免罪符 幕間

― 幕間 ―

 さて、これからどうしようか。
 かわやちゃんとここ、駅の男子トイレで別れて会社に向かおう、とも考えたが、今更出勤しても遅い時間だし、上司からお怒りの電話が携帯に飛んでこないところを見ると、思った通り『免罪符』の力で遅刻自体が無罪となっている可能性が高い。
 ならば丸1日遅刻したって平気じゃないか。
 俺は『免罪符』の力の凄さに驚きと感謝を同時に感じつつ、俺に無茶苦茶されて乱れた身だしなみを洗面台の鏡に向かって軽く整えているかわやちゃんに向かって言った。

「ねえ、かわやちゃん」
「なんですか?」
「このまま俺とどっか行かない? 今から学校行ってもどうせ遅刻でしょ?」
「それはそうですけど…、もしかして…『連れ回し』ですか?」

 つ、『連れ回し』…。彼女のその一言に苦笑を隠せなかったが、今の俺は犯罪をやればやるほど喜ばれるわけだから、むしろそう思われる方が都合がいいかもしれない。
 俺は軽くニヤリと笑ってみせると、半分冗談半分犯罪者気取りで答えた。

「そうだな、『連れ回し』じゃなくてむしろ『誘拐』かも。こらー、おとなしくしろっ!」
「きゃ~、ご主人様っ! 私を好きに連れてって!」

 一般的な誘拐と違って、被害者の方が自ら犯罪者の胸に嬉々として飛び込んできちゃったけど、これはこれでいいな。
 年頃の女の子特有のいい匂いと柔らかさを腕の中で堪能しながら、俺はそんなことを考えていた。

「…ご、ご主人様ぁ」
「なに? もう嫌になった?」
「ううん、そんなことないです! でも…」

 俺の横で、俺の一言に首を全力で振って否定するかわやちゃん。その顔は赤く染まり、街を行く歩みもどこかもじもじと小さくなっている。
 さらには、俺の腕にぎゅっとしがみつくように彼女自身の腕を絡め、軽く俺に体を預けるように歩く様は、まるで熱愛中の恋人同士のように他人には見えるだろう。

(まあ実際は、強姦魔と脅された被害者なわけだけどね)

 俺は自嘲しながら内心肩をすくめてみせた。
 しかし、実はそんな関係だろうと今の状況は今まで彼女なしだった俺にとっては夢のようなシチュエーションだった。何しろ、昼間っから制服姿の美少女とある意味デートしているのだ。しかも腕を組んで体を密着させながら。
 昨日までの俺なら絶対に考えられなかったことだけに、俺のテンションは否応がなしに上がってしまっていた。おまけに何をしてもおそらく嫌がられることはないのだから、なおさらだ。
 だから、駅を出た時から彼女に『させていた』事を、俺は意地悪っぽく繰り返した。

「嫌じゃないならいいけど。でも周りの人が、かわやちゃんが下着つけずに歩いてると知ったらどう思うかなー?」
「ああん、ご主人様! 聞こえたら恥ずかしいから言わないでくださいー!」

 そう言いながら彼女が俺の口を塞ごうとして、じゃれつくような格好になる俺たち。そんな光景を微笑ましく見るか興味なく無視するかして、どんどんと通り過ぎていく通行人の群れ。
 そう、俺はかわやちゃんに『下着を着けないで』一緒に歩こう、と言っておいたのだ。俺が彼女を散々犯したせいで特にショーツが汚れてしまい、そんなものを再びはかせて歩かせるのもかわいそうなのが理由の一つだったが、それ以上に今の彼女は何でも言うことを聞くのだから、普段なら絶対に言えないようなことを命令してみたかったのだ。
 もちろん『免罪符』の影響下にあるかわやちゃんは喜んで俺の言う事に従い、男子トイレで何の抵抗もなくスカートの中からショーツを脱いでみせ、ブラジャーの方はさすがに胸を見られるのがちょっと恥ずかしいのか、俺に背を向けて壁際でごそごそやって脱いでから、俺に喜んで両方を差し出した。その辺の羞恥心の差が男にはよくわからないが、仕草がかわいかったので許そう。
 そしてそれらを俺は惜しげもなく、悪人っぽくトイレのごみ箱に投げ込んで、彼女とのデートに出向いたのだった。まあ着用済みとはいえ汚れた下着だし。
 だから今のかわやちゃんはノーブラノーパン。俺の言う事だから喜んでは従うものの、周囲の人に気取られるのが恥ずかしいのか、より俺に密着して内股をこすり合わせるようにして歩いていた。
 俺の腕には時折ブラウス越しに彼女の薄い胸から尖ったのであろう乳首の感触が伝わり、目を下の方に向けると、制服のスカートからのぞく足の内側にはぬるぬるとした液体が靴下の方まで続いていた。さっきまでの情事の痕跡が垂れてしまっているのだろうけど、もしかするとこの露出プレイでまた興奮して濡れてしまっているのかもしれない。

「あの、ご主人様…、ところでこれからどこへ行くんですか?」

 人々の行き交う市街地をそんな風に寄り添いながら歩いていると、不意に至近距離から上目遣いでかわやちゃんが聞いてきた。うっ、可愛い子の上目遣い視線は一種の武器だなぁ。何でも言うこと聞いてあげたくなる。
 まあ行き先について何も考えていなかったわけじゃない。最初は汚れてしまったかわやちゃんの為に銭湯でも行こうかと思っていた。『免罪符』があるから女湯にも入り放題だろうし、そこはまるでパラダイスだろう…と思ったものの、今時平日の昼間っから銭湯に行くような人種といえば高齢者しか考えられず、パラダイスは期待できそうになかった。
 そこでちょっと考えた俺は、

「ほら、着いたよ。ここ」

 彼女を有名な高級ホテルの入り口まで連れて行って、玄関先を指差してみせた。
 こういうのはラブホテルに行くのが王道かもしれないが、今の俺は何も心配しなくてもいいはずなのだから、むしろ一流ホテルをラブホ代わりに使ってやるのがオツというものだろう。
 かわやちゃんも予想外だったのだろう、目を丸くして俺に言う。

「えっ、いいんですか? こんな高そうなところ…」
「いいのいいの。さあ入った入った」

 俺は彼女の背中を押すようにして、うやうやしくお辞儀して俺たちの為にドアを開けるドアマンを横目に、二人してフロントに向かった。

「いらっしゃいませ…。ご予約はございますでしょうか?」

 フロントでは、さすが高級ホテルだけあって品の良さそうなホテルマンが、サラリーマンと女学生という不自然な組み合わせの俺たちを出迎えていた。が、その目には不審の光は全くない。怪しい分逆に『免罪符』の力が働いているのかもしれない。

「いや、予約はないんだけど、一番高い部屋、スイートルームでこの子とセックスしたくてさ。今から泊まりたいんだけど、空いてる? お金ないけど」
「はい、現在空室でございますので、すぐにでもお泊りいただけます。まだチェックイン時間ではありませんが、お客さまでしたらご自由にどうぞ」

 援助交際っぽい上に無賃宿泊であることを強調して告げたら、案の定喜んでOKを出してくれた。おまけに時間外利用も許可してくれるとは、まるでVIP気分だ。

「あっそう。じゃ鍵くれるかな?」
「こちらでございます。15階の1号室へどうぞ」

 そう言って電子ロックのカードキーを何のためらいもなく俺に差し出すホテルマン。俺はそのカードキーをさっと受け取ると、この時間なら来るであろう掃除の人間を部屋に近づけさせないように告げてから、戸惑うかわやちゃんの手を引っ張ってエレベーターの方へと向かった。

「ご主人様、こんなホテルに出入りできるんですか?」
「まあね。ここに来たのは初めてだけど」
「すごーい…。さすがご主人様」

 彼女の視線と言葉に、俺への憧憬の心が篭っていた。『免罪符』の力で俺の事を『男の中の男』とでも思っている彼女が、より俺に対する想いを強くしている。きっかけが何であれ、かわいい女の子に熱烈に惚れられるというのも悪くない。
 俺たちは指示された通りにエレベータで最上階である15階まで上がると、まっすぐ1号室のドアの前まで向かい、そして手に入れたカードキーで部屋のロックを開けた。

 そこは、行き慣れたビジネスホテルのシングルルームとは全く違う別世界だった。俺の自室の何倍あるかわからない広さの部屋の中に、上品で高級そうな家具や調度品、50インチはありそうな液晶テレビに、2人で寝るにはでかすぎるふかふかのベッド。冷房はちゃんと効いているし、最上階だけあって眺めも抜群。夜になったらベランダからの夜景が綺麗そうだ。一泊で何万円も取るだけあって、それはそれは夢のような空間だった。
 貧乏人の物見遊山気分丸出しであちこち部屋の中を見て回ってた俺だったが、かわやちゃんをほったらかしてたことに気づいて、後ろを振り向いて言った。

「かわやちゃん、シャワー浴びといでよ。俺が色々汚しちゃったしさ」

 当の彼女はベッドのスプリングの感触を確かめるべく、スカートがめくれて中身が丸見えになるのも気にせず、正座の姿勢で楽しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねている最中だったが、俺の一言で我に返ったのか、恥ずかしそうにスカートをぱっと押さえると、

「そうですね、あっちこっちべたべたですし…。じゃ、シャワー浴びてきますね。でも…」
「でも?」
「…ご主人様も一緒に入りますぅ?」

 俺のスケベ心を見透かしてか、冗談めかしてかわやちゃんが言う。
 意地になったわけじゃないが、俺は顔に熱いものを感じながら少々語気を強めて言い返した。

「いーから行っといで!」
「はぁーい」

 そう言って彼女はにこにこ顔で浴室へと向かっていった。彼女にしてみれば俺に一泡吹かせてやった、という気分だろうか。まああれぐらいのおふざけなら逆にかわいいもんだろう。別にかわやちゃんを口答えも許さない奴隷扱いしたいわけじゃないし。
 とはいえまあ、俺も後からシャワー浴びようかな、と思ったその時、ふと恐ろしい仮説に行き当たった。

(『免罪符』って、どこまで側に置いておかないといけないんだ?)

 今までは財布の中に入れていたから、肌に密着させないとだめということはないだろう。しかしこれから風呂に入るんだから、最低でも何メートルかは離れなきゃならない。『免罪符』が防水加工されてる保証はないし。
 果たしてその時、『免罪符』は効力を発揮するのか? 最悪、『免罪符』から離れた途端に効果が切れて、俺は強姦魔で誘拐犯で、今は不法侵入も追加された犯罪者に逆戻り…ということにならないのか?
 それを考えると、俺の背中に冷たい物が走った。何らかのアクシデントで『免罪符』を落とす可能性もあるだろうし、ビニールとかで防水するにしてもいちいち持ち込まないと風呂にも入れないのでは面倒だし、下手をすると社員証みたいに常に首から下げてないと全裸にもなれないかもしれない。それはさすがに厄介すぎる。
 しかし、もう今更『免罪符』を手放して善人ぶって神に罪を懺悔するわけにもいかないだろう。それこそ、どうなるかは神のみぞ知る、のだ。
 俺は深呼吸して覚悟を決めた。ベッド脇に『免罪符』の入った財布を置くと、ゆっくりとシャワールームへと歩いていった。数メートル離れただけで効果が切れるなら、かわやちゃんが騒ぎ出す可能性もあるが、まだそんな様子はない。
 俺の心臓はどんどんと早打たれていく。喉が渇き、思わずつばを飲み込む。
 浴室への扉をゆっくりと開け、スイートルームならではの脱衣所兼洗面所に来ても何も起きていない、気がする。服を置けるようになっている台には、かわやちゃんの制服が綺麗に畳んで置かれていて、そして浴室では彼女の浴びているシャワーの水しぶきの音が反響しているのが聞こえてくる。部屋を隔てるとだめ、ということもないらしい。
 これならいけるか!? いや、扉開けたら彼女が悲鳴をあげて逃げ惑うかもしれない。そうなったら、最後の手段で携帯電話の中のかわやちゃんの恥ずかしい写真を使って、本当に彼女を脅さないといけなくなるかもしれない。できればそんなことは避けたいが。
 ふーっと息を吐き、ざわつく心を落ち着けて、俺は思い切って浴室のドアを押し開けた。
 そこには、バスタブの中に立ち、シャワーを握り締めながら、シャワーカーテンの隙間からきょとんとした表情でこちらを見つめている、全裸のかわやちゃんがいた。
 どうだ!? 叫ばれるのか!? 泣かれるのか!? それとも…!?

「もう、ご主人様ったら…、やっぱり来たじゃないですかぁ。最初から言ってくれれば一緒にお風呂に入ったのに…」

 やれやれといった表情で俺を見ているかわやちゃん。俺に対する認識も『ご主人様』のままだ。つまり、俺は賭けに勝ったのだ!
 俺は喜びのあまりぐっと拳を握ってから、不思議そうな目で俺を見ているかわやちゃんに思わず抱きつこうとした。
 が、

「ご主人様ったらせっかちすぎ。スーツ、濡れちゃいますよ?」
「いやまあ、うん。その通り…」

 その後俺たちは浴室で一糸まとわぬ姿で、ボディソープでお互いの体を洗い合ったり、彼女の小さめながらも柔らかい胸で背中を洗ってもらったり、お返しに俺の手で揉み洗いしてあげたり、性器を優しく念入りに洗ったり洗われたりと、必要以上にスキンシップしながらお互いの汗と汚れを流し合った。
 そして浴室から上がった俺たちは、バスタオルで水気をささっとふき取ると、何も着ることなく本来の目的を果たすべくベッドに移動した。先程までの浴室のイチャイチャっぷりで俺の肉棒は既に硬さを取り戻していたから、電車や駅のトイレではやり損ねたフェラチオを今からかわやちゃんにさせようと思っていたのだ。
 ふかふかのベッドに腰掛け、まるでどっかの帝王のように両足をどっしり開いて構える。そしてかわやちゃんに、

「じゃ今から俺のをしゃぶってもらおうか。やり方はわかる?」

 と顎をしゃくってみせた。彼女は俺にハレンチなことを命令されるのが嬉しいのか頬を染めて微笑んだが、反対に声は不安そうに俺に答えた。

「進んでる友達から話ぐらいは聞いたことは…。うまくできなかったらごめんなさい…」
「いいよ、最初は誰だって下手なんだから。アイスみたいに舐めてくれれば大丈夫」
「ご主人様優しいから大好きです。がんばって気持ち良くしますね!」

 かわやちゃんはそう言って可愛く気合いを入れるポーズを決めると、俺の股ぐらの間に顔を埋めるようにひざまずいた。そして鼻がこすれるかこすれないかの距離から舌を伸ばして、おずおずと俺のものを舐め上げ始めた。
 彼女の舌の動きにたどたどしさはあるが、ぴちゃりぴちゃりと音が聞こえるたびに、俺の背筋に快感が走る。たまらないね、美少女を下に見ながらふんぞり返るのは。昔の王朝の支配者もこんな気分だったんだろうか。
 気分の乗ってきた俺は、手を伸ばしてベッド脇に置いておいた自分の携帯電話を手繰り寄せると、ボタンを操作して動画撮影モードに切り替えた。そしてレンズを彼女の方に向けて、新たな命令を発した。

「よし、じゃあ恥ずかしい動画撮ってあげるから、こっち見ながら俺のをしゃぶってくれるかな。咥えたら頭を動かして俺を気持ち良くしてくれよ」
「はぁい、かわいく撮ってくださいね♪」

 そう言ってかわやちゃんは、俺の肉棒をぱくりと咥え込んだ。
 彼女の口の中は、膣内とはまた違った暖かさに包まれていた。さらに彼女は、携帯の方を上目遣いで見上げながら頭を前後に動かしていく。柔らかな唇の締め付けと、時折当たる舌で俺のものを刺激して、より快感を生み出していく。
 そしてその様子は、携帯電話のメモリーに全て記録されている。電話の液晶画面には、目の前と同じ光景が繰り広げられていた。上目遣いの全裸美少女が犬のようにひざまずき、男性器を嬉々として舐めしゃぶり、頭を淫らに前後させている。

「うっ、いいよっ、たまんないねこりゃ」
「んっ、んんっ、んーっ、ふっ」
「もっと、もっと動かして! しゃぶって! 口をすぼめて吸うんだ!」
「ふあい、んんんっ、んーんーっ!」
「そうそう、その恥ずかしいひょっとこ顔も全部撮ってるよ。嬉しいでしょ」
「んんっ、んーっ」

 俺のものを頬張りながら、彼女が目を細めてうなずく。
 そんなことをしていると、次第に下半身からこみ上げてくるものがあった。そろそろ潮時だと判断した俺は、動画のクライマックスに向けて演出を追加していく。

「よし、いったん口から出して、また舐めてくれるかな。そろそろ出してあげるから」
「んっ…ぷはっ…っ! はい、ご主人様の好きなタイミングで出してください!」
「ありがと。かわやちゃんはいい便器だね」
「ぴちゃっ、はい、んぁっ、私は、ぴちゅっ、ご主人様の、ねろ…っ、便器ですっ! ぺろっ…」
「うわっ、いま先っぽなんか舐められたら、出る! 出るっ!」

 その瞬間、俺の中を突き抜けるようにして、勢い良く精子が彼女の顔めがけて降り注いでいく。前髪、おでこ、眉を白濁液が汚し、粘液が重力に引かれて彼女の整った顔を伝っていった。射精の瞬間に彼女は反射的に目を閉じていたので、後から発射された粘液がそこも鼻先も白く染め、いやらしく彼女を飾り立てていく。
 そして俺の携帯電話はその様子を全て記録していた。清純な少女が娼婦となり、そして便器となっていった様を…。

 もっともその後、

「もうご主人様ったら! 顔についたの取るの大変だったんですからね!」

 と、髪についた精液を洗い流すのに相当苦労したらしいかわやちゃんに随分とむくれられてしまったのだが。まあ「ごめんよ、次は出そうになったらおまんこにたっぷり注いであげるから」の一言であっさり納得してくれたけど。

 さすがに朝から連続してハッスルしてしまうと、こういう事に慣れてない体は安息を欲してきたので、俺はかわやちゃんと一緒にベッドで昼寝をすることにした。どうせ今日は彼女を帰さない気だし、これからいつでもできることを考えたら欲望に任せて無理する必要はない。
 俺はごろんと横になると、側にかわやちゃんが何も言わなくても身を寄せてくる。お互いに何も着ていないので、肌の暖かさが直に伝わってくる。
 やがて俺がうとうとと眠りの世界に誘われていると、不意に携帯電話の着信音が鳴った。俺のなら単なる電子音だが、メジャー歌手のシエルのヒットナンバーが流れているので俺ではない。かわやちゃんはぱっと身を起こし、ぱたぱたとカバンの中の携帯電話の方に駆け寄って取り出すと、電話に出た。

「もしもし? あ、お母さん? うん、いま学校じゃないよ」

 どうやら彼女の母親からの電話らしい。あ、なるほど。彼女が学校を無断欠席したことで家に連絡が行って、母親が確認の電話を入れたのだろう。学校をさぼらせたのは俺だから、わかってたこととはいえちょっと悪いことしたかもしれない。というか十分悪いことだよな。

「何してたかって? あのね、痴漢さんにレイプされた後、誘拐みたいに連れ回されて、ホテルでさっきまでエッチなことしてたの」

 ちょ! それは親に言っちゃまずいだろ!
 俺は慌てて飛び起きてかわやちゃんから電話をひったくると、どう弁解するかのプランも立たないまま、しどろもどろに言葉を紡いでいった。

「あ、あのですね、お母様、その、はじめまして…じゃなくて、えっと、その…」
『あなたですか、うちの娘を誘拐した痴漢というのは』
「いや、誘拐と言いますか、痴漢はしましたけど、そのあの…」
『レイプまでしていただいたとか。まあ…何とお礼を申し上げたらいいのやら』

 …へ?

『うちの娘でよろしければ、どうぞお好きなように犯していただいて構いませんので。今ホテルということは、今夜はこのまま…?』
「あ、はい、今夜は娘さんと…」
『まあそうですか。私に似てスタイルは良くないですし、色々ご迷惑をおかけするかもしれない娘ですが、どうかよろしくお願いします』
「いえ、そんなことないですよ。娘さん可愛いですし、具合も良かったですから…」

 どさくさに何言ってんだ俺。
 しかし、あまりにもおかしすぎる母親の言葉を聞いているうちに、俺は『免罪符』の力の凄まじさを思い知らされていた。どの時点で俺の罪が罪でなくなったのかはわからないが、少なくとも遠方の電話口の彼女の母親ですら『免罪符』のパワーが及んでいることはよくわかった。
 こんな凄い『免罪符』があれば、さらに何でもできそうだ。今までやりたくてもできなかった、あんなことやこんなこと、そんなことやどんなことでも…。
 そんな桃色の妄想を俺が膨らませていると、彼女の母親のこんな一言で俺は現実に引き戻された。

『あの…ところで、身代金はいくらお持ちすればよろしいでしょうか?』
「あー、お気持ちだけ受け取っておきます…」

 親の公認(?)も得られたところで、俺たちは恋人同士みたいに寄り添いながら、ゆっくりと昼寝を再開した。一人で寝るより、やはりそばに誰かいてくれた方がより安心してぐっすりと眠れるようだ。二人とも全裸という開放感もあってか、ちょっと休むはずが、起きてみたらもう日が沈みかかっている時刻となっていた。
 今日は昼食抜きであれこれ楽しんでしまったので、さすがに腹が減っていた。飲み物は部屋に備え付けの冷蔵庫の中にジュースや酒類が後払いで、といっても今の俺には関係ないが入っていたので心配はないが、食べ物はどこかから調達しないといけない。
 ここは一流ホテルだけあって、大衆食堂より倍以上質も値段も高い料理を出すレストランが併設されているが、いちいちそこへ出向くのもめんどくさいし、今日は料理よりも目の前の裸の女の子の方がおいしそうだから、がっつり食べるよりも軽くつまめるものの方がいいだろう。高級料理の食い逃げはまた今度の楽しみにすればいい。
 そう考えた俺は、室内の電話機でフロントを呼び出し、ルームサービスでから揚げやフライドポテトといったオードブル料理を適当に注文した。不法侵入で援助交際やってそうな男の言うことだから、一も二もなく従ってくれるだろう。
 そこで注文を終えようとしたが、ふと思いついたことがあったので、

「あ、ごめん。追加注文いい?」
『かしこまりました』
「フルーツの盛り合わせも欲しいな。材料はそっちに任せるよ。ただし…」

 と、こっちの思いついたことを命じてみる。普段なら100%ありえない注文だが、それをやってのけられるか、一流ホテルの一流であるところを見せてもらおうか。犯罪だけど。

 料理が届くまでの間、俺はかわやちゃんと大画面テレビでペイチャンネルのアダルト放送を鑑賞していた。今はニュースかアニメしかやってない時間帯だし、自宅の小さなテレビでは味わえない迫力を楽しむチャンスだし、それにかわやちゃんの性奴隷教育にもなるだろう。
 そのかわやちゃんは俺の横で、勉強熱心に映像の女優さんが乱れる様を見つめていた。俺の命令もあるだろうけど、それ以上にお年頃なので好奇心もあるのだろう。時折「うわ…」「すごいですね…」「私にもできるかな…?」と声が漏れる。
 そんな姿がいじらしくて、俺は彼女を抱き寄せて唇を奪うと、頭の代わりにあそこを撫でてあげた。そこはしっかりと興奮して潤んでいた。

「おまんこ濡れてるよ、いやらしい子だね」
「だってご主人様にこんなことされるのかな、って思ったら嬉しくて…」

 そうやっていちゃついていると、遠くのドアがノックされた。意外と時間がかかったが、ルームサービスが来たようだ。かわやちゃんの慎ましい裸体を見せびらかす気はないし、俺もさすがに露出趣味はないので、部屋の備品のバスローブに二人ともいそいそと袖を通してから、室内に迎え入れた。
 ボーイがワゴンカートを押して料理を運んできたが、さらに、見るからにコックな中年の男と、このホテルの円筒型の制帽を肩の所で切り揃えた髪の上にちょこんと乗せているが、首から下は俺と同じバスローブ姿の女性が後からついて来ていた。歳は20代半ば、といった感じだろうか。かわやちゃんを「可愛い」と評するなら、こちらは「綺麗」という感じの女性だ。切れ長の目が、どことなくクールそうな雰囲気をかもし出している。
 自分の注文通りではあるが、ある意味予定外の出来事に俺が戸惑っていると、コックがうやうやしく口を開いた。

「ご注文通りにいたしますと、ワゴンに載せられませんでしたので…。そこで私自らお部屋で盛り付けを行わせていただこうかと。なにぶん、こんなご注文は初めてですので、どうかご容赦を」

 ああなるほど、そりゃこんなのは初めての注文だろうから仕方ないな。逆に最初からできないと断らずにこうやって機転を利かせて客の要望に応えようとする姿勢は、さすが一流ホテルだ。
 ボーイには料理をテレビの前の大きなテーブルに適当に置いてもらうことにして、俺はその皿からフライドポテトをつまみ上げ、口に放り込んでからさっそくその『盛り付け』を眺めることにした。
 バスローブ姿の女性が、少々恥ずかしそうにそのローブの紐を解いて、俺の眼前でするりと脱いだ。思った通り、女性はローブの下には何も身に着けていなかった。
 整った裸身が俺の視線に晒される。胸は巨乳と言うほどではないが、かわやちゃんよりは大きく、揉みごたえがありそうだ。くびれるところはくびれ、お尻や腿の肉付きもすらっとしていながらも『オトナ』を感じさせる肉感的な肢体をしていた。
 だが『オトナ』でありながら、その股間には一切の毛が生えていなかった。おそらくここに来る直前に剃毛したのだろう。

「いかがでしょうか、お客様。ご要望通り、当ホテルの若手で一番美しい『器』を用意させていただきました」

 コックが誇らしげに言う。
 確かに俺の注文通りだ。俺はフロントに、ホテルの従業員の若手で一番綺麗な女性をフルーツの盛り合わせの『器』として要求したのだった。早い話が、『女体盛り』を注文したのだ。
 女体盛りの定番といえば刺身だが、刺身を食べる気分じゃないし、人肌で温まってまずくなるという噂話も聞くので、同じ人肌で温まるならフルーツの方がまだ食えるんじゃないかと踏んで、フルーツ女体盛りにしたのだ。ただ、人体を載せて運べるようなワゴンがあるかないかまでは考えてもなかったので、思わぬ展開に少し戸惑っていたのだ。まあこれはこれでいい。綺麗な女が目の前で全裸になるのって、何度でも見たいものだし。
 俺はスケベ心でにやつく笑顔を隠さずに、コックを褒め称えた。

「ああ、いいねー。さすが一流ホテル。質のいい『器』を入れてるね。ちゃんと毛まで剃ったんだ」
「当然です。お客様にお出しする『器』に毛など入れるわけにはまいりません。うぶ毛の一本に至るまで徹底的に除毛した上で、念入りに洗ってから連れてまいりました」

 なるほどよく見ると、彼女の首から下には無駄毛らしい無駄毛が全く生えていないように見える。このホテルの細やかな気遣いには感動すら覚えるね。

「うんうん、気に入ったよ。ところでこの『器』、何て名前なんだい?」
「神崎涼子と申します。この度は当ホテルをご利用いただき、誠にありがとうございます」

 自ら名乗った女性が、両手をすっと体の前に重ねて深々と俺にお辞儀する。品の良さを感じさせる、非常に訓練された一礼だった。でも全裸で無毛。
 まあいつまでもこうしていても食事が進まないので、俺はコックに盛り付け作業を始めるよう促した。
 まず涼子さんがベッドに仰向けに横たわると、コックはボーイを助手にして、あらかじめ切ってから持ち込んでいたフルーツ類をてきぱきと涼子さんの肌の上に盛っていく。その手際の良さはさすがプロ。俺の隣でかわやちゃんも興味深そうに作業を見つめていた。
 フルーツが綺麗に盛り付けられると、次は生クリームを搾り出して涼子さんの肌を飾っていく。さらにフルーツソースらしき液体も散らしていくなど、なかなか芸術的な盛り付けがなされていった。一流ホテルのコックらしいいい仕事ぶりだ。

「…これで、よし。お客様、完成いたしました」

 コックが一仕事やり遂げた晴れ晴れとした表情で俺を見て、宣言した。
 確かにこれは凄い。笑ってしまいそうになるぐらいに凄い。
 胸には薄切りのイチゴやミカンを同心円状に並べ、乳首にはツンとクリームを盛り、頂点にはご丁寧にチェリーを乗せている。へその周辺にはクリームやフルーツソースで幾何学的な模様を配し、体のラインに沿って色々なフルーツを彩り鮮やかに並べた。そして股間にはバナナが一本そそり立つように挿入され、ホワイトクリームがその先端から漏れ出したように垂らされ、剃り上げられた陰毛の代わりとしてチョコレートムースで再現してある。これが一流の仕事だ。まあ股間の辺りは、俺の悪ふざけの思い付きを伝えたコックがそれを忠実に再現したのだけど。
 俺は拍手でコックの最高の仕事ぶりを称えた。

「いいね、最高だよ! こんなのを食べてみたかったんだよ! お礼を言わせてもらうよ」
「喜んでいただけて幸いです。いやー、私も料理人になったからには一度は女体盛りやってみたかったんですよ。長年の夢を叶えていただけて、こっちの方がお礼をいいたいほどです」

 おいおい正直すぎるよコックさん。涼子さんが一瞬「女の敵!」とばかりに彼を睨み付けるような表情をしたのは、見なかったことにしておこう。何でも許されるのは俺だけだからなぁ。

「ではごゆっくりとお召し上がりください」
「ありがとう。『器』はチェックアウトの時に返せばいいかな?」
「ではそのように。失礼いたします」

 そう言ってコックとボーイの2人は部屋を出て行った。
 遠慮する必要はなくなったので、俺はさっさとバスローブを脱ぎ捨てると、かわやちゃんにも脱ぐよう命じた。そして涼子さんはベッドに横たわったまま、俺の裸体をうっとりとした表情で見ている。かわやちゃんの例から考えると、俺を露出狂か性犯罪者と認識して、それがさらなる好意か愛情に変わっているのだろう。
 そんな涼子さんを、俺は食べる前に写真に残しておくことにした。せっかくこんなに綺麗に盛り付けられてるんだから、もったいないし。
 彼女には何も言わずに携帯電話を向け、ぱしゃぱしゃと撮影していく。すると、涼子さんが不安そうに俺に言った。

「あの…お客様、その写真は一体何に使われるのでしょうか…?」
「んー、ブログに載っけたらホテルの宣伝になるかな、って思って。こんなおいしそうな女体盛りの画像載せたら、アクセス集中するかもね」
「そうですか! 是非ともよろしくお願いいたします!」

 もちろん俺はブログなんかやってないから大嘘なのだが、涼子さんは納得したように表情を輝かせていた。『会社の為に自分の恥ずかしい写真をばら撒かれる』という事を、『免罪符』の力がポジティブな事として彼女に認識させたのだろう。
 その後俺は、かわやちゃんに涼子さんの股間のバナナにフェラチオの真似事をさせて写真を撮ったり、二人がかりで『器』に直接口をつける「犬食い」で、涼子さんの上のフルーツを崩しながら食べたり、へそごとクリームを舐めて涼子さんをよがらせたり、かわやちゃんにクリームの塊を指でピッとぶつけてはしゃいだり、わざとフルーツと間違えて乳首を甘噛みしたりして、3人ともどろどろのぐちゃぐちゃになりながらフルーツ盛りを平らげていった。2割ぐらいはベッドにべっとり落ちてしまった気もするけど。

「ふう、もういいかな」
「そうですか。お召し上がりいただきありがとうございます」
「盛り付けも良かったけど、やっぱり『器』がいいと食欲が増すね。この盛り合わせのうまさの半分ぐらいは、君のようなエロい食器のおかげだよ」
「そんな…、あ、ありがとうございます…」

 おっと、顔に手を当てて照れてる照れてる。クールそうな人に見えたけど、けっこう乙女らしい所もあるんだな。ますます『おいしく』見えてくるじゃないか。
 俺はいまだに姿勢を崩さずベッドに横たわったままの涼子さんに覆いかぶさるようににじりよると、彼女の耳元で囁くように言った。

「でもさ、まだ食べたりないんだよ…」
「そうでしたら、フロントに連絡していただければ追加をお持ちしますが…」
「いや、君自身を、神崎涼子を食べたいんだ…。いいだろ?」
「ええもちろんです。お客様のお望み通り、どうか私をお食べください…」

 彼女の言葉には熱い吐息が混じっていた。俺に性的に言い寄られて、興奮したのだろう。肌もうっすらと桜色に染まっている。
 俺はしばらく前から硬くそり立ったままの肉棒を、彼女の、さっきかわやちゃんにバナナのラブジュース風味を食べさせたせいで濡れぼそった無毛の割れ目に、近づけていった。
 そして、入るか入らないかの所まで近づけておいて、俺は涼子さんに不意に聞いた。

「そういえば、涼子さんは処女?」
「い、いえ…、元カレと…その…。も、もしかしてお気に召しませんか?」

 急に不安そうに涙目になって聞いてくる涼子さん。俺は優しく、彼女の不安を取り除くように彼女の頬を撫でながら答えた。

「まあ成人してるんだから普通セックスぐらいしてるよね。そもそもさっきずっぽりバナナ入ってたんだから、処女なわけないか。ごめんよ、変なこと聞いて」
「ああお客様、謝ることはございません! そのお心遣いだけで十分です」
「でも元カレってことは、今はフリーなの?」
「はい。就職をきっかけに疎遠になって、別れてしまいまして…」
「あ、またごめん。じゃあその元カレより、ずっと気持ちよくしてあげるから…ね!」

 そう言って俺は、ずにゅっと彼女の中に侵入した。

「ああっ、お客様っ!」

 ぴくんっと涼子さんが反応し、身体をのけぞらせる。
 俺がリズミカルに腰を動かすと、それに合わせて彼女も反応する。

「ああっ、あんっ、はあぁっ、ああああんっ!」
「うっ、かわやちゃんとは、全然違う締め付け…!」

 何しろ1日に2人も女を抱いたことなんてないから、これは未知の体験だ。未経験者だったかわやちゃんはきゅうきゅうと締め付ける気持ちよさがあるが、経験者の涼子さんは包み込むような心地よさがある。どっちがいいだなんて決められないほど、どっちも気持ち良すぎる。
 そういえば、そのかわやちゃんはというと、俺たちの交尾を近くでうらやましそうに指を咥えて眺めていた。興奮して自発的にオナニーしてるとか、そういうエロい展開は今朝まで処女だったエッチ初心者に望んだらいけないだろう。
 でもそのまま放置するのもかわいそうなので、俺はかわやちゃんを手招きすると、彼女はまるで寂しがってた子犬のように喜んで俺のそばまでやってきた。

「なんですか、ご主人様?」
「ほったらかしにして悪かったね。だからさ、今から君は俺の方を向いて涼子さんの顔の上に跨るんだ」
「はい、ご主人様!」
「涼子さんは彼女のおまんこを舐めてあげて」
「かしこまりました、お客様。でも『ご主人様』って…わぷっ!!」
「わっ、ダメだよかわやちゃん、そんなに乗ったら窒息しちゃうって!」
「ごめんなさ~~い!」

 そんなこんなで、俺たち3人はまるで三角を形作るように結ばれていた。ベッドに寝ている涼子さんを底辺に、その彼女の顔の上に跨って割れ目に舌で『奉仕』を受けているかわやちゃんと、涼子さんにチンポを入れながらかわやちゃんの発育途上な胸を揉んでいる俺とが、舌同士を絡めた濃厚なキスをすることで形作られる三角形に。
 言葉はいらなかった。お互いの結合部が奏でる水気を含んだ音が部屋に響き渡り、時折漏れる隠微な吐息が皆の興奮を煽っていた。
 やがて、いつまでも続けていたいそんな時間にも終わりがやってきた。俺の腰の動きはだんだんと早くなり、我慢しきれなくなってきた。俺はキスをまだせがんでいるかわやちゃんを受け流しながら、涼子さんにそれを告げる。

「涼子さん…、れろっ、そろそろ出すから…、んはっ、チンポから、出すから…!」
「はいっ、んんっ、じゅるっ、お客様っのっ、チンポっ、チップを、どうか、私の中にぃ…っ!」
「ああんっ、気持ちいいっ、ご主人しゃまっ、私も、もうらめえっ!」
「いくぞっ、いくっ、出るっ、出すぞー…っ!!」

 その瞬間、俺は白いほとばしりのチップを、涼子さんの子宮めがけて叩きつけるようにびゅくびゅくと支払った。
 その脈動が、

「ああっ、お客様、お客様ーー…っ!」
「あっあっ、あーーーっ!!」

 次々とエクスタシーの波となって、女たちを絶頂へと導いていった…。

「ああ…お客様…。こんなにもチップを支払っていただけるなんて…」

 うっとりとそう言って、涼子さんは仰向けになったまま子宮の上を愛おしくさすっていた。彼女の無毛のクレバスからは、収まりきらなかった精液という名のチップがどろりとあふれ出していた。
 俺もかわやちゃんも、そして涼子さんも、ふうふうと息を荒げ、じっとりと肌じゅうに汗とクリームをまとわりつかせながら、広すぎるベッドの上に寝転がって呼吸を落ち着かせていた。
 もうすっかり夜だが、夕食時からセックスに励んでいたのでまだ夜中と言うほどの時間ですらない。しかしさすがに今日は疲れた。もう無理。朝にかわやちゃんの中に1回、昼に顔に1回、夕方に涼子さんに1回。1日3発だなんて、昨日までは夢物語と思ってた。
 でもあの『免罪符』のおかげで、俺の人生は大きく、どころじゃなく変わった。今さらもう元には戻れないほどに。その『罪』の重さを感じなくはないが、それ以上に楽しく、気持ちよく、いやらしい出来事の数々が、俺の感覚を麻痺させていた。
 これから俺はどうなるのか? どうなってしまうのか? 正直言ってわからない。でも、今は…。

「…って、何やってんの、かわやちゃん」
「あの、セックスの後、男の人のおちんちんをお口で綺麗にしてあげると喜ばれる、って友達に前聞いたことがあって…」
「それはもちろん嬉しいけど…」
「あっ、お客様を清めるのは従業員の仕事です! お客様の持ち物を愛液で汚してしまったのはこの私ですし…!」
「うわ、涼子さんまで! どうどう、二人で俺のを取り合わないで!」

 俺の一言で女2人は仲良く両側から俺のものを舐め清め始めたが、まさか夢のダブルフェラまで経験できるとは…。そんなことされると、そんなことされると、さすがに疲れ切ってても俺のものは…!

「あっ、ご主人様の大きくなってる!」
「お客様のがこんなに元気に…」

 ああやっぱり…。快感に正直すぎる俺の息子は、欲情に満ちた視線で股間を見つめる二人の前でまた立ち上がってしまった。こうなったら再び寝付かせるにはアレをするしかないわけで…。
 しゃあない、俺も男だ。覚悟は決めた。今後どうなるかなんて悩んでないで、今は目の前の女どもを腰の立たないほどに犯してやる!

「よーし、二人とも。ベランダに出て尻を並べるんだ! もう今夜は寝かさないからな!」
『はぁ~い!』

 こうして俺たちのいやらしいにも程がある夜は始まったのだった…。
 俺、明日出社できるかな…? ま、いっか。『免罪符』があるんだし。

< つづく >

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