲食物、それも缶ビールやウイスキー、カクテルのためのコーラなどアルコール類やそれに類するもので占められている。
 しかも俺は近くの共学の制服だし、宮子は超お嬢様学校の制服を着ている。
 普段はどんなに未成年に見えてもスルーして買わせてるんだろうがさすがに制服をきている人間にアルコールは買わせられないだろうな。

「あのーお客さま、申し訳ありませんが未成年の方にはお酒をお売りすることはできませんのでご了承お願いします」

 まあ、そうだろう。
 隣をみると宮子が催促するような眼で俺をみている。
 へいへい、わかってますよ。
 周りを見渡して俺たち以外に客がいないことを確認して俺はすばやく店員の手を掴んだ。
 いきなり手を伸ばされて驚いて振り払おうとするが気にせず一気に『条件』を決める。

「お、お客様!?ちょっとなにすんの!触らないで!!」

 素が出てんぞ。
 もうちょい客に対する態度考えろ…ってこっちも客の領分はみだしてっか。

「黙っとけ、外に聞こえるような声出すな」
「……ねえ、手はなしてよ」

 今にも叫びだしそうだった女が急に大人しくなる。

「あと、俺達に疑問を一切感じんな。俺たちがしてることは全部常識だと思ってろ」
「はーい。お客様、会計はこちらでよろしいですか?」

 ようやく客に対して笑顔を向ける気になったか。
 手をもっと強く握るがただニコニコとしている。

「結構笑ってる顔は可愛いのな、もっと思いっきり笑ってみろ。俺たちに対してももっとフランクでいいぞ。友人に接するみたいな態度にしろ。それと名前は?」
「えへへ、りょうかーい。名前は高田真理子だよ。よくマリって呼ばれてんの。よろしくねー」

 バカみたいな明るい笑顔をこっちに向ける。
 こっちの命令でなれなれしくさせるってのは全然むかついたりしない。
 むしろ可愛がってやりたくなる。

「あっそ、俺は千尋だ。んでこっちが宮子」
「うんっ、千尋君に宮子ちゃんね。ってか千尋くんも宮子ちゃんも綺麗だねー。何?二人とも付き合ったりしてんの?うわー美男美女、お似合いー」
「うん?そうみえんの?そういうのは違うんだけどな」
「え~違うの?嘘ー超似あってるよ。宮子ちゃんちょっと背低いけど千尋君が高くてさお姫様みたい。もう理想像みたいな!?」
「……かしましいですね」

 ボソッと宮子がつぶやく。
 うへ、今のでこいつ機嫌悪くなったな。
 というか、俺の彼女に間違われて機嫌悪くなるってどういうことだといいたいね。

「千尋、この人どういう条件にしたんですか?」
「手にぎれば何でも言うこと聞いてくれる感じだな」
「そうですか」

 宮子がマリの左手を思いっきり掴む。

「きゃ、どうしたの宮子ちゃん?」
「『漏らせ』、この場で思いっきり」

 宮子が命令するとマリは驚いた顔をしたがすぐに合点が言ったという顔をして思いっきり頬を赤くし下半身に力を入れ始める。
 あまり溜まってなかったのかしばらく内股でウンウンと唸っていたが最後には少量のおしっこがズボンの間から漏れ出してきた。
 ポツポツと小さい雫が股からこぼれマリの足元に小さい水溜りを作り出す。

「ジーパンで残念でしたね」
「一応聞いとくけど、何がだ?」
「スカートはいておけば汚れるの一枚ですんだのにってことです」

 いつもと変わらない無表情。
 だが長い付き合いからか宮子がまだ満足していないのが見て取れた。

「あんまりでませんでしたね」
「う~ん、さっきだしたばっかりだったから。もっと思いっきり出した方が宮子ちゃん的にはよかったの?」

 股間が濡れてんだからすこしは処理すりゃいいのにまったく気にすることなく宮子との会話に戻る。
 量が少なかったから匂いがあんまりしないってのが救いかね。

「じゃあ、もういっかいお漏らししてください。今度はそうですね…これ飲んでからチャレンジしてもらいます」

 宮子が取り出したのは割るときに使おうとおもってたコーラだ。
 しかもまだ買ってないやつ。

「おいおい、まだやらせんのかよ?」
「は~い、んじゃさっさとコーラのんじゃって思いっきりお漏らしするね」

 しかもマリはやる気満々だしな。
 宮子はそんなに放尿が好きなのか?

「別に。ただ年上のやつが退行的な行為するのが好きなだけです」
「うへ、宮子歪んだ一面出しすぎ」
「貴方ほどじゃない」

 宮子はコーラのペットボトルの取り出すとバーテンがシェイカーでも扱うかのような手つきで思いっきりそれを前後に振る。
 蓋をあけてないのでそれほど変には見えないが先の方は泡が詰まっていて今にも爆発しそうになっている。

「口バカみたいにあけててください、飲ませてあげますから」
「う~ん、それはいいんだけどさ」
「何ですか?」
「さっき漏らしたときにからズボン濡れてて気持ち悪いんだよねー。ちょっと脱いでいい?」
「別に関係ないでしょう、どうせこれからもっと汚れるんだから」
「あ、そっか。それもそうだね!はい、あーん」

 マリは恋人に弁当でも食べさせてもらうのを待っているバカップルのような大口をあける。
 実際に彼女に恋人がいるとすればこんなことをしてあげる立場なのかもしれない。

「少しでも口から出さないでくださいね。飲んださきから漏らしちゃって構わないので」

 そりゃお前は構わないだろうよ。

「あいあい」
「じゃ、いきますね」

 マリの返事と同時に宮子は捻りきるように蓋をあけてすばやく、まったく躊躇せずに彼女の口に炭酸が爆発するようなコーラを流し込む。

「……んっ!!んんんっっ!!!んぐっ…………はあっっ!!」
「へえ、あんまり口からもれてませんね」

 宮子は冷静にマリの様子を観察するが洪水のようなコーラを上から流し込まれてるマリはそれどころではない。

「がはっ…………ああんっっ!!ぶっ…………はあっ……ううっ……う!?」

 更に宮子が喉をつくように容器を置くに押し込み始める。
 マリも必死に口から出さないようにするがなにせ量が多い。
 唇の端から泡のようなコーラが漏れている。
 無意識に左右の瞳から涙が零れ落ちすこし逆流しているのか鼻からも水が出てきている。
 滝のように汗も流していて下半身は上のコーラが直接流れてきてるとでもいうような怒涛の放尿だ。

「がっ………ああっ……ぶぶっ……ぶっ……フゥッ!…フッ!」

 ドクドクと流し込まれる炭酸に合わせるようにマリの全身が痙攣したようにゆれる。
 体中から体液という体液を搾り出しながらひたすらにコーラが尽きるのを待っている。

「あ、終わりましたね。真理子さん意外と根性あるじゃないですか」
「フゥッ!フゥッ!フゥッ!……ブッフッ……ハアッ!…………お…おわっ……?」
「ええ、終わりました」
「うっ……はあっ……はあっ……おわった……んだ……よね?苦し……かった…」

 今まですえなかった分の酸素を補給するためにマリは大きく深呼吸をする。
 まだ喉が苦しいのか呂律が怪しく息も絶え絶えといった感じだ。

「ご苦労様です。それじゃあ私たちもう行きますね」
「やっと終わったのかよ」
「お待たせしました。……ここにきたのお酒買う為でしたね、すっかり忘れてました」
「そういやそうだったな。お前のせいで危うく忘れるところだったよ。……今のって女の同族嫌悪みたいなもんなのか?」
「はあ、別に私は男女で態度変えたりしませんけど」
「そ、そうかよ」

 宮子のあんまりな発言で思わずどもってしまった。
 しかも男女で態度変えないのかよ、変えろよ。

「さてっと」

 宮子はようやく呼吸の整ってきたマリの左手を再び強く握る。

「私たちはこれカゴごと貰っていきますね。お金は真理子さんの財布から出しといてください。それじゃ」
「は~い、ちゃんとばれない様にレジにお金いれとくねー」
「それと、さっき飲んだコーラ全部漏らしたわけじゃないですよね?」
「う~ん、結構出したけどなー。ほらズボンの股のところからまだおしっこ漏れちゃってるもん」
「そうですか?でもまだ出るでしょ、だからこれあげます」

 そう言ってマリに先ほど彼女自身の口に突っ込まれたペットボトルを渡す。

「ズボン脱がないでいいですからジーパンの中にこれ入れてください。で、その口のところ股間に突き刺してそんで残りのおしっこその中に入れてください」
「うん、これを……こうやってズボンの中に……入れて……ってこれ結構きついよ」

 ジーパンの右足の側に伸ばすようになんとかペットボトルを入れる。
 外からみても何かが入っているのが丸分かりなほどズボンが膨れ上がる。

「そんで……股間の真ん中に……持ってきて……よっと!」

 右手をズボンの中に入れてペットボトルが自分の股間に当たるようにする。
 女性が無造作にズボンに手を突っ込んでいる姿はかなり卑猥だな……

「んで……あそこに……入るように……口をあてて……一気に……えいっ!!出来た!!ちゃんと股間にペットボトル入ったよ!」

 自分の女性器にペットボトルを突っ込んで喜ぶ女ってのは結構滑稽な図になるんだがマリはそんなことは気にせずに無邪気に命令されたことが出来た嬉しさを言葉に出す。
 膨れ上がったズボンの股の部分を透けてみればぴったりと尿道口にくっついたペットボトルの口が見えるんだろう。

「そうですか。まあ、上出来ですね。今日家に着くまでそれとらないで下さいね」
「お~ってことは今日家に帰るまでトイレ行かなくていいんだー。これ便利だねー」

 そういって股間のペットボトルをペシペシと叩く。
 そのまま衝撃がマキのあそこにも伝わったのか顔が赤くなる。

「あっ、うわー今の衝撃でちょっと漏れちゃった」

 てへへ、と少し卑猥に笑うが宮子はもう興味をなくしたようでドアのところにカゴをもったまま歩いていった。

「それじゃあ私たちもう行きますね、さようなら真理子さん」
「あーなんか色々騒がせたな。そんじゃいい夢でもみろよ」
「は~い、千尋君も宮子ちゃんもまたきてねー」

 マキはアソコにペットボトルを刺しっぱなしの格好で大きく手を振る。
 その笑顔は親友に向けるような明るい笑顔だったが宮子はもう顔を向けなかったし俺もそれほど彼女に興味があるわけではないので手だけ挙げてそのまま出て行った。
 彼女は今日家に着くまで尿意を感じたら全てあのペットボトルにだすんだろうな。


 大都市酒城とはいえ駅を二つほど離れると夜中はほとんど明かりがなくなる。
 そんな蛍光灯の光で前を確認するような夜道を蓬原千尋と私は歩いていました。

 話題は千尋の気まぐれでころころと替わる。
 普段ならあまり乗ったりはしないんですが今日は私のコンビニで取った時間のせいで駅で更に待つことになったのでとりあえず適当に相槌をして話をあわせてやりました。

「てかなんで今日ウシロと早紀は来ないわけ。最近週末は大体一緒だったのに」
「二人とも借金で忙しいらしくて」
「借金ってそんなに多いのか?何に使ったんだ?早紀は奨学生だろ?ウシロは風俗にでもはまったか?」
「後で本人たちから聞いてください。あと金が入用らしいので早速今回の仕事から二人にも手伝ってもらいます」
「ふーん、興味ないけどなんか大変なの?で、お金の配分は?」
「私たちが9で二人には1です」
「なんつー配分だ……」
「現場で働くのは私たちですから。二人には当日までに見取り図と計画表の制作の手伝いをしてもらうつもりです」
「そうかい、ほら着いたぞ。残りの話は家のなかでだな」

 蓬原の家は本人の隔離級性格破綻に対しては普通すぎるほど普通の家です。
 ここら辺の住宅街は酒城の発展に伴いつられる形で人口を増やした場所です。
 そのなかで元からあった蓬原家は仕事のためには造られた家とは違う、家庭を感じる温い雰囲気のする家でした。

「ただいまー…………あ~そうだったな。昨日からやりっぱなしだったっけ」

 蓬原が先に入ると中から二人の姉妹の声がする。
 蓬原の姉妹とは私が週末にこの家に来るといつももてなしてくれるので中々の顔見知りです。
 3兄妹で一番上になる長女の櫻は面倒見がよく私や紅部がくるとよく部屋に遊びに来たり夜食にラーメンを作ってくれたりする。最近妹と料理の勉強中らしく創作料理を勧めてくることもあるが紅部に料理の基本を教わってから図画工作のような料理を出してくることはなくなりました。
 一番下になる次女の弥生は姉に連れられてよく蓬原の部屋に入ってくる。世話焼きで私たちのかなり荒んでいる生活をみかねて料理を作ってあげようと櫻に話したらしい。客観的にみると兄である蓬原に兄としての敬愛以上の感情を持っているように感じるときがあるが蓬原自身は家族に対してはいつも飄々としてるのでやきもきしているのが眼に取れる。もしかして私や紅部が弥生の嫉妬を招く時が来たりするのだろうか……不愉快だ。

 櫻は今年で近くの女子大の3年生でこの家に来るとき以外にも酒城駅のちかくで同じ学校の友達と遊んでいるときに会うときもあるんですがそのときは普段の世話焼きな顔以外に友達と仲良く遊ぶ年頃の女の子の顔を見ることが出来ます。
 弥生は来年受験ですがまだ志望校が決まってなかったはず。兄のいる共学の学校か私や紅部が通うお嬢様学校を本気で目指すか迷ってるらしくてたまに相談されることがあります。私としては共学一択がお勧めなんですが。

 私達と蓬原の家族とはこうやってたまにお世話になったりたまに遊んだりする仲なんですが…
 先に中に入った蓬原は玄関で立ち止まりなにか失敗したような声をあげてます。
 というより何か反省してるような声ですかね?

「あの、どうかしましたか?入っていいんですかね」
「まあ、いいんじゃね?ほら、姉ちゃんに弥生、きょうは俺と宮子だけだからなんか上手いものでも注文するか?」
「宮子ちゃん来てくれたの!?最近あんまりこないから千尋が嫌われたのかと思ったわよ。千尋がなんかしたんじゃない?」
「……するわけねえだろ、こんなペットボトル女に」
「櫻ちゃんそれはお兄ちゃんちょっと失礼だよ……宮子さんいらっしゃい」
「こんばんわ、じゃあ失礼します…………え」

 玄関に入ると弥生と櫻の姿が見える。
 そして、蓬原の背中が邪魔で全部は見えないが二人とも何も衣服を身に着けずにででんぐりがえったようなポーズをとっていた。
 思わず蓬原にジト眼を向けると本人も少々気まずそうな顔をしてる。

「どうしたのかな?宮子さん玄関で立ち止まっちゃった」
「弥生ちゃんのアソコがあんまり綺麗で見とれちゃったとかじゃないの。まだ子供だから綺麗なピンク色だもんね~」
「も、もうお姉ちゃんやめてよ。わたしのアソコなんてそんなお姉ちゃんとかに比べたら全然だし、そんな……」
「そう?まあ年の割にはお毛ヶがちょっと濃いかな~」
「それはお姉ちゃんが薄すぎるだけ!」

 二人とも恥ずかしがることなくお互いの精器について話し合ってる。
 蓬原の横にいくと二人の痴態がさらにはっきりと見える。
 二人はこちらに裸でM字に足を開いて更に両手をつかって普段なら絶対に見せることないだろう自分のアソコを思いっきり引っ張っている。
 正面から凝視すれば尿道口も膣も丸みえだ。
 櫻が言っていたように陰毛は櫻の方が薄いが弥生が濃いのではなく歳の割りに櫻が薄すぎるのだろう。
 こちらに投げ出すようなこの格好だと肛門も見えてしまうがこっちの毛のほうもやはり櫻のほうが生えてない。体質なのかしっかり処理してるのか。

「これって私にアソコ見せてくれてるんですよね」
「……まあ、そうだな」
「条件は人を迎えるときの挨拶ですか?」
「そうだな……つうか昨日テンション上がってたときのそのまんま放置して学校いったんだった俺」
「ああ、別に私のために仕込んだわけじゃないんですね」
「残念か?」
「心底安心しました」
「だろうな」

 二人に向き直ると私がまだ中に入らないせいで卑猥な『挨拶』のポーズで固まってます。
 いつまでも待たせるのもなんなのでさっさと靴を脱いで入りました。

「あ~つかれた。このポーズ足が攣りそうになっちゃうんだよね~」
「そうそう、しかもちゃんと開いてないといけないから手も疲れるし」
「ほんと、ほんと。今度からアソコになんか挟んで手使わなくてもいいようにしようか?」
「なんかって?」
「例えば……消しゴムを縦にいれておくとか」
「いいかもしれないけど見えにくくなっちゃわない?」
「そっか、ちゃんとアソコ見てもらわないといけないからそれじゃ駄目か……」

 姉妹そろってどうやって疲れずにアソコを開いてられるかということ話題で盛り上がってます。
 二人とも美人だしあんな扇情的なポーズで誘惑されたら嬉しくない人はいないでしょうし私も嫌いなわけじゃないんですがやっぱり不意打ちでくらうのはちょっと……といった感じです。

「そんじゃ、俺の部屋いくか」
「あ、先行っててもらえますか?」
「ん?なんだ便所か?」
「……飲むんでしょう、氷とコップ取ってきます」

 この家は居間と台所がつながってるので飲む用意をするため勝手に居間へ入ります。
 かって知ったる人の家っと。

「昨日っていえば……そういや居間の方も……宮子ちょっと待っ」
「……」
「遅かったか……はあっ」

 蓬原の吐き出すようなため息の理由は部屋を見ればすぐに分かりました。
 居間に入ると眼に飛び込んできたのは普段三人が一緒に食事をしているテーブルとそれに付き添うように裸でブリッジをしている二人の女性。
 制服がそばに畳まれているのをみるとおそらく蓬原と同じ学校の生徒かだと思う。

「ずいぶんとまた……」
「ああっ!千尋やっと帰ってきた~。昨日からずっと放っておかないでよ~」
「千尋君お帰りなさい、朝からずっと椅子になってて疲れちゃったよ」
「教室に誰かいないと思ったらお前らだったか……もしかして朝からずっとその格好?」
「もう、この椅子の格好してるのすっごく疲れるのに千尋朝から顔も見せないで学校行くんだもん」
「そうだったっけ……腹とかすいてないの?」
「大丈夫ですよ、ご飯は食べれないですけど飲み物は櫻さんと弥生さんに飲ませてもらってましたから」
「この格好で飲むのすっごく大変だったんだから……」
「……あなたって本当にいい趣味してますね」

 普段は蓬原のこういう所もあまり構わないのだけど今回はこんなことをしながら放置して置くなんて……
 彼らしくないというか。
 どうせやるだけやったあと疲れて寝て忘れてたんでしょうが、後始末ぐらいは最低限やらないと困ったことになったりするんですよね。

「や、ちょっと待て。昨日やばいくらい上がってたんだ。んで普通のテンションの時にそのときのことを思い出すと恥ずかしいってあれだ。分かるだろ」
「ちょっと、その女の子誰よ?見たことのない制服だけど……柚木は知ってる?」
「わ、私も知らない子だけど……中央女学の子?」

 蓬原と同じ学校らしい二人の女子が私を少しいぶかしむような眼で見ている。
 多分この子達も蓬原が好きなんでしょうね……
 なんでこんなぱっと見男女が異性にもてるんでしょうか?

「これ、青山が見たら憤怒しそうな光景ですね」
「ん、そうか?あいつってこういう趣味あんの?」
「そういうことじゃなくて……まあ、偏差値も違うし、しょうがないんですかね」
「俺とあいつって偏差値の誤差プラマイ1程度なんだが……」
「や、顔面偏差値です」
「……この女なんつう単語を」

 私のバイト先に青山ウシロって男がいるんですがこいつがまた無駄に異性に交流を求める男で、よく私や紅部の学校のつてや蓬原に女の子を紹介してもらおうと付きまとってくる少々ウザ気な人間性と人形劇で昼ドラを演じる歪んだユーモアセンスの持ち主です。
 青山だってあの捩れ曲がった性格を直して無駄に広い社交性を一人の異性に注ぎ込めばそれほどもてないわけではないと思うのですが……

「……あのー!すみませんがどちら様でしょうか!千尋もさ~仲良く話してないで紹介してくれないの?」
「み、みゆちゃん初対面の人にそんなこと言ったら失礼だよ」
「だって千尋せっかく帰ってきたのにその人と話してばっかりじゃん!私たちがずっと椅子になりながら千尋のこと待ってたのにさ。柚木はなんとも思わないの?」
「そ、それはやっぱり……でも……」

 やっぱりこの二人、蓬原のこと好きなのか……今日はなんか疲れる。
 裸ブリッジで嫉妬の目線を向けられてもそれほど本気に見えないってのは救いといえば救いでしょうか。
 みゆと呼ばれた子は肩に掛かるくらいの髪をゴムでしばって後ろに纏めている。目の力が強くまっすぐだ。純粋に蓬原のことを慕っているんだろう。
 体つきは同い年の子の中では平均的といった感じだろうが胸だけがかなり膨れていて顔や全体のバランスをやや崩しているように見える。しかしボールペンでが胸に91という数値が書き込まれて赤く丸で囲まれているあたり蓬原の好みの体型なのかも知れない。
 柚木と呼ばれた子は髪を左によせて眼に掛かるくらいに伸ばしている。近くの制服に眼鏡がおいてあるので普段は眼鏡なんだろう。人を諭すような空気で多分クラスでは委員長かそれに類する役割なんでしょう。
 彼女の裸は筋肉が全身的に引き締まっていてとくに太股から踵にかけては芸術的です。ただ胸がかなり小さく見えるのはみゆさんと比べてしまっているからでしょうか。彼女にもボールペンで落書きがされているんですが彼女の落書きはかなり卑猥で股間のあたりにペン立てと書いてあり実際に何本かカラーペンがつっ込まれます。しかも胸にはなぜか乳輪のサイズが書いてあり乳首も色がつけられているあたり昨日の蓬原のテンションの高さがうかがい知れます。

「失礼しました、蓬原さんと一緒にバイトをしている雁辺宮子といいます。よろしくお願いします」

 第一印象がかなり悪かったらしいので一応頭も下げておきます。
 するとこっちに敵意がないことが分かったのか二人ともすぐに申し訳ない表情になりました。
 こういう感情を隠さないっていうのは私はかなり好きなんですが…

「ど、どうも。バイト先の人でしたか……いつも千尋がお世話になってます」
「は、はじめまして。千尋君の……クラスメートの大木柚木って言います」
「それで私が幼馴染の十季美優っていいます。よろしくおねがいします」
「……ああ、美優だからみゆさんなんですね」
「あ、はい。友達とかはみんなみゆって呼ぶんです。私としてはもうそろそろ子供っぽいからやめて欲しいんだけど」
「そう、綺麗な名前ですね」
「え……………あはは~そんなこといわれたの初めてで……なんか照れちゃいますね」

 やっぱり素直な子ですね。だから蓬原の幼馴染なんてやってられるんでしょう。
 もっとも今はその幼馴染の『条件』で椅子になりきってるみたいなんですが。

 ……なんとなくこの素直な幼馴染と大人しい友達の椅子に座りたくなって思いっきりみゆさんのほうに尻から体重をかけて乗っかってみます。

「ブギッ!?」

 今までのかわいらしい少女の声とは別の人間が痛みを突然感じたときにでる反射的な声が漏れます。
 が、崩れると思っていたブリッジは少し下がっただけで体勢を維持しました。
 見た目に反してみゆさんも結構体力あるんですね、それとも蓬原の条件がそうさせているんでしょうか。
 足の方は柚木さんに乗っけてみるんですが……片方だけ痛いのも可哀想なので乗せるときに両足を上にあげて勢いをつけることにしました。

「あっ……」

 柚木さんも私の仕草から何をしようとしているのかすぐに理解しますが何も言わずにへそに力をいれて差し出すように腰を上げます。
 そう、椅子は人間に使われるためにあるんですから、どんな理不尽な使われ方も椅子には関係ないんでしょう。
 とはいえ恐怖からか少し顔が青くなってましたが気にせず両足をギロチンのように振り下ろします。

「ぎゃふっ!!」

 理知的な彼女の雰囲気からは想像もできない低い声が漏れますがやはりこちらも崩れないで椅子としての姿勢を固持します。
 ……今日はもういいかな

「あのーこの二人の条件って何にしてるんですか」

 いつの間にか廊下にでて兄妹で話していた蓬原に話しかけます。

「あーん?終わったのか?」
「すみません、この二人気に入ったので今日はなし崩し的に無しになりませんかね?」
「……俺の分のカクテル作ってからやってくれ、俺もこのまま三人で二階いくから。条件は胸握ってやればいうこと聞く」

 本人からの了解も得たので私はこのまま今で遊ぶことにしました。
 千尋が二階に上がると知って二人は

「え~なんで櫻さんと弥生ちゃんばっかり~。ずるい~私も行きたい~」
「ち、千尋君、できれば私も……」

 といっていたのですが椅子の意見が通るはずもなく二人は仲良く一階残留です。
 私を含めてこういう人に出会ったのが運の尽きと思ってもらうしかないでしょうね。

『ゴルブレ事件』の後、それにより生まれた『能力』を利用するために多くの組織が生まれその中の多くは会社という形態を取っていました。
 まあ、大きな収入をだしたり人材を確保したり社会的地位を得るには会社というのが一番簡単だったのは間違いありません。

 私、オナモミ青山こと不肖青山ウシロが所属する組織もその例に漏れず会社という形式をとっています。
 一見するとまったく何の変哲もないカフェをやってる個人企業なんですが、それが裏では悪の組織となり悪事を働いているんです。
 こういう組織には簡単な分布図があってそれは人が多いところほど組織が多いということなんです。人の流れは強いほど利用しやすくもあるってのは宮子ちゃんの言葉。
 この国内有数の大都市酒城もそういう組織多い場所のが一つなんですがここはむしろそういった悪の組織やその逆の組織、さまざまな組織が入り混じり発展した都市なんですね。
 そして俺と宮子ちゃん、早紀ちゃんに千尋くんの組織はそういった都市をも発達させるような大企業が行っている組織ではなく俺たち4人で興し現在も4人しか居ない小組織なんです。
 今の組織は創ろうと決めたのは4人でなんですが実際につくったのはほとんど宮子ちゃんで3年前に俺たちに幾つかの危ない仕事をさせた後報酬のお金をどこかに持っていって帰ってきたときには今のバイト先ってことになってるカフェ『エジト』のお店と悪の組織として活動するために必要な書類を全部作ってきてくれたんです。
 宮子ちゃんは昔から底の見えない性格してましたけど責任能力がない人間だけでどうやって会社を作れたのかっていう裏技は未だに教えてくれません。
 せっかく悪の組織としてスタートしたくせに構成員が4人から増えないってのはよく考えるとちょっと努力不足かもしれませんね~。
 言い訳させてもらえるなら4人ともまだ学生でバイトって時間くらいしか組織として活動する暇がないからちょっと難しいかもなんです。
 別に4人ともやる気がない訳ではないんですよ?
 例えば今日のバイトが終わった後だって……

「もうそろそろ人を増やしましょう」
「は?」
「思っていたんですがここにもそろそろ新しい従業員が必要じゃないかって思ってたんです?」

 初めは宮子ちゃんの提案でした。
 4人の中で建設的な意見を出すのは大抵宮子ちゃんです。

「それってエジトの従業員ってこと?それともあっちの仕事も手伝ってもらうってこと?」
「私達と同じような考え方の人間であれば両方の仕事をやってもらうつもりです。少なくともエジトを開けながら裏の仕事をするときにエジトを担当してくれる人がいればだいぶ楽になります」
「まあ、確かにいつまでもミヤ一人にシフト回させるのもなって感じはあるんだけどね」

 早紀ちゃんの発言はもっともなんですが3年たって今更!?って気もしなくはないです。

「つか、今まで大丈夫だったんだしお前だけでもやれんじゃね?」

 あ、千尋くんもそう思ってたんだ。
 でもそれを口にだすのはちょっと勇気がいるぞ。
 ほら、宮子ちゃんも機嫌悪そうになっちゃっいました。

「……これからも卒業した後はもっと仕事は増えます。今から備えておくってのは悪い考えじゃないはずです。それに」

 そこで一旦区切って俺と早紀ちゃんのほうを見る。
 なに、惚れられた?

「昨日、青山がここを勝手につかって馬鹿なことをやってたみたいなんですが……」

 きょ、許可は取ったじゃないですか!?

「それの関係で二人とも借金があるみたいなんでこれから仕事を手伝ってもらうことになりました」

 ありゃ?
 確かにお金のために宮子ちゃんや千尋くんがやってる危ない仕事を分けてもらおうとは思ったんだけど、宮子ちゃんにはまだ言ってない。
 それに何で借金のこと知ってるんですかね?

「早紀ちゃんが?」
「そうだけど?」

 疑問におもって早紀ちゃんのほうを向くと本人は平然と自分が教えたんだとおっしゃりました。
 もしかしたら、早紀ちゃんはお金を借りるときに宮子ちゃんのつてを使ったのかもしれません。
 ん~となるとやっぱり借金帳消しは難しいそうですねー。

「それで、今度から4人とも店にいないなんてことも多くなります。だから新しい従業員が欲しいと思ったんです。それで店の前に張り紙張ろうと思うんですが具体的な条件がないですか?」

 たしかにそうなるとこれまでみたいなシフトは難しそうです。
 しかし新しい人が来てしかも組織の方に入るかもしれない人となるやはり条件は厳しめにしなくては。
 ここはやはり……

「女性のみ!!」
「飯作れる奴だろ。早紀の料理もいいけどたまには中華とか食いてえ。なんで中華料理が作れる奴」
「私はなんでもいいんだけどね……あえて言うなら漫画好きな人かな?」
「……バラバラですね」

 3人ともそれぞれ自分の都合で勝手に語り合います。
 っていうかこれ新しい従業員の条件じゃなくて友達にするなら、とかじゃないですか!?
 一人も仕事についての条件語ってないよ!
 宮子ちゃんは好き勝手な条件をだす俺たちに疲れたようにこっちを向いて

「私は……経理ができる人がいいですね。……少しでも私の仕事を負担して欲しいので」

 唯一従業員としての条件をだしました。
 いや~俺たちって宮子ちゃんをかなり疲れさせていたんですね~。

 とまあこんな感じで一応組織拡大の意思はあるんですよ。
 ただ半端な人を入れても宮子ちゃんが持ち込んでくる仕事に対応できないだろうし俺たちの目的についてくることも出来ないんじゃないかな~なんてちょっと上から目線。
 そういえば条件といえば多分『能力』がある人が新しく入るひとになるんでしょう。
 決まっているわけじゃないんですが4人ともそうなのでなんとなくそうかな~って気がします。
 本当は条件で『能力』についても決められればいいんですがそれはかなり無理に近いんです。
 さまざまな形の組織を作り出すことになった『能力』なんですが事件から10年経った今も解析はあまり進んでいないからです。
 なんで、どういう『能力』があるのか分からない以上指定することもまたできないんです。
 ちなみに解析が進んでいない理由は単純でサンプルが少ないから。サンプルが少ない理由は誰も名乗りでないからです。
 あの後多くの『能力』を持った人が生まれたといわれていますが特に外見に異常はなく『能力』は使用されなければけっしてばれません。
 だからこそ、この大都市酒城に住んでいながら千尋君の他人に触れることでどんな理不尽な行動も押し付ける『条件付け』や早紀ちゃんのお金から妄想を生み出す『錬金術』などの能力があることは知られてはおらず彼らは日常に住むことが出来るんです。
 もちろん俺や宮子ちゃんもそうです。
 誰も俺たちがどんなことをしても分かりはしません。

 ……もっともこの酒城で自分達の本質である悪の組織として行動することがなければの話なんですが。

< 続く >

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