2章 下準備
「ただいま~」
玄関の扉を開けながらお決まりの言葉を言う。
「おかえりなさい」
………なんだこの魅惑ボイスは?
玄関を確認。むっ、お客がいる。今日は土曜だしな。ということはこの声はお客さんのものか。
「おう、おかえり」
そう言いつつリビングのドアを開けて出てきたのは、俺の唯一の肉親にして見事なドラム缶ぼでぃをもった姉だった。
「見事な体だな、コイツwww」
この言葉は天使のもの。なんて失礼なことを言うか。
確かに姉は佐々木家に恥じない見た目をしているが、これもまた佐々木家に恥じないくらい、中身は立派な人なのだ。俺と14も離れてるこの姉は、小学校の時に両親を亡くした俺を12年間(現在進行形)で養い続けてくれているお人だぞ。
しかも国立とはいえ、大学まで通わせて貰っちゃって。この人は大げさでなく俺の命の恩人だぞ、この天使めっ。
これらを頭で思いつつ、姉に返事。
「ただいま、お客さん来てるのか?」
そう言われ、姉は「ああ、ちゃんと紹介しよう」と言いリビングに戻る、時に俺は天使に殴られた。
「俺はお前に生きる糧を与えてやった、いわばお前の心の恩人と言ってもいいんじゃないかね?人間よ。」
………でも年季が違うし。
とかなんとか言い訳をしつつリビングへ行く。
するとスゴイ美人とすごいイケメンがそこにいた。
「この男は私の同僚だ。で、こっちはコイツの奥さんになる。そういえばお前はじめましてか」
俺は自分でいうのもなんだが優秀な子供だったから、家事とかは普通に自分でやっていた。だからこそ初めて姉の友達に会うのだろう。姉は俺のために結構仕事漬けな生活をおくっていたからな。
「初めましてケンゴ君。私は村田志乃。こっちは旦那の修一よ」
初めまして、と爽やかに笑うイケメン。むぅ、俺のコンプレックスを刺激する奴だ。
「お前の正反対な奴だな、この男」
うるさいぞ、そこの天使。
イケメンに対する嫉妬の念などおくびにも出さずに、緊張してます感を出しつつ返事をする。
「初めまして、弟のケンゴです」
「なに柄にもなく緊張してんだ?お前」
そう笑いながらこずいてくる姉。結構痛い。
「私たち、このマンションに引っ越してきたの。あの火事、ケンゴ君も知ってるでしょ?」
そういえば最近連続放火魔が捕まったってニュースがやっていた。いつの時代もバカは消えないらしい。なにが楽しいんだ?
「日ごろの鬱憤を晴らしたかったんだろ人間。つまりはお前の同族、同じ穴の狢って奴だ」
………正直一緒にしてほしくないが、否定も出来ないかな。
姉に対する恩義もあるので、そんな馬鹿げた行為はしないと断言できるが、そうなってしまう気持ちも分かる。俺も佐々木家の一員。コンプレックスを感じない日は無いからな。
「だからこれからはご近所どうし。よろしくね♪」
ほう、ご近所ですか。
黒い欲望がもくもくと心を満たしていくのが分かる。人の心ってのは単純だねぇ。
「いやはやまったくだな人間」
天使の言葉を無視し、俺も団欒の輪に入る。そして観察する。相手に気取られずに観察するのは俺の特技のうちの1つだ。20年の月日は伊達じゃない。
しかしこの人すごいな。
雰囲気から察するに姉と同年代かそれ以上のはずなのに、顔に染みどころか小皺すら無い。肌の張りもバリバリ俺と同年代のソレでありそして巨乳。
「最後のは年齢関係無いじゃないか人間」
天使の発言を再度無視し、観察を続ける。
…。
……。
………。
……………。
うん。初めてはこの人にしよう。
会って30分たらずだが、そう判断した。それくらい魅力のある人だったのだ。
でも今日はもう出したしなぁ。童貞喪失はもっとムラムラした状態でやりたいし、なにより志乃さんと素で仲良くなってからやる方が燃える。
「なかなかに下種な発想だな、人間」
うるさいよ。
あれ?そういえば。
なぁなぁ、と心の中で天使に話しかける。いくらまわりに違和感を与えない天使の能力があってもさすがに変だと思われると考えたからだ。その間も雑談は続けている。
「お前、相変わらずに器用だな人間」
なにが面白いんだ、この天使は。すごく楽しそうだぞ。
まぁいいや。とりあえず質問をしよう。
そういえば残りの願いはいつ言えばいいんだ?
「どうでもいいがお前、心の中では俺にタメ口なのな。」
いいじゃないか、別に。
「まぁいいけどさ。で、なんだ。ほかの願い?ああ、いつでもいいぞ人間」
なんとなく予想がついてはいたけど、本当にいいのか?
「ああ、かまわないさ人間。お前は面白い。もうちょっと観ていたいんだよ人間。それに人間界も興味がある。」
人間の世界が見たいなら普通に見ればいいじゃないか。
「天国と地獄で不可侵条約なるものがあってだな。今回みたいに自由にいられることなんてありえないんだよ人間。お前の存在は俺にとって大義名分になるんだ人間」
なるほどね。俺にとってもそのほうがいいや。
「なんか思惑があるのか人間よ?」
物事には経験してみないと分からないことがあるからね。もしかしたらこのチカラにも不満を感じることがあるかもしれないでしょ。そのために願い事は残しておきたい。
「ほ~う。欲望にまみれた思考をしている癖に目先の益に飛びつかないか。冷静だな人間」
普段の生活で熱くなっても良い事がないって経験で知ってるからね。興奮を抑える方法はいわずもがなだ。
って誰が欲望にまみれた思考だよ。
「ノリツッコミってやつか、面白くないぞ人間」
うるさいよ。
「それに実際まみれているじゃないか人間よ」
人間の3大欲求の1つだよ、性欲は。
つまり俺は正常だ。
「その考え方自体が欲望にまみれているって言うんだ人間」
…………言い返せないな。
たしかに僧侶とかは禁欲生活をしているし。
いやでも反論出来なくは無い。だけど水掛け論になる気がするし、なにより天使とケンカして良いことが一切ない。
そして心の奥なトコで、否定しきれていない俺もいるしね。
では、疲れてきたし、天使との会話をやめよう。
「本当に器用な奴だ。なにが器用って、ふたつの話を同時に聞き取ってることだよ。どんな耳してるんだ人間?」
とりあえず天使の発言はスルー。
しばらく談笑してると志乃さんが控えめに「お手洗いってどこにある?」と俺に聞いてきた。
チャ~ンス♪
こっちですよ、と言いつつ志乃さんを廊下へ連れて行く。さて下準備をしておこう。
「ここです」
言いつつ扉を開ける。そしてチカラを使い再度話しかける。
「ここは俺の家なので、一緒にトイレに入っても問題ないですよね」
別に廊下でやってもいいのだが、ついでだ。
「ええ。」
そういってトイレに入る志乃さん。そしてそれに続く俺。せまいので天使は外。
「あんまり見ないでね、恥ずかしいから」
頬を染めながら言う志乃さん。可愛い。年上だけど関係無い。可愛いもんは可愛いんだ。
スカートを持ち上げ、ピンク色の下着を言葉とは裏腹に一気におろす。そりゃそうだ。志乃さんだって他人の家のトイレに入るのは初めてではあるまい。なら誰かに見られながらのトイレというのも、さしておかしいとは思わない。
ジョロジョロとおしっこが出ている音が聞こえる。非常に残念ながらうちは洋式だった。まぁいいや。コレはあくまでついでだ。本題に入ろう。
チカラを使う。
「思考コントロール」
今回は思考をいじる。筆卸しは志乃さん主導でやって欲しいし。ちなみにさっきのはキーワードみたいなもの。思考をいじるため、本人の意識があると不都合なのだ。
おしっこの音をBGMに思考を上書きする。といっても単純な一文だ。
「私は明日、ケンゴ君の筆卸しをする」
志乃さんがその言葉を復唱する
「私は明日、ケンゴ君の筆卸しをする」
これでOK。俺の発言が志乃さんの思考となるので、一人称などはコレであってる。
そうだ、もうひとつ。
「ケンゴ君がうちを訪ねてきたらいつでも歓迎する。まずいことがあったらケンゴ君に包み隠さずに話し、彼の意見を仰ぐ」
復唱を確認。うん、これでいいかな。
おしっこの音が止んだので意識を戻してやる。
「………ふぅ」
突然意識が戻ったのに違和感を感じていない。さすがだな、天使よ。
そう思い、俺に芽生える悪戯心。
このまま戻るのは味気無い。ので俺が志乃さんの股間をきれいにしてあげよう。当然お口でね。
チカラを使い話しかける。
「おしっこを見せてあげたので、お礼にマンコを舐めてもらうのは常識ですよね」
言われて志乃さんが立ち上がる。
「うん、じゃぁ、ケンゴ君。お願い」
言いつつ、おしっこ臭いマンコを近づけてくる。
近づいてきたので舐める。ぺろぺろ。
「うふぁ」
あくびみたいな声を志乃さんがあげる。気持ちいいのかな。まぁいいや。俺はただ舐めるだけさ。
ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ。
「うぅん、うわ、あっ……、あん、はぁぁぁぁぁ、うんっ、あぁっ」
舐める度に嬌声があがるのは面白いが、このへんで止めておく。じゃないと俺のムスコが暴れだしてしまう。
「舐め終わりました」
そういって、顔を離す。志乃さんはハァハァ言いながら下着を穿き、スカートを下ろした。
「先に戻っといてください」
とりあえず言い訳を作っておこう。
俺がリビングに戻ると、案の定イケメンと姉さんが絡んで来たので
「トランプとりに部屋にいってたんだよ。やろうよ皆で」
そう提案する。チカラを使ってもいいのだが、簡単にごまかせるので使うのはやめた。
そうして皆でトランプをする。ああ、明日が楽しみだ。
< 続く >