短編連作

澱 ~公彦の場合~

~ 公彦の場合・桜舞い散る時 ~  ある冬の日の晩、夜空には大きな丸い月が煌々と輝いていた。  雲一つなく、空気も澄み切ったこの夜、月の光は星々の光を打ち消すほどだった。  そんな強い月の下、二つの存在がにらみ合っていた

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澱 ~比売子の場合~

~ 比売子の場合 ~  山が真っ赤に染まる秋の頃。空気が徐々に寒くなり、それに合わせてどんどん澄んでいく。  季節に関係なく街には人が溢れ、そこかしこに暮らしを漂わせている。  綺麗で長い黒髪に、ニキビ一つない肌。モデル

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澱 ~サリアの場合~

~ サリアの場合 ~ 「なんだ、これ?」  少年はそれを手に取りしげしげと眺めた。  少年の手にあるのは古ぼけたランタンだった。  ここはとあるアンティークショップ。いろいろと怪しげなものが所狭しと置いてある。中でも今、

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澱 ~咲耶の場合~

~ 咲耶の場合 ~ 「ここが例のオカルト研究会ね」  コンコン・・・  木花 咲耶(このはな さくや)は目的の教室の前に立つと、その閉じられたドアをノックして中に入った。  中には少年が1人、椅子に座って本を読み耽ってい

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澱 ~美姫の場合~

~ 美姫の場合 ~  コツコツコツ・・・・。 「もう~、なんでこんなに残業が長引くのよ!!」  小倉 美姫(おぐら みき)は歩きながらそう吐き捨てた。  彼女は今年会社に入社したばかりで残業は日常茶飯事だったが、この日は

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