(3) お兄ちゃん・・・ 染みだらけの天井が、赤い炎に揺らめいて見えた。ズキンと鈍い痛みが後頭部を襲う。次第に意識がはっきりしてくる。確か、殴られて意識を失ったはずだ。 俺は床に転がされていた。体を起こそうとして、縛
もっと読むカテゴリ:ダークブレス
「あのさ、結菜さんは付き合っている人とかいるの?」
「お付き合いしている人はいません。私はお兄ちゃんのものだから……」
ダークブレス (2) まごころ
(2) まごころ 扉を開けると、ピアノの調べが溢れ出た。 部屋の中央にはグランドピアノが置かれている。ピアノを弾いていたのは結菜だった。細く長い指が、巧みなタッチで鍵盤を叩いていく。 虹華が部屋に入ってきた。演奏の
もっと読むダークブレス (1) 漆黒の少女
(1) 漆黒の少女 『まったくガラじゃないんだよな・・・』 俺は欠伸をかみ殺しながら、心の中でブツブツと恨み節を呟いていた。 俺の名前は宮本正樹。大学生だ。 久しぶりにバイトも休みだった。大学もようやく冬休みに入っ
もっと読む