魔本物語 第3話

第3話

「ごめんなさい! ひっく! ごめんなさぁあいい! もうしないからあぁ!!」

 まったく泣き止む様子のないアルフィーナを見た男たちは、何とか泣き止ませることはできないかと、方法を考え出した。
 すると、おマンコに手をつかまれていた男が、懐に入れておいたビンのことを思い出した。それには、貴重品である飴玉が一つ入っていた。
 それは昔、男が荷運びの仕事をしていた際、荷物の一部が破損し駄目になっている物があり、それを捨てるように指示されたとき、捨てずに持って帰ったものだった。
 ほとんど食べれなくなっていたが、数個食べれそうなものを見つけ、保管していた。

「お……おい! もう泣き止めって! 許してやるから! それにほら! 泣き止んだら、これやるぞ! 飴だ!」

 ほとんど、小さい子供をあやす方法だ。いい年をした大人の女にすることではない。といっても、いい年をした大人は普通裸で、おまんこ突き出したまま号泣はしないが。
 しかし、目の前にだされた飴玉は、古く、色あせてる飴玉だが、それを見たアルフィーナは、号泣するのを止める。

「ひっく。え……。いいの? 許してくれるの? ぐす……」

 好反応を示した男たちは、これ幸いに、畳み掛ける。

「ああ。お前があまりにも、興奮したから、驚いただけだよ」

「気持ちよかったのはわかるけど、一人突っ走りすぎなんだよ」

「そうそう。俺は嫌いじゃないけど。こいつはな。もっとおしとやかなのが好みなんだよ。娼婦の宿でもいっつも、貴族の娘っぽい奴指名するんだから」

 フォローというか微妙な援護射撃に、突っ込みたかったが、ようやく泣き止んだアルフィーナを再び泣かすわけにはいかない。男は、それに合わせる。

「そうさ。エロイのは好きだけど、抱くならどっかのお姫様みたいなのが一番興奮するからな。宴会のときは、お前のダンスでもいいけど、本番はな!」

 その言葉を聴いたアルフィーナは、目をぱちくりさせた。その後、おなかに当てていた手をあげて、涙を拭いた。

「ふぇ……。そうだったんですか? あ……アルフィーナが勘違いしてたんですね。よかったぁ。ほんとによかったぁ~」

 そういうと、泣き顔と、アヘ顔、そしてただれた笑顔しか見せてこなかった、アルフィーナが優しく微笑んだ。

「あ……あの。申し訳ありませんでした。ついつい、私興奮しすぎて、自分の趣味を押し付けてしまって。本当にごめんなさい」

 アルフィーナは本当に恥ずかしいのか、ほほを赤らめながら、頭を上げ、上目遣いでこちらを見ている。男たちはその姿にドッキッと胸を高鳴らせた。
 裸で、マンコを突き出し、頭にパンツをかぶった間抜けな姿だが、それでもあふれ出る気品は、姫と呼ばれるにふさわしいものだった。

「それで……。おっしゃられていたとおり泣き止んだので……。そのう……飴玉。頂けますか? そっちに出てる下のお口に……」

 さっきまで、下品なおねだりをしていた女とは思えないほど、しとやかにおねだりをしてきた。手を胸に当てて、もじもじ身体をくねらせながら、腰を突き出している。

「え……。あ……そうでした。はい。どうぞ……」

 今までアレほどまで蔑んでいた男だが、あふれ出る気品に飲まれ、雇い主の前でしかしないような敬語を使って、大事にしていた飴玉をあげた。
 しかも、乱暴に押し込むのではなく、優しく、傷つけないようにだ。なぜかそうしなければいけないと命令されるように。

「あ~ん。はむ! ああ……なんておいしい飴玉。こんなすばらしいものをありがとうございます。……あ……あの。こんなお願いするのは、はしたないと思うのですが……おチンポキッスをしていただけますか?」

「……は? おチンポ? キッス?」

 突然、投げかけられた謎の単語に男たちは混乱する。

「はい。おチンポキッスです。こう……おマンコの先とおチンポの先をチョん! とあわせるのを、私おチンポキッスって呼んでるんです。本当は、おチンポをしっかり入れたいんですが、私の汚い穴に入れるのは不快でしょう。それに……私、こういう幼稚なことが大好きなんです。お情けと思いお願いします」

 そういうと、アルフィーナは身をよじらせている。ただその目線はずっと、男の勃起チンポを眺めている。

「いや! いやいや! そんなことない。そんなことないです。します。してあげます!」

 アルフィーナほどの美女にここまでねだられて断るなど男失格だ。
 むしろ、キッスじゃなく、入れたいほどだ。その言葉を聴いたアルフィーナは、ぱあっと笑顔にになり、手を胸に当てる。

「ああ……。ありがとうございます。ほんとに、おチンポキッスして、もらえるなんて。夢のよう。ドキドキします。おチンポキッスは、初めてでうまくできないかも知れませんが、よろしくお願いしますね? では」

 そういうと、アルフィーナは目をつぶり、マンコを突き出した。男は突き出されたおマンコにゴクリとつばを飲み、恐る恐るチンポを近づけていく。
 グロテスクなおマンコだが、なぜか神々しさを感じ、人生で一番の興奮を覚えていた。
 だからだろう。チンポがアルフィーナのマンコにちょん! っとふれた瞬間射精したのは。どぴゅっと下品な噴射音を出しながら、精液は、アルフィーナのおマンコの穴にぶちまけられる。

「あ……ああ!」

 男は出した瞬間、最高の快感を感じ、最大の後悔をした。
 ゴミだ屑だの罵っていた穴に射精しただけなのに、とてつもなくいけないことをしてしまったという気持ちで胸にいっぱいとなった。
 だが、かけられたアルフィーナは、目を閉じ、ぶるるっと身体を振るわせたと思うと、聖母のような微笑を返した。
 そして、ほおけている男のチンポに対し、腰を突き出して、自分のおマンコをちょん! ちょん! と当てた。

「ふふ……。ありがとうございます。私、気持ちよすぎて、された瞬間、逝ってしまいました。おまけに、ファーストおチンポキッスの証もかけていただき……。このアルフィーナ。感激のあまりお返しのおチンポキッス。二回もチュッ! チュ! してしまいました。はしたない姫でごめんなさい」

 そういうと、恥ずかしそうに、舌を出し謝った。まるでたわいもないいたずらをした子供が謝るようなしぐさだが、たまらなく魅力的だった。

「今宵は、こんなはしたないアルフィーナに、お付き合い頂き感謝しております。これはお礼です」

 そういうと、アルフィーナは自分がかぶっていたパンツを脱いで、こちらに持ってきた。するとパンツが、こちら側に来て、ぱさりと音を立てて床に落ちる。

「私の使用済みのパンツです。マン汁が付いた汚い布ですが、どうぞお受け取りください」

 そういうと、アルフィーナは突き出したおマンコを引っ込めた。男たちは慌てて、水面に近づき、追いかけようとするが、まるで鏡を触ってるようにさえぎられる。

 向こう側のアルフィーナは、裸のままだが、その足取りは優雅そのものだ。

「皆様。今宵の変態ショーはいかがでしたか? 今日はご主人様たちの好みに合わせて、このような口調ですが、アルフィーナの本質は幼稚ではしたない変態姫でございます。皆様のおマンコ奴隷なのです。ご命令とあらば、どこでも下品なダンスを踊ります。家畜にもなります。馬鹿にもなります。だからお願いです。どうか、アルフィーナをかまってください。はしたない最低の変態だと自覚しております。あきれられもしかたがないとおもいます。それでも。それでも。どうか、アルフィーナにおチンポ汁を恵んでください。手に負えない露出狂で遊んでください。お願いいたします!」

 そういうとアルフィーナは、手でビラビラをつかみ、広げた。ただそれは、ドレスのすそをつまんで広げて行う。貴族の挨拶と見まごうほどだった。
 その瞬間、男たちは、チンポから大量の精子を噴出した。それは水面をとおり、アルフィーナにかかる。
 だが、向こう側のアルフィーナにかかってる精子は、男たちが出しただけとは思えない大量だった。さながら、精液のドレスを着ているようだ。

「ああ……。こんなにもおチンポ汁が。皆様。私でこんなにも。アルフィーナは幸せです。おチンポ汁ドレス……。素敵。このドレスで公務をしたいわ……。ありがとうございます。感謝の気持ちを表すため、次回まで、おチンポ汁は拭きません。匂いがつこうがかまわないわ。それでは。おチンポ汁まみれの変態姫のアルフィーナ変態ショー。今晩はこの辺で。ばいばいまんちょ~♪」

 アルフィーナは頭から精液をかぶったまま、優雅な笑顔で手を振った。もう片方の手で、マンコを広げながら。
 そして、だんだんと姿がぼやけ、浮かび上がっていた水面は、元に戻り、床には、水の張った汚い皿が置かれている。

「……噂。本当だったんだな」

「夢……。じゃないしな。酔っ払ってるけど起きてる」

「すごかった。俺。一生忘れない」

 チンポを出したままの男たちは、夢心地で、床に置かれた皿を眺めていた。そして、誰かが、床に落ちていたパンツを拾い上げた。
 レースのついた高級品で股間の部分が確かにじっとり湿っている。

「おい! お前! 何持ってるんだよ!?」

「何って。これは俺が姫さんからもらったものだから、拾ったんだよ」

「何を馬鹿な! それはこの場にいるみんなにくれたものだ。この場にいる全員に所有権がある!」

「ふざけんな!!」

 こうして、男たちはチンポ丸出しのまま、深夜にもかかわらず戦いを始めた。誰一人譲らず、誰一人引かず。この戦争は、隣の住人が怒って怒鳴り込んでくるまで続く……。

****************************************

 王宮にあるアルフィーナ姫の部屋の中、魔本は、部屋の姿鏡に遮蔽布をかぶせていた。
 鏡の前では、マンコを広げながら優雅に手を振っていたアルフィーナが、急に糸が切れたマリオネットのように、すとんと腰を落とし、股が全開になってるのにも気にせず、ぶるぶると震えていた。
 魔本に操られ、とんでもない痴態を晒されたことに、激怒しているのだろうか? いや違う。いつもはそうだ。
 いつもなら、ひとしきり震えた後、アルフィーナは魔本に怒りをぶちまける。魔本はそれをからかっって笑う。それがいつものことだった。だが今夜は違った。
 なぜなら……。今回は、魔本に操られてやったわけではなかったからだ。

「あ……。あああぁ。うそ! なんで!? 私なんて事しちゃったの……。なんで、やめなかったの?」

 精確には、途中まではいつもどおり魔本に操られてやった、痴態だった。身体を無理矢理動かされる感覚。
 しかし、男が、ぶちきれ、クリを引っ張られ激痛が走った瞬間、何かが切れた。今までで味わったことのない刺激。おまけに目の前には激怒した男。
 大事に育てられた姫なら、一生目にすることも、感じることもないだろう。それらに免疫がなかったアルフィーナは、何をしてもそれを回避しようとした。
 それからは、身体を無理やり動かされる感覚は消えた。むしろ思い通りに動いた。卑猥な台詞もすらすら言えた。

「うううぅ……。は! そうよ! 魔本! あいつがまた何か仕組んだにきまってるわ!」

 アルフィーナは顔を上げ、魔本をにらみつける。だが、魔本は、何も言わずじっとアルフィーナを見下げてる。
 いつもなら、茶化したり、馬鹿にしたりとうるさいぐらいに話すくせに。

「ねえ! なんでだまってるの!? 白状しなさい! いつもみたいに笑いなさい。『今日もがんばって抵抗してたわね。無駄なのに。きゃはは』とか! ねえ!? 何をしたの! 私に!」

 それでも、魔本は何も言わなかった。ただゆっくりとアルフィーナに近づいていく。

「ひっ! な……何するの? また記憶を消して、ひどいことさせるつもり!」

 アルフィーナは逃げようとするが、力が入らないのか、逃げられない。そんなアルフィーナに魔本は、優しく微笑みかけ、頬をさする。

「私はね。魔本なんて呼ばれてるけど、元はただの本。そりゃあ、長い年月が存在しているから多少の魔力と、魔法は使えるけど、そんなに強くないの。アルフィーナちゃんもしってるでしょ? 魔法ってのは魔力だけではだめなの。使う者の強い意志。それが必要なの」

 アルフィーナは魔本がなぜこんな話をしだしたのかわからなかった。魔本の言うことは正しい。基礎の基礎の話だ。

「本の私に強い意志なんてない。ただ、物語を書かれ伝えるためだけの存在。それなのにアルフィーナちゃんをいろいろ操れたのはなぜだと思う? それはね……私じゃない、強い意志があったからなの。アルフィーナちゃんのね」

 アルフィーナはその言葉を聴いて、唖然となった。そして、泣きながら、首を振った。認めたくない。

「嘘はいわないわ。私は本よ。人より正直なんだから。その証拠ってわけじゃないけど、これあげる。人がどれだけ嘘ついて生きているかわかるように」

 そういうと魔本は、アルフィーナの耳にイヤリングをつけた。

「それは相手の本心が聞こえるアイテム。まあ、聞こえても独り言を盗み聞きしてるように聞こえるレベルだけど。アルフィーナちゃんが望めば、はっきり聞こえるわ。それでいろんな人の本音を聞いてみなさい。面白いわよ。あ……一応言っておくけど、それ使っても私には効かないから。私、人じゃないから」

 そういうと、魔本は、アルフィーナのアナルに突き刺さしていた杖を引き抜く。それを投げ捨て、立ち上がると、ドアのほうへすたすたと歩いていく。

「それじゃあ、私はいくわ。あ……といってもばいばいじゃないわよ。それに、まだこの物語はおわってないし。アルフィーナちゃんも一人で考えたいときもあるでしょう? だから、戻ってくるまで何もしないし、心も覗かないわ。アルフィーナちゃんの好きにしなさいな。じゃ。バイバイマンチョ~♪」

 そういうと、魔本は、微笑みながら部屋から出て行った。アルフィーナは月明かりが照らす部屋の中で一人座り込んでいた。

(嘘! そんな……それが本当なら、あいつに力を与えてたのは私で、私があんな変態行為を望んでいたっていうの……?)

 少し前までなら、ふざけるなと叫んでたところだが、今はできなかった。それは今でも鮮明に覚えているさっきまで自分がしていた痴態の記憶のせいだ。

『ああぁぁ……ほんとにちぎれちゃうう……。いやあぁ。お願いしますうぅ。アルフィーナは姫といっても変態姫なんです。
 最低なんです。ただのごみ穴が動いてるだけの家畜以下の存在なんです。だから、許してくだしゃい! これからは身の程もわきまえます
 。お望みならこのおマンコに、おチンポ汁を入れてください! 喜んで孕みますからぁ……』

(いつもなら、魔本が言う台詞を事前に教えてもらい、言わされていたけど、このときはなにもなかったのに言えちゃった……。)

 次には、男たちに受けるために、おもちゃにされながら、卑猥な踊りを楽しそうに踊っていた記憶が浮かぶ。

(そういえば、子供のころ、こんなことしてたっけ。自分で歌や踊りの振り付け考えて、それを見てもらって回りが楽しそうにしてるの見るのが好きだった。もちろんあんな卑猥なものじゃなかったけど。そうだ。成長して、『はしたないですよ』って怒られてからやらなくなってた。)

『ひっく……。ひっく……。いや。いやぁあ。やだ! やだぁ! アルフィーナをきらいにならないでぇ~ぐすっ。あぁ。無視しないでぇ……。
 もう迷惑かけないからぁ~。だから……。だからあぁあぁ!』

(ああ……。子供のころこんな風に泣いたっけ。とにかく嫌われるのが怖くて。お父様に立派な人になれば自然と周りに人が集まってくるって教えられて。だから、立派な人になろうと思った。そうなれば、嫌われることも、さみしいこともなくなるって……)

 アルフィーナは自分にまとわりついてる精液を眺めた。手も頭も、とにかく精液まみれだ。だが不思議と不快とは思わなかった。むしろ嬉しかった。

(はしたないこと。幼稚なことをしてると。立派な人になれないと思った。立派な人にならないと誰もかまってくれないと思ってた)

 アルフィーナは窓から入る月明かりを身ながら、流れるように手についた精液をなめた。粘り、あふれる臭い、想像以上の苦味。だけど、暖かかった。
 それが心地よく、さらに手をなめて、口に大量の精液を含み、何回も音を立てて噛み締め、飲み込んだ。

「ああ……おいしい……」

 それは、心の底から出た感想だった。それと同時に、つけられたイヤリングが光、誰もいないのに声が聞こえてきた。それはアルフィーナに精液をかけた男たちの声だった。

『たまんねぇ。もっとやりてぇ!』

『ゴミ穴とか罵ってたけど、なんて魅力的なんだ。罵れば罵るほどかわいくなってくぞ』

『さっきまでのキチガイもいいけど、こっちの上品変態姫もいいなあ。俺たちみたいな平民相手に、頭下げておねだりだなんて』

『ははは! ここまでみっともないと逆に愛らしくなってくる。大丈夫だぞ。たとえお前がとんでもない馬鹿でも、遊んでやるから。だから、お下品なことして、笑わしてくれよ』

「ふふ……。そっか。別に立派な人にならなくってもよかったんだ。幼稚ではしたない事しても、こんなおいしいもの笑ってアルフィーナにくれる人いるんだもん。このおチンポ汁って男の人が興奮して気持ちいいときにだすものなんだから」

 そういってつぶやいた後、アルフィーナは魔本が出て行った扉のほうを見た。

「あいつ。いったい何が目的なのかしら。人じゃないってのは確かだけど……悪魔みたいなものよね? 私を利用して、この国を混乱させる……? 最初はそう思ってたけど、何か違う。だって、今日の私、あいつの思うとおりに変態行為したのに、ぜんぜん嬉しそうじゃなかった。あ……!? そっか。そうよ。あいつ、私に自分の支配をとかれたことにショックを受けたんだわ!」
 そういうと、アルフィーナはすくっと立ち上がり、嬉しそうに笑った。

「ふふ。あはは! いい気味ね。きっと、あいつは操って、変態行為をさせて、ショックを受けさせて、完全に支配するつもりだったのよ。精神が弱ったところで! でも駄目だった。私は! だって……元から変態なんだから! 変態行為されられても弱くならず、逆に強くなって、支配から逃れられたんだわ! だから、慌てて逃げ出したのよ! それに気づかれるとやばいって思って、あんな嘘までいって! いったん引いて、何か別の方法を考えようって腹ね。そうよ! そうに決まってるわ!」

 アルフィーナは、久々に心が晴れていくのを感じた。あの魔本はきっとスケベなことしかできない下級の淫魔の類だろう。
 なら、あいつが仕掛けられることは全部イヤラシイことのはずだ。それなら怖くない。操られようと、それ以上のいやらしいことをすれば支配から逃れられるはずだ。
 前までは、そんなことをすれば、かまって貰えず、無視されると恐怖してできなかったが、今は違う。
 そんなことをしても、かわいがってもらえる方法を知ってしまった。こんな幼稚で下品な自分でも愛してくれる人たちがいるとわかってしまった。

「ふふ……。せいぜい、知恵を絞って無駄な罠仕掛けなさい。魔本! あんたの悪巧み、全部つぶしてあげる! この変態姫のアルフィーナがね! 覚悟しなさい! アルフィーナはおチンポ汁があれば無敵なんだから!」

 アルフィーナは、こぶしを掲げ、誰もいない部屋で、宣誓をした。誰も見ていないが、なんだかとても楽しくなった。すぐさま踊りだしたいくらいに心が高揚した。
 そして、部屋においてある大きな柱時計に目を向ける。

「朝までまだしばらくあるわね。寝る前にもうちょっと遊びましょう。できるだけ長くご主人様たちがくれたおチンポ汁ドレス着ていたいし、朝になれば乾いて目立たないでしょ。臭いは……香水でごまかしましょ。ほんとは、消したくないけど、公務だしね。お姫様ってのも大変よ」

 そうつぶやきながら、足取り軽く歩いていき、窓のカーテンを全開にした。

「でも、仕方がないわ。魔本の奴も、きっと私が変態行為ののめりこんで、公務をしなって国を駄目にするように仕向けるはず。手には乗らないわ。私は姫。きちんと、公務をするのが姫のお仕事! デモでも~。それ以外の時間は本当の姿になるの。変態姫アルフィーナ! そうよね? ジャック。それにアントワーヌ!」

 ルンルンと鼻歌を歌いながら、ぬいぐるみを椅子やテーブルの上においていく。それは子供のころ遊んでいたぬいぐるみにつけた名前だ。
 大きくなってそんなことはしなくなり、ベットの片隅にインテリアとしておかれていたものをアルフィーナは引っ張り出した。

「しばらくほったらかしにしてごめんね。二人とも。久しぶりなのに悪いけど、私の変態ダンスの観客になって。迷惑だと思うけど、幼馴染のお願いよ。情けと思って! お願いしマンコ~♪ きゃははは!」

 物言わぬぬいぐるみ相手に、楽しそうにマンコを晒して笑ってるアルフィーナは、おマンコの中にある違和感を思い出し、指でほじくって取り出した。
 それはさっき男から入れてもらった飴玉だ。マンコの中に入れていたせいで、マン汁と精液まみれになっている。

「あ……そうだ。これもらったんだ。アルフィーナがきちんということ聞いたから、ご主人様が……えへへへ」

 アルフィーナは、飴玉をくれた男の顔を思い出しながら、顔がほころび、マンコのおくがジンジンしびれるの快感におぼれた。

「ジャック! アントワーヌ! これでいいでしょ?! でもあげな~い。だってこれは~。アルフィーナがもらったものだもん! はむ! あん……おいしいぃ~!!」

 飴玉を見せびらかすように自慢した後、口の中にすばやく入れて味わう。今まで生きてきた中で、一番幸せな味だった。
 勲章や位をもらったときよりも、父や母、家臣たちからほめられるときよりも幸福を感じていた。

「はあぁ……。おいしすぎてまた漏らしちゃいそう。元々アルフィーナはおマンコからいやらしい汁漏らしまくりだけど。ホントいやらしい姫マンチョ! あ! そろそろ始めよっと。それでは、これから変態姫アルフィーナの初! おマンチョキッスパーティーを開催しま~す! まずは、アルフィーナの喜びおマンチョダンスをお楽しみくださ~い! みなさ~ん! おチンポ汁発射OK? キッスを済ませたアルフィーナの大人マンコは準備OK! イェイ!」

 そういって、物言わぬぬいぐるみに向かって、マンコを広げながら、ピースをする。当然なんの返しもこないが、はしたないポーズをしているアルフィーナには、笑い声と罵声と煽る声が聞こえていた。

「ふふふ……ありがとうございま~す。ご期待に答え、アルフィーナ、お馬鹿に踊りま~す。だから笑って~!! 普段は清楚なお姫様~♪ だけどホントはど変態~♪ 淫魔になんか負けないわ~♪ パンツかぶっておマンコ晒し~♪ 今日も勝利のおマンチョダンス!♪ そんな変態お姫様~♪ それが私よ!♪ アルフィーナ♪ あははは! 楽しい~! もっと見て! もっと馬鹿にしてぇ! 幼稚な変態なのぉ!」

 月明かりの下、アルフィーナは踊り続けていた。幼稚で下品、そしてはしたないダンスだったが、踊るたびに、快感と幸せと魔本に対する勝利の確信がたまっていくのを感じた。

****************************************

 魔本は扉から出たあと、少し扉あけて、部屋の中をこっそり覗いていた。現在、部屋の中はアルフィーナのオンステージだ。

「あらあら……。自分だけだと思ってずいぶんふっ切れちゃってるわね。アルフィーナちゃん。私は心は覗かないといったけど、こうしてドアの隙間から覗かないとはいってないのに……」

 普段なら、飛び込んで思いっきり弄りたいところだが、今はそんな気になれない。なぜなら、アルフィーナが本当に楽しそうだからだ。
 そんな姿を見ると魔本はむなしくなる。なぜなら、魔本は心のそこから楽しいとか面白いと感じたことがなかったからだ。
 笑ってもそれは、人の真似をしているだけで、心からではない。なぜなら自分は本だから。心がないのだから。

「アルフィーナちゃんはなんか勝手に思い込んでるみたいだけど、私悪魔ほど高尚な存在じゃないのに。でも、違うっていっても意味ないわよね。そう思い込んでるほうが、アルフィーナちゃんは幸せそうだし……幸せなんだよね?」

 そう、魔本は本だから、そんなあやふやな感覚がわからない。言葉の意味としては、知っているが実感がない。
 だから本当に自分のしていることが相手にとっていいことなのか自信がない。たとえ心の中を見て、そのとおりに実現させても。

「魔本め! 好きなだけいやらしい罠を仕掛けるといいわ! 全部私のおマンコで叩き潰してあげる! アルフィーナの姫マンチョでぐっちょぐちょにしてね! あははは!」

 部屋の中でアルフィーナは、魔本を悪役にして、演舞をしている。おマンコを突き出した下品極まりないものだったが。
 相当楽しいらしく、感極まって、観客役だったぬいぐるみを跨ぎ、股間を押し付けだした。

「そんなに楽しいのかしら……。なんか期待されているみたいだけど、何か仕込むつもりで離れたんじゃなく、ほんとにアルフィーナちゃんを気持ちを落ち着けさせるためだったけど。もう変な方向で決着ついちゃった? これで何もしないで戻ったら私、間抜けじゃない」

 そんな呟きをしながら、魔本は部屋の中で幼稚な変態行為をして楽しんでるアルフィーナを見つめていた。実際、魔本はアルフィーナに興味がわいていた。
 今までかかわった人間は、あんなふうにはならなかった。大抵、精神が弱っていき、何の反応もしなくなっていった。
 それが死というもので人の終わりとわかったのは何人目だっただろうか? みんな自分の心の奥底にある願望をかなえてあげたのに。
 最初、アルフィーナにとってもらったとき、清楚な外見に対し、心の奥底は幼稚でスケベな心の持ち主だとわかった。そして、同時にこれはすぐ壊れるなと思った。
 書かれていた物語は新たな持ち主にもたれることですべて消え、忘れる。だが、うっすらと、断片的にだが覚えていることもある。
 経験を生かし、より望みの物語を残すための機能らしいが、はっきりしない。だがその残っていた記憶と経験上、このタイプは精神がすぐ壊れる。
 まるで自分の本心の存在を否定するように。そのときの人を見るのが、魔本はとてつもなく嫌だった。存在するのに、中身がない。まるで自分みたいだ。
 そして、それはとてつもなく醜く感じるのだ。そうとわかっても、魔本はいつもどおり、アルフィーナの本心を物語にした。それが自分で、そうする以外方法を知らないからだ。
 だが、アルフィーナは違った。弱まるどころか、どんどん強くなる。それどころか今日は、自分の支配を自力で解いた。
 いや、そうせざるを得ないよう、本に大量の魔力が注ぎ込まれたからだ。その証拠に、新しい話がどんどん書き込まれていく。

「あん……また……。こんなこと初めて……よね? このペースだと私に書ききれなくなる? そんなことあったかしら? もしそうなったら……私どうなるのかしら?」

 魔本は自分を開き、書き込まれた新しい物語を読む。

「ふむふむ……。なにこれ……。私が、アルフィーナちゃんのおマンコに頭を押し付けられて、謝ってたり、町の大通りを裸で行進とか。町で悪さする悪党をSEXで改心させようと乗り込んだけど、返り討ちにあって、ペットとして飼われる(見せしめとして、街中を練り歩く<必須>)って。欲望がどんどん幼稚で、ひどくなってない? でもまあ……あれじゃあしょうがないか……」

 部屋の中を覗くと、さっきまでぬいぐるみにまたがっていたアルフィーナが四つんばいになって、背中にぬいぐるみを乗せ、自分のお尻をぺしぺしたたいていた。

「あアン! すいませんでしたぁ! アントワーヌさまぁ~! 卑しいメス豚の分際で、あなた様の恋人のジョン様のおチンポ襲ってえぇ~! はい! はい! ありがとうございます! 許して頂けるだけでなく、ペットとして飼って頂けるなんて! アルフィーナ感激ぃ~!!」

 ぬいぐるみのペットになったというのに喜んで発情してる姿は、ある意味終わっていた。だが、その心は以前とは比べ物にならないほど強くなってる。
 かといって、完全に狂っているわけではない。人は狂うと、心の声がぐちゃぐちゃになって意味不明に聞こえるのだが、アルフィーナは逆にはっきりしている。
 魔本を出し抜くために、どんな変態行為をしてやろうか真剣に考えてるのだ。見た目はキチガイの露出狂なのに。

「ホント。幼稚ねえ。いい年して。もう成人してるってのに。明日の公務できなくなってもしらないわよ」

 ボソッと漏らした独り言であり、アルフィーナに話しかけてるつもりはなかったのだが、それに対し、アルフィーナが片足を上げて、犬のおしっこのポーズをしながら、しゃべりだした。

「全然平気よ~! このくらいでへばるアルフィーナじゃないもん! だって私はいい年なのに幼稚な変態姫なんだからぁ~! 駄目っていわれてもやるわよ! もっとするの! 邪魔するならこうしてやるんだからぁあ~!」

 そういうと、アルフィーナは笑いながら、おしっこを噴出した。それを聞いて、魔本は心底驚く。小声で聞こえるはずのない距離であり、イヤリングの力も自分には聞かないはずだ。
 なのにアルフィーナは答えた。魔本はそっと扉のドアを閉め、部屋から離れていった。

「やれやれ……。何もしなかったり、邪魔したらおしっこかけられるのか……。それはかなり嫌ね。ふやけてぼろぼろになっちゃうわ。本だから。かなりのダメージよ。しかたがないわね」

 歩きながら、魔本はこれからすべきことを考えていた。
 実際、アルフィーナと全然関係ないものを操作したり、アルフィーナから離れて実体化し、細工をするのはかなりの魔力を消費するのだ。
 それは、魔本にとって消滅の危険がある。下手すれば、数百年ただの本になって、何もできなくなる可能性があるのだ。それでも魔本はやろうと思った。

「いきなりはアレは時間が足りないから、今回は下準備といきますか。まあそれでもアルフィーナちゃんはきっと満足してくれるでしょう。なんせ変態姫なんだから。……ふふふ」

 魔本自身気がつかなかったのかもしれない。そのとき確かに魔本は笑っていた。

< 続く >

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