転落へのスイッチ 第4話

第4話

 翌日。

「おはよー、奈菜!」
「……ん? ああ、絵美、おはよ」
「どしたの? なんか難しい顔してたけど?」

 朝、早々に家を出て教室で考え事をしていたら、後から来た絵美にそんなことを言われた。
 私、そんなに気難しそうにしてたのかしら?

「あ、いや、なんか今日やけに早く目が覚めちゃってね、しかたないからそのまま学校来たけど今頃になって眠くなって、それで不機嫌そうに見えたのかも。ふぁ……」

 わざとアクビをしながらそう言ってごまかす。

「そんなので機嫌悪くなってたら、あたしなんか年がら年中眠たいからいっつも不機嫌だよー」
「いや、絵美、あのねぇ……」

 ここのところずっとそうしてるように、いつもと変わらない風を装って何気ない会話を交わす。
 本当は早めに学校に来て今後の対策を考えてたんだけど。
 だけど、その日は。

「ねえ、なになに、それ? なに書いてるの?」
「……あっ!」

 机の上に出したままだったノートを絵美がサッと取り上げた。
 そして、そこに書いていることを読み始める。

 でも、そこに書いてあるのって今わかっている時点でのスイッチをまとめて、それに対してどうしたらいいかメモしたものなのに……。

 ノートに目を通していた絵美が、急に真顔になって声をひそめた。

「奈菜、これって誰にも見せてないわよね?」
「え? ……絵美?」

 絵美の真剣な表情に、そこに書いてある、私の身に起きたことを理解してくれたんだと思った。

 そうか、こうやって人に伝える方法もあったんだ。

 そう思って、新たな光明が差したと思った私に向かって絵美が言った言葉は……。

「いい、奈菜、これは他の子には絶対に見せたらダメよ。あたしはこういうのもいけるからいいけど、免疫のない子も多いんだからね。それに、男子にバレたら絶対にからかわれるからね」
「……へ?」
「いやー、まさか奈菜がBL小説書いてるとはねぇ」
「ちょっ、絵美ったらなに言ってるの?」

 聞いてる私の方がわけがわからなくなって絵美に訊き返していた。
 すると、絵美は私の耳許に口を寄せてヒソヒソ声で話し始める。
 まるで、いかにも他の子に聞こえたらまずいって感じで。

「だってさ、ほら、こことか……『タカとトミーが激しく体を重ねているのを見ている僕は、自分でも求めてしまっているのを感じた。だけど、僕はふたりを止めることはできない。ただ、見ているだけしかできなかった。裸になって体を絡め合うタカとトミーを見ている僕の体がじわりじわりと熱くなって、自分も欲しいという思いが危険なほどに高まっていく』って、いやー、これ、激しすぎるわよ~」
「はいいいっ!?」

 ちょっと! 絵美ったらなに言ってるのよ!?
 そこに書いてあるのは、『あの男と母さんがセックスしているのを止めようとすると私の体が勝手にあいつにセックスを求める→止めずに、そのままにしておくしかない』っていうのと、『あの男と母さんのセックスを見ると私の体がエッチな刺激を求めてしまう→これは本当に危険、要対策』っていうメモ書きのはずよ?
 なんでそんな小説みたいな文章になってるのよ? しかもタカとかトミーって誰!?
 ……まさか、隆夫とサトミの略?
 いや、してない! 私そんな書き方絶対にしてない!

「うんうん、これは過激だわー。奈菜がこういうの好きなんだって知らなかったわ」
「やっ、それは誤解だって!」
「で、これって三角関係もの? それともハーレムハッピーエンドなの? ……って、あら? 小説が書いてあるのってこのページだけ?」

 絵美がページをめくって首を傾げる。

「今度はなに? ……購買のベーコンエッグサンド × 、スズキ・ベーカリーのサラダチキンサンド × 、プチ・フランスのクロワッサンサンド × 、ル・クロエのチーズトマトサンドって……これって、この辺のパン屋のサンドイッチの評価?」
「はい? なに言ってるの?」

 絵美がまたわけのわからないことを言い出した。
 たしか、そのページに書いてあるメモは、『誰かに助けを求める × 、誰かに事実を話す × 、家に帰らない × 、遠くへ逃げる × 』、っていうスイッチに関するメモで、サンドイッチのことなんかこれっぽっちも書いてないのに。

「ていうか×ばっかじゃん。奈菜ったら購買のベーコンエッグサンドのなにがダメなの? あたしは値段の割にボリュームがあって好きなんだけどなー」
「ちょっと、絵美? 私そんなこと書いてないって!」
「いや、書いてるじゃん。ね~、京子~、真優~、奈菜のサンドイッチ評価なんだけど、これってどう思う~?」

 そう言って、絵美が近くにいた京子と真優を呼んで私のノートを見せる。
 って、さっきはこのノートは絶対に人に見せたらダメって言ってたじゃないの!
 まあ、ページは違うんだけど。

 で、私のメモを見たふたりの反応はっていうと……。

「えー、なんでー? 私、プチ・フランスのクロワッサンサンド好きなのにー」
「うそっ、購買部のベーコンエッグサンド美味しいじゃん」
「だよねー。あたしも好きなんだけどなー」
「それに、スズキのサンドイッチどれも安くて美味しいし」
「ていうかここって×の評価しかないじゃん。むしろ奈菜はどこのサンドイッチだったらいいのよ?」

 ちょっと、みんななに言ってるのよ?
 本当にそこに書いてあるのがサンドイッチの評価に見えるの?
 私、そんなこと全然書いてないのに……。
 いったいなにがどうなってるの?

 絵美だけじゃなくて京子にも真優にもそこに書いてあるのがサンドイッチのことに見えてるみたいで、私はわけがわからなくなる。
 まるで、絵美たちが催眠術にでもかかっているみたいに思える。

 ……催眠術!? まさか!
 でも、いったいどうやって? いつの間に絵美たちに?
 ああもう、本当にわけがわからない。

「おーい、おまえら席に着け-。授業はじめるぞ」
「はーい」

 私が混乱してると、チャイムと同時に1時間目の先生が入ってきた。
 絵美が持っていたノートを私の机に戻すと、みんなそれぞれの席に戻っていく。

* * *

 ……これもきっとスイッチのせいなんだわ。

 授業中、気分を落ち着けて、少し冷静になって考えて私はそういう結論に達した。
 今でも私の目には、ノートに書いたことを自分で読み返してもそこに書いてあるのはわかっているスイッチと、それへの対策ばかりに見える。
 だけど、絵美だけじゃなくて京子にも真優にもそう見えてないってことは、きっとおかしいのは私の方だ。
 絵美たちに催眠術がかけられている可能性はほとんどないと思う。
 もし、あの男がそんなことをできるんだったらこの勝負私に勝ち目はないし、あの狡い男のことだからそんなことができてたら絵美たちを使って私の心を折りにくるに決まってる。
 だから、このノートにおかしなことを書いているのは私の方だ。
 でも、そのことが私には認識できてない。

 きっと、スイッチのことも含めた私の身に起きていることを書こうとしたら、全然違うことを書いてしまうというスイッチが仕掛けてあるんだ。
 しかも、そのスイッチは私自身がおかしなことを書いているって認識できないようになっていて、私にはちゃんとスイッチ対策のメモに見えるっていう催眠術が私自身に仕掛けてあるってこと。

 そんなことってあるの!?
 スイッチに引っかかっておかしなことをしているのに、おかしなことをしているってことを私自身が認識できないなんて。
 そんなスイッチにどうやって対応できるのよ!?
 ひょっとして、他にもなにかのスイッチに引っかかって自分ではそうとわからないうちにおかしなことをしてるんじゃ……?

 自分で引っかかったことが認識できないスイッチの存在に気づいて、背筋が寒くなってくる。
 全く自覚はなくても、すでに危険なスイッチに引っかかっていたとしたら……。

 そんな……私、いったいどうしたらいいの?
 こんなの、もう自分の行動の全てが信じられなくなるじゃない。

 思い詰めちゃダメ……落ち着くのよ。
 きっとこれも、私を疑心暗鬼にさせて精神的に追い詰めようっていうあいつの作戦なのよ。
 だから、思い詰めたり取り乱したりしたらダメ。

 そうよ。
 とにかく明日まで耐えきったらいいだけじゃない。
 警察の人が来るはずの日は明日。
 ということは、とにかく今日一日は絶対に耐えないといけないっていうのに。

 だから、今の私にできる対策をしっかりと立てておくのよ。

 とりあえず、厄介なのはあの男と母さんのセックスに関わるスイッチだ。
 ふたりのセックスを止めたらダメっていうのはともかく、あの男と母さんのセックスを見ると私の体がエッチな刺激を求めてしまうっていうの、あれは絶対ヤバい。
 しかも、あの男とセックスしないと鎮めることができないなんて。
 あのスイッチは本当に危険だわ。
 あれだけはなんとしても避けないといけないわね。

 あと、できることは……。
 そうそう、アソコの栓は絶対に抜いたらダメ。

「……んっ!」 

 下腹部に軽く力を入れると、アソコに入っている硬い感触に安心感を覚える。
 昨日はなにがなんだかわからないうちにあの栓を抜いてしまってた。
 絶対になにかスイッチがあったのに違いないけど、なにが引っかかったのかわからない。
 それが最大の不安要素なんだけど……。
 とにかく、これがアソコに入ってさえいたらあいつは私に手出しできないんだから、抜いたりしたら絶対ダメ。

 授業が始まってからも、私はどうやってあと1日を乗り切るか考えていた。

* * *

 そして、放課後。

 私の方針は決まっていた。
 スイッチのせいで逃げることができない以上、家に帰ってからが勝負だ。
 とにかく、あの男と母さんのセックスは見ない。
 そのために、帰ってもリビングには行かないこと。
 私の部屋のある2階に上がる階段が玄関を入ってすぐにあってよかった。
 これならリビングに寄らずに自分の部屋に行ける。
 そして、後は明日まで自分の部屋に籠もるの。
 母さんに怒られるかもしれないけどそんなの関係ない。
 今の母さんは普通の状態じゃないんだから。
 晩ご飯だって1回抜くくらい我慢できる。
 とにかく、あと1日、いや、もう半日耐えたらいいだけなんだし。
 そのためには、母さんともあの男とも顔を合わせないに限る。
 そうやって部屋に籠城して、この栓は絶対に抜かない。
 アソコに栓さえしておけば、あの男はどう足掻いても私を犯すことはできない。

 今日学校で考えておいたことを、家に着くまでの間に頭の中でもう一度確認する。
 そして、玄関のドアを開けた。

「……なっ!?」

 中に入ってすぐ目に飛び込んできたのは、母さんの姿。
 それも、裸になってこっちに向かって大きく足を広げた姿だった。

「ちょっと! なにしてるのよっ、母さん!?」
「なにって、隆夫様とセックスしてるに決まってるじゃないの。……あんっ、はぁああんっ!」
「えっ!?」

 よく見ると、母さんはただ裸で足を広げてるだけじゃなかった。
 大きく広げた母さんの両足の下に、同じように広げたもうひとり分の足が見える。
 そして、丸見えになった母さんのアソコに、太いおちんちんが根元近くまで挿さっていた。
 それに、背後から伸びた手が母さんのおっぱいを鷲掴みにしている。

 その、母さんの肩越しにあの男が顔を覗かせてニヤリと笑う。

「こんなところでこんなことしてっ! 誰か来たらどうするのよ!?」
「こっちは全然構わないぜ」
「わっ、私もっ、それが隆夫様の望みならどうなってもいいわっ! ……あっ、はっ、はんっ、ああっ、それいいですっ! はんっ、あんっ、ああぁんっ!」
「なに言ってるのよ!?」

 秋本の上に乗って後ろ手を付いた母さんの体が跳ねるように上下して、その度にエッチな喘ぎ声が響く。
 玄関に立ちつくしてそれを見つめていた私のアソコが、きゅんと疼いた。

「んっ! ……しまった!」

 ただアソコが疼くだけじゃなくて、体がどんどん熱く火照ってくる。
 絶対に回避しないといけないはずのスイッチに引っかかってしまった。

「……はぁあんっ、とっ、とにかくっ、この場を離れないと!」

 思わず漏れた自分の吐息が、自分でも驚くほどに熱く悩ましい。
 それくらい、スイッチの効果が出始めているんだ……。

 なんとかあと半日乗り切ろうと思ってたのに、出鼻を完全に挫かれて私はすっかり動揺していた。
 ただひとつ言えるのは、このままこの場にいたらマズいってことだけ。
 今からでも自分の部屋に籠もって、明日まで出なければいいだけ。
 この火照りと疼きさえ我慢できたら私の勝ちなんだから。

「くっ……!」

 急いで靴を脱ぐと、目の前のふたりにそれ以上構わずに階段を上がる。
 そのまま自分の部屋に入ってベッドに体を投げだした。

「んっ……はぁっ、はぁっ……んんんっ!」

 ほとんど無意識の行動で股間に手が伸びて、アソコの栓をグリッと押さえ込んでいた。

「はううっ! ……んんっ!」

 栓を捻るように動かすと、アソコからビリビリする刺激が駆け抜けていく。
 それが頭の中まで甘く痺れさせるくらいに体がその刺激を欲しているのがわかった。

「あんっ……でもっ、こんなのじゃ足りない! もっと、もっとぉ……はんんんっ!」

 強い刺激が欲しくて、栓をゴリゴリと押し込みながら強引に動かす。
 でも、こんなのじゃ全然満足できない。
 火照りは全然治まらなくて、うっすらと汗ばんでくる。
 なにより、きゅんと切なくなる疼きは大きくなっていく一方だ。
 私は、体の求めるままに栓でアソコを掻き回す動きを激しくしていく。

「んんんっ! くふっ……これすごいっ! 奥までゴリゴリ来てっ! はうっ! イクッ、もうイッちゃううううううっ!」

 スイッチのせいでエッチな刺激を欲しがってる体はあっという間にイッてしまった。
 でも、アソコの疼きは治まるどころかますます大きくなっていく。
 体の火照りも同様だった。

 こんなんじゃ体は満足してくれない。
 そんなのはわかってる。
 この体が本当に欲しがってるのはあの男のおちんちんなんだってわかってる。

「でもっ……それだけはダメッ! だからっ、明日までこれで我慢しないとっ……はうううううっ!」

 そう自分に言い聞かせながら、栓を使ってアソコを慰めるしかなかった。

* * *

 夕方になって、母さんが晩ご飯に呼びに来たけど食欲がないと言って断った。
 それは学校で立てた計画通りでもあるんだけど……。

「あんっ……はうううううっ! もっ、もう何度もイッてるのにっ、全然治まらない!」

 自分の部屋に籠もって、なにかに憑かれたように栓を使った自慰を続ける。
 もう20回以上イッてるのに、アソコは疼いたままだ。
 それどころか、どんどんひどくなるばかり。
 実際のところ、晩ご飯なんて気にしてるどころじゃなかった。

 それでも、真夜中になってさすがにひどい喉の渇きを覚える。

 それもそのはずよね。
 火照った体を持て余してずっとアソコを弄り続けて、シーツは汗とアソコから出たお汁でぐしょぐしょになっていた。

 時計を見ると、午前2時を過ぎたところだ。

 さすがに、もう寝てるわよね……。

 そっと部屋を出て1階に降りる。
 母さんたちの寝室に近いキッチンに行くのはさすがに怖くて、脱衣所の洗面台で水を飲むことにした。

「……ふう」

 体は熱く疼いたままだけど、水を飲んだことで気持ちは少しだけ落ち着いた気がする。

「……えっ? 今?」

 廊下に出た私の耳に、なにか聞こえた気がした。 
 いや、たしかに聞こえる。
 これは……母さんの声?

 漏れ聞こえてくるのは間違いなく母さんの声。
 それも、ここ数日の間に何度も聞かされた喘ぎ声。

 これって……もしかして……。

 それはほとんど無意識の行動だった。
 聞こえてくる声に誘われるように、ふらふらと歩き出していた。

「あんっ! いいっ、隆夫様のオチンポ気持ちいいですうううぅっ!」

 母さんたちの寝室に向かう廊下へのドアを開けると、さっきよりもはっきりと声が聞こえた。
 そのいやらしい声を聞いただけで、ずっと熱を持ったままのアソコがじぃいんと疼く。
 寝室のドアが少し開いているのか、廊下に明かりが漏れていた。

 だめよ……行ったらダメ……。
 ただでさえこんな状態なのに、自分からスイッチを踏み抜きに行くなんて。
 こんなに体が疼きっぱなしなのに、この上さらに発情なんてしたら……。

 頭の片隅で理性がそう言ってる。
 だけど、体の疼きを持て余して、高熱に冒されたようにのぼせた今の私には、理性の働きはあまりにも弱々しかった。

「ふああああっ! オチンポでおまんこ思い切り突かれてっ、これっ、すごくいいですうぅっ! どうですか隆夫様? 私は隆夫様のことを気持ちようできてますかぁ? ……んっ! ぁんんんんっ!」
「ああ、おまえの中は最高だぞ、サトミ」
「ありがとうございますぅうううっ! もっともっと、私のおまんこで気持ちよくなってくださいっ! あんっ! はんんっ!」

 ああ……。

 少し開いたドアの隙間から部屋の中を覗くと、まるで獣かなにかのように四つん這いになった母さんを後ろから秋本が犯していた。

 すごい……おちんちんが母さんのアソコにあんなに激しく……。

 ふたりのセックスに、思わず見入ってしまった。
 そして、わかっていたはずの結果が私を見舞う。

「……んっ! こんなの見せられたらっ、アソコの疼きが……んっ! あふぅううううっ!」

 ただでさえ夕方のスイッチのせいで何度イッても満たされないアソコが、キュウウウウッと切なさを増す。
 それを慰めようと、アソコの栓へと手が伸びる。

「あぁんっ! 私のおまんこっ、隆夫様のオチンポでいっぱいになってるのわかりますぅうっ! おまんこの中擦れてっ、奥までずぅうんってっ! はうっ、ああっ、オチンポすごいぃいいっ!」

 あんなにおちんちんがズボスボッて……ああ、すごい、すごいよ……。

「はあっ……はんっ! ……はうっ、はふっ、んんんっ! あんっ、はぁあああああんっ!」

 母さんと秋本のセックスを食い入るように見つめながら栓をズボズボ出し入れしたり、奥まで押し込んでぐる繰り捻ったりする。
 ずっとエッチな火が付いたままの体いっぱいに、アソコからゾクゾクする快感がこみ上げてきて全身が小刻みに震える。

「ふああああっ! たっ、隆夫様ぁっ! 私っ、イキそうですっ! 隆夫様のオチンポでズボズボ突かれてっ、おまんこイキそうですぅううううっ!」
「んっ……わっ、私もイクッ……!」

 髪を振り乱しながら喘ぐ母さんの体を支える腕がガクガクと震えている。
 今にもイキそうになってる母さんの姿に、私の昂ぶりも最高潮に達しようとしていた。

「よし、おまえの中にたっぷりと出してやる。さあ、イケっ、サトミ!」
「はいいいいっ!ああっ、イクイクイク! 隆夫様のザーメンでおまんこイキますぅうううううううっ!」
「私もイクぅううううううっ!」

 秋本がひときわ強く腰を打ちつけると母さんが両手を棒のように突っ張り、弓なりに体を反らせて絶頂する。
 それと同時に私もあの、全てを真っ白にする快感の爆発に包まれていた。

「ふぅうううう……はぁ、はぁ……んんんっ!」

 絶頂の余韻に浸ったのも束の間、再び体を灼くような疼きがこみ上げてくる。
 やっぱり、自分で慰めてもどうにもならない。
 それどころか、さっきよりも疼きも火照りも増している。
 きっと、同じスイッチを鎮めることなく2度目のスイッチを踏んだからだ。。
 こんなことになるのはわかりきっていたはずののに……。

「……きゃっ!?」

 その時、部屋のドアが大きく開かれた。
 そこに立っていたのはあの男。
 いや、それよりも、私の目の前にあるこれは……。

「あ……ああ……」

 さっきまで母さんのアソコに入っていたおちんちん。
 射精したせいで少し萎んでるけど、それでも十分に大きなおちんちんに視線が釘付けになった。

「こんな夜中に人のセックスを覗いて、奈菜ちゃんもして欲しいのかな?」
「え……あ、いや、ちがう……」

 秋本の言葉に首を横に振ろうとするけど、そのおちんちんから目を離すことができない。

「はぁっ……はぁっ……」

 これが、これが入ったらこの切なさが満たされる。
 このおちんちんなら、今の苦しいくらいの疼きを止めることができる。

 そう思うと、おちんちんを見つめて熱い吐息が漏れるのを止められない。

「どうしたんだい? そんなに物欲しそうに見つめて? そうか、奈菜ちゃんもこのチンポを入れて欲しいんだね?」
「や……だから、違うの……」
「あんまり無理しない方がいいんじゃないかな? 我慢は体に良くないよ」

 いつもなら嫌悪感を催すような秋本の猫撫で声が、今は甘い囁きのように感じる。

 でもダメ……。
 ここで誘惑に乗ったらきっと私堕ちちゃう。
 せっかくここまで頑張ってきたのに。

「ほら、奈菜ちゃんもこれを入れて欲しいんだよね?」
「いや……ダメ。ダメなの」
「どうして?」
「だって……だって……」

 明日まで耐えたら警察の人が来てくれるんだから……。
 だからこんなところで負けるわけにはいかないの。

 そう思って最後の気力を振り絞ろうとしたとき……。

「だって、明日になったら警察がここに来るからかい?」

 まるで私の心の中を見透かしたかのように秋本がそう言った。

「なっ!? なんであんたがそのことを知ってるの!?」

 さすがに驚いて視線を上げると、いつものようにニヤニヤしながらこっちを見下ろしてる秋本と目が合った。

「奈菜ちゃんが警察に電話したときにそう言われたんだよね」
「だからなんであんたがそれを知ってるのよ!?」

 なんでこいつが警察との電話のことを知ってるのか本気でわからない。
 まさか盗聴!?
 でも、だったらなんでそれを知ってて今まで放っておいたのよ?
 ああもう、ホントになにがなんだかわからない……。

 混乱した頭でいくら考えてもどうなっているのか全然わからない。
 そんな私に向かって、秋本が手を突きだす。

「さてと、それじゃ”警察に電話したときのことを全部思い出してみようか”」

 そう言って、秋本はパンッと手を叩いた。

 ……え? なにこれ?
 頭の中に、覚えのない記憶が浮かんでくる。
 覚えがない? いや、これって……警察に電話したときの記憶?
 え? うそ……私、110番にかけてない。
 なに、この知らない番号は?
 それに、電話に出たのって……。
 そうだわ! 警察にかけたつもりだったのにこいつが電話に出たんじゃないの!
 それで、うちに来るまでに3日かかるっていうのと、アソコに栓をしておけば身を守れるって言われて。
 私、それが必要なことだって思ってずっとこんなものを入れてたっていうの?
 自分では全く気づかずに、それが当たり前のことだって思って。

 ……ノートのときと同じだ。
 自分でおかしなことをしているのに、それをおかしなことだって自分で認識できないスイッチが他にもあったんだ。
 ということはつまり……。

「そんな……それじゃあ、あれは、あの電話で警察の人に言われたことって全部嘘だったの……?」
「そうだな。なにしろ奈菜ちゃんで遊ぶために僕が適当に言っただけだから」

 そう言って秋本がおかしそうに笑う。

「そんな……そんなことって……」

 それじゃあ……それじゃあ明日になっても警察は来ないの? 
 私、いつまで我慢したらいいの?
 秋本との勝負の期限って、明後日? それとも3日後?
 いや、それでも10日には全然足りないはず。
 そんな……私、あと何日耐えたらいいの?
 それまでこんな状態のまま我慢しなくちゃいけないの?

 ……………………無理。
 そんなの耐えられない。 

 心の支えを失って、がっくりと体から力が抜ける。
 落とした視線のすぐ先に、秋本のおちんちんがあった。

「あ、ああ……はぁっ……はあぁっ……!」

 それを見た瞬間、雷に打たれたような気がした。
 さっきまでの比じゃない。
 体の芯まで熱く疼いて、震えが止まらない。
 私の心が、体が、全てがそれを求めているように感じる。

「はあぁ……はうっ! あっ……はぁっ、はぁっ……」

 欲しい……。
 このおちんちんをアソコに入れて欲しい。
 この疼きを満たせるのは、このおちんちんだけ。
 ただ、そうしたら全てが終わる。そんな予感がする。
 だけどもう無理。
 このまま我慢し続けるなんてもうできない。

「……ください」

 そうひと言、喉から絞り出す。
 だけど、秋本はわざとらしく手を耳に当てた。

「ん? なにか言ったかい?」
「あなたのおちんちんを私のここに入れてください! 私を犯してください!」

 そう言って、アソコに入っていた棒を引き抜く。
 もう、恥も外聞もなかった。
 とにかく早くおちんちんを入れて欲しかった。
 そうしないとおかしくなりそうだった。

 その言葉に、秋本がまたニヤッと口の端を吊り上げる。
 だけど……。

「そっか。まだ勝負の期限までだいぶあるんだけどね」
「もう期限なんかいいです! 私の負けです!」
「そうかい? それなら、この際だから事前にばらしちゃうけど、ここに最後のスイッチがあるんだよね」

 切羽詰まった思いでいる私を焦らすように、もったいぶった口調で言う。

「なに? なんなの?」
「これまで忘れさせてた全てを知った今の状態でセックスしてイクと、奈菜ちゃんは心から俺の奴隷になってしまうんだぜ」

 秋本の口調がそれまでと変わった。
 あの、人を子供扱いしてるようなわざとらしいしゃべり方から、少し乱暴な、そう、母さんと話しているときのような感じ。
 それに、それまで自分のことを”僕”って言ってたのが”俺”になってる。
 だけど、不快な感じはしない。
 というか、そんなことはどうでもいいくらいに私は追い詰められていた。

「それでもいいから! もうどうなってもいいから私におちんちんちょうだい!」
「そうか、そこまで言われたな入れてやらないといけないな、ほら、こっちに来い」

 そう言って、秋本がベッドの上に誘う。

「はい!」

 素直に言葉に従ってベッドに上がると、秋本は向き合った私の足を大きく広げさせる。
 そして、私の両足を抱え込んでおちんちんをアソコの入り口に当てた。

「……はううっ!」

 まだ先っぽが当たっただけなのに、それだけでゾクゾクした快感が駆け抜けていく。

「それじゃあ入れるぞ。よく見ておけよ」
「は、はいっ……んっ! んんんっ!」

 おちんちんがゆっくりと入ってくる。
 ゾクゾクがビリビリに変わって、それがどんどん大きくなって……。

「ああっ! ふぁあああああああああっ!」

 おちんちんが奥まで入ってきた瞬間に、目の前が真っ白に弾けてそのままベッドに倒れ込んだ。

 あっ……ああ……わかる。
 私の中でなにかが変わっていくのがわかる。
 私、このおちんちんに、いや、おちんちんの持ち主に負けちゃったんだ。
 でも、当たり前だよね。勝てるわけないんだから。
 だって、この人は……。

「どうした? 入れただけでイッたのか?」

 私を見下ろしながらそう訊いてくるこの人は……。

「はいいぃ、ご主人様ぁ……」

 そう、この人は私のご主人様。
 そして、私はご主人様の奴隷なんだ。

「ふふっ、そうか。で、俺の奴隷になった気分はどうだ、ナナ?」

 ナナって、呼び捨てで名前を呼ばれただけですごく幸せな気持ちになってくる。
 自分がご主人様のものになったんだって実感できる。

「はいぃ……ご主人様の奴隷になれて、とても嬉しいですぅ……」

 本当に、世の中にこんな幸せなことがあるんだろうかっていうくらい幸福感に満たされている。
 心の底から嬉しさがこみ上げてくる。
 なんでもっと早くご主人様の奴隷にならなかったんだろう?
 私なんかがご主人様に勝てるわけないのに。
 あんなに抗っていた自分が馬鹿馬鹿しく思える。

「そうか、そんなに嬉しいか。でも、もちろんこれで終わりじゃないからな」
「はいぃ? ……あんっ! ああっ、あふぅううんっ!」

 私の中をいっぱいに満たしていたご主人様のおちんちんが動き始める。
 すると、この数日ですっかり体に馴染んだ快感がこみ上げてくる。

「ふあああっ! ご主人様のおちんちんがアソコの中いっぱいに入ってるの感じます! アソコの中擦れてっ、奥にずぅんって!」
「そんな言い方じゃダメだ、ナナ。思いきりいやらしくチンポとまんこって言うんだ」
「はいいっ! 奈菜のエロエロまんこにご主人様のチンポがズボズボッて出たり入ったりしてますぅうううっ! ひゃうっ! ああっ、そこぉっ!」

 ご主人様に言われるまま、以前の私なら絶対に言わなかった下品な言葉を口にする。
 そのことに躊躇いも羞じらいもない。
 それに、こうやって声に出して言うとなんだかすごく興奮してくる。

「ふああっ! ご主人様のおチンポ大きくて硬くてっ、奴隷まんこのなかゴリゴリ擦れて気持ちいいですっ!」
「ああ、おまえのまんこもかなり気持ちいいぞ」
「ああっ! ありがとうございますっ、ご主人様っ! あんっ、はうっ、ああっ、ご主人様ぁ」

 私の体に覆いかぶさってきたご主人様の体に自分から腕を伸ばしてしっかりと抱きつく。
 こうすると、本当にご主人様のチンポがおまんこの気持ちいいところいっぱいに当たってるのがわかる。
 おまんこ敏感になってて、どこもかしこも気持ちいい。
 もしかしたら、おまんこに栓をして学校に行ってたのも、この気持ちよさを感じるための練習だったのかもって思える。
 でも、あんな棒よりもご主人様のおチンポの方がずっと気持ちいいけど。
 それに、ご主人様のチンポでおまんこズボズボされるとすごく幸せな気持ちになってくる。

「ああっ、しゅごいっ! ご主人様のおチンポっ、すごく気持ちいいですっ!」
「うふふ、奈菜もやっとわかってくれたのね」
「ふああっ!? 母さんっ!?」

 いきなり耳許で囁かれて顔を向けると、母さんの嬉しそうな笑顔があった。
 そっか、ここが母さんの寝室だってすっかり忘れてた。

「奈菜も隆夫様の素晴らしさがわかったでしょう?」
「うんっ! ご主人様のおチンポでおまんこゴリゴリされるの気持ちよくて、すごく幸せっ! ……あんっ! やっ、深いっ! それすごいですぅうううっ!」
「すごくいやらしい顔。これで奈菜も立派な隆夫様の奴隷ね」
「うんっ! 私っ、ご主人様の奴隷なのっ! ご主人様のチンポをおまんこで気持ちよくしてあげてっ、私も気持ちよくなるおチンポ奴隷なのっ!」
「いい子ね、奈菜。……ちゅっ、ちゅむ」
「んんっ!?」

 いきなり母さんにキスされてちょっと驚いた。
 だけど、母さんはそんな私に構うことなく舌を入れてくる。

「ちゅむ、えろっ、んふ、ちゅむむ……」
「んむむっ! んふっ、れろっ、あふっ、んむむむっ!」

 やだ……キスって気持ちいい。
 まるで、唇と舌が性感帯になったみたい。

「んむ、あふ、ん……」
「れるっ、んんっ! んむむっ、んむぅううっ!」

 キスが気持ちよくて夢中になって母さんと舌を絡め合うけど、ご主人様のおチンポでおまんこ突かれながらだと、気持ちよすぎて頭がおかしくなりそう

「んんんんっ! あふぅっ……あああっ、イキそうっ、私もうイッちゃうっ! いやなのにイッちゃうっ!」
「どうして嫌なの?」
「だって、もっとご主人様のチンポでおまんこズボズボして欲しいのにっ、もうイッちゃうなんてぇええっ!」
「そんな心配しなくていいぞ、ナナ。おまえがイッても何度でもしてやる。今日からおまえは俺の奴隷なんだからそれこそ毎日でもな」
「ふああっ! ありがとうございますっ、ご主人様! あんっ、はうううっ、もうホントにイッちゃう!」
「俺もそろそろイクぞ。たっぷりザーメン出してやるからな」
「はいいっ、くださいっ! おまんこの中にご主人様の熱いザーメンいっぱい出してくださいぃいいっ! ……ああっ! 今、中でビクビクッて!?」

 おまんこをいっぱいに満たしているチンポがさらに膨れあがって、ビクビク震えたのを感じた。

「……くっ! 出すぞっ!」
「はいいっ! ……ふあああっ! おまんこに熱いのがビュクビュクって! すごいっ、いっぱい出てりゅっ! しゅごいいいっ! ああっ、イクイクイクッ! ご主人様のたっぷりザーメンでイクぅううううううううっ!」

 おまんこの奥でおチンポからご主人様の熱い精液が迸るのを感じて、全身を気持ちいいのが貫いた。
 頭の中で火花が散るみたいに快感が弾けてなにも考えられない。

「イキュぅうっ! イッってるのにまたいくぅううっ! イクの止まらないいっ! ザーメン中出しでイクぅううううううっ!」

 ご主人様の精液を全身で受け止めて、絶頂が止まらない。
 頭の芯が痺れて、気が遠くなる。
 そのまま、私の意識はすごく幸せな光の中に堕ちていったのだった。

< 続く >

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