第1話
「ふーん。催眠術、ね」
僕、城井斗真の祖父が死んだという連絡が届いたのは一週間前。高校二年に進級して難易度が上がった学問に少しずつ慣れた4月の出来事だった。家族は仕事で忙しく、唯一自由がある自分がゴールデンウィーク初日に祖父の家に派遣された。
祖母に先立たれ、細々と一人暮らしをしていた祖父の荷物を整理していたところ、祖父の書斎で変な日記を見つけた。
曰く、自分は催眠術を極めた。その結果、瞳を見たり声をかけたり仕草であったり、様々な方法で対象を一瞬で深いトランス状態に落とすことが可能になり、何でも言うことを聞かせることができたのだという。若いころは悪用して様々なことをしたが、祖母と出会い、心の底から愛し、そして催眠術無しで祖母と結ばれ、その極めた技術を振るうことを止めたのだという。そして、この日記の末尾あたりには祖父が極めた108種の催眠術が示されており、一番後ろのページに書いてある自己暗示をおこなった後に日記を後ろから読み進めることでそれらを慣れ親しんだ自分の技術として会得することができるらしい。
彼は自分が催眠術をおこなうことを封じた。それは祖母へ自分の愛を示すための禊にも似た何かだった。けれど、だからといって自分の催眠術が悪いものだとは一切思っていなかった。寧ろ、自分の極めた技術が永久に失われることは唾棄すべきことがと考え、この書を残したのだという。
「……馬鹿らしいけど、あのじいちゃんだしなぁ」
少なくとも、僕から見た晩年の祖父は誠実でタチの悪い冗談などは言わない人だった。この書の日記部分の終わりはここ数年の記録であることから、この本を書いた時期の祖父は自分が信頼できる人物であり、この書も信用できるものだと思える。
何より、これが本当だったら面白い。なんせ、対人であれば何でもできると言っても過言ではない。
「取り敢えず、この自己暗示ってやつをやってみるか」
軽く読んでみたが、催眠の技術に関する部分は何が書かれているのかサッパリ分からない。まるで意味を成す文字列だとも思えない。だが、仮にこの書に書かれていることが本当ならば、自己暗示により書かれていることが理解できるようになるだろう。十分に証明となる。
「よし、まずは、手を前に組んで……」
複雑な手順を経て、書を逆向きに読み進める。すると、不思議な現象が起きた。すらすらと読み進めることができる。何が書かれているのか分かる。それどころか、書かれていることが体に染み込んでいくような感覚があった。例えば、幼少期に鍛えられた箸を持つ技術は今となっては当たり前のように振るうことができる。それと同じように、書かれていた技術は一切の迷いもなく自然に使用することができる。そのように不思議と納得できた。
「……これは、面白い」
にやり。口角が自然と上がるのを感じる。
一刻も早く、この技術を試したい。そして、愉しみたい。
自分の心の中にあった、世間で生きるために抑えておく必要のあった陰湿な欲望が解放されていく感覚を味わいながら、実験対象として相応しい友人を頭に思い浮かべた。
***
「やぁ、いらっしゃい斗真。突然家に来たいだなんて、珍しいね」
「ちょっと面白い遊びを見つけてさ。どうせだし悟志とやりたいなぁって思って」
「それは良いね。君が教えてくれるものは新鮮でとても面白みがある。今日も歓迎するよ」
翌日、ゴールデンウィーク2日目となるこの日、俺は友人の山吹悟志の家を訪ねた。
山吹悟志、父は事故死していて、母、妹と3人暮らし。祖父母が地元で有名な名家で、大黒柱を失っていながら裕福な生活を送っている。品行方正や誠実といった概念が服を着て歩いているような性格をしたイケメンで、その紳士的でどこか浮世離れした雰囲気で僕らが通っている学校ではアイドル的存在である。そんな彼だけれども、やはり思春期の男の子。どうしてそうなったのか経緯は覚えてないが、どこか世俗離れしていてちょっと無知ぎみであった彼にゲームであったりエロ本だったりを勧める機会があり、結果として興味津々な彼といつの間にか仲良くなっていた。
彼に招かれるままに大きな玄関を抜け、階段へと続く廊下の途中、開かれていたリビングから声がかけられた。
「斗真くん、いらっしゃい」
「斗真さん、お久しぶりです」
「裕子さん、お邪魔します。弘美ちゃんも、入学式の時以来だから1か月ぶりだね。高校には慣れた?」
「はい。お兄様にとっての斗真さんのように、素敵な友人たちに恵まれて楽しい生活を送っています」
「それならばよかったけど、俺への過剰評価はムズムズするというか何というか……」
「悟志は斗真くんと仲良くなるまで家に誰かを招くなんてことは無かったのよ? 親として、本当に感謝してるわ」
「ちょっと母さん! 恥ずかしいから止めてくれよ……」
「ははは! あの学園の王子様も母親の前ではただの子供だな」
「斗真もからかわないでくれ……」
山吹裕子、悟志の母。高校を卒業してすぐに結婚した夫に先立たれ、その苦労を見せずに2人の子供を育てた立派な人だ。悟志のイケメンフェイスは彼女の遺伝だと一目で分かるおっとりとしたゆるふわロングヘアの巨乳美女で、とても経産婦とは思えない。
山吹弘美、悟志の1つ歳下の妹。入学したばかりの1年生。彼女も裕子さんに負けず劣らずの美貌を誇っており、肩まで伸びた絹糸のような黒髪を靡かせ天使のような笑顔を見せ、入学したばかりでありながら兄と同様に学園の人気者となっている。兄を「お兄様」と呼ぶことからも分かるように、母や兄よりも更に上品な振る舞いをする。
父に先立たれ残された3人で過ごしているからか、山吹家は仲睦まじく喧嘩もしない理想的な家族だ。放任主義な両親を持った自分から見て、とても眩しく見えるほどに。
その眩しさを、汚したいほどに。
「そうだ、悟志。どうせだから裕子さんと弘美さんも一緒に遊ばないか? 人数が多い方が面白い遊びなんだ」
「そうなのか? 母さん、弘美、今大丈夫かい?」
「ちょうど2人でお茶していたところだし、大丈夫よ」
「私も大丈夫です。高校での話を斗真さんにも聞いていただきたいですし、斗真さんの持ってきてくださるゲームは私も大好きです」
「よし、それならば話は早い。今日やる遊びはどこでもできるし、リビングでやろう」
「その膨らんだカバンから察するに、ボードゲームか何かかい?」
「それは、始まってからのお楽しみさ」
膨らんだカバンの中に入っているものは宿泊の用意なんだけれどな。今日はゴールデンウィーク2日目、どうせなら沢山の時間を使ってこいつらで遊びたい。
悟志、俺はお前のことが友達だと思っている。だけれど、お前の輝きにずっと劣等感があったんだ。
今の俺には、お前への劣等感を解消できる術がある。思う存分、遊ばせてもらうぞ。
今、自分の前には椅子に座って虚ろ目で脱力する3人の姿があった。
リビングに入ってすぐ、俺は視線だけで悟志たちをトランス状態に落とすことができた。あっさりと成功したことに拍子抜けの気持ちが1割、そして9割の暗い喜び。今、自分は彼らを好き勝手にすることができるのだ。
「もしもし、聞こえますか?」
「「「はい……、聞こえます……」」」
「今、あなた方は自分の心の中のとても深いところに居ます。そこはあなた方にとって、あなた達を形成するもの、大切なものが置いてある、どこよりも深い場所です。さて、今あなた達はどこに居ますか?」
「「「どこよりも……深い場所……」」」
「はい、その通りです。あなた達はその場所にあるものを動かしたり、消したり、何かを追加したりすることはできません。しかし、私にはそれらをすることができます。私の言葉はあなた達の深い場所に簡単に届き、そしてそれは今まであった何よりも大切で優先されるべきものです」
「「「大切で……優先……」」」
「はい、大切で優先されます。なので、今から私が言ったことに矛盾する思いや記憶があれば、それらは私の言葉に都合がいいように変わっていきます。よろしいですね?」
「「「はい……」」」
「では、今から深い場所に言葉を届けます。まずは皆さん、今日から私、城井斗真はこの家を自由に利用できます。宿泊するのも、家にあるものを使うのも、全て自由です。当たり前のことなので皆さんの許可もいりません。後で合鍵を渡しましょう。そして、私は言うことはすべてあなた方にとって正しいものです。常識も感情も感覚も、全て私の言う通りになります」
「「「はい……」」」
「それでは、今から詳しく指示します。それら全て、深い場所に強く残りますよ? まず、悟志。君は重度のマザコン、シスコンになるんだ」
「はい……僕は重度のマザコンで、シスコンです……」
「同時に悟志は取り返しのつかないレベルのネトラレマゾです。君は私に母と妹をネトラレる為なら何でもできます。そして、常により惨めな気持ちを求め続けます」
「はい……僕は最悪のネトラレマゾです……常に惨めになりたいです……」
「悟志、君は裕子さんと弘美ちゃんを絶対的支配下に置いています。2人は私の言葉と同じように、悟志の言葉の言う通りに人格も常識も書き換わります。但し、私の言葉の方が絶対で優先されます。そのことに3人とも疑問を覚えることはありません。裕子さんと弘美ちゃんをより惨めに弄び、人間以下のメスへと変えていき、私に捧げましょう。2人もいいですね?」
「はい……母さんと弘美を惨めなメスへと変えていきます……」
「「はい……人格も常識も書き換わります……」」
そう、俺は悟志の手によって壊れる山吹家が観たいんだ。悟志はこれから、自分の大切な母も妹も惨めに改竄して弄び、そして僕に捧げようとする。そして、そんな自分が惨めで惨めで仕方が無くて、興奮するマゾになるんだ。
股間が盛り上がる。最高の気分だ。今から起こることを想像すると、気分が高揚して仕方がない。俺の暗い欲望は、最悪のものだった。
「私が『山吹崩壊家族』と言ったらあなた方はいつでもこの状態になります」
一応、保険としてトランス状態になるキーワードを設定する。俺の言ったことが彼らにとって絶対とはいえ、もしもが起こっては台無しだ。
「僕が手を叩いたらあなたたちは元に戻ります。そのとき、裕子さんと弘美ちゃんは5分ほど遅れて目を覚まします。元に戻った時、僕に暗示を受けたことは覚えていません。あなた方が思い出せない一番深いところに残り続けます」
「「「はい……思い出せません……」」」
さて、それでは……。
パン!
山吹家、崩壊の時間だ。
「……あれ?」
「あ、起きたか悟志。急に寝やがって……。2人はまだ寝てるし……。『お前のネトラレ趣味に協力するために呼び出したんだろ』、しっかりしろよ」
「あ、そういえばそうだったね。本当にすまない……。僕のために僕の愛してやまないママと弘美を寝取ってくれるだなんて……」
ママ(笑)
重度のマザコンになってるのが一瞬で分かり、思わず笑いがこみ上げる。
「くっくっくっ……。しかし良いのか? おまえ、誰よりも2人を大切にしてただろ? それを惨めな人間以下のメスに変えた挙句、俺に寝取られるように仕向けるだなんて、お前正気とは思えないぜ?」
「……確かに、おっとりしたママが家畜以下の存在になったり、可愛い弘美がただのメス奴隷に成り下がるのを考えると、惨めで苦しくて死にたくて仕方がないよ……。だけれど……」
そこまで言うと悟志は自分の股間を指さした。
そこには、今にも射精しそうに膨張したチンコがあった。悟志は正真正銘、ネトラレマゾ野郎になったのだ。
「ハハハハハハハハハ! 言葉よりも股間は雄弁だな? そうだ、お前みたいなネトラレマゾが種を残すなんて贅沢があっちゃいけないよな? 『お前の体は一生射精の仕方を忘れる。我慢汁を分泌することすら忘れ、イク時はただチンコを震わせろ』。『お前は自分に快楽を得る目的で刺激を与えることはできない』。『お前は精神的な要因だけで絶頂することができる』。『お前は痛みで快感を得る。痛みがより強いほど、強い快感を得る。軽いビンタ程度の痛みで容易に絶頂する』。『いくらイッても興奮で死ぬことは無いし、理性は保てるし、興奮すればすぐに勃つことができる』。そうだよなぁ?」
「……ああ。その通りだけれど、実際に言葉にされると恥ずかしいな……」
これで悟志は一生射精すらできないマゾチンコの持ち主になった、はずだ。俺の催眠が肉体面に影響を与えられているか、確認のために悟志の頬をビンタすると悟志の股間はびくっと震えて萎びれていった。精液どころか我慢汁をにじませることすら無く。
学園の王子様がほんの10分程度の暗示と後付けの命令で雄として完全終了した事実。
最高だ。最高すぎる。俺は支配者で、こいつは被支配者。こいつだけじゃない。俺は一生、絶対の支配を与える者になったのだ。祖父の残してくれた、この力で。
「ん……」
「あれ……? 斗真さん、お兄様、すみません……。ゲームをするつもりが、寝てしまって……」
悟志で遊んでいると裕子さんと弘美、哀れな2人の子羊が起きる。それと同時にネトラレ生活の始まりを察した悟志のチンコもゆっくりと起き上がる。その無様な姿にまた笑いが止まらなくなり、起きたばかりの2人はそんな僕を見て不思議そうな顔をする。この2人の普通の人間みたいな表情を見るのもこれで最後かもしれないな。
「やぁ、ママ、弘美。起きたんだね?」
「ママって……。どうしたの、悟志? 突然……」
「『気にしないでいいよ』。それより、どうしたんだい? 2人ともそんな格好して?」
「お兄様、そんな恰好って……」
「2人とも『特別な指示が無い限りは家では下着か全裸』だったろう?」
お、さっそく悟志が2人に命令した。
悟志の言葉を聞いた裕子さんと弘美ちゃんは一瞬何を言われたか分からない顔をしたが、命令を理解したのか当たり前のように服を脱ぎ始めた。
お、裕子さん黒レースとか意外と派手だなぁ。弘美ちゃんはイメージ通りの白のシンプルな下着で、年齢にしては大きな果実を実らせている。巨乳な裕子さんの遺伝かな? 2人とも、恥ずかしそうにモジモジとしている。この間も悟志は股間を震わせては萎びらせ、萎びては勃たせ。どうやら重度のマザコン・シスコンになった悟志には2人の下着姿を他人に見せることすら嫌な行為であり、そしてネトラレマゾの興奮する条件になったようだ。こんなのでイクとか、今後の展開が楽しみすぎるな。
「ごめんね斗真くん。家で服なんか着てて」
「いえいえ。確かに2人の行動は常識外れではありましたが、女性が男性の前で肌を晒すのが恥ずかしい気持ちは分かります」
「でも、今までも何度か家に来てたのに……」
「今日脱いでくれたのは、それだけ信頼を得た証だと思っておくよ」
「斗真は優しいなぁ。さて、後で2人は何かしらの形で今までの非礼を返すとして、まずはゲームをしよう」
「そういえば、斗真さん。遊びというのはどのようなものなのでしょうか?」
「あ、ママ、弘美。ゲームは僕から説明するよ」
お、どうやら悟志がゲームを考案したようだ。実は何も考えてはいなかったのでありがたい。流石頭脳も明晰な男だ。もう男としての機能は無いに等しいけど。
「今日は色んなミニゲームをやっていくよ。僕ら2人は運営で、2人がプレイヤー。『2人はどんなミニゲームにも違和感は無いし、今にも遊びたくなるような魅力的なゲームに感じるよ』。それと、『負けた方には罰ゲームがあるから全力で勝ちにいってね』」
「ええ、分かったわ」
「お母様とはいえ、勝負には勝たせていただきます!」
「よし、では早速最初のゲームをやっていく……その前に、2人とも、今後のゲームで必要だから『それぞれ2L、水でインスタントコーヒーを作ってすぐに飲み干してきてくれ』。その間に1つ目のゲームの準備をしていくよ」
悟志の指示を聞くと二人はすぐにキッチンへ向かい、2Lの水のペットボトルにコーヒーの粉を入れて飲み始めた。その間、悟志は「少し待っててくれ」と言うと2階へ向かっていった。催眠で何もかもを支配下に置いているのに、これから何起きるのかは俺には分からない。しかし、それは俺にとって愉悦を伴うものだということが決まっている。そんな状況に子供のようにワクワクが止まらなかった。
しばらくすると胃のあたりを擦る裕子さんと弘美ちゃん、そして何かを持った悟志がリビングに帰ってきた。流石に2Lの液体の一気飲みは堪えたらしく、時折口を抑えるような仕草を見せる。
「さて、2人とも飲み終わったところで最初のゲームをしていこう。まずはゲームの進行に必要だから、『2人ともパンツを脱いでくれ』」
「ゲームに必要なら……」
「パンツを脱ぐゲーム……。なんだか私、ワクワクしてきました」
ミニゲームは魅力的なものだという催眠が効いているのか、ミニゲームの内容もまだ聞かされていないのに2人は嬉々としてパンツを脱ぎ始める。先ほどまで下着姿を見られることすら恥ずかしがっていたのに、今は茂みが生い茂った股間を露わにしてゲームの説明を心待ちにしているのが滑稽だ。
「ママの陰毛はやっぱり大人の女性だけあって濃いね。弘美も薄めとはいえ、しっかり生えそろってて良かった。これならゲームができるよ。ゲームの内容は簡単だ。まず、2人に大きさが等しいガムテープを渡すから、自分の股間にガムテープを貼るんだ。そして、それを自分で思いっきり剥がす。この時、股間に残った陰毛の量が少なかった方が勝ちだ。2人の陰毛に差があるし、目分量ではあるけれど元あった量と比べてどれだけ少なくなったかの割合で判定しよう。勝者は斗真が決めるよ」
……なんつー下品なゲーム。こんなゲームが悟志から考案されるとは、ネトラレマゾ催眠以前にこいつは変態だったのかもしれない。
馬鹿らしいゲームだけれど、本気で取り組むように催眠された2人は自分の陰毛に合った作戦を考案したらしい。
裕子さんは未亡人かつ誰にも見せるつもりが無かったからか、手入れがほとんどされていない無法地帯な陰部。左右の陰毛の先を片手で中央部に集め、股間に縦にガムテープを貼る。
一方、若者らしく陰毛を綺麗に整えていた弘美ちゃんはガムテープを横に貼れば陰毛をほぼ全部カバーできるようで、剥がすときに力を入れられるようにカバーする範囲を犠牲に端の方を少し折り、手で持つ場所を作ったようだ。
「ククッ。2人とも、工夫が凄いですね……」
「勿論よ、斗真くん。やるからには勝ちたいもの」
「私の方が陰毛をより多く剥がせる自信があります。この勝負、勝ちます!」
「準備はできたようだね。それでは2人とも、剥がして!」
ビリッ!
「ひぎっ!」
「んぐっ!」
間抜けな音と間抜けなうめき声が響く。
勝利するために手加減をしなかったからか、割とシャレにならない痛みが2人を襲ったようだ。しかし……
「アハハハハハハハ!!」
殆どの陰毛を抜くことができた弘美ちゃんはまだいい。それでも数本の毛がちょろっと残ってるのは無様であるが。
悲惨なのは裕子さんで、やはり左右の毛を完全に抜くことができなかったようで股間の左右だけ毛が生い茂り、真ん中は陰毛が薄く陰部を隠す役割を果たせていない。まるで陰部の周りを毛で装飾したような有様に。
「うん。一目で分かるね。一つ目のゲームは弘美の勝ちだ」
「う~~ん……。普段から整えてなかった私のミスね」
「明日からはしっかり整えましょう、お母様」
「そうね。次のゲームは負けないわよ」
「さて、次のゲームをする前に罰ゲームを発表するよ。罰ゲームは『どれだけ嫌でも絶対にやらなきゃいけない』からね?」
「勿論よ。どんな罰ゲームでも逃げないわ」
さて、ゲーム自体も面白かったけど、この罰ゲームには興味がある。
自分の家族をより惨めにする、という催眠がより反映されるのは罰ゲームの方のはずだ。悟志がどのようにするのか楽しみにしてると、悟志が取り出したのは油性マーカー。それを裕子さんの股間に近づけると、何やら書き始めた。やがて全貌が見えてきて……
「ぷっ……」
「お、お兄様……。これは……?」
「ああ、『罰ゲームだからどれだけ惨いものでも仕方がない』だろう?」
「……ああっ。こんな、恥ずかしい……」
それは、チンコだった。
股間からへその下あたりまで、太くて立派な勃起チンコが書かれており、ご丁寧に竿の部分には“ゆうこのちんぽ”と書かれている。こんなもの、一時的なものとはいえ女性の体に書いていいものではないし、改めて悟志の人格を破壊した俺の催眠の強さを思い知……
「ママ、深夜営業しているタトゥー屋を探しておいたから、今夜みんなが寝る頃にこれをそのまま体に彫りに行くんだ。それが罰ゲームだよ。あ、『2人は罰ゲームがどれだけ恐ろしくてもゲームの楽しさには勝てないから僕らが止めるまでゲームを止めようなんて微塵も思わない』よね」
…………。はは、ハハハハハハハ。ハハハハハハハハハハハハ!
この時、俺は確信した。
山吹家は、無様な最後を迎えるだろう。
< 続く >
続き読みたいです!
정말 감명깊게 읽었습니다.
좀 더 써주실 생각은 없으신지요?