サイの血族 13

31

「あなた、お母さんとなにしたのよ!」

 キッチンで一緒に朝食の支度をしている隼人と服部早苗を見て奈緒が叫ぶように言った。

 ひと目で濃厚な関係を結んだのがわかるほど二人が漂わせる雰囲気は親密なものだった。

 いや、「ム」の能力に目覚めた奈緒だからこそわかったのかもしれない。

「ふ・・・不潔よっ!」

「あなたはまだわかっていないようね」

 涙をためながら震えている奈緒に服部早苗は冷たく言い放つ。

「だいっ嫌いっ! お母さんなんて・・・そこにいる・・・も・・・」

 奈緒は隼人の名前を呼び捨てることができず言葉を飲み込んでしまう。

「ばっかみたい。もっと素直になんなさいよ」

 同時に起きたらしい結花がキッチンへ入ってきてそう言った。

 結花と奈緒は巫女装束だ。昨夜、寝かせるときに隼人と服部早苗が着せておいた。

「なによ、あんたにまで・・・」

 奈緒は怒りの目を結花に向ける。

「隼人さまぁ。こんな女『サイ』をかけて、わかるまでやっちゃえばいいのよ」

 結花の言葉は過激だ。

「じょ・・・冗談じゃないわ! ふざけないで!」

 奈緒は怒りと嫉妬でブルブルと震えている。

「そうしてもらいましょう」

 静かに言う服部早苗の言葉に、結花と奈緒は声を揃えて「えっ?」と言った。

「隼人様、『サイ』をかけて奈緒を動けなくしてください」

 服部早苗は凄艶な笑みを浮かべて隼人に言う。

「そ・・・そんな・・・いいんですか?」

 その妖しい雰囲気に戸惑いながら隼人は答える。

「い・・・嫌! やめて!」

 逃げだそうとする奈緒を服部早苗が取り押さえた。

「さあ、早く!」

「はい」

 隼人は前後のことも考えられないまま、もがいている奈緒に向かって手をかざし「サイ」を唱えた。

 奈緒が脱力する。

「ここは狭いからロビーへ行きましょう。隼人様、奈緒に指示を。結花ちゃんも一緒に行きましょう」

 四人がロビーへ移動すると、服部早苗は朝日が差す窓辺で和服の帯を解きはじめた。

 隼人は呆気にとられて衣擦れの音を聞いているしかなかった。

「隼人様。これから私たちがすることをよく見るように奈緒に指示してください。その間、言葉は発せられず動くこともできない、それから私の言うことも聞くようにと」

 逆光に浮かび上がる服部早苗の裸身からは威厳のようなものさえ感じられる。朝日が後光のように見えた。隼人は言われるままに奈緒に指示を出す。

「あなたは昨夜、自分が何者であるかわかったはずです。あなたは『ム』の正統な継承者であり『サイ』のしもべなのです。それなのにあなたは俗界の意識にまだ縛られている。嘆かわしいことです。これから起こることを見て一族としての自覚が芽生えないようなら私がすべてを忘れさせてあげます。私たちの仲間に入りたいと思うようになれば身体は動くようになるし言葉もしゃべれます。それまでは見ていなさい」

 服部早苗は豊かな肢体を見せびらかすようにして奈緒に言った。

「結花ちゃん、あなたも脱ぎなさい」

 こんどは結花の方を向いて微笑む。

 結花までもが「サイ」にかかったような仕草で帯を解きはじめた。

 それを見ながら服部早苗の指が隼人のベルトにかかる。

「あっ・・・私も・・・」

 生まれたままの姿になった結花は隼人のシャツのボタンを外しはじめた。

 隼人は、あっという間に全裸にさせられてしまった。

 服部早苗がひざまずいて屹立を口にふくむのを見て、結花は負けじと唇を重ねてきた。そして隼人の手を取って自分の股間へ誘う。すでに秘肉は蜜があふれていた。その独特の触感に隼人は自分が興奮していることに気づいた。

 奈緒の方を見ると指示どおりに目を見開いてこちらを見つめている。その表情からは複雑な感情が読み取れた。隼人は視覚から奈緒を興奮させたいと思った。見せつけでやりたいとも思った。ワガママな鼻っ柱をへし折ってやりたかった。

 隼人は指を結花の蜜壺へ挿入してかき回すように動かす。

「ああんっ! いきなりなんて・・・ああっ!」

 クチュクチュと蜜と肉とが奏でる音の中で結花が高く喘ぐ。

「ああっ・・・すごい・・・気持ちいい・・・」

 荒い息をしながら結花は隼人にしなだれかかる。

 服部早苗の巧みな舌使いに隼人のものは硬度を増していく。

 なにより、このインモラルなシチュエーションが隼人の興奮をいっそうのものにしていた。

 そして、奈緒が嫉妬しているのに欲情しているらしいのが隼人にはよくわかった。その困惑した目で見られているのが刺激的だ。

「ああんっ! もう・・・」

 結花も普段より感じているらしい。ガクガクと身体を震わせて達してしまった。

「結花ちゃん・・・こっちへ・・・」

 服部早苗が結花の手を取ってソファーへ座らせる。

 それを見て発作的な衝動に駆られた隼人は服部早苗の背中を押してしまう。結果的に服部早苗は結花の上に覆い被さる格好になった。その上から隼人は身体を重ねる。意思とは関係なく身体が動いていた。まるでなにかに操られているようだと思いながら、唾液で濡れた屹立を結花の蜜壺へあてがう。

「ああっ・・・こんなのって・・・でも・・・ああ~んっ!」

 結花が最後の喘ぎ声をあげたときには限界まで膨らんだ屹立が奥深くまで挿入されていた。

 隼人は下腹に密着した服部早苗のヒップの弾力と暖かさを感じながら挿送を開始した。

「あああっ・・・こ・・・こんなのって・・・あっ・・・だめっ・・・早苗さん・・・ああんっ・・・」

 驚いたことに服部早苗は結花の乳首を愛撫しながら首筋に舌を這わせていた。

 官能の炎に炙られた結花の身体は服部早苗の愛撫を受け入れてしまう。二人に責められながら早くも次の絶頂を迎えてしまっていた。

「だめぇ・・・早苗さん・・・やわらかくて・・・気持ちいいの・・・」

 結花は痙攣しながら自分の状況を口にしている。かなり奈緒のことを意識しているようだ。

「隼人様、私にも・・・その前に奈緒がしゃべれるようにしてあげて・・・」

 服部早苗の声は甘さを含んでいるものの意思を感じるものだった。

「奈緒、よく見るのです。あなたが何者であるかがわかるでしょう」

 こんどは奈緒に向かって言う。

 その一言で、何を意図しているのかを理解した隼人は、身体は動かないままだが言葉はしゃべれるようになると奈緒に指示を出す。

 そして何度目かの絶頂を迎え震えている結花から屹立を引き抜き、その先端を服部早苗のものへと移動させる。

「だめっ! だめぇっ!!」

 奈緒が絶叫する。

「ああぁぁぁっ!」

 そのときには隼人のものが服部早苗に挿入されていた。高い喘ぎ声をあげながら奈緒を見つめる服部早苗の眼は母のものではなく一族の長のものだった。

「いやぁ・・・し・・・しないで・・・」

 官能に咽ぶ母親の姿を見て奈緒は涙を流しながら訴える。

「私たちは『ム』なのです・・・そして隼人様は『サヒ』・・・血が・・・血が、私たちを結びつけてくれるのです・・・ああ・・・」

 熱いため息のような声で服部早苗が言う。

「奈緒・・・あなただって気づいているはず・・・身体が火のように燃えているでしょう?」

「そ・・・そんなことないもん!」

「もっと心の底から聞こえる声に正直になるのです」

「い・・・いや・・・」

 抗う奈緒の口調にはあのときのような甘さがあった。

「そう・・・だったら・・・結花ちゃん・・・確かめてくれる? あなたなら、どうすればいいかわかるわよね?」

 服部早苗は両手と両膝をついて身体を浮かせる。突き出したヒップには隼人のものが挿入されたままだ。

 身体を滑らせるようにして抜け出した結花は突然舞いはじめた。

 泣き叫んでいた奈緒も呆気にとられた様子で結花を見ていた。それほど結花の舞いは美しく、エロティックだった。そして儀式のはじまりを告げるような荘厳さもあった。

「服部奈緒、そなたは『ム』の者。まだ目覚めきっていないよう故、私が手伝って進ぜましょう」

 結花の目は焦点が合っていなかった。トランス状態に陥った巫女独特のものだ。指先が奈緒の頬から首筋、そしてバストへと移動していく。

「いやっ! やめてっ!」

 そう叫ぶものの奈緒の身体は動かない。

 結花はしなやかな動作で奈緒の装束を脱がしていく。

「やだっ! やめてったら・・・」

 帯が解かれ袴がパサリと音を立てて床へ落ちる。そのときには襦袢と白衣が一緒に脱がされていた。その肢体からは発情したメスの匂いが漂っているのを結花は見逃さなかった。

「言葉とは裏腹、そなたの身体からは隼人様を欲する証が漏れておりまする」

 結花の指先が奈緒の乳首をとらえる。

「やっ! やめてぇっ! だめぇぇぇ・・・」

 触れるか触れないか微妙なタッチに奈緒の身体が震え出す。

「いやぁ・・・だめ・・・しないで・・・ああっ!」

 奈緒の背後へまわりこんだ結花は、左手で乳首を、右手は股間を愛撫していた。

「どうして? こんなのいやぁ・・・ああんっ!」

 結花は身動きできない奈緒を責め続ける。

「ほら、もう洪水よ」

 蜜で濡れた指先を隼人の方へ差し出す結花の口調は少女っぽいものに戻っていた。

「結花ちゃん、もっと、わからせてあげて」

「りょうか~い」

 服部早苗の言葉に結花は明るく応える。しかし、その口調とは逆に結花の愛撫はかなりあくどい感じがした。女だからこそわかるツボを執拗に責めているのだ。

「だ、だめぇ! こんなの・・・だめなのに・・・ああんっ! いや! いやぁぁぁっ!!」

 たぶん、三人の行為を見て欲情していた奈緒の身体はあっけなく燃え上がり達してしまう。

「素直に、隼人様が欲しいって言えるようにしてあげる。隼人様も協力して」

 結花はいたずらっ子のように笑う。

「どうすれば・・・?」

「簡単よ。もっと早苗さんを感じさせて見せつけてあげればいいの」

「えっ・・・?」

「早苗さんが感じれば感じるほど、この娘は隼人様のことが欲しくなるの」

「そ・・・そうなの・・・?」

「論より証拠、やってみて。私は奈緒ちゃんをもっと感じさせちゃうから」

「うん・・・わかった・・・」

 そう答えたものの、隼人にはためらいがあった。

「結花ちゃんの言うとおりです。お情けを・・・」

 戸惑っている隼人に服部早苗も言う。

「はい・・・こうですか?」

 その言葉に背中を押された格好で隼人は挿送を再開した。

「ああっ! そうです・・・もっと・・・もっと・・・」

「はい・・・」

 隼人は服部早苗の腰を鷲づかみにして後ろから激しく挿送した。

 パンパンと肉を打つ音がロビーに響く。

 その動きに合わせて服部早苗も高く喘いだ。

「いや・・・いやぁっ・・・」

 結花の愛撫を受ける奈緒は言葉で抗いながら甘い声をあげ続けている。

「ああんっ! だめぇ・・・やめてぇ・・・あああっ!」

「ああっ! もっと・・・そう・・・ああんっ!」

 結花は隼人の挿送に合わせて指先を動かしていた。母娘の喘ぎがシンクロする。

 そして、服部早苗が叫んだ。

「ああっ! 隼人様・・・イきます! イってしまいます! あぁぁんっ!」

 言われなくとも蜜壺が収縮して絶頂が近いのが隼人にはわかった。

 本能的に隼人は奥まで突き上げるような力強い挿送を繰り返す。

「ああぁぁぁっ!!!」

 隼人が放出すると、服部早苗はひときわ高い声をあげて背中をのけ反らせた。

「い、いや・・・あたしにも・・・あたしにもちょうだい・・・」

 結花に責められながら奈緒はうわごとのようにそう言っていた。

「奈緒・・・わかりましたか?」

 まだ余韻で震えながら服部早苗が言う。

「あ・・・あたしも欲しいの・・・」

「ならば、こっちへいらっしゃい」

「は・・・い・・・」

 動けないはずの奈緒が歩き出す。隼人には、自分の言うことも聞くようにと言った服部早苗の言葉の意味がようやくわかった。

「まずは、ひざまずいて隼人様に忠誠を誓うのです」

 服部早苗の口調は母としてのものではなく「ム」の長としての威厳を感じさせるものだった。

「わ、わかりました。隼人様、数々のご無礼をお許しください。服部奈緒は隼人様のしもべです・・・」

 頭を垂れ、両手をついた奈緒が言う。

「次に、隼人様のものをあなたの口で元気にして差し上げるのです。さっき私がやったように。わかりますね?」

「はい・・・」

 奈緒はソファーに座った隼人ににじり寄る。そして、半ば萎えた隼人のものを手に取った。

「さあ、ご奉仕するのです」

 もう、奈緒の態度にためらいは見られない。「ム」のDNAに心が支配されたのか、宝物を扱うような手つきで隼人のものを手に取り、愛おしげに口にふくむ。

 その、ぎこちない舌使いに隼人のものが甦っていく。

 美しい母娘、そして結花に囲まれて隼人は王のような気分を味わっていた。それは「サヒ」としての自覚の芽生えかもしれなかった。隼人には三人の気持ちがよくわかった。みな隼人のことを敬い求めていた。その気持ち力の源だと思った。三人の女たちを操っているのは隼人ではなく、得体の知れない大きな力、それによって自分も操られているのだとも感じていた。

 屹立が限界まで膨らんだとき隼人の心が弾けた。

 心の底で猛獣の咆哮が聞こえた。

 隼人は奈緒の頭をつかんで口の中へ思いきり放出させた。

 それは「サヒ」の「気」そのものだった。

 喉の奥に「気」を伴った精液の直撃を受けて奈緒はゴホゴホと咽せた。しかし、その表情は恍惚として微笑みを浮かべているようにも見える。

 隼人の放出は止まらない。第二波がやってきて、飛び出したものが奈緒の顔に降りかかる。

「ゴクリ」と喉を鳴らせて口にたまったものを飲み干した奈緒はペタンと床にしゃがみ込んだ。

「奈緒、四つん這いになってお尻をこっちに向けるんだ」

 驚いたことに隼人の屹立は硬度を失っていなかった。そして、いつの間にか奈緒を呼び捨てにしていた。

 奈緒は返事もせず言いつけに従いヒップを高く突き出すようなポーズになる。

「あああぁぁぁっ!!」

 床に膝をついた隼人はいきなり奈緒に挿入していた。

「わかったみたいね」

 悶える奈緒の顔を覗き込んだ結花が言う。

「私がもっと気持ちよくしてあげる」

 結花は顔についた精液を絡め取るように奈緒の顔を撫でた。

「もう、あなたは私たちの仲間。だから仲良くしましょ」

 ひとあし先に目覚めた結花の言葉には年下にもかかわらず奈緒をリードするような響きがあった。

「隼人様にしてもらったとっても気持ちいいことを私がしてあげる」

 結花の手は奈緒のヒップへと移動していく。

「あぐぅぅっ!」

 奈緒が身体を硬直させた。

 結花の指先が奈緒のアヌスに突き刺さっていた。

「ね? 気持ちいいでしょ。私はここに隼人様のものを入れてもらったのよ」

 妖しい笑みを浮かべながら、結花は絡め取った精液を潤滑剤にして人差し指をスムーズに動かしていた。

「んんっ! んあっ!」

 結花の指が根本まで差し込まれたとき、奈緒は背中をのけ反らせて喘いだ。

「このままイっちゃうといいわ。隼人様、もっと激しくしてあげて」

 薄い肉の壁を通して結花が指先を微妙に動かしているのが先端の感触でわかった。結花の行動は思いもよらぬものだった。その妖しい刺激に隼人の興奮は精神的にも高まっていった。

「ああっ! ああっ!」

 奈緒は指の動きに合わせて喘いでいる。かなり感じているらしい。隼人は本能的に挿送を開始した。

「いやぁぁぁっ!」

 奈緒は絶叫に近い声をあげて喘ぐ。

「おもしろ~い。ピクピクしてる」

 括約筋の動きを指先で感じた結花はさらに激しく指を動かす。

「くっ! くぅぅっ!!」

「イく」と言いたかったのか、奈緒は不思議な声をあげて身体を硬直させた。

「隼人さまぁ・・・私にも・・・」

 絶頂を迎えた奈緒を見て結花も欲しくなってしまったらしい。指を抜いて隼人に抱きついてきた。

「だったらソファーに上がって四つん這いになって」

「うれしい」

 結花はソファーの背もたれに手をつくとヒップを突き出した。その姿を見て、隼人はとんでもないことを思いついた。

「早苗さん、結花の隣でおんなじ格好をして」

 菩薩のような微笑を浮かべて奈緒を見ていた服部早苗に言う。

「ならば、この子も一緒に」

「うん。僕もそう思っていた。奈緒もソファーに上がるんだ」

 どうやら服部早苗は隼人と同じことを考えていたようだった。

 余韻から醒めきらない奈緒に服部早苗は手を差しのべて一緒にソファーへ上がる。

 壮観だった。

 左から結花、奈緒、服部早苗の順番で隼人に向かってヒップを突き出している。しなやかで細いながらも張りのある結花、丸く弾力を感じさせる奈緒、そして熟れきった妖艶さを漂わせる服部早苗。それぞれの肉を同時に味わえるのは「サヒ」の特権だと隼人は思った。

「ああ~んっ!」

 最初によろこびの声をあげたのは結花だ。隼人は右手で隣にいる奈緒のヒップを揉みながら結花に挿入した。いまとなっては結花の内部が懐かしく感じられる。隼人にとって愛すべき感触だった。

 奈緒を愛撫していたせいか、結花は挿送をはじめるとあっけなく達してしまった。隼人の名を連呼しながらソファーに突っ伏してしまう。

 ヒクヒクと痙攣している結花から屹立を引き抜いた隼人は奈緒の後ろに移動して先端を入り口にあてがう。それだけで奈緒は息を荒げた。ついさっきまで結花に指を入れられていたアヌスが濡れて光っていた。隼人は感触の違いを楽しみながら挿入していく。

「あうっ!」

 筋肉質の結花と違って奈緒の内部はしっとりと屹立を包み込むような感じがする。なのに喘ぎが響くくらい締めつけてくる。結合を深めていくと震えを増していく身体が愛おしい。

「いやっ! いやぁぁぁぁっ!!」

 まだ余韻が残っていたせいか数度の挿送で奈緒は絶頂を迎えてしまった。

「奈緒は僕のパートナーだ。でもワガママは許さない。いいね」

 痙攣を繰り返す奈緒に隼人は言う。

「は・・・はい・・・あたしは・・・はやとさまの・・・ああん・・・」

「サイ」をかけられて忘我に近い意識と官能の中で奈緒はうわごとのように答える。

「奈緒の蜜で濡れた僕のものをこんどは早苗さんに入れるから」

「はぁん・・・」

 屹立を引き抜くと奈緒は崩れ落ちてしまう。

 服部早苗の内部には隼人のものが残っていた。それもあってスムーズに入ってしまう。しかし次の瞬間には強烈な締め込みがきた。その感触は奈緒のものにそっくりで、やはり母娘なのだと実感する。

 熟れた双丘の間に佇むアヌスを見たとき、隼人は昨夜そこへ舌を差し込んだことを思い出した。服部早苗は激しく感じていた。ためらう理由はなかった。隼人は蜜壺から屹立を引き抜きアヌスへあてがう。

「隼人様・・・そこは・・・あうぅぅ・・・」

 服部早苗が言い終わらぬうちに先端が潜り込んでいた。

「ああっ! あうっ!」

 ソファーの背を握りしめて服部早苗は喘いでいる。

「次は奈緒のここに入れるんだから感じるところを見せてあげなきゃ。それとも嫌なんですか?」

「ああ・・・なんてひどい・・・娘の前で、こんなにされてしまうなんて・・・」

 服部早苗はそう言いながら身体を震わせた。

「ああっ! すごい・・・熱くて・・・あああっ!!」

 ゆっくりとした挿送がはじまると服部早苗はよろこびの声をあげた。

「感じるんですね?」

「はい・・・もっと・・・激しく・・・」

「こうですか?」

 隼人は根本まで挿入した。

「あうぅぅぅっ!!」

 ロビーに服部早苗の絶叫が響いた。

 硬直した服部早苗は上を向いて金魚のように口をパクパクさせている。そして、何回か身体を震わせるとガックリと弛緩してしまった。

 絶頂を迎えた後の仕草も奈緒に似ていると隼人は思った。

 隼人の屹立は服部早苗の絶頂を吸い取るように硬度を増していた。これは「サヒ」の能力なのだと頭の中の声が教えていた。一族の者と同時に交わることで獲得できるものらしい。

 隼人は奮い立った。奈緒の後ろも征服したかった。

「ゆ・・・ゆるして・・・これ以上されたら・・・あたし・・・こわれちゃう・・・」

 奈緒の腰をつかんで持ち上げるとかよわい声が聞こえた。

「あっ・・・そこは・・・違う・・・」

 信じられないほど硬くなった屹立をアヌスにあてがうと奈緒は絶え絶えに言った。

「うあぁぁぁっ!」

 容赦のない隼人の行為に奈緒が叫ぶ。

「あうっ! こわれ・・・ちゃう・・・ゆるして・・・」

 奈緒は涙を浮かべながら懇願した。

「奈緒、力を抜いて。静かに満ちてくるのを待って」

 服部早苗が奈緒に寄り添って言った。

「あ・・・お母さん・・・たすけて・・・」

「こうするとどう?」

「ああんっ! そんな・・・ああっ!」

 服部早苗の手が奈緒の股間に伸びていた。

「だめぇ・・・こんなの・・・あぁぁ・・・」

 思いもよらぬ母の愛撫に奈緒の心が砕けた。

「あうっ! あ・・・あたしは・・・『ム』・・・だったのね・・・あああっ!」

 母親にクリトリスを愛撫されながら悶える奈緒の姿は淫靡を通り越して神々しくさえ見えた。

 興奮した隼人はさらに奥まで突き進む。

「くっ・・・くうっ・・・熱い・・・もので・・・いっぱい・・・ああんっ!」

 本来は交わるところではない器官の肉を通して隼人のものに声が響く。

 その刺激にたまらなくなった隼人は一気に放出してしまった。

「ひゃぁぁぁんっ!!」

 熱い奔流を感じた奈緒が叫ぶ。

 アヌスの硬い肉が屹立を食いちぎるように何度も収縮した。

「気」を伴った隼人の精液が直腸の中で暴れまわり奈緒を官能の深淵まで突き落としていた。

 ブルブルと痙攣した奈緒は白目をむいて失神してしまう。

「ずる~い。隼人さまぁ・・・私にも・・・」

 結花がすり寄ってくる。

「大丈夫だよ。結花にもたっぷりしてあげるから」

 隼人はにっこり笑って答える。なにしろ「サヒ」の力で、あれだけ出したのに硬度はそのままなのだ。

「だったらお願い・・・こっちからして・・・だって隼人さまの顔を見ながらして欲しいんだもん・・・」

 結花は仰向けになって両膝を胸に引き寄せM字に脚をひらいた。

「結花も後ろにして欲しいの?」

「うん・・・」

 期待なのか恥じらいなのか結花の頬は赤く染まっていた。

「いいよ」

 隼人は体勢を整える。

「あっ・・・なにこれ? さっきとぜんぜん違う」

 先端がアヌスに触れたとき結花が言った。

「どういうこと?」

「あのね・・・熱くて別のものみたいに感じるの・・・なんだか怖いくらい」

 どうやら「サヒ」の力のせいで屹立からも「気」を放っているんじゃないかと隼人は思った。それを結花も奈緒も服部早苗までもが「熱い」と感じているらしい。

「だったら、やめる?」

「だめぇ・・・して・・・してください・・・」

 結花の声は甘く媚びを含んでいた。

「どう?」

 隼人はふたたび先端をあてがう。

「すごいの・・・それだけでジンジンする・・・」

「いくよ」

 隼人が腰に力を入れると一瞬抵抗があってアヌスのまわりの肉が凹み、次の瞬間にはズルリと亀頭が包まれた。

「あうぅぅぅっ! なに・・・すごい・・・ああんっ!」

 快感に顔を歪ませながら結花は隼人のことを見つめた。

「たぶん力が増したんだ。気持ちいいよ、結花の中って」

 コリコリとした肉が屹立を締めつけてくる。その動きからも結花が感じていることがわかった。

「わ・・・私も・・・ああっ! もう・・・いくぅ・・・あぁぁっ!!」

 早くも結合を深めていく課程で結花は達してしまった。

「だめぇ・・・いくのが止まらないの・・・ああんっ! あああっ!」

 エビのように身体を跳ねさせて結花が喘ぐ。その勢いでさらに結合が深まった。

「あああぁぁぁぁっ!!!」

 結花は長く叫んで身体を硬直させた。

 隼人は挿送をはじめる。

 結花は啼き続ける。

 やがて隼人にも限界が訪れた。

「うおぉぉぉぉっ!」

「あうぅぅぅぅっ!」

 放出の雄叫びと結花の喘ぎが重なる。

 結花も意識を失ってしまった。

 頭の中の声が「輪が閉じた」と告げていた。

32

 最初に起き上がったのは服部早苗だった。

 浴場からお湯を汲んでくるとタオルをしぼって、ぐったりと横たわっている隼人の身体を拭きはじめた。

「あっ・・・早苗さん・・・そんな・・・」

「よいのです。これで丸く収まりました。お礼を申し上げます」

「なんだか僕も操られているみたいだった」

「昨夜は奈緒が『ム』になる儀式、そして今日は隼人様が『サヒ』になる儀式だったのでしょう」

「どうやら三角形が完成したみたいなんです。頭の中で声がしました」

「いよいよですね」

「はい」

「隼人様は旅立たなくてはなりません。『サヒ』の力を育てるためには多くの女のよろこびが必要です」

「それは・・・いままで以上にってことですか?」

「そうです。『サイ』として一人前になるのだったら、もう十分な経験を積んでいるはず。でも、『サヒ』として目覚めてしまったからには旅の途中でもっと女をよろこばせなければ」

「どれくらい?」

「はっきりとはわかりません。私の頭の中の声がそう告げているのです。欲望を感じた女にはすぐに『サイ』をかけてしまうくらいの覚悟が必要かもしれません」

「そんなに・・・」

「無理をすることはないと思いますが、ためらいは役に立ちません」

「でも当分は無理かも。これだけしちゃったんだから」

 隼人はそう言って笑った。

「二人が目を覚ます前に出かけてしまった方がいいでしょう。私が因果を含めておきます」

「わかりました。がんばります。早苗さんにもまた会いたいから」

「まあ」

 口を押さえて微笑む服部早苗が艶っぽく見えた。

 霧庵の門をくぐると隼人は別の自分になったことを意識していた。

 坂を下って振り返ると服部早苗が深々とお辞儀をしていた。

 隼人は手を振って歩を早めた。

< 続く >

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