第7話 疾風のKURO
「おはよう」
朝の食卓では父さんがすでに食後のコーヒーと新聞を楽しみ、パジャマ姿の花純さんがトーストをつまらなさそうに食んでいた。
僕を起こしに行ったはずの綾子さんが、結構な時間をかけてなおかつ顔を火照らせて戻ってきたことには幸い誰も関心を持っている様子もなく、いつもどおりの家族だなって思った。
優惟姉さんは先に制服に着替えてるのか席にはいない。綾子さんは睦都美さんと一緒に僕の朝食を用意するためにキッチンに入っていく。
僕は花純さんの席に近づき、丸まったティッシュをそこに置く。綾子さんの顔についた僕の精液を拭いたものだ。
花純さんは、超高速でそれをひったくり、パジャマの胸ポケットにしまう。
「こんなことで出すな、バカ!」
「あ、ごめんね?」
「バカなんだから」
花純さんの趣味はみんなには秘密だ。父さんやキッチンの様子をすばやく見回し、ちょっと唇を尖らせて怒ってたけど、小さな声で「サンキュ」と言ってくれた。
大事にして欲しいものだ。君のお母さんが朝絞りしてくれた僕のおチンポミルク。
「トーストはジャムでいいですか?」
「あ、はい」
睦都美さんが僕の前にお皿を置いていく。
彼女はいつも地味な服装をしていて、今日も濃紺のワンピースに薄いブラウンのエプロン姿だ。
僕はまだ睦都美さんには何も仕掛けていない。やりたいことはあるんだけど、それには家族全員の同意が必要だったから。
「蓮、おはよう」
優惟姉さんが僕にだけ挨拶をして席につく。そのタイミングを待って僕はコインを鳴らした。
――キィン。
時間の止まる我が家。
キッチンで綾子さんが温めてくれている僕のミルク(もちろん牛の)が沸騰しないうちに、ポケットからメモを取り出し、あらかじめ決めておいた睦都美さんのルールを説明する。
「えーっと、その、睦都美さんは今日からお手伝いさんじゃなくてメイドさんです」
ちょっと恥ずかしいんだけど、やっぱり一度は体験してみたい願望はある。
せっかく家にお手伝いさんがいるんだから、本物のメイドさんがいる暮らしというものを。
「なので、服装も変えていただきます。アレを……メイド服を、着てください。父さん、お金出してください。睦都美さんはなるべく早めにそれを家での制服にしてください。それがルールということで、みなさんよろしくお願いします」
やけに緊張して早口になってしまったが、とりあえず僕のリクエストを家族全員に伝えて催眠解除する。
睦都美さんは、自分の着ている服をちょっと見下ろし、父さんに「旦那様」と呼びかける。
「ん」
父さんは新聞越しに頷く。僕はなんだか恥ずかしくなって俯く。
わがままを言ってる子どもみたいだ。でもこれが催眠術だ。早くメイドさんになった睦都美さんが見てみたい。
わくわくしながら、トーストをかじる。
「――俺、恋したみたいなんだ」
学校についたら、悪友がいつものように僕の前の席にこしかけ、真剣な顔でそう切り出してきた。
僕はため息をついて、いつまでたっても分からず屋な友人に、噛んで含めるように説き聞かせる。
「相手は、ただの液晶と電気信号なんだよ?」
「や、モバマスはもう卒業したから。今度はちゃんと三次元の女だから」
「言っとくけど、僕の身内に手を出すのもなしだよ?」
「心配すんな。そこもちゃんと俺たちの友情に配慮して、お前の身内はズリネタにしか使ってねぇから」
「僕って普段あまりこういう言葉遣いしないし、他の人たちにも聞かれたくないから小さい声で言うけど……ぶっ殺すぞ?」
「いやじつは、相手はうちのクラスの女なんだけど」
「え、ほんと?」
びっくりした。
うちのクラスのブスと付き合うくらいなら日ハムに入団するって、いつも意味不明こと言ってた友人が急にどうして。
「それって誰?」
「ここの女」
と言って彼は自分の座っている椅子を指さした。
そこは、前に担任の先生が「見かけたら教えろ」と言って写真を回していた我がクラスの不登校女子、黒川の席だった。
「相手は、ただの紙とインクなんだよ?」
「いや実在するだろ。写真じゃなくて本物の方を言ってるんだよ、俺は」
「同じでしょ。会ったこともないのに好きとか嫌いとか言い出すなんて」
「ひとめぼれっての、本当にあるんだな。そんなの米の品種名だとばかり思ってたけど……まさにこれが、年貢の納め時ってやつ?」
「すごいドヤ顔だけど、まさかそれ上手いこと言ったつもりなの? そもそも学校にも来ない女子を好きになっても会えないから」
「そう思ってさ。じつは昨日、黒川の家を電撃訪問してみたんだよな」
「さすが『暴走のエロ戦士』の二つ名を持つ男だね。ていうか、そもそも家にいないから捜索願が出てるんでしょ?」
「いいんだよ。会えるとか会えないとかより、あいつん家の玄関に精子ぶっかけたいと思っただけだから」
「ホント、君にだけは自宅を特定されたくないな」
「だけど、ちょうど家の前で母ちゃんが出てきちゃってさ。しょうがないから『同級生なんですけどー』って言ったら、『娘ならいません』で終了。ったく、あの母ちゃんにぶっかけてやればよかったな」
「そうだね、まだ玄関よりも有意義かもね。でも親がそんな感じってことは、やっぱり行方不明じゃなくて家出ってことなのかな?」
教室で手配写真のように回された彼女の姿は、小学生の頃のわりに可愛げもなく、整った顔でカメラを睨みつける鋭い視線が際立っていて、その性格のきつさが写真越しでもわかった。
彼女と同じ小学校だった他の女子の反応を見る限りでも相当嫌われてたみたいだし、学校にも家にも居場所がなかったのかも。
ひょっとしたら、黒川も僕と同じように家族のことで悩みがあったのかもしれない。そう考えるとなんとなくシンパシーみたいのは感じた。
もちろん、それだけで彼女のこと好きになったりはしないけど。
「でもよ、他のクラスのやつに聞いたら、前に街で見かけたことあるっていうんだよ」
「え、そうなの。じゃあ家に連絡してやればいいのに」
「それがさー、どうも男と一緒らしいんだよな。なんかやばい格好してて」
「やばい格好?」
「雨も降ってないのに、黒いレインコートに黒い長靴。コートのフードもかぶってて、変なヤツいると思ったら黒川だったって。男の方もさあ、ロングコート着て、サングラスしてハットかぶって、怪しいんだけどめちゃめちゃイケメンオーラ放ってたって。二人ともなんつーの、ゲームかなんかのコスプレしてる雰囲気だったらしい」
「……そういう方向のやばさか」
「やばいよな。ていうか男は誰だって話だよな。そいつ、家にも連絡したって。そしたら『あ、そうですか』の一言だって。たぶんさ、あそこの親も黒川のこと本気で心配してないんだよ。学校とか警察にはちゃんと探してるふりだけして」
「なんか僕、そういう話は苦手かも。家も家だけど、黒川本人も何してるかわからないよ。やめとけば?」
「いーや、俺は逆にそれをロマンだと考える男だね。平凡な恋なんてするつもりないし、むしろ障害ウェルカム困難サバイバルだっつーの。ドラマチックな展開は望むところだぜ」
「もっと違うドラマが探せばいくらでも……というより、今のところ黒川の顔面くらいしか恋する要素が見当たらないんだけど」
「そりゃそうだ。てか女なんて見た目さえ良ければ中身はどうでもいいじゃん?」
「確かに、君ってそこだけはブレないね」
世の中の女の99%がブスっていうのが彼の持論なんだけど、数少ない例外の1人に、隣のクラスの天崎結希っていう子がいる。
そして入学してすぐくらいに彼女にラブレターを出して、それをみんなに公開された上でフラれるっていう、最悪の仕打ちに彼は遭っていた。
なのにコイツは、「そういうとこも含めて女神。民に災厄をもたらすことで恐れ敬われていたという古事記神話系の女神」などと意味不明な供述を白目で語り、今も彼女を我が校の三大美少女神の1人として崇めている。
ちなみにあと2人の美少女というのが、うちの花純さんと、3年の藤原先輩。これに黒川を加えて四柱とするっていうのが彼の悲願だ。
ようするに、二次元でも三次元でも可愛いが正義の男だ。
「つーことで、今日はみんなで黒川探しするから蓮も付き合うんだぞ。なにしろ警察より先に探し出さなきゃな。マッポ出し抜いて恋すっぞ!」
「ときめかないフレーズだなぁ……」
悪友たちと放課後の街をぶらぶらと歩く。
目撃証言のあったあたりをうろつき、近くのゲームセンターに寄って、音ゲーして、みんなでタコ焼きを食べて、そして「カノジョが出来たらどういうデートをしたいか」なんて話で盛り上がったあと、夜はオフランドに集合する約束をして解散した。途中から黒川のことは忘れて普通に遊んだだけだった。
恋か。
僕にはまだまだ先の話だと思うけど。まずは家族と上手くやっていきたい。
「おかえりなさい、蓮さん」
「うおぉ…ッ!」
「どうかなさいましたか?」
ヘッドドレスの乗った頭を、きょとんと傾げて、睦都美さんは僕の間抜けなリアクションに目をぱちくりさせる。
忘れてた。メイドさんの服を着てって、僕が暗示をかけていたんだ。
睦都美さんの選んできたメイド服はクラシックな感じで、よくあるメイド喫茶みたいな短いスカートやエッチな胸元とかはないんだけど、ぴしっと引き締まって見えるシルエットやきれいなレース飾りなんか、上品な家に仕えるメイドさんって感じでクール美人な睦都美さんに似合っていた。
それに……細いウエストとか胸の膨らみとか、じつはスタイルもいいんだなってことが、あらためてわかるデザインをしていた。
睦都美さんは、ぼけっとした僕のことなど放って、ソファの拭き掃除に戻る。ふわりとロングスカートが揺れた。黒ストッキングに包まれたふくらはぎに、僕は無意識に唾を飲み込んでいた。
「蓮ちゃん、おかえりなさーい。お風呂にする? それともママ?」
「あ、僕、勉強あるんで」
「……ママ、なんか空気扱いされてる?」
綾子さんはいつもどおりだった。
今日ずっとメイド姿の睦都美さんと過ごしたはずだけど、それをおかしく思ってる風でもない。我が家の新しい常識だ。
ただそれより、メイド服の睦都美さんと父さんが今夜はいつもより乱れるような気がした。息子としてはそういった不倫行為は未然に防いでおきたいとこだけど……。
「蓮ちゃん、ママのことも見てよ~!」
今夜も僕は忙しそうなので、睦都美さんと父さんの不倫問題は後日からということにする。
何事も急ぎすぎてはよくない。僕の家族はどこにも行かないんだから。
「ママが背中流してあげる」
ふにょんと綾子さんの大きなおっぱいが僕の背中でつぶれ、むにむにと泡と一緒に擦られる。
至福。それはおっぱいが味方してくれていること。極上のスポンジで全身をマッサージされると、それだけで天国に昇った気持ちになるんだ。
「オチンチンも、きれいきれい」
キュッと握られて快楽が走る。背中から回した手で優しくしごかれ、恍惚のため息が漏れてしまう。
「ごしごし、ごしごし」
小さな子の体を洗うように、優しく愛情たっぷりの綾子さんの手。チュッと耳にキスの音がする。カノジョが出来たらしたいことのナンバーワンは、一緒にお風呂に入ることだな。
お義母さんと一緒にお風呂に入ってるような僕には、まだまだカノジョなんて出来ないだろうけど。
というより欲しいとも思わない。うちの学校に、僕の家族以上に可愛い子なんていないんだから。
「ママ、たまには僕が洗ってあげるよ」
「え?」
「いつもママには洗ってもらってばかりだから、お返しに僕がママをきれいにする」
「い、いいわよ。恥ずかしいわ、ママの体なんてたゆんたゆんですもの。それに蓮ちゃんにそんなことさせたくな――」
――キィン!
お風呂場だからコインは持ち込み出来ないっていつから錯覚していた?
僕は我が家の至るところに糸で結んだコインのセットを常備している。もちろん、勝手に触ったりしないようにみんなにも暗示済みだ。
どこでもこの音を響かせれば、誰でも僕の被暗示状態になる。我が家のルールはまずそこからスタートしている。
とろりと体を弛緩させた綾子さんを、僕は洗い場の横に寝かせる。
すごい。なんていうおっぱいをしてるんだ。人というより山脈と呼んでもいいくらいの起伏を形成してるじゃないか。
ぽよぽよと感触を楽しみ、催眠を忘れそうになっている自分に慌てて気づく。いけない、いけない。綾子さんのおっぱいなら楽しもうと思えばいつでも楽しめるのに。
僕は綾子さんの耳元に口を寄せる。
「ママは僕に体を洗わせる。ちょっぴり恥ずかしいけど、それは普通の親孝行で嬉しいことだ。いいよね?」
でもやっぱりおっぱいはイジっちゃう。だって気持ちいいし。
「その前に、ママの体に『えっちポイント』をいくつか作るよ。ただ洗うだけじゃ退屈だもんね。僕にそこを触れるとすごく気持ちよくなっちゃう場所だ。最初のひとつは……ここ」
綾子さんの左の乳首を、くりっと摘まむ。
「左の先っちょ。ここはすごく気持ちのいい場所。ただし、僕専用だよ。僕に触られると母子反応を起こして、ものすごく気持ちよくなっちゃう。そういう秘密のポイントだ」
えっちポイントは僕が作ったんだから、父さんにだって使わせない。あくまで僕専用のポイントだ。
「ここも。僕に触られるとすごく気持ちよくなる『えっちポイント』だ。今まで一番気持ちよかったことってなに? それよりも気持ちのいい感覚が、ここから全身に発射されるよ」
右の耳たぶ。
そこをコリコリと撫でながら囁く。
「じゃ、次は……ここも『えっちポイント』にしよう。左手の薬指。父さんとの結婚指輪の場所」
シルバーに輝くプラチナと宝石を、ゆっくりなぞる。父さんの妻である証。家庭内で不倫をしている父さんへの腹いせに、綾子さんの結婚指輪は僕のえっちポイントにする。
ちょっと悪趣味かもしれないけどね。
「次は……ママ、ごめんね。足を上げるよ」
綾子さんのムッチリな足を持ち上げ、膝を立てる。そして膝を曲げたままさらに持ち上げる。
「うわ……っ」
自分でやっといてなんだけど、すごいやらしい。綾子さんはアソコをあらわにして、おむつを替えられる赤ちゃんみたいな格好している。
そして僕は片手で足首を持ち上げたまま、その柔らかそうなお尻に指を立てる。
「ここも、『えっちポイント』だ。わかる? 僕の指がぐりぐりしている右のお尻。このお肉。すごく感じるようになる。お尻の中で一番『えっちなポイント』だよ」
僕のオチンチンもギンギンになってきた。
ていうかこの格好、赤ちゃんのおむつどころか、セックスしているみたいだ。
綾子さんとセックス。催眠術を使えばおそらく簡単に出来てしまうこと。それを想像してますますオチンチンは熱くなったけど、そんなことはしない。
今はまだ、たぶんしない。
「ママ、ここも」
花純さんを産んだオマンコ。その上の方についている、ぽつんとヒダが寄った場所。
童貞歴13年の僕でも知ってる超有名な女の子のパワースポット、クリトリスを撫でながら僕は言う。
「ここも僕の『えっちポイント』だよ。僕に触られたらすごく気持ちいい。いつもよりずっとずっと気持ちよくて感動するくらいだ。やみつきになる気持ちよさだよ」
女の子はここがかなり気持ちいいと聞く。それをさらに強力にしたらどんなことになるんだろう。
いかにも童貞的発想なのは百も承知だけど、好奇心は抑えられない。
「最後は、ここ。左足の親指。ここも『えっちポイント』だ。以上、とりあえずここまでにしとくね。あとでもっと増やすかもしれないけど、今のポイントは忘れないようにしてね」
綾子さんの体を起こして座った体勢にしてから、僕は「解除」と耳元で囁く。
「あ……」
ぼんやりと瞳に色を戻した綾子さんに、僕は平然を装って言う。
「さ、ここに座って。僕が体を洗ってあげるから」
「でも、蓮ちゃんにそんなことさせるの恥ずかしい……いいのよ、ママに気を使わなくても」
「僕がそうしたいだけだよ」
「あっ!?」
さりげなく右の耳たぶに触れる。
甘い声を上げた綾子さんの顔が一瞬で真っ赤になる。
「れ、蓮ちゃん、何を……」
「座って。ママの体を僕に洗わせて?」
「んっ、やぁ……」
耳たぶの近くでしゃべるだけで体を震わせている。
敏感になった体の異変から逃げるように、綾子さんは「わかったから」と言ってお風呂椅子に座る。
僕は綾子さんが髪をまとめるのをまって、たっぷり泡立てたスポンジで背中を擦る。
「どう、ママ?」
「え、ええ……上手よ、蓮ちゃん」
少し緊張した綾子さんが背中を丸めて答える。
いきなりえっちポイントをいじったのは失敗だったかな。ちょっと警戒させたかも。
でも、普通に背中を擦っているうちに、安心したみたいに綾子さんは微笑む。
「息子に背中を流してもらうなんて、想像もしたことなかったわ。なんだか、くすぐったい気持ち。……嬉しいわ」
その言葉に、なんだか胸がちくりとなる。
僕も、母さんの背中を流したことなんてなかった。僕は今よりずっと子どもで、母さんには甘えっぱなしだった。
死ぬ前に……一度でも親孝行をしてあげたことがない。
「――蓮ちゃん?」
綾子さんが手の止まった僕を振り返る。
僕は誤魔化すように、前へ手を回す。
「きゃっ!?」
むにゅ。手が埋まる豊かな感触。ずしりとくる肉を持ち上げ、こねるように揉む。
「あんっ、も、もう、やっぱりおっぱい触ったぁ。だから嫌って言ったのに……んっ、んっ」
この人はお母さんじゃない。でも僕の家族だ。僕がこれからの家族を作る。そしてみんな幸せにする。
僕が――新しい家族の中心になる。
むにゅ、むにゅ、力を込めて綾子さんのおっぱいを揉む。綾子さんは僕の好きなようにさせてくれる。
「おっぱい、好きなんだもんね? ふふっ、男の子って可愛い。いいよ。んっ、ママのおっぱい、蓮ちゃんに貸してあげるから、好きに遊びなさい。でも、んっ、風邪引かないようにほどほどで――あんっ!」
右の乳首をくりっと指で撫でる。ぴくっと身をすくませて甘い声で「こら、もう」と笑う。
「そこ、んっ、ダメ、エッチなとこでしょ、あんっ、もう、どこで覚えてきたの、んっ、ふふっ、やぁだ、あん、蓮ちゃんてばぁ」
これが乳首を触られたときの綾子さんの反応通常バージョン。甘く可愛い声で抗議する仕草はまるで「もっと」と誘っているようだ。
刺激する乳首を左に替えたとき、彼女の反応がどう変わるかをよく観察してみようと思う。
「ひゃぁぁんっ!?」
ビクンっと綾子さんの体が跳ねる。そのまま乳首を擦ると、さらにビクンビクンと大きな反応をし、「あぁ~んっ」とお風呂場に響く声を立てた。
「やっ、な、なにっ、あぁん! 蓮ちゃ、蓮ちゃん、ちょ、だめぇ! あっ、あっ、そこ、あぁ~ん! だめ、待って、蓮、あん! 蓮ちゃん、だめぇぇぇ!」
両手でがっしりおっぱいを握り、乳首をゆっくりと潰すようにこねる。両方をいじってあげてるのに、左の刺激ばかりが強いらしく、体を不自然にくねらせて僕から逃げようと綾子さんは足掻く。
「どうしたの、ママ? おっぱい、好きにしていいって言ったよね?」
「ひぃ!?」
右の耳たぶ近くで囁く。唇の触れた感触だけで綾子さんは飛び上がった。
「蓮ちゃん、待って。本当に……あぁっ! ママ、変なの、のぼせたみたいで、あぁん! 待って、待ってぇ!」
耳たぶを噛むとすごい体を震わせる。じつはもともと耳が感じる人だったのかな。わりとメインのつもりだった左乳首よりも反応が大きい。
そういや、おっぱいの大きい人はおっぱいで感じにくいって、悪友が言っていた。成分のほとんどが脂肪だから神経のクッションになっちゃってるとか、みんなが揉むせいで鈍くなってるとか、そもそも観賞用だとかいろんな説があるそうだけど。
では、おっぱいは趣味で、耳たぶは実用として使うことにしよう。
「ひっ、だめ、噛んじゃダメ、あぁん! 蓮ちゃん、ママを、許して、あん! まいった、まいったから、ひぃん! 蓮ちゃん、あっ、蓮ちゃぁん!」
あぁ、おっぱい気持ちいい。綾子さんの声も可愛い。耳たぶコリコリも楽しくなってきた。
僕のもすごく固くなって綾子さんの背中をぐりぐりしている。
「あっ、あっ、当たってるっ。蓮ちゃんのオチンチン、当てられてるぅ……っ」
綾子さんが体勢を崩して椅子からすべり落ちる。
僕は後ろからかぶさるようにして体を密着させる。さらにぐりぐりと綾子さんにオチンチンを押しつける。
狙うのは――ここだ。
「ひゃぁあんッ!?」
右のお尻のえっちポイント。そこに先っちょを押し当てて突く。
ビクン、ビクン。綾子さんは全身を跳ねさせて反応している。すごくエッチな格好だ。まるで僕とママがセックスしているみたい。
「ダメ、ダメ、もうダメぇ……蓮ちゃん、こんなのもう無理……はぁ、はぁ、はぁ……」
くったりとした綾子さんの体を仰向けに転がす。
濡れた体がきらきらと光り、大きな胸が激しく上下して、エッチな熱気を発していた。
セックスって、気持ちいいのかな?
綾子さんのオマンコにオチンチンを入れれば、そりゃきっと気持ちいいに違いないって予感はある。
でも、僕たちは家族で母子。たとえ血の繋がりがなくても、してはいけないことのルールはある。
僕らは何度もそれを破ってここまで来たんだけど。
「あ……ダメ」
ギンギンにそそり立った僕のが、自分の股間のすぐ近くにあることを察して、綾子さんは唇を噛んだ。
「それは、ダメよ。親子だもの……今、ママが口でしてあげるからね」
気だるそうに体を起こして、四つんばいになって僕のを咥える。
くちゅ、くちゅ、慣れた感触に包まれた安心感と快感にホッとする。
でも、僕はもっと綾子さんに試してみたいことがある。たとえば今、僕のを握っている左手の薬指に光る結婚指輪の感度とか。
「ママ、少し体勢変えていい?」
四つんばいの体を横に寝かせて咥え直してもらう。体を右手で支え、左手で僕のを握る綾子さん。僕はその手を取って、自分の口元に持っていく。
「あぁぁッ!?」
薬指を指輪ごと舐めると、綾子さんは僕のを咥えたまま、悲鳴なのか歓声なのか分からない声を上げた。
「んっ、ちゅる、あっ、なにっ、あっ、なにそれ、んぐっ、やっ、んんっ、待っ、んぶっ、んんっ」
そして腰を自分で突き動かす。
れろれろと指を舐めるたびに綾子さんは反応し、そして僕のオチンチンに喉を突かれて悶える。
「父さんとの結婚指輪舐められて気持ちいい?」
「いやぁ! んぶっ、そんな、んぐっ、言わないの、んんっ、ちゅぶっ、ちゅぶぅ!」
「どうして感じるの? ねえ、どうしてママは、大事な結婚指輪を僕に舐められて感じているの?」
「そんな、んぐっ、わか、わからないの! んっ、んぶっ、やめっ、あぁっ、頭が、おかしくなってるの、ママっ! 蓮ちゃん……もう、んぐっ、んぷっ、たすけ……」
たとえば喉奥にえっちポイントを作るとかどうなるのかなって、ちょっと鬼畜なことを想像をしてしまった。
そんな自分を反省しながら、苦しそうな綾子さんを再び仰向けに転がす。
「ダメよ、本当に……入れちゃダメぇ」
といいつつお股をちょっと開き気味にする綾子さんはすっかり熱を上げているみたいだけど、僕はまだまだ理性的だ。攻略していないポイントが残っている。
僕は綾子さんの左足を持ち上げる。「あ……あっ……」と綾子さんは期待と不安の混じった表情で僕を見上げる。
入れないよ。ただ、ここを擦ってみるだけだ。
「はあぁぁぁッ!」
僕のカッチカチにボッキしたオチンチンで綾子さんのクリトリスを擦る。
石けんと綾子さんのエッチ汁の混じったくちゅくちゅという音が響き、それに綾子さんの必死の声が重なる。
「や、らめぇっ! 蓮ちゃん、それ、あ、あ、あ、ホントに、ダメぇ! あぁぁっ、すご、あぁん、蓮ちゃっ、だめ! もうだめぇ!」
ぷしゅっと綾子さんのあそこから液体が噴き出す。
おもらしでもしたのかな? でもまあいいや。僕も気持ちいいから今はやめたくない。大事なところを擦りっこするのはスリリングでとても気持ちの良い遊びだった。
綾子さんのあそこはふにふにしているんだけど、クリのところがちょうど擦れる固さで僕のオチンチンにも良い刺激になる。綾子さんは頭を仰け反らせて、「あひぃ」とか「おおおっ」とか、同人誌みたいな声を出している。
ここがお風呂でよかった。綾子さんがこんなにたくさんおもらししちゃう人だとは思わなかった。下半身もみっともないけど、表情もちょっとみっともないことになっている綾子さんは、黒目をひっくり返して、舌を出して変な声を出している。
やりすぎかな。でも、僕も気持ちよくて止まらない。
セックスしたら気持ちいいんだろうな。でも、そういうこと簡単にしちゃったらダメだよな。でも。
――いつか、綾子さんとはセックスするんだろうな。
そんなことを考えながら、僕は肩にかけていた綾子さんの左足を持ち上げ、その親指を軽く噛む。
「~~~~ッ!」
床にゴンとぶつけるくらいに仰け反った綾子さんが、声にならない悲鳴を上げて、そして全身を弓なりにする。
僕は、その火照った白い体に容赦なく精液をぶっかける。
びしゃ、びしゃ、顔から胸へ、綾子さんの美しい体を僕の欲望で汚す。
恍惚の表情でそれを受け止めていく綾子さんは、とても幸せそうに見えた。
「……蓮ちゃんって、本当に素敵な子」
二人で一緒に湯船につかる。
前に座っている僕を優しく抱きしめ、綾子さんはおっぱいを僕の背中に押しつける。えっちポイントがまた刺激されたらしく、「あぁん」と甘い声を上げる。
「ママ、こんなに感じたの初めてよ」
僕の頭を撫でて、髪にキスしながら熱っぽく囁く。
確かにすごい感じ方だった。いつかオマンコの奥の方も僕専用のえっちポイントにしよう。
チュ、チュ、と綾子さんは僕に何度もキスをして、そして耳元でつぶやいた。
「ねえ……蓮ちゃんはママとセックスしたい?」
「んー、今はいいや」
濃厚な疑似セックスで満足した僕は賢者タイムだった。
早くお風呂から上がって明日の予習もしておきたい。
「イテっ!?」
いきなり綾子さんがお尻のつねってきたから、びっくりした。
お風呂上がりは真面目に勉強して、そしてオフランドで友だちと遊んだ。
狩りの方は仲間がミスったせいで不成功だったけど、それをネタにしてさんざん盛り上がって笑えた。
さて、そろそろ寝るか。
そう思ったところで大事なことを思い出し、花純さんの部屋へ行く。
ノックすると、彼女も寝るところだったのか不機嫌そうな顔してた。
「ごめんね、日記見せてもらうの忘れてた」
「……明日でいいじゃん」
「いや昨日も見てないから。お願い」
「しょーがないなー」
ほらよ、といったん部屋に戻って黄色いノートを持ってくる。
『かすみのにっき』と適当に書かれた表紙をめくると、花純さんの意外に整った字が、ページの真ん中に短く書かれていた。
○月○日
『義理の弟にせーしもらった』
○月○日
『朝ごはん中にせーしくれたからキレた』
無職のツイッターですらもう少し情報量あるだろと思えるくらいの、一行二行の日記。こんなのを見せたらフレンチのシェフだって「空白もったいなくない?」と驚くに違いない。
昨日から始めたばかりの、花純さんの弟日記だ。
精液を包んだティッシュを上げることで好感度をカウントすることにしているが、具体的にどこまで上がっているかは彼女自身から確かめるしかない。
なので手っ取り早く、僕のことを日記に書くように催眠術を使っていた。
ここには僕のことを中心に、僕のことをどう思ったとか、他の家族についても思ったことは書くように言っている。
彼女が日記とか書くようなタイプじゃないことはわかっていた。そしておそらく好感度的にはまだ最低の僕のことなどたいして書くことがないのも想像がつく。内容がぺらっぺらなのは、それだけ僕に関心が低いということだろう。
今は致し方ない。これからどう変化していくかに期待しよう。
ちなみに、日記は僕に見せるようにも言っている。僕は彼女の前で堂々と彼女の日記を読むし、書くときは本音を書くようにと、もちろん言っている。
「ありがと。明日もよろしくね」
「ん」
「おやすみ」
「……」
無言でドアは閉ざされる。なんだかますます不機嫌だったけど、精液もらえると思ってたのかな?
期待に添えずに申し訳なかったけど、今日はお風呂で綾子さんに出してもらったし、優惟姉さんは自分の勉強してたみたいだし。
かといって僕も今さら自分の手でオナニーする気になれなかった。
今度、花純さんや睦都美さんにも手伝ってもらえるようにしようかな。
< 続く >