第1部 エピローグ
ヘルウェティアの王宮、広間。
意識を失って床に倒れているシトリーと、クラウディア、リディア、ピュラ、シンシア、フレデガンドの5人の女たち。
それを護衛するように取り囲んでいるのは、エルフリーデとメリッサ、そして親衛隊の女戦士たち。
まず、最初に目を開いたのはリディアだった。
そして、シトリー、ピュラ、シンシア、フレデガンドの順で意識が戻る。
「大丈夫ですか、おじさま」
「ああ、問題ない」
立ち上がって頭を振っているシトリーを、リディアが気遣ってくる。
「起き抜けでちょっとふらついていただけだ。それよりも……」
この場に、まだ目を覚ましていない者がいた。
向こうの世界で気を失うまでイカされ続けたクラウディアは、まだ床に体を横たえたままだった。
「大丈夫ですかね、クラウディア様は?」
「ああ、向こうではだいぶ派手にやったからな。でも壊れるまではしていないはずだぞ」
そう言って、皆が見守る中。
「ん、んん……」
クラウディアが呻き声を上げた。
「ふう、ようやくお目覚めのようだな」
シトリーが、クラウディアに向かって歩み寄ると、その目がようやく開いた。
と、にやついていたシトリーの顔から笑みが消える。
クラウディアの瞳に、ごくわずかだが奪い去ったはずの意志の光が宿っていたからだ。
「おまえ……」
さすがに驚きながら、警戒混じりにシトリーが声をかける。
「わ、わたくしは……」
床に手をつき、肩で大きく息をしながらクラウディアが口を開いた。
「あの時、リディアの精神世界に連れ去られる瞬間、心の欠片を少しだけ体に残しておくことには成功しました。だから、心のすべてを奪われるのは防ぐことができたのです」
あの一瞬でそんな真似を……さすがと言うべきか。
それにはシトリーも驚きを隠せない。
だが、その様子が少しおかしいとも感じていた。
シトリーを仰ぎ見ながら、クラウディアは掠れるような声で言葉を続ける。
「しかし、しかし結局は……」
そこまで言って、いったん言葉を区切ったクラウディアの瞳に悲しげな色が浮かんだ。
「わたくしは悔しいです。わたくしの大切な人たちも、この国も守ることができなかった。悪魔の策動になにもできなかった……そして……わたくしまで……」
そう言うと、ただでさえ弱々しかったクラウディアの瞳の輝きが儚げに揺らぎはじめた。
「あなたはわたくしの国を犯し、先生たちを奪い去った憎むべき悪魔なのに……。あなたと戦い、倒さなければみんなを救えないというのに……。わたくしの中にはこんなにもあなたを愛おしいと思う気持ちが膨らんでいて、あなたへの服従心でいっぱいになってくる」
その瞳から、涙が溢れ出る。
「わたくし……わたくし……もう、この気持ちに抗えない。あなたと戦うことなんかできない……」
肩を震わせて涙を流し続けるクラウディア。
「そう、心だけではないわ、体まで……」
そう言って立ち上がると、クラウディアは立ち上がり、一瞬ためらった後、ドレスの裾を持ち上げて自分の恥ずかしい場所をさらけ出した。
そこは、襞が真っ赤に充血してうねり、たらたらと蜜を溢れさせていた。
「あの世界で身も心も蹂躙されて、わたくし、こんなにいやらしい体にされてしまった……」
そのまま、クラウディアはしばしの間押し黙った。
とめどなく涙が溢れ、頬を伝っているクラウディア。
その、低い嗚咽だけが広間に響く。
そうやって、どのくらい泣いていただろうか。
クラウディアが、表情を強ばらせてシトリーを見据える。
その瞳には、深い悲しみが浮かんでいた。
「わたくし、苦しいっ、苦しくてどうしようもないのっ!あなたのことをこんなに愛おしいと思っているのにっ!でも、あなたとは戦わなくてはならないって!あなたのことを憎むべき悪魔だと思うもうひとりのわたくしがいるのっ!でもっ、でもっ、そんなことわたくしにはもうできないのっ!」
己の胸を掻き抱きながら、クラウディアは堰を切ったように叫ぶ。
「それで?どうしたいんだ、おまえは?」
だが、シトリーは冷たく突き放したようにそう言っただけだった。
クラウディアの瞳がふたたび悲しみで満たされる。
シトリーを見つめて、少しの間、逡巡するように黙っていた後にクラウディアが口にした言葉。
「……もう一度、わたくしをあなたのものにしてください。もう二度とあなたに従うことに疑いを持たないように。あなただけを愛する従順な下僕にして下さい」
それだけ言うと、クラウディアは悲しそうに顔を伏せた。
「ふん、それがおまえの出した答えか?」
その言葉に、黙ったままでわずかに頭を縦に振る。
シトリーは口許を歪めて、ふっ、と笑い、クラウディアの方に一歩足を踏み出した。
「わかった。おまえの願いを叶えてやろう」
「……ぅうっ」
クラウディアが、少し怯えた表情でシトリーを見上げた。
だが、抵抗する素振りは、ない。
その額に指を当てて、シトリーは最後の確認をする。
「では、僕のすべてを受け入れろ」
「……はい」
観念したように、クラウディアが静かに目を閉じた。
シトリーは指先に力を込めた。
自分の力が弾かれる気配はない。
そのまま、一気に力を送り込む。
「うっ!うああああっ!」
閉じていたクラウディアの目が見開かれ、急速に光を失ってぼやけていく。
ぶるっと体を震わせると、霞のかかった目でシトリーを見上げたまま、力を受け入れていく。
「完全に僕のものになるんだ、クラウディア」
「……はい」
「僕に対する憎しみや怖れはすべてきれいに消えていく。おまえにあるのは僕に仕え、愛される悦びだけ」
「……はい」
「おまえのすべてを僕に捧げて、僕のためだけに生きる従順な牝奴隷になるんだ」
「……はい」
「おまえの命の尽きるときまで、永遠に僕の下僕として尽くせ、クラウディア」
「……はい。……あっ、うああ!」
最後に強く力を込めると、クラウディアの体がびくびくっと震える。
そして、彼女は生まれ変わる。
民を、臣下のことを想う、優しく、才能溢れる女王から、悪魔の下僕へと。
ようやく、シトリーがその額から指を離す。
「……あ?」
我に返り、憑き物がとれたようにシトリーを見上げているクラウディア。
「気分はどうだ、クラウディア」
「……最高の、気分です、シトリー様」
シトリーの問いかけに答えたときの、その表情。
そこには、もう悲しみの色はなかった。
そこにあるのは、愛する主人に仕える悦びをいっぱいに湛えた、淫靡な牝奴隷の笑顔。
その反応に、シトリーは満足そうに頷く。
「では、おまえ自身とこの国のすべてを僕がもらい受けるぞ」
「どうぞ。そのようなものでお役に立てるのでしたら、わたくしもこの国も喜んでシトリー様に差し上げます」
クラウディアは、なんの躊躇いもなく、笑顔で自分自身と自分の国を悪魔に差し出した。
その表情には、後悔も自責もない。むしろ、主人の役に立てるという悦びで満ちていた。
そこには、己の国と民を守る責任感に溢れ、また、歴代の王の中でもその才能を謳われ、ゆくゆくは稀代の大魔導師となり、名君になるであろうと言われた年若き女王の姿はない。
今の彼女は、嬉々として己の国と民を手放し、淫らで、熱を帯びた視線で己の主人を見つめている牝。
「うん、いい返事だ。じゃあ、褒美をくれてやろう。僕の下僕になった証も兼ねて、おまえを抱いてやるぞ」
「あっ、ありがとうございます!」
クラウディアの顔が、ぱっと喜色に包まれる。
「心がけのいい下僕は、こういう時にどうすればいいかわかっているはずだけどな」
「はい、はいっ、もちろんですっ!」
シトリーの足下に跪くと、クラウディアは恭しくそのベルトに手をかけた。
「ああ、うれしい……もう、こんなに大きくなって……ん、ちゅ……」
大切そうに肉棒を剥き出しにすると、うっとりと眺めた後、手にとってそっと接吻する。
「ん、んふ……ああ、もっと大きくなるんですね……」
喜色満面で肉棒を手で扱くクラウディア。
見た目は全く変わっていないのに、漂わせている雰囲気が違うだけで以前とはまったく別人に見える。
王族らしく高貴な印象を持たせていた線の細く、透き通るような白い肌はほのかな桃色に染まって、淡いアクアブルーの髪が汗ばんだ肌に貼り付いており、慈愛に満ちて、魔導師らしい知性を湛えていた濃紺の瞳は情欲に潤んでいた。
「いつまでそうしているんだ?それを挿れて欲しいんだろう?」
「あ……はい……」
「じゃあ、手をついてこっちに腰を突き出せ」
「はい……こうですか?」
クラウディアは、言われるままに四つん這いになると、シトリーに向かって腰を突き出す。
もう、ずっと欲情し続けていたためか、クラウディアのそこは赤く爛れたような襞がひくつき、両足も、ふとももから膝のあたりまでぐしょぐしょに濡れていた。
「おまえも準備はいいみたいだな。じゃあ、いくぞ」
「あっ、お待ちくださいっ!」
シトリーがその腰に手をかけると、クラウディアが慌てて止めた。
「ん?どうした?」
「たしかにわたくしは、あの世界でシトリー様に犯され、身も心もあなたのものになりました。しかし、リディアの精神世界のでのわたくしは、いわば精神体のようなものです」
「だからなんだって言うんだ?」
言いたいことを読みとれずにシトリーが問い質すと、クラウディアは恥ずかしそうに頬を赤らめる。
「この、わたくしの実際の体はまだ清らかなまま、これが初めてなんです。だから、だからあの……優しくしてください、シトリー様」
シトリーの方を向いたまま、顔を真っ赤にしてクラウディアは俯いた。
それを聞いて、シトリーの口が意地悪げに歪む。
「残念だな。だが、覚えておくといい、クラウディア。僕は自分の下僕にそんなに優しくはないんだよ」
そう言って、シトリーは肉棒をその秘裂の奥へ思い切り突き挿した。
「あひいっ!ひああああああああああああああっ!」
王宮の広間に、クラウディアの悲鳴が響き渡る。
首を反らせて喉を震わせているその叫び声には、破瓜の痛みだけではなく、明らかに悦びの色が混じっていた。
* * *
1ヶ月後。
王宮の広間。
「上層部の方々は大層お喜びです。ヘルウェティアを魔界側に付けた功は大であるとのことです」
ヘルウェティア陥落の報を持って魔界に行っていたメリッサが戻ってきて、上層部の評価を告げていた。
片膝を突いて報告しているメリッサの正面、玉座に座ってそれを聞いているのはもちろんシトリーだった。
「また、北と南の蛮族もこちら側についたとのことです」
ふうん、蛮族ねぇ……。
誰がやったのかは知らないけど、そんな退屈な仕事よくやったよな。
蛮族なんか堕とす手だてはいくらでもあるだろうし、人数稼ぎ程度でたいして手駒にもならないだろうに。
メリッサの報告を聞きながら、シトリーは、内心ひとりごちる。
「よって、3週間後に、西、北、南に魔界との門を開き、そこからの軍勢の投入をもって人間界への侵攻を開始するとのことです。シトリー様は、西からの軍勢と呼応し、その指揮下に入れとの指示です」
「はあ、僕の功績を大きいとか言いながら、僕にこの方面の指揮は任せてもらえないんだね」
思わず口に出して嘆息するシトリー。
とはいえ、この場にはその言葉を聞き咎める者はいない。
「まあ、軍勢を率いての戦闘の指揮なんて僕のガラじゃないしね。それに、もともと僕は天界との戦争にも人間界への侵攻にもたいして興味があったわけでもないし。まあ、できればずっとここでこうしていたいんだけど」
「まあ、シトリー様ったら!」
そう言ってシトリーの足にしなだれかかったのは、かつて、その玉座に座っていた主、クラウディア。
今では、裸同然の格好でシトリーの足下に侍っている。
だが、メリッサの報告はまだ終わっていない。
「それで、シトリー様、人間界への侵攻開始とともに、こちらにも軍団を送るので自由に使えとのことです」
「魔界の軍勢ねぇ……。ここの魔導師たちの方がよほど役に立ちそうなんだけどな」
「本当にシトリー様ったらお上手ですわ」
そう言って、背後から熱い息を吹きかけてくるのは魔導長のピュラ。
「別にお世辞を言ってるわけじゃないさ」
単に、言うことを素直に聞くかどうかわからない軍団をひとつ宛われるよりも、自分の言うことに忠実に従うこいつらの方がよほどあてになるっていうだけだ。
しかも、この国の魔導師ときたら、下手な悪魔よりもはるかに手強いときてる。
「僕は、おまえたちの方が役に立つと思っているから、素直にそう言っただけだ」
「ありがとうございます、シトリー様」
「おじさま、わたしも頑張るからね」
「おう、頼りにしてるぞ」
そう言って、シトリーはリディアの頭を撫でる。
ピュラもリディアも、肌も露わな姿だった。
いや、彼女たちだけではない。この場にいる女たちは、3名を除いてほとんど裸同然の姿だった。
そのうちのひとりは、さっき魔界から戻ってきたばかりのメリッサ。
そして、後のふたりは。
「ほら、フレダもそんなところで立っていないでこっちに来たらいいのに」
「いえ、私にはシトリー様とクラウディア様をお守りするという役目がありますから」
玉座の後で直立しているフレデガンド。
シトリーの指示でデザインが変わり、だいぶ露出度は上がっているが、それでも親衛隊の甲冑を身につけた彼女は裸とは言い難い。
「それに、私たちは後でたっぷりとお相手していただきますから。ね、エルフリーデ」
フレデガンドが、やはり甲冑を身につけて直立しているエルフリーデに目配せする。
「はい、フレダお姉さま」
エルフリーデが、嬉しそうな、それでいて少しはにかんだ笑みを返す。
「もう、エルったら、シトリー様のふたり占めはだめよ」
「それは順番って言うのよ、アンナ。私とフレダお姉さまは今任務中なんだから」
「エルったら、この場に警護の者が必要なの?誰が襲って来るっていうのよ」
「そんなこと言わないのよ、アンナ。任務に精励するのは立派なことよ」
「シンシア様、冗談ですよ。ちょっとエルをからかってみただけですから」
思い思いにシトリーに体を寄り添わせながら、和やかに会話をする下僕たち。
この国がシトリーのものになってから1ヶ月、そのことはもちろん表沙汰にはなっていないし、周囲の国にも、民にも知られていない。
しかし、王宮では毎日こんな淫らな宴が開かれていた。
どうせ、今となっては大臣をはじめ、この国の要人は全員シトリーの言いなりだ、放っておいても国は動く。
それに、ピュラとクラウディアが都の結界に細工を加えて、その中の者が少しずつ魔に染まるようにしている。
もう間もなく、都の住人も皆シトリーの言いなりになるだろう。
魔界の侵攻が始まるまでは、この国が悪魔の手に堕ちたことを他国に知られてはならないが、それももう少しの辛抱だ。
「痛たっ!ちょ、ちょっとっ、誰かあたしの尻尾踏んでない!?」
「あ~、ごめんごめん~」
「もうっ、ニーナっ、あんたなの!?て、人数多すぎない、これ?」
「ほら~、メリッサもそんなとこいないでこっち来たら~?」
「って、ニーナ、あんたあたしの話聞いてんの!?」
エミリアとニーナのやり取りを見ていたメリッサが、くすっ、と笑うと、服を脱ぎながら玉座へと近づいてくる。
「ふふふ、みんな一度だと、シトリー様がお困りになるでしょう、ね。んふ、あむ……」
「ひああっ!?メ、メリッサさん!?」
「うふふ、リディアちゃん、かわいい……」
「あっ、あああっ!」
「ほら、シトリー様は下僕同士が仲良くするのも大好きなんだから」
「んんっ!そ、そうなのっ、おじさま?」
「ああ、そうだな」
シトリーは、メリッサに愛撫されているリディアの頭をまた撫でてやる。
メリッサが、そっとウィンクを返してきた。
うん、本当にできた下僕だよ、おまえは。
悪魔のくせに、節度があってよく気が利く。
「それもそうねっ、じゃあ、あたしはアンナちゃんと!」
「ええっ、エミリアさんっ!?」
まあ、こいつのすぐ便乗してくるところもこういう時はありがたい。
「私は誰にしようかな~?」
「ああっ、そうだっ、いいこと考えた!みんなでイカせっこしよっ!一番人数をイカせた人が今夜シトリーの相手をしてもらえるの!」
「ええ~、なにそれ~!?」
「あら、でも、面白そうですわ。わたくし、やってみようかしら」
「まあ、クラウディア様ったら」
「でも、先生もやりませんか」
「ふふ、そうね」
「では、決まりですわね。さあ、フレダもエルフリーデも甲冑を脱いでこちらへ来なさい。今夜のシトリー様のお相手を賭けたゲームなんですから」
「し、しかし、私には任務が……」
「真実の名の下に命ず、フラズグズル。甲冑を脱ぎなさい」
「……はい」
「うわ、なんて強硬手段……。ん?どうしたのリディアちゃん?」
「ねぇねぇ、エミリアさん。わたしの精神世界に連れていくのはあり?」
「それは反則」
「ええーっ!クラウディア様だって今魔法使ったじゃない!」
「いや、だって、あそこに行ったらみんなすぐにイカせられちゃうじゃないの」
「むうー、残念」
ちょっと騒々しいけど、まあ悪くはないな。
裸になってかしましくしている下僕たちをぼんやりと眺めるシトリー。
なんだかんだ言ってもシトリーの命令には従順なできた下僕たちだ。
「ちょっと待っててね、シトリー!あたしがみんなをイカせて今夜シトリーを独占する権利ゲットするから!」
まあ、主に対してぞんざいな口のきき方をするやつもいるが。
「あうっ、ああっ、エミリアさんっ!いああっ!」
「さっさとイっちゃいなよ、アンナちゃん。はうっ、ああんっ!?だ、誰っ!?」
「ふ、私だ」
「エ、エルちん!?」
「おかしな呼び方をするなと言っただろう!」
「やあああっ!激しいっ、激しいってええええっ!」
「……はっ!?私はいつの間にこんな?……あはあっ、あふううっ!」
「うふふ、わたくしが思いきりイカせてあげるわ、フレダ」
「あうんっ、そんなっ、いつの間にいいぃっ!?ああっ、クラウディアさまあああっ!」
「いやああああんっ!メリッサさんっ!そこっ、感じ過ぎちゃうううっ!」
「くす、もうイっちゃうの、リディアちゃん?」
「すごい、胸が大きいわね、シンシア。……んっ、はんっ!」
「ピュラ様の胸こそ、大きいし、美しくて魅力的ですわ。あふうんっ、そっ、そんなに強く吸われるとっ、おっぱいっ、出ちゃいますうううっ!」
「ね~、誰か私としようよ~」
……本当に、このままでもいいんだけどな、僕は。
目の前で淫らに絡み合う女たちを眺めながらシトリーは嘆息する。
このまま魔界が人間界を攻めるとたしかに天界も出てくるだろうけど、ぶっちゃけそんなものに興味はないしな。
僕としては、魔法王国と呼ばれたこの国を堕としただけで満足だし……。
……3週間後か。
その時のことはその時になったら考えるとするか。
玉座に腰掛け、下僕たちの痴態を眺めるシトリーの、その金色の瞳に、物憂げな光が浮かんでいた。
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