Love Is the Plan the Plan Is Death 6

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「おかえりなさい」
 2人がジロの散歩を足早に終え、茜宅に帰宅すると予想もしなかった人物が待っていた。
「あれ? 生徒会長?」
 茜が言うと、現生徒会長小鳥遊弥生は微笑んだ。
「こんばんわ、茜さん。緋室さんも」
 弥生が制服のスカートを翻し、優雅に礼をする。
 そんな仕草が何とも似合う人だった。
「でもどうしたんですか? こんな時間に」
 茜がもっともな疑問を口にする。
「貴女が心配だったのよ。もう出歩いても平気なの?」
「はい。心配かけてすみませんでした」
 茜は素直に謝り、大きく頭を下げた。
「気にしなくていいわ」
 弥生も笑顔で応じ、頭を上げる様に促す。
「……もう大丈夫ね」
 そんな2人のやり取りを見て、一安心した様に慧が言った。
「……私はちょっと気になる事があるから……先輩、後はお願いします」
 言うや否や、踵を返し駆け出していく。
 余りの早業に残った2人は呆気に取られた。
「何? どうしたの?」
 不思議に思った弥生が茜に尋ねた。
「実はさっき……」
 茜は弥生に先程の出来事を大まかに語った。
「へぇ、貴女の幼馴染を名乗る不審者の少女か……」
――これは何かあるな……。
 弥生は強く興味を引かれた。
 また、慧が去ってくれたのは有り難かった。
 妖魔が弥生の身体を手に入れたのは昨日の事。
 今は失った力の回復と新しい身体に馴染む為、妖魔としては奥深くに引っ込んで休んでいる状態だった。
 その為いくらセイバーでも、疑いを持ってじっくりと調べないと妖魔の気配には気付かない筈だ。
 だが、慧は索敵や探索に優れた能力を持つセイバーだった。
 長時間一緒に居れば、何か感付く可能性がある。
――全く私は運がいいわ。
 弥生は内心でほくそ笑んだ。
 しかし、本来ならここで目的を果たす予定であったが、緋室慧に見られている。
 そう言う意味では幸運とは言えない。
 茜に何かあれば、慧はすぐに自分と関連付けて考えるだろう。
 まだセイバーと事を構えるには早い。
 ならば、もう1つの懸念を解消するのも悪くない。
 そう決めるとすぐに行動した。
「それは気味が悪いわね。もう家に入ったら? 後は番犬君が守ってくれるわよ……ね?」
 言いながらジロを撫でようと、手を伸ばしながら近寄った。
 が、ジロは弥生が傍に来ると、猛烈な勢いで吠え出した。
「きゃっ!」
 弥生はその剣幕に驚き、飛び退いた。
 表に出ている人格は弥生なので、こういった動作も自然だ。
「こらっ! ジロっ!」
 茜が慌ててリードを引き、ジロを大人しくさせる。
「ごめんなさい、この子、知らない人には懐かな……く……て……」
 言いながら茜は思い出した。
 円城寺武を名乗った奇妙な少女。
 あの少女にジロは全く吠え掛かろうとはしなかった。
 親友の慧ですら、ジロが懐くには相当の時間がかかったのに。
 今までジロが吠えなかったのは唯1人――。
「大丈夫?」
 急に黙って考え込んでしまった茜に、弥生が心配そうな声を掛けた。
「え? あ、大丈夫です」
「そう、ならいいんだけど。こんな立派な番犬君なら安心ね。私ももう行くわ」
「すみませんでした。それと、ありがとうございます」
 茜が深く礼をすると、弥生が茶目っ気たっぷりなウィンクを返す。
「また明日ね」
 そして、足早に立ち去った。

 ……慧が去った方向に。

 武は公園のベンチに腰を下ろし、これからの事を考えていた。
 しかし、一向にいい考えは浮かばない。
 もともと武は行動で示す脳筋タイプだったので、こういった事態には慣れていなかった。
 1人で唸るように考えていると、突然周囲の風景が一変した。
「――結界だと!?」
 武は立ち上がり、周囲を警戒した。
 すると、目の前の外灯の下に人影が現れた。
 それは円城寺武の姿をしている。
 武は驚愕した。
「どうして……俺が……」
 武の姿をした物は穏やかな笑みを浮かべながら、軽く手を上げて敵意の無い事を示す。
「やれやれ……死者が現世に蘇るとは……全く浅ましい妄執よね、円城寺武」
 姿は武だが、喋り方はまるで違った。
 気品を感じさせるが、何処か呆れたような口調だった。
「貴様は一体何者だ?」
「見当は付いているんでしょ? 貴方が今使っている肉体の本来の持ち主よ」
 そこまで言うと雰囲気が変わり、周囲に冷気が立ち込める。
 冷気によって凍った空気がスクリーン状となり、円城寺武の姿に銀の女王の姿がダブって見えた。
 また、銀の女王の姿に円城寺武の姿が映し出された。
「この方がお互い話やすいでしょ」
 銀の女王が悪戯っぽく言う。
「改めて自己紹介。私は銀の女王と呼ばれた魔王よ。この世に死と絶望を振り撒く、妖魔が王の一柱」
 悠然と一礼してみせた。
 そのあまりの丁寧さが武の癇に触る。
「その魔王様が人間風情の身体を乗っ取るとは、何の冗談だ?」
「ふふっ、覚えてる? 1年前の戦いを……」
 銀の女王は何処か遠い目をしながら言う。
「いや、どうもはっきりと思い出せなくてな……貴様に負けて殺された事は覚えているが」
 武は悔しそうに言う。
「確かに、貴方は負けた。……だけど、私の負った傷も相当なものだった。損傷具合だけなら私の方が酷かったくらいよ」
 当時を思い出しているのか、その美しい顔が苦痛に歪んだ。
「そこで、自分の肉体を自己修復させる間、貴方の身体を仮初の器として使わせてもらう事にしたのよ」
「勝手な事をっ!」
 武が吼えた。
「ふふっ、許可を得ようにも、貴方はすでに虫の息だったから。……かくして私は『円城寺武』として現世に戻り、身体の治癒を待っていたという訳ね」
 再び優雅に一礼してみせた。
「なら、この通り貴様の身体は元通りだ。お互い、在るべき姿に戻ろうじゃないか」
 今は自分の身体となっている銀の女王の身体は、見た限りでは全治しているはずだ。
「いや、遠慮しておくわ。この姿は実に都合がいいの」
 言いながら銀の女王は微笑んだ。
「なんだと?」
 武はいぶかしんだ。
「乱暴なセイバー達から戦いを仕掛けられる事も無く、他の無粋な魔王共と骨肉相食む権力闘争に明け暮れなくてもいい……」
 そこで言葉を切り、銀の女王は薄く微笑んだ。
「……それに、すぐ傍にはマナを驚くほど秘めた幼馴染までいるしね」
「茜の事かっ!」
 カッとなった武の怒声を、銀の女王は軽く受け流す。
「怒らないで欲しいわ。私は彼女に傷1つ付けちゃいない。傷の治療と、自分の維持にほんの少しマナを頂いているだけよ」
「魔王の言葉等信用できるかっ! 何を企んでいやがるっ!」
 その問いに、銀の女王はやや顔を伏せて答えた。
「……私は平穏に暮らしたいだけ。その邪魔はしないで欲しいわ」
「貴様に平穏な暮らしなど送らせてたまるか。それは俺にとって掛け替えの無い物だ。返してもらう」
 武の決意を聞き、銀の女王が笑い出した。
「あははははっ! 貴方の物? あれから1年……もう貴方こそが日常にとっての異物なのよ、Rip van Winkleさん」
「俺が異物だとっ?」
 武は愕然とした。
「そうでしょう? 茜も、家族も、友人も、貴方を『円城寺武』だと認識する事は決してない。貴方の居場所はもう何処にも無いのよ」
「くっ」
 武は何も言い返せなかった。
「いっそ殺してあげるべきかも知れないけど、自分の元の身体を傷付けるのも気持ち悪いしね。……どこかで静かに暮らすといいわ」
 言いながら背を向けて歩き出した。
「さて、そろそろ俺は失礼するよ。遅くなると家族が心配するんでね」
 口調が円城寺武に戻った。
 すると冷気が消え、2人に映し出されていた本来の姿も消えた。
 円城寺武の姿になった銀の女王は、最後に気味が悪いくらい友好的な笑みを浮かべ、手を軽く振りながら帰路に着いた。

 結界が消え、公園が元の姿を取り戻す。
「俺が……異物?」
 武は銀の女王の後を追う事も出来ず、ただ立ち尽くしていた。
「……今の話、ほんとなの?」
 少し離れた所から声がした。
 驚いて声の方向を見ると、セーラー服の少女が立っていた。
「慧! 何時からそこに……」
「一応最初から。結界が強力で侵入するのは厳しいけど、中の会話を聞くくらいなら……」
 言いながら、銀の女王を真っ直ぐに見た。
「……姿は銀の女王……でも、中身は円城寺武……それでいい?」
「あ……ああ、その通りだ」
 武は驚きつつも、嬉しそうに頷いた。
 自分を武だと分かってくれる人が居る。
 それがこんなに嬉しいとは思わなかった。
「……まだ疑わしいとこはあるけどね」
 慧は武に聞こえない程度の小声で言った。
 円城寺武と銀の女王が入れ替わった事は、それを行った本人が語った事で証明された。
 だが、では何故円城寺武が生き返ったのか?
 銀の女王の話からすると、生き返らすメリットは何も無い。
 寧ろ邪魔になるだけだろう。
 すると、生き返らせたのは銀の女王とは別の何か、という事になる。
 その正体や目的が分からない事には、この円城寺武を名乗る少女を無条件で信じる訳にはいかなかった。
「……取りあえず、この後はどうするつもり?」
 その問いに、武はバツが悪そうに苦笑した。
 慧は1つ溜息を付いた。
「……なら私に付いて来て。当面の衣食住は何とかする」
「ほんとか!? サンキュー!」
 手放しで喜ぶ銀髪の少女を見て、その姿が円城寺武にダブって見えた。
 慧の顔に微笑が浮かぶ。
「ん? 何か可笑しかったか?」
 小首を傾げる武を無視し、やれやれといった様子で慧が歩き出す。
「ま、待てよ!」
 その後を武が慌てて追いかけた。

「ふ~ん、そんな事になってたんだ……」
 物陰から窺っていた弥生が呟く。
 全く想定外の事態に、やや頭が混乱している。
 が、すぐさま弥生の優れた頭脳をフル回転させた。
 その結果、この状況で上手く立ち回れば自分の目的にとっての邪魔を、効率よく排除出来る可能性に気付いた。
「ふふっ、新しい身体は優秀ね。頭の冴えも抜群だわ」
 満足そうな笑みをこぼす。
「さて、と……」
 2人が去っていった事を確認すると、辺りを見回した。
 すると、人が歩いてくる気配がした。
 弥生は素早く音の方向に移動して窺うと、社会人カップルらしい2人が歩いている。
「好都合ね……」
 弥生は舌なめずりをしながら笑い、2人の前に姿を現した。
「はぁい、お兄さん、お姉さん」
 急に声を掛けられ、2人は驚いた。
 しかし、相手が制服を着た女子高生だと分かると、落ち着きを取り戻した。
「なに? こんな時間までどうしたの?」
 女性の方が優しげに語り掛けた。
 登下校の時間にしたら遅いが、まだまだ高校生も出歩いても不思議の無い時間だ。
 2人も弥生に対して警戒心は持っていない。
「時間は取らせませんから、少し協力してくれませんか?」
 弥生が優等生スマイルで言いながら、近付いていく。
「何かしら? 何かのアンケート?」
 女性が聞き返すと、弥生が笑った。
「ふふっ」
 優等生風の笑みでは無い。
 もっと妖艶で、邪な笑みだった。
「私の糧となってもらうわ」
 言うと、辺りが一変した。
 弥生が結界を張ったのだ。
「な、何?」
「何が起きたんだっ?」
 2人が騒ぎ始める。
「う~ん、この程度が限界か……。全回復はまだまだね……」
 弥生が残念そうに言う。
 確かに結界の範囲が狭く、強度も弱い。
 先程の銀の女王が作った結界とは雲泥の差だろう。
 だが、範囲が狭いと気付かれ難いというメリットもある。
 発見されなければ強度は問題無い。
 結界を破壊するのは一般人では不可能だからだ。
「ま、この2人でちょっとはマシになるかな?」
 混乱している2人に弥生がさらに近付いていく。
 2人は怯えるように逃げ出すが、見えない壁に阻まれ進めない。
「まずは……」
 弥生は舌なめずりをしながら2人を見る。
 その目は狩りを楽しんでいる目だった。
 2人は蛇に睨まれた蛙の様に、身動き1つ出来ない。
 あまりの恐怖に失神しそうになった瞬間――。
「あなたからね」
 そう言った口が冗談の様に大きく開いた。
 弥生の口や顔の大きさからは考えられない程に。
 その口が空気を盛大に吸い込んだ。
 圧倒的な吸引力。
 空気が白濁し、目を開けていられない。
 女性は全身が持って行かれそうになった。
 いや、もう吸い込まれているのかも。
 自分の状態が分からない程だった。
 全てが吸い込まれたかと思った時、唐突に止まった。
 女性が恐る恐る目を開き、弥生の方を見ると恐怖のあまり声を失った。

――弥生が男性を頭から丸呑みにしていた。

 巨大な口で男性を、もう膝まで呑み込んでいた。
 弥生の喉が不気味に蠢動し、男性がズルズルと呑み込まれていく。
 それは生半可な悪夢では太刀打ちできない光景だった。
 女性は失禁し、正気を失いそうになっていた。
 見たくないのに目を離せず、首は嫌々をする様に左右に動くが目は固定されたままだった。
 やがて女性は笑い出した。
 ようやく狂えた、と言うべきか。
 その時、ようやく男性が完全に弥生の中へ消えた。
「ふぅ……何でも吸い込む~、てね」
 弥生の記憶の中にあったメロディーを歌うように言いながら、茶目っ気たっぷりなウィンクをする。
 が、肝心の聞き手は放心状態で聞いてはいなかった。
「あら、残念」
 ちょっと落ち込みながら、弥生は女性に近付いた。
 その目は何も映しておらず、口から涎が垂れっぱなしになっている。
「女は身嗜みも大切よ」
 ハンカチを取り出し口元を拭いてあげる。
 女性はされるがままで、虚ろな笑い声を漏らすだけだった。
「脱ぎ脱ぎしましょうね」
 まるで幼子に語りかける様に言いながら、服を脱がしていった。
 女性は抵抗せず、狂った笑みを浮かべ成すがままになっている。
「う~ん、こんなものかな~」
 女性を全裸にすると、弥生は自らも制服を脱ぎ、全裸になった。
「あっと、忘れてた」
 そう言うと口から何かを吐き出した。
 それは男性が着ていた服だった。
 3人分の衣服を丁寧に畳む。
 それは几帳面な弥生の性格故の行動だろう。
「さて、楽しみましょうか」
 言うと、弥生が身体に力を入れた。
 淡く全身が光ったと思うと、弥生の身体に変化が起きた。
 弥生の股間から、男性器が出現したのだ。
「あれ? この程度しかコピーできないか……」
 弥生は自身の力の劣化に落胆した。
 本来なら男性の姿をまるまるコピーするつもりだったのだ。
 が、実際にコピー出来たのは男性のシンボルたる男性器だけ。
 これは少々問題だった。
「ま、いいか。これだけでも目的は達せられるし」
 弥生は気にせず微笑んだ。
 この楽天的思考も弥生譲りなのだろう。
「さて……と」
 改めて女性に目を向けた。
 光を失った目で宙を眺め、へらへらを笑いながら突っ立っていた。
「お・ま・た・せ」
 色っぽい口調で言うと、弥生は女性に近付き抱きしめた。
 そして形のいい唇を、女性の唇へと押し当てる。
「あ……」
 女性が呻いた。
 目に光は無い。
 生理的反応で出た声だろう。
 が、弥生は構わずに優しくキスを続けた。
 すると、徐々に女性の顔が上気してきた。
「感じてきたみたいね……」
 唇を離し、弥生が呟く。
「なら、もっと楽しみましょうか……」
 妖艶に舌なめずりをして、微笑むとキスを再開した。
「うぅ……あ……あぁっ……」
 女性が激しく喘いだ。
 今度は舌を激しく絡めたディープなキスだった。
 たちまち女性の顔が火照った様に赤くなり、息も絶え絶えになる。
 それでも懸命に舌を絡まそうと反応する。
「あら、積極的なのね」
 その様子に弥生も興奮気味だった。
 キスは弥生がしているのだが、キスのタイミングや舌の動きは弥生のものではない。
 そもそも弥生に男性経験は無く、キスすら未経験だった。
 今しているキスは、弥生が呑み込んだ男性のキスだった。
 その為男性とカップルだった女性にはよく馴染むのだろう。
 恐怖で壊れてしまっても、身体が覚えている快感が女性に反応させているのだろう。
「もっと楽しませてね」
 弥生は女性を近くのベンチに寝かせると、全身を愛撫し始めた。
 胸を揉み、乳首を口に含み、肌に指や舌を這わせる。
 女性は余りの快感に酔った。
 高く声を上げ、全身で快楽を感じていた。
 その顔は淫蕩にとろけ、性器はぱっくりと開き、淫らな蜜を垂れ流していた。
「もういいわね」
 弥生が卑猥な笑みを浮かべ、自らに生えた男性器を押し付ける。
「あぁ……」
 女性から妖しい吐息が漏れるのを聞きながら、一気に腰を押し進めた。
「ひぃぃぃぎぃぃぁあぁぁああぁあっ……ぁああああああっ!」
 女性が一際大きく絶叫した。
 叫びながら足を弥生の腰に絡め、逃すまいとする。
 自らも腰を振り、快感を貪った。
 女性の行為に興奮した弥生も、快感を更に得る為に腰を激しく打ち付ける。
 肉と肉とがぶつかり合う音と、ぐちゅぐちゅといった卑猥な水音、そして2人の女の嬌声が響いた。
 何時までも続くかと思われたが、やはり女性に限界がきた。
 快感に上げる声も絶え絶えになりがちで、腰の動きも弱くなってきている。
 体力的にもう動けないのだろう。
 それでも両足だけは絡めたまま放さないのは女、いや雌の本能か。
「そろそろ、終わりにしましょうか」
 言いながら弥生は腰のスピードを速めた。
 女性の喘ぎ声は擦れてしまい、今では口しか動いていない。
「いくわよっ!」
 弥生がトドメとばかりに強く腰を打ち付けると、女性の中で射精した。
 それは信じられない量で、女性の子宮を満たし、膣を逆流し、お互いの性器の隙間から噴出した。
 弥生は顔にかかった精液を舌で舐め取ると、満足そうに微笑んだ。
「ふぅ……よかったわよ」
 女子高生らしくない大人びた笑み言うと、男性器を引き抜いた。
「ぁあっ!」
 女性が反射的に呻く。
 が、やはり目には何も映ってはいない。
「さて、いただきますか」
 弥生の口が再び大きく開く。
 女性は何も分からないまま、頭から呑み込まれて行った……。

「はぁぁぁぁ……お腹いっぱい」
 弥生がベンチに腰掛け、お腹を摩りながら言う。
 大人の男女2人分をまるまる呑み込んだと言うのに、身体の大きさに変化は見られない。
「さて、マナも吸収出来たし、仕上げといきますか」
 弥生は立ち上がり伸びをすると、グッとお腹に力を入れた。
 するとお腹がぐねりと動いた。
 そして何かが這い上がってくる。
 弥生は三度口を大きく開けると、大きな塊を2つ吐き出した。
 弥生の足元に転がった塊はもぞもぞ動くと、見る見るうちに形を変えていく。
 暫くすると、全裸の男女2人になった。
 それは弥生に呑み込まれ、マナを吸われた2人だった。
「さて、貴方達」
 弥生が言うと、2人は意思の無い目を向けた。
「貴方達はこれから今まで通り暮らすのよ。今の事も覚えてない。いいわね?」
 2人はこくんと頷く。
「なら、服を着て。何かあれば指示するから、それまでは私の事も忘れてね」
 再び頷き、服を着始めた。
 弥生が制服を着終わった頃には、2人も終了していた。
「じゃあ、またね」
 結界が消えた。
「あれ?」
 2人はぽかんとした表情で辺りを見回した。
「どうしたんだっけ?」
 男性が女性に問うが、女性も答えられない。
 2人は暫く不思議そうな顔をしていたが、まぁいいか、と言った風に歩き出した。
 その背中を弥生が穏やかな笑みで見送った。

< 続く >

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