第二話
「奈央さん。あなたはいま、とってもエッチな気持ちです……。省吾くんを一目見たときから、あなたは彼とエッチがしたくて仕方がなかった。ほら、体が疼いていますね……」
「あぁ……」
熱いため息を漏らした奈央が椅子の上で身じろぎした。暗示をかけられたとおり体が疼くのか、シャツの上から自分の体を愛撫している。自分を愛する手の動きに合わせ、奈央の真白い肌に朱が差していった。
図書室で奈央に催眠術をかけてから初めての土曜日。省吾は自分より早く待ち合わせ場所に来ていた彼女をすぐ催眠状態にして津田家へ持ち帰った。いまは自分の部屋に連れ込んだ奈央に性的欲求を植え付けているところだ。
「あなたは省吾くんの家に来ています。どうしても省吾くんとエッチがしたいあなたが無理を言って誘ったんでしたね。さあ、あなたの魅力的な体を使って彼を虜にしてしまいましょう。ほら、目を覚まして」
軽く肩を叩いて奈央の意識を戻す。まぶたを開いた彼女は目の前に立っている省吾を見上げて体を硬直させた。突然湧き出した性欲に戸惑っているのか、体が小きざみに震えている。
「あっ、あっ」
「どうしたの、藤沢さん?」
顔を近づけると、せわしなく動いていた瞳が省吾に焦点を合わせた。見る見るうちにその目が欲情に濡れていく。
目を細めて笑った奈央は、まるで獲物を見つけた野生の動物のように舌なめずりをした。
あっと思ったときにはもう、唇が塞がれていた。
「んっ……うっ……む……」
貪るような口づけをする奈央の唇はなめらかで、ふっくらとしている。夢にまで見た憧れの少女とのキス。妄想のなかで何度彼女を犯したことだろうか。あの奈央が、自ら省吾にキスをしている。頭のなかで甘い陶酔が広がって、ペニスには大量の血液が送り込まれている。
すぐに息苦しくなって顔を離すと今度は大輔から唇を重ねた。ついばむようなキスをするたび、顔を傾けて様々な角度から奈央の唇を堪能する。顔を離しては、お互いがまだ欲していることを目で語り合い、何度も口づけをした。
わずかに開いた歯の隙間を縫って奈央の舌が省吾の口内へ入ってくる。生ぬるくざらざらとしたそれが内頬をねぶり、口蓋を這う度に省吾の股間のさらに奥底が疼いた。彼女の舌は無造作で、それでいて巧みに感じる部分をなぞってくる。ざらりとした感触が歯茎を撫でていくと体の芯まで痺れた。
負けじと舌を挿し込んで思いっきり吸ってやれば、奈央の体から力が抜けて膝が折れた。いまにも崩れ落ちようとした彼女を強く抱きしめて支えてやると、ブラ越しに豊かな胸の感触が広がって省吾をどぎまぎさせた。
肌で感じる鼻息は、まるで彼女の興奮を伝えるよう。お互いの舌を経由して伝わってきた唾液は飲むと甘い味がした。
舌を絡めて津液を味わっていたら奈央は二人の体の間へ手を滑り込ませてきた。ズボンのチャックの辺りに指を添え、厚い生地越しにペニスを優しく撫でる。省吾のデニムパンツはすでに見事なテントを作っていて、自分の欲情を体現したそれに顔が熱くなった。
「大っきくなってる……」
額に汗を浮かべた省吾を見て、奈央は口角を持ち上げて笑った。省吾の腕を取ってベッドまで誘導すると、本当にぴょんっという音が聞こえそうなほど軽やかに飛び乗った。仰向けになって膝を立てた奈央のミニスカートはめくれ上がり、純白のパンツが丸見えになっている。
「ねえ、脱がせてよ……」
「……ぁ、ああ」
張りついた喉をなんとか動かしてベッドに寝転んだ奈央に跨った。震える指をシャツにかけ、持ち上げていくと、シンプルな白いレースのブラジャーに覆われた胸があらわになる。豊かな膨らみにそのまま顔を埋めてしまいたい衝動をなんとか抑え、奈央の腕からシャツを抜き取った。
男子生徒の視線を一身に集めていた美少女の乳房が、縦に切れた臍が、くびれた腰が、いま目の前に晒されている。際立っているのは顔立ちだけではなかったらしい。見事な肢体に一瞬で血が上って、目の前の景色がかすんだ。喉はもうからから。
「触っていいよ……」
奈央の声があまりに誘惑的な肢体に手を出してもいいのかどうか迷っていた省吾の背を押した。ブラジャーの上から両の手で胸を包み込み、高価な宝石にでも触れるように優しく揉みほぐす。彼女の胸は柔らかく、それでいて水風船のようなハリがある。情欲を揺さぶる感触に大輔の理性は麻痺を起こし、本能に操られるまま、奈央の上体を起こしてホックに指をかける。
「あっ……」
素早くブラジャーを取り去るとカップに引っかかった膨らみがたゆんと揺れた。支えるものがなくなっても奈央の胸は全く垂れ下がることがない。見事なお椀型だ。
「どう、きれいでしょ?」
思わずむしゃぶりつきたくなるような形の良いおっぱいに見とれていたら、奈央は挑発的な笑みを浮かべた。バストの下に手を添え、少し持ち上げて膨らみを強調する。その蠱惑的な仕草に省吾の血液は燃えるように熱くなった。
妖艶な笑みを浮かべた奈央は、省吾の両手を取って自分の胸に当てた。興奮を隠しきれない雄を見て薄く笑い、省吾の手の上から自分の乳房を揉み始める。彼女の手で無造作に変形する乳房からは肌に吸いつくような瑞々しい感触としなやかな弾力が伝わってくる。
「はぁ……ああ……」
首筋に生暖かい息が吹きかかった。省吾の手の平を使って自分の乳房を揉んでいる奈央は、艶めかしい声を上げながら挑発するような流し目を送ってくる。熱に浮かされたように省吾が手を動かし始めれば、彼女はそっと自分の手を離した。外から内へ、下から上へ、持ち上げるように愛撫すると奈央は淫らなため息を洩らす。
「ぁあ……いい……」
奈央の吐息は檸檬のような香りがする。指の腹や手のひらで乳首を刺激してやったら堪えきれないように声を洩らした。演技を疑うほどの生やかな声。触覚だけでなく嗅覚と聴覚を刺激されて高まった衝動をぶつけるように、省吾は彼女の首筋に口づけをする。なめらかな奈央の肌は少しだけ汗の味がした。
左手で乳房への愛撫を続けながら、首から鎖骨、鎖骨から胸へと徐々に舌を下ろしていく。彼女の胸はまろやかで、とろけるような舌触りをしていた。たまらず左の乳房に吸いつくと、舌先で乳首を転がすようになで擦る。執拗に口で責め続けるうちに彼女の乳首ははち切れそうなほど膨らんだ。
「あっ……」
腰回りをなでていた右手をスカートの中へ差し込んでやれば、奈央のパンツはもう濡れている。重くなった布地の上から優しく愛撫してやると彼女は身をよじって省吾の指から逃れようとした。
「あ、ん……んっ……! ま、待って!」
奈央の言葉は耳に入っていたけど、体が言うことを聞いてくれなかった。静止を無視して愛撫を続けていたら強い力で手首を掴まれて、スカートから引き抜かれる。
胸を押して体を離した奈央はわざとらしく頬を膨らませ「もうっ」と呟いた。
「交代しよ。口でしてあげる……」
体勢を入れ替えて上になった奈央がズボンのジッパーに手をかけた。開いたズボンの下から姿をあらわしたトランクスの隙間に指を差し込んで、丁寧にペニスを引っ張り出す。省吾の一物はすでにいきり立っていて、竿には太い血管が浮いていた。
「おいしそう……」
大きく隆起した男根を見て、奈央も陶酔したような息を洩らす。その発情した声色が省吾の欲情を鷲掴みにして引っ張り出した。
流れるような動作で添えてきた奈央の右手は繊細な肌触りをしていた。その細い指先でエラの外周をなぞられると、体の奥底にある欲望に直接触れられているような感覚が襲ってくる。触れているだけなのに、彼女の手はオナニーとはまるで質の違う興奮を省吾に与えてきた。
「ふふ……省吾のおちんちん……びくってした……」
いつのまにか呼び方が『省吾』に変わっている。彼女は舌なめずりせんばかりの調子で喉を鳴らし、左手まで差し伸べてきた。怒張の半分ほどを包みこみ、硬い竿と敏感な亀頭を一度に揉み始める。奈央の指が動くたび、触れられている性器の表面だけではなく、尿道の更にその奥まで響くような快感が脳に生みだされた。
エラをなぞっていたかと思えば、十指で亀頭をなで回し、陰茎もねぶるようにさする。絶え間なくうごめく指は省吾のあそこに纏わりつき、途切れることのない快感を植え付けてくる。
鈴口が緩み我慢汁がたらりとこぼれた。奈央はその粘液を拭い取ると、省吾の一物に塗りたくるように薄く伸ばしていく。亀頭からカリ首、そして竿までぬるぬると滑るように白い指先が流れる。
奈央は一つ一つの指を別の生き物のように操縦して、潤滑油の上を先端から根本までなめらかにしごいていった。握られた肉棒は休みなく伸び縮みさせられていて、指がエラに引っかかって持ち上げられる度に省吾の亀頭は破裂しそうになる。
「うっ……!」
奈央の舌が鈴口をなぞり、ぞくりと快感がこみ上げた。口よりも雄弁に昂ぶりを物語る逸物に奈央は唇を歪め、そっと先端にキスをする。
排泄物を放出する欲望の塊に美しい唇が触れていると思うと後ろめたい興奮が生まれる。かすかに触れるだけの浅い口づけを何度も繰り返しながら、少しずつ深く、挟み込むようにして飲み混んでいく。
「あむ……んん……」
剥き出しになった亀頭にぬめりのある頬の裏側が触れるだけで、省吾のペニスはひどく疼いた。ざらついた舌で舐められたのならば、尚更だ。自在に動く軟体がカリ首や裏筋をなでていくたび、省吾の太腿はびくびくと引き攣った。
「んっ……もご……うぅ……ふぅぅ……」
形の良い奈央の鼻先が陰毛とぶつかった。唇だけを動かして陰茎を咥え直した奈央は、ぎゅっと頬をすぼめて顔を引いてきた。カリ首にひっかかった陰棒が根本から引っ張られたかと思えば、顔を前に走らせて亀頭に強烈な摩擦を与えてくる。口をすぼめたまま絶え間なく繰り返される前後運動は、堪えていないと射精してしまいそうなほどの刺激がある。
じゅるじゅると下品な音をたて精液と絡まった唾液を吸い上げると、奈央は喉を動かし飲みこんだ。媚薬を口にしたかのように恍惚とした彼女は右手を省吾から離し、スカートを下ろしてパンツの中へ差し込んだ。
「くっ……ふっ……はあぁっ……!」
省吾のペニスを咥えたままオナニーを始めた美少女の吐息はますます乱れていった。前後に走っていた顔が唐突に持ち上げられたり、硬い歯が食い込んだりと、口淫にまで揺らぎが混じって、男根はいいように弄ばれている。
このままだと本当に出してしまいそうだ。早く、挿入したい。
「そ、そろそろ……」
奈央も同じ気持ちだったのだろう、一秒たりとも待ちきれないように二人は残っていた衣服を脱ぎ捨てた。
フェラチオと同じく上になった奈央が腰を下ろして陰棒を差し込んでゆく。先端が触れると陰裂は驚くほどの柔軟性を発揮して、太い肉棒へ強烈に吸い付いてきた。
「はああぁ……」
根本までしっかり挿入した奈央は省吾の太腿に腰を下ろした。体を前に倒して省吾の胸に手をつくと、大きく唇を持ち上げてこちらを誘惑する笑みを浮かべる。そのまま膣が馴染むまで見つめ合っていたら、雫が落ちてきた。頬を赤く染めた彼女は、珠のような汗を幾つも浮かべている。
「ん、うぅ……!」
奈央は足の裏をベッドにつけてしゃがむような体勢を取り、腰を上下に動かした。太いカリ首は膣にしっかりとロックされ、腰の動きを一切緩和させることなく刺激を与えてくる。奈央が引けば省吾も引き、奈央が沈めば省吾は持ち上げる。勢いよくお尻を打ち付ける音が響くたび、奈央の胸がゆさゆさと揺れた。
「くう、あ、ああ……。あっ、ああっ」
オナニーと同じ上下運動、しかし美少女との共同作業が与える快楽はその比ではない。休む間もなく動き続けるヒダがカリを扱き、亀頭と裏筋を摩擦する。この絶え間ない攻撃に省吾の脳はすぐに満たされた。
「あ、あん、ああっ、んん……ぁん……、ああっ」
恥骨を押し当てるたびに奈央は艶めかしい声を洩らす。教室ではクールな姿しか見せない彼女の乱れた息遣いに性欲がじんじんと刺激されて、劣情をぶつけるように奈央のバストを鷲掴みにした。もはや彼女を気遣う余裕などなく、衝動のままに二つの乳房を乱暴に揉みしだく。微かな抵抗を示しつつも自由自在に変形する塊は、これでもかというほど省吾の股間に疼きを与えてきた。
「あっ! ああ、いい。しょ、省吾、いいよっ、い、イきそうっ!」
絶え間なく押し寄せてくる快感に身を任せていた省吾の上から、降伏を告げる声が聞こえてきた。省吾も頭を振って飛びそうになっていた意識を取り戻し、最後の力を振り絞る。ぐちゅぐちゅと品のない音をたてながら、腰を持ち上げて思いっきり突き立てると奈央は馬鹿になったように叫び始めた。
「あああっ! ああっ! んっ! あっ、あっ! あっ、わああっ!」
こんなに淫らな奈央の姿は見たことない。学校の誰もが憧れる少女がいま、省吾の一物でよがり狂っている。
もっともっと乱してやりたい。腰の動きをいっそう激しくすると奈央もそれに答えるように全身を大きく動かしてきた。快感は堪えきれないほど高まっていて、頭の中が真っ白になりそうだ。
一際強く抉り上げた瞬間にペニスが強烈な締めつけに襲われて、全身をこれまでにない快感が貫いた。
「うあああああぁぁぁぁっ!」
奈央は天を仰いで絶叫し、びくんっ、びくんっと全身を跳ね上げた。絶頂に達し、痙攣している膣に搾り取られるように省吾も射精する。
ああ、すっきりした。
省吾と同時に絶頂に達した奈央の体が前に倒れてくる。そのままの姿勢でしばらく省吾の胸に顔を埋めていたかと思えば、首に腕を絡めて鼻先をあごに擦り寄せてきた。
なんて愛らしい仕草だろう。その気持ちに答えるように髪をなでてあげると頭を上げて顔を覗き込んできた。わずかに潤んだ瞳は省吾に対する愛情が満ち溢れている。
「あたし、こんなに気持ちよかったの初めて」
「うん、僕も……」
奈央の体は本当にすばらしい抱き心地で、最高に気持ちよかった。射精した直後なのにいますぐ第二ラウンドにいきたいくらい。だけど、体がだるくて気持ちについていきそうにない。
「『素敵なクラリネット』」
導入時に与えておいたワードを呟くと彼女はすぐにトランス状態に入った。この一週間催眠を深化させ続けただけあって、省吾がその気になれば彼女はいつでも操り人形にすることができる。
今日という日をどれほど待ったことか。性欲の権化とも言える高校生が獲物を目の前にして五日間も手を出さずにいたのだ。セックスだけで一日を終わらせるつもりなんてさらさらない。心ゆくまで遊ばせてもらう。
「ミャー、ミャー」
子猫になった奈央は四つん這いになって狭い部屋を歩き回った。可愛らしい鳴き声の中にも迷子になった心細さが滲んでいて、きょろきょろと首を動かしながら、いなくなってしまった親猫を探している。見かねて声をかけたら、どこにそんな力があったのかと思うくらい大きく飛び跳ねて部屋の隅へ逃げてしまった。
猫になった奈央は安易に他人を寄せつかないかつての自分を取り戻したようだ。大きくお尻を持ち上げて、こちらを睨みつけたまま歯をむき出しにして威嚇してくる。「おいでおいで」と声をかけても一向に警戒を解く様子を見せない。
「シューッ! シューッ!」
ベッドから腰を上げて近づけば奈央はいつでも飛び出せるように体を伏せた。これ以上近づくならただじゃおかないとでも言うように、床へ爪を立てている。怒りと不安が混じり合った表情は整った顔立ちも相まってなかなかの凄みがある。
それでも構わず距離を縮めると奈央はこちらに飛びかかってきた。体をぶつけてきた少女を受け止めきれず、省吾はあっさりと後ろへ転んでしまう。床に背中を打ちつけたのとほぼ同時に、胸に鋭い痛みが走った。顔をしかめて胸元を見れば長い爪でひっかかれた胸の肉がえぐられていた。
傷口からはうっすらと血が滲んでいた。痛みを堪え、省吾は胸に爪を立てる子猫をぎゅっと抱きしめた。じたばたと腕の中で暴れて逃げようとする奈央を力づくで押さえ、頭をなでる。
「ほら、いい子いい子」
爪を立ててもがく彼女を辛抱強くなでてやっていると徐々に動きが収まってきた。腕の力を緩めても体を丸めたまま逃げようとしない。
しばらく大人しくしていたかと思ったら血が滲む胸の上をなでる感触があった。見れば、自分がつけた傷を癒やすように奈央がぺろぺろと胸を舐めている。お礼に頭から背中までさすってあげたら、甘えたような声を出して省吾の胸に顔を擦りつけてきた。
「ミュー、ミュー」
奈央は舌を伸ばして省吾の頬を舐めた。お返しにほっぺたを舐めてあげれば、くすぐったそうな顔をして喜んだ。
警戒心を解いた奈央はこれでもかというほど甘えてきた。ベッドに腰掛けた省吾の膝に乗って抱きついたり、足元をぐるぐると回って体を擦り寄せたりと全身全霊で愛情を表現する。リビングまで飲み物を取りに行けばべったりと後ろについて来て、テレビを見ていた母親を驚かせた。
「ちょっと省吾! どうしたのそれ!」
「ああ、猫を拾ってきたんだよ。かわいいでしょ?」
「えっ、猫?」
省吾の言うことを何でも信じるよう家族には暗示を与えている。先ほど恋人だと紹介した女の子が全裸で四つん這いになっていても、省吾が猫だと言えば母の中では猫になる。見知らぬ人物に再び警戒心を剥き出しにした奈央に対し、母は「後で保健所に連れていきなさいよ」とだけ言った。
冷蔵庫から中身が半分ほどになったコーラを取り出して一息で飲み干した。冷蔵庫の中でしばらく放置されていたコーラはすっかり炭酸が抜けていて、甘ったるい砂糖の味だけが口の中で広がる。空になったペットボトルを口に咥えたまま、省吾は牛乳パックとお皿を持って部屋に戻った。
ベッドに座ってペットボトルを放ると奈央は一目散に追いかけていった。おっかなびっくりといった様子でボトルをつつく彼女を横目で観察しながら、持ってきた皿に牛乳を注ぐ。
「ほら奈央、ミルクだよ」
ペットボトルと格闘していた奈央はすぐにやってきて、床に置かれたミルクを飲み始めた。たくさん運動したあとだから喉が渇いていたのだろう、器用に舌を使ってあっという間に皿を空にした。
牛乳まみれになった口元をティッシュで拭いていたら、奈央は身を捩って部屋の角へ歩いていった。こちらにお尻を向けた彼女の体が強張って、股間から半透明の液体が噴出される。
奈央が放尿する様子を半ば呆然としたまま眺めていたら、あそこがむずむずしてきた。女の子が排泄している姿に興奮してしまうのは一体どうしてだろう。自分が変わっているのか、それとも男の性か。
おしっこを終えて戻ってきた奈央に恥じる様子は一辺たりとも見受けられない。獣になった彼女に羞恥心は残っていないようだ。いまここで意識を戻してあげたら、どんな反応をするだろう。
ひとまずリビングへ移動して、入れ替わりに母親に部屋を掃除するよう頼む。もう体力は戻っていたけれど、変身した奈央を見るのが面白かったので部屋がきれいになるまで別の動物に変えて遊ぶことにした。
「ウホッ! ウホウホッ!」
口を突き出した奈央は「ほっ、ほっ」と唸るような声を上げ、握りこぶしをついてのしのしと体を運んでいる。省吾と目が合うなり立ち上がって、大きく腕を振って何度も胸を叩いた。体に拳を打ちつける度に重い音が響いて、乳房がたぷたぷと揺れる。
「ウホウッ! ウホッ! ウホホ!」
がに股になってドラミングする奈央の胸部はもう真っ赤になっている。省吾が近づくと手元にあったクッションを掴んで投げてきたので、これ以上の接触は諦めるしかなかった。
一定の距離を保ってドラミングを繰り返す奈央を鑑賞していたら、ようやく飽きたのかあぐらをかいて座りこんだ。脇の下を掻いたり、自分の乳首を摘んだりしてひどく退屈そうにしている。
ついには仰向けになって眠ってしまったので、その間に食事を取ることにした。台所に作りかけの料理が置いてあったので炒飯だけ机に運んで箸をとった。
器を半分ほど空にしたところで奈央が上体を起こした。鼻をひくひくと動かして、匂いの方へ顔を向ける。省吾の手元を凝視する奈央の目は黒々としていて、理性が残っているようには思えない。何をしでかすかわからない恐怖に汗が背筋を伝った。
机の下に皿を置いて後ずさると、奈央は肩を唸らせて近づいてくる。皿の前で立ち止まった彼女は炒飯をむんずと素手で掴んで口に入れた。よほど炒飯が気に入ったのか、もごもごと咀嚼して飲み込んだ奈央はがっつくように手を口へ運んだ。器を持って最後の一粒まで舐め取ったあとは指の隙間までしゃぶっている。
お腹を膨らませた奈央は再び横になった。気怠げな仕草で鼻をほじると、口に含む。鼻糞を食べて豪快に屁をかます奈央は野生動物そのもので、いつもの気品が一切感じられない。だけど、幻滅してしまうような醜態が却って欲情を唆る。
部屋の掃除を終えた母親も戻ってきた。そろそろ第二ラウンドにいくとしようか。
至福のような時間を楽しんだあと、二人は惰性のように抱き合っていた。
「そういえば妹がいるっていってたよね?」
「うん。写真もあるよ。見る?」
奈央はベットから降りて、バッグからスマホを取り出した。
「ほら。かわいいでしょ?」
画面の中では奈央と妹が体を寄せあってピースをしていた。二人とも浴衣を着ているから祭りのときにでも撮ったのだろう。目鼻立ちはよく似通っているが、妹の方が柔和な印象を受ける。
確かにかわいい。奈央に負けず劣らずの美少女だ。
五回も出したというのに、写真の少女を眺めていたらむくむくと股間に血が集まってきた。
決めた。次はこの娘だ。
< 続く >