最終話 6月27日深夜。戒厳令下で封鎖中の練馬区春日町。 捜査用の立ち入り禁止テープを跨いで財団法人・樋口感染症予防センターに足を踏み入れた侵入者は、落ち着きのない足取りで、建物の窓から施設に忍び込んだ。 かつて樋
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ヒグチ・ウイルスMC-A群。人類が始めて本格的に対峙した、洗脳ウイルスだった。
ビールス・パニック 第11話
第11話 ≪報告書 ヒグチ・ウイルスMC-A群について (その6)≫ XI.ヒグチ・ウイルスMC-A群生成、感染拡大の「犯人グループ」 2008年6月11日未明から同日夕刻にかけて、「リヴァイアサン」と名乗る組織の主要
もっと読むビールス・パニック 第10話
第10話 個人タクシーの運転手、久保良雄が手を上げている男の子を見つけて停車したのは、JR立川駅北口にある、カプセルホテルの前。早朝、まだ辺りが薄暗い時間帯のことだった。 「奥多摩の雲取山の方向に向かって、5,000円
もっと読むビールス・パニック 第9話
第9話 パンッ。 「あいてっ、・・・あ・・。」 北峰巡査長は、ブースで葉書に書き込みをしている途中で後頭部をはたかれた。 振り返ると、芹沢警部補が立っている。 「パニック情報の洪水で、忙殺されてるはずじゃないのか?
もっと読むビールス・パニック 第8話
第8話 八木原潤也は何かしようと中腰になりながらも、どう対応していいのかわからなくて、うろたえるばかりだった。 「真弓ちゃん、そんなに・・・、そんなに何度も出来ないよ。どうしちゃったの?」 真弓は裸のまま、絨毯の上で
もっと読むビールス・パニック 第7話
第7話 ≪報告書 ヒグチ・ウイルスMC-A群について (その4)≫ IX. ヒグチ・ウイルス生成者と目される人物について V章で記述した、樋口感染症予防センター所長、樋口耕蔵(医学博士)は、1941年10月21日に福岡
もっと読むビールス・パニック 第6話
第6話 「ハッ、ハッ、ハッ、」 四つん這いになった真弓が、舌を突き出して熱い息を吐く。 「お手。」 「ワフッ。」 ほとんど同時に、潤也の差し出した左手に、動物の前足のように丸めた右手を置く。 瑞々しい裸身を潤也の前
もっと読むビールス・パニック 第5話
第5話 グリコの広告のランナーのように、両手を高々と掲げて、部屋から出てきた大樹。 しかし彼はすぐに、リビングの重苦しい空気に気がついて、少し歓喜の気持ちを押し殺した。 「おう、どうしたんだよ。うわっ、今林エロッ!・
もっと読むビールス・パニック 第4話
第4話 柿本ミチルは焦っていた。 今日は婦長の須永が、用事があって大学病院を訪問しているとのこと、シフトのメンバーの中では、自分が最もベテラン看護婦なのだから、自分が目を光らせて、後輩たちのミスの芽を摘まなければいけ
もっと読むビールス・パニック 第3話
第3話 「はいー、支倉です。八木原君?」 寝ていたのだろうか? 真弓の、昼よりもさらにボンヤリした声を聞いて、潤也は不安に思った。 「あ、支倉。ゴメン、寝てた?」 「うんん、大丈夫―。あ、でも、ちょっと寝そうだったか
もっと読むビールス・パニック 第2話
第2話 報告書 ヒグチ・ウイルスMC-A群について (その2) VI.「急性過剰依存」という症状についての仮説 一般的な流感ウイルスに対しても、脳が発熱による抵抗を行う場合には感染者が意識の混濁、全身倦怠感といった症状
もっと読むビールス・パニック 第1話
第1話 報告書 ヒグチ・ウイルスMC-A群について (その1) 以下に、2008年6月18日に日本で最初に感染が公式確認されたヒグチ・ウイルスの諸群(通称「ドジッ娘ビールス」)、およびそこから世界各地に波及し、現在も進
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