第11話 Ice-book
お風呂の中で、さっきの優惟姉さんの乱れた姿を思い出しながら体を洗う。
そして固くなったオチンチンを持て余す。
やっぱり姉さんにフェラチオしてもらえばよかったな。なんか雰囲気に絆されちゃって言えずじまいだったよ。姉さん可愛かったなぁ……。
それとも睦都美さんにまたメイドオナホになってもらおうかな。あれもすごく気持ちよかったし。
などと、お風呂上がりのプレイについて思いを馳せていると、扉を誰かにノックされた。
「誰入ってんの? 蓮?」
「え、あ、僕だけど?」
声をかけてきたのは、意外なことに花純さんだった。
磨りガラス越しに、小柄な彼女のシルエットが浮かんでいる。みっともないくらい狼狽えてしまった。
「なんだ、蓮か」
というより花純さんに名前を呼ばれるのも初めてかもしれない。いつも「おい」とか「お前」としか呼ばれてないのに。
なんか、嬉しいぞ。なんだろう、このいつもは粗暴な亭主にたまに優しくされた女房みたいなときめき。
「あたし入りたいんだから、早く上がれよ」
「う、うん。上がったら教えに行くよ……花純さん」
「おう」
ちょっと緊張しながら僕も名前を呼んでみる。
花純さんは、あっさりと流してくれたけどとりあえず怒ったりはしてないみたいだ。
これからも「花純さん」って話しかけても問題なさそう。僕の精液による好感度UPが着実に成果を上げていっているようだ。
なんだかこういう目に見える変化があるとやっぱり嬉しい。
まるでギャルゲーしてるみたいで。
「……あのさ」
「え?」
一人で浮かれていたせいで、まだ花純さんがそこにいることに気づいてなかった。もう用事は済んだはずなのに。
まだ何か用があるのかな?
「カルピス飲んだ?」
一瞬、何のことか思い出せなかった。そういえば、昼間学校で花純さんにジュースを貰ってた。
そのお礼を言うのをすっかり忘れてた。
「うん、飲んだ。お礼言うの遅くなってごめんなさい。ありがとう」
「あ、いや、そういうんじゃないから」
「え?」
「あれ一応、こっちの礼のつもりだから。蓮が感謝しなくていい」
しばらく考えてようやくわかった。
あのカルピスはやっぱり今朝の精液のお礼だったのか。花純さんはそのことを言いに来たのか。
ジュース渡して自分だけ満足して終わりにしないで、あらためて意図を説明にくるとか律儀じゃないか。ていうか、今さら気づいたけど僕の脱いだ服がそこにあるんだから、最初から花純さんは僕だと知ってて声をかけたんだ。この話をするために。
やっぱり花純さんは悪い人じゃない。慣れない家族の前で素直になれないのと、タイミング悪く反抗期にハマってるだけで、礼儀とか思いやりとかはちゃんとわかってる子なんだ。そうじゃなかったら、学校でもあんなに友だち多いわけないもんな。
僕らはたぶん仲良しになれるよ。いつかきっと優惟姉さんと僕みたいな関係になれる。お互いほんの少し心を開き合えばいい。それだけのことだよ、きっと。
嬉しくて、楽しみで、そして僕は興奮してしまった。
花純さんの小さなデレに。
「そんだけ。じゃあ、長湯するなよ」
早くしないと行ってしまう。
僕は風呂場に常設している糸コインを急いで鳴らす。
――キィン!
もうしばらく花純さんと一緒にいたかった。
普段の彼女の表情を知りたかった。
そういう理由もあったけど、一番はやっぱり、僕が花純さんに興奮してしまっていたことだ。
彼女の裸を見たいと思っていた。
「花純さん、僕はもうお風呂を上がりました。ここには僕はいません。僕はただのお湯だ。湯気だ。姿が見えても気にならない。お風呂にお湯や湯気が当たり前。湯気が見えても、お湯に触られても、お風呂だから当然あなたは気にしない。ここにはお湯と湯気しかない。いつもどおりのお風呂だ。さあ、準備をしましょう。いつもどおり、普段どおりに入浴しよう。あなたは体が冷えて、お風呂に入りたい。さあ、急いで」
磨りガラスの向こう側で、花純さんの体がブルッと震えた。そして、「うう、寒」と言って脱衣場を出て行った。
期待とアレを膨らませ、僕は洗い場で彼女を待つ。しばらく待って体が冷えてきた頃、ようやくお風呂道具を抱えた花純さんが戻ってきて、磨りガラスの向こうで服を脱ぎ始めた。
生唾を飲み込んで、ますます固くなっていく股間を握る。一応、僕を僕として認識しないように催眠術をかけたけど、念のため股間くらいは隠してみた。
服を脱いだあとも女の子にはいろいろと準備があるようで、脱衣場では忙しそうな物音が聞こえる。期待を持たされるだけの僕はのぼせそうなくらい顔が熱くなっていた。
そして、引き戸が開かれる。
目に飛び込んできたのは「肌色」だ。
圧倒的な肌色率。裸なのだから当たり前なのだけど、それでも眩しい肌があまりにも鮮明で、書き文字で「どん!」と効果音が見えるくらいの衝撃を受けた。
その衝撃的な一色感の理由はすぐにわかった。
綾子さんや睦都美さんはおろか、優惟姉さんにすらあったパーツが彼女にはほとんどない。それゆえの高肌色率だった。胸に二つポツンと桜色のぽっちがあるだけで、あとは蔭りのない鮮やかな肌の色をしていた。
つまり、ほとんど生えてない。よく見りゃあるかもってくらい、ふわふわしたのがわずかにあるだけ。
『花純さんのアソコにはほとんど毛が生えていない』
書店で思わず声に出して読み上げたくなるラノベのタイトルみたいに、僕の唇は勝手に動いていた。
「ふんふん~♪」
まず、黄色いオケに入れて持ってきたマイお風呂セットを浴槽のふちに乗せる。
その拍子にわずかによじれたアソコが二枚貝をずらし、中の身をほんの少し見せた。ほとんど肌色のお肉に挟まれて見えなかった内部は、鮮やかなピンク色をしていた。
「ふんふふ~ん♪」
胸を描くなだらかな曲線は、男性に比べて丸みの多い女体構造にしては直線的と表現しても構わないんじゃないかというくらい広角で、まあ、平たく言ってしまえば平たい胸だった。
普段の服の上からもだいたいの大きさは想像していたが、脱ぐとそれ以上に平たいところをみるに、ブラの力って偉大だなと思えた。
でもそこにある薄い色をした乳首は本当に可愛い。肌の白い花純さんの胸に桜色の小さなボタンが付いてるみたいで、それは幼い彼女の肢体にとって最高によく似合う修飾だった。
少女期の一瞬にしか見られないシンプルな美しさ。彼女はまだ妖精なんだ。大人の女性になる一歩手前だ。
物足りなさを感じさせる反面、これ以上のものは必要ないとも思わせる危ういバランス。この瞬間の彼女を見逃すことがなくて本当に良かった。
そして、これで僕は我が家の女性の全員の裸を見たことになる。正直、偉業だと思う。ついにここまで来たかって感じだ。全員、僕の自慢の家族だよ。
花純さんは、僕に背中を向けてシャワーを使う。
あまり女性を主張をしない胸に注目していたせいで油断していた僕は、そのマルっとしたお尻の形にショックを受ける。
すごい可愛い。
男の子と大差なく見えた体に、『少女』を主張する強烈な武器が潜んでいた。思わず「うわっ」と小さく驚いてしまった。
幼さが目立つ花純さんのヌードは、色気よりも気まずいっていう感じだったのだけど、そのお尻には僕の何かを目覚めさせるようなインパクトがあった。
防水のスマホが欲しかった。これはちょっとポートレートにしたいくらいの魅力がある。前に一緒にゲームしたときの半分はみ出たお尻もよかったけど、全部剥いてみて初めて本当の魅力がわかった。
触りたい。これ触ったら絶対気持ちいいに決まってる。
慎重に手を伸ばしていく。僕は湯気。僕はお湯。姿を見ても驚かれなかったんだから、触っても大丈夫なはず。
ひたっと、シャワーの雫と一緒に花純さんのお尻に触れる。
温かい。そして彼女も気にしている様子はない。
そのまま手の平で触って動かす。張りがあってすべすべのボールを撫でているような感触。柔らかくてやっぱりすごく気持ちいい。
「ふふん、ふ……ん~?」
髪を濡らした花純さんがお尻を振り返る。驚いて僕はそのまま固まる。でも、僕の姿は彼女の目に映っても、お湯とか湯気とか、お風呂の中の光景にカメレオンのように溶け込んでいるはずだ。
彼女は気にするのをやめてシャワーを続行する。僕は片手をギュッと握りしめ、「イエス!」と内心で叫んで痴漢行為を続行する。
しゃがんで、お尻を真正面に眺めながら撫で回す。花純さんは全然気にしていない。ありがたいこの感触を彼女に黙って堪能させてもらえるなんて何だか申し訳ない感じもした。
でもやめられない。
お尻の肉をそっと開いてみる。目に鮮やかな眩しい肌をしている彼女も、そこだけはくすんだ色をしていた。でも、ばっちい感じはしない。小さなシワがぎゅっと集まって、おちょぼ口みたいに縮こまった穴はむしろ可愛いと思う。
――キスしたい、なんてちょっと思えるくらいに。
「ふんふふ~ん♪」
軽いシャワーを終えた花純さんのお尻が僕の手から離れる。残念に思いながらそのお尻を見守る。
花純さんはお風呂のふたを浴槽の上に広げ、そこをテーブルにして自分のお風呂セットを並べていく。
優惟姉さんもシャンプーとか持ち込みだったし、この年頃の女の子は家族と洗髪料を共用したくない事情でもあるんだろうか。
しかし、花純さんの用意はシャンプーとかトリートメント剤に終わらなかった。
可愛いキャラクター物の保温マグがあった。置くときカランと音がしたから氷入りの冷たいやつだ。
防水ケースに入ったスマホもあった。それを良い具合に立てかけておくためのホルダーもあった。
オケに入っているタオルは数枚あり、そのうちの一つはビニールカバーを付けたマンガを濡れないように包むためのものだった。
花純さんはフタをテーブルにしたまま、潜り込むように浴槽の中に入り、まずはスマホをいじりだす。動画再生アプリで、僕も名前だけは知っているお笑い芸人で動画を連続再生し、ホルダーにセットする。
そしてドリンクをストローで一口飲んで、動画を見てケラケラ笑って、タオルをカバーにしたマンガを開く。そうやって無敵の体勢を完成させてのびのびと入浴する彼女に、僕は少なからぬ衝撃を受けた。
何これ?
お風呂って、こんなに楽しいところだったの?
どおりでいつも花純さんのお風呂は長いと思っていた。彼女に先に入られると、一時間とか下手すれば二時間近く待たされるんだ。おかげで深夜入浴になってうっかり溺れてしまいそうになることもあった。
こういうことだったのか。花純さんの長風呂にはこんな秘密があったのか。
え、しかも何? 彼女、なんか食べてない? パリパリと小気味良い咀嚼音は、まさかのスナック菓子?
ハハッ、バカな。そんなのをお風呂に持ってきても、あっという間に湿気って食べられたものじゃ――いや、なんだとぉ?
なんて発想だ。花純さんは、スナック菓子をわざわざジップ付きビニール袋に入れて持ち込んでいた。しかも、スナック用のトング同封で。
天才じゃん!
あまりにも進んだ現代のお風呂文化に、僕は古代ローマ人のように衝撃を受けた。せいぜい肩まで浸かって百数えるくらいしかイベントがない僕の一人入浴とは大違いだ。ディ○ズニーランドと禅寺くらい違った。
最近になって綾子さんや優惟姉さんと一緒に入ることを覚え、我が家で一番の果報入浴者だと自負していた僕も、井の中の蛙だったと認めざるをえない。すごい楽しそう。僕もこんな入浴がしたいと心から思った。
花純さんのは入浴というより宴だ。花純の宴だ。そして今の僕はただのお湯だ。お湯はお湯のあるべき場所へ還るべきだ。
そっと、花純さんの隣に体を沈めてみた。狭い浴槽の中で、彼女の体をおしのけるようにして、ちょこんと。
「ん?」
花純さんは一瞬変な顔をしたが、もちろんただのお湯にすぎない僕が隣に入っていてもお風呂では当然のことなので、またマンガに戻る。
並んでは入れるけどやっぱりちょっと狭い。花純さんも居心地が悪くなったみたいでマンガは閉じてしまい、ドリンクを一口飲んでスマホをいじり出した。
あ、会員制動画サイトにも登録してるんだ。
ずるい。僕も綾子さんに登録していいか聞いてみよう。こういうの保護者の同意がいるんだよな。
花純さんは選んだのはやはりまたお笑い番組だ。この手の番組は親や優惟姉さんの前ではあまり観れないので楽しかった。
二人並んで動画を観て、同じタイミングで笑う。花純さんが僕の方を変な顔で凝視したので、またコインを鳴らして僕の笑い声を「お湯が揺れただけ」と誤認させることにした。
花純さんと一緒にバラエティ番組を観るとは思わなかった。しかもお風呂で。
でも楽しい。彼女と一緒に入るのは楽しい。僕は調子に乗ってドリンクも一口飲んでみた。冷えたスポーツドリンクが温まった体に気持ちいい。確かにこれなら何時間でも入っていられる。僕らは仲良く笑いながらお風呂を楽しんだ。
そのうち、汗もだらだらと流れて熱くなっていく。花純さんはおもむろに動画アプリを止めて立ち上がり、そしてお湯である僕をまたいで股間をぱっくりと見せながら浴槽を出た。
「ふー」
お風呂椅子に座って、ひと息ついて、頭からシャワーを浴び出す。
僕ものぼせてきたので彼女に続いてお風呂を出た。
体はさっき洗ったし、ひとしきり笑って満足もしたし、僕も軽くお湯で流して出ようかなって思ったけど、シャンプーしている花純さんを後ろから見ているうちに、またムラムラとしてきたのでちょっとイタズラすることにした。
彼女の細い背中を、背骨にそって指でくすぐる。
「んっ?」
ピク、と反応して花純さんが振り返る。そこにいる僕の姿は彼女には見えていない。少し不思議そうな顔をして、花純さんはまたシャンプーに戻った。
髪についた泡を手にすくい、次に背中全体を手の平でさする。
「んー」
背中を反らせて、花純さんはまた振り返る。シャンプーが顔にかかっているせいで目を閉じ気味にしたまま。僕は構わず泡を背中に広げる。すべすべの肌にぬるぬるのシャンプーが気持ちいい。綾子さんよりも優惟姉さんよりも花純さんの肌は子どもみたいに滑らかだった。
シャワーがシャンプーを洗い流し、トリートメントをしている間も僕は花純さんの肌を撫で回していた。もう花純さんはお湯や湯気のすることなど気にしないで好きにさせてくれる。でも脇腹あたりを撫でるとくすぐったそうに身をよじるので、変に思われないように気を使った。もっともっと触りたい。花純さんの肌はとても手触りがよかった。
顔も洗い、スポンジに泡立つシャボンが花純さんの体を洗っていく。もちろん僕もお手伝いだ。手の平で泡を伸ばし、彼女と一緒になって体を撫で回した。もう遠慮しなくても大丈夫。全身を撫でても今ならシャボンのせいだと思わせるだろう。
腕も脇も、太ももやお尻も僕は撫でた。すべすべであわあわで気持ちの良い体を。
「んっ……ふぅ……」
時折漏らす花純さんの気持ちよさそうな声がご褒美だった。
固くなったオチンチンを押しつけるようにして前に手を回す。彼女のなだらかな胸を撫でた。手に触れるポッチの感触と、オチンチンの先端に触れる肌の柔らかさ。興奮した僕は腰を回して擦りつける。花純さんは鼻にかかった声を出した。シャボンを流すためのシャワーが、僕の手と彼女の胸を刺激する。
「はぁ……んっ……ふぅ……」
オチンチンを上下に脇腹に擦る。両手で円を描くように胸を触る。気持ちよさそうに花純さんは喉を反らした。幼い顔に色気が灯り、「うぅん」と可愛く鼻を鳴らした。
僕はますます調子に乗り、白いうなじにキスをする。「あっ」と花純さんは顔を上げた。胸を撫でながら肩にも口づけを。甘い匂いが全身からした。彼女のおとなしめな乳首が主張を始める。手の平でその部分だけを転がすように優しいタッチで撫でる。
「あっ……は、あっ……なんか、んんっ……変……」
僕はもう女の人の喜ばせ方もわかっている。花純さんを喜ばせてあげることも出来る。
指先で両方の乳首を軽く摘まむ。撫でて少し引っ張る。「きゃうん!」と子犬の悲鳴を上げて、花純さんのお尻が一瞬浮いた。
「はぁ……はぁ……やばいよぉ……」
シャワーノズルが下へ向かっていく。もう片方の手が股間に潜っていく。彼女の秘密の薄毛地帯が、そっと指で開かれた。
「んんんっ……はぁ、はぁっ」
刺激が強すぎたのか、花純さんの眉がきゅっと八の字に締まった。おぼつかない手で彼女はシャワーの勢いを弱める。そしてもう一度ノズルを股間に向ける。
たどたどしい動きでソコを開き、指を蠢かせシャワーの水流を調整しながら、ナイーブな場所に刺激を与えていく。
「んっ……ふっ……はぁ……」
オナニーだ。
花純さんがオナニーしている。
彼女はオナニーを知っているんだ。
「はぁ、はぁ……やばっ……」
驚きと感動で彼女の手淫を見守る。
これが女の子のオナニー。繊細で微妙な刺激を股間に送り、苦しげな表情で快楽を堪え、そして鼻にかかった甘い声はまるで異性を呼ぶ小鳥のさえずりみたい。妖精の戯れだ。
可愛い。後ろから抱きしめたい。抱きしめて、アソコに僕のオチンチンを入れてやりたい。
そんな衝動が湧き上がって胸をドンドンと鳴らす。でも、もちろんそんなことはここじゃ出来ない。いくらお湯だと言ってもアソコの中に入ってきたら花純さんだって悲鳴を上げるさ。
僕はあくまでお手伝い。後ろからまた手を回して胸を撫でる。「あんっ」と花純さんは嬉しそうな声を上げ、足を開いた。
ソコも触っていいのかな?
花純さんの指はピアニシモで鍵盤を叩くような繊細な動きで股間を擦っており、僕の手は邪魔にしかならないだろうということで、内股のあたりを撫でることにした。
乳首と太もも。優しくくすぐるようにしてあげると花純さんの声も緩くなっていく。首筋にキスをした。そのまま舌で舐めた。
甘い。ミルクを舐めるような甘さを舌に感じた。それが錯覚だとはわかってるけど、年の近い幼い彼女の体は、まるでお菓子で出来ているように思えた。
「ひゃっ、あっ、やばい……んっ……はぁーっ」
花純さんはプルプルと震え、顔を真っ赤にしていく。
股間の動きが少し速さを増していった。呼吸もどんどん荒くなり、シャワーノズルは角度を変えて下から彼女の股間を煽っている。
「はぁ、はぁ、はぁ、んんっ」
シャワーの音と少女の吐息が甘いアンサンブルを重ねる。
僕はたまらなくなって立ち上がる。そして花純さんの頬に後ろからオチンチンを擦りつける。
僕はお湯。ただの湯気。
ぷにっとした感触が気持ちいい。泡をつけて、花純さんの顔を擦る。股間いじりに夢中になっている花純さんは気づかない。
鏡に映る淫らな美少女顔と僕のオチンチンの対比が滑稽でエロかった。反対側の頬を手で押してオチンチンに顔を擦りつける。
花純さんは「はぁはぁ」言うだけでされるがままだ。彼女の無意識はきっとこの光景に興奮している。義理の弟のオチンチンの先っちょが、自分の顔で射精しようと口を開いているのをきっと興奮しながら、そのいやらしい光景を無意識の底に沈めている。
僕はお湯。ただの湯気。
花純さんはオチンチンを瞳孔に映しながら、秘やかな遊戯に溺れていく。僕はこのシュールなシチュエーションに興奮しながら、ニキビ一つない彼女の顔を犯していく。
熱い。もう、のぼせてしまいそう。
「んっ……んっ……くっ……」
花純さんがピクッと肩をふるわせ、体を縮こまらせる。ピク、ピク。控えめな痙攣と食いしばった歯の向こう側でのかすかな悲鳴。
イッたのか?
きつく閉じた太ももが股間をすり潰すように緊張している。僕は花純さんがイク瞬間に立ち会ったのか? あのトゲトゲした花純さんが秘かなオナニーで達するとことに。
彼女の顔の真横で、猛烈な勢いでオチンチンを擦る。惚けた彼女の表情とオチンチンを並べる。
そして頭が真っ白になるまで擦る。イキ顔を鏡に映す彼女。その横でオチンチンを擦る僕。いやらしい。興奮する。鏡の中で開きっぱなしの彼女の口と舌に向かって、射精する。
どくん、どく。いつも以上に僕のは張り切って跳ねる。
鏡の中の彼女を僕の白濁が汚していく。びしゃびしゃと音を立てて鏡にこびりつき、そして塗りたくるようにゆっくりと垂れていく。
ピエロの涙みたいに花純さんの顔を彩る精液を見下ろし、僕は深い達成感に満たされる。
僕たちは一緒にオナニーした。仲良しの姉弟みたいに。
「……ひゃあっ!?」
そしてエクスタシーに浸っていた花純さんが、鏡の上を落ちていく精液に気づく。変な悲鳴を上げて、回りをキョロキョロし始めた。
やばい。僕にとってもイレギュラーな精液プレゼントになってしまった。
花純さんの視界には僕は相変わらず入っていない。いきなり精液が現れるイリュージョンに花純さんは「えええ……?」と引いた顔を見せていた。
「と、とにかく回収しないと」
いったん脱衣場に駆け上がり、そしてティッシュで精液を拭ったあと、今度はそのティッシュの置き場に悩み、スナック菓子を入れていたジップ袋を持って脱衣場に戻っていった。
中身のスナックをゴミ箱に開けて、袋の中にティッシュにしまう。マットの上にしゃがみ込み、無事に処理が終わったことに満足したのか「よし」と嬉しそうに頷いていた。
そして、いったん閉めたジップをまた開いて、くんくんと匂いを嗅ぐ。フフッと短く笑うと、「コンソメくさ」とスナックに混じった精液の香りを堪能していた。
どう考えても精液の匂いの方が臭いと思うけど、花純さんむしろその匂いの方が好きらしい。というか精液ティッシュなんて匂い嗅ぐ他に楽しみようもないからそうなっちゃうんだろうけど、ちょっと変態っぽいなと僕は思った。
ちなみに花純さんはまだ全裸なので、くんくん匂いを嗅いでる間も可愛いお尻が丸見えである。
それを腹ばいになって覗き込んでる僕も、相当変態っぽいなと思った。
+++ かすみのにっき +++
○月○日
今日、フロに入ってたら鏡のとこにせーしがついてた
たぶん先に入ってたレンが残していったんだと思う
最近のあいつどうした?カッコイイせーしの渡し方とか1年の間で流行ってるのか?
びっくりはしたけど今日のは引いた。あれはセンスない。ちょっとこわかった
明日言ってやろうと思う。何を考えてるんだあのバカは
気持ちはちょっとうれしーけど
++++++++++++++++++++++++
三沢蓮はコンドームを手に入れた。
机の引き出しを開けると、頭の中でそんな感じのナレーションとファンファーレが鳴った。すっかり忘れてた。睦都美さんにお願いしてたんだっけ。
さっそく取り出してみる。僕の初コンドームだ。その記念すべき一箱を美人なお手伝いさんに買ってきてもらえるなんて、社長やってる父さんに感謝しないと。
中身は6個入りだ。サイズはMと書かれていた。中学生サイズとかだと思ってたけど、睦都美さんが自分の体で確かめてくれた大きさで買ってきたんだから、僕のサイズはMで正しいんだろう。
日本人男性の平均(笑)
でも、そういや綾子さんも前に僕のは体のわりに大きいって褒めてくれてたし、下半身だけは早熟なのかな。
手に入れたものはさっそく使いたくなる。パッケージを開けて、説明書を読んで付け方を学ぶ。きっちり丸まってるしネバっこいの付いてるし、これを手早く装着するには訓練が必要だな。
というより、自分で付けないで相手に付けてもらえばいいのか。
父さんは今日は朝早かったし、晩ごはんを食べてからは自室にこもっている。今までの生活パターンから考えるに早めに就寝した可能性大。
つまり睦都美さんはフリーなはずだった。
僕は下に降りてリビングやキッチンを覗く。どうやら家の仕事はもう終わったみたいだったので彼女の自室の方へ向かってみた。
「……はい、何か?」
扉をノックするとまだメイドさんの服を着たままの睦都美さんが出てきた。余計な手間が省けて助かる。僕は彼女のキーワードを囁いた。
「『メイド人形が欲しい』」
一瞬、戸惑うな表情を見せ、扉に手をかけた体勢のまま睦都美さんの体が固まっていく。
想像以上にキーワード催眠は効き目が強力で、僕の指示したとおりに睦都美さんは人形になりきり、上手に動きを止めてくれる。
これなら他にもいろんな行動パターンとキーワードを決めておけば、催眠暗示の効率化が図られるかも。
というか今気づいた。
睦都美さんのメイド服が新しくなっている。スカートも短くなったし、胸元も開いて可愛いリボンを締めている。下品とまではいかないけど、前に来ていたクラシックスタイルなメイド服よりも可愛らしくエッチな感じになった。
ちょうど新しいメイド服を試していたところらしい。買ったばかりのタグが襟元から覗いていた。意外とするんだなって金額の札がそのままに。
これは僕にとっても「ちょうど良かった」と言わざるをえない。睦都美さんと一緒に部屋に入り、ドアにカギをかけた。
「そこでクルッと回ってみてください」
気をつけの姿勢をしたまま、睦都美さんはトコトコ回る。
可愛い。なんていうか、よりメイドフィギュアに近づいた感じがする。
「スカートをめくって下着に見せて」
ぴらり。
躊躇なくめくられるスカートの中の下着はもちろん白。レース飾りの入った大人の白だ。
「うん、すごく可愛い」
思わず口に出して褒めていた。
お人形さんはもちろん反応しない。
僕はベッドの上に腰掛けて足を開く。そして僕の足元に座るように命令した。
トコトコと近づいて僕の足の間に座るメイドさん。うつろな瞳は茫洋と僕の股間を反射している。
「脱がせて」
スウェットに手をかけて下げていく。僕もお尻を浮かせて協力した。下着ごと脱がされ、そして普段どおりに丁寧に畳んで脇に置く睦都美さんの仕草に興奮を覚える。
従順なメイド。自動人形。
睦都美さんは家族のお手伝いさんで父さんの愛人だけど、メイド人形の彼女は僕だけのモノだ。
「オチンチンを握って、上下に擦って」
キッチンでしてくれたときと同じ、自動的な往復運動をしてくれる。
手の平の温かさと機械的な表情がシュールで面白い。僕の命令なら彼女は何でも聞いてくれる。
「舌を出して、オチンチンの先端を舐めて。手の動きは続けて」
顔が近づき、舌が出される。れろ、と先っちょをひと舐めして一拍を置いてから、れろれろと立て続けに舌を蠢かせる。
手コキと先端舐め。ぞくぞくと快感が駆け上がる。
「舌を回すようにして」
「れるれるれるれる」
「唇で咥えて。歯を立てないように」
「はむっ」
「そのまま顔を前後に。軽く吸うようにしながら」
「んっ、んっ、んっ、んっ」
「舌で舐めて。3回。次に舌を回す。4回。そのあと咥えて顔を前後に5回。これを繰り返して」
「れろれろれろ、れるれるれるれる、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ」
根元のほうを擦る右手。そして決められたリズムを守って繰り返されるフェラチオ。
うつろな瞳で僕のペニスを見つめ、淡々としたご奉仕をするメイドさんの姿は不思議に官能的だった。
「あなたがメイド人形のときに僕が『フェラチオメイドA』と言ったら、今の動作を行ってください。僕の下半身を脱がせて指でこすって口で舐める。舐め方も今のとおりに。いいですね? それじゃ、いったん止めて僕から離れてください」
僕のオチンチンを離した睦都美さんは、すっと立ち上がって数歩下がり、そのまま直立して待機する。
とてもスタイルのいい人形だ。
僕は固くなったオチンチンを突き出すようにして命令する。
「『フェラチオメイドA』」
睦都美さんが動きだし、僕の足元に膝をつき、そして右手を添えて舌を伸ばしてくる。
「れろれろれろ、れるれるれるれる、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ」
3回、4回、5回。
ちゃんと教えたとおりの順番でフェラチオを始める。彼女は優秀なメイドロボットだ。上手な動きではないけれど、決められたことは手を抜かずに丁寧に仕事をしてくれる。
このまま射精するまでパターン変化を仕込むのも楽しそうだったけど、今日の目的はそれじゃなかった。
「次に、このコンドームを僕のオチンチンにはめてください。やりかたは知ってますね?」
四角いパッケージを睦都美さんに持たせる。
慣れてるのかどうかはわからないけど、睦都美さんは躊躇することなく袋を開き、丸いコンドームを僕のに合わせ、人差し指で先端を押さえながら、もう片方の手でくるくると器用にかぶせていった。
締め付けるゴムの感触。想像していたよりきつい。全部かぶせたあと、睦都美さん中の空気を抜くみたいにもう一度全体をさすった。
これがコンドームか。僕はセックスの準備が出来たんだ。
ピンク色のカバーをかぶったオチンチンは、避妊というよりも自分自身を守るための防護服を身につけているみたいで、ちょっと頼りない感じがした。生身のオチンチンの方が強そうな気がする。でも、これをしないと睦都美さんを妊娠させてしまうかもしれないし。
「睦都美さん、下着を脱いで」
スカートの中に手を入れて白い下着を脱いでいく。
脱いだ下着はまた丁寧にたたんで、僕のパンツの上に重ねていた。
「立って、スカートをめくってください」
真新しいメイド服が持ち上げられる。
大人を示す黒い蔭りと、女性だけの器官。花純さんのを見たあとだから、なんだかひどく生々しく見えた。
「セックスのことを思い出して。そこにオチンチンが入って、あなたの中を突いている。強く、乱暴に。あなたはそういうセックスが好きなんですよね? 今、あなたは大好きなセックスをされています。ガンガン突かれています。突かれています。あなたは今、男に犯されています」
睦都美さんの表情に変化は見られないけど、かすかに呼吸が速くなった。
閉じていたアソコが少しずつ開き、地面から芽を伸ばそうとする種子のようにクリトリスが包皮の下で膨らんでいく。
透明の液体が、じわりと滲み出てきた。僕は指一本触れていない。なのに、ますます濡れていくアソコから太ももに伝っていく液体。見上げると、相変わらず無表情な彼女はわずかに唇を開いて頬を赤く染めていた。
睦都美さんは自分自身の記憶から性体験を思い出して肉体に再現し、僕に命じられるままセックスの準備を――いや、セックスを始めている。
「キーワードは、『オナホ人形』だ。あなたはこの言葉を聞くと必ずセックスの体験を肉体で思い出します。『オナホ人形』と僕が言えばあなたの体はセックスをする。でも、あなたは人形だ。僕の指示なくして動くことはできない」
目の前にある睦都美さんのアソコが温度を上げた気がする。
僕はベッドの上に仰向けになる。そして、睦都美さんに僕の上に跨がるように命令する。スカートは持ち上げたままだ。
オチンチンの後ろに腰を落とす睦都美さん。
僕の太ももに彼女のアソコから溢れた液体がぺちゃりと付いた。ベッドが軋んだ音を立てた。
睦都美さんの瞳は無表情に壁を見つめている。心の中ではきっと激しく父さんに犯されている。僕にまたがるメイド人形。美しい僕の言いなり人形。濡れた股を開いて、スケベなアソコをオチンチンの上に乗せている。
「腰を浮かせて、僕のオチンチンをオマンコに入れて」
スカートを握ったまま睦都美さんは腰を浮かせる。そして膝を使って前進し、コンドームをかぶせた僕のオチンチンにアソコの入り口を合わせる。
メイド人形の彼女に躊躇などない。腰を揺らしてグリグリとアソコに先端を飲み込ませてから、やや前屈みになってそのまま一気にお尻を落としていく。
にゅぐっ、と形容しがたい感触をくぐり抜け、あっという間に僕のが睦都美さんの膣の中に収まっていった。
「はぁ…っ、睦都美さん……ッ」
思わず声が漏れてしまう。
睦都美さんはそれでも「人形」としての態度は崩さず、赤みがかった無表情を壁に向けている。コンドーム越しとはいえ強い圧迫感に僕のオチンチンは震え、女性の体の気持ちよさはたっぷりと伝わってくるのに。
彼女はオナホだ。人で出来たオナニー用の道具。メイドさんの服を着た可愛いオナホ人形。僕専用。
「睦都美さん……」
ギシ、ギシ、腰を揺する。スカートの端を持ち上げたままなので僕たちの結合部はよく見えた。
コンドーム越しに膣の中を往復する感触は、生で入れた経験に比べると物足りなさもあったけど、彼女の締めつけは相変わらず心地よい。
手とも口とも違う独特の包容感だ。本来のセックスで使うべき場所なんだから、相性が良いのも当然なんだろうけども、それにしても安心できる交わり方だ。
本当のセックスとオナホ化メイド人形のオナニーと、どれだけ違うものなんだろう。
早く綾子さんとセックスがしたい。
「睦都美さん、あなたも動いてください。セックスをするとき、あなたも動くんでしょう? 同じように腰を動かしてください。僕の上で」
ゆっくりと、睦都美さんの腰が前後に揺れる。やがて僕の上下運動に合わせてとても器用に艶めかしい運動に変わる。
ベッドの軋む音は大きくなった。そして僕のペニスが受ける刺激も強くなった。
膣の中で複雑な角度から攻撃される。濡れた音を立て、時折、痛いくらいの圧迫感で僕のを絞ってくる。
僕は動くのを止めて睦都美さんにしてもらうことにした。
「んっ、んっ、んっ、んっ」
睦都美さんは上下に、前後に、そして回転と器用に腰を動かしてオチンチンを刺激してくれた。
これが睦都美さんのセックス。こんな風に父さんに命令されて腰を動かしているんだ。そのセックスを、今は僕のオナニーのために使わせてもらってる。これが寝取りってやつなのかな。でも、別に合意のセックスじゃないからやっぱりオナニーの延長ってことでいいんだよね。
セックスじゃなくてオナホ。本物に限りなく近いけどあくまで道具として僕に提供されている言いなり人形。そのことを勘違いして「もうセックスは経験した」なんて言ったりはしないさ。
「睦都美さん、『メイドオナホ』って言って」
「んっ、メイドオナホ、んっ、んっ」
「繰り返して、『メイドオナホ』って」
「んっ、メイドオナホ、んっ、メイドオナホっ、んっ」
「言って。もっと繰り返して。あなたは『メイドオナホ』だ。僕の『メイドオナホ』だ。これはセックスじゃない、僕のオナニーだ。だから言って。繰り返して。ずっとずっと『メイドオナホ』って言ってて」
「メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ……」
ベッドは揺れる。睦都美さんはうつろな瞳をうっすらと濡らし、壁に向かって呟きながら腰を揺すり続ける。
強烈な膣の刺激と『メイドオナホ』が繰り返され、ぐちゅぐちゅとアソコから溢れる液体が僕の太ももを濡らしていく。
倒錯的なシチュエーションがまた新しいエロティシズムの発見となり、ますます僕を催眠術に溺れさせる。
メイド服のおもちゃ。
生々しい女の器官。
思わず仰け反って快感を堪える僕の上で鳴り響く、壊れたオルゴールのような囁き。
「メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ」
上下する腰は「ド」と「ホ」のところでぶしゅっと僕の上に着地し、強い締めつけを送ってくる。
彼女の腰に手を添えて、人形が機械的リズムで与えてくれる快楽に僕は没頭し、自分から腰を動かしていた。
「メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ、メイドオナホ」
そして、同じ言葉と同じセックスを繰り返し続ける彼女の耳元に次の命令を囁く。
「メイドオナホと言うたびに、あなたのヴァギナにセックスの感覚が一瞬蘇る。メイドオナホの『ホ』のところ。そこでセックスの快楽が一瞬だけ蘇るんだ」
「メイド、オナホ、メイドオナホっ、メイドオナ、ホっ、メイド、オナホっ、メイド、オナ、ホ、メイ、ド、オナ、ホっ、メイド、オナホっ、メイドオナ……ホっ」
オルゴールが乱れていく。
乱暴で不器用な僕の腰が完璧メイドの睦都美さんのペースを乱し、そして彼女の無表情が時々苦痛のように歪む。
「もっと速く! もっと速く動いて!」
「メイ、ドっ、オナホっ、メイ、ド、オナホっ、メ、イ、ド、オナ、ホっ、メイ、ド、オナ、ホっ、メイドっ、オナホっ、メイッ、ドッ、オナ、ホッ、メイドッ、オナホッ、メイ…ッ、メイド、オナ、ホッ」
パンパンと腰同士のぶつかる音と、今にも壊れそうなベッドの音。
それに睦都美さんの囁き声が艶っぽくなって重なる。
夢中になって腰を動かした。自分が気持ちよくなることだけを考えた。
睦都美さんは「メイドオナホ」を繰り返し、前に屈んでいく顔は僕の上でヨダレをこぼし始めていた。
「メ、イドっ、オ、ナホっ、メイ、ド、オナ、ホっ、メ、イ、ド、オナ、ホっ、メ、イッ、ド、オナ、ホっ、メ、イ……ホッ!」
悲鳴に近くなっていく睦都美さんの声。
僕は必死に腰を動かしてコンドームに包まれた僕の陰茎をさらに膨らませる。
やがて、頭の奥で弾けるように快楽の頂点が瞬き、ゴムの中に僕は限界を吐き出した。
ドク、ドク、ドク、ドク。尿道を貫くポンプ運動が脳から麻薬を下ろしてくる。何度味わっても飽きることのない「催眠術にかかった女性にヌいてもらう」という快感が、罪悪感と背徳感と混濁して僕の体から昇華されていく。
男に生まれて良かった。
そんなことを思いながら、この幸福な気怠さに身を委ねる。
「メイドオナホッ、メイドオナホッ……メイドオナホッ、メイドオナホッ、メイドオナホ……ッ!」
「ストップ。もう動かなくていいです。メイドオナホも言わなくていいですよ。『オナホ終了』、僕がそう言えばあなたはただの人形に戻る。『オナホ終了』だよ」
射精後も命令どおりに動いていた睦都美さんに解除のキーワードも決めておく。
いちいち指示がいるのは面倒だけど、完全にコントロール下に置くには必要な手間だ。人形は人形だしね。
睦都美さんに腰を上げてもらって、膣から僕のオチンチンを抜く。コンドームはてらてらに光って、先っぽが変な形になっていた。僕の精液が溜まっている。
「おお……」
これは便利だ。このまま捨ててしまえばいいのか。
待てよ。明日はこれを花純さんにプレゼントしてあげよう。こうして縛ってしまえばおそらく保存可能だよ。むしろティッシュよりも長期間の保存に耐えられる。涼しくて暗いところに保管しておけば。
「睦都美さん、おつかれさま」
ベッドの上で足を開いたままの彼女に、僕はねぎらいの言葉をかける。
相変わらずの無表情で読み取りにくいけど、微妙に呼吸も荒いし、かなり疲れているはずだ。人形を解除する前に回復させてあげないといけない。多少の疲労はごまかせても、息切れしているような状態では解除しない方がいいだろう。
「僕の手は高性能マッサージ機だ」
濡れた太ももに手を当てる。
あったかい体温が筋肉の疲労を伝えてくる。
「撫でるだけで血行がよくなる。リラックスして。心から信じて。血の巡りがよくなり乳酸が溶けて消えていく。体の芯からリラックスする。楽になっていく」
汗とエッチな汁で濡れた肌は滑りが悪く、新品のメイド服なのに悪いことしたなと思った。
でもすごく似合ってたし興奮した。スカートを汚さないように気をつけながらティッシュで拭い、下着も履かせてマッサージを続けていく。
「この手が触れたところから気持ちよく、楽になっていく。今日はいっぱい働いて疲れた。でも今はリラックスして気持ちいい。どんどん楽になっていく。疲れが取れていく」
腕や肩。おっぱいなんかも揉んであげる。口の周りもティッシュで拭いてあげて、顔全体をむにむに揉んであげる。
やがて睦都美さんの呼吸は静かに落ち着いていった。
「それじゃそろそろ解除をします。ただし、僕が部屋を出てから10秒後です。僕は今から解除のワードを言いますが、それが有効になるのは僕が部屋から出てからです。いいですね? 解除するけど僕が部屋を出て10秒後。それまではあなたはまだ人形だ」
そして、僕と一緒にベッドから立ち上がらせる。
僕より背の高い彼女の顔が、いつものきれいな顔に戻っていることを確認する。
「では、解除します。僕が部屋を出て10秒を数えてからあなたは人形から人間に戻る。約束どおり、人形の間の記憶はいっさい残さないこと。いいですね? では……『もうおしまい』」
睦都美さんには変化がない。彼女のうつろな瞳にはまだ部屋にいる僕が写っている。
「じゃ、僕は帰ります。僕が出て行くときはお辞儀で見送ること。ちゃんと挨拶をすること。おやすみなさい、睦都美さん」
「おやすみなさい」
ぺこりと、両手を前に揃えてお辞儀をする。
礼儀正しいメイドに見送られ、僕は清々しい気持ちで出て行った。
今日もいろいろ催眠術で楽しんでしまった。
技術とかコツとか結構わかってきたような気がする。
それにもちろん、女性の体についてもだ。
家族円満のためにという名目ではあるけど、エッチばかりしているうちに単純に女慣れしていく自分にちょっと自信みたいのも付いてくる。
早く綾子さんが帰ってこないかな。
本物のセックスを体験してみたいんだけど。
「んっ、やっ……ダメ、です……っ」
父さんの寝室の前を通りかかったら、お約束のようにエッチな声がした。
またか、と思ってスルーしようかと一瞬考え、そして「そんなわけがない」ということに気づいて足を止める。
睦都美さんはたった今まで僕と一緒にいた。だから、この部屋から聞こえる声は――
「ダメです、あなた、私まだ荷物も片付け……あんっ!」
ベッドの上で綾子さんが父さんに組み敷かれ、スカートをまくり上げられていた。
ストッキングごと乱暴に中途半端に脱がされた下着。上着も着たままでそこだけ脱がされていた。足の間には父さんが挟まっていた。交わった腰と腰が同じリズムで動いていた。
「あっ、あっ、あなた、どうしたんですか、あん、いけません、あっ、私、あぁっ、シャワーもまだ……」
スーツケースと、土産物の紙袋が床に転がっている。
今帰ってきたばかりの綾子さんが、まず父さんに挨拶をしに行って、そして押し倒されたに違いない。
綾子さんは嫌がっているように見える。父さんはお構いなしに動き続ける。
衝撃で呆けていた僕も、目の前の事態を遅まきに理解して、そしてどうすべきか考える。
綾子さんは犯されている。でも、相手は夫である父さんだ。
だとしたら、僕はどうすればいい? 僕に何の権利がある?
ぐるぐるとパニクった頭で考える。でも、結局は何もできないまま目の前の行為を見つめていた。
やがて、綾子さんの腕が伸ばされ、父さんの首の後ろを回って組まれた。
「あなた……ッ」
ゆっくりと開いた足が、父さんの腰を回る。
背中を伸ばすように体勢を直し、ひときわ高い声を上げて、綾子さんは自分から腰を動かし始めた。
「あっ、あっ、あなたっ、あなたっ」
セックスを受け入れた綾子さんは、とたんに積極的に快楽を求め、甘えた声を出して父さんにすがりつく。
僕は、自分が勃起していることに気づいた。
「あんっ、あなたっ、あ、素敵です、あんっ、久しぶりで、あん、あっ、あっ、あっ!」
綾子さんは幸せそうな顔をしていた。僕とお風呂場でアソコ同士を擦りっこしたときみたいに気持ちよさそうだった。
僕は呆然と覗き見を続ける。
これがセックス。本物のセックス。
綾子さんの甘い変化と、それすら構わず続ける父さんの勝手な行為と、そして激しく鳴らされる肉同士のぶつかる音。
僕もまるでその中に混じって犯されているような気分だ。
父さんに対する嫉妬もあったし、悦び始めた綾子さんに対する安心もあった。複雑な気持ちで僕は彼らの交わりを見つめていた。
「あっ、あっ、あっ、あっ、いいっ、すごく、あんっ、嬉しい……ッ!」
乱暴に胸を鷲づかみにされても綾子さんは気持ちよさそうだった。
荒々しい父さんのセックスに慣らされているのか、それともこれもセックスの作法なのか、遠慮しながら体に触れて「快楽」を催眠術に保証させながらしていく僕のエッチとはまるで違うというのに、綾子さんの悦び方は同じに見える。
僕はまだ女の人のことをよくわかっていないんだ。彼女たちは何を悦びにして、何に快楽を感じているのか。
だらしない顔をして父さんに甘える綾子さんを見ながら、僕は自分に足りないものについて考える。
それはやはり、『経験』なのだと再確認をした。
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特に約束もなかったけど、『kirikiri舞』さんと話がしたくてオフランドに入った。メッセもしてみたけど返事はなかった。そのうち気づいてくれるかもしれないと思って、街の中をうろついていた。
眠気はさっきの光景で吹き飛んでいる。
誰かと話をしたいと思ったし、その相手は今のところ彼女しかいなかった。考えてみると僕はネット上のキャラでしか知らない人にかなりプライベートなことを打ち明けている。学校で習ったネットリテラシー的には危ういことだ。でも、こんな話はそれこそ近い人になんて絶対に言えないし。
ぼんやりと街を歩いて路地に入る。ネットデートしているカップルたちの間をすり抜け、広場に出ようとした手前で、知った名前の人に話しかけられた。
『teico.p』:こんばんわ
僕たち同級生グループとたまに絡んでくれる先輩ユーザー。
羽根帽子とカッコイイ軽装備に身を包んだ、ネット廃人で“狩人”の『teico.p』さんだった。
『M_lotus』:おひさですー^^
とりあえず軽い挨拶だけ返す。
久しぶりだけど、アレ以来初めての会話だったのでちょっと緊張した。
あの、『kirikiri舞』さんを批判するポップを掲げて広場にいた彼を見かけて以来だ。
彼女のファンだと思っていた『teico.p』さんの変節の理由を僕は知らないし聞いたこともない。ネット上の付き合いってその程度のものだと思ってるから。
だけど、なんとなく派閥が違っちゃったような気まずさがあるので、あまり長話はしたくないな。と思ってたんだけど。
『teico.p』:←あ、これと知り合いだったんだ。それは失礼
そういって『teico.p』さんは胸を叩くアクションをする。
微妙に口調も前と変わっていて、なんだかおかしな感じだった。
『teico.p』:中の人が前と違うんだ。だから君とは初対面になるんだけど
『M_lotus』:え、そうなんですか?前の人はどうしたんですか?
『teico.p』:引退してもらったよ^^
『M_lotus』:引退ですか。
『teico.p』:そうそう^^
なんだか変な雰囲気だ。引退ってなんだろう。ネトゲ卒業してまともな大人になる決心したっていうのなら、おめでとうって感じだけど。
というより中の人が違うというなら僕とこの人は知り合いでもなんでもない。前の人はどうなったんだ。『kirikiri舞』さんを批判していたのはどっちの人なんだ。
それに、どうしてこの人は僕に声をかけたんだ。
『teico.p』:君、“道化師”だよね。スキルでは『催眠術』とか好きなのかな?
ドキリとした。
僕の『ジョブ』は見れば簡単にわかるだろうけど、ピンポイントで催眠術の話題がいきなり出てくると思わなかった。
何のリアクションも出来ない僕に構わず、『teico.p』さんは話を続ける。
『teico.p』:君はkirikiri舞と仲が良いだろ
『teico.p』:あいつに弱みを見せたことはあるか?
『teico.p』:何か言われたとしても真に受けないほうがいい
『teico.p』:誘導されていると感じたら逃げろ。何に利用されるか分からないぞ
『teico.p』:それに君は小学生か中学生くらいじゃないか?
『teico.p』:出来ればオフランドもやめたほうがいい
『teico.p』:ここは悪い大人の遊び場だよ
混乱しているうちに好き勝手なことを言われた。
話を遮るために僕は急いでタイピングする。
『M_lotus』:どうして僕がkirikiri舞さんの知り合いだってわかるんですか?ストーカーですか?
『teico.p』:あぁ確かに不気味だよね急にこんなこと言われても^^;
『teico.p』:匂いでわかるんだよ
『teico.p』:←コイツのジョブ“狩人”だからね。今の俺は鼻が利くんだω
予想以上に不気味な人だった。
どうしよう。こういうときに相手を怒らせずにスルーする方法ないのかな。なんだか怖いよ。
学校ではもっとネット生活での注意点について教育する機会が必要だと思う。
優惟姉さん、よかったら論文は僕が書くよ。
『teico.p』:まあ今日のところは忠告だけだ
『teico.p』:俺と関わりたくないと思うなら『kirikiri舞』と会ったときメッセくれ
『teico.p』:←コイツのIDは知ってるんだよね?
『teico.p』:そうしてくれれば話は早いんだ
『teico.p』:俺としてはもうオフランドにログインしないことを推奨するけど
『teico.p』:kirikiri舞と親しいならよけいに
『M_lotus』:あなた一体誰なんですか?何の権利があって僕にそんなこと言うんですか?
勝手なことばかり言われてカッとなった。
こんな人につっかかってもあとで後悔しそうだと思ったけど、指は感情のままにタイピングしていた。
でも『teico.p』さんを名乗る彼は、ほとんど間を置かずに返答を返してきた。
『teico.p』:以前の俺は、『Ice-book』と名乗ってた
『teico.p』:今でもそっちが本垢のつもりだけど運営に消されてるんだよ
『teico.p』:だから俺の名前は『teico.p』でいいよ
『teico.p』:他にも50個くらい垢持ってるけどね^^
『teico.p』:あと君に退会を迫る権利はないけど理由ならあるよ
『teico.p』:責任と言ったほうがいいかな
『teico.p』:昔ここで小さなチームを組んでいたことがあるんだ。一応俺がリーダーということになっていた
『teico.p』:kirikiri舞もその一人だった。オフで会ったこともある。どこにでもいるゲーム好きの明るい女性だと思っていた
『teico.p』:騙されていたとは知らずにね
『teico.p』:彼女の狩りの相手はモンスターではなく、ここのプレイヤーたちだ
『teico.p』:親切のふりをして近づき、素養のある人間をゲームの世界に引きこみ、異能力と狂気を与えて人生を破壊する
『teico.p』:オフランドの神は人の魂を貪り食う悪魔で、ここの運営スタッフは自分たちでその偶像を産み出し崇める狂信者集団だ。kirikiri舞もその一人だ
『teico.p』:俺たちは彼女に欺かれ、普通の人生が送れなくなった。死んでしまったやつもいる
『teico.p』:kirikiri舞の正体を知っている人間は少ない。同じような犠牲者を少しでも減らすために俺はここにいる
『teico.p』:彼女は“神託者”だ。オフランド内ではあらゆるスキルをルール無視で使うことができる。チャットやメッセの中でも、モンスターとのバトル中でも、どこでどんな仕込みをしてくるかわからない
『teico.p』:きみもすでに何かされているかも知れないんだ
『teico.p』:身に覚えはないか?彼女からアイテムを受け取ったことは?2人っきりでチャットしたことは?彼女にプライバシーを明かしたりしていないか?
僕は会話を打ち切る合図を送る。
このまま黙って回れ右したっていいくらいなんだけど、変な逆恨みを買うのも怖かったから。
『teico.p』:気持ち悪い思いをさせてすまないね
『teico.p』:一緒に狩りでもしながらゆっくり仲良くなれればよかったんだけど
『teico.p』:この垢で長時間ログインしていると消されると思うんだ。アジテーションに使ってしまったから
『teico.p』:だから最後に一つだけ
『teico.p』:もしもオフランドのスキルを現実に持ち込むことが出来ればすごいことだと君は思うかもしれない
『teico.p』:だがそれは逆だよ
『teico.p』:君の現実がオフランドに捧げられることになる
『teico.p』:ここの連中は破滅が見たいだけなんだ。他人の人生を弄ぶ悪魔だ
『teico.p』:二度と元の生活には戻れなくなるからおかしなことは考えないほうがいい
『teico.p』:それじゃまた会おう『M_lotus』さん。おやすみ
ログアウトしてベッドに潜り込む。
もやもやした気分のまま眠気は相変わらず訪れてこなかった。
楽しくゲームしていただけなのに、なんだか僕はつまらない話に巻き込まれているのかもしれない。
どうでもいいことはさっさと忘れよう。ネットではいろんな人がいるし、いろんな思い込みやねつ造が語られる。中には妄想と現実の区別をなくしたやつも少なくない。いちいちそんなものを気にしていたらきりがないくらいに。
でも、『teico.p』さんの言葉はいつまでも小骨のように胸につかえていた。
忘れよう。どうでもいい。
早くセックスだ。
セックスをすれば、きっと楽しくなる。
< 続く >