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「あんたバッカじゃないの? 自分が言ってることわかってる?」
絵実が呆れた声で言った。
あれから隼人も気を失うように眠ってしまい、夜が明けて目を覚ました由美の悲鳴が全員を起こしたのだった。あわてて隼人は由美に「サイ」をかけ直し、亜実と絵実は服を着た。
しばらく呆然として事態を飲み込んでいない様子の飛丸だったが、全裸で立っている由美の姿を見て隼人に土下座したのだ。
「頼む! お前の力でこの女を俺のものにしてくれ!」
それは血の出るような叫びだった。
「と・・・飛丸さん・・・昨夜のこと覚えてるの?」
「一兵卒とはいえ、俺だって一族の端くれだ。何が起こったのかくらいはわかる。いや・・・お前に感謝してる・・・家来になる。だから、この女を・・・」
「だって・・・この人は杏奈さんじゃないんだよ」
「わかってる。お前が・・・いや、あんたが・・・俺を目覚めさせてくれた。俺にはこの女が必要なんだ・・・だから・・・頼む」
また飛丸はカーペットに額をこすりつけた。
「だったら好きなだけやっちゃえばいいじゃない。だれも文句は言わないから」
服を着終わった絵実が言う。
「違うんだ・・・俺は・・・この女と一緒になりたい・・・」
「あ~あ、だから童貞って始末に悪いんだよね。一発やったくらいで思い詰めちゃうなんて単純すぎ」
「なんて言われたっていい。これが俺の運命だってわかったんだ。この女と一緒になって俺の子を産ませたい」
「あんたバッカじゃないの? 自分が言ってることわかってる?」
ここで、この言葉が絵実から発せられたのだ。
「うむ・・・わかってる・・・つもりだ・・・」
「一般人を一族に迎え入れるには長の洗礼を受けなきゃならないんだよ」
「し・・・仕方ない・・・だから俺は・・・こうして頼んでるんだ・・・」
その言葉を聞いて絵実の表情が引き締まった。
「そこまで覚悟してるんだ・・・単純って言ったのは取り消すよ。でも、ほんとうにいいんだね」
「ああ・・・」
そう答える飛丸の表情はどことなく苦しげだ。
「絵実ちゃん、洗礼って・・・?」
「隼人様の精をこの娘に注ぎ入れること」
「ええっ、それって・・・」
「そう。隼人様がこの娘とエッチしないと一族の者になれないんだ」
「そっ・・・そんな・・・」
「飛丸が抜けてこの娘と所帯を持てば、一族の血がこの女を蝕んで最後には死んでしまう。それを防ぐには長の精を受けるしかないの。血清みたいなもんね」
「そんな・・・ことって・・・」
「飛丸の選択肢はふたつ。この娘を諦めるか、隼人様に抱いてもらうしかないんだ。それも、こいつの目の前で。それがわかって言ってるんだ、こいつは。隼人様、この娘を抱くのはいや?」
「そういうことじゃなくって・・・」
「飛丸が自分で決めたんだ。その気持ちをわかってあげなよ」
横から亜実が言った。たしかに飛丸の言葉には決意がこもっていた。
「うん。でも、いいのかなぁ・・・由美ちゃんだっけ・・・この娘の気持ちもたしかめなくっちゃ・・・」
「聞いてごらん」
「でも『サイ』がかかってるよ」
「ウソをつかないように指示すればいいんだ。だいたい術をかけられたらウソなんてつけないけどね」
「そっか・・・」
「俺からも頼む」
飛丸はまた土下座した。
「飛丸さん、ほんとうにいいんだね?」
「俺は・・・そう聞いてくれるだけで、あんたが長でよかったって思ってる・・・もう、俺はあんたの家来だ。これからはお屋形と呼ばせてくれ。家来がお屋形のやることに文句をつけるわけないだろう」
隼人は血の重さをあらためて感じた。サヒとしてやらなければならない仕事だとDNAが告げていた。ある意味、これがサヒとして最初の仕事なのかもしれないのだと思った。
「じゃあ、はじめるよ。由美ちゃん、こっちへ来て」
隼人が娘に向かって言う。しかし反応はない。
「だめだよ。この娘は・・・」
「そっか、そうだったね」
亜実の言葉に気がついた隼人は言い直す。「サイ」にかかった娘は杏奈になっているのだ。
「杏奈ちゃん、こっちへ」
「は・・・い・・・」
娘が答えて隼人の前に来た。
「いままで君は杏奈ちゃんだったけど、僕がみっつ数えると元の由美ちゃんに戻る。それでも昨夜起こったことは忘れない。いいね?」
「は・・・い・・・」
抑揚のない声。隼人はあらためて娘を見る。白い肌、豊かなバストには静脈が透けて見え大理石のような感じがした。やっと隼人は欲望を覚えた。
「ひとつ・・・ふたつ・・・みっつ・・・」
そこまで言うと娘の身体がクラリと揺れた。
「由美ちゃん」
「はい・・・」
元の名を呼ばれて由美が答えた。
「そこにいる人のことは覚えてるね?」
「はい・・・」
隼人が飛丸を指さすと、こころなしか由美が頬を赤らめたように見えた。
「これからは飛丸って呼ぶように。もう、君のお兄さんじゃない」
「とびまる・・・さん・・・」
「そうだ。飛丸は昨夜、君を抱いた。そして君を好きになってしまった。君と一緒になりたいんだって。由美ちゃんの正直な気持ちを聞かせて」
いつの間にか隼人は飛丸のことを呼び捨てにしていた。
「うれ・・・しい・・・」
「ほんとに? どうして?」
「だって、飛丸さんの気持ちがじかに伝わって・・・あんなの・・・初めてだったの。あたしのことを・・・想ってくれてた・・・」
その言葉を聞いて隼人は本物ではない親を親と思い込んでしまう鳥の雛の刷り込みの話を思い出していた。しかし、所詮、人の気持ちなんてそんなものだという思いも浮かぶ。思い込みや盲信で殺し合うよりも、幻想や妄想でも添い遂げられるなら、その方がずっとましだ。
「飛丸と一緒になりたい?」
「はい」
由美ははっきりと答えた。
「由美ちゃん。これから言うことをよく聞いて欲しい。飛丸は日本に昔から伝わる一族なんだ。忍者って言った方がわかりやすいかもしれない。忍者が一般人と一緒になるには儀式が必要なんだ。その儀式っていうのは僕に抱かれること。脅かす気持ちはないけど、これを執り行わないと君は死んでしまう。もし僕に抱かれるのが嫌なら飛丸とは一緒になれない。どちらを選ぶかは君の自由だ。でも選択肢はふたつしかない。よく考えて」
「・・・」
迷っているというよりかは、どうしたらいいのかわからず、由美は答えられない様子だった。
「由美・・・といったな。俺はお前のことが忘れられない。いや、お前のことが諦められないんだ。頼む、この・・・俺の新しいお屋形の言うことを聞いてくれ。頼む」
こんどは由美に向かって飛丸は土下座した。
「・・・」
聞こえているはずなのに由美は答えられないでいる。
「由美ちゃん、これからは僕の言うことだけじゃなく、普通にものが聞こえる。僕らの質問には答え、僕らの言うことも聞くんだ。そして普通に受け答えもできる。わかったね?」
「はい・・・わかりました・・・」
由美の口調がはっきりしてきた。
「俺の言ってること・・・聞こえるよな? わかるよな?」
たたみかけるように飛丸が言う。
「はい・・・」
「もう一度言うぞ。おれと一緒になってくれ! そのためにお屋形に抱かれてくれ! そしたら一生大事にするから」
飛丸の目は真剣そのものだ。
「いっ・・・しょう・・・?」
由美が「一生」という言葉に反応した。
「そうだ。一生だ。誓う!」
「だいじに・・・してくれる・・・の?」
「もちろんだ。全力で大事にする!」
歯の浮くような陳腐なセリフも飛丸のようなクールなガテン系イケメンが言うとサマになってしまうから不思議だ。
「ほんと・・・に?」
「もちろんだ!」
「なら・・・いい・・・あなたの言うとおりに・・・します・・・」
由美に必要なのは背中を押してくれる言葉だったのかもしれない。「サイ」をかけられて隼人に好意を持っているのだから、隼人が抱きたいと言えば逆らえないのだ。計算尽くの様子には見えなかった。
「決まったね。あたしたちが、その娘の禊ぎをしてあげる」
絵実が言った。
「禊ぎ?」
「そうだよ。まだ、その娘には昨夜の証が残ってる。洗い流してから迎え入れなきゃ」
隼人の問いに、こんどは亜実が答えた。
「おいで」
亜実と絵実は由美をバスルームに連れて行った。
由美は、隼人が「僕らの言うことを聞く」と言ったので亜実や絵実の指示にも従うようになっていた。
「飛丸」
「はっ」
隼人の呼びかけに飛丸が頭を下げて答える。主従の関係が確立された瞬間だった。
「一族の運命とはいえ、なんだかヘンな気持ちだよ。もう、僕はお前をさん付けで呼べなくなってる」
「わたくしめも同じ」
「俺って言わないんだね」
「言えないんです。以前のお屋形のときはこんな気持ちにならなかったのに」
「そうか・・・僕らは兄妹でもあるんだしね・・・」
隼人にも飛丸を大事な仲間だと思う気持ちが芽生えていた。
「お屋形の気持ちが伝わってきます。わたしも生まれ変わった気がします」
「杏奈ちゃんもそう言ってた。やっぱり運命なんだね」
「はい」
「僕はこれから由美さんを抱かなきゃならない。なんて言ったらわからないんだけど、お前のためって気持ちの他に得体の知れない高揚感があるんだ。許してくれ」
「許すなんて・・・よろこばせてやってください」
「いいんだね」
「はい。もちろんです。さだめですから」
そう答えると飛丸は爽やかに笑った。
その顔を見て隼人は飛丸のことが好きになっていた。彼は根っからの兵隊なのだ。自分をリーダーだと決めれば迷いはない。そのシンプルさが心に響くし、これからすることを考えれば、なにやら悪友めいた親しみも覚える。
「ああん!」
そのときだった。バスルームから由美の嬌声が聞こえてきた。
隼人と飛丸は顔を見合わせる。
「見てくる」
隼人はそう飛丸に言って立ち上がった。
バスルームのドアを開けると泡だらけになった由美の身体を亜実と絵実が撫で回すように洗っていた。
「あっ・・・隼人様。この娘ったら、すごく感じやすいみたい・・・」
亜実は由美の股間に手を差し入れて秘肉を洗っている。
「ちゃんと中もきれいにしないと」
「ああ~んっ!」
亜実の言葉と同時に由美は身をくねらせて喘いでいる。
「もしかして指挿れちゃってるの?」
「そうしないと洗えないでしょ」
亜実は平然と答える。
「あっ・・・あん・・・」
絵実はバストを撫で回して、いや、手のひらでていねいに洗っていて、これも由美の快感を引き出しているようだ。
悶えている由美を見ていたら隼人も勃然となった。
「きゃ~、隼人様のエッチぃ~。まだダメ。あっちで待ってて」
絵実が笑いながら言う。
「しょうがないじゃないか・・・」
ブツブツ言いながらバスルームから出てきた隼人を見て飛丸が息を飲んだ。
その視線は股間に注がれている。気を放つサヒの逸物は同性にとって劣等感と畏怖を生じさせてしまう迫力があった。
「す、すげぇ・・・かなわねぇはずだ・・・」
驚きのせいか飛丸の口調が戻っているのがおかしかった。
「そんな・・・これ、能力が成長したらこうなっちゃったんだ」
「やっぱ、かなわねぇ・・・お屋形に抱かれたあと、俺で満足してくれるんだろうか・・・」
飛丸はかなりブルーが入った口調で言った。
なんとかしないといけないと隼人は思った。しかし方法など思いつかない。
「お待たせ~」
飛丸の状態など知るはずもなく絵実の明るい声が部屋に響く。
シャワーのせいか、それとも亜実と絵実に弄ばれるように洗われたせいか、肌を桜色に染めた全裸の由美が手を引かれてベッドルームに入ってきた。
「すっごいよ~、この娘、感度抜群。もうトロットロなんだから~」
「あんっ!」
絵実が乳首に触れると由美は腰を「く」の字に曲げて甘い声を上げた。
「み、禊ぎじゃなかったの・・・」
「だからぁ・・・最高の状態に仕上げたのよ。隼人様にたっぷり注ぎ込んでもらわないとお仲間になれないから」
絵実の答えに隼人はそんなものかと思うしかなかった。
「ほら。ベッドに横になって・・・そう・・・脚開いて・・・隼人様がすぐによくしてくれるから・・・」
由美は絵実の指示に従って秘肉を隼人の方へ晒した。
花びらのような肉が開き濡れそぼったピンクの粘膜が露出した。
「ゴクリ」とツバを飲み込んだのは飛丸だった。瞬時に肉棒がそそり立った。
「飛丸、許せ。これもさだめだ」
隼人はそう言って由美にのしかかる。はやく由美の中に出してしまえば、飛丸が苦しむ時間も短くなると思ったからだ。
「ああぁぁぁっ!」
気を放つ屹立の先端があてがわれただけで由美は激しく喘いだ。
ヌルッという感触とともに由美は吸い込むように隼人を受け入れてしまう。秘肉はそれほど熱く濡れていた。
「うぁぁぁぁぁぁっ!」
挿入と同時に由美は叫び痙攣する。絶頂したのは明らかだった。隼人は快感を送り込んでいない。よほど亜実と絵実が施した前戯が巧みだったらしい。
柔らかな肉襞が屹立を包み込む。
結合を深くしていくとジュブジュブと音を立てて蜜があふれ出るのがわかった。
その光景を飛丸は血走った目で見つめている。
「ああっ・・・い、いっぱいに・・・なってるぅ・・・ああんっ!」
由美は隼人の腕を握りながらそう言って喘ぐ。
「いやっ! またっ! あっ! あんっ!!」
腹筋を波打つようにうねらせて、ふたたび由美は絶頂を迎えた。
反対に隼人はノリが悪かった。飛丸のことが気になるし、望んで由美を抱いたわけじゃないのでイマイチ盛り上がりに欠ける。たしかに由美はそそる身体をしているし、最初はエッチな気分にもなったのだが、義務感が興奮をスポイルしていた。亜実と絵実が見ているのも気になるし、たっぷり注ぎ込まないとと言われたのもプレッシャーだった。
このまんまじゃ途中で萎えてしまいそうだと隼人は焦った。
飛丸に申し訳ないと思ったときアイデアが閃いた。
これならすべてが解決できると思った。
由美のヒップに手をまわしてみる。
思った通りあふれた蜜でビッショリと濡れている。
その蜜を指先ですくい取るようにしてアヌスへ塗り拡げる。
「はぅっ・・・うぅぅ・・・」
由美の声が変わる。しかし嫌がっている風ではない。
「あああ・・・そこ・・・は・・・」
むしろ感じているらしく硬い肉が指先をくわえ込むように開いたり閉じたりしている。
隼人はその動きを利用して指の腹で蜜を内部に入れていく。
これから起こることを想像すると興奮で屹立の硬度が甦っていく。
「ああっ! すごい・・・すごいのぉ・・・」
由美の声は蕩けそうだ。
「由美ちゃん、こんどは上になって」
隼人はつながったまま体勢を入れ替える。
「あうぅぅぅ・・・」
隼人に馬乗りになり自分の体重で結合が深くなった由美は身体を震わせる。
「飛丸」
隼人が飛丸を呼んだ。
「は・・・はい・・・」
好きになった女が目の前で隼人に抱かれて喘ぐのを息を飲んで見つめていた飛丸は我に返ったように答えた。
その股間を見れば嫉妬に狂っているだけではないことがわかる。
「飛丸、僕だけが抱くんじゃ不公平だ。一緒に由美ちゃんを・・・」
「えっ?」
飛丸は隼人の言葉を理解できず目を白黒させている。
「由美ちゃん、ここに男のものを入れられたことある?」
隼人は指でアヌスを突いた。
由美は首を振って答える。
「だってさ。飛丸に由美ちゃんの後ろの処女をあげるよ。せっかく兄弟になったんだから、こっちでも・・・一緒に由美ちゃんをよろこばせてあげよう」
「そ・・・そんな・・・」
「いやなの?」
ためらう飛丸を見て隼人はちょっとからかうように言う。
「ほら・・・」
隼人は由美の上半身を抱き寄せ肌を密着させると、腰の下に枕を入れ自分の足を開いて由美の足を広げさせ、隼人に結合部とアヌスを見やすいようにした。
「お・・・お屋形・・・」
「そう、僕はお前のお屋形でもある。だから言うことを聞くんだ」
「うぐ・・・ぐ・・・」
飛丸はまだためらっている。
「隼人様がああ言ってくれてるんだから、やっちゃいなよ。家来思いのいいお屋形様じゃないか」
「そ、そうか・・・」
「そうだよ。お前だってギンギンじゃないか。隼人様が終わったあとで、あの娘を抱くつもりかい? それで、わだかまりが残らないかい? 一緒に抱けばそんなことにもならないし、後ろとは言え、あの娘の処女を奪えるんだよ。はやく犯りな」
飛丸の屹立を指で弾いて絵実が言った。
「う・・・うむ・・・」
飛丸がベッドに上がってひざまずいた。
「由美ちゃん、よかったね。飛丸も一緒に君のことを抱いてくれるってさ」
「えっ・・・・」
「飛丸は僕の家来であるけど、兄弟でもあるんだ。だから君を仲間に入れるため僕が抱くのを承諾した。その褒美に君の処女をあげるのさ」
言葉と同時に隼人が腰を突き上げる。
「ああんっ! そんな・・・」
「飛丸、はやく! じゅうぶん潤ってるからそのまま!」
「はい」
隼人に強く言われて飛丸は弾かれるように由美の腰を抱えた。
「やっ! あうぅぅ・・・いた・・・ぁぁい・・・」
性急な飛丸の行動に由美が悲鳴を上げる。
「大丈夫だよ・・・由美ちゃん・・・」
隼人はこの段階で由美に快感を送り込んだ。
「ああっ・・・きつい・・・けど・・・あぁぁぁぁっ!」
隼人が潤滑剤として蜜を塗っていたのが功を奏してズブズブという感じで飛丸の剛直が由美の後ろへ入り込んでいく。
そのせいで蜜壺もかなり狭くなった感じがした。
ここ数日、亜実と絵実の相手をしているときバイブレーターを蜜壺に挿し入れたままアヌスを犯した。そのときから、隼人には二穴挿入をやってみたいという欲望が芽生えていた。しかし、男をだれにするのかが問題だし、女も選ばなくてはならないから実行するのは難しいと思っていたのだ。その点、由美と飛丸なら申し分ない相手だった。
「ゆ、由美・・・由美ぃ・・・」
低い声で由美の名前を呼びながら飛丸が身体を揺する。
その勢いで蜜壺に収まった隼人のものも挿送しているのと同じ効果を由美に与えた。
「ああんっ! お・・・奥まで・・・あたって・・・いやっ! いやぁぁぁっ!」
頬を紅潮させて叫ぶ由美の悶え方は尋常でなかった。
「どう? 二人に同時に愛されて気持ちいいでしょ?」
「あうっ・・・だめ・・・死んじゃう・・・」
言葉とは裏腹に由美は深い官能の渦に巻き込まれていた。
「これが飛丸の気持ちだよ。わかる?」
隼人はそう言いながら由美の腰に手を当てて快感を送り込む」
「はうっ! と・・・溶ける・・・」
由美は後ろ手に飛丸の腕をつかんだ。飛丸も応えて動きを早める。
「こんなの・・・ああっ! はじめて・・・あああっ!」
由美は全身を痙攣させながら絶頂を繰り返している。
その喘ぎを聞いて隼人も昂ぶってくる。
陰嚢の裏側にエネルギーが充満してくるのを感じた。
「もっと、もっとだよ」
隼人は自らも腰を突き動かせて挿送を開始する。
「うおぅ・・・おおお・・・」
飛丸が呻く。限界が近いらしい。
「飛丸! 一緒にいこう!」
隼人は動きを早める。
「あああああっ! あああっ!」
由美の喘ぎは泣き声のようになっていく。
「いくぞ!」
隼人は溜まっていた気を一気に放出した。
「うおぉぉぉぉぉっ!!!」
隼人にシンクロするように飛丸も雄叫びとともに放出した。
「いやぁぁぁぁぁぁっ!!!」
隼人の気に子宮を直撃された由美は大きな衝撃を受けたように絶叫して身体を震わせる。
そして身体を硬直させた。
蜜壺の入り口が最後の一滴まで搾り出そうとするように強く収縮する。
飛丸も身体を震わせている。
やがて由美はガックリと弛緩して隼人に覆い被さる。その動きで後ろに入ったものも抜け、飛丸もへたりこんだ。
「お屋形・・・さま。ありがとうございます」
飛丸は両手をついて言った。
「これで本当の兄弟になれたね」
隼人が笑う。
「畏れ多いこと・・・」
「それに、由美ちゃんも一族の仲間入りだ」
精を放ったとき隼人にはその実感があった。なんというか、気が由美の身体に浸透していくような感じがしたのだ。それは一族の刻印だと頭の中の声が教えていた。
「俺は・・・一生、お屋形様について行きます」
「そして、一生、由美ちゃんを大事にしなきゃね」
そう言って笑う隼人の顔は上に立つ者の威厳が備わっていた。
< 続く >