TEST 4th-day Vol.7

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【4th-day あらすじ】

 潜入捜査として明智祐美の命令で学院に潜入して捜査をしていた深田茶羅は、一連の事件のキーマンである『陣内瑠璃子』を名乗る女子校生が実は成りすましの別人であることを掴んだ。本人の身柄を確保しレディースワットへの帰還を試みる彼女だったが陣内瑠璃子の手中に落ちてしまう。

 一方、成りすましに使われた本物の陣内瑠璃子の聴取をしていた飛鳥井園美はニセの瑠璃子が本物の瑠璃子に仕込んだ「バックゲート」なるトラップにかかり、その意志を絡めとられ自ら「セルコン」のアジトへと足を踏み入れる。

 いずれの事実もチーフである明智祐実は知る由もなかった。

【 学年主任室 】

「あっ・・・あぁん・・・・・ふ・・・・・・・ふ~ん・・・・」

「フフフフフ、いい、いいのよ茶羅。気持ちがイイ時は思いっきり声を出していいものなの」

「は、はい。ああああぁぁぁん、あんん、いぃぃ、いぃっぃぃ」

 全裸に剥がれた茶羅は上半身を仰向けに机の上に横たえて性器を前に突き出すように腰を机の角から垂らしている。

「気持ちいいんでしょ。だったら言葉に出して言えばもっと気持ちよくなれる」

「あ、あん・・・こ、言葉を・・こえに・・・?」

「そう。あなたの思っていることを心の中に溜めずに口から言葉にして出すのよ。その方が彼氏も悦ぶから」

「いい、いいぃぃ!きもちいい!気持ちいいのォーっ!」

 堰を切ったように周囲を気にすることもなく茶羅は切ない喘ぎ声を上げる。

「そう、いいわ。もっと聞かせて」

「もうだめぇ~、気持ちよすぎちゃう!超きもちいいのォーっ」

 パックリ開いた秘部の口元を覚えたばかりの拙い指使いで思うがままに責め続ける。

 快楽を知ったばかりのカラダは敏感に反応してピクピクと小刻みに感電したように震える。

「はぁ、はぁ、はぁ、あぁん、はぁ、はぁ、はぁ~んんんん」

 指先から溢れてくる愛液にクチュクチュと卑猥な音が漏れる。

「フフフフ、とってもピュアで真面目なコだったのね、茶羅。どォ?新しく踏み入れた未知の世界は?」

「はぁ、はぁ、はぁ、あぁん、す、ス・・・テキ。はぁ、はぁ、はぁ~ん」

 すでに両腿の内側には乾いて一筋の模様になった破瓜の血の上から溢れてとまらない体液にキラキラと光沢をさしている。

「いやらしい音ね、フフフ」

「こ、腰が、腰が勝手に動いちゃう・・・・・」

 潤んだ目に困惑と懇願の両方の色をたたえて茶羅の差し向ける視線の先にいるのは憧れの明智祐実のはずだった。

 今、茶羅が祐実と信じて心もカラダも許し、目の前にいるのは学年主任の奥津真矢だった。

「いいのよ。それはあなたが知らなくても体が覚えている肉の本能だわ。抗わず、身を任せなさい」

 真矢は含み笑いを浮かべながら再び茶羅のお○んこを指でなぞる。

「きゃふんっ!か、かんじちゃう、感じちゃいます、ゆ、祐実さん。わたし・・・いやらしい」

「誰でもそうよ。いやらしいのは悪いことではないわ。茶羅はキライなの?こういうこと」

「い、いえ。と、とっても・・とても気持ちがよくて、まるで自分が自分でないような、飛んでるような・・・」

「スキなんでしょう?こうやって触られるの、フフフ」

 ゆっくりと真矢の指先が茶羅の秘部の襞を撫で上げたあと、第一関節からゆっくりと埋まっていく。

「あん、祐実さん、祐実さん、祐実さ~んっ!いっちゃうっ!茶羅、茶羅、もう、もう、もうっ!」

「ンフフフフ。まだよ、あなたをまだイかせわしないわ。あなたのカラダはもっともっといやらしくなるためにもっともっと快感を欲しているのだから。そうでしょう?茶羅ちゃん」

「そ、そ、そうです!祐実さんの言うとおりですっ!わたし、わたし、もっともっと気持ちよくなりたいのっ!もっと、もっと、もっとーっ!」

 茶羅は大きく両手を広げ、女を招き入れるように抱きつきたい仕草を見せる。

 目は潤んですでに快感に酔い、周囲のことなどになんの関心もなくなっている。

 机の上は幾度となく続いた茶羅のオナニーと女との饗宴に愛液でビチョビチョだった。

「いかせてぇ。気持ちよくしてくださいぃぃ。もっと茶羅を愛してください。祐実さん、祐実さん、祐実さぁぁぁぁん」

「うるさいなぁ。真矢っち、もう焦らさずに入れてあげたら?もうそのコ、それナシじゃいられないカラダになっちゃったよ」

「はい。瑠璃子様、よろこんで」

 真矢はソファにどっかり腰を下ろしてPSPに打ち興じる瑠璃子に向かってうなづいた。

 真矢の腰には黒光りするペニスバンドが何度となく茶羅を貫いて愛液だらけになっていた。

「茶羅、瑠璃子様からお許しがでたわ。あなたをまたイかせてあげる」

「う、うれしい。祐実さん、茶羅を、茶羅を愛して。いっぱい、いっぱい愛して、気持ちよくしてぇ」

「あなたが気持ちよくなれるのも、みんな、みんな瑠璃子様のおかげなのよ」

 真矢は真っ黒いペニスバンドの先をもったいぶりながら茶羅の秘部に押し当てていく。

 茶羅はすでに前戯と期待で快感に打ち震えている。

「はい、はい、はいぃっぃぃぃ。茶羅が、茶羅が気持ちよくなれるのも瑠璃子様のおかげですぅぅぅ」

 茶羅はすでに正常な判断能力を失い、自分に快楽を与えてくれるのは瑠璃子のおかげだと心から信じ込んでいた。

「挿れるわよ、茶羅ちゃん」

「はっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ。もっと、もっと、もっと奥、奥までぇーっ」

「どうして欲しい?」

 真矢は自分も生徒を貫き犯す快感に溺れていた。

 以前は学級崩壊から責任追及され、ダメ教師の烙印を押された大卒での小心な新米教師の彼女は私学校連合会の教師再生セミナーに否応なく受講することとなった。

 

 強靭な精神育成を目的に洗脳に近いカリキュラムから一流の教師として再生されたのだが、病的なまでに高められた教師という生徒に対して支配的な立場とプライドは、生徒指導の名の下に生徒を性的虐待する異常な性癖を発芽させる要因となっていた。

 

 学校は表面的に成長した彼女を評価したものの、裏に秘められた異常性には気づいていなかった。

 

 彼女の指導力の高さがいつの間にか伝説をつくり、複数の学校からオファーを受けたのもそれからだった。

「壊してっ!掻き回してっ!いっぱい気持ちよくしてください!思い切り動かして茶羅を茶羅をメチャメチャにしてーっ!」

「お望みの通りにしてあげるわっ!さぁ!おゆきなさい!いくのよ!さぁっ!」

「いぃぃぃーっ!きもちぃぃぃぃぃのぉぉぉっ!いっくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーっ!とけちゃう!とろけちゃーっうぅぅぅうっ」

 茶羅は体を小刻みに震わせて半ば意識を失いかけている。

「はぁーっ、はぁーっ」

 荒い息遣いで肩を揺らす真矢も満足げな表情で茶羅から離れる。

「わ、わたしも・・・かんじちゃった・・・・」 

 そう言ってペニスバンドを急いで外すとぺたんと床に腰を落として自ら自分の胸と秘部をまさぐり始めた。

「あん!あああああんん、きもちいぃぃ」

 瑠璃子がゆっくりとソファから立ち上がる。

「真矢っち。ほら、あっちにも仲間がいるから楽しむのよ」

 そう言って真矢の頬をとって部屋の角に視線を向けさせる。

 その視線の先には全裸のままオナニーを続ける小西真奈の姿があった。

「はい。瑠璃子さま・・・・・・」

 さかりのついたネコのように腰を振りながら四つんばいで真矢は真奈へと歩み寄ると2人は磁石のように吸いついて互いに愛撫し始めた。

 瑠璃子は真矢の外したペニスバンドを拾い上げ、視線を茶羅に戻すとゆっくりと耳元に口を寄せる。

 ピクリとも動かない茶羅の右手にペニスバンドを置く。

「さぁ、茶羅。あなたのテストが始まるよ。あなたが受けた明智祐実チーフからの愛にあなたは全力で応えなければならない」

 瑠璃子の言葉を聞くや否やカッと一瞬にして茶羅の目が一気に見開かれ、まるでロボットのように半身を起こした。

 

 ペニスバンドを持つ茶羅の手にしっかりと力が込められた。

「はい。私は必ず祐実さんの期待に応えてみせます」

「フフフ、今から言うことをよく聞いてね」

 瑠璃子はさらに言葉を伝えた。

【 六本木ヒルズ 総合商社アレキサンドロス(株)】

「どうも貴重なお時間を割いていただきましてありがとうございます」

 部屋を出ながら取材を終えた男女は秘書を伴った取材対象の男に丁重に頭を下げた。

「いや、こちらこそ助かりました。話は拙くてお役に立ったかどうか。こんなしがない会社の中間管理職が」

 そう言って男はビジネス雑誌の記者である「綿井哲哉」と「土岐ゆかり」の名刺を手に、笑顔で取材に来た2人をエレベータへと送る。

「ご謙遜を。アレキサンドロスの渉外部長といえば読者からすれば羨望の的ですよ。いい記事になりそうです」

 土岐ゆかりはさわやかな笑顔で頭を下げた。

「それは、それは。私としては常務の相川の方が取材対象としては推薦したいところでしたが」

「相川常務は昨年に姉妹紙の方でお邪魔させていただいてまして」

 綿井哲哉が彼を取材対象にした言い訳をした。

「それにしても土岐さん。私はあなたに非常に感心しましたよ」

 綿井の言葉などさっさと無視して男はゆかりに近づいた。

 ぎゅっと半ば無理矢理ゆかりの手をとって両手で握手をしてきた。

 この男の感謝の表現だろうとゆかりは無下に手を振り払うのをためらった。

「本当に助かりました。あの取引先の担当者は未だに日本人を見下した態度をとる扱いづらいヒトだったんだ」

「あ、あの・・・」

 ゆかりは一瞬返答に困った。

「あなたの知識は中々のものだ。しかも知識としてだけでなくしっかりとご自分の意見をもっていらっしゃる。やぁもったいない。編集者などではなくわがアレクサンドロスグループの一員に是非お迎えしたい」

「光栄です。それでも私はただの雑誌編集者ですから・・・・」

 今度はゆかりが謙遜する番だった。

「何をおっしゃる。先ほどの流暢なドイツ語も、欧州経済の動向に関するあなたの意見も、専門家であるべき私や秘書の相川くんまでが度肝を抜かれました」

 そう言って男は先ほどの光景を思い出し、まぶしい眼差しでゆかりを見つめていた。

「わたしも土岐さんのドイツ語の流暢さに聞きほれてしまいました。経済用語も十二分に使いこなされていて、しかも昨日の経済動向まで克明に覚えていらっしゃるなんて」

 彼の秘書である相川理香でさえ興奮隠しきらぬ様子で言葉を挟んだ。

「そ、そんな。経済誌の記者ですから情報だけは」

 ゆかりは視線を逸らした。

「そうそう、あのデュンケル氏が最後はあなたに笑って握手を求めたのもあなたが認められた証ですよ」

 男は雄弁に語った。

(失敗したな・・・目立つことはしたくなかったのに)

 困惑の表情を浮かべつつ、ゆかりは心の中で舌打ちをした。

 取材中にも関わらずアポなしで部長室に乗り込んできた取引先の欧州系会社の日本支社担当者。

 急な来訪で心の準備が出来ぬまま、まくし立てて恫喝に近い口調で問題解決を迫る相手の対応に困り果てていた取材対象である彼と彼の秘書を見かね、ゆかりは早く取材を終えこの場から立ち去りたい一心で間に割って入った。

 

 ドイツ語があまり得意ではなさそうな彼の秘書に代わり相手の急な来訪の内容を聞き出し、市場で起きたトラブルから今後の解決策まで双方にゆかりが示すこととなった。

「気むづかしく融通の利かないあの彼が感心するほどだ。あなたの力量はこんな編集社に埋もれさせておくには惜しすぎる!」

 男は興奮気味にゆかりの手をまだ握っていた。

「悪い話じゃない。是非、うちに来てくれませんか。失礼な言い方だがルックスだって申し分ない。秘書でも、渉外部の欧州営業担当でもあなたなら十分通用する。考えてください」

 エレベータが来ているのに男はゆかりの手を離そうとはしなかった。

「今回はたまたまです。御社のような超一流会社では私は通用しません、すぐにボロがでます。丁重にお断りさせていただきます」

 ゆかりはゆっくりと彼の手を解いてエレベータに乗り込んだ。

 ドアが閉まる最後までゆかりは笑顔を絶やすことなくそしてゆっくり深々と頭を下げた。

「気が変わったのなら、いつでもご連絡ください!私、アレキサンドロス渉外部長、野仲は決して諦めませんよ、土岐ゆかりさん!」

 扉の閉まる最後の最後まで男はゆかりに声をかけていた。

「すごいね、取材先のどこへ行っても引っ張りダコ。ウチを辞めても十分喰っていける。羨ましいですよ、さすがは元秘書」

 2人っきりのエレベータの中で綿井哲哉が言った。

 次の瞬間、ドンっと鈍い音がしてエレベータの壁が響いた。

 振り下ろされたゆかりの拳が思い切りエレベータの壁を打ち据えた音だ。

 ゆかりは先ほどとはうって変わった鋭い視線で綿井を睨んだ。

「ただの遊びに突き合わせたのならタダじゃおかない。わかってんの!」

「わかってます。これで取材は終わりなんだからタネ明かししますよ」

 綿井はゆかりの言葉にたじろぐ。殺されかねないと思った。

「せっかくヒルズに2人きりで来たんですから、次の行動までお茶でもしません・・・・・か、うっ」

 侘びの代わりと雰囲気を変えようと試みた綿井の言葉はやぶへびだった。

 綿井が言い終わらぬうちにゆかりの右手が綿井のネクタイを掴みあげ顔と顔をつき合わす。

「殴られたいっ!」

「わ、わ、わ、わかりましたよう。説明します、言いますからぁ。く、く、苦じ~ぃ」

 エレベータの扉が開く。

 待っていたビジネスマンやOL達が目の前に突如現れた男女のケンカに目を白黒させている。

 ゆかりは気にも留めず何事もなかったようにさっさと外へ歩き出した。

「ゲホっ!げっ!うげーっ、待ってくださいよう。まったく気が短いんだから・・・・」

 綿井はゆかりの後を慌てて追った。

「記事にならなきゃ我われが嘘の取材だとバレるじゃない!」

「ケホホ・・大丈夫ですって。その頃は彼らも事情聴取の対象になってますよ」

「まして!あとで今日にでも野仲部長が社に電話でも入れようモンなら私たち2人がビジネスウィークリー社の記者じゃないことも分かってしまう。なんて稚拙な捜査なの!」

「そ、それも大丈夫です。綿井哲哉と土岐ゆかりは実在人物。今頃はマイケルソフト社の取材で渡米のため成田に向かう頃です」

 2人は歩きながらヒルズの敷地を横断する。

「無謀よ。背中が寒くなった。あんたの捜査になんか協力するんじゃなかった」

「補佐官からの許可も得た正当な命令です。あなたは断れない」

 ゆかりがヒルズを出て、歩道にでると手も上げぬうちから間髪いれずにタクシーが滑り込むように目の前に横づけされた。

 無言のまま、ゆかりは当然のように乗り込む。

 追いかけるように綿井もそのタクシーに乗り込んだ。

「お帰りなさい。ご苦労様でした」

 タクシーの運転手は2人にそう告げた。

 車はゆっくりと走り出す。

 外見から見ればタクシーのその内装は似ているようで中の装備に違和感がある。

「港特車05号、これより署へ戻ります」

 タクシーの運転手は無線でそう言った。

 ゆかりは後部座席で無言のまま、頭からウィッグを取り外す。

 手ぐしで戻された髪がはらりと肩にかかる。

 そこには明智祐実に戻った「土岐ゆかり」の姿があった。

「あっ、ダメですよ。ヒルズを離れるまでは。かつら着けといて下さい、誰かに見つかったらヤバイ」

 綿井はウィッグと呼ばれるつけ毛を外すゆかりを諭す。

「うるさい!理由も説明もなく雑誌記者に変装させてまで大事な作戦前の時間をムダにさせて何を言ってるの!」

「『命令に説明はない』、我われ組織の鉄則です」

「あんたのいる特務局と我われレディースワットを一緒にしないで欲しいわ!」

 狭い室内にゆかりの声が響く。

「だって祐実さんはこの間も警視庁24時で取材を受けてるし、変装でもしてもらわなきゃ我われが記者じゃないことがバレる恐れがあったから」

 綿井の偽名を使い明知祐実ともども取材を回ったのは本庁特務局付の石原だった。

「経済誌の取材とまでウソついて名医と名高い外科医やIT企業の秘書室長、そして今の商社の野仲部長といい何の意味があるのよ!」

 祐実は未だに説明を始めない石原に苛立ちを隠さない。

「いかがでした?会った印象は」

 石原が真顔になって祐実に問いただす。

「どうって・・・・今の時代の最先端を行くパイオニアの雄ってトコじゃない。あんな男達なら前職の頃、毎日のように見ていたわ!」

「そう。そのとおり。表向きはね。でも会っていただきたかったのは彼ら男達じゃない」

「表向き?男達じゃないって・・・」

「裏では『セルコン』の上客なんですよ。男達はね。これ祐実さんへの好意的な情報提供」

「えっ・・・・・・ま、まさか」

「そして、取材の際につかづ離れずに会った看護婦や秘書の女のコたちを祐実さんに見ておいて欲しかった」

「どういうこと?」

「署に戻ったら我われが発見したサイトを見ていただきます」

「石原さん。すでにつないであります。ソコのノートで見れますよ」

 運転手に扮した後輩捜査員が助手席の背面にセットされたノートパソコンを見るようにと促す。

「ありがとう、加藤。祐実さん、見てください。このサイト」

「サイト?」

「ええ。最近ようやく侵入に成功した会員制サイト。毎日更新されるこのサイトに・・・ホラ」

「そ、そんな・・・・・」

 祐実は目を疑った。

 そこには修正すら加えられずに笑顔で裸体をさらし、取材してきた男たちに奉仕する秘書達のあられもない姿が写真と映像で彩られていた。

 スピーカから先ほどの野仲の秘書である相川が喘ぎ声を漏らしている。

「あん、いぃっぃ、もっと、もっと、ちょうだぁぁぁあい、おとぉさまぁぁぁーっ」

 スクリーンに映る彼女の眼差しは潤みきり情欲に燃えたメスの獣のようで清楚感溢れる10分前のそれとは比べ物にならないくらい祐実にはショックだった。

「我われはこういう恐ろしいことを平気で行える相手と戦っていくんですよ」

 石原は緊張した面持ちで祐実の驚いて声すら出せないでいる表情を覗き込んだ。

 画像処理で明らかに男達の姿は顔をぼかしているが取材したそうそうたる面々に間違いなかった。

 先ほど会って祐実のことを褒めた秘書や病院で見かけた献身的な看護婦も今パソコンの画面上で見るも無残に乱れた淫猥な行動を嫌がることなく自らすすんで受け入れている。

 祐実にとっては信じられない光景だった。

「そんな・・・こんなことって」

 祐実には次の言葉が見つからない。

「昨日、今日と捜査で会った彼女たちの映像はここ数日のうちにアップされました。恐らくは彼女たちもまた自分がこんなことをしているなど夢にも思っていないかもしれません」

 祐実の顔色は見る間に青ざめていく。

「恐らく彼女たちもまた自分の預かり知らぬところで精神的な支配を組織から受けたと考えられます。特務局としてはこの情報を今は裏とりをして祐実さんに提供するしかできない」

「お、お願い!止めて!車を止めて!」

 祐実の叫ぶような声にタクシーに偽装した署の特殊車輌は慌てて芝公園の東京プリンスの近くに止まった。

 

 飛び出していった祐実は歩道脇の茂みに体を隠すように身をかがめ吐瀉した。

「やっぱりホントなんですね。彼女過去に性犯罪被害にあってからトラウマを抱えているって言うのは」

「シっ!加藤、それは局内だけの情報だ。むやみに喋るなよ」

 石原に言われて、運転手役の後輩、加藤は自ら口に手をあてた。

 その加藤に石原はカバンからだしたレコーダーを投げる。

「ホレ!取材インタビュー。あとでお前がテープ起こししてビジネスウィークリー社に記事送っとけよ」

「えーっ!勘弁してくださいよ。石原さん自分で起こせばいいでしょ」

「捜査の形跡は残さず、協力者に迷惑をかけない。お前がまず学ぶのはそこからだよ」

 石原は未だに腰をかがめたまま動かない祐実を気遣って行くべきかどうか思案していた。

「おい、加藤。祐実さん、このままチームの方へ送るぞ」

「へ、ウチの局に来てもらわなくていいんですか」

「もう十分だろう。関係書類は直結のホットラインでメールしておけばいい」

「へい、へい。了解、それも全部オレがやるんですね」

【チーム6 スタッフルーム】

「今、石原さんから連絡入りました。チーフ間もなく帰還するそうです」

 連絡を受けた雪乃が全員に聞こえるように報告する。

「よかったね、茶羅。もうすぐチーフ帰ってくるよ」

 涼子は隣に座って祐実の帰りを待っている高校生姿の茶羅に言った。

 茶羅は無言のまま微笑んでいる。

「よかったね。思ったより早く任務が終えられて。陣内の件は直接報告しなきゃいけないの。副長でもいいなら聞いてあげるけど」

「いいんです。待ってます、祐実チーフを。直接伝えなきゃいけないんです」

「そう。わかったわ、もう少しだからね」

 涼子はそう言って自分の仕事に戻った。

 部屋の全員の姿を見渡しながら茶羅はニコニコと笑っている。

「フフフフ、なんかイイコトあったみたいね」

 茶羅に近づいてきた麻衣子が茶羅の肩を撫でながら意味深に微笑んだ。

「は~い。だから、直接チーフにお会いして報告するんです」

「フフフフ、そう。よかったわ、無事にあなたが戻ってきて」

「麻衣子さん、私、今回の任務では充実感が一杯で溢れてしまいそうですぅ~」

 茶羅の表情もどこか酔ったような締まりのない笑みが浮かんでいる。

「うれしいわ。あなたもこれで仲間ね」

 そういうと麻衣子は濡れて潤んだ目で茶羅を見ながら優しく頬を撫でる。

 茶羅は嫌がりもせず麻衣子の手に自分から頬ずりをした。

 その違和感のある光景を誰もが業務に忙殺され意識せずに見逃していた。

< To Be Continued. >

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