盲目のゼウスエクスマキナ

※本作品は『悪徳の栄える街で―洗脳敗北した女捜査官達―』の二次創作です

[目次]

(1)惑星フェルミエールの日常

(2)宇宙海賊アカリ

(3)ヒーロー参上:警察の日常

 (3-1)警察内部、Side:テルミナス

 (3-2)ヒーロー登場、Side:フェルミエール

(4)ヒロイン登壇

(5)アカリの襲撃

(6)環のアイドル体験記

(7)アカリの教育

(8)ツキシロ出陣

(9)環のメイド体験記

(10)ミシェールの異常

(11)地下都市ソドム

(12)Kクラス

(13)脱出

(14)惑星フェルミエールのまたもや楽しい日常

(15)フェルミエールでの対決

(16)御華奈の教育

(17)テルミナスでの対談

(18)蛇足、返歌、あるいは、ラブレター

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(1)惑星フェルミエールの日常

「この前の破壊工作の授業を皆さま覚えていますか?本日はその演習をしましょう。愚かで真実を知らない公安組織への破壊工作です」

 惑星フェルミエールにある星川学園は女学園である。惑星内から良家の子女が集まることで知られていた。その星川学園内には特別クラスと表示された部屋があった。先の発言はその特別クラスの中で美麗な女性教師がしたものである。

 特別クラスの生徒たちの恰好はみなバラバラあった。アロハシャツ姿の者、モヒカンに棘のついた肩パットをつけた者、タンクトップ姿で両肩から両手に彫ったタトゥーを見せつける者、クラシカルなベストとブレイシーズとタイでパリッと固めた者など。恰好は異なってはいる、しかしながら共通してアンダーグラウンドな匂いをさせる、そのような男子生徒達であった。

 そして、なぜか生徒たちは全員が首からペンダントを下げていた。

「では、皆様はじめてください」

 説明が終わり教師が号令をかける。真面目に端末を叩くもの、ニヤニヤと周囲を眺めるものなどの中で、一人の生徒が手を上げる。

「はい、エリアル先生。出来ました」

「もう出来たんですか。では、皆さん、エノク様の手際をお伺いしましょう」

「先ずはオヤジの手下に命じてました。連邦政府の秘密コードを持っていそうな人物を探せと。すると都合よくエンジニアの母娘が見つかったので、ジゴロに篭絡を指示しました。ですが残念なことに篭絡されなかったので方針変更です。娘を拉致監禁して母親を脅迫、秘密コードを吐かせました。そのコードで連邦政府の犯罪者データベースがクラック出来ました」

 エノクと呼ばれた男子生徒が得意気に喋りだす。

「流石はエノク様です、今の時代でもソーシャルエンジニアリングはクラッキングの基本です。基本がよくできています。また、最初にソフトな手段で駄目なら直ぐにハードの手法へと移行する。無理なコストはかけず、ですが、駄目なら切り替え、判断の素早さ手際よさ正に模範とすべき行動です。ちなみに母娘はどうされました?」

 感服した顔の女教師エリアルはエノクを褒めたたえる。

「そのまま母娘とも性奴隷として手下にプレゼント予定です」

「素晴らしい。我々ノーマルクラスのメスは皆さま上級クラスの所有物にすぎません。廃品利用として適切です」

 頬を染め上気はしているがエリアルは真面目な女性教師としか見えない。にもかかわらずエリアルはとんでもない行為を肯定する。

「では、先生、課題も終わりましたので隣のクラスに行って、女学園生をファックしてよろしいでしょうか?」

 エノクは真面目な学生の顔をすて、ニヤニヤしながら答えの判った質問をする。

「エノク様。先生の許可はいりませんわ。我々ノーマルクラスのメスをエノク様のような上位クラスの方がファックするのですから」

 当然のようにエリアルはエノクの望む答えをする。

~~~

 ある天才生物学者が洗脳技術をこころざし、マッドサイエンティストとなり、苦心のすえに人工寄生虫を作り上げた。ここフェルミエールはその人工寄生虫モナークが支配する星であった。人々が日常的に口にする水道には全てモナークが混入され、全住民がモナークに感染し、他星系からフェルミエールに訪れる人々の窓口である宙港の食事にも全てモナークが混入されている。

 マッドサイエンティストによって開発された寄生虫モナークは脳内のシナプス回路を繋ぎかえることにより人間を3クラスに分類する。Eクラス、Kクラス、ノーマルクラスとに。EクラスとKクラスは共に上位クラスである。モナークに寄生された人間は上位クラスを真の主人と認識し、上位クラスの行うことを自発的に受け入れ、上位クラスに指示されたことを至福の性的な喜びと共に持って行うようになる。Eクラスはエンペラークラスであり全宇宙にマッドサイエンティスト本人しか存在しない。Kクラスもノーマルクラスの人間を服従させることが出来るがEクラスの命令や指示を上書きすることは出来ない。

 ここにいる男子学生はマッドサイエンティストの援助をするマフィアの子弟達である。マフィアの子弟達がここフェルミエールに短期留学で来ると、マッドサイエンティストよりKクラスの証であるモナークのフェロモンを染み込ませたペンダントを与えられて、モナークに感染したノーマルクラスの人間を自由に弄ぶ権利を与えられる。ここ星川学園がいや実はフェルミーエル星全体がマフィアやその子弟の慰安所なのであった。

~~~

「おい、イダニ、お前もファックに行くぞ、付き合え」

 エノクはイダニと呼んだ隣の男子生徒を肘でつつく。

「エノク、待ってくれよ、俺はまだ課題が全然できちゃいないんだ。オヤジがうるさいんだよ、今のマフィアはハッキングは出来て当たり前だって」

 エノクは両手を腰に当てて不満げにイダニを見下ろす。

「エノク、判ったよ、課題しながら突き合うよ、、、エリアル先生お願いします」

イダニは手を挙げてヘルプを求める。

「イダニ様、どのようなご用件でしょうか」

「エリアル先生、そこで俺のものをしゃぶってください」

 するとエリアルの真面目な教師の顔は崩れ落ち淫蕩な表情になる。エリアルはレースの下着を見せつけるように自分のスカートを腰までまくり上げて床に四つん這いになった後、にじりよりイダニのズボンを甲斐甲斐しく脱がせて、白い小さな手でイダニの性器をしごきながら挨拶を始める。

「この尻軽女教師のエリアルにイダニ様のおチンポ様にご奉仕させて下さい」

 イダニが頷くやいなや、エリアルは一心不乱にイダニの性器にしゃぶりつく。その間もイダニはじっと端末を見つめてハッキングを続けている。

「ちぇ、お前は手軽なところで済ませやがって」

 エノクは悪態を吐く。すると周りの学生からも、『あ~、いいな~俺も甞めさせながらやるか~』、『終わったら俺も行くか~』などの声が口々にあがる。マフィアのボスの息子だけあり意外にも(?)面倒見のよいエノクみんなに言う。

「判った、判った、待ってろ、俺があいつらに言っておくから」

「よ、エノク様、大統領、いや、未来のゴッドファーザー」

 モヒカンのお調子者が口に手を当てて囃し立てる。エノクは満更でもない様子で手を挙げて応え一人特別クラスから出て、隣の選抜クラスと書いてある教室に入っていく。そちらの教室は良家の子女が集まる女学園らしく、女学園生が皆可愛らしく制服を着こなし行儀よく座って、あまり年の離れていない女教師から真面目に授業を受けていた。しかし、女学園での授業中の教室への乱入者にも関わらず教師も含めて注意の声をかけることもなく、皆、エノクのことを潤んだ瞳で見つめる。

 そして、内股でスカートを握りしめて「あん、エノク様だ」と呟いたり、スカートの中に手を突っ込んで「エノクさま~」と感極まったように声を漏らしたり、明るく両手でスカートつまんで下着をみせて「エノク様ごきげんよう」などと挨拶をするものもいる。

「よ~~し、奇数番号の人間は特別クラスに行きな」

 エノクは指示を出す。奇数番号と思われる女学園生は嬉しそうに立ち上がり、隣の教室へ移動するために歩きかける。顎に手をあてて少し考えて友達思いのエノクは指示を追加する。

「スカートはここで脱いでいきな」

 男子生徒がいるにも関わらず、立ち上がった女学園生は当たり前のようにスカートを脱いで下半身は下着姿になる。良家の子女が多い女学園ならではであろう、皆、スカートが皺にならないように丁寧に折りたたんで机の上に乗せる。そして下半身が下着姿のままドアで一礼をして廊下に皆でていく。

「おい、そこのツインテール、こっち来な。今日は後ろからしてやるよ」

 エノクは残った女学園生から一人の少女を指さし呼びつける。呼ばれた通りに光輝く金髪ツインテールの女学園生が笑顔でエノクに近づき、膝立ちになり先ずはエノクのベルトを外してズボンを脱がす。身体付きに似合わぬ凶悪な一物がズボンからは飛び出す。上目遣いでエノクを見上げた後で極まった様子で女学園生は性器の先に軽くキスをする。挨拶を終えた女学園生は立ち上がり、スカートと下着を脱ぎ捨て机に片手を付きエノクに可愛いお尻を向ける。もう片手で裂け目を目いっぱい開きエノクの一物を待ち受ける。既に興奮で裂け目からは分泌液が染み出し、かわいい手を濡らしている。

 奇数番号の女学園生が特別クラスに着いたのであろう、扉を開けて「失礼します。」という挨拶をする声が口々に聞こえる。特別クラスの中では「いよ、待ってました」などといいながら拍手をしている様子がみられる。モヒカンのお調子者であろうか、廊下まで出て大声で「エノク様、ごち!」と叫んだ声がと聞こえる。

 エノクは満足げな表情を浮かべながら、金髪ツインテールを両手で掴んで女学園生を下から突き立てる。そしてエノクは思い出したかのように残った人間に

「授業を続けな」と声をかける。

 「~~戦時に通商破壊がマフィアによって行われ、、、、、」教師と残りの女学園生は歴史の授業を続ける。その脇でエノクはツインテールを乗馬の手綱のように引っ張りピストン運動をする。テールを引っ張られ顔を歪めながらもはっきりと判る歓喜の表情で女学園生は「ああ~~~ん」と大きな喘ぎ声を上げつづける。ひとしきりエノクは突き続けてついには射精する。狂乱状態の女学園生は「ふあああ」と呟いたあと、ずるりと膣からペニスが抜けて失神するように床に崩れ落ちる。

 ペニスを丸出しのままエノクは隣の女学園生をみる。子犬のような女学園生は意図を理解してまるで尻尾を振るように嬉しげにエノクの精液と愛液で汚れたペニスに近づき、口で綺麗にする。体液を全てなめとると名残惜しそうにしながらも甲斐甲斐しくズボンを履かせる。

 エノクが特別教室に戻ると、乱痴気騒ぎは少し落ち着いていた。失神したのか両手を広げて仰向けで寝転ぶ女学園生、床に着いた精液を嘗めとっている女学園生、マフィアの子息のケツの穴をなめさせられているものなど、皆一様にKクラス様に奉仕できた喜びで満面の笑顔であった。

 エノクはまだ真面目に端末を叩いているイダニに近寄る。机の下をみると女教師のエリアルの顔や髪は精子で塗れて嬉しそうに舌で粘つく精子を舐めとっていた。余っている全裸の女学園生にエノクは合図してイダニの机の横に四つん這いにさせて、素肌の背中に無造作にすわり端末を除きこむ。

「お前、まだやってんのか、仕方ないな」

 そういってエノクはイダニから端末を奪って課題をこなしていく。そのエノクの椅子の役目を果たしている女学園生は全裸を晒しながらも、満面の笑みを浮かべている。

「ワームはこうやって使うんだよ。ほら、おめえのオヤジの犯罪歴を消去できたぞ」

 そのときチャイムの音がなり授業が終了する。そのときばかりはマフィアの子弟の連中も子供らしい顔をみせて騒ぎはじめる。その中から少し高い愛嬌のある声があがる。

「先生、次の授業はなんですか?」

「はい、皆さまプールで水泳ですわ」

 女教師のエリアルは普通の回答に続けてとんでもないこと付け加える。

「一緒に授業を受ける女学園生の服装のご希望はありますか?」

 特別クラス生は口々に、『おれはノーマルの指定水着』、『マイクロビキニ』、『競泳用』などと普通の答えもあれば、『旧スク』、『白スク』、『ブルマと体操着』などとマニアックな趣味を披露するものもいる。エリアルは発言を聞き逃さず発言者と対応させて素早くメモをとっていく。授業では実際にそのメモが活かされた服装で女学園生がプールに入ってくるのであろう。

「まったく、白スクとかブルマとか、お前ら、ほんとオタクかよ」

 エノクは一声溜めて続ける。

「じゃあ、俺はスク水セーラーだな」

「おい!おめえが一番マニアックじゃねぇか」

 イダニが手の甲でエノクの胸を叩き見事な突っ込みが入る。特別クラス生やKクラス様のケツ穴や床の精子を舐めている女学園生などから一斉にドッと笑いが起きる。エノクは椅子にしている女学園生の裸の尻を景気づけに叩くきながらいう。

「まったく、フェルミエールは最高だな」

 周りや床から『ああ、ほんと最高だぜ』、『ええ、フェルミエールは最高の場所ですわ』などと同意の声が上がる。

(2)宇宙海賊アカリ

 遥か未来、あるいは、遥か過去。星界を超える航法を持ち、人類が恒星間に版図を広げようとも、人類文明に過去と変わらず存在し続けるものがある。

そう、悪徳と正義である。

 恒星間に文明が広がろうともいや広がったが故に犯罪組織宇宙マフィアは法の手を逃れて全銀河に根を張り、進んだ科学技術を悪用したマッドサイエンティストが世間から隠れて洗脳技術を開発して性犯罪を続けていた。

 その広大な宇宙空間を航行信号も発せずに一台の小型艦が進行していた。

「フェルミエール産の性奴隷は高いがやっぱり高性能だな。よく躾けられているぜ、嫌がる素振りすら見せねえ」

 ブリッジにはラフな格好をした荒くれ男が椅子に腰かけていた、その男の股の間に四つん這いで奉仕している少女がいる。上着は学園生の制服を身にまとい、下半身はスカートも脱ぎ捨てて、下着以外なにもつけない格好で口腔での奉仕を続けていた。

 周りにはその男の手下とみられる連中が酒を片手にニヤニヤしながら、『ボス、次は俺に回してくださいよ』などと冷やかしている。

 そうこ、の船はマフィア密輸船でこの女も密輸物資の一つの性奴隷である。しかしこの制服姿の美少女は性奴隷という身分に落とされたにも関わらず、暗さや行為に対しての嫌悪感などが全くみられない。いや、それどころか喜んで奉仕をしているようにしかみえないのだ。男が身体を弄ぶ間も笑顔を浮かべながら積極的に身を委ねていく。

「後ろを向きな。入れてやるよやるよ」

「はい、性奴隷の孔をご存分にお使いください」

 少女は男の前で四つん這いになり尻を上げ、既に自身の分泌物で濡れた下着をずらして、男の行為を待ち受ける。

 と、その時急に艦内で赤色の非常信号が灯る。

 船が空気を喪失する、そのようなレベルの非常事態が発生している証拠だ。ブリッジのドアが開き、全て女性の若い一団が銃を構えて侵入してくる。リーダーと見られる女性だけが深紅のボディスーツを、それ以外の女性は黒いボディスーツを身にまとっている。深紅のボディスーツは見事なボディラインを示していた。真っ先に目につくボディラインにも、切創と左目に付けた眼帯がその女性の顔を特徴づけていた。

 『We are tonight’s entertainment!(パーティはこれからだ)』

太古の伝説的映画の道化師のセリフを深紅の女性は叫ぶ。そのシーンでは道化師たちがパーティ会場に乱入する。同じようにその女性達は乱入してくる、そして、見る間にマフィア達を倒して床に伸ばしていく。しかし流石というべきか、下半身を無様にさらしながらも、ボスだけは咄嗟に態勢を整えて銃に手を伸ばす。侵入者の眼帯を付けた左目側が死角になると踏んだのか、ボスは左側方の床に身体を転げこみ、態勢を整えようとする。

 その瞬間、深紅のボディスーツの脚がカモシカのように動き、マフィアのボスの腹を蹴りつける。マフィアのボスは腹を抑えてうずくまる。深紅の女性はボスの顔を左足で強烈に踏みつけ、明後日の方向を向いて決め台詞を紡ぎだす。

「おい、リリ?なんか床にいたか?アタシは片目が不自由だから見にくいんだよな」

そして床のマフィアのボスを片目で冷酷に見下ろしながら付け加える。

「アタシは殺しは嫌いだが必要とあれば容赦しないよ」

その言葉でマフィアのボスは観念する。更にボスの腹に強烈に足を落として行動不能にさせる。

「もう大丈夫だからな、私はアカリだ。どこから攫われたか判らないが家に連れ帰ってやるよ」

その女性はアカリと名乗り、床で四つん這いになっている少女に話しかける。

「家に帰るんですか、もう、休暇ですか?」

 少女はニコニコしながら平然と答える。よく見ればこのような事態にも関わらず怯えた様子もない。

「君は、、」

「私は皆様を身体で愉しませる性奴隷ですよ。お姉様も試されますか?私は性奴隷ですから女性にもご奉仕させていだきますよ」

 そして学園漫画の少女が忘れ物でもしたかのように、頭をコツンと突つき、いたずらっぽく舌を口からだしてつづける。

「あ、いっけな~~~~い、身体見てみなきゃ、お姉様も好みか判らないですよね。私ったらそそっかしいんだから」

 言いながら服を脱ぎ捨てる。その肢体は華奢ではあるが膨らむところは膨らんでいる。そして、くるくる回りながら時々止まってグラビアのようなポーズをとり、皆に見事なボディを誇示して、笑顔で身を差し出してくる。

「いや、まずは服を着ようぜ」

異常を察したアカリが少女に指示をする。

「あ、そうですか、お姉様は制服のほうがお好みですか。学園もののどんなシチュエーションがお好みですか?」

 合点がいったようにいたずらっぽい笑顔を浮かべて、見られていることを意識しているのであろう、身体を見せつけるように腰や胸を突き出しながら、まるで脱がされることを待つかのように、床に散らばった学園の制服をゆっくりと身に纏う。それを悲し気に見て、アカリは顔を大きく歪めながら部下に言葉叩き付ける。

「どこのどいつだ、こんないたいけな少女を洗脳する鬼畜は。アタイは自由を侵すようなことをする奴らが許せねぇんだ。こんなことをする奴らを放っておけない。お前ら、すまんがすこし計画変更だ」

「姐さんの性分はアタシら判ってます。そんな姐さんが好きで我々ついてきてるんです」

 どうやら計画は決まったようだ。

「まずは積み荷を移し替えな。いただくものは頂いてしまおう。マフィアどもはいつものように救命ポッドに閉じ込めておきな。あ、いや、ボスだけはここに鎮圧しときな」

どちらがマフィアか判らないことを言い出す。

「この子のためだ、あまり頼りたくはないが銀河警察に連絡しておけ」

口では嫌々感をだしながらも、アカリは何故か少し嬉しそうに部下に指示をだす。

~~~

 数時間後、ブリッジのドアが開く。ドアからは銀河警察の制服姿の女性が周囲を警戒しながら素早く入ってくる。バディの前衛である女性捜査官は剣を片手に何か起きればいつ何時でも斬りかかれる体制で突入をしてくる。船の外郭に穴でもあけば、乗務員全体に致命的な影響を及ぼしかねない。そのような理由から宇宙船内では高威力重火器は厳禁であり、もはや全人類にとり禁忌とすらなっている。

 非常に若い女性ではあるが、一分の隙も見せない所作ですべての危険空間に同時に視線を置きながら、軽やかに足を運ぶ。小柄の肢体はよく発育しておらず、一見は少女にもみえるが、足捌きだけで達人の域に達していると感じさせるものであった。

 宇宙船のような閉空間においては近接戦闘が行われやすい。剣、ナイフ、棒なども含めたCQC(近接格闘技術)が再評価されており、前衛の女性捜査官はCQCのスペシャリストなのであろう。

 そして、後衛の捜査官は数秒遅れて入ってくる。腰だめにティザー銃を構えたスタイルで油断なく辺りを伺い前衛をフォローしている。女性的で魅力的な身体付きでありながらも、自信にあふれた士官としての振る舞いをしている。振る舞いからただよう危険な死の匂い、この女は幾度も死線を潜り抜けている、そのような念を抱かせるものであった。この士官の指揮下であれば、安心して背後を任せて、前衛は危険空間に突入が出来る、そのような佇まいであった。

 警察コンビの緊張、それとは対照的に、アカリは透明な拘束袋にマフィアのボスを頭から放り込み閉じ込め、その上にどっしりとあぐらをくんで腰かけて、太ももの脚線美を見せつけてリラックスをしていた。右目に眼帯を付けたまま、アカリは少しいたずらっぽい表情を浮かべていた。

 指揮官の後衛は捜査エリアの安全を確認して、前衛に合図して剣を下させ、自分も銃を下してアカリに話かける。

「私は銀河警察特務課のエリッサ・シトラス。彼女は同じくイツキ・パーシモン。通報に感謝します。我々は広域犯罪の中でも性犯罪者や人身売買などを専門としています」

 マフィアが袋の中に密封され、アカリの椅子となってムゴムゴと騒いでる。そんな光景は無視して、艶やかな金髪の女性がエリッサと名乗りを上げる。白地に青い縁取りの銀河警察制服の胸部は豊かな双丘をもりあげ、ミニのタイトスカートからは肉感的な太ももが飛びだしている。しかし一番その姿を特徴づけるのはその瞳であろう。瞳はアカリを真っ直ぐに貫き通すように見つめて、信念に準じる人間であることを示していた。

「君たち民間人がマフィアの密輸船の積み荷を強奪しようなんて、残念ながら君も逮捕しなきゃ」

 同僚のイツキが剣の柄に軽く手を添えながら再度身構える。こちらはショートの黒髪に、純真さを示すように純白のハチマキを締めていた。丸みを帯びた顔と小柄な体躯にはまだまだ少女の幼さを残していた。しかしながら、手足には引き締まった筋肉がついており、日常の激しいトレーニングをうかがわせた。腰の剣がしめすようにこの年でありながらも鍛えらえた女剣士であることを示していた。

「いや、イツキ、彼女達は民間人だが逮捕する必要はない。ボディスーツの紋を見ろ」

 そうエリッサにいわれてアカリのボディスーツをみるが、イツキにはピンと来ていないようだった。

「まあ、もう廃れた制度だからな。アカリ王女、形式上で申し訳ありませんが、私掠船免状を見せていただけます?」

「エリッサ前にもいっただろ、アタシはもう王女ではない。私掠船免状はもうそちらの船にコードを送っておいたぜ」

 アカリはもはや嬉しさを隠そうともせずに、エリッサに親し気に応える。

「ご協力感謝します」

「エリッサ、いつもながらに水臭いな。何年ぶりだ」

 というまにアカリは満面の笑顔を浮かべながらエリッサに飛びかからんばかりのハグをする。その下でやっと圧迫から解放されてマフィアが拘束袋の中でハーハー息を吐いている。

「お、おい。それよりお前、目をどうしたんだ、顔にまで残る傷を付けて。こんな海賊行為を続けているから」

「まあ、色々あったよ。自由に生きた代償でもある。だだ、アタイはまだまだ元気だぜ、やるべきことをやるまでは死ねないよ」

 抱きついたまま甘えるようにアカリは答える。そして預けていた身体を離すと思い出したかのように本題に入る。

「通信で入れておいたようにこの船に密輸品と共に、洗脳されたと思われる、せいど、、可哀そうな自由を奪われた少女が乗っていた」

 アカリは真剣な顔になり、少女の素性を語るときに言いにくそうに言葉を選びながら絞りだすようにしゃべりはじめた。

「この少女を助けてやってくれ。アタシはちょっとこれからやらなきゃいけないことがあるんだ」

「ああ、彼女のことは任せろ。言われるまでもなくそのような少女の保護は銀河警察の仕事だ。彼女を然るべきところ戻して、どれだけの時間かかるか判らないが『必ず』元の生活を取り戻させると約束しよう」

 『必ず』を強調してエリッサは断言する。その後にエリッサは自分に言い聞かせるように続ける。

「こんなことが出来る洗脳犯罪者はそんなにいるわけではない」

 それ聞くや否や、アカリはエリッサの両腕を掴み、豊満な身体をゆすりながら質問する。

「心当たりがあるのか?教えてくれ。どこのどいつだ。こんな酷いことが出来るのは」「すまない。アカリであろうとも、その質問に答えることは出来ない。余計なことを考えるな、アカリ。それは我々銀河警察の仕事だ。私を信じろ。あと、拘束しているマフィアの処置もこちらに任せてくれ。丁重なおもてなしをこちらでしておくよ」

 エリッサも捜査官としての仮面をはがして昔からの友人としてアカリに答える。

「ああ、エリッサは変わらないな」

 アカリは少し感極まったように答える。もう二人の間には言葉はいらないのであろう。私掠船免状持ちの公認女海賊と銀河警察の女性捜査官は何時か何処かでの再会を約束して別れるのであった。

~~~

「エリ姉は襲撃しているのがあのアカリさんって人だって判ってたの?王女ってあの人何者?私掠船免状って?」

捜査船への戻りがてらイツキが子犬のようにエリッサにまとわりつきながら尋ねる。

「まあ合法海賊許可証さ。王家に繋がる彼女の家系はそれを持っている。だから彼女らが密輸品を強奪するのは合法行為だ。免状に関してあとはwiki、エンサイクロペディア・ギャラクティカでも読んでくれ」

「エリ姉酷いよ。僕にググレカスって言ってる?」

エリッサはイツキの物言いに一瞬少し吹き出しそうにしながら続ける。

「あれは大宙海時代の遺物だな。星々に人類が播種し始めたあの時代は大混乱で警察機構が星々では完全に機能をしていなかった。そのため今以上に宇宙マフィアが勢力をほこっていた。業を煮やした各国政府は有力な家系に密輸などの非合法な宇宙船に限り、密輸品のある割合を上納するする代わりに強奪を許可することにした。それが私掠船免状さ。まあ、今は我々銀河警察が機能しているからな。また私掠船免状を持っていた家系は略奪をした品を使って当然のことながら十分な財をなして今はそんなリスクのあることをしない。旧史時代の英国の貴族の先祖は元を辿れば全員海賊ってやつだな。ただしごく一部今でも海賊行為をしている人間がいる。そのごく一部の例外が家のアカリ、そう彼女だ。まあ、私掠船免状持ちといえば過去にはリーベ家以外にも有名な十家系があり、、、、、、、、、、、、、、、、、」

「エリ姉、判った判ったからもういいよ、なんか凄い早口で言ってそう。エリ姉は意外にも歴史オタクなんだ」

「イツキ、なんで目の前で聞いているのに凄い早口で言ってそうなんだ?」

 執拗に聞かれたから歴史知識を披露したエリッサは少し不満げに答える。

「なんでそんな王女様とエリ姉は知り合いなの?あ、そういやあの人は自分はもう王女じゃないって?」

「イツキ捜査官、それはまた今度説明する」

 エリッサは真顔に帰って答える。鈍いイツキでもバディとしてこれ以上は踏み込むべきではない領域と理解して質問を打ち切る。

「あの人のやるべきことって何だろう」

 誰にいうともなくイツキは口ずさみ密輸船を後にする。

~~~

 イツキとエリッサがじゃれ合いをしていた一方でアカリ一味も母船に戻っていた。

「で、アカリ姐さんどうします?」

 母船に戻ると副官のリリは口にだす。

「ああは言われてたが、、、今から直ぐに手分けして探すぞ」

 アカリは当然のように答えた。

「補給もせずに今からすぐにですか?」

「いつも言ってるだろう、『その場に留まるためには全力で走り続ける必要がある』って」

 アカリは口元にニヤリと笑みを浮かべ、眼帯に手のひらを合わせて、彼女の信条をリリに伝える。

「姐さんには敵わない、おし、お前らも聞いたな。いくぞ」

 リリは少し肩をすくめたのち仲間とともに出発の準備をはじめる。

(3)ヒーロー参上:警察の日常

(3-1)警察内部、Side:テルミナス

 赤の月と白の月、二つの衛星を持つテルミナス星は連邦の主要惑星の一つである。ここテルミナス星には主に主要官庁が集められており、緑が溢れる空間にポツポツと官庁の建物が立つというゆとり溢れる設計の計画都市群で構成されていた。その建物の中には当然銀河警察の本庁も存在している。

 そこは大きな窓と明るい照明の下で使いこまれたと思われる飴色に光る木造机が置かれた機能美を持った空間であった。木の香りのする心地よい空間で一名の男性が机上の端末に向かい淡々と手を動かしていた。その男性の机の上には天秤と剣を持つ小さな女神の像が鎮座していた。

 こちらももはや造ることが困難な一枚板の大きなドアからノックの音がするとその男性は顔も上げずに、入室許可の返答をする。ドアが開きいずれも銀河警察の制服をまとった3名の女性が部屋に入ってくる。

「アンドンヒル長官。ミシェールがエリッサ捜査課長、イツキ捜査員と共に報告に上がりました」

 ミシェールを名乗る女性が中の男性に敬礼をして報告を始めようとする。エリッサやイツキの制服とは異なりミシェールの制服の肩には二本の金のラインが入り次官級であることを明示していた。すらっと伸びた脚とナチュラルリップを付けた厚ぼったい唇が特徴的な大人の魅力を纏った女性であった。

「ミシェール君、いつも君は固いね~。まあ、それが君のいいところでもあるが。報告書は既に目を通しておいたよ」

 アンドンヒル長官と呼ばれたからにはこの男が銀河警察の長官なのであろう。にも関わらずその男は口元に笑みを浮かべてラフなポロシャツを纏っていた。

「よくできているね、ただし、報告書に少し間違いがあるね。マフィアを拘束したのは君たち捜査官だ」

「長官、マフィアは私が拘束したわけではなく、アカリが、、」

 最高指揮官である長官の前でありさすがにいつもの調子ではなく、おずおずとエリッサが訂正をする。

「いや、今回の密輸船の摘発は銀河警察が行ったことだ。ちょっと待ってくれ」

アンドンヒルは目の前に立つ美女二人と小娘を無視して端末を叩く。

「今ちょうどアカリ姫から返信がきた。同意もとれたよ、エリッサ君。アカリ姫も無用なマフィアからの恨みをかわず、君たち捜査官の評価にもつながる。これはWIN-WIN、悪い話ではないよ」

アンドンヒルは口元に笑みを浮かべながら飄々と続けた。

「はあ、了解しました。あと、お願いがあるのですが、当分の間アカリをフォローして警護することを許可いただけないでしょうか?彼女達はどうも黒幕を追おうとしているようです」

エリッサは懇願するように言葉をつないだ。

「エリッサ君。君は捜査官で捜査課の仕事は警護ではないんだ。それにどこからの依頼も無いのにそんな警護の許可は出せないよ」

 あくまで笑みを崩さずにアンドンヒルは書類の束の端で机を叩く。交渉は終了ということだ。ミシェールとエリッサは一礼をしたのち長官室を後にする。

~~~

「次官、アカリ達を放置していいのですか?あんなことを繰り返していれば彼女はいつかマフィアに返り討ちにあいます。もう大宙海時代ではないんです。マフィアの船も既に軍に劣らない、いや、横流しの軍用艦そのものも運用されています」

 長官室から戻る際にイツキを先に帰らせてエリッサは次官に話しかける。少し口をとがらせながら不満を口に出す。

「エリッサ、、、彼女のことが心配なのね。長官の言われたことを聞いたでしょ」

「私、長官は少し苦手ですね」

「あら、そう。あの人はこの組織には必要な有能な人よ。上手く政治家と立ち回って予算をとってくる」

 ミシェールは微笑みながらエリッサに返す。

「そうなんでしょうが、、、」

「あなたも聞いたでしょ。今回もこの場で数分の会話でマフィアの密輸船の摘発をしてしまった」

 聞き分けのない子供をあやすかのようにミシェールは会話していた。

「いやそれは、アカリの成果を取り上げただけで実際は銀河警察がやったことじゃなく、、」

「政治家や国民から見れば変わらないわ。警察と協力者が行ったことよ。そういう成果を上げているところに予算をつけることが出来る。あなた課の装備にどれだけの費用が費やされているか知っているでしょ。小さな地方政府の年間予算だわ」

 そこまで言われてエリッサは口を噛みしめて答える。

「判りました」

 すると次官は少し口元を緩めてつづける。

「エリッサ、あなたはまだ勘違いしているようね。私は『長官の言うことを聞いたの?』といったの。長官はなんとおっしゃられた?」

「『君は捜査官で捜査課の仕事は警護ではないんだ』、とかなんとか」

「その後ね、重要なのは。『どこからの依頼も無いのにそんな警護の許可は出せないよ』とおっしゃられたの」

 エリッサはハッとした顔で整ったミシェールの顔を見つめる。

「せっかくなので話をしておきましょうか。あなた方が身に纏う特殊装備のことをなんという?」

 ミシェールも澄んだ瞳でエリッサを見つめ返しながら話をはじめた。

「ミミクリーのことですか?」

 何をいわれているか判らないエリッサは少し怪訝そうに答える。

「ミミクリーはどうやって名付けられたか知ってますか?」

「え?なんにでも変身できるmimicry(擬態)用のスーツだからじゃないんですか?」

「半分正解。だけど、半分だけね」

仏像が浮かべていたような神秘的な笑みを浮かべて、ミシェールは続ける。

「ミーム(MEME)を運ぶものなのよ。あのスーツは。ミームってわかるかしら?」

「ネットミームなどのミームでしょうか?」

「そうそれもミームの一個ね。古代の著名な科学者ドーキンスが初めて提唱した概念ね。生物学的な遺伝子に変わって人類文明の中で伝統などを伝えていく模倣子などとも呼ばれるユニット、それがミームなの。ゲームなどで有名な宝箱などに擬態するミミック、擬態スーツのミミクリー、模倣子のミーム、は『真似る』という同じ語源からとられているの」

 ミシェールが何を言おうとしているのかエリッサには少しづつ判りつつある。エリッサは静かに次の言葉を待つ。

「ミームというものは伝統や習慣や技能などを教育や口伝や見よう見まねで我々人類同士で過去から未来へ伝えていく手段なの。遺伝子では親から子にしか伝えることができない、でも、ミームは遺伝子のような制約がない。我々がコミュニケーションしながら伝えるものだから。そう、銀河警察内部でもミームは人から人へ伝えることが出来るの」

 人から人へ、というときに、ミシェールは私からあなたにというジェスチャーを加えながら静かに語り続ける。

「そのミミクリーはあなた方捜査官に警察組織のミームを伝えるもので合ってほしい、あのスーツの開発者がそのように願って名付けたの。警察の持つミームは『正義』よ。組織に所属するということはそういうことなの」

 ミシェールは一息置いて『正義』を強調をして話をつづけた。

「あなたはそのような裏方の期待も背負っているの。組織に属するということはそういうミームをわが身に受け入れることでもある。我々の正義のミームにあなたの正義のミームを乗せて正義をなしなさい。そして裏方だけではなくて、私のような上司の期待もね」

 ミシェールはエリッサを見つめなおす。その眼差しは厳しい、しかし、温かいものであった。

「特務捜査課が少人数ながら強力な権限を与えられ銀河警察の通常の指揮命令系統から外されているのか。なぜ独自捜査を許されているのか?その意味を考えなさい」

「ありがとうございます。では、『何処かからの依頼があれば』彼女達をフォローすることを許可いただけると」

「いったわよ、あなたはあなたの正義のためにその銃を使いなさい。それが特務捜査課なのよ」

 エリッサは一礼をして敬愛する上司のもとを離ようとする。

 すると次官は表情を緩めて、

「最後に一言。あなたの正義のためにああいう人に使われて、そして、ああいう人を使いこなすことも覚えなさい。あなたもそういう年よ」

 いつものクールな所作とは異なる愛嬌のあるウインクをしながら次官は会話を終えた。

 そこに相棒のイツキが飛び跳ねるように軽やかに近寄ってくる。

「エリ姉、どうだったの?アカリさんのフォローをする許可は出たの?」

「そうだな、、、、、、いや、厳密には今から許可を取りに行く。我々は我々の正義をなす。行くぞ」

(3-2)ヒーロー登場、Side:フェルミエール

 場面は変わってこちらも警察内部である。ただし、悪徳の栄えるフェルミエール星の星警の本部であった。広々とした空間となっている事務エリアでは端末を叩いて資料を調べているもの、立ち話をしながら犯行状況を確認しているなど皆忙しげに仕事をこなしていた。

 奥まった部屋の中では一つの打ち合わせが行われていた。性風俗対策課と表示されている扉が乱暴に開かれて肉塊とでも表現すべき存在がわが物顔に入ってくる。その男はだらしなくでた腹に乗っかるようにランニング着てパンツをはき、辛うじて白衣を羽織った警察署内の一室に出入りするには異様な姿であった。

 しかしその男が入ってくるや否や中にいた女性捜査官全員が立ち上がり敬礼をする。見れば中には若い女性捜査官のみがおり、その女性捜査官も全員が全員とも異様は風体であった。通常の制服の要素だけは残しているが、短く切られたへそ出しのトップス、極端に切れ上がり局部しかもはや隠していないショートパンツ、網タイツ、ヒールなどコスプレ風俗店にでもいればちょうどいい恰好であった。

「ガニマタハル様、よくぞお越しいただきました」

「いふふ、何をしてるのかな?」

「は、新しい性風俗対策課の制服選定です。どうぞご覧になって忌憚のないご意見をお願いします」

 机の上には、チャイナ服捜査官をミニスカートに改造したもの、ボンテージに制帽を合わせたもの、ボトムスは通常の制服に上半身がサスペンダーのみのもの、バニーガールに制服要素を気持ち付け加えてを魔改造したものなど、どこのデザイナーが作ったのかデタラメな制服群が展示されていた。制服という概念は既に破壊されているといっていいだろう。

「いひひひ、俺が意見をいっていいのか?」

「は、ガニマタハル様はEクラスのお方です。我々はそのご意見を聞くために生きている存在ですので」

~~~

 そう、だらしなく腹の出たこのガニマタハルこそこのフェルミエール全体を洗脳した張本人のマッドサイエンティストであった。惑星全体にモナークと呼ばれる寄生虫の雌をばらまき全住民が既にその影響下にある。モナークはフェルミナール全土の水道や公共の食事にも混ぜられている。

 住民たちと異なりガニマタハル本人には唯一の雄の個体のモナークを性器に寄生させている。ガニマタハルに協力するマフィアにはフェルミエール入国時に雄のフェロモンの入ったペンダントを与えている。その雄のフェロモンに反応する脳内に潜むモナークにより全住民はガニマタハルらのことを上位クラスすなわち真の主人と認識するようになる。

 ガニマタハル本人は世界で唯一の皇帝Eクラスである。Eクラスの証として雄のモナークを性器にいれている。マフィア達はKクラスである。Kクラスの証としてガニマタハルからフェロモン入りのペンダントを与えられている。フェルミエールの性風俗対策課の捜査官も全員モナークの影響下にあり、真の主人であるガニマタハルらの性行為含めた活動全般のために昼夜問わず協力をする体制となっている。

~~~

「そこまで言うななら、ちょっと着替えてもらおうか、うひひ」

「ご命令承りました」

 そういって全員がもう一度最敬礼をする。そして躊躇なく机の上のデタラメな制服にその場で着替えはじめる。ガニマタハルはニタニタとしながら、その様子を見て楽しんでいる。着替えるものたちも心得たもので、どこから取り出したのかポールを部屋の中央にセットし、室内放送にスローテンポな音楽を掛ける。あるものはそのポールの周りをくるくる回りながら一枚一枚見せつけるように脱いでいく。またある者は身体をくねらせてお尻をガニマタハルに突き出して服を脱いでいく。その場はガニマタハルのための即興のストリップショーとなっていた。

「ふひ、みんな捜査官なのに突然何はじめてるの?君たち捜査官なのにストリップショーかな?」

 ニヤニヤと口元を歪めながらガニマタハルは女性捜査官達に確認をする。

「はい、性風俗対策課員はガニマタハル様を筆頭に上位クラスの方々の目を楽しませるのも重要な任務です。上位クラスの方々の楽しい性生活のため本課では日夜努力しております。ストリップの訓練もその一部です」

 自らも改造バニー服に着替えた女性捜査官は真剣な表情でガニマタハルにこたえる。性風俗対策課は容姿端麗な若い女性捜査官のみが集められるフェルミエール星警の中でも非常に人気の高い部署である。志願後に厳しい選抜試験が行われていることでも有名なエリート部隊であった。活動内容はガニマタハルらの上位クラスのために性風俗が万全の態勢で行われるようにあらゆる面から対策をすることである。

 もちろんその中には自らの身体も使ってご奉仕をすることも当然含まれれる。配属後も日夜厳しい訓練が行われていることで知られ、彼女たちは様々なトレーニングに励んでいるのであった。上位クラスの方々に直接ご奉仕を出来るチャンスがあるこの部署に所属していることは、価値観を歪められている彼女らには非常な誇りであった。

「そうか、ふひひ、じゃあその訓練の成果を見せてもらおうか」

 そういって、対策課長の席にガニマタハルは腰を掛ける。改造バニーの女性捜査官は笑顔を浮かべてガニマタハルによってきて、うやうやしく薄汚れた下着に手を掛けて脱がせる。ガニマタハルの股間からそびえる強烈な一物を目の当たりにして、薬物でもキメたような狂喜した顔になり、一気に性器を喉まで口に含む。事実、モナークに支配されたものにとっては雄のモナークを宿すガニマタハルの性器は違法薬物以上の効果があるのであった。

 じゅぶじゅぶと口での奉仕を続ける女性捜査官の股からは滝のように愛液が流れ、下に水溜まりを作りつつある。その周りではその様子を羨ましそうにみながら女性捜査官たちが未だにポールダンスやストリップショーを続けている。

「ははひひ、捜査官らしくよく訓練できてるぜ、ご褒美だ。みんなで味わいな」

 ガニマタハルは大笑いをしながら、凶悪なペニスを口から引き抜くと改造バニー捜査官の顔面に大量の射精をする。改造バニー捜査官はもはや快感をこらえきれずにガクガクと腰を揺らしながら床に崩れ落ちる。白濁液にまみれた、しかしそれでも、麗しい顔の女性捜査官はご奉仕をやり遂げた誇らしな、そして、こらえきれない歓喜の表情を浮かべて天井を眺めている。

 その周りに捜査官たちが集まり、四つん這いになって同僚の顔についたご主人さまの精液をみな嬉しそうになめとっている。いつしか音楽もとまりその場ではガニマタハルのバカにしたような笑いと、女性捜査官たちによるペチャペチャとした同僚の顔をなめとる音だけが響いていた。

~~~

「おい、どうしたんだ、私は痴漢の被害者だぞ。リーベ星のパスポートも保持してる。ちゃんと調べてくれ」

 性風俗対策課の乱痴気騒ぎの場に外から騒がしい女性の声が響いてくる。部屋の外では黒いボディスーツ姿の女性が捜査官に拘束されて暴れているところだ。振り回している手に持ったパスポートにはリリという名前が見える。外で響く言葉を聞き、ガニマタハルは何かを思い出したような表情になる。

「リーベの人間か、リーベの至宝に興味があったところだ。ちょうどいい、俺が相手をしよう、いひひひ」

 そう言って床に這いつくばって同僚の顔を舐めていた捜査官にガニマタハルは指示を与える。ガニマタハルからの指示を聞いた捜査官たちは、即座に立ち上がり、非常識な恰好のまま扉を開けて、騒ぎの現況に近寄っていく。

「なんだ、お前らの恰好は?まさかお前らが星警の人間なのか?」

 その黒いボディスーツ姿の女性は女性捜査官らの恰好にぎょっとする。しかし、拘束されているため如何ともしがたく、ボディスーツの腕を掴まれてされるがまま性風俗対策課に連れ込まれる。そして、ガニマタハルは今まで以上に邪悪な笑顔を浮かべてその女性に近寄っていく。内部の異常な光景にショックを受けながらも、ボディスーツ姿の女性はガニマタハルを見ると突然瞳孔が開きうるんだ表情になる。その女性の変化をガニマタハルは見逃していなかった。

(4)ヒロイン登壇

 銀河警察のある本星テルミナスから飛び出したエリッサ達は、リーベ家のツキシロ姫のおわすリーベ星系に一路向かう。リーベ家のツキシロ姫はアカリの姉にあたる。事前に連絡のしたようにエリッサ達は郊外にあるリーベ家の館に向かう。館につくと二名のメイド服を着た侍女が待ち受けており、エリッサとイツキは案内をされる。捜査官のさがであろう、少しの時間でも情報収集のためにエリッサとイツキは二名の侍女と会話を試みる。

「ご案内ありがとうございます。この頃ツキシロ殿下やアカリ様のご様子はお変わりないでか?」

「ご主人様やご主人様の妹君様のことは私の口からはなんとも。ご理解願います」

 落ち着いたほうの侍女と会話を試みたエリッサはあっさりとかわされて、すこし気まずそうだ。

「イツキさんの挿してる剣かっこいいですね~。憧れます」

「えっ、そうかな、そのメイド服のほうが僕は憧れるかな~」

 短時間の会話であるが年の近そうなイツキと幼い外見の侍女とは既に親しそうな会話をしている。案内された応接室はリーベ星系の象徴であるリーベ家の非常に広い応接室であり、派手さは無いもののどれも質のいい調度品で囲まれていた。壁には歴代女王の肖像画飾られており、その絵はどれも驚くほど似ていた。リーベ家は女系一族でしられており、血がよほど濃いのであろう。肖像画などを眺めつつエリッサとイツキの銀河警察コンビが待っていると侍女たちがツキシロ姫を連れて戻ってくる。ツキシロ姫が席につくとエリッサ達は挨拶もそこそこに本題を切り出す。

「ツキシロ殿下、妹君のアカリ様のことで少しお話が」

「エリッサさん、殿下は結構ですわ」

 ツキシロ姫は光沢のある乳白色のシルクのドレスをまとい椅子に腰かけている。サラサラとした金髪をなびかせて端正な顔立ちですまし顔で座っている間は非常に麗しい美の結晶ともいえる存在であった。真珠色の肌に浮かぶ瞳は澄んだブルーであり印象的であった。それらの持ち合わせた要素が美しすぎるが故に逆にどこか不自然さを見る人々にあたえていた。

 傍らには案内をしてくれた侍女であろう二名の若い女性がメイド服を着て控えている。改めて環(たまき)と御華奈(みけな)とツキシロから紹介をされる。信頼の置ける侍女なのであろう、エリッサとの会話の最中にもずっと左右に控えている。

 環(たまき)とよばれた右にいる笑顔を浮かべた侍女は身体も小柄で幼いとも見える若さでミニスカートにしたメイド服から健康的な太ももをさらしていた。主人の会話の最中にも、小さい身体をリズムをとって揺すらせたり会話を聞いて表情をコロコロと変えたり、子供らしい愛嬌のある様子を見せていた。

 御華奈(みけな)と呼ばれた左で落ち着いた様子を見せている侍女は同じくメイド服を着ているものの、丈の長いスカートのクラシカルなものであった。こちらもミニスカートの侍女のほどではないが、大人と呼ぶのは相応しくない若い女性であった。侍女と姫の3人の中ではツキシロ姫が一番の年配であろう。御華奈は落ち着いた様子で会話を聞き流しているものの、ミニスカートの侍女が身体をゆすらせる度に少し視線を送ったりしていた。注意を促す視線ではあるもののその眼差しは温かくミニスカートの侍女を見守るものであった。

 左右の侍女は顔つきを見ると背丈や服装は異なるもののよく似ており、姉妹であることをうかがわせた。

「アカリにもいつもながらに困ったものですね。海賊になりたいといいだしたり。そうね、よく考えるとあの子が妹になったあの時も私を困らせてくれましたわ」

 くだけた調子でツキシロは答える。アカリと同じようにエリッサと既知の仲であることをうかがわせるものであった。くつろいだ様子で笑顔を浮かべたツキシロは不自然な美しさも消え去り、その歳相応の若い女性にみえる。アカリへの愚痴をいっているものの迷惑をかけてくれる妹というものへの愛情の吐露ともとれる嬉しげな口調であった。

「その事件はアカリ、いえ、アカリ様からお伺いしています。アカリ様のご両親が、、、マフィアを狩る海賊という道を選んだのも、その影響で」

「ええ、そうですね、アカリの両親はあの時に、、、もう海賊なんて時代でもないですわ。何よりあなた方のような優秀な銀河警察も居ますしね。でも、海賊はあの子がえらんだ道ですからね」

 アカリの両親について語るときに少し表情を曇らせたものの、ツキシロ姫は嬉しそうに会話をつなぐ。王女の公務という世事をはなれてひそかに自慢の妹のことを妹の友人と語るのが楽しいのであろう。

「でも、その海賊稼業で既にアカリは片目を失い、このままではいつ命が、、、」

「うふふ、エリッサさん。あれはアカリの海賊コスプレですよ。海賊は片目じゃなきゃって子供のころはよく片手にかぎ爪つけて片目に眼帯してましたわ」

「でも、まぶたに擦傷が」

「あの子凝り性なんですよ、襲撃前にメイクもきっちりしてるんです。よく見てれば眼帯している目が偶に入れ替わりますよ」

「え?まじ?中二病。あいつあの時はあんなことを言って。この時代に、今更?マジマジ?中二病が許されるのは縄文時代までよね~~」

 思わずエリッサも口調が学生時代にもどりわけのわからないことを口走りはじめる。

「エリッサさん、あの子を守ってくださいね」

 エリッサが聞くまでもなく、結論がツキシロ姫から語られる。なぜ?と問うまもなくツキシロ姫からネタ晴らしが語られる。

「アンドンヒル長官から『エリッサ君にはくれぐれもご内密に』との前置きのあとに話は聞いてますわ。長官は次官から頼まれたそうですわ。いい上司を持ってますのね」

 ついにツキシロ姫は手を当てて隠してはいるものの口を開けて笑い出す。エリッサは上司が既に手をまわしてくれていることを聞き、苦笑いをしている。あの人達には敵わない、そういう表情だ。

「ツキシロ姫、では、我々は今からアカリの警護に出発します。なんといって『その場に留まるためには全力で走り続ける必要があります』から」

「あの子の好きな言葉ね。アカリをお願いしますね」

 和やかな対談が終わろうとしている、その瞬間であった。

カタカタ

カチャ

スー

 突然、応接室に極々小さな音が鳴り響く。さすがにエリート捜査官である、そのような音をエリッサとイツキは聞き逃さない。咄嗟にエリッサとイツキは身構えつつドアの方向をみる。ドアが開き何者かが侵入しようとしている。

 そこから銃器を手にした男達が侵入をしてくる。軍服は着ておらず正規の軍人ではない、しかしながら、銃火器に対しての投影面積を下げ、素早い動きで侵入してきており訓練された部隊であることが見て取れた。エリッサとイツキはすばやく視線を交わして、ツキシロ姫を守ろうと立ち上がりかける。

「タマ、ミケ、お願い」

 エリッサやイツキの行動よりも早く、ツキシロは指示を出しながら身を隠す動きをとる。リーベ家の姫というお嬢様育ちは思えぬ遅滞無い身のこなしである。エリッサはツキシロの所作を興味深げに視界にいれつつ、迎撃をするための構えをとる。

 イツキも既に愛剣『カマイタチ』に手を掛けて臨戦態勢に移行中である。

「ご主人様わかったにゃ~」

 環(たまき)は答える。『にゃ~』???と突然口調が変わったメイドを見ていると、目が見開かれ瞳が輝き瞳孔が縦長になり見る間に頭から耳が生えてくる。ネコミミ!と思うや思うまもなく猛烈なスピードで

     右壁に張り付き飛び跳ねそのまま予想外の方向から

天井を奔り人では防御できない上方から

              床を四足で駆け下方の死角から

     左壁を蹴りついていけない速度で

        柱から周り込み見ていた方向の逆から

襲撃者達に襲い掛かる。

 不規則に左右の壁だけでなく上下の床天井を奔り柱や電灯などの構造物も巧みに使いながら襲撃者達に近づき、ニーハイをはいた健康的なムチムチとした脚で、フリルの付いたリストを纏った腕で、見る間になぎ倒していく。愛らしい力の天使、タマ。

 かたや御華奈(みけな)のほうもツキシロの指示を聞くや否や無言で猫目を光らせネコミミを頭に生やしながら、一分の隙もない直線的な、しかし、最小限の足捌き身体捌きで敵の攻撃を躱しながら襲撃者達に近寄る。そして御華奈が通りすぎた足元の床にはマフィア達が転がっていく。ロングワンピースメイド服の中で隠れているが故に直前まで足の動きの読めない。そのような暗器ともいえる足技がマフィアの延髄、側頭、みぞおち、股間、膝などの急所を的確に蹴り抜いていた。

 環のような天衣無縫な派手な動きはしない、しかしそれ故に見るものに怖れを与える動きであった。冷酷な死の天使、ミケ。

 エリート捜査官のイツキやエリッサにすら侍女達のサポートができない、目で追うのがやっとであった。いや、彼女らが疾すぎて動きが読めずサポートすら出来ないのであった。下手に剣を振り、銃を撃てば、メイド姉妹に当たる恐れがあった。

 ただしその時、環に聞けば

「私に当てられるわけないのにゃ~。幾らでも撃って斬ってくれればよかったにゃー」

 御華奈であれば

「ご存分にサポートをどうぞ。味方の剣や弾に当たるような動きはとりません」

と応えたであろう。

 1分も経たないうちに10名以上の襲撃者達が全て無力化されていた。

「これが噂に聞くリーベ家の至宝。『本物』のCQCってこういうものなんだ」

 イツキは誰に言うともなく呟いた。同じ身体能力をベースに戦うインファイター系の戦士としてつい口から出てしまった言葉であった。彼女自身この年で特務課に引き抜かれたエリート戦士の一人である。『旋風』の通り名は伊達ではない。それを自称するのはどうかという声もあるが、それも若さ故の自信自負であろう。

 その『旋風』の異名を持つ戦士が唯々感心するしかない、それほどまでの動きであった。P4以上の組織にしか与えられない戦闘用パワーアシストスーツを纏ったエリート戦士の動きを軽々と上回るものであった。『本物』というその言葉に羨望のニュアンスを感じ取ったのであろうかエリッサが厳しくそして温かく続けた。

「ああ、そうだな、イツキ。彼女たちは凄い。今のイツキや私では一対一では叶わないかもしれない、いや断言しよう、叶わない。だがイツキ忘れるな。お前にはバディ(相棒)がいる」

ハッとした顔でイツキはエリッサを見る。

「なんのために特務課が必ずバディ制度をとっているのか。悪徳は未だに強大だ。独りよがりの正義では強大な悪徳は倒せない。イツキの剣では1対1で叶わぬとも、2対2に持ち込めば私の銃がフォローをする。お前は私の剣で、私はお前の銃だ。2対2でも叶わぬならば、バックアップクルーも居る。クルーの情報科学、生化学の力も使い闘いに勝利する」

 そして自分に言い聞かせるように続ける。

「我々を上回る悪徳も存在する。しかし我々は一人ひとりが違う多様な能力の集まりだ。その能力を結集してチームとして1+1以上の戦力となして戦う。それが我々の正義の為し方だ」

「うん、そうだね、僕の後ろにはエリ姉の銃がそしてチームがある。忘れてないよ」

「チーム、、、ですね。いい上司もお持ちですし、本当に羨ましい関係ですわ」

横で聞いていたツキシロがふと溢す。

「いや、お恥ずかしいことをお聞かせした。しかしながら噂にたがわぬリーベ家の至宝いいものを見させてもらった。眼福とはこのようなときに使う言葉なんだろうな」

「至宝、ええ、そうですわね」

 しかし口元を緩ませながらも少し含みのあるような口調でツキシロは答えをした。至宝の秘密はこれだけではない、とでもいいたげな風に。気を取り直したイツキがすでに息を整えている環に近づいていく。

「あれ?タマちゃん上に猫耳生えてるけど普通の人耳も横に生えてない?」

 本名呼び捨てすらすっ飛ばしていきなりタマ呼ばわりな上に無粋な突っ込みである。この切り替えの早さもイツキの捜査官としての優れた資質を示している。

「それは突っ込まないのがお約束だにゃ~。コスプレ風猫耳が流行りだにゃん」

 遺伝子操作で作られた本物のフェイクの猫耳を得意げに動かしながら、ドヤ顔でわけのわからないことを言い出すバカ猫がそこにはいた。このネコミミを生やしたブーステッドを作り出した科学者達はやはり相当アレな人々だったのだろう。

「ロストテクノロジーか。身体に合わせて言葉遣いまで強制してしまうなんて。心と身体に過度な負荷は無いがなければいいが、、」

「いえ、あれはただのタマの趣味ですわ。別に普通にしゃべれますよ」

 ツキシロ姫はタマを見つめ口角をすこし緩めながら喋る。襲撃を受けた直後なのに、いや、襲撃を撃退した後でもあるからであろう非常に穏やかで温かい眼差しであった。

「ええ、そうですわ、私達ブーステッドは身体機能を強化されているだけで、言葉遣いや神経組織は皆さま方と変わりないですよ」

 タマと同じように猫耳を立てたミケは先ほどまでと同じように丁寧な口調である。普段と変わらないそのクールな口調に不釣り合いな萌え萌えな猫耳も好事家がみればたまらないだろう。元々、護身だけでなく愛玩のためにも作られた存在という噂は本当なのだろう。

「ミケ姉、猫耳メイドはそんな風に言わないにゃ。一緒にご奉仕するにゃん」

本当にただのバカ猫がそこにいた。

 そんなバカ話でなごんでいると、地元リーベの警察と、宇宙船に残っていた銀河警察のバックアップクルーが入ってくる。エリッサ達のバックアップクルーの一人は白衣の上からも判るマンガじみた非常に豊満な肉体を持った女性だ。もう一人は銀河警察に似つかわしくない愛らしい少女趣味のゴスロリで固めた少女だ。地元リーベの警察が襲撃者達を拘束するなかで、バックアップクルーの白衣の女性がエリッサ達に話を掛ける。

「お疲れさまでした。非常に心配しましたが王女様に被害が無かったようで何よりですが、、、」

 エリッサと目を交わすが、エリッサは首を振り合図を出す。王家に関わることであり、軽々しくここで襲撃者のことに関して話すな、ということであろう。そこで白衣のバックアップクルーは会話を変える。

「イツキさん、エリッサさん、いつものスムージーですわ」

 飲み物が入っているらしきボトルをイツキとエリッサに手渡す。エリッサはメイド姉妹達に言い訳するように話を始める。

「このような戦闘後には緊張をほぐして精神と身体を正常に保つために補給をする。これは習慣ではなく我々捜査官の義務でもあるんだ。捜査官は常に完全な状態に肉体や心を保つよう努めなければならない。もっとも今回は我々は肉体的な戦闘はしていない、いや、する間もなくあなた方が終えてしまったがな」

 そして御華奈に向き直りボトルを差し出しながら自然に続けた。

「その意味ではこれを飲むべきは御華奈さん、あなたかな」

 御華奈はエリッサから差し出されたボトルを受け取らずに遠慮の意思を示す。その脇でイツキも自分が飲んでいたボルトを環に差し出した。

「タマちゃんも飲む?」

「いただくにゃー」

 そのときエリッサとイツキの口元に僅かに歪んだ笑みが浮かんでいたのをツキシロ達は気が付くことが出来なかった。そして、環はスムージーを一口飲む。

「なんかおいしくないにゃ~~~」

ネコミミを垂れて環が呟いた。

「はっは、身体に悪いものは一切入ってない。心と身体にいいものは得てして口に合わない。まあこれも慣れればいいものだ」

 エリッサは嬉しそうに自分のボトルを飲み干す。なぜ『心』と身体なんだろう、、この意味にこの時ツキシロは気が付いていなかった。そうしてアカリの警護の約束をしてツキシロ姫とエリッサ一行は別れる。

~~~

 そうしてエリッサ一行はリーベ星のドックに駐留していた捜査船インテロゲータの中に戻る。そのとたんにイツキは今までの捜査官として誇りにあふれた表情から卑屈な奴隷根性の塊のような表情に変わり会話を続ける。

「エリ姉、メイド妹は飲んでくれたね、でも、メイド姉と姫様には飲ませるチャンスが無かったね」

「十分だ、猫耳メイド妹もそのうち世界の真実に気づく。そうなればお姫様は護衛の片翼を失う。そうなればお姫様に世界の常識を気づかせるも容易いことだ。我々ノーマルの女性は全てKクラス様、Eクラス様に弄ばされるために生きている性奴隷に過ぎないという世界の真実に」

 そう既にエリッサチームは全員ガニマタハルによってモナークを脳内に植え付けられて常識や真実を歪められていたのだ。

「イツキ、我々は何の専門家だ?」

「性犯罪者や人身売買だよ。惨めなノーマルクラスの人間の人身売買を進めて、EクラスやKクラス性犯罪者様の楽しい性生活のために貢献する」

「イツキ、改めて聞くが我々にとって正義とはなんだ?」

「エリ姉、もちろんガニマタハル様がおっしゃられる全てのことだよ」

「その通りだ。ガニマタハル様が我々チームにツキシロ一味も性奴隷にしろと命令された。言うまでもなくノーマルは全てガニマタハル様はじめとした上位階級の皆様の性奴隷でもある。望まれれば股を開いて地面に頭をこすりつけて無様におちんぽ様を請わねばならない。いや望まなくともノーマルは上位階級の皆様の快適な性生活のために使われたいと皆心の底から思っている。それが世界の正しい姿だ」

エリッサは真面目な顔で仕事上の信念や哲学を語るように続ける。

「ツキシロ一味はノーマルであるにも関わらず上位種族の皆様方に服従しようとしない。卑屈なノーマルであるという真実を学ぼうとせず、上位種族様に弄ばれる惨めな性奴隷になろうとしていない、それは紛れもない悪徳だ。悪は正義によって正されなければならない。イツキ、我々はチームだ」

「うん、エリ姉、そうだね。だから今は1対1では叶わなくともバックアップクルーのおかげでモナークをメイド姉妹に植え付けることが出来たね」

「ああ、あのネコミミメイド、眼福だったな。ガニマタハル様の性奴隷に相応しいと思わないか」

「うん、ああいうペットをガニマタハル様が飼いならす光景を想定すると胸が高鳴るね。どんな風に弄ばされるのかな~~~」

 ニタニタと涎を流しながら一人で妄想をしている。ここが自室であればオナニーをはじめそうな勢いである。

「そのためにも我々にはまだせねばならないことがある。ツキシロ一味を性奴隷としてガニマタハル様に引き渡すまではオナニーしている暇はないぞ。今我々はEクラスのガニマタハル様の勅命で動いている。Kクラスのおちんぽ様に奉仕をする暇もないのだ」

~~~

 そのような邪悪な会話が繰り広げられているとも知らないツキシロ姫は館の中でメイド姉妹と打ち合わせをしている。

「確かに何か起きているようです。タマ、ごめんなさい。本来の仕事とは外れますがあなたもアカリを守ってあげて。女性を洗脳して性奴隷としてつかう卑劣な者たち、そんな犯罪者共をアカリは追っていたようです。アカリの船のコードは判りますわね?」

「姫にゃんに頼まれたらしょうがにゃいな~。アカリにゃんを追跡するにゃん」

環は能天気に指をまげて猫手にした手のひらをクイクイさせて返事をする。

「ミケ、タマがいなくなりその間はあなた一人です。お願いしますね」

「私たちが姫様の頼みを断ったことがありますか?もちろん私は命の限り姫様をお守りさせていただきます。ですが姫様は私ごときがお守りしなくても」

 御華奈は今までどおりに落ち着いた様子でツキシロ姫を信頼のこもった目で見つめる。既に悪徳の手が身近にせまっていることをツキシロ姫達はいまだに気付けずにいる。

(5)アカリの襲撃

「アカリ姐さん、洗脳犯罪者のガニマタハルの情報掴めましたぜ。やはり惑星フェルミエールの中にラボを作って潜んでいるようです」

 女海賊アカリはボディスーツのファスナーを腹部までおろして豊かな胸をはだけさせて少しくつろいでいた、そこに手下の一番手であるリリから通信が入る。

 ガニマタハル、その名は裏ではかなりしられたマッドサイエンティストである。洗脳技術の分野特に長けており、その技術を生かして性奴隷を作り自由奔放に快楽を貪っている性犯罪者として知られている。最近ではようとして消息が知れず、何処かでトラブルで野垂れ死にした、もしくは敵対するマフィアに暗殺された、または特殊部隊によって逮捕されその危険性ゆえ極秘裏に永久監獄に監禁されている、などのさまざまな噂がたっている大物であった。

 密輸船から解放した少女の制服はフェルミエールの他数か所の女学園で使われているものであった。そのため、フェルミエールの調査を進めさせるために現地に部下のリリを派遣した、そのリリから報告が来たということである。

「よし、直ぐにアタイもフェルミエールに跳ぶ。待ってろ、リリ、警察にいうんじゃねぇぞ。今回の件はアタイのしまだ。ああいうことをやらかすクソ性犯罪者はアタイの手でとっちめてやらないと気が収まらねえ」

 握った拳を少し震わせながらアカリは手下に指示をする。

「姐さん、判ってます。何年来の付き合いだとおもってるんです」

「みんなも聞いたか?跳べる人間からフェルミエールの宙港で集合だ」

 アカリは一声いうと深紅のボディスーツのファスナーを上げて気合をいれて船の航路をフェルミエールに向ける。

 宙港というところは何処の星でもあまり代り映えのしないものでフェルミエールにおいても人々が忙しげに外宇宙から惑星内シャトルへの乗り換えのため行きかっていた。イミグレーション(入星管理)を抜けたところでアカリはリリと合流する。

「待たせたな、リリ。みんなもう着いたか」

 直ぐにでもガニマタハルのラボに直行したいという意思を見せながらアカリは尋ねた。

「いえ、最後に一時間後に外惑星からララが着きます」

 そのアカリの猪突猛進を抑えるかのような素振りを少し見せながらリリは答えた。

「そうか、じゃあララが来る前に先ずはブリーニフィング(作戦会議)だ。ここではどんな人間に聞かれるか判らん。船内に戻ろう」

「姐さん、船に戻る前に少し食べて行きましょう。お腹がすいてしまって。フェルミエールのオムレツは結構いけますよ」

 アカリは肩をすくめたあと口元を緩ませて答える。

「リリは美味しいものに目がないからな。しょうがない、アタシも付き合うよ」

 宙港での食事のあとリリが案内した場所は煌びやかなシャンデリアや調度品で囲まれた空間であった。見る人がみれば地球産の大理石など使用した床材など贅の限りを尽くした品々で最高級のもてなしの空間に使われるようなものであることが理解できるだろう。実際ここは以前は迎賓館として使用されていた部屋であった。

 壁から眼帯をしていない側の顔を少し出してアカリは部屋の中を観察する。マッドサイエンティストのラボにしてはあまりに異質な空間ではありながらも、窓越しにガニマタハルを確認でき、アカリチームは突入準備を固める。ソファーに座ったガニマタハルは頭は禿げかけ浅黒い肌に飛び出した腹、服装はランニングシャツにパンツ、その上に白衣を申し訳程度に羽織った、ある意味俗世間から離れたマッドサイエンティストらしい多くの人間に不快を催させるような外見であった。手持ち無沙汰に股間を掻きながらあくびなんぞしている。

 ガニマタハルの姿を目にしたアカリチームの面々は若い女性らしく皆強い生理的嫌悪感を覚える。

「油断してやがるな、しっかしだらしねぇ奴だ。楽勝だな」

 しかし、突入準備のためにガニマタハルの動きを目で追うにつれて、突如、各々の胸の中でドキンとした鼓動が生まれる。すると、それまで存在したガニマタハルへの嫌悪感は一瞬のうちに消え去る。ガニマタハルのだらしない容姿が気にならなくなる、それどころか飛び出した腹や汚れた下着などが非常に好ましく見えてくる。そして、みんな半口を開けてガニマタハルの一挙手一投足を隠れて見つめ続ける。どのくらい眺めていただろうか、堪えきれなくなったアカリの部下の一人がつい口ずさむ。

「姐さん、あいつがガニマタハルですか、実物を見ると思っていたのと全然違いますね。あれなら無理やり洗脳しなくても言ってくれれば股をくのに。なんなら私が土下座してお願いしたいぐらいです」

「お前は何をいいだすんだ!」

 アカリは怒気を込めて部下を注意する。その後ろの『おめえの前にアタイが土下座してお願いするよ』という言葉は飲み込みながら。

「では、部屋に入りましょう。ガニマタハル様、突入してよろしいでしょうか?」

 リリが部屋のドアを丁寧にノックして許可を得た上でアカリチームは『突入』をしていく。今から捉えようとしている危険な洗脳犯罪者の『様』付けで呼び、ノックをして突入をするということにアカリは違和感すら覚えずリリの後に続いていく。

 すえた匂いのする部屋に入ったアカリチームの面々はガニマタハルの前で全員がボディスーツの身体を見せつけるように横に並ぶ。

「ああ、あんたがマッドサイエンティストのガニマタハルか、やっとあえたな。さんざん探したぜ」

 アカリはそう切り出すがさばさばした口調とは別に上気して瞳孔が開き頬が緩み切った表情であった。

「うひひひ、よろしくな。何の用かな?」

 ガニマタハルは下着だけの股間を掻きながら鷹揚に侵入者に対して答える。

「イヒヒ、まあ立ち話もなんだから、全員そこに座って話そうや」

 大理石の床を指さし命令する。それを聞くや否やガニマタハルをとっちめてやるというここへ来た目的は覚えているものの、アカリの脳内に先ずはこの方と話をすべきであろうという強い想いがこみあげてくる。まあ先ずはこいつにも言い分があるだろうからと自分に言い訳をしながら、アカリはガニマタハルの前の固い大理石の床に正座をする。チームメンバーもみな雁首揃えて正座をして雁首を揃えてガニマタハルを恋する乙女のように見つめ続ける。そんな海賊達をみながら、ガニマタハルは悠々とソファに腰かけている。

「ふひひ、お客様の話を伺う前に茶菓子と飲み物でも出そうか」

 からかうようにガニマタハルは続ける。

「構わないでくれ。アタイがここに来た目的はな、、」

自分を奮い立たせるようにアカリはなんとか言葉を紡ぎだす。

「ひひひ、お茶じゃなくお食事にするかい、フェルミエールはキノコ料理が名物だぜ」「そのキノコはオムレツでもう頂いたよ。ありゃ悪いがアタシの口には合わなかったな。って、何度も話の腰を折りやがって、」

 アカリは大理石の床で正座をしていることを疑問にも思うこともなく憎むべき犯罪者の前でなんとか虚勢を張ろうとする。

「ひひひひ、そうかな。そんなこともなかったんじゃないか。とても美味しいキノコだっただろ」

 そのときアカリの胸でまたドキンと鼓動が響く。宙港で食べたキノコの味が鮮明に蘇り今までに食べたことがなかったほど美味しい味であったと気が付くのであった。なぜ口に合わないと思ってしまったのか、アカリには何がなんだか判らなくなる。現実が乖離していくような浮遊感を味わいながらガニマタハルに答える。

「ああ、そうだ。今考えるとあんな美味しいキノコは無かったぜ、なんで今まで気づかなかったんだろう」

 アカリは天井を見上げながら反芻するように舌なめずりをする。フェルミエールに来たらあのオムレツはまた必ず食べたいなどと思いながら、既にガニマタハルとの会話に夢中でなぜここにきたのか忘れつつある。

「ヒヒ、そうだろう、俺の言うことに間違いはないんだ。念のためにこいつも飲みな、美味いぞ」

 ガニマタハルは水差しからコップに注いだ液体を差し出す。

「おお、そこまで言うんなら頂くか」

 よく見ればコップは汚れてて液体にも何か蠢くような小さな物体が多数混ざっている。しかしアカリは躊躇うことなく憎むべき敵から受け取ったコップに口をつける。一旦口をつけると砂漠のオアシスで喉を潤すような爽快感を味わい、たまらずゴクゴクと全て飲み切ってしまう。

「うめ~、こんな上手い水は初めてだ、フェルミエールは水がいいんだな~」

 アカリは満面の笑顔でガニマタハルにコップを返す。ガニマタハルはアカリの部下達にもコップに入れた液体をまわしながら言う。

「イヒヒヒヒ、しかし、みんないい胸してるなー」

 そういってガニマタハルはアカリチームのメンバーの胸を眺めてニヤニヤする。普通であればこんなセクハラ発言をされれば嫌がって胸を隠すであろう。いや、アカリ達はガニマタハルを叩きのめしに来ているのである、下手をしたら腰に挿した銃で撃ちころされるであろう。

「お、おい、セクハラ発言だな」

 そう口にするアカリはしかし本気で嫌がっている様子はなく、いや、シナを作って誘っているような素振りすら見せるのであった。そう、そのときアカリの胸はドキンと激しく鼓動しているのであった。ガニマタハルから胸を見られるだけで生まれてから味わったことのないほどの心地よさを感じる。ガニマタハルの行為がセクハラではあると思うものの胸を見つめられるのが嬉しくてしかたない。ああ、『いい胸』だからガニマタハルに褒めてもらえた。セクハラ紛いのの『いい胸』という言葉が肯定的な意味としてアカリに刻み込まれていく。

『私はいい胸を持っているからな』

 心の中で誇らしく思い、アカリは少し恥ずかしそうにしながらも後ろ手に組み胸を誇らしげにガニマタハルに突き出す。周りのメンバーはと見ると同様に胸を強調したポーズをとっている。

「ふひひ、そんないい胸をボディスーツに隠してもったいないな~、みんな」

 その言葉を聞くや否やアカリの胸に強い自責の念が沸き上がる。なぜアタイはガニマタハルが褒めるほどの胸をボディスーツに隠すような愚かな人間だったのだろうと。俯きながらその自責の念に蝕まれ数秒悩みこむ。

「ふう、熱いな」

 言い訳をしながらボディスーツのファスナーを少し下げて胸を手で仰ぐ。その様子をガニマタハルがニタニタしながら眺めているのがアカリにとって嬉しくてしかたない。そしてもはや堪えることが出来ず非常識なことであるとは判りながらも思い切って深紅のボディスーツのファスナーを全開に下げる。そこまですると、もはや自制が効かず脱ぐのがもどかしくブラジャーを強引に破り捨てて天に突き出すような見事な双丘をガニマタハルの目前にさらす。強烈な達成感と高揚感が少し残った羞恥心を遥かに上回りアカリ自身の非常識な行為を肯定する。チームメンバーもアカリを真似て全員胸をはだける。

「くひひ、アカリちゃん突然胸をはだけて何やっているの?」

ガニマタハルが嘲るように言葉を叩き付ける。

「『いい胸』を隠してもったいなかったから、アンタの言う通りだ」

 羞恥心を思い出しながら、しかし、胸を突き出しつづけることは忘れずにアカリはガニマタハルを潤んだ目で見つめながら誇らしげに回答する。横にずらっと並んだ胸が性犯罪者に差し出される。その性犯罪者を制裁にきた女性達から。わきからみればさぞや間抜けな光景だろう。

「じゃ、そろそろ本題に入ろうか、アカリちゃん」

 憎むべき凶悪な性犯罪者に献上された胸をガニマタハルはニヤニヤと笑いながら揉み、乳首をつねりあげながら尋ねる。アカリは為すがまま胸を揉まれている。胸が揉まれる度にアカリは恍惚とした喜びで秘所から分泌液が溢れ出す。

「くひひ、アカリちゃんはここに何しに来たんだっけ?」

 アカリにとっては最早ここにきた理由などどうでもいい。一生このまま胸を揉まれていたい、などと心の底では思っている。しかしガニマタハルから与えられる質問には応えなければとの強い義務感が浮かび、なんとか記憶の糸を手繰って答えようと努力する。

「いたいけな少女を性奴隷にする凶悪な性犯罪者のガニマタハルを叩きのめすために」

「ヒヒヒヒ、その性犯罪者にみんなで胸を差し出して何してるの?」

「それは私の自由だろ!あんたに胸を晒して揉んで貰おうが」

「クフフフフ、性奴隷の女の子も自由なんじゃないかな?」

 ひとしきり弄ぶと胸に飽きたのか今度はアカリの下半身を見てガニマタハルはアカリの耳に囁く。

「ひひひ、お犯しがいのありそうないい尻だな」

 アカリはその言葉を聞くだけで、またも強い後悔の念に襲われる。なぜ犯しがいのあるお尻をスーツで隠しているんだろうと。今回は躊躇わずアカリは破りすてんばかりの勢いでボディスーツを下着と共に脚まで下して肉付きのよいお尻を晒す。そして両肘と顔を大理石の床に擦り付け四つん這いになる。既に秘所からあふれた分泌液により濡れた尻を高く高く突き出してどうしようもなく左右に少し揺らしながらガニマタハルに向けるのであった。叩きがいのある自分の尻を犯して欲しいとの想いであふれ、脚に絡んだ深紅のボディスーツの上に分泌液をだらだらと垂らしながら、犯される瞬間を今か今かと待ち焦がれる。

 もはやアカリは唯々諾々と、いや、唯々諾々どころではなく、アカリは逆になぜ今まで自発的にやらなかったのであろうと反省をしながらガニマタハルのおもちゃにされ続ける。本来はアカリを守るべく従っている部下たちも止めるどころか羨望の目で見つめ続けるのであった。

 そうここはフェルミエール、洗脳技術を研究するマッドサイエンティストであるガニマタハルが作り上げた人口寄生虫モナークの支配する星であった。人々が日常的に口にする水道には全てモナークが混入され、他星系からフェルミエールに訪れる人々の窓口である宙港の食事にも全てモナークが混入されている。

 今アカリに脳内では宙港のオムレツに入ったモナークが完全には定着しておらず被暗示性が極めて高くガニマタハルの言葉を信じやすい状態にすぎない。だが時間がたちモナーク成長し脳内で定着すると被真実性が高いとでもいうような状態になりガニマタハルから与えらる言葉はすべてアカリにっての一片の曇りも無い真実、普遍的な常識として受けとられるようになる。

 アカリの反応を見て満足したように邪悪な笑顔を浮かべ、ガニマタハルは自ら突き出されたアカリのアナルを軽く指でつつく。アカリはガニマタハルにアナルを軽くつつかれただけで気絶しそうなほどの快感を受け崩れ落ちそうになる。同時に強烈な使命感も覚えて必死にガニマタハルに犯されるために尻を突き出しつづける。

「そうだアタイにはあんたに尻や胸を差し出す自由がある」

「判ってきたじゃねぇか」

 ガニマタハルはそういいながら今度は指で秘所をいじりつづける。いじられるたびに、アカリは自分の尻がガニマタハルに犯される為のものだとの思いを強くしていく。

「自由とはそういうことだ。今日はここまでだ。おめえも準備ができたら犯ってやるよ。あとはここの地下のソドム市で勉強してきな」

 そういってペットの頭をなでるように最後は優しく尻を撫でてやる。その瞬間アカリはファンファーレを聴きくような高揚した至福感に包まれて崩れ落ちる。気絶しようとする意識の中で必死にガニマタハルのためにソドム市で勉強しようという想いだけが最後に残る。

「イヒヒヒ、リリ、よくやった。褒美をやるぞ」

 そういいながらガニマタハルはソファーに座って腕組みをする。正座をしながら羨ましそうにガニマタハルによるアカリへの『教育』を眺めていたリリは意図を理解して、快感に震えながら慌てて地面を這ってガニマタハルに近づく。あまりの達成感や快感に黒のボディスーツの外に愛液が滝のようにたれ、脚がもつれながらもなんとかガニマタハルの面前まで来てガニマタハルの汚れた下着を脱がし凶悪な一物を取り出す。

「ありあとうございあす。無価値なせいろれいのリリが、いらいなガニマタハル様のおチンポ様にごほうしさせていたらきます」

 最早リリは呂律も回らず挨拶をなんとか済ませると、ガニマタハルの巨大な一物にしゃぶりつく。潜入開始時に寄生された脳内のモナークが既に育ち切ったノーマルクラスのリリにとってはEクラスであるガニマタハル様にご奉仕できるのは最大の人生の目標を達成したようなものである。

「いひひ、少しは上手くなったじゃないか」

「はい、世界の真実にきづいていない愚かなアカリが来るまでに、Kクラスさまにお仕えする中で少しは勉強させていただきました」

 ガニマタハルはリリの髪の毛を無造作に掴んでイラマチオを続けるとリリを床に突き飛ばして、上からのしかかり秘所を突き上げる。そして数分間、オモチャでも扱うようにリリを付き続ける。そして最後に1分以上も長々とリリの身体に精液を恵んでやる。精液を秘所に受けたときに耐え切れずにリリも失神する。正座をしながら羨望の目でアカリとリリの痴態を見続けていた残りアカリの手下達を眺めてガニマタハルは言う。

「お前らもぼさっとせずに俺のモノを綺麗にしろや」

 ご奉仕を許されたアリアの手下達も輝くような笑顔になると、我先にガニマタハルの一物に這いより争うように甞めて綺麗にする。

「アカリはなんといってもリーベ家当主のツキシロの妹だからな。お前らのほうから転がり込んできてくれるとはな」

 最後にこの男がこんな表情が出来るのかという珍しく少し真面目な表情でガニマタハルは呟いた。

(6)環のアイドル体験記

「『たまりん』とかどうですかにゃ~」

 環(たまき)は丸めた両手を顔に近づけてブリブリでこたえる。

「ふざけるんじゃないわよ。あなた自分がかわいいから売れるとおもってない?」

 アイドル事務所の女社長は両てのひらでバシッと机を叩く、環はビクっとした顔でソファーから跳ね上がる、女社長も立ち上がり環に近寄ってくる。女社長の顔は真剣そのものだ。そこらにあるゴミ箱をドゴっと蹴り上げながら女社長は続ける。カラカラとしたゴミ箱が転がる音が周囲に広がる。

「かわいいだけで生き残ったら苦労しないわよ。現代のアイドル業界で重要なの『親しみやすさ』なの。そんなかわいいだけの愛称では全くだめなのよ。かわいい子がかわいい名前を自称する?た・ま・り・ん、っへっへ、は~~~、そんな調子の乗ってる子に金づるは金を落としてくれないの」

 『は~~~』と言いながら怯えた環の文字通り目と鼻の先まで顔を近づけて、女社長は唾を飛ばし喋りたおす。香水であろうか、女社長の胸のペンダントから非常にいい匂いがする。そして突然ニコッと笑顔になる。そして子供に諭すようにはなしだす。そのテンションの落差に環はついていけない。

「少し外す必要があるの。少し間抜けで、少し言いにくく、更には性的なニュアンスも隠しもっていれば最高ね。そいうところにフックをつくって財布どもをひっかけるのよ。かわいいだけの名前なんて1歩あるいたらみんな忘れるわ」

 人差し指を立てて、財布をすり取るジェスチャーをしながら女社長は続ける。ノリノリで環を中心に歩き回って話を続ける。環は完全に女社長のペースにのまれて声もでない。

「少しおまぬけで性的な匂いのするあだ名を若い女の子が嬉々として受け入れてる。そんな様子をみるとATMどもは親しみを感じるのよ」

 しかしまあ、ファンのことを、金づる、財布、ATM、ひどい言いようである。環もさすがに突っ込もうかとも思うが声もでない。何か言えば10倍以上で返される未来も目に見えている。

「『たまんき』、『たまんこ』。流石に性的すぎるわね。『たまたま』。悪くはないけど、まだ直接すぎるかしら。玉棒『たまぼう』。このあたりね。玉玉と肉棒から生まれたまんこだから、玉棒『たまぼう』。あなたのニックネームは『たま坊』、これにしなさい」

 環に向かって指をさしながらアイドル事務所の女社長は言い放つ。今の環であれば、肉棒玉子であろうとなんだろうと受け入れたであろうが。

「たま坊!返事は?」

「はいですにゃ。たま坊は、リーベ星から来た、メイド猫ですにゃ~」

「そんな感じね。あなたがデビュー出来たら、大物パーソナリティにでもラジオでポロっと口ずさんでもらって、名付け親になってもらうわ」

~~~

 なぜ王女のメイドである環(たまき)がアイドル事務所にいるのか。

 それは環がツキシロ王女から妹君のアカリの手助けを依頼されたときにさかのぼる。アカリの船の航跡はフェルミエール星の宙港までは確認が取れている。若く麗しい女性工作員が他勢力圏に潜り込む、その際は何に扮するか?

 そう、踊り子や女優など芸能関係者である。本来でいえば学生という年の環ならばアイドルが最適である。そのようなバックグランドを作らずに、環の年齢の少女が他星系に長期滞在すると公安関係者に目をつけられやすい。また、フェルミエール星は女性大統領が選出されてからというもの経済発展も目覚ましい。経済発展に伴い娯楽産業も盛んになる。『表の』娯楽産業であるアイドル業界もフェルミエールでは大変盛んで、他星系にもコンテンツ輸出される一大産業となっている。

 セオリー通りに、環はフェルミエールの芸能事務所にコンタクトをとり面接を受けにいく。エリッサ達の手によってわが身に既にモナークが寄生させられている、とも知らずに。

 フェルミエールに着いた環はその足で芸能事務所に向かう。普段から好んでメイド服を着ているだけはあり、この時も環はメイド服をまとっている。環はアイドルに憧れがないわけではない。いや、実はある、積極的にある、どうしようもないくらいある、フリフリの服を着て楽しく歌って踊りたい。

『アイドルとして売れたらどうしようかにゃ』

『でも、ツキシロ姫をたまりんは裏切れないにゃ』

『ファンのみんなと別れるのはつらいのにゃ』

『みんな~、たまりんを応援してくれてありがとうですにゃ~』

『たまりんは、リーベ星にかえらなければならにゃいですにゃ~』

などとひそかに下らないラストコンサートの妄想などをしている。

 フェルミエールの繁華街のはずれに芸能事務所はある。経済発展をしているだけはあり、繁華街は人通りでにぎわっている。その中にはメイド服をきて呼び込みをしている少女らもいる。この街の中では環のメイド服も風景に溶け込んでいる。

 環は芸能事務所につくと、社長室に行けと指示される。ここは女性専門の芸能事務所であり、アイドルや女優や更には女子アナなどが登録されている。事務所にはスタジオやトレーニングジムやプールなども併設されて、女性であれば一般人も有料で使えるようになっている。スタジオなどでアイドルの卵たちが日夜トレーニングに励んでいる。事務所経営者の若い女性社長も自分自身も元々アイドル出身であり、今では裏方に転身した人物である。元アイドルだけはあり、女社長自身もぱっと見は女優としかみえない美貌を誇っている。

「リーベ星から来た環ですにゃ~。メイド猫ですにゃ~」

 環は第一声からかます。しかしながら海千山千の女社長はニコリともせずじっと環を見つめる。その女社長の胸には似合わない武骨なペンダントが光っている。

「う~~~ん、今更、不思議ちゃん、メイド、猫。よくもそんなキャラ付けで来たわね。まあ、でも、一周回ってありかしら。いいわ、まずはニックネームかんがえましょうか」

~~~

 ここでシーンは冒頭にもどる、『たま坊』というまっとうでありながら、実は『玉棒』という酷い愛称をつけられ、環が現実を叩きつけられたシーンまで。

 ここでノックもなく扉が開き若い二人の男が入ってくる。若く子供ともみえるような男達であった。その男達の胸にもペンダントが光っている。

「お邪魔しますね」

「ちっす、お邪魔しやす」

 いっけん腰が低そうに、しかしながらふてぶてしい表情で男達は女社長に手を挙げて挨拶をする。ペンダントを目にした女社長を慌てて男たちに近寄り膝まづいて、男たちを見上げながら挨拶をする。

「はじめまして、私はこの事務所の代表のジュリです。お名前をお伺いしてよろしいでしょうか?」

「僕はエノクです。こっちはイダニです。短期留学でフェルミエールに来ているので、今日はアイドル事務所の社会見学にでもと思いまして」

 そう彼らはフェルミエール名門の星川学園への短期留学生であった。女学園である星川学園に、なぜか男子の留学生ではあったが。大物マフィア子弟の彼らはモナークのフェロモン入りのペンダントを与えられて、日夜ノーマルクラスの人間どもの主人として愉しんでいる。

「ええ、ええ、どうぞどうぞ。トレーニングルームでもスタジオでもプールでも更衣室でもご自由にご覧になってください。なんでしたら、うちの子たち、こちらに呼びましょうか?」

 エノクとイダニはにやりと目を見合わせたのちに、女社長にうなづく。女社長は立ち上がって、机上の端末から連絡を入れる。じきに扉からノックの音がして、若い女性達が部屋にはいってくる。その姿はとみると、普段着のもの、トレーニングウェア姿のもの、水着のもの、フリフリのアイドル衣装のもの、着替えでもしていたのか上半身裸のものなど様々であった。

「皆さん、こちらがエノク様、イダニ様です。本日はわざわざこちらまで見学をしにみえたとのことです。皆さん、粗相のないようにおもてなししてくださいね」

 現役アイドル、アイドルの卵、女子アナたちは一斉にエノクとイダニに頭を下げる。エノクとイダニはニヤニヤとしながら彼女たちに近寄って、ぶしつけに身体や顔を眺める。それにあきたらずに、エノクとイダニは整列した彼女たちの周りを歩き、アイドル達の顎に手を掛けて顔の角度を変えて眺めたり、尻の感触を確かめたり、おもむろに胸を揉んだりして楽しんでいる。

 オモチャのような扱いをされながらも、現役のアイドル達は皆満面の笑みを浮かべている。女社長もニコニコとその様子を眺めている。環はその様子をあっけにとられて眺めている、そして、

(もしかしてこれが『枕』ってやつなのかにゃ、アイドル業界は怖いにゃー、でもたま坊は『枕』なんかに頼らないのにゃ。)

などと呑気なことを考えている。

 しかしながら、環は危機感を感じず、アイドル達がおもちゃにされている光景をみても、まったく不快感も感じない。その男達がアイドルを弄んでいても、不自然な気持ちはせず、むしろあるべき姿ともおもってしまう。そう、環はモナーク入りのスムージーを既に飲んでしまった。彼女の脳内にはモナークが根をはっている。そのモナークによって、環はすこしづつ認識を変えられてしまっている。男達からただようにモナークのフェロモンの匂いを嗅ぐと、環はエノク達の行為をすべて当然のことと受け入れてしまうようになる。

 イダニは女社長にまで手をだして楽しんでいる。イダニは胸元からスーツの中に手を突っ込んで、おっぱいの感触を楽しみつつ、女社長の頬を舐めてあそんでいる。

「お気に召した子はいましたか?」

 嬉しそうに身体をまさぐられながら、女社長はイダニ達に尋ねる。

「俺はあんたかな、シャチョウさん」

「おめえは、この前もセンセイとやってたし、老け専かよ。この年で老け専だと年食ったらホントのババァしか抱けなくなるぞ。ご苦労なこった」

「ちげぇよ、俺はなんでもいける口なのよ。じゃあ今日は3Pといくか」

 そういってイダニは女社長とフリフリ衣装の現役アイドルを指名する。指名されたアイドルと女社長は二人とも既に頬を赤らめて興奮している。

「イダニ様、みかりゅんを選んでいただいてありがとうりゅん。心を込めてご奉仕させていただきます」

「イダニ様、ジュリをご指名いただきありがとうございます。この御恩に報いるよう精いっぱいご奉仕させていただきます」

 アイドルは『りゅん』の部分でポーズをとってイダニに挨拶をする。女社長は膝をついて、頭を床にまでつけて挨拶をする。

 イダニは女社長とアイドルを両手に抱えてソファーに座る。アイドルがイダニのズボンを脱がして、年に似合わぬ巨大な一物を取り出す。そうして可愛らしいお口でイダニのペニスにチュッチュと愛情を込めてキスをはじめる。その後で顎がはずれそうなくらい大きく口をあけて、ペニスをくわえじゅぶじゅぶとご奉仕をはじめる。

 その間イダニは女社長の全身をまさぐって、スーツをはだけさせて、首筋や胸元を噛むように強く吸い付き、キスマークを付けている。

 『やっぱ老け専じゃねぇか』、と、心の中でほほえましく思いながら、エノクは周りを見渡す。そして、メイド服の少女がなぜかKクラス様に挨拶もせずに呆然とソファーに座っていたのに気が付く。

「おい、おめえどうした、ノーマルクラスのくせにKクラスの俺たちに挨拶もせずに。名前は?」

「たまき、たま坊ですにゃ~。ノーマルクラスとかなんのことか判らないのにゃ~。ごめんなさいにゃ~、たま坊はフェルミエール星に今日きたのですにゃ~」

「そういうことか。おめえは、まだ、世界の真実に気が付いていなんだな。いいぜ、そういう非常識なやつらに常識を教えてやるのも楽しいもんだ」

 環はエノクに謝罪をしながら従順に答える。反応から環は既にモナークに侵食されているだろうとエノクは洞察している。エノクはニヤリと邪悪な笑みを浮かべて、いきなり環を両手で抱きしめる。

(いい匂いがするにゃ~、幸せだにゃ~。)環はモナークのフェロモンにあてられてクラクラしている。もうろうとした環をエノクはすかさず乱暴に突き放し、威圧的に言い放つ。

「おら、パンツ脱ぎな!」

 環はその理不尽な命令に従ってしまう。理不尽であることは理解できる、しかし、従うことが正しいことと思えてしまう。そうしてメイドスカートの下のパンツを脱ぎ、エノクに差し出す。

「汚ねぇもんは床にでも捨てとけ。おら、そこに手をついて、ケツだしな」

 環は脱いだパンツを床に脱ぎ捨てる。そして社長机に手を付いて、エノクにお尻を差し出す。そしてエノクはスカートをめくりあげて、後ろから抱きかかえる、隣はとみると、イダニも同じように女社長い机に手を付かせて、後ろから抱えている。アイドルはとみると、床に膝をついて、イダニのお尻を嬉しそうになめている。短期留学生二人で同じ机を共有して仲良く遊んでいるほほえましい光景であろう、それがメイドや女社長を犯している姿でなければ。

「お前らノーマルはこうやって上位クラスにケツをさしだすのが、本当の姿なのよ」

「そうだぞ、こいつらを見習えよ。幸せそうな顔しているだろ」

 環はモナークのフェロモンにあてられて多幸感に浸りながら、エノクやイダニが呟く非常識な常識をうけいれていく。『はいですにゃ~』などと喘ぎながら、興奮している。

「ふにゃ~、あ~~~、お~~~~、アア~~、オオ~~!」

 興奮のまま叫ぶと、ついには環は頭からネコミミをはやす。エノクは一瞬驚くものの、面白そうにその耳をながめたあと、後ろから突き立てつつ、両手でネコミミをつまんでたのしんでいる。

「本物のネコミミか、面白いアイドルじゃねぇか」

「ありがとにゃん。ネコミミアイドルたま坊を応援よろしくですにゃ~」

「はは、おう、せいぜいがんばれよ」

 環はノーマルとしての常識をうけいれつつ、上位クラスに媚びながら、もはや『枕』を楽しんでいる。そうして、最後にはエノクの射精を満面の笑みを浮かべた顔面で受け止める。隣のエダニも同じように女社長に顔射を決めている。よくよく親友どうし仲がいいようだ。

 その後もエダニが環にのしかかり、エノクは女子アナやアイドル達を弄ぶ。環はエダニに継続して攻められて、多幸感のあまりついには意識が遠のいていく。

ーーー

 環が気絶から回復して身を起こすと女社長は既に身を整えていた。まだクラクラしている環に追い打ちをかけるように女社長は言葉をかぶせていく。

「そうそう、たま坊、今後の話をしますね。訓練生の間は給料はでません、稼ぎがないから当たり前ね。でも、スタジオとかのトレーニング費用は当然払ってもらいますからね。払えるかしら?」

 

 女社長はわざとらしく考えて、そのあと手をポンと叩いて思いついたかのようにいう。

「あら、そういえば、うちの系列にメイド喫茶あるわ。私がじきじきに紹介してあげるから、あなたそこで働きなさい。あなたメイド服好きそうだし、よかったわね~。時給は792ね」

 女社長からさらっと酷い言葉が追加される。どうやら提示された額はフェルミエールの最低時給のようだ。もちろん環はもうろうとしながらも同意をする。いつになろうともアイドルは過酷な稼業なのである。

(7)アカリの教育

 アカリが目覚めた空間は窓のない部屋であった。ベッドの上でしばらく茫然としていると、一人の男が若い女性を連れて部屋にはいってくる。その男をよくみれば、あのとき逮捕して銀河警察捜査官のエリッサに引き渡したマフィアであった。脇につれた女性はそのとき解放した女性である。二人とも胸に特徴的なペンダントを吊り下げていた。

「お前はあのときエリッサに。銀河警察からどうやって出てきたんだ!」

「おう、エリッサちゃんな~。彼女にはお世話になったぜ。丁重なおもてなしをしてもらったよ、性的にな。くくくく。捜査船に連れていかれたらいきなり、『私は一級おチンポ捜査官だ。お前のおチンポ様を逮捕する』だからな。銀河警察とはいえあいつらはノーマルだからな。俺らKクラスに仕えるのが、やつらの生きてる理由なのよ」

「ええ、おっしゃられるとおりですわ。我々愚かなノーマルは上位クラス様に使っていただくために生きているのですから」

 若い女性は床にひざまずく、卑屈にうなずいている。服装はとみると解放したあのときと同じように女学園の制服だ。

「おお、そうそうこいつの言う通りだぞ。こいつも元はこの星の星川学園の生徒会長だったらしいぞ。こうやって生徒を導いていたんだ。お前みたいなはねっかえりは学生のときも生徒会のいうこととか聞いてなかっただろ。そういうところ反省して、今はお前もよくいうこと聞いとけよ」

 そのときアカリの胸がドキンと鳴り響く。ガニマタハルとの会話が思い出される。

(そうだ、ガニマタハルのためにソドム市で勉強しなきゃ。)

そして、こくりと頷いてしまう。マフィアはその様子を満足げに眺めている。

「それではお姉様、まずは私がお手本おみせしますね」

 そういうと元生徒会長はマフィアをソファアに座らせて、自分もその前にひざまずく。そうしてマフィアのズボンをズボンと下着を脱がす。Kクラス特有の巨大なペニスが晒される。元生徒会長と同様にアカリもペニスをみて興奮してくる。

「まずはKクラス様に感謝の気持ちを表すことが重要です。我々のような無価値なノーマルクラスの相手をしていただけるのですから。フレド様、お恵みいただきありがとうございます」

 そういってKクラス様にペニスにキスをする。その瞬間、アカリの心の中に羨望の感情が沸き上がる。自分も感謝の気持ちをもって、あのペニスにキスをしたいと。

「ああ、そうだ。感謝は重要だな、そのとおりだ。流石は生徒会長だな」

「アカリさん、本当は素直な人なんですね。いいですわ。では実践しましょう」

 元生徒会長の胸元にはモナークのフェロモン入りのペンダントが光っている。その仮Kクラスの元生徒会長に褒められて、アカリは舞い上がるほどの自己肯定感を得ている。それでなくてもKクラスのマフィアからただようフェロモンにクラクラきている。アカリも元生徒会長の隣に正座をする。

「アカリもフレド様にご奉仕させてください。フレド様、アカリにもご奉仕させていただき感謝いたします」

 そして元生徒会長を真似てアカリはマフィアのペニスに感謝を込めてキスをする。その瞬間、胸がドキンとなり高揚感に包まれる。

「どうですか?アカリさん。ご気分は?」

「ああ、正直いって最高の気分だな、、、」

「そうでしょう、我々ノーマルにとってKクラス様にご奉仕する以上に幸せなことはないんですわ。アカリさんも理解できてきましたね」

「ああ、そうだな。なんでこんなことに気が付いていなかったんだろう」

 元生徒会長とアカリは手を握りあって見つめ合い頷き合っている。年齢は逆転しているが、真の教育者と教え子の姿を見せている。

「おう、お前ら、麗しい子弟愛だな。これからもこいつのことをよく聞いて勉強しろよ」

「はい、フレド様、ありがとうございます。アカリはテッカ様から勉強させていただきます」

 そういってアカリと元生徒会長はもう一度見つめ合い頷きあったあとに、二人してマフィアのペニスを両側から舐めはじめる。同じソフトクリームを舐める子供たちのように。舐めているあいだ、二人はたまに笑いながら目を見合わせて、幸せを共有している。そうして最初に元生徒会長が喉の奥までペニスを飲み込みジュボジュボとご奉仕を始める。その間アカリはマフィアの玉袋をなめてご奉仕をしている。そのあとアカリに変わって、同じように喉の奥まで飲み込んでご奉仕をする。そうやって二人交互にご奉仕をしながら、ときどき目線をかわして笑い合っている。

「では、これからが本番ですわ。上位クラス様に嵌めていただくと、それはもう至福ですわよ」

そういって、元生徒会長はスカートとパンティを脱ぐ。

「あたい、実は初めてなんだ」

「まあ、初めてをKクラス様に捧げられるなんて、アカリさんは幸せですわ。私もご協力しますね」

 そういって元生徒会長はアカリのボディスーツをかいがいしく脱がしていく。そうしてアカリのお尻をマフィアに向けさせて、濡れたアカリの秘所を元生徒会長の小さな手で押し広げる。

「では、フレド様」

その言葉をきくとマフィアはいきなりアカリの秘所を突きあげる。

「いかがですか、アカリさん」

「ふううう、ああああ、こんなに幸せなことがあるなんて」

「そうでしょう。我々ノーマルは上位クラス様にご奉仕するためにいきているのですから。この後はアカリさんもソドム市で上位クラスの皆さまにお披露目をしましょうね」

 アカリは涙を流しながら感激している。その様子をみながら元生徒会長はうんうんと頷いている。元生徒会長はアカリの隣に並んで自分もお尻をさしだす。そうして二人ともKクラス様に突いていただき、仲良くご奉仕を続ける。

(8)ツキシロ出陣

 フェルミエールに送りこんだバカ猫とツキシロ達は定期連絡をとっている。しかしながら、

『たま坊は星間アイドルになるのにゃ~』

『社長さんもメイド喫茶のお客様もよくしてくれるのにゃ~』

『枕はたのしいのにゃ~』

などと要領のえない返事しか環(たまき)からはかえってこなくなる。

「あの子もともとおかしな子だったけど、今のはさすがにそんな感じじゃないわね」

 ツキシロ姫はメイド服姿の御華奈(みけな)に向かって語りかけている。御華奈は言わずとしれたバカ猫環の姉である。ツキシロは『ふう~~』と息を一つ吐く、そして、真顔になる。

「心配ね、私たちも行きましょう、ミケ」

「お嬢様自らですか、、、私がフェルミエールにいって確認してきます。ここでお嬢様はお待ちください。バカ妹とアカリ様は私が必ずお守りいたします」

 御華奈はツキシロに一回大きく頭を下げる。そして顔を上げてツキシロを真顔で見つめ返す。その間、御華奈は長丈のメイド服スカートをぎゅっと握りしめている、その様子ををツキシロはじっと見つめている。口よりもその仕草が御華奈の内心をものがたっている、というように。そしてツキシロは御華奈に微笑みを向ける。

「最初にタマにお願いしたのは私です。タマほどの子に何か起きた。ミケを信用しないわけではないですが、私も行くべきでしょう」

「ありがとうございます、バカ妹のために。ですが、妹だから言うわけではないですが、環ほどのデュエルメイドはそうそういません。その環の身に何かが起きるなんて、、、、」

「そうね、ミケ、あなた以外ね。だから私がいきましょう。何が待っているのか、お互い用心するにこしたことはないですね」

 そしてツキシロ姫のお忍びでのフェルミエールへの訪問が決定される。アカリ、環を既に飲み込んだ悪徳の星フェルミエールへ。このときツキシロ達は考えるべきであった、なぜ、環ほどの使い手が容易に悪徳に飲み込まれてしまったのか。しかし、歴史にifはない。ツキシロ姫は御華奈だけをお供につれてフェルミエールに出立をする。

~~~

 フェルミエールの宙港につくとツキシロ達はロビーに向かう。ツキシロは控えめではあるが光沢のある真珠色のドレスを、御華奈はいつもながらのメイド服である。非公式ながらも一星系の姫君の訪問である。フェルミエール宙港のロビーにて女性大統領自らがツキシロ姫達を出迎える。

 スーツの下で女性大統領の豊かな胸が上下している。脇には出迎えの儀礼服姿の女性警官達が控えている。その女性警官達が全員が全員とも対暴徒鎮圧用の特殊装備を目立たないように持っている、その様子にツキシロと御華奈は違和感を覚える。このような儀礼の場になぜ特殊装備を携帯しなければならないのか。二人はお互いに目配せをする、用心するにこしたことはないと。

「ツキシロ姫、フェルミエールへのご訪問感謝いたします。わたくしはこのフェルミエールの大統領、ヴィクトリア=クロースですわ」

 ヴィクトリア=クロースは若いにも関わらず、大統領選に出馬すると非常に高い得票率で当選を果たす。選出されるやいなや、女性進出などの各種の先進的な法案を成立させてフェルミエールを繁栄に導く。若くして名政治家ということで連邦中にしられる女性大統領である。その女性大統領はツキシロに片手を差し出している。

「わざわざの出迎え感謝いたします。リーベのツキシロです。フェルミエールの繁栄を築いたクロース大統領に会うことができて嬉しくおもいます」

 そうしてツキシロは大統領の手を握りかえし握手をする。大統領は固く手を握りしめる、その手を引き寄せてツキシロを抱きしめようとする。ツキシロはその瞬間警戒レベルを最大に引き上げる。そしてそのまま大統領は無礼にもツキシロ姫にキスをしようと、唇をよせてくる。

 バシッ

 宙港ロビーに鋭い音が鳴り響き、なぜか大統領が崩れ落ちかける。キスをしようとしてくる相手の側頭を横からハイキックで一閃。疾すぎるがゆえにその場でツキシロのハイキックが見えたものはいなかった。いや、違う、御華奈を除いては一人もいなかった。他の者にはただツキシロのドレスのスカートが風でふわりと空に舞い上がった、そのようにしか見えなかった。

 崩れ落ちる大統領を逆に抱きしめると、ツキシロは大統領の真っ赤なルージュを気にもとめずに、唇を手でこじ開ける。大統領の口のなかから何かの薬物らしきカプセルが見つかる。

 そうここはフェルミエール。ガニマタハルがばら撒いたモナークの支配する星。若い女性大統領すらも当然ながら例外ではない。常には俊英女性大統領としてふるまおうとも、ガニマタハルに言われれば嬉々としてその身も心もを差し出す、そのような娼婦でしかない。真の支配者であるガニマタハルからの指示を受けて、大統領自らがおとりとなって罠をはっていたのであった。

「ミケ!」

「はい、お嬢様」

 御華奈も既に臨戦態勢をとり、猫目を輝かせ、ネコミミを頭から生やしている。そうしてツキシロは大統領を崩れるに任せると、宙港ロビー出口を目指して駆けだす。大統領は失敗した、ここに至って事態を察した女性警官達はためらいなく、特殊装備をツキシロ達に使用しはじめる。

 テイザーガンから電撃ムチが二人に向けて撃たれ、携行兵装から射出された電磁ネットが二人に降りかかり、宙港ロビーという大勢の一般人がいるにも関わらずフラッシュグレネード、スタングレネードまでも使用される。

 ツキシロと御華奈は後ろに目がついているのであろう、テイザーガンの射線をきれいにかわす。ネットのような自由落下の速度でツキシロ達を捉えられるわけがない。ツキシロ達は目を閉じ、耳を抑えるだけで、閃光と爆音の中を駆け抜けていく。御華奈はそのとき人耳のほうを押さえていた。とすれば、やはり、ネコミミはただの飾りなのであろうか。

~~~

 そうしてツキシロ達は無事に囲みを抜ける。裏通りの廃墟らしきビルの一室に先ずは身を隠す。落ち着いたところでツキシロ達は携帯端末を使って情報を探す、しかし、宙港での騒ぎはどこでも報道されていない。それどころかどこを検索してもSNSにすら痕跡もない。

「フェルミエールの闇はどこまで深いのかしら。若い女性が洗脳され、その裏をアカリは追っていた。そして、フェルミエールでは、若くて美しい女性大統領自らが罠を張っていた。また、宙港のような公共の場で女性警官達がためらいもなく特殊手りゅう弾を使用する。その騒ぎが今の世にSNSにすら上がらない」

「お嬢様。お嬢様は恐ろしい可能性を示唆していますか?」

 ツキシロは一回息をのむ。色白の美しい顔をすこし歪めながら、ゆっくりとしゃべりだす。

「ええ、そうよ、ミケ。彼女達は全員洗脳されている。もしかしたらこの星の全住民が。でなければ、あんな場でためらいもなく特殊手りゅう弾を使わないわ、いくら洗脳された警官であろうとも。そして、宙港ロビーには老若男女大勢の人々がいた、にもかかわらず、誰一人ネットに呟きすらしない」

 二人は既に次の可能性に気が付いている。この星の全住民が既に洗脳されている。その星にアカリと環がまだいる。アカリと環もこの星に既に取り込まれている可能性がある。いや、環の様子、連絡の取れないアカリ、そうと考えるべきであろう。そして更に次なる可能性に思い当たる。環ほどの子がなぜ簡単に取り込まれたのか。

「ミケ、あのとき、そう、銀河警察が来たとき、タマは彼女らから何か貰って飲んでたわね」

「まさか、、、しかしですね、彼女たちは銀河警察の捜査官ですよ。ですが、確かに環があっさり洗脳されるのは、、、」

 恐ろしい可能性だ。どこまでフェルミエールの闇は広がっているのか。ツキシロ達は遺伝子改造された無敵のブーステッドマンである。もはやその技術は失われ対抗できる人間は存在しない。その彼女たちが目前の闇に震えておののいている。

「痕跡を調べましょう、エリッサさんとイツキさんがフェルミエールの闇に取り込まれていないか」

「お嬢様、攻性ワームを使いますね。フェルミエールのネットを隅から隅まであたってみます」

「ええ、もう事ここに至っては外交問題どころではないですものね」

 しかし実際には攻性ワームを使うまでも無かった。銀河警察特務捜査官のエリッサがフェルミエールの朝のTVニュースに出ているシーンがすぐに見つかったのである。ツキシロは『はあ~』といい、頭を押さえる。

「ビンゴね。エリッサさんはフェルミエールに捜査にきていた。彼女は特務捜査官よ。顔をしられていい立場の人間ではないわ。その彼女が何故かこれだけ大っぴらにニュースに登場している。既にフェルミエールの闇に取り込まれていると考えるべきでしょう」

 そしてニュース映像を繰り返し視聴する。この惑星の闇の欠片をみつけるために。

「そしてこのニュース、スタジオの人間が全て若くて美しい女性だわ。考えたくないですが、なんらかのプレイをさせられているのかも。もちろん彼女たちは喜んでやっているのでしょう」

「お嬢様、、、、、」

 アカリ、環、イツキ、エリッサ、そして女性大統領や更には女性警官達もどのようなことをさせられているのか、御華奈とツキシロは視線を床に落とす。

「口にするものには全て気を付けなさい、ミケ。携帯食糧はどれだけあります?」

「はい、私の分は1日分は。伸ばせば3日程度なら」

「それだけあれば、十分ね。まずはアカリとタマを救いだしましょう。タマはメイド喫茶とかいっていたわね」

 気を取り直してツキシロは御華奈に指示をだす。しかし、このとき更なる可能性にツキシロは気が付いていなかった。エリッサ特務捜査官の異常にツキシロですら気が付いた。特務捜査官のTV出演というありえない証拠が残っているのである。にもかかわらず、なぜ、銀河警察本部はそのことに気が付かないのか?

(9)環のメイド体験記

 いつものメイド服を着て、頭に得意げにネコミミを生やして、環はメイド喫茶にいた。二人組の男達に環は接客をしている。その二人組はメイド喫茶には似つかわぬマフィアらしき強面で、胸にはネックレスを下げていた。

「ご主人様、お帰りなさいませませにゃん。ご注文は何にいたしますか?」

 『ませませ』のところで胸の前で猫手に握った拳を上下に振り、顔をかしげながら挨拶する。どうもこの店での源氏名も『たま坊』ようだ。胸に付けた名札にかわいいフォントで『たま坊(はーと)』と書いてある。いつも以上に大袈裟に媚を売りながらのご奉仕となっている。

「赤ワインと『た~ま坊』」

 と、いいながら小太りのマフィアの一人が胸の名札を触ってついでにおっぱいを揉みしだく。

「ご主人さま~、メイドへのパイタッチは禁止ですにゃん(はーと)。いたずら好きのご主人ですにゃ~(はーと)」

 全然嫌そうな感じもなく、いや、むしろ喜んだ素振りで注意をするが、触るがままに身を任せる。

「じゃあ俺はブランデーと、たま坊のお・し・り」

と、いいながらもう一人の痩せぎすのマフィアもにやけながら、フリルのついたスカートの中に手を突っ込んでフニフニとお尻を揉む。

「も~、ご主人さま~、尻タッチもだめですにゃん(はーと)。えっちなのはいけないと思います」

と、人差し指と親指を立てて言いながらも、別にお尻を振りほどいたりはしない。しばらくたま坊の身体を堪能して両名は手を離す。すると、たま坊は両手を広げて次々と二人に抱き着いて、ほっぺに順にキスをしながら耳に囁く。

「でもでも、た・ま・ぼ・うのご指名ありがとですにゃん。嬉しかったですにゃ。これ以上は夜のお店でたっぷりご奉仕するにゃん。是非是非来るですにゃん」

そういって耳をクイクイ動かしながら、胸の隙間から名刺のようなものを出して渡す。

「たまにはこういうのも新鮮でいいな~」

「だろ~、俺ぐらいになると素人みたいにフェルミエールでいきなり地下へは行かないものよ。通は一回地上を堪能してから行くものよ」

「もういっそオムライスとかたのんじゃうか?」

 小太りと痩せたマフィアは楽し気に会話を繰り広げている。その後ろで窓越しにツキシロと御華奈は店内の様子をうかがっていた。マフィアとじゃれあっている環の様子をみて、ツキシロは頬を膨らませてながら、つい呟く。

「う~~ん、あの子、微妙にいつもと同じで違和感ないのがイラつくような。ほっとこうかしら」

「お嬢様」

 御華奈がツキシロをジト目でつい注意してしまう。

「判ってる、判ってるわよ、行きましょう」

 そしてメイド喫茶のドアをがばってあけて、堂々と店内に押し入っていく。

「タマ、時間ですわ、帰りますわよ」

 環はツキシロと御華奈をみてあっけにとられて、ポカンと口を開けている。当然のことながらバカ猫の頭から既にアカリの救出のことなどは消え去っていた。

「お嬢様、、、、たま坊は判ったのですにゃ、たま坊はアイドルになるために生まれてきたのですにゃ。たま坊には少しですがもうファンもいるのですにゃ。今日ここでもお二人も。ファンを裏切れないですにゃ~、もう、追わないでくださいですにゃ」

 オーバーな身振り手振りをまぜた、臭い演技感たっぷりで環はしゃべり続ける。『もう追わないで』の部分などは、悲し気な顔を浮かべて、ツキシロ達からくるり背を向けた。名演技であった、環の中だけでは。人をイラっとさせる、ある意味アイドルらしい子芝居だった。

「うぜぇーーーーーーーーーーーー!ミケ、やっておしまい」

 ツキシロも何故か対抗して、芝居がかった風で御華奈に指示をだす。

「タマ、帰りますわよ」

「ミケ姉のいうことでも聞けないのにゃ」

 そうして御華奈は環のほうに体を寄せる。御華奈は環のメイド服を掴んで、拘束しようとする。環はかわして逃げようとするが、間に合わずメイド服を掴まれてしまう。環は逃げようと強引に身体を振り回す、すると、メイド服が裂けて、ブラが丸見えになる。

「ミケ姉、アイドルの魂であるメイド服を、、、許さにゃいですにゃ~」

 仕返しに環は御華奈のロングスカートを爪でビリビリに引き裂く。そして御華奈の筋肉質なふとももとパンティーが露わになる。

「タマ、お仕置きですわ」

 御華奈がさっと腕を振ると、環のスカートが途中から切れて床にふわりと落ちる。そして一瞬にらみ合いに、その後掴みあい、メイド服を剥ぎ合って、お互いボロボロの布だけをまとった状態になる。

 突然はじまった、メイドさん二人のキャットファイトに店内は大盛り上がりである。

『たま坊~、ファイト~』、『いけいけ~』、『おれはあっちのクール系メイドさんのほうがいいな~』などと応援の声が各所からあがる。

 そして、興奮のあまり御華奈の頭からもネコミミが生えてくる。半裸の美少女二匹がお互いネコミミを生やして、床に四つ脚でたち、腰を上げてうなり声をあげて、にらみあっている。

「マーオ」

「マーオ」

「マーーーオ!」

「マーーオ!」

「マーーーーーーーーオ!!!!!!」

「マーーーーーーーオ!!!!!」

「ギャフベロハギャベバブジョハバ」

 二人はくんずほぐれつの闘いを繰り広げる。そして、一日の長のある御華奈が環の腹にいい横蹴りを決め、環が吹き飛ぶ。

  戦いの最中、ツキシロは腕組みをしながら二人の闘いを見守っている。そのツキシロに太ったマフィアが近寄ってくる。太マフィアはだらしないニヤニヤ笑いを浮かべて、たま坊に手を出したように、ツキシロのお尻に手をだしてくる。ツキシロはその動きをちらりと視線にいれながら、すっと体をかわす。太マフィアは更に手をだそうとするものの、ツキシロは絶妙な体捌きでかわしつづける。

 環が吹き飛ばされた場所は、メイドさん達の着替えが飾られたコーナーであった。着替えが吹き飛び、環の上からバニー用のウサミミがふってきてスポっとはまる。環は横からヒトミミ(本物)、頭からネコミミ(本物)、前にウサミミ(偽物)をはやしてもやは良くわからない生き物になっている。

「ミケ姉、もう、怒ったぞ~」

 そういって全身の毛を逆立てて、目を爛々とかがやかせて、四つん這いで吠える。

「怒ったらなんなのよ、タマ、帰るわよ」

 御華奈は余裕を見せて上から環を見下ろす。その余裕が良くなかった。バカ猫は背を向けて、御華奈から反対側に四足で手と足を交差させながら、ウサギのように跳ねていく。そしてそのまま壁を駆けのぼり、天井に張り付くや、天井も四つ足のままで駆け抜けて、御華奈の背後のお店の入り口まで到達する。

「ミケ姉、おぼえてろですにゃ~」

 そのままお店の扉を突き破り、環は脱出に成功する。御華奈は慌てて追うが、もはや環は人込みにまぎれて見つからない。その様子をみて、ツキシロはまたもや頭を抱える。しかしその間も太マフィアはツキシロにタッチをしようと手を出し続けている。『あのバカ猫はどこまで迷惑をかければすむの』などと考えながらも、ツキシロはひらりひらりと太マフィアの手を躱し続ける。

 そうしてあしらい続けるのに飽きたのか、さすがに最後にツキシロはぴしゃりといい放つ。

「わきまえなさい!」

 そして、太マフィアのほほを軽くはたく。そして、その時に実はツキシロは目に見えない速さで『あるもの』を太マフィアからすりとっていた。その後、くるりと身をひるがえし、意気消沈した御華奈とともにツキシロはメイド喫茶をあとにする。

 後にのこされた太ったマフィアは頬をおさえている。同僚の痩せノッポのマフィアが顔を覗き込む。

「いい。フェルミエール最高」

 Mっけもあるのであろう、太マフィアはニヤニヤして呟いている。痩せマフィアはやれやれと肩をすくめている。

(10)ミシェールの異常

 ツキシロ達がフェルミエールに潜入する少し前、テルミナスの銀河警察本部に場面は戻る。最近、銀河警察次官のミシェールには気にかかることがあった。アンドンヒル長官のことであった。といっても仕事上のことではない。銀河警察の次官として長官の指示や要望などは上手くこなしており折り合いが悪いなどということはない。というかその真逆といっていい。長官室に呼ばれ指示を与えられる度に異常な喜びを感じる。長官から言われたミッションをこなし報告する度に想像上のパタパタと尻尾を振っている自分に気が付く。

 長官に対して身の振り方のうまいある意味頭のいい人間という認識はあれど、人間的な魅力を感じるようなことは今まではなかった。しかし、今ははっきりと魅力を感じている。彼女自身は結婚もしているので意識までは上らせないが、それは性的な意味を含むものであった。

 今日も定例会議後に一件長官に報告せねばならないことがあった。いそいそと乙女のように胸を弾ませながら長官室にミシェールは向かうのであった。長官室ではいつものようアンドンヒルはラフな格好でくつろぐように仕事をこなしていた。

 瞳が潤み上気した顔のミシェールが入ってくると飄々とした彼に似合わぬニヤリとして笑みを浮かべた。ミシェールは一礼をすると要件を報告し始める。癖になっているのであろう、机上においた天秤と剣を持つ女神の像に片手を置きながらアンドンヒル長官は報告を聞き終えた。

 報告を聞き終えた後で内密の話をするかのようにアンドンヒルはミシェールをそばに呼びよせる。そして極めて自然にミシェールのタイトスカートに包まれたお尻を片手で触る。ただ触っただけではなく握りしめている。長官室という密室とはいえそんなセクハラ行為は許されるはずがない。ミシェールも許される行為ではないことは知識としては持っていた。しかしその知識はもはや教科書で学んだだけの机上の空論などとしてしかミシェールには認識されていない。実践では長官のすることは全て正しいこととミシェールには思えてくる。何より触られているお尻から伝わる安心感や快感が行為の正当性を裏付ける。

 セクハラ行為を笑顔で受け入れているミシェールの反応にアンドンヒルは満足をして行為をエスカレートさせる。タイトスカートを大っぴらにめくりあげる。ミシェールのすらりと伸びた脚の美しさが更に際立つ。下着の中に手を入れて直にミシェールの脂ののった臀部を味わう。

「ミシェール君、もうちょっと下着は派手なものがいいかな」

「了解しました。長官」

 ミシェールにとっては通常の業務上の示唆と変わらないように思え笑顔で受け入れる。

「しかし、科学者の執念とはすごいものだな。君のような優秀で正義感の強い人間までこうなってしまうとは」

「長官どういうことですか?」

「いや、ミシェール君。君が気にする必要はない」

長官がそういうのだから自分が気にする必要は全くない。ミシェールは完全に納得をする。

「ああ、そうそう、上司のお土産だからといって得体のしれないものを注意せずに食べるのはよくないよ。ミシェール君」

「はい、今後注意します」

(11)地下都市ソドム

 リーベ星の姫ツキシロとそのメイドの御華奈(みけな)は一旦アジトとした廃墟に戻る。環をとり逃して、御華奈は可哀そうなくらい消沈している。その御華奈にツキシロは声を掛ける。

「ミケ、そんなに気を落とさないで。タマの行く場所は判っています。ここを調べてみなさい」

 そういって『あるもの』を御華奈に差し出す。そう最後に頬を叩いて気をそらして、太マフィアから掏り取った、環(たまき)の夜のお店の名刺である。

「流石はお嬢様です。早速しらべますので、おまちください」

 すかさず御華奈は携帯端末でそのアドレスにアクセスしようとする。しかしながらアクセスは拒否される。そう、そのアドレスはフェルミエールの上級クラス様専用の裏ネットであった。

「お嬢様、アクセスが拒否されます。ですが、名刺に書かれるようなネットです、そこまでの暗号強度ではないと思われます。正攻法でいけると思いますが、いかがですか?」

「正攻法ね~」

 ツキシロは御華奈をチラッと眺める。そして、この頃くせになってしまったように、また、ツキシロは頭を抱える仕草ををする。その反応から御華奈の『正攻法』とやらが、ろくでもないものであることが判る。

「いいわ、やりましょう」

 御華奈は端末を叩いて星系外と回線をつなぐ、そう、ツキシロ王女の星、当然御華奈の故郷でもあるリーベ星との回線である。そして一分後には秘密鍵を復号して、あっさりと裏ネットへアクセス可能となる。その一分間、リーベ星にある全プロセッサーのCPU時間の7割が何者かに専有される、という被害が発生していた。

『国民にばれたら、また怒られるわね。まあ、それは後の話ね。今は今のことに専念しましょう』

 ツキシロは心の中でこっそりとつぶやく。『また』という聞き捨てならない副詞がついているのは気のせいであろう。

 ツキシロと御華奈は二人して携帯端末を除きこむ。接続された上級クラス専用の裏ネットにはデタラメな光景が広がっていた。

 裏ネットのストリーミングサービスでは、現役の女子アナが下着姿でニュースを読み上げていたり、体操の時間ではレオタード姿の体操のお姉さんがストリップショーを繰り広げたりしていた。

 また、表放送の番組ではリポーターがノーアポで一般家庭を訪問してその家庭の料理を味わい、裏ネットではその家庭の娘や奥さんをKクラスのゲストが美味しく気ままに味わっている様子が配信されている。

 表の長寿番組では新婚カップルがスタジオに呼ばれて面白可笑しく司会者にいじられて、裏ネット版では同じスタジオで出演の新婚カップルをKクラスのゲストが弄り犯したりしていた。

 また、あるリンクをたどると、学園などの更衣室やトイレの監視カメラの生映像が配信されており、その中にはフェルミエール警察の性風俗対策課の更衣室なども含まれていた。

 『お困りのときは』のリンクは、そのフェルミエール警察の性風俗対策課に繋がっており、捜査官を使った性欲処理やレイプの手伝いなどを気軽に頼めるようになっていた。

 そしてホームページの真ん中にでかでかと『あのフェルミエールのアカリ王女、ソドム市にて本日 On Stage!』という表現も踊っている。その脇には、『新星アイドルたま坊もご奉仕するにゃ』というセリフとともに、たま坊が笑顔を浮かべて、メイドスカートだけを履いて、上半身は裸で控えめなおっぱいを晒していた。

「見つけたわね。ソドム市とは言いようね。あの子達を助けに行きましょう」と言った後に、ツキシロは『はぁ』と大きなため息をつく。そうしてツキシロと御華奈は見つめ合う。ツキシロの顔には、『さてさて、どうソドム市に突入しましょうか』、と書いてある。御華奈はツキシロを見つめながら、何か考え事をするように顎に手をあてている。そうして考えがまとまったのであろう、ツキシロに意見をする。

「今回は正攻法はやめましょう、お嬢様。地下のソドム市というところは享楽のための都市のようです。無用な騒ぎを起こさないように変装道具や武装を見繕ってきます。お嬢様はここでおまちください」

 御華奈はそういってツキシロをいったん留めたあとに、廃ビルの窓から軽々と飛び出していく。

~~~

 御華奈が出かけた後で、ツキシロは携帯端末で通信を始める。惑星全体が敵勢力化である、そのような状況で頼れる場所、そう銀河警察本部である。ホットラインをつないだため、銀河警察アンドンヒル長官と次官のミシェールが通信に対応する。ツキシロは挨拶も抜きにいきなり本題から話を始める。

 大統領含めて星全体の人間が洗脳されている可能性がある、エリッサやイツキもそのフェルミエールの勢力に既に洗脳されているだろう、そのようなことも含めて現状を説明する。エリッサやイツキも性奴隷として使われているだろうことはあえて伏せてはおいた。もちろん、銀河警察の長官がそのようなことに感づかないような愚か者でないであろうが。

「ふむ、すべての話をすぐに真に受けるわけにはいけません。が、その話が本当だったとしてもフェルミエールは独立国家です。大統領も民主的な選挙で選ばれている。我々の銀河警察の権限が及び範囲に限りがあることもご理解いただけるかと思います」

 優秀な部下や一星系が洗脳されているというとんでもない話を聞いても、アンドンヒルは変わらず飄々と会話を続ける。癖になっているのであろう、いつものように天秤と剣を持つ女神の像を手で上から押さえつけながらしゃべっている。

「フェルミエール警察自体が既に敵の組織そのものに塗り替えられている、そして、そもそもアカリ姫も帰国を望まない可能性がある。その状況では、我々銀河警察はアカリ姫の救出には直接の手助けは今はできません」

「それは覚悟しています。アカリと環は私の手で救い出します、必ず」

「とはいえ、そのような状況ではお困りでしょう。アカリ姫を救い出してもフェルミエール星から脱出せねばならない。船を出しましょう」

 アンドンヒルはいつもの表情を崩さずに会話を続けている。ニコニコとしかしながら目は笑っていない、油断のならない食わせ物の表情だ。この男が驚いたり怒ったりするということがあるのだろうか。

「アンドンヒル長官、感謝します。しかしこの状況では命がけになる可能性があります。そして入港が阻止される、もしくは、入港後に接収される可能性も0ではありません」「そのご心配には及びませんよ、ツキシロ姫。一応、私も警察官ですので、覚悟はできてますよ。銀河警察長官には武官としての連邦官特権もあります」

「というと、、」

「ええ、わたくしアンドンヒルめがお姫様の危機をお救いに白馬にのって参上いたします。ですが、連邦官特権を振りかざしたところで、何日も宙港にとめているのは危険です。部下をむやみに危険にさらすわけにはまいりません、なるべく早く乗船をお願いします」

 白馬に乗った王子様を自称する間も、ニコニコとしてはいるものの、アンドンヒルの口元は笑ってはいない。その後、二三細かい事項を確認して、今夜中に必ずフェルミエール宙港に向かうことをツキシロは約束して、通信を終える。

 そして、このときもツキシロは見逃している。長官の脇に次官のミシェールがひかえている。そのミシェール次官のシャツの上からも判るほどの、下着が非常にド派手な色をしていることを、そして、銀河警察次官に似合わぬガーターベルトをしていることを。見ることと観察することは違う。普段であればツキシロも違和感を覚えたかもしれない。しかし、注意深いツキシロであっても、ここフェルミエールの異常事態にあてられて、すでに冷静さを失っていたのであろう。

~~~

 小一時間すると袋を抱えて御華奈が戻ってくる。袋の中に準備されていたのは、ボンテージのビスチェ、コルセット、ショートパンツにヒール、そして、蝶を模ったマスク、更には武装としてのムチであった。ご丁寧にどこから集めたのかすべて白で統一されていた。

「ミケェェ~~~~、私は王女ではあるけど、女王様ではないのよ、、、、、、少なくともまだね」

「お嬢様、この格好ならソドム市に潜りこんでも絶対に怪しまれません」

「いや、それはそうかもしれないけど、、、」

 ふと御華奈を見るとセーラー服に着替えはじめている。紺のセーラー服は同色の伝統的な丈の長めのプリーツスカートと合わせてある。そして傍らには日本刀がおいてある。ツキシロの視線に気づいた御華奈はにっこりと微笑む。

「日本刀を持参してもセーラー服なら絶対に怪しまれません。セーラー服美少女はすべからく日本刀を持っているものです」

「ええっと、それ、どこの常識?あと自分で美少女っていう?」

ツキシロはすべからくにまで突っ込むのは流石にやめておいた。

「でも、まだそちらのセーラー服のほうがマシね。ミケ、交換しましょう」

御華奈はわざとらしく驚いたふりをして目を見開き大きく口をあける。

「お・じょ・う・さ・ま。いまどき風俗店でもそんな※※☆がセーラー服着て出てきませんよ」

※※☆をむにゃむにゃ誤魔化しながらいう。

「ミケ!!!!あなた今心の中でババァっていったでしょ。私の年でババァといわれる筋合いはないわ」

 同じく目を大きく剥き出しながら御華奈にツキシロは詰め寄る。光輝な美女のツキシロと猫ミミ美少女の御華奈が目を剥き出して見つめ合う。それは絵になる光景であった。しばらく見つめ合ったのちに、最初はクスクスとそしてそのうちお互い大笑い始める。ひと笑いして落ち着いたあとに苦笑いをしながらツキシロも女王様コスチュームに着替えを始める。

「はぁ、まあ仕方ないわね。確かにこの格好なら怪しまれないでしょう。でも、流石ミケね。こんな短時間で武器や変装用具を揃えるなんて」

「お嬢様ならどんな武器を使っても超一流です。アカリ様とバカ猫を連れて帰りましょう」

 長年の付き合いを思わせるお互いに信頼のこもった視線を交わすのであった。

~~~

 地下都市の入り口は地上からは隠された空間にあり、フェルミエールの性犯罪対応課の女性捜査官が護衛をしていた。性犯罪対応課の本物の女性捜査官は、淫らなコスプレ捜査官の恰好をしていた。日本刀を携えたセーラー服美少女とムチを持った女王様ルックの美女が堂々と入ろうとすると、女性捜査官達は笑顔で通過させる。

(ねっ、セーラ服美少女と日本刀はセットなんですよ。1ミリも疑われません。お嬢様もお似合いですよ。)

(うるさいわね、、)

 御華奈とツキシロはひそひそ話を繰り広げる。

 地下空間は巨大な歓楽広場となっていた。爆音の鳴り響くなかに、なんか箇所かのステージが存在する。ステージ上でポールダンスをするもの、ステージへの通路で身をくねらせるものアピールするもの、直接で客席で給仕するものなどがいた。

 ステージや花道などで若い女性達がアピールや給仕をしている、それらの多くのものがフェルミエールの女学園生らしい。なぜ女学園生と思われるかというと、皆が皆制服の上に学園名の入ったエプロンをしているからだ。しかしそれらの制服は元の特徴は辛うじて残しているものの、男の眼だけを楽しませるように、歩くだけで下着が見えるように過剰なまでにミニにされたり、各部にスリットなどを付け加えられたものであった。

 その場の女学園生達は皆一様に輝くような笑顔を浮かべていた。モナークに寄生された女学園生達にとって、この場に参加して上位クラスの方々に奉仕できる機会を得るということは一種のステータスであった。事実、星川学園からは容姿端麗な選抜クラスのものが多くこの場に派遣されていた。ノーマルクラスの人間は上位クラスに奉仕している間、脳内のモナークにより快感と共に肯定感をえられる。そのため、この場にいるノーマルクラスの女学園生達は全て自ら志願してご奉仕するために参加しているのである。

 その周りには堅気のものとは思えない気配を漂わせた男たちが椅子に座って酒をあおっていた。気が向くとステージ上や給仕をしている女学園生に声を掛けて傍らにある小部屋に消えていく。いや、そのようなこそこそとせずにその場で巨大な一物を女学園生にしゃぶらせているもの、ステージに手を付かせて後ろから励んでいるものなども多くいた。

 また客の中には比較的幼い少年たちもいるがモヒカンや全身に墨をいれているものなどが多く、『エノク、やっぱここは最高だな~』、『がっつくなよ、エダニ』などと非常識な空間で普通の少年同士の会話をしていること自体が、逆に異常な者たちであることを示していた。

(想像以上の光景ね、ソドムとはよく名付けてものね。)

(はやくこの空間からアカリ様とバカ猫を連れ出しましょう。)

 ツキシロが辺りを観察していると、一人のマフィアと偶然目が合ってしまう。地上のメイド喫茶で頬を殴られたあの男である。その男は眉をしかめてツキシロを見つめると近づいてくる。ツキシロにとってこの程度のマフィアを無力化することなど造作もない。しかしアカリ達をまだ見つけていない現状ではあまり大きな騒ぎは起こしたくない。ムチを握りしめて無力化の手順を考えながら、かつ、逃走経路のシミュレーションをしつつ御華奈に目配せをする。

(どうしようもなければやるわね。あなたもあまり騒ぎを起こさないように。)

(了解しました、お嬢様。周囲は私が警戒します。)

「あのときはよくも、、、ご丁寧にムチまで持ちやがって」

 マフィアの男は近づくなり声を掛けてた。もはや猶予はない。ツキシロは諦めて隣にいる御華奈にうなずいた後に、マフィアの急所に向けてムチを振りかける。

「判っているじゃねぇか!流石はソドムシティ。女王様、この豚めに愛のムチをお恵み下さい!」

 そういって小太りのマフィアは、お菓子をねだる子供のようなキラキラした澄んだ目でツキシロを見上げる。あっけにとられたツキシロは隣にいる珍しく困った目をして御華奈に助けを求める。

(女王様、臣下がムチをご所望ですよ。)

(お・じょ・う・さ・までしょ。それに臣下ってなによ。ほんともう。)

 御華奈は人の悪いニヤニヤ笑いを顔に浮かべてツキシロをけしかける。耳を立てて縦に伸びた瞳孔を持った目を見開き、そのまま空間にニヤニヤ笑いだけを残して消え去っていきそうだ。

(騒ぎを起こすわけにはいけませんよ、お嬢様。)

(仕方ないわね、、、)

「この豚!!!そこに膝まづきなさい。女王の眼前です」

 美しい声を響かせてそう言うなり、華麗にムチをしならせ床を叩く。ビシィィィィィという音が鳴り響く。マフィアは嬉しそうにツキシロの前に膝まづく。マフィアは期待で既にズボンの下の性器を大きくしている。

 ヒュンヒュンという華麗な音を立てながらムチをマフィアの身体に走らせる。身体にムチが当たる旅にピシッという非常に高く鋭い音が鳴り響く。しかし類まれな身体能力を誇るツキシロである。鋭い音だけはするが身体にダメージを与えず痛みも少ない愛のある超絶技巧でムチを振るい続ける。ムチが当たるたびにマフィアは『女王様』、『あああ、じょおうさま』、『ぶひぃい』っとなんともいえない声を上げている。

「お前のような豚が女王様の前で服を着ているのはおかしいと思わない?豚は豚らしくしなさい!」

 そいうって、今度はマフィアのズボンにムチを立てる。ツキシロが白いムチをしならせるたびに光線が空間を切り取るような錯覚すら覚える。事実、ムチによりズボンがパンツが切り裂かれていく。しかしその下から見える小太りのマフィアの肌には傷一つついていない。剣ですら困難なのにムチという武器でこのようなことをしてみせる、恐るべき技能である。

 そしてついに豚マフィアは半裸に向かれて、ギンギンに勃起をした一物を晒すことになる。回りにいる女学園生達は現れたその一物にご奉仕したそうにしているが、当然Kクラス様の邪魔はすることなくプレイを見守っている。

「なんですか!その一物は。はしたなく勃起をさせて。ムチうたれるのがそんなに嬉しいんですか。このクソドM豚が」

 その後もツキシロはフンフンと真摯で苛烈で温情のあるムチと真心を込めた蔑みを豚マフィアに放ち続ける。頃合いになると白いムチを黒光りする一物に放ち綺麗に巻き付けて、ごくわずかな笑顔を向ける。

「豚にしてはよく我慢しました。ご褒美です」

 一物を巻き付けたムチを器用に操り豚マフィアを横に転がす。そして、白いヒールの土踏まずの部分で床に転がったマフィアの黒い巨大な一物を器用しごきあげてやる。しごきあげているうちについにはマフィアの一物から十数秒にわたり白い液が射出される。回りにいる女学園生が這いつくばって床に広がる精液を嬉しそうになめとりはじめる。

 ツキシロは白のヒールで柔らかくなった一物をまだ押さえながらも愛情を持った軽蔑の眼差しで最後に見下ろしてあげる。豚マフィアは文字通り昇天しそうな顔でバカみたいに口を開けてツキシロを満足げに見上げる。ツキシロと豚マフィア、まさにWIN-WINの関係である。顧客満足度をとればさぞや高い数値を示すであろう。さすがは皇太女、女王様の資質満点のツキシロであった。

「お嬢様。ちょっと」

「女王様とお呼び!」

 ツキシロはまたもや床をムチで叩きビシッと響かせて決め顔で御華奈に返事をする。

「あの~、お楽しみのところ大変申し訳ありませんが、アカリ様が、、、」

 さすがにツキシロはハッとした顔になり御華奈が指すステージの入り口を眺める。そこには赤のバニースーツらしきものを纏ったアカリが登壇してくるところであった。

「We are tonight’s entertainment!(我々は今夜の慰み物です。)」

 そういいながら手下の海賊たちとアカリはキャットウォークをノリノリで踊りながら歩いてくる。トレードマークの赤は変わらないものの衣装は大きく変質を遂げている。アカリの身に着けるバニースーツからは性器とおっぱいの部分に穴が開き、完全に露出している。手下どもの纏う黒のバニースーツも同様な仕様となり、客の目を楽しませている。

「上位クラスの皆様にご奉仕するにゃん」

 別のキャットウォークからも同じように環が歩いてくる。環のほうはいつものミニスカメイド服姿である。そうして舞台中央のピンク色のポールの付近まで歩いていく。側頭まで上げた右脚を右手で抱えて、まずは綺麗な片足バランスをじっくり見せる。ミニスカートの下から環のパンティが丸出しになっている。ゆっくりと足をおろすと、ピンク色のポールに絡みつき、見事なスピンをみせる。

(行くわよ、あなたはバカ猫を。私はアカリをやります。)

 御華奈は日本刀を抜き、環に襲い掛かる。環は日本刀の一撃を軽々とかわす、そして、とっさにダンスをしていたポールを引き抜き、棒術の中段構えをとる。その後、姉妹であり達人同士の刀と棒によるすざまじい剣戟が繰り広げられる。

 その間にツキシロは客席から飛び出して、まずはアカリの手下達の処理にかかる。トリッキーでいながら力強く直線的な、優雅に見えるが目で追えないほど素早い身体捌きで的確に一撃で急所を射抜いていく。ツキシロが手下の脇を通りすぎる、そして白いムチをふるうたびに、一人、また一人と手下は床に崩れ落ちていく。何人か手下が倒されたところで、流石に客達も異変に気が付く。そして警備の人間がツキシロ達に走り寄る。警備の人間のほとんどは性風俗対策課の女捜査官であるが、その中にあの銀河警察の捜査官達もいた。そう既に洗脳され自分たちノーマルの人間は上位クラスの人間の性奴隷であると信じ込んでいる、特務捜査課のエリッサとイツキである。

 変身機能付き強化服のミミクリーは特務捜査課などのエリート部隊にしか貸与されない。しかしながら、その強化服は今や強化服としての機能をなしておらず、性器や臀部や乳房の部分が露出して、上位クラス様が肉体に自由にアクセス可能となっている。

 特務捜査課の二人はガニマタハル様の命令どおりにツキシロを捉えるために、チーム戦を仕掛けてくる。後衛のエリッサがテイザー銃でフォローしながら、前衛のイツキが愛刀カマイタチを腰だめにしながらツキシロに突っ込んでいく。

 そして、イツキは愛刀を鞘から抜くや、正眼に構えて、ツキシロに名乗りを上げる。

「ガニマタハル様の愛人にしておまんこホール!イツキ=パーシモン!僕のフェラは疾風怒濤、僕の手コキは紫電一閃。上位クラス様の楽しい性生活を邪魔するノーマルは許さないぞ!)

 そう、イツキの中だけでは、、、

 現実には「ガni、、、」という音が聞こえるか聞こえないかのうちに、そう、イツキが愛刀を正眼に構えているその最中に、ツキシロは音もなく身体を寄せる。そして、至近距離からイツキのボディに拳をいれる。イツキはその腹パン一発で膝から崩れ落ちる。床を見るとイツキは幸せそうにうつ伏せ状態で芋虫のようにお尻だけ上げて気絶している。口だけ動いているのは、まだ脳内では口上を唱えているのであろう。

(この子、もしかして名乗りを上げようとした?戦闘なのよ!バカなの!死ぬの!サムライなの?私は恥知らずの蒙古軍なの?)

 ツキシロは心の中でつい突っ込みをいれる。前衛のイツキがあっさりと無力化されてしまった。そして性風俗対策課の面々もツキシロにより次々と倒されていく。しかしながら後衛のエリッサはあくまで冷静にテイザー銃でツキシロを狙い続ける。そこに変態バニーのアカリが襲い掛かってくる。ツキシロが手塩にかけて鍛えたアカリである。イツキのようなわけにはいかず、一閃二閃とムチと拳、脚と脚が交わる。ツキシロの動きが緩んだそのすきに、エリッサはテイザー銃を撃とうとする。

 しかしそのテイザー銃は、ダダッという音と共に跳ね飛ばされる。そう、戦闘の最中、背中に隠したミニマシンガンを取り出し、御華奈が銃撃したのであった。そしてセーラー服姿の御華奈の片手にはミニマシンガンが握られてエリッサに狙いを、片手の日本刀では環をけん制している。

(あの子、持ってるならもったいぶらずに最初からマシンガン使いなさいよ。)

ツキシロはまたも心の中で愚痴る。

 銃声を聞くや否や星川学園をはじめとした女学園生やマフィアの子弟は蜘蛛の子を散らすように逃げ惑い出口に殺到する。

「うひょ~、いいね~。やっぱり、セーラー服には機関銃だよな。最近はどいつもこいつも日本刀持ちやがって、、、と思ってたが、あの子判ってるわ~」

「この硝煙の匂い、たまらねぇなあ。やっぱりショーはこうでなくっちゃ」

 しかし実戦を潜り抜けてきた猛者どもである。休暇中のマフィア連中はいっこうに動じもせずにハプニングショーを楽しんでいる。また、さすがはマフィアボスの隠し子であろう。エノクもにやりとした笑いを浮かべながら、マフィアの子弟の中で唯一逃げもせずにショーを鑑賞していた。

「隙ありだにゃ~~!」

 ツキシロの支援に回った御華奈を環の棒術が襲い掛かる。元はポールダンス用の棒とは思えない、恐ろしい動きで御華奈の手にしたミニマシンガンと日本刀が跳ね飛ばされる。御華奈は跳ね飛ばされた日本刀を目で追い、少し身体をひねる。環もつい御華奈の視線の先を追ってしまう。しかし、その瞬間、突然、環の視線はホワイトアウトする。何が起きたのかも理解できないまま、環の身体は床に横たわる。

 そう、御華奈の動きはおとりであった。跳ね飛ばされた日本刀に視線を向けつつ、釣られた環の後頭部を、日本刀が飛ばされた逆の死角から疾風のような蹴りが襲い掛かったのであった。

「タマ、教えたわよね。武器を持った奴が相手なら、武器を落としたその時こそ注意しなさいって。イロコイ族の視線誘導技術の応用よ」

 環を倒した御華奈はツキシロに視線を戻す。アカリの拳にツキシロは苦戦をしている。倒すだけならば造作もない。しかし、最愛の妹が全力で襲い掛かってきている。更には周りには支援もある。その中で無傷で倒すのはツキシロであったとしても困難である。

 そしてついにエリッサのテイザー銃から放たれた電磁ムチがツキシロの身体を捉えようとする。御華奈のフォローもバカ猫に邪魔をされたため間に合わない。

 その時であった。思いもかけない光景が広がる。エリッサとツキシロの間に小太りの男が割り込んでくる、そして、エリッサのテイザー銃の電磁ムチを身体に浴びる。そう、ツキシロ女王様のファースト顧客の豚マフィアであった。豚マフィアは電磁ショックを浴びて床でうめいている。

 豚マフィアという思わぬ支援を受けて、ツキシロチームの状況は好転する。御華奈はエリッサにとびかかり一瞬で吹き飛ばし気絶させる。2:1になれば、もはやアカリはツキシロ達の敵でない。ツキシロのチョークであっさりアカリも落とされる。

 これにて戦闘終了である。床には、アカリ、イツキ、エリッサ、アカリの手下達、性風俗対策課の面々がのびている。そしてイレギュラーとしてマフィア豚も床であえいでる。

 電磁ショックで苦しんでいる豚マフィアにツキシロは近寄る。豚マフィアは何か言おうとうめいている。ツキシロは豚マフィアの横でしゃがみ介抱しようとする。

「ママ~~~」

 またもや意表を突かれたツキシロは彼女らしくなくマフィア豚の接近を許してしまう。そのままマフィア豚はツキシロに抱き着いて甘えだす。やれやれという表情をしながら受け入れる。

「私は女王様でもあなたのママでもないんですよ、でも、今回だけですわ」

 彼女を守るために自らの身を危険にさらした男にツキシロはさせたようにさせる。ツキシロは優雅に床に正座をしてマフィア豚の頭を膝にのせて膝枕をしてやり頭をなでる。ツキシロの表情は女王様プレイの際に見せたネットで売っていそうな愛ではなく、暖かな眼差しにあふれたものであった。マフィア豚は強面の顔に子供のような笑顔を浮かべながら『ママン』と呟き、そのまま目を閉じて膝からずり落ちていく。あきれながらもほほえましく様子を見ていた御華奈はマフィア豚に近寄り様態を確認する。

「お嬢様、その男、気を失っているようですが、命に別状はなさそうです。アカリ様とバカ妹を連れて早く立ち去りましょう」

「そうね、今はアカリの部下まで連れていけませんね。彼女たちは今度連れ帰りましょう。まずはアカリとタマね」

 そういって、ツキシロはアカリを御華奈は環を抱えて、地下都市ソドムを脱出する。改造バニーなどあられもない姿の女達の戦闘ショーに満足して、マフィア達はヒューヒューと口笛をならしてツキシロ達を見送る。

~~~

 ソドムシティではショータイムの後、お尻をさらしたイツキやエリッサなどが無様に床にうつ伏せになっている。その周りで残っているのは、現役のマフィアどもと、マフィアボスの息子のエノクくらいなものである。

「今日は他の奴らは逃げちまったし、一度は試してみたかったんだ」

 そういうと、エノクはイツキのお尻を後ろから抱えて、ピストンをしだす。そうこうしているうちにイツキは目を覚ます。

「niマタハル様の愛人にしておまんこホール!イツキ=パーシモン!僕のフェラは疾風怒濤、僕の手コキは紫電一閃。上位クラス様の楽しい性生活を邪魔するノーマルは許さないぞ!」

 彼女の中だけでは戦闘中のイツキは口上をつづける。

「よう、クソ雑魚銀河警察官、やっと起きたか」

 イツキは今自分がエノクの性処理穴として使われていることにやっと気が付く。そうしてエノクはイツキの穴から巨大なものを抜くと最後に気持ちよさそうにイツキの顔面にフィニッシュをかけて行為を終える。

「ボクのまんこはガニマタハル様専用なんだよ。え~~ん、ガニマタハル様に怒られる~~」

クソ雑魚ポリスのイツキは芋虫のように床でひくひくと動きながら泣き出すのであった。

(12)Kクラス

 騒動後のソドムシティに醜悪な肉塊が姿を現す。惑星の真の支配者ガニマタハルである。現場を検証している捜査官達にツキシロ達を追跡するよう指示をあたえる。

 その後ふと視線を逸らす。そして、愛人のイツキが無様に床に崩れ落ちている姿をガニマタハルは少し眺める。エノクはイツキの隣で未だに性器を晒したまま寛いでいる。ガニマタハルは一瞬ニヤリとしたのちに鋭く言葉をいい放つ。

「マフィアの小僧、そこに跪け」

 言われるやいなやエノクは胸にドキンとした鼓動を覚える。何がなんとしても跪かねばならない、エノクはその場で素早く跪く。

「イーひっひっひひひ、未来のマフィアのボスがなんでマッドサイエンティストに言われたくらいで跪くんだ?エノクぼっちゃん」

「跪かなきゃあかんだろうが、おっさん」

なぜ聞かれるのか判らないとでもいうようにエノクは答える。

「俺が言ったからか?」

合点がいったようにエノクは続ける。

「ああ、そうだ。おっさん、あんたが跪けっていったら跪けかなきゃいけない。それが世界の真実だ」

 ガニマタハルはその跪いたエノクの頭に尻をのせて腕組みながら続ける。エノクはうざそうにしながらも跪かねばらないため頭を下げてそのまま耐えている。

「ひっひっひひひ、お前は今までただのフェロモン袋を持っているだけでNクラスの奴らが服従しているのがおかしいと思わなかったのか?多少の効果はあるがあんなものはただのジャコウの香水程度のもんだ。もちろん十分に教育されたノーマルクラスにはそれで十分だが」

 ガニマタハルは舌なめずりをしながら続ける。

「お前らフェルミエールでKクラスの性活を堪能したマフィアどもにも全ての特殊なモナークを寄生させている。Eクラス様には無意識で服従するが、ノーマルクラスを服従させる効果を持った奴をな」

 エノクの上でブホッと放屁をしながら更に畳みかける。

「気づいていないがお前らは俺の命令には服従することしか出来ないし、逆らおう、裏切ろうと思うこともできないんだよ。全水道にモナークが入っているような危険な星なのにお前ら気にせずに後から後から来るわな。それもモナークの影響でこの星が素晴らしいところだと思い込まされて、一度も来ていないマフィアの奴らに宣伝するように操作されているからだよ。全ての異常な点はモナークで正常なことだとお前らは思い込まされているがな」

 ガニマタハルは立ち上がってエノクの頭に足をのせて踏みつけながら続ける。

「Kクラスになるとみんな巨根になるのはおかしいと思わなかったのか?お前らも性器にモナークを飼っているんだぜ。CTで映るような寄生虫なのに取り除かれないのは、お前らが絶対にその存在を認識できないからだ。例えCTをとって医者が言おうとお前らは自分がモナークに寄生されているとは思わない。このKクラス用のモナークが開発するのに一番苦労したぜ、特殊モナークは数が少ないしな。Kクラス、お前らは皇帝の忠実な『騎士』なんだよ。宇宙マフィアの幹部連中にも全員モナークが寄生済みだ。宇宙マフィアも『俺の』ものなんだよ、既にな、お前らは気付いてないが」

 やおら右手をエノクの顎に持っていき顔を上げさせると驚いたことにこの男がこんな表情をするのかという優しい目で言い聞かせるように話かける。

「お前にイツキを犯すなって言っておくのを忘れたのは済まなかったな、ぼっちゃん。そうすりゃお前はイツキを犯そうなんて決して思わなかったはずだ。だが俺は俺の持ち物に手を出されるのは不愉快なんだ」

 優し気な表情は消え一瞬怒りの表情が浮かんだあともとのニヤニヤとした表情になり語りだす。

「特殊モナークにはもう一個機能があってな、いっひっひ。まあ論より証拠だ。俺は男の身体を眺める趣味はないが、まずは裸になったあとこれを飲みな」

 そういって立ち上がると、ガニマタハルは白衣のポケットからアンプルのようなものを差し出す。躊躇いもせずエノクは全ての服を脱ぎ凶悪な一物を晒しながら、そのアンプルを飲み干す。

 その後エノクは焦点の定まらない放心した表情であっと小さく一声上げる。と、見る間に、凶悪な一物が萎みはじめて、切れ込みと少しの盛り上がりを残して消え失せる。少年らしい骨ばった胸部は緩み、たわわな双丘の盛り上がりを見せる。痩せぎすであった臀部大腿部も盛り上がり張りをみせた桃尻と健康的な太ももに置き換わる。頭部はとみると、少年らしい刈り込んだ硬質な髪はのび、艶やかなショートカットの様相をみせ、顎や頬骨も引っ込み顔も少し丸みを帯びる。

 もとから冷酷さを伺わせるが端正な顔立ちであった少年はどこに出しても恥ずかしくな均整のとれた美少女に変身していた。アンプルを飲んだ瞬間から意識が朦朧となると共にエノクの胸はドキンドキンと鼓動し続けていた。鼓動が一つなる旅に今まではただのキモイが化け物じみた能力をもつオッサンとして意識していたガニマタハルのことがどんどん魅力的な人間に見えてくる。自身の女性への身体の変容につれてガニマタハルの容姿人格存在全てに性的に魅了されていく。そして意識が覚醒していくにつれてある思いが沸き上がってくる。自分はEクラス、Kクラスの意のままに使役される存在であるノーマルクラスであると。ガニマタハル様のような素晴らしい存在にお仕えすることが出来るという喜びが至福感とのもに沸き上がってくる。

「ひひ、生まれ変わった気分はどうだ、エノクちゃん」

 行き掛けの駄賃とばかりにエノクの胸を強烈に握り潰しながらガニマタハルは尋ねる。

「ガニマタハル様、大切な愛人に手を出すという許されざることをしたわたくしを生まれ変わらせていただいてありがとうございます。ノーマルクラスであることはこんなに素晴らしいことなんですね」

 美少女エノクはキラキラとした目でうっとりとだらしなく腹のでた中年男性を見つめ続ける。Eクラス様に弄ばれている快感に股からはダラダラと愛液が溢れ出してふとももを伝わり床に水溜まりを作りつつある。

「ふひ、よしよし、ついてきな」

 ガニマタハルは異常な握力で掴んだ胸を引っ張りながらエノクをどこかに連れていく。

(13)脱出

 ツキシロからの救援要請を受けた後、銀河警察のアンドンヒル長官とミシェール次官は銀河警察のアサルトシップに乗り込んでいる。ミシェールは端末を操り、忙しそうに出航ルーチンを進めている。アンドンヒルは椅子に座ってその様子を手持ち無沙汰に眺めている。船窓からはテルミナスの美しい緑が広がっている。

「さてさて、ミシェール君、星全体が既に何者かによって洗脳されている。信じられるかね?そして、あのエリッサ君やイツキ君まで洗脳されていると」

「いえ、急にはなかなか、ですが、、、」

「そうか、じゃあ、今すぐ信じてくれるかな」

「はい、おっしゃられるようにあの星系は既に何者かに洗脳されていると思います」

 アンドンヒルはその様子をいつもの笑みを浮かべた顔で眺めている。その表情からはミシェールの異常をどう感じているのか推し量ることはできない。

「さて、これがエリッサチームから以前報告のあった寄生虫だよ。生物犯罪対策チームによるこの寄生虫の仮称は『ディバイン』だった。ただ、最近フェルミエールのネットから『モナーク』という謎の生物の名称が上がってきた。間違いなくこの寄生虫の名前だろう」

 そういって小さなケースに収めた芋虫のようなものをアンドンヒルはミシェールに見せる。ケースの中でその虫は不気味に蠢いている。そしてもう片手には薬の錠剤が入ったケースを持っている。

「生物犯罪対策チームがこの予防薬は開発してくれたよ。この予防薬を飲めばモナークに感染されることはない。ただ、この予防薬の開発中に対策チームの彼女たちがバイオハザードにあってしまったのは、本当に不幸な事故だった」

 ケースから薬を取り出して弄んでいる。不幸な事故だったいうが、アンドンヒルは顔にはいつもの笑みを浮かべたままである。ミシェールも同様にニコニコとしたまま会話を続けている。ミシェールにとってアンドンヒルとの会話は既に至福の時間である。

「フェルミエールは衛生当局によって今後は寄生虫モナークの汚染国と認定される。ただ、今までどおり人体に寄生はするものの、モナーク自体は生命などに大きな害は与えない寄生虫と発表されるだろう。とはいえ、フェルミエールの入星時にはこの予防薬ヴァマフュージの服用が義務付けられる。でも、この薬は予防薬だ、残念ながら治療薬ではない。そして、惑星内のモナークも駆逐されわけではないだろう」

 そういってアンドンヒルは錠剤を口にしたあと、ミシェールに渡し、彼女も口にする。

「まあ、そういうことで我々がこの薬を飲んでも、というところはあるのだが。フェルミエールに着くまで、短い間だが船旅を楽しもうじゃないか。さて、ミシェール君、そんな無粋なスカートは脱いでしまうじゃないか」

 ミシェールはアンドンヒルに指示されたようにスカートを脱ぐ。すると目立つガータベルトと共に派手なレースの下着が露わになる。

「ミシェール君、派手な下着だね~」

「ええ、アンドンヒル長官から指示をいただきましたから」

 ミシェールはニコニコとアンドンヒルの指示をまつ。

「じゃあ、今日はミシェール君のやりたいようにしてもらえるかな?」

 ミシェールは笑顔でスーツから胸をはだけさせる。そしてアンドンヒルのズボンと下着を脱がせる。アンドンヒルの見かけに似合わぬ巨大なペニスがあらわになる。そのあと胸を使ってアンドンヒルのペニスに奉仕をはじめる。

 そのさなかに生物対策チームの若き女性研究者達がアサルトシップの操縦室に入っていくる。対策チームの二人はミシェールとアンドンヒルの痴態をみて、驚いた顔をする。しかし、アンドンヒルは平然と言いはなつ。

「ああ、君たち、気にしなくていいから。君らはそのまま出航準備をつづけてくれ。君らの出番がきたら声を掛けるから」

「はい、アンドンヒル長官。気にしません」

 対策チームもニコニコと返事を返す。そしてミシェールに代って、端末からひとつづつ出航ルーチンを実行している。その対策チームの二人の後ろ姿には、ミシェールと同様にガーターベルトがのぞいている。

—————

 ガニマタハルがエノクを調教している間に、リーベ星の姫ツキシロとそのメイド御華奈(みけな)はアリサと環を抱えて無事にソドム市を脱出する。そして宙港へと一路向かう、銀河警察の迎えの船が待つ宙港へ。その船で待つものが何か、まだこの時のツキシロ達は理解できていない。ガニマタハルの指示により、宙港では既に警戒線がはられている。

 ツキシロ達は近くのビルに登ると、銀河警察の上陸艇が宙港に駐機している様子が見える。警察というものはいつになっても変わらないものだ。上陸艇は赤と青のラインでカラーリングされて銀河警察の所属であることを示している。上陸艇の母艦、外宇宙航行用のアサルトシップは衛星軌道上ででも油断なく待機しているのであろう。

「さて、ミケ、ゴールはあそこね。どうしましょうか?」

「時間もありません、正攻法でいきましょう」

「あなたはいつもそうね、それって力業でしょ」

「いえ、お嬢様にとっては正攻法です。一番早く、一番成功確率が高い、それが私の提案する正攻法です」

「でも、ミケの言うとおりね。時間が無いわ。潜入路を探している暇はもはやないでしょう」

「ええ、お嬢様ならできますよ」

 そして銀河警察とのホットラインを開き、宙港への到着を連絡して、上陸艇のハッチの開門を依頼し、脱出作戦を開始する。作戦?、ブーステッドの戦闘能力に頼り、状況に応じて臨機応変に対応しながら、ただ突入することを作戦と呼ぶのならば。

 警戒線を押し切り、電磁柵を押し切り、駐機場にツキシロ達は見事に突入を成功させる。しかし銀河警察のランチの周りはフェルミエール警察によって完全に包囲をされている。ツキシロ達は迷わず、その包囲戦に突っ込み、警察官を無力化しはじめる。しかし多勢に無勢である。更にはアカリと環を背負ってツキシロと御華奈は戦っている。そのため、なかなか上陸艇に近寄ることができない。そしてツキシロ達をねらった銃撃の一部が上陸艇にあたり甲高い音をたてる。

 そのときランチの内部から放送がされる。

「この船は連邦船で私は連邦官特権をもつ銀河警察長官アンドンヒルだ。この連邦特権を持つ船を攻撃することが何をもたらすのか?君たちにもわかっているだろう。もちろん、『君たち』にはまだ見ぬモナークの支配者の君も含まれているよ」

 そして、衛星軌道上のアサルトシップから上陸船の周りに威嚇砲撃がなされる。衛星軌道上からの位置エネルギーを利用した攻撃により、小さなクレーターが宙港に生まれる。砲撃にフェルミエール警察が怯んだすきに、ツキシロ達は上陸艇のハッチの中に入り込むことに成功する。

 ハッチをしめると、アンドンヒルの声が響いてくる。

「ツキシロ姫、御華奈さん。ご無事でなによりです。早速ですが、この惑星全体が危険な寄生虫に汚染されていると思われます。今からあなた方全員の除染作業をはじめますので、一人ずつ別れて除染室に入室してください」

 ツキシロと御華奈は素直に指示に従い、アカリと環も一人ずつ除染室に置き、自分たちも別れて除染室に入る。その瞬間、部屋のドアがロックする音がする。そしてアンドンヒルの冷たい声が室内になりひびきはじめる。

「リーベのツキシロ、御華奈、あなた方をアカリさん、環さんの誘拐犯として現行犯逮捕する」

『罠』と悟った瞬間にツキシロは行動を始める。すぐさま除染室のドアに体当たりをするがドアはびくともしない。その間もアンドンヒルの無機質な声が室内にひびいている。

「あなた方には黙秘権がある。これ以降の供述は法廷であなたの不利な証拠として扱われることがある。あなた方は弁護士の立ち合いを求める権利がある」

 この上陸船自体がツキシロ達を捉えるためのブービートラップだ。この上陸船にアンドンヒルが乗っているのかすら定かではない。この船自体に何らかのブーステッドへの対抗手段が備わっているに決まっている。時間的な猶予はそれほどない。ツキシロは覚悟を決める。外壁に体当たりをはじめる、そのさなか、ツキシロの身体は白く光りはじめる。ツキシロの身体から異常な圧力を受けて外壁が凹みはじめる。ツキシロの身体は更に神々しく光りつづける。そしてついには外壁が裂け、隙間からツキシロは外に飛び出す。

 いや、ツキシロなのか。外に出たのは一頭の虎であった。艶やかに光る白毛をなびかせて、しなやかに大地を蹴る、美しい虎。その姿は伝説上の存在、白虎そのものだ。

 白虎の頭上にビームが降り注ぐ。衛星軌道上の銀河警察アサルトシップからの攻撃だ。史上最強の改造生物ブーステッドのツキシロとて、衛星軌道上からの攻撃には対抗するすべを持たない。降り注ぐビームをよけるだけで精いっぱいだ。フェルミエール警察もツキシロを捉えようと、上陸船の周りを未だに取り囲む。

 ツキシロは一声悲しそうに咆哮を放つ。聴くものの胸を打ち郷愁をさそう、悲しい咆哮だ。そしてフェルミエール警察の包囲網を一閃の跳躍で乗り越える。そのまま美しい白光となり、フェルミエールの市街地に消えていく。

(14)惑星フェルミエールのまたもや楽しい日常

 次の日、着替えさせられたエノクがガニマタハルに連れられてきた場所は彼、いや、もはや彼女の学びの場である星川学園であった。そうエノクが着替えさせされた格好は女学園である星川学園のものであった。いつものランニングとパンツに白衣だけを羽織った姿のガニマタハルが校門に姿を見せた瞬間に学園はざわめきを見せる。

 『ガニマタハル様だ』の声があがると、ほとんどの女学園生はEクラス様を一目みようと窓に近寄る。窓際の学園生たちは頬を紅潮させて憧れの眼差しでガニマタハルを一心に見つめる。はぁはぁ、ふうと、女学園生はほとんど喘ぎ声に近い吐息を漏らしている。

 そこに学園長でもあるエリアルが校庭に走ってきて、ガニマタハルに頭をさげ要件を伺う。ガニマタハルからの要望を聞いたエリアルは選抜クラスにガニマタハルとエノクを案内する。

 選抜クラスの中でガニマタハルは大声で宣言する。

「エノクちゃんは今日からお前ら選抜クラスのクラスメートだ。仲良くするように。くくく。おい、淫乱学園長、たまにはこいつらの教育の具合を見ようか」

 そういい捨ててガニマタハルは、クラスの女子を椅子にさせて、その上に腰かける。選抜クラスの女子はガニマタハル様のお言葉を聞いて狂喜ししている。既に、失禁や失神しているものもいる。

「皆さま、日ごろのトレーニングの成果を実践するときが来ました。この学園で訓練してきたのは今このときのためですよ」

 女学園生たちは各々が得意とする衣装に着替え始める。制服のままのもの、改造制服になるもの、チアリーダーになるもの、水着姿になるもの、下着姿のもの、裸で勝負するもの、様々だ。支配者であるガニマタハルのために、各々が自らの最善をつくし、セクシーな格好を表現する。そうして、ガニマタハルの前で全学園生は淫らな舞を舞う。制服でストリップをするもの、四つん這いでオナニーをするもの、腰振るダンスを踊るもの、そう今の時間は彼女らが生きていて一番重要な時間、Eクラス様への性奴隷としての発表会なのである。

 その中で気に入ったものをガニマタハルは指名して、直に奉仕をさせる。選ばれたものを羨ましそうな目で見ながらも、周りの女学園生は淫らな舞を続ける。

 その騒ぎを聞きつけて、マフィア子弟である短期留学生たちも選抜クラスにやってくる。その中にはエノクの親友イダニもいる。そのマフィア子弟達にガニマタハルは声を掛ける

「エノクちゃんは今日からノーマルクラスだ。お前らも楽しく『使って』やってくれや、イーひっひっひひひ」

 その中にはお調子もののモヒカンや、もちろん、エノクの親友のイダニもいる。イダニと美少女エノクはじっと見つめ合う。そして、イダニはいままでと同じようにエノクに笑顔で話しかける。

「エノク、安心しろ」

「イダニ様、安心しました。ありがとうございます」

 そのイダニの様子にエノクは『安心』しながらは媚びるようにはにかみ笑いを返す。スカートを掴んでモジモジとしながらも顔を紅潮させて上目遣いでイダニを見つめ次の言葉を待つ。

「前にもいったろ、俺はなんでもいける口なのよ。男の娘でもTSでも大丈夫だ」

 そしてイダニはサムズアップをしてドヤ顔で言い放つ。そしてエノクの尻をポンっと叩いたのち、どっかと椅子に腰かけて腕組みをして促す。

「早く準備しな。女になったばかりだから判らないか?」

 その言葉を聞くと、エノクはイダニの前に膝まづき、ズボンと下着を脱がす。そしてイダニの大きなおチンポ様を熱心になめはじめる。そして頃合いとみるや、パンティを脱ぎ、スカートをたくし上げて、床に四つん這いになり、エノクはイダニにお尻を向ける。

「イダニ様、エノクのはじめてをイダニ様の大きなおチンポ様で奪ってください」

 イダニはうなずくとエノクの既に濡れた秘壺を突き始める。エノクは本当に嬉しそうだ、生まれてから初めてするような歓喜の表情を顔に浮かべている。イダニも満更でもない様子でエノクを突き続けている。

「ヒューヒュー、お似合いだぜ!」

 お調子者のモヒカンがエノクとイダニの周りを飛びはねながらいつものようにはやしたてる。フェルミエールの星川学園の日常が戻ってきた。

「まったくフェルミエールは最高だな」イダニは満足げに呟く。

「ええ、最高ですわ」

 組み敷しかれている美少女エノクも感極まったように喘ぎながら呼応する。

(15)フェルミエールでの対決

 ガニマタハルはアジトとしている迎賓館でフェルミエール大統領、警察長官、エリッサ、イツキと打ち合わせをしていた。

「ガニマタハル様、大変申し訳ございません。ツキシロを取り逃がしてしまいました」

「まあ、仕方ない。まだツキシロはフェルミエールにいるわけだ、籠の中の小鳥に過ぎない。なんといってもフェルミエールは隅から隅まで俺様の星だからな」

「Eクラス様のご指示をかなえられない、無能な我々に、なんと、お優しいお言葉を」

「うひひ、お前らは俺のものだからな。自分のものは大切にしないとな」

 その言葉を聞いて面々は感涙にむせんでいる。

 その時、机上の端末の呼び出しコールがなる。画面に銀河警察長官アンドンヒルの姿が大写しになる。

「やあ、はじめまして。君がガニマタハル君だね。私は銀河警察の長官をしているアンドンヒルというものだ」

「ああ、しってるぜ、いひひひ。俺の星に何しにきやがった。衛星軌道のアサルトシップにこもっているチキン野郎じゃねぇか。ここに降りてこられないのか。ひーっひひひひひ」

 コンコン

 その時、優雅なノックが迎賓館の扉から鳴り響く。そして、扉がひらき、なんとアンドンヒル自らが環を連れて室内に入ってくる。そして、アンドンヒル長官は我が物顔でガニマタハルの前のソファアに座る。

「チキン野郎とはだれのことかな。さてさて、エリッサ君、イツキ君、こっちに来なさい」

 エリッサとイツキはアンドンヒルの指示に従いたい強い欲求を覚える。そしてふらふらとガニマタハルを離れて、アンドンヒルに近づいていく。

「君たちは悪い子だな、お仕置きをするから、お尻をだしなさい」

 アンドンヒルの指示を聞くと、エリッサとイツキは自分たちが如何に悪い子なのか、長官にお仕置きしてもらわなければならない、という意識に支配される。そして、銀河警察の制服のスカートとパンティを脱いで、おずおずとお尻をアンドンヒルに差し出す。アンドンヒルはまずはエリッサへの指導からはじめる。エリッサを自分の膝の上にうつ伏せに横たわらせて、子供に怒るようにお尻への折檻をはじめる。

「エリッサ君、君は本当に悪い子だね」

 パシン、パシン、パシン。エリッサの白い丸っとしたお尻の上で、アンドンヒルの平手がなりひびく。『長官、ごめんなさい』、『エリッサは悪い子でした』。叩かれるたびにエリッサから反省の言葉がもれる。

「そうそう、君は僕のいうことは何でも聞く、かわいい部下じゃないか」

 アンドンヒルの言葉がエリッサを染めていく、そして、エリッサの白いお尻も同じようにが赤く染まっていく。『はい』、『そうです』、『アンドンヒル長官の言われる通りです』、エリッサはアンドンヒルの全ての言葉を受け入れていく。エリッサは興奮のあまり愛液をまき散らしている。アンドンヒルの手はそれでもお尻を折檻しつづけて、エリッサの愛液で汚れていく。

「エリッサ君、反省できたようだね」

「はい、アンドンヒル長官」

 エリッサは恍惚とした目で上司のアンドンヒルを見つめる。アンドンヒルは手が愛液に濡れていることも気にせずにエリッサの頭を撫でたあとに、その手をエリッサに差し出す。アンドンヒルの手から愛液をエリッサは丁寧になめとっていく。

 そして、エリッサを床に放り出すと、次はイツキに取り掛かる。イツキも同じように自分の膝の上にうつ伏せに横たわらせる。

「イツキ君。君もほんとにいけない子だよ、長官の僕に迷惑ばかりかけて」

パシーン、一際いい音がイツキのお尻から鳴り響く。

「長官、許して、僕も悪かったよ」

 パシーンパシーンパシーン。イツキのお尻も既に真っ赤になっている。しかしエリッサと違いイツキは強情をはる。

「さて、いい子になって、僕のいうことをきいてくれるかな?」

「でもでも、エリ姉と違って僕はガニマタハル様の愛人だから、、、」

 ガニマタハルは目の前のスパンキングショーを少し唖然として見つめていた。そして、すぐさま目の前で何が起きているのか、アンドンヒルが何をしたのかに思い至る。

「てめぇ」

「そうそう、オスのモナークを見つけるのは苦労したよ、ガニマタハル君。君はEクラスと自称しているようだね。ならば、私はPクラスとでも称しておこうか、同じくオスのモナークを宿す者として」

 そうして、最後にイツキのお尻を思いっきりひっぱたき、イツキも床に投げ捨てたあとに、ガニマタハルとの対談に移る。ガニマタハルとアンドンヒルはお互い数十秒にわたり睨みあう。そしてアンドンヒルから視線をそらして、にやりと口に笑みをうかべる。つられてアンドンヒルもいつものニタニタ笑いを顔に浮かべる。

「さてさて、君はこの星の王、いや、皇帝だ。綺麗どころなどよりどりみどりだろう。だれもが喜んで君に身も心も捧げる。なのに、なぜ、あのお姫様に執着しているのかね?」「ふっ、俺は人工生物の専門家だぜ。俺より優れた人工生物メイカーなどいない。今はな。しかし過去においては違う。ツキシロ、あのブーステッドは人工生物の最高傑作だ、俺の手元において研究材料にするべきだろう」

「なるほどね~、しかし、未だに手中にしていないわけだ」

「この星は俺の星だぜ、食糧や水にはすべてモナークが含まれている。いつかはツキシロもモナークを口にするだろうぜ、けけけ、籠の中の小鳥さ」

 そのとき今まで黙っていた環が突然口をひらく。

「小鳥じゃないにゃん。ツキシロ姫様はホワイトタイガーの化身だにゃん。それだけじゃなく、生きていくのに食事も水も必要もないのにゃん」

「とのことだ、ガニマタハル君。あれほどのブーステッド、そのような遺伝子改良をされていても不思議ではないと思うね」

「なおのこと俺様のものにしてやるぜ、いひひひ」

 アンドンヒルはやれやれと首をふって、少し肩をすくめる。

「さて、イツキ君、テルミナスに帰りますよ」

「イツキ、おめえは俺の愛人なんだろ、そっちにいくな」

 アンドンヒルとガニマタハルからほぼ同時に声がかかる。両方のご主人様の要望もかなえたい。しかしガニマタハル様の要望かなえようとすると、アンドンヒル長官の要望をかなえることはできない。アンドンヒル長官の要望かなえようとすると、ガニマタハル様の要望をかなえることはできない。結果的にどちらの要望もかなえることができない。その状況にイツキの心は強いストレスにさいなまれる。ついにはイツキは心のコンフリクトで失神をして床にくずれおちる。更には失禁をして、イツキの股からは『じゃーー』という音と共に尿があふれてくる。

「やれやれ、そんなしょんべん臭い女を持って帰るのもなんだ。今日のところは手ぶらで引き上げるとしようか」

 アンドンヒルは無様に床に崩れ落ちた部下を平然と見下ろして、ぼそりとつぶやいた。イツキの失禁で床に大きな水溜まりができあがる。ストレートチップの靴にイツキの尿の水溜まりがふれると、アンドンヒルはスッと水溜まりから足をあげる。そして、床に座るエリッサをチラッとみると、エリッサの頭に靴をさしだす。エリッサは意図をくみ取り、さらさらの金髪を靴にこすりつける。エリッサの髪で尿をぬぐい取とらせながら、アンドンヒルはガニマタハルに取引を持ち掛ける。

「ガニマタハル皇帝陛下、イツキ君とエリッサ君を返しにテルミナスまで来てもらえれば、代わりにツキシロ君に近づくヒントを差し上げよう。悪くはないだろう?元々、エリッサ君とイツキ君は私のものだからね。そうそう、アサルトシップまで戻る連絡船の手配もお願いするよ。うちのはどこかの王女様に壊されてしまったからね」

 アンドンヒルは綺麗になった靴をすこし満足げに眺めながら会談を終える。

(16)御華奈の教育

 ツキシロ姫のメイド姉、御華奈(みけな)は目を覚ます。ここがどこだかは判らない、しかし、ツキシロ姫と共に乗り込んだ上陸艇で何かの薬物を使われてここにつれてこられたことだけは理解できている。粗末なベッドから身を起こす。狭いベッドの様子からして、船などの移動空間、宇宙船のなかであろうと、御華奈は見当をつける。

 どこからか見張られていたのであろう、御華奈が目を覚ましてすぐに、ドアが開き一組の男女が室内に入ってくる。顔に見覚えがある、そう、銀河警察の長官アンドンヒルとその次官のミシェールだ。その瞬間、御華奈の胸にドキンとした鼓動が走る。入ってくるアンドンヒルの一挙手一投足を喜悦の思いで眺めてしまう自分に気が付く。そして、自分にもなんらかの洗脳を施されたのだと気が付く。

「御華奈さん、目が覚めたかね」

 御華奈はアンドンヒルをにらみつけようとする。しかし、その視線に力はない。アンドンヒルと目があうとつい、微笑んでしまおうとする自分がいる。

「さて、君の立場は複雑だ。君たちは公式にはアカリさん、環さんの誘拐犯として手配をされている。そして、フェルミエールの主要ネットワークへのクラッキングの容疑もかかっている」

「そんな建前なんて、真相はあのとき姫様があなた方に話をすでにしているはずよ」

 アンドンヒルはわざとらしく肩をすくめる。そしていつもの笑顔で話をすすめる。

「そこで君に一つ提案がある。率直にいおう、御華奈さん、私の性奴隷になってくれないか?」

 デタラメなセリフが警察長官の口から飛び出る。しかし、御華奈はそれが嫌ではない、それどころか逆に率直にいってその言葉を聞いて嬉しい自分に気が付いている。

「私は紳士だ。乱暴はしたくない。このとおりあまり身体も鍛えていない。ミシェール君身体をみせてくないか」

「了解しました、長官」

 そういってミシェールはためらいもせず、制服を脱ぎ下着だけになる。そして御華奈とアンドンヒルに笑顔で身体をみせつける。

「ほら、彼女の腹筋のはすごいだろう。さて、君も脱いでくれないかな」

 そういわれると御華奈も脱がねばならない気になってくる。おかしいとは思いながらもメイド服を脱いで下着姿になる。

「素直な子は好きだよ」

 そういいながらアンドンヒルは御華奈を抱きしめてくる。御華奈は父親と暮らしたことはない。にもかかわらず、抱きしめられると、父親に抱きしめられているような安心感を感じる。幻想であるとは判っている。しかし、捨て去るにはもったいない幻想だ。

「了解してくれたかな?」

 御華奈はついこくりと頷いてしまう。慌てて否定をしようとするが、否定の言葉は喉からでてこない。そしてそのまま俯いて下を見続けている。

「じゃあ、御華奈君、初仕事だ。ミシェール君も一緒にどうかね?」

「ええ、喜んでご一緒させていただきますわ」

 そして御華奈とミシェールを四つん這いに這わせて並べる。いつもの仮面としての笑みではない、冷酷な、そして、本当に満足げな笑みをアンドンヒルは浮かべている。そうして二人を交互に後ろから弄ぶ。テルミナスに到着するまで、アサルトシップ船内に御華奈とミシェールの嬌声が鳴り響きつづけていた。

(17)テルミナスでの対談

 その日、連邦の事実上の都である惑星テルミナスにおいて、一つのイベントが行われようとしていた。フェルミエール星の警察長官の銀河警察への表敬訪問である。フェルミエール警察長官とともにフェルミエール星赴任中のエリッサとイツキ両名も帰任し、犯罪者引き渡し条例の細かな修正項目などに関しての調印などが行われた。もちろん、これはただのフェイクイベントである。マッドサイエンティストのガニマタハルその人が銀河警察長官アンドンヒルとの会談のためにテルミナスに訪れたのであった。銀河警察長官室では今まさにガニマタハルとアンドンヒルのトップ会談が行われようとしていた。

 ガニマタハル陣営はエリッサとイツキとフェルミエール警察長官、アンドンヒル陣営はメイド姉妹の環(たまき)と御華奈(みけな)そしてツキシロ姫の妹のアカリを引き連れていた。

「ガニマタハル君、よくもまあこの銀河警察の本部に訪問してくれた。正直その胆力には感服するよ」

「俺をなめるなよ、アンドンヒル。俺は約束を果たしたぜ」

「なのことだったかな、ああ、ツキシロ姫のヒントだったかな。さてさて」

 アンドンヒルはとぼけたふうに言いながら、天井や窓に意味深げに視線をはわせる。そして、犯人のトリックを暴いた名探偵のように、手をポンとたたく。

「ツキシロ君、いるんだろ、出てきてもらえるかな?」

 すると、床板の一つがガタガタと動きはじめ、ついには蹴破られて、中からツキシロ姫が出てくる。

「こういうことですよ、理解してくれたかな、ガニマタハル君。どうして、という顔をしているね」

 ツキシロは床から這い出ると、アンドンヒルとガニマタハルをにらみつける。ガニマタハルはそのツキシロを少し呆然とみつめている。ガニマタハルをほおっておいて、名探偵アンドンヒルは、ひとりでうんうんと頷いている。

「謎解きをしようか。ツキシロ姫はアリサ姫とメイド姉妹を取り返しに来る、必ずね。そういうお方だ。しかし、まずはフェルミエールの厳しい警戒線を突破して、星系外に逃れなくてはならない。彼女ほどのブーステッドであれば強引に警戒線を突破することは容易だ。しかし、そうやって船をスペースジャックしたところで、本気の軍や国境警備隊の追撃を逃れることはできない、彼女の能力ですらね。宇宙空間でのドッグファイトに彼女の能力が役に立つものでもないからね。となれば、彼女のとれる手段は一つ、密航だ」

 そういいながらアンドンヒルは一本指を立てる。

「しかし密航もそんなに容易ではない。なんといっても国境警備隊と警察がずっと密航者の船内査察をしているからね。ただし、フェルミエールにはまったく査察の入らない船がある。そう、ガニマタハル君、君ののるスペースワンとでも呼ぶべき船だ。君が乗る船は治外法権だ。そして、すべての国民に敬愛されている君には警護すらもあまり必要ない。君が乗ってきた船は査察もはいらず、一番警備が緩く、密航には適した船なんだ。そして、その船はおあつらえ向きに彼女の行きたいところ、アカリやメイド姉妹が待つテルミナス向きときている。そう、アンドンヒル君、君が連れてきてくれたんだよ、ツキシロ姫をここに。あのとき僕がお願いして、わざわざ君にテルミナスに来てもらった、その理由の一つだよ。ツキシロ姫をここにつれてきてくれ、そういうお願いでもあったのだよ」

 そうして、アンドンヒルは得意げにガニマタハルを指さす。

「冗長な演説ね。私はそんなことを聞きに来たわけじゃないの、アカリ、タマとミケを返してもらいますよ」

「アカリ君、ミケ君、タマ君、ツキシロ姫はこうおっしゃっているが」

「ツキシロ姉、あたいは今幸せだよ」

「お嬢様、アンドンヒル様にお仕えできて私は幸せです」

「姫にゃん、タマもアンドンヒル様にお仕えしながらアイドルをめざすのにゃん」

 アンドンヒルは見せびらかすように、環、御華奈、アカリを順に抱きしめていく。

「洗脳されて言わされているいるだけじゃない、汚いわよアンドンヒル、あなたから力ずくでも取り返すわ」

「汚いと。洗脳されて言わされている、、、ですか」

 アンドンヒルはいつも以上の笑みを顔に浮かべて言葉を続ける。表面的には友好的な、しかし、氷のような冷酷な笑みを浮かべて。

「タマとミケ、彼女達にはあんたに服従、敬愛するための遺伝子が組み込まれていてもそんなことがいえるのかな?彼女らの遺伝子を調査してみた。正直言おう、銀河警察の分析能力をもってしても全ては正確には判らなかった。しかし、彼女らにはあんたの虎に服従する猫としての遺伝子が組み込まれている。そう、彼女らはあんたの護衛としてつくられた生物だ。まあ、虎に睨まれた猫ってわけだ」

 『姫にゃんに頼まれたらしょうがにゃいな~』、『私たちが姫様の頼みを断ったことがありますか?』今までにタマ、ミケと交わした会話が脳裏によぎる。そう、ツキシロ自身も当然気が付いている。タマとミケが自分に尽くすために作られて生物であることに。

「さて、お互い言いたいことはいったかな」

 アンドンヒルは片手を挙げる。すると、ツキシロの額に頬に心臓に、あらゆる急所にレーザーマーカーが映る。アンブッシュしていた特殊部隊が窓越しに狙撃銃を構えている。そして、アカリ、環、御華奈がどこからかとりだしたのか、いつの間にか彼女たちが手にする銃からもそのレーザーマーカーは発せられていた。

「でも、それでも、私はアカリもタマとミケも愛している。必ず取り返す」

 ツキシロの身体は白く光りだす。アンドンヒルは射撃の指示を出さない。そのままツキシロは窓を突き破り、窓から白虎が脱出していく。

「せっかちなかただ。行ってしまいましたか。まあ、いいでしょう」

 アンドンヒルは片手をおろし、部下やアカリたちの銃をおろさせる。いつもの笑みを浮かべた表情からはアンドンヒルが何を考えているのか読み取れない。

 その日、テルミナス郊外の草原で白い虎を見たものがいる。月明りのなかテルミナスの二つの月に向かって悲し気に吠える、白く美しい虎。

ーーー

 ひとしきり草原で悲しい遠吠えをしたツキシロが向かったのはテルミナスの宙港であった。そこには意外な男が待ち構えていた。あの女王様プレイと赤ちゃんプレイを堪能したマフィア豚である。マフィア豚はツキシロをみると嬉しそうに報告をはじめる。

「ご指示のように操縦系統は奪いました。いつでも飛べます」

 マフィア豚の視線の先をみると後ろ手に手錠を嵌められた乗務員たちが転がっている。独りフェルミエールで逃走行を繰り広げていたツキシロが如何にマフィア豚に再開し、如何にマフィア豚が忠誠を誓い、如何にしぶしぶながらも臣下として迎えるようになったのか。それはまた別のお話。

「まずは立て直します、国にもどりましょう」

「了解しました、ツキシロ殿下」

 マフィア豚は芝居じみた様子で膝をつく。

「女王様と呼ぶがいい」

 ツキシロはその様子をみながら首を振り美しい金髪をなびかせていう。誰もが見惚れて息をとめるそんな美しさであった。しかし、マフィア豚には別の感慨を催させたようだ。

「ママー」

「調子に乗るな!」

 ツキシロは飛びついてこようとしたマフィア豚に肘を食らわせる。同じ手はツキシロには二度は通用しない。

(18)蛇足、返歌、あるいは、ラブレター

 ツキシロの逃走を許した後、アカリたちを下がらせて、ガニマタハルとアンドンヒルは二人で長官室に残る。アンドンヒルは立ち上がり、ガニマタハルに視線をあわせずに話を始める。

「さて、お姫様には逃げられたわけだが、これで解散というのも心残りだ。せっかくまた出会えたわけだ。少し話を続けようか」

 そしてアンドンヒルは机の上から天秤と剣を持つ女神の像を手に取り会話を続ける。

「ガニマタハル。あなたの今の立場はなんなんだろうな」

「いひひひ、皇帝だ、フェルミエールのな」

 ガニマタハルはソファに身体を沈めながらアンドンヒルを見上げている。

「皇帝か、まあそうだ。皇帝が統べる国家という組織は不思議なものだ。ただの紙切れでも国家の喧伝があれば、洗脳済みの国民は黄金と同価値のものと思い込む。我々が他人の金をとれば窃盗だが、洗脳済みの国民から国家がお金を取る分にはただの納税だ。さらには人殺しは大罪だが、国家に洗脳済みの兵士が戦場で行う分には英雄行為だ。国家とはそういうものだ、皇帝様」

 アンドンヒルは芝居がかった風にアンドンヒルに片手をまげてお辞儀をする。顔にはいつものように笑みを浮かべている。

「あんたの尽力で、フェルミエールでは犯罪が急減した。女性の社会進出も記録的な速度で進すすんだ。そのおかげで経済も好調で出生率も上がった。さらにはあんたは黒社会もコントロールしている。そして、あんたが街に出れば国民が親愛の情で挨拶をする。一張羅のランニングに身を固めている、あんたにな。国民を洗脳し、国家を上手に運営し、得意げにランニングを着たあんたが『裸の王様』以外のなんなんだ。くくく」

 もはやアンドンヒルはいつものように笑みではなく、本当の笑顔を浮かべている。そうして笑い声をおさえきれずに、本当に愉快そうに話を続ける。

「数百人も愛人をつくような執着心のあるあんただ、ここまでして支配したフェルミエールにさぞや愛着もあるだろう。一人の男に星全体が支配されているとは、ばれないようにやってきたわけだ、さぞや苦労しただろう、ここまでフェルミエールを繁栄させるのに。そうあんたはEクラスだけじゃない。紛れもない『本当の』皇帝だ。フェルミエールを支配している男はフェルミエールに既に支配されてもいるわけだ、なあ、裸の王様」

 『裸の王様』のところで先ほどの『皇帝様』と同じように、芝居がかったお辞儀をする。アンドンヒルは本当に愉快そうだ。

 ただし、アンドンヒルはもう一つの可能性は言及しないでおく。そう、もう一つの可能性、モナークという種族の生存範囲を広げるのにガニマタハルが『利用』されているということに。

 なぜ、このような便利な寄生虫が『たまたま』天才生物学者によって発見し改良されたのか。その天才生物学者により『たまたま』ばら撒かれてモナークはフェルミエール星内で種としての繁栄を誇ることになる。そして更にはフェルミエール星自体が繁栄し、モナークの生命圏自体も繁栄することになる。

 しかし、モーナクに利用されているのか、モナークを利用しているのか、その差異が何か重要なのか?どうであろうと既にフェルミエール全体がモナークの生命圏(バイオスフィア)になっている。意図されてであろうとなかろうと、その差異に意味は無いのだ。アンドンヒル自身もモナークに寄生されてモナーク生命圏に取り込まれているともいえる。

 モナークには利用価値がある。それがすべてだ。アンドンヒルにとってモナーク含めてすべての事物は『それらにうまく使われて』、そして、『それらをうまく使いこなす』ものなのだから。警察機構であろうとモナークであろうとも。覚悟をもって生きるとは、そういうものなのだ。

「さて、裸の王様。あんたはなんで、そんなにあのお姫様を手に入れたかったんだ」

「俺は人工生物の専門家だぜ。モナークだけでなく、人体改造もお手のものだ。あれは史上最高の人工生物だ。手に入れたくなるのも当然だろう」

「人工生物か、ま~~だ、そんなことをいっているのか。あんたは美しい白雪姫に惚れただけだ」

 そしてアンドンヒルはニヤニヤしながら机をあけて、ある写真をとりだす。古い集合写真だ。その写真の中には美しい女性と小太りの若者も映っている。

「ここに写真がある。ガニマタハル、あんたの若いころと白雪姫だ。いや、個体としては彼女ではない。母親だ。彼女は単性生殖の生物として生を永遠につなぎ続ける」

 ガニマタハルはその写真を手にとり、無表情に見つめる。

「彼女は精子を注ぎ込まれることをトリガーとして必ず女性を生む、彼女自身のクローンをだ。国民の母として、そして、時の権力者の慰み者となるよう美しい姿に育つ。そう、ああいう彼女も全ての国民から愛されるよう美しく作られた愛玩生物だ。若かったあんたが惚れるのも不思議はない」

 アンドンヒルはガニマタハルに近寄り顔をじっと見つめる。一瞬真顔にもどり、そのあといつもの笑みを浮かべて、最後の演説を始める。

「さてお話を続けようか。そう、このお話は白雪姫と裸の王様だったわけだ。しかしながら残念なことにこの『裸の王様』の終わりは、『王様と王女様はいつまでもいつまでも幸せにくらしたとさ』、ではない。くくくくハ~ッハッハッハッハ」

 腹を抱えてアンドンヒルは笑い続ける。そしてチラッとガニマタハルを温かい目でみて真面目な声でこう囁く。

「頑張れよ」

ガニマタハルもイーひっひっひひひと笑い続ける。

「この物語はこの終わりはこうだ」

皇帝のもとフェルミエールの国民はいつまでもいつまでも幸せにくらしましたとさ。

<FIN>

3件のコメント

  1. しなうさん、こんにちは、永慶と申します。
    盲目のゼウスエクスマキナ、読ませて頂きました。
    不勉強で一次作品を読んでいないのですが、それでも楽しむことが出来ました。
    日本刀やスク水といった現代日本的な要素とSF的な要素が混じり合う世界観と、倫理観が崩壊して作り変えられた、
    MC後の秩序とが相性良い!
    ストーリーもサクサク進んで展開早いのですが、アカリチームが落とされるところなどは、丁寧に書かれていて、
    ここはじっくり味わわせて頂きました。ガニマタハル陛下万歳!

  2. 感想が一週間も遅れまして申し訳ございませんでよ。
    読ませていただきました。

    みゃふもこれの原作は読んだことがないので(調べたらWEB小説だった)、オリジナルとして読ませていただきましたでよ。
    いろいろ即落ちを見せていただいて、なんでそこで姫様は堕ちないんだと心の底から叫びたいw
    二次創作ってことを考えると姫様は本編で堕ちるか何かなんだと思うけれども。
    そして、アンドンヒルにメイド姉妹やアカリなどを奪われるのがおのれとなりましたでよ。
    ガニマタハル側からみると支配した星があるだけで名有りの重要人物はみんな持ってかれてる感しかないという。
    独占スキーなみゃふとしてはアンドンヒルをどうにかしてハーレムを作ってもらいたかったのでぅ。

    であ、次回作も楽しみにしていますでよ~

  3. 永慶 様

    今正月期間の投稿含めて、作品楽しく拝見させていだいています。
    原作がかなり頭のおかしい(誉め言葉)設定のお話でMC作品としてかなりお気に入りで
    二次創作を書いていたのですが、最初のほうと最後を書いて息切れしてしまって、
    ご指摘のように間はストーリーだけ進めるような感じでした。
    (初めて書く長いお話だったこともあり、8万字を目安ともしていたので、8万字書いたところで
    もういいやとなってしまったところもあります。)

    描写に関して原作はものすごいねちっこい作品ですので、よろしければとは思いますが、
    こういう小説は正直個々人の好みに非常に左右されますし、WEBの有料小説でもありますので
    なかなか勧めにくいところもありますね。

    ※別作品の二次創作ですが、GalacticChasingのようなものを書きたいと思っていたところもありますので
    永慶 様に感想いただいたこと、また、二次創作というものは一種のラブレターだと思っていますので、
    そのようなものの長文におつきいただき本当にありがとうございました。

    みゃふ様

    作品楽しく拝見させていただいています。
    ガニマタハル、エノク、イツキ、エリッサが原作キャラでそれ以外は大体が二次創作のキャラになります。
    ガニマタハルというアンチヒーローが大活躍する作品で、それにやられてしまって、この二次創作を書き初めました。
    (その意味では二次創作のオリキャラが原作キャラをレ〇プするという類の作品になって
    しまっています。また原作キャラもかなり勝手に変わってしまっています。)

    姫様に関しては、お話のモチーフ上の都合は少しあります。進化論の話をベースに書きたかったので、
    進化論の赤の女王仮説云々というところはあったりするのですが、MC小説なのでメインヒロインが
    やられずに終わるのはやっぱり独りよがりな作品なのだとは思います。そのようなオ〇ニー作品に
    おつきあいいただき本当にありがとうございました。

    原作はアンチヒーローのガニマタハルが大活躍のお話で、こういうオ〇ニー作品とは違って
    ちゃんとしたハーレム物です。

    では、

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