第6話 kirikiri舞
『kirikiri舞』:やっぱりHしてたんだwwwwww
僕のした行為をプライベートチャットで全て告白させたあと、『kirikiri舞』さんは自分のキャラをくるくる回転させながら言った。
ちょっと明け透けに告白しすぎた気がして、ひどく恥ずかしくなった。
『kirikiri舞』:まあ、そんなことだろうと思ってたけど
『kirikiri舞』:男の子だもん、当然そういう話になるよね
『kirikiri舞』:よく話してくれたよ
全部を話さなきゃ相談にならないと思ったから。
僕1人ではもう手詰まりだったから。
『kirikiri舞』:そうだねえ。どうしようかな
僕が理想だと信じていた家族の姿。
そしてそれに感じた違和感。
僕は、どこで間違えたんだろう?
『kirikiri舞』:頭から変だったよじつは。あまりにも子供っぽい夢だった
『kirikiri舞』:読み返してごらん>過去ログ。君の理想は絵空事だよ
『kirikiri舞』:めずらしく純粋な子だと私は思ったけどね。でも純粋の押しつけはよくない
僕は、家族みんなで思いやりと愛情を持てば幸せになれると思ってた。
催眠術を使おうと思ったのも、そういう家族を作るためだった。
それで良かったはずだったのに。みんな幸せそうだったのに。
でも僕は、それを気持ち悪いと思ってしまったんだ。
『kirikiri舞』:おままごとを卒業したってだけだよ。君は大人になったんだよ
『kirikiri舞』:まあ、ほのぼの家族に憧れるのもわかるけどね、うちも片親だし
『kirikiri舞』:んー、でも君の望みはそういう家庭じゃなかったわけでしょ?
『kirikiri舞』:こんな風に考えたら?君の家族らしい家族は、君がこれから作るんだって
作る?
僕の家族らしい家族を?
意味がわからないけど……。
『kirikiri舞』:せっかく力があるんだから、もっと有効に使わないと
『kirikiri舞』:って、私にも催眠術の使い方なんてわからないけど。でも
『kirikiri舞』:くさいこと言わせてもらえば、君の力は奇跡だと思うし
『kirikiri舞』:すごいよね。君は家族の本音を知ることも叶えることもできるんだよ?
確かに奇跡だよ、こんなの。
ぐだぐだと悩んでるだけの毎日から、大きく前進したと思う。
そのせいで、綾子さんや優惟姉さんとエッチなことしたり、普通の団らんに満足できなくなったりもしたけど。
でも、確かに僕はまだ家族のみんなのことをよくわかっていない。彼女たちがどうしたいのかも知らない。
そして、みんなのことよく知った上で、僕たちに相応しい家族像を作るということを、全然考えてもいなかった
『kirikiri舞』:せいぜいいろいろ試しなよ。もっと家族と触れ合おう
『kirikiri舞』:ってか、Hしたのだって事故みたいなもんだし仕方ないよ
『kirikiri舞』:くっつきたいって気持ちになれば自然にHになるよ。大人だもん
『kirikiri舞』:すくなくとも家族関係の大きな前進になった。それは良いことだ
『kirikiri舞』:おとなの男女が親密になればHもしたくなるリスクもあるけど
『kirikiri舞』:まあでも、それは君が我慢すれば誰の迷惑にもならないし大丈夫
『kirikiri舞』:ん、大丈夫。君は家族思いな子だし心配ない。それより今後のこと
『kirikiri舞』:これから君はどういう家族を作る?1人の男としてどうしたいの?
今までの僕が望んでいた家族の形は、子どもの甘えた夢だった。平和で、みんなが優しく笑顔の絶えない家庭の中で、自分自身にまで作り笑顔を強要しようとしていた。それで誰もが幸せだなんて思い込んでいただけだ。
あの団らんで感じた違和感の正体はそれだ。僕はみんなの本当の姿が知りたい。そして、どういう形が僕たちにとって「本物」なのかを追求したい。うわべだけの笑顔なんていらないんだ。
僕はもう子どもじゃない。催眠術は僕の「オトコ」の部分を成長させた。綾子さんが笑顔の下に隠していた女の欲望も、優惟姉さんが優等生の顔のままフェラチオだって出来ることをもう知っている。男としての自分がしたいことって考えると、思い浮かぶのはうちの美しい女性たちの手や唇や胸、白い肌だった。
『kirikiri舞』さんとチャットしていると、ムラムラと何かが湧き上がってくる感じがする。彼女とのチャットは、いつも僕に勇気と興奮をくれる。
僕は男だ。そして家族の再生のためには、家の女性たちを味方にしろって『kirikiri舞』さんは言っていた。
催眠術は僕らの関係を深くする。もっともっと、僕は彼女たちと触れあいたい。裸の僕らを見せ合いたい。
それが僕の本当の願いで、そして家族が繋がっていくための近道なんじゃないんだろうか。その閃きに僕は興奮したし、それ以外に正解はないって気持ちにもなった。。
ムラムラとした想像が頭を駆け巡る。自分でもどうしたっていうくらいに発情していた。
僕のことを信用してくれている『kirikiri舞』さんには申しわけないけど、少しくらいならエッチなことも仕方ないかなって気持ちに傾き始めている。
大人だもん。男女だもん。自然とそういうの求めちゃうのは、僕だけのせいじゃないよね?
ワクワクして、すぐにでも綾子さんに甘えたくなった。
早くチャットも終わらせたくて、“これからがhばってやってみます”って、タイプミスしちゃうくらいに興奮してた。
『kirikiri舞』:うん、がんばろうねwwwww
チャットを切ってログアウトして、勃起したオチンチンを隠して急いで下におりる。
そして綾子さんに声をかけて一緒にお風呂に入り、2発ほど抜いてもらってからベッドに入った。
それでも全然Hな気分が治まらなくて、寝付けなかった。
――授業はあまり耳に入ってこない。
僕は自分の作業に没頭していた。
『ママ(綾子さん)』
まずノートの真ん中に彼女の名前を書く。
次に下手くそなりに彼女の顔を簡単に描いてみた。イメージを膨らませるためにだ。
そして出来上がった名前とイラストの周りに、彼女から連想されるものを書いていく。『義理の母親』、『後妻』、『美人』、『優しい』、『打算的』、『おっぱい』、『お尻』、『催眠実験』などなど、思いついたはしから繋げて書いていく。
父さんは、新しい企画を考えるとき、まず初めにマインドマップを書いてみるって言っていた。一見デタラメに書き殴ったメモにしか見えないここからアイディアのヒントは生まれるんだって。
僕が小3のとき、自由研究のテーマを何にしようかと相談してみたら、たまたま機嫌が良かったらしい父さんが教えてくれた手法だ。もちろん当時の僕には何も理解できないでただの落書きを作っただけだった。できない、と言ったら父さんの機嫌が悪くなったのを良く覚えている。
少し苦笑いして、作業を続ける。蜘蛛の巣のように単語は広がっていく。
・ママ(綾子さん)
『義理の母親』、『後妻』、『美人』、『優しい』、『打算的』、『おっぱい』、『お尻』、『催眠実験』、『キスの気持ちよさ』、『性の教師』、『無償の愛』、『女性の体とは』、『打算的』、『本音は見せないタイプ』、『夫の不倫』……、『父さん』
ここまで書いて、筆が止まる。そんなときは無理して続けない。
いったんは綾子さんから離れて、その横のページに『優惟姉さん』と書いて彼女のイラストも添える。
・優惟姉さん
『実姉』、『真面目』、『優等生』、『メガネ美人』、『処女?』、『勉強』、『母さん似』、『オナニーを手伝ってくれる』、『僕の味方』、『家族の実感』、『女性としての姉』、『父さんと不仲』、『保護者』、『思い出』、『孤独』、『血縁』……
書き連ねる単語は多少意味の重複をしてもかまわない。止まるまで続ける。優惟姉さんはさすがいくらでも書ける気がした。だからこそとりとめもなくなるが、後で整理すればいい。
腕がだるくなるまで書いて、ページをめくる。
そして次の人の名前を書く。
・花純さん
『義姉』、『トゲトゲ』、『好感度は最悪』、『ヤンキー?』、『ギャル?』、『処女?』、『非処女?』、『おっぱい小さい』、『お尻も小さい』、『冷たい姉』、『学校でモテる』、『スポーツ万能』、『イヤホンで音楽聞いてるのは拒絶のサインなのだろうか?』、『家族から孤立』
彼女のことはあまり書けない。疑問符も多い。
花純さんについては、むしろ「知る」ことがこれからのテーマになるかな。
・父さん
次のページに書いた名前の下に、僕はイラスト一つ描けないでいた。
顔が思い出せないわけでもないけど、なぜかそれを表現しようと思っても手が動かない。「こんな顔だったっけ」って、自分の記憶に自信がなくなる。
この項目は後回しにしよう。
ページをめくって、僕はもう一人の家族というべき人物の名前を書いた。
・睦都美さん(お手伝いさん)
『クール』、『美人』、『家事上手』、『父さんの愛人?』、『出自も謎』、『じつはM?』、『調教』
彼女についても書けることは少ない。まあ、今はこんなものだろう。
次に僕は別のノートを取り出して、四隅にそれぞれの名前を書き、だらだらと書き連ねたさっきのノートの中から重複や無意味すぎる単語を削って整理していく。
そして四隅から伸びてくる単語と矢印の中央に、『父さん』と書いてみた。
家族の中心にいるべき存在だから。だけど、こうして配置してみても何かピンとこない。
僕は父さんの名前を消して、『蓮』とそこに書いてみる。そして吹き出しのように囲って大きく『催眠術でプロデュース!』と付け足す。
しっくりきた。良い形だと思った。
僕を中心に置いて考えてみよう。まずは僕と四人の女性たちだ。父さんのことは一番最後に考えることにする。
彼女たちに僕が何をしてあげられるか、そして僕は彼女たちをどうしたいのか。
ベクトルを僕から彼女たちへ、彼女たちから僕へ。四人の関係性を僕中心にどう作り上げていくかを考える。
授業なんて、そっちのけだった。
「んっ、んっ、んっ、んっ……」
優惟姉さんに勉強を教えてもらってたらムラムラしてきたので、口でしてもらっている。
家族のオナニーは手伝うもの。そう思っている優惟姉さんは「ちゃんと集中してよね」とあきれながらも僕の股間に顔を埋めてくれた。
姉さんはいつでも僕の味方だ。彼女の口内の温かさに僕は安心する。僕に優しく、時に厳しく、そして気持ちいいことをしてくれる最高の姉。
「んっ、んんっ、ちゅっ、ん、ん、ん、ん……」
机の上に折りたたんで置かれたメガネ。隣の椅子から、真横に体をかがめたちょっと辛そうな姿勢。優惟姉さんの香りと、結んだ髪の下に見えるうなじと、ひねった背中がトレーナーの裾からチラリと見えているのがセクシーだった。
今日は二人っきりでフェラチオしてもらっている。いつもの勉強と同じくらい日常の空気で姉さんが僕のオチンチンを咥えている。その非日常感が僕の頭を溶かしていった。
「んっ、ちょっと体勢変えるね。蓮もこっち向いて」
いったん口を離して、向かい合うように椅子を回す。そして姉さんは前屈みになり、今度は正面から咥えてくれた。
「んー、んっ、んっ、んっ、んっ、んぶっ」
「あ、あっ!」
さっきよりも深く入ってる。思わず僕も声を出しちゃった。
「……ひもひいい?」
「え?」
「……らんれもらい。んんっ、んっ、ちゅぶっ、んんっ」
「あっ、姉さん……」
吸い出される感触に、腰がうねる。姉さんの頭を掴んで、歯を食いしばる。でも、どうしても声が我慢できなくて漏れてしまう。
「あぁっ、姉さん、姉さん…ッ!」
「ちゅっ、ちゅぶっ、ちゅぶっ、ちゅぶっ」
そして気のせいでなければ、優惟姉さんは僕の声が出ると余計にフェラのペースが上がる。僕を感じさせて喜んでるみたいだ。
チロチロとおしっこの穴を舌でくすぐられ僕がビクビクってなったとき、姉さんは微笑んだ気がした。
「んんーっ、ちゅぶ、ちゅぶっ、ちゅぶっ、ちゅぶっ」
「あ、あっ、姉さん、姉さん…ッ!」
気持ちいい。気持ちいい、姉さん。
僕は姉さんの頭を撫で、背中を撫で、そして……胸に手を回しておっぱいを撫でた。
「きゃっ!? どこ触ってるのよ!」
ぢゅぽっと僕のから口を離して姉さんは顔を真っ赤にして怒る。ごめんねと僕は謝り、そして、「少しだけ触らせて」とお願いしてみる。
「な、なに言ってるのよ。赤ちゃんじゃないんだから、お姉ちゃんの胸なんて触っちゃだめに決まってるでしょ。変なことしたらフェラチオしてあげないからね!」
「……ごめんなさい」
ここで催眠術を使えばおっぱいくらい揉みほうだいなんだけど、結構本気で怒った優惟姉さんに僕は反射的に頭を下げてしまう。
まあいいや。おっぱいなら綾子さんの方が大きいし。
「まったくもう。蓮、だめよ、スケベな子になっちゃったら。お姉ちゃんがスッキリさせてあげるから、さっさと出して勉強するよ?」
そういって姉さんは、片手でおっぱいをかばうようにしながら、空いた手で僕のオチンチンを握って口に咥えた。
じゅぶ、ぶじゅ、粘っこい水音をさせて優惟姉さんの唇がフェラチオを再開する。優しいけど怒ると怖い姉さんの、エッチな家族サービス。僕は彼女の髪を優しく撫でる。感謝を込めて背中をさする。
警戒しておっぱいを隠していた手が離れ、両手が僕のオチンチンにそっと添えられる。
「ちゅぶっ、ちゅぶっ、ずっ、ずっ、ちゅぶっ、ちゅぶっ、んっ、ちゅっ、ちゅぶっ、ちゅぶっ、ちゅぶっ」
こみ上げてくる射精感。誘うような擦り上げる姉さんの細い指、濡れた唇。
「姉さん、出るよ!」
どぷっと、尿道が膨らんで熱い塊が駆け抜ける。
姉さんの首の後ろにぞわっと鳥肌が立つのを見ながら、僕は立て続けに発射する。
小さな頭を押さえつけ、容赦ない感じで次々と。
「んん~~ッ!」
姉さんが苦しそうな声を出す。僕が手を離すと、急いでオチンチンから顔を上げ、バタバタと右手を振り回す。
ティッシュかな? 僕が箱ごと差し出すと2、3枚を急いで引き抜き、姉さんは口から「うえ~」っと精液を垂らす。
そして、真っ赤な顔して僕を睨みつけた。
「発射10秒前からカウントしてよ!」
「無理だよ、そんなの……」
それ絶対8秒前くらいに発射するコントになるから。
姉さんはティッシュの中にダラーっと精液を吐ききると、丸めたティッシュの行き場所を探す。
「あ、僕が捨てておくから、姉さんは口ゆすいできてよ」
「じゃあ、お願い。ちょっと自習してて」
「はい」
部屋を出て行く姉さんを見送ってから、僕は自分の精液と姉さんの唾液の混じったティッシュを掲げる。
生臭い匂いがたっぷりと詰まっている。それを持って部屋から出た。花純さんの部屋をノックするために。
「……あぁ?」
あいかわらず面倒くさそうな返事をする人だ。
僕がドアから顔を出すと、ますます怪訝そうに花純さんは「なに?」と眉をしかめる。
めったに見たことのない彼女の部屋は、優惟姉さんの部屋よりちょっとカラフルで、よく知らないバンドなのかアイドルなのか不明な男性グループのポスターやデザインポスター、プリクラだけらのボードや床に散らかった雑誌なんかで賑やかだった。
雑誌の表紙がいかにもなギャルモデルで、お願いだから花純さんはそっちには行かないでって思った。まあ、それも今後の暗示課題だけど。
「なにしに来たって聞いてるだろ」
ベッドの上に座ってPSPやってた花純さんは、不機嫌そうに口を尖らせ、イヤホンを外す。
タンクトップにショートパンツ。すらりと伸びた白い足が健康的で魅力的だけど、まだまだお肉が足りない感じはする。
僕は、「はい」と言って丸まったティッシュを差し出した。
花純さんの小さな手のひらがそれを受け取り、汚いものを見るように目が細められる。
「それ、精液だよ」
僕がそういうと、花純さんの目が丸くなる。
そしておそるおそるといった感じでティッシュをもう片方の指でつつき、スンスンと匂いを嗅いでみたりする。
「これが、あの……?」
「そうだよ。僕の精液だ」
ひょっとしたら彼女、精液を見たことないのかも。処女の可能性が高まった。今度、忘れてなかったら催眠術で聞いてみよう。
それはともかく、花純さんはちょっと嬉しそうに唇を緩めると、すぐにその表情を引っ込め、ぶっきらぼうに僕に言った。
「あぁ、そ。サンキュ」
机の上にティッシュを置いて、イヤホンを挿してゲーム画面に戻る。
しばらく様子を見てると、「用が済んだら帰ろよ」と叱られた。
肩をすくめて部屋を出る。花純さんは僕の方を見向きもしてくれなかった。でもまあ、それがいつもの彼女らしくて安心した。
僕は夕食前に、花純さんにも催眠術をかけていた。
彼女にちょっとした『趣味』を始めてもらおうと思って。
今のところ、疑う余地もなく彼女の僕に対する好感度は最悪だ。僕だけじゃなく家族全体に対して低い。
それを改善するのは簡単だ。コインをキィンの一発で済むことだ。
でも、彼女にはその「催眠術で簡単に変えてしまう」という発想は危険だと僕は思った。
綾子さんの例を見るかぎり、愛情というのは量がわかりにくい。エッチになってくれて有り難い反面、行きすぎると暴走しがちだ。
専業主婦で家の中でしか接点のない綾子さんと違い、学校でも顔を合わせることのある花純さんが急激に態度を変化させたら、周りの人間に怪しまれる危険がある。さすがに僕も現段階で家族以外の人間まで催眠術に巻き込むほど自信はない。しかし、だからと言って「学校敷地内では僕を無視すること」みたいなロケーションスイッチで愛情操作するのも、家族愛に対する冒涜だ。リスク管理さえきちんとすれば、そんな機械的な操作をする必要はない。自然な形で、家族や友人たちにも僕たちが和解していく姿を見せればいい。
つまり、少しずつ愛情を足していく。僕に対する感謝と親しみを少しずつだ。いきなり「弟大好き」と言わせるのではなく、それこそデートや会話回数で好感度が上がっていくゲームキャラみたいな感じで、花純さんを変えていくことにした。
花純さんの新しい趣味は、『僕の精液コレクション』だ。
彼女はこれから僕の精液を集めることを趣味にしてもらう。もちろん対象は僕だけで、みんなにもナイショだ。
花純さんは僕から精液をもらい、それをどこかに保管しておく。一つもらうたびに必ず僕に感謝する。彼女にとっては甘いチョコや面白いゲームを貸してもらう程度の喜びだが、精液の匂いには僕が男性であることを意識させる効果も持たせる。
出来れば毎日続けるつもり。そして、その小さな感謝と喜びがどう積もっていくかを観察しよう。日常の中でゆっくりと変わっていく彼女の感情は、他の家族や学校の友だちにも不自然には思われないはずだ。「いろいろあったけど仲良しになった姉弟」みたいに周りに思わせるのがベスト。
誘導は簡単だと思う。
「お待たせ、蓮。それじゃ続き始めるよ」
「うん」
部屋に戻って、口から歯磨きの匂いをさせる姉さんに勉強を教わりながら、僕はこれからの花純さんの変化を想像してにやけそうになる。
ちなみにコレクションに僕の精液を選んだ理由は、単純に面白そうだと思ったからだ。
「おはよう、蓮ちゃん」
「んっ……おはよう、ママ」
布団の中でモゾモゾと下半身をイジられて目を覚ます。
看護師さんが患者のパジャマを着替えさせるような手際で下着まで脱がされ、あらわになったオチンチンが綾子さんの手で擦られる。
「蓮ちゃん、今日も元気ね。んーっ」
舌からたらりと唾液を落とし、それを手で馴染ませながら綾子さんはベッドの上に乗り上げ、僕の首をツツツと舌でなぞる。
「はむっ、ちゅっ、れろぉ……んっ、ちゅっ、ちゅっ」
「んっ、はっ、ママ……」
耳たぶを優しく噛まれて、熱い吐息と舌で愛撫され、思わず声が出てしまう。
優しい手淫が熱を帯びていく。
「ふふっ、可愛い、蓮ちゃん。ママとキスしよ?」
ちゅう、と唇を吸われる。
深く合わせた柔らかい感触は何度も吸ったり離れたりを繰り返し、そのたびにチュウチュウといやらしい音を立てて僕の唾液を吸っていく。
「蓮ちゃんもベロ出して。ママと舐めっこしましょ」
れろ、れろ、ちろちろと綾子さんの舌が器用に僕の舌を舐める。応戦しようにもオチンチンを擦られる快感も重なって僕は震えるだけだ。
「出そう、蓮ちゃん?」
舌を舐め回しながら、綾子さんは目を細める。
「お口でしてあげましょっか?」
僕は何度も頷き、気持ちの良い綾子さんのフェラチオを要求する。
もちろん綾子さんは、喜んで僕の股間に顔を埋めてくれる。
「んっ、じゅぽっ、じゅぽっ、ずずっ、じゅぽっ」
「あぁっ、ママぁ……」
優惟姉さんとは違う大胆でスケベなフェラ。
大人の女って感じがする。
いやらしくて、気持ちよくて、そして男の気持ちを惹くためのテクニックだ。
早くも出してしまいたくなるのを我慢して、僕は忙しく前後する綾子さんの後頭部に向かって問いかける。
「ママ、僕のオチンチン、汚くない?」
「んんっ、もちろんよ、蓮ちゃん。ちゅぶっ、あなたのオチンチンなんだから、んぶっ、汚くなんてないわよ」
綾子さんがそう答えるのはわかっていた。
だから、聞いたんだ。
「……?」
綾子さんは、突然フェラを止めた。
そして僕のを咥えたまま、まばたきを数度した。
「……汚いわけないじゃない。蓮ちゃんのオチンチンなんだもの」
同じことを、今度は自分の気持ちを確かめるように繰り返し、ぺろりと先っちょを舐める。
舌触りが変わったわけでもないのに、ぴちゃぴちゃと味を確かめるように舌を動かし、もう一度咥えなおしてフェラを再開する。
「汚くないわ。そんなはずないじゃない。蓮ちゃんの体に汚いとこなんて……ないわ」
じゅぶ、じゅぶ、露骨でいやらしい響きを聞かせながら綾子さんの愛撫は激しくなっていく。
咥えながら舌を出してまんべんなく舐め回し、僕の袋の下に手を入れてお尻の穴の方までさすってくれる。
「汚くない。んっ、ちっともよ。可愛い蓮ちゃんのこと、あんっ、ママが汚いなんて思うはず、ぢゅぶっ、ないじゃない。じゅぶっ、じゅぽっ」
濃厚な愛撫で僕を愛してくれる綾子さん。ためらいのない口内のセックスは、まるで僕のを食べてしまうかのようだった。
僕はさらに、綾子さんに質問をする。
「ママ、僕のオチンチンは美味しい?」
「ふふっ、なぁにいきなり? 美味しいに決まってるじゃない。ママ、んっ、蓮ちゃんのオチンチン、だいすきよ?」
じゅぽ、じゅぼ……。
そう答えながら忙しなく動いていた綾子さんの頭が、ゆっくりとペースを落としていく。そして止まったと思ったら、また目をパチクリとさせた。
「……美味しい。蓮ちゃんのオチンチン、すごい美味しい」
新しい発見でもしたみたいに、綾子さんは目を輝かせる。
そして、じゅるるるると強烈なバキュームで僕のを飲み込む。
「おいしっ、んっ、じゅぶっ、やだ、すごく、んんっ、美味しい! 蓮ちゃんのオチンチン、んっ、すごいっ、オチンチン、好きっ!」
綾子さんの長い髪が乱れ、シャンプーの匂いが広がっていく。
エロい音を立てながら、じゅぽじゅぽと僕のオチンチンは綾子さんにしゃぶられ、快楽に溶けていく。
平日の朝っぱらこの騒ぎ。
綾子さんはまるで、麻薬でも吸うみたいにフェラチオに溺れていく。
『僕のオチンチンを見ながら僕の質問に答えたことは、全部ママの中で真実になる』
条件付けとしては、わりと複雑な暗示だ。
それでも、綾子さんに植え付けることは成功したようだった。
優惟姉さんにフェラチオを教えたときから、いや、最初に僕の催眠術で本心を教えてくれたときから、綾子さんは「大人の女性の狡さ」を僕に垣間見せていた。
大人になるとそれは自然な打算なのかもしれない。社交辞令というものもある。でも、家族に対してはそれは必要のないウソだと僕は思う。
僕はフェラチオをしてもらいたい。綾子さんはフェラチオを本心から好きではないが、僕が望むことはしてあげたいと思ってくれている。
だったら綾子さんが本心からフェラチオ好きになれば、二人とも幸せになれると思うんだ。
「んんっ! じゅぶっ! んぶっ! ちゅぶっ! んぐっ!」
口全体で味わうようにほっぺたに擦りつけたり、横咥えしたり、喉奥にあたるまで飲み込んだり。
すっかり僕のオチンチンが大好物になった綾子さんが熱心に僕のをしゃぶる。その表情は心からの喜びと欲情がいっぱいで、「美味しい」という言葉にウソはない。
僕は愛撫に身を任せながら言う。
「ママ、僕の精液好き?」
ちゅぽん。
名残惜しそうな音を立てて僕のから口を離し、そしてねっとりと下から上へと舌を這わせながら、綾子さんは答える。
「大好きよ、もちろん。ママ、蓮ちゃんのおチンポミルク欲しい……」
妖艶に細められた目と火照った頬の色気に、僕はぞくぞくと震えた。
これが牝の顔ってやつか。それに「おチンポミルク」とは斬新なネーミングだ。あるいは大人の世界では当然の俗称なのか。まだまだ性の世界は深い。僕は勉強が足りない。
いつも甘い母性で僕を慰めてくれていた綾子さんが、今は女の欲情だけで僕を欲しがっている。その目に体を捕捉された僕は、腰を突き出して彼女の欲しいオチンチンを差し出す。
じゅぶっ、ぢゅぼっ、じゅるっ、ずずっ。
平日の朝っぱらから繰り広げられる濃厚な親子フェラチオ。今日の一時限目は確か国語で眠くなること請け合いだ。体育がマラソン系の競技じゃないことを祈るばかり。今はただ、この込み上げる強烈な射精欲をどれだけフルパワーで解放できるかに賭ける。
綾子さんの頭を股間に押しつけ、僕はギリギリまで絞り込んだ括約筋を緩める用意をして叫ぶ。
「出すよ、ママ!」
「ん、ん、ん、ん、ん、んんーッ!」
すごいの出た。
ドンドンって、腰を突き動かされるくらい大量のがオチンチンを通りすぎていく。喉奥を叩いているはずの熱い奔流を受け止めながら、綾子さんはじゅぶじゅぶと顔を動かしてくれる。その刺激に誘われてまだまだ僕の中から精液が湧いてくる。
「んんっ、ずずっ、濃い……朝のミルクって、匂いも味も……蓮ちゃん素敵ぃ……」
口の中をいっぱい白濁させて、まだ噴き出す精液を顔で受け止め、綾子さんはうっとりと笑みを浮かべる。朝からすっかり欲情した顔だ。
2発目のおかわりをねだる綾子さんを宥めながら、僕はコインを鳴らして彼女に夜の約束もしてあげる。
僕もまだまだ治まらない。
もっとエッチなことがしたい。
もっともっと、催眠術を使いたい。
< 続く >