スパイラルトラベラーズ 2

 学園祭の季節から3ヵ月もたった頃、結沙たち4人は、すっかり新しい生活のリズムにも、慣れつつあった。部活動といえば、『スパイラルサークル』のサポート活動。吉沢結沙にとっては、部員の男子たちに玩具のように弄ばれる、嫌な時間でもありながら、彼氏の弘太とイチャイチャ出来る、夢のような時間でもある。開き直ってしまうと楽しい『フィナーレ』のダンスタイムや、女の子同士で愛し合う、チルアウトなシャワータイムも含めると、6:4………、いや、7:3くらいで楽しい、放課後の過ごし方だった。そして学校生活とのバランスの取り方も、ずいぶんコツを掴みつつある。次の日の授業で眠くならないようにするためには、家に帰ってから、速攻で宿題を終わらせて、晩御飯後はキッパリとオナニーに費やす。部屋に自分ひとりしかいないのに、モジモジ、モヤモヤしていたら、睡眠時間が削られて仕方がない。どうせ、その日にあった弘太とのあんなことやこんなことを思い出すと、結沙は自然に自分を慰めるようになる。だったら、スパッとオナニーを始めて、スッキリしたところで、サッサと寝る。これが、学校生活と、部活や男女交際をうまく両立させるための秘訣のようだった。

 

「結沙ちゃん、今日も弘太君のために、エッチな下着、着てきたの?」

 

 野乃が屈託のない声で、結沙が聞かれたくないことを、無邪気に聞いてくる。結沙の顔がガスコンロのようにフボッと点火された。

 

「………別に、弘太のためとかじゃなくて………。私の、オシャレっていうか、好みで、着てるだけだってば。…………野乃に関係ないでしょ」

 

 結沙の声がうわずっているのが、自分でもわかる。思い出したのだ。自分が今日、思いっきり弘太の好みを優先して、買ったばかりの淡いピンクのランジェリーを身に着けて来ていることを。高校生男子のお姫様願望なのか、フリルをあしらったブラとショーツは、サイドの布が透け気味で、キュートさに振りたいのか、セクシーになりたいのか、女子の目から見ると、理解が難しいチョイスだった。それでも、カタログを見た弘太が指をさしたのが、この商品だったのだから、彼にベタ惚れの結沙には、他に選択肢なんてなかった。

 

「………どうせ後で脱がされるし、全部皆にバレちゃうんだから、今、強がっても仕方がないんじゃない?」

 

 いつも冷静な咲良のツッコミ。結沙は膨れっ面をつくって黙殺した。無駄な強がりかもしれないけれど、この催眠術の支配という構造に、完全に身を委ねきらない、というのが、結沙の信念であり、プライドでもあるのだ。小湊弘太にだって、結沙しか知らない、秘密があったりする。たとえそれが、地味な場所についているしょうもないホクロだったとしても、結沙だけが知っている秘密はある。全て諦めてしまったら、こうした小さな小さな戦略的獲得地点も、すべて失ってしまう。そうしたら、結沙という人格までも、完全に手放してしまうことになるような気がするのだ。

 

「あれ? ………あなたもサポーター? ………こんなちっちゃい子が?」

 

 先頭を歩いて、部室へ入っていく梨々香が、立ち止まって素っ頓狂な声を上げる。興味を持って、部室の中を覗き込む、野乃と咲良に結沙。部屋の中には、確かにずいぶんと小柄な女の子が椅子に腰かけていた。

 

「…………新入りは、貴方たちでしょ? ………入ったら? ………。私、この部の、れっきとした部員なんですけど」

 

 小柄な体形と可愛らしい顔立ちとは裏腹に、女の子は腕組みして、細い脚まで組んでいる、いかにも態度の大きそうな姿勢をしていた。声からしても、まだ中学生くらいの年齢のようだ。怪訝な顔をお互いに見合わせながら、梨々香たちが部室に入る。

 

「私のこと、全然聞いてない? ………今里愛良。中等部だけど、この部にちゃんと籍を置いてるのよ。………ちょっと交換留学行ってる間に、どんどん新入りサポーター増えてるみたいだけど、ちゃんと教育されてる?」

 

 今里愛良…………という名前には、かすかに聞き覚えがあった。結沙が記憶を辿って思い出す。たしか、前に一度、先輩サポーターから、彼女の存在をチラッと聞かされたことがあった。お兄さんがスパイラル・サークルのOBという関係で、中等部にいながら、在籍を認められている女子生徒がいると………。たしかその時は、「要注意人物」として、その子のことを聞いたような気が………。

 

 不安そうにお互いの顔を見合っている結沙たちの様子を見て、愛良と名乗った小柄な女の子は、小さくため息をついた。

 

「全然、礼儀も教わってないみたいじゃん。…………もしかしてだけど、『スパイラルの旅行者』っていうキーワードも、変わってたりしないよね?」

 

 自分のことを部員と名乗った愛良がその言葉を口にすると、結沙の意識は深いトランス状態に沈みこんでいく。まだ少しだけ、半信半疑であるせいか、いつもよりも意識の輪郭が残っているように感じるけれど、心がぽっかりと口をあけて、何でも受け入れていく準備をする感覚は、いつもと変わらない。

 

「………その様子だと、さすがにキーワードはちゃんと、伝統守ってるみたいだね。………じゃ、アンタたち、私の前に整列。服は全部脱いで、ここで『気をつけ』の姿勢になりなさい」

 

 愛良が、まるで長年飼っているペットに命じるみたいに、平然と指示を出す。自分たちよりも2歳も3歳も年下に見える女の子の命令に従うのは、屈辱的だと感じたけれど、今の結沙たちには、愛良の言葉も、『逆らえない言葉』として頭に響き渡ってしまう。気がつくと、指示された通りに、横一列に並んで、制服に手をかけている自分がいた。

 

 冬服のジャケットを脱ぐと、リボンを解いて、シャツのボタンを1つ1つ、外していく。新調したばかりのブラジャーとショーツが見られること意識すると、結沙の肌がさらに赤くなった。エロに興味深々だったり、性欲を隠さずに凝視してくる高校生男子の視線に晒されるのも恥ずかしくて慣れないが、年下の女の子に、こんな形で命令をされて、裸を値踏みされるように見られることにも、別の種類の抵抗感を感じる。結沙は自分の手を止めて、体を隠したい思いが胸がパンパンになりながらも、暗示の力に逆らうことが出来ずに、下着も外して無防備な全裸になると、「気をつけ」の姿勢で直立した。

 

「脱いだら、1人ずつ、自己紹介してもらおっかな? 自分の名前とご主人様の名前。それから、好きな責められ方、イジメられ方を、正直に言うの。隠しごとなんてしちゃ駄目だよ。はい、こっちのお姉さんからいってみよっか?」

 

「……………真壁梨々香です。…………ご主人様はタモツやキミヒコとか、他にも4人います。この………オッパイをちょっと強めに揉まれたり、弄られたりするのが、好きです。…………もともと、明人という彼氏がいるので、彼との関係を持ち出されてチクチク苛められるのも………、ちょっと好きです………」

 

「井関咲良です…………。ご主人様………というか………研究仲間が、道夫をはじめ、沢山います。…………その………オシッコ………プレイ………というか………、オモラシ………をさせられるのが…………、すっごく屈辱的だけど…………秘かに………興奮しています…………」

 

「城崎野乃です。ご主人様がマコちゃん、シューさん、ユウマさん、キミヒコ君、タモツ君と、5人います。みんな、それぞれのやりかたで野乃を可愛がってくれるのが、個性があって、とても好きです。イジメられるっていう感覚はあんまりなくて、何をされても嬉しいです」

 

「吉沢結沙です。…………………彼氏は…………小湊弘太です…………。私も、野乃に近くて、弘太にされることはどんなことでも嬉しいし好きだし、苛められるって言う感覚はないです。だから、だいだい毎晩、その日に弘太にしてもらったことを思い出して、家でオナニーします」

 

 結沙は途中まで、自分の口を褒めてあげたいと思った。愛良は「ご主人様を言え」といったのだが、結沙は「彼氏が弘太だ」と答えることが出来た。本当は彼氏でもあるし、結沙のご主人様でもあるし、持ち主でもあると、心の底で認めてしまっているのだが、やっぱり「弘太は彼氏だ」と言えた自分のことが誇らしかった。同時に、そこで油断して、最後に聞かれてもいない、夜の一人作業の話まで口にしてしまったことは、後悔してもいた。本当に暗示の力に逆らおうとすると、一瞬すら気を抜くことが出来ない。

 

「ふーん。『彼氏の弘太君』ね~。まぁ、あの子も根暗な感じだし、お姉さんみたいに美人で、スタイルが良くって、美乳の人が手に入ったら、ゾッコンになっちゃうのも仕方がないかもね~。………でも、ちょっと玩具としての、自覚が足りないんじゃないかなぁ………」

 

 ちょっと吊り上がった目を上目遣いにして、小悪魔的な美少女が悪戯っぽい笑みを浮かべる。まだ中学生だという愛良の、Sっぽい雰囲気が、結沙の背筋をゾクッと冷たくさせた。

 

「皆、エッチな気持ちになって。…………ケモノのメスみたいに発情しなさい」

 

 愛良の声が聞こえると、結沙の視界が急にモヤがかかったかのように曇る。呼吸が早くなり、熱っぽい体の奥がズキズキと疼き始める。

 

「催眠術で心も体も縛られて、完全に支配されちゃってる子は、………健全な男女交際とかはちょっと、無理なんじゃないのかな~。どう思う? メス犬ちゃん」

 

 ムクムクと起き上がってしまった結沙の乳首を、ツンツンと玩具のように指先で突いた後で、愛良が結沙に問いかける。両腿の間を恥ずかしい液が垂れる。全身の発情状態を見透かされてしまっている屈辱とみじめさを打ち払うように、結沙は「やめてっ」と強めに声を出して拒絶しようとした。

 

「ウォンッ………」

 

 出た声は、犬の鳴き声だった。それに気がついて、ショックを受けたところを隠せない結沙。愛良がキャハッと、屈託なく笑った。

 

「結沙ちゃん、顔は賢そうな美人だけど、実は、すっごい被暗示性高くない? ………ねぇ、私の目を見てよ………」

 

 結沙は、ボンヤリとした顔にもうっすらと、泣きべそをかくような表情を浮かべて、頭を左右に小さくゆっくりと振る。それでも両目は愛良の眼に、釘付けになってしまい、離すことが出来ない。愛良はお気に入りのヌイグルミを撫でるかのうような手つきで、結沙の胸を揉みながら囁いた。

 

「揉み心地も最高じゃん。もうちょっとサイズアップされたら、『神乳』とかって、崇められそうな感じ………。結沙ちゃんか………。ちょっと好きかも………。結沙ちゃん。アタシの言葉をよーく聞こうか………」

 

 顔を横に振りながらも、結沙の両目はどんどんと愛良の黒目の中に吸い寄せられていく。まるで自分の意識全てが、愛良の黒目の中に吸い込まれていってしまうような感触。耳をふさぎたいけれど、両手は『気をつけ』の姿勢のまま、動かせられない。その言葉も、ノーガードの結沙の心の奥まで響き渡っていくのだった。

 

 

。。。

 

 

「……あれ? ………愛良ちゃん、久しぶり。…………もう日本に帰ってきたの?」

 

「君彦君、ちょー久しぶりっ。………タモツ君もっ。愛良、寂しかったんだよー」

 

 急に甲高い声を聞いて、結沙はびっくりして目が覚める。気がつくと、部室には君彦と保が入って来ていた。横を見ると、咲良や野乃、梨々香も、ちょうど今、正気を取り戻したような様子で、キョロキョロしている。全裸で直立不動になっていたお互いの様子を見て、4人は慌てながら恥ずかしそうに、床から服を拾い上げる。

 

「ニュージーランド、どうだったの?」

 

「羊ばっかだったよー。サークルの皆と、早く会いたかった。………今日は、弘太君は一緒じゃないの?」

 

「うん。弘太は図書館寄ってるらしいから、後から来るよ。……………あ、何これ? お土産?」

 

「そっ。マオリ族っていう、ニュージーランドの先住民族のお守りなんだって。皆の分、買ったの。それぞれ呪術的な意味があるみたいだから、調べてみてよ。意識学研究の役に立つかもでしょ?」

 

「調べてみてよって、…………相変わらず、自分では手を動かす気、ゼロだね。愛良ちゃん」

 

「えー。君彦君、言い方、キツ-イ。愛良、ショック―」

 

 楽しそうにお喋りに興じる今里愛良は、見た目の可愛らしさと体格の小柄さもあって、愛嬌たっぷりの妹分に見える。けれど、さっき結沙たちに命令したり、何か話しかけてきた(内容は思い出せないが)時の愛良は、もっとSっぽい、小悪魔的な迫力を持っていた。そのギャップに、結沙は警戒を覚えずにはいられなかった。

 

 

 その日の放課後、スパイラル・サークルでの遊びは、今里愛良がリードした。彼女が部員たちに説明するニュージーランドの様子を、暗示で幻覚を見て、自分たちが現地にいるのだと信じこまされた結沙たち4人が、懸命に再現する。結沙や咲良、野乃に梨々香は、自分たちが羊になったと思いこんで、想像上の牧羊犬に追い立てられて部室を駆け巡ったり、絶滅する前の巨大な鳥類になり切って特徴的な歩き方を見せたり奇声を上げたりした。マオリという先住民族伝統の『ハカ』という戦いの前の威嚇のような儀式も、上半身裸になって披露させられたりした。

 

 個々人でバラバラに遊ぶ時間になると、遅れて参加した弘太に、やっと結沙は呼ばれる。何度も脱ぎ捨てられた、可哀想なおニューの下着を健気にもう一度身に着けて、結沙は愛しい恋人の腕の中に飛び込んだ。

 

 

 部室の隣部屋で、弘太と結沙は抱き合ってお互いの体にキスの絨毯爆撃をお見舞いする。結沙にとって、間違いなく天国にいられる時間だ。今の吉沢結沙が、美術の授業で「幸福というテーマで絵を描きなさい」という課題を与えられたら、彼女は顰蹙を買うことを覚悟で、今、こうして裸で絡み合ってお互いの体を唇で愛撫し合っている、自分と弘太の画を描いて提出してしまうかもしれない。さっきあった、怖い出来事も忘れようとしているかのように、結沙は夢中で弘太にしがみついて、チュウチュウと赤ん坊のような口つきで吸いついていた。

 

「今日の下着も最高に似合ってたよ。………結沙ちゃんって本当に可愛いよね」

 

 弘太の甘い言葉が、結沙の耳をくすぐる。けれど、途中であるワードが、結沙の頭の中の何かにヒットする。ビクッと両肩をすくめると、とっさに体を起こして、背筋を伸ばした。

 

「一番可愛いのは、今里愛良様ですっ! 愛良様の可愛さに比べたら、私はブスですっ。ドブスですっ」

 

 結沙はまるで兵隊さんのような口調でそれだけ叫ぶと、両手のひらで、膨らませた頬っぺたを包み込むように挟んで、目を見開き、精一杯の『変顔』を作ってみせた。

 

「は? …………アハハッ、いや、………結沙ちゃんの変顔も、可愛いってば」

 

「一番可愛いのは、今里愛良様ですっ! 愛良様の可愛さに比べたら、私はドブスですっ」

 

 大好きな弘太の前で、自分のことをブスと宣言したり、変顔を見せたりするのは、恥かしいし、ミジメだし、すぐにやめたい。それなのに、どうしても、そうしなければいけないという義務感にかきたてられて、結沙はまた違った変顔を作ってみせる。自分の指で自分の鼻を押し上げて、「ブタ鼻」を作ってみせる。真っ赤な顔で、恥じらいを隠せない中でも作ってしまう変顔は、きっと見ている方にとってはより、滑稽なものに映っているだろう。結沙は両手で顔を隠して、逃げ出したい思いに駆られていた。けれど、体は言うことを聞いてくれない。この感覚はもう、充分すぎるほど体が覚えている。暗示だ。後催眠暗示とかいうものに、体が反応してしまっているのだ。

 

「わ………わかったわかった………。どうどう………。落ち着いてよ、結沙ちゃん。…………でもやっぱり、愛良よりも可愛いけどね」

 

「いっ………一番可愛いのは、今里愛良様ですっ!」

 

 結沙はいい加減、自分の彼氏の勘の鈍さに腹が立って来た。そしてしばらくして、隣の部屋からも、同じセリフの叫び声が違う声で聞こえてきたところで、やっと弘太も事情に気がついたようだった。

 

「結沙ちゃん、何か刷り込まれてる? …………解いてあげるから、眠って」

 

 心配そうな声でそれだけ言って、結沙のオデコを人差し指でチョンと触る弘太。結沙はそれだけのことで、全身を脱力させて弘太の腕の中に倒れこむ。ここでやっと、「ブス宣言」と「変顔地獄」のコンボから、救われることが出来たのだった。

 

 

「結沙ちゃん…………。起きれる?」

 

 優しくて愛おしい、彼氏の大好きな声。その声で起こしてもらうことは、嬉しいことのようでもあり、彼の腕の中での満たされた眠りから覚まされることは、残念なことにも感じられる。いつも結沙が弘太に催眠状態から覚まされる時に味わう、ジレンマだ。

 

「…………あれ? ………いま………私……」

 

「一瞬だけ、催眠状態に落としたよ。………愛良から後催眠暗示を刷り込まれてたみたいだったから、解いたんだ」

 

「………ありがとう………。良かった~」

 

 結沙は安堵の溜息をつく。永遠に変顔地獄から抜け出せなかったら、弘太もさすがに呆れて、結沙のことを好きじゃなくなってしまうのではないか、そんな心配からも、解放されることが出来たのだ。

 

「試してみる?」

 

 弘太が悪戯っぽい笑みを口元に浮かべながら、聞いてくる。結沙は少しだけ迷ったあとで、頭を縦に振った。

 

「結沙ちゃんって、とってもとっても……………可愛いね」

 

 結沙が心配そうに、自分自身の様子を観察する。何も起こらない。両肩から力を抜いて、結沙はもう一度大きな溜息をついたのだった。

 

「最高に可愛いよ」

 

 弘太の声。それを聞いた結沙がとっさに立ち上がる。両手の人差し指をツンと伸ばして、左右のホッペにくっつけた。満面の笑顔で小首をかしげる。

 

「ありがとうございましゅ~。そうでしゅ。結沙は、とってもとってもカワユイので、ございましゅ~。キャハッ」

 

 アニメの幼児キャラクターのような、高くて甘ったるい声が部屋に反響する。セリフを言いおえた後もポーズをとっていた結沙は、我に返ると、また顔を赤くして、コブシをプルプルと震わせた。

 

「あのー…………。別の何か、キモイやつが刷り込まれてるみたいなんですけど………。やめてもらって良いですか? 先生………」

 

 弘太は両手を叩いて笑ったり、裸のままマットの上に寝転がって、可愛い、可愛いと言いながら悶絶していた。

 

「わ………私で、これ以上、遊ばないで欲しいんですけど………」

 

「は~。可愛かった………。ゴメンゴメン。ちょっと張り合いたくなったんだ。だって、愛良なんかよりも何倍も、結沙ちゃんで上手に遊んで見せたかったから………。でも、結沙ちゃんにしてみたら、気分良いわけないよね。………みんなに寄ってたかって、玩具にされちゃったら………」

 

 謝りながらもまだクスクス笑っている弘太。その笑顔が可愛すぎて、結沙はムクレながらも彼の上に覆いかぶさって、抱きついてしまう。裸の全身で弘太の肌と触れ合う。

 

「弘太に遊ばれるのは…………いいんだけど………。今日はもう、一方的に操られる感じは、ちょっと嫌なの………。他のことしようよ。…………………その…………もう一回…………、する?」

 

 結沙が頬っぺたを弘太の胸板にペタッと押しつけると、弘太はヨシヨシと彼女の頭を撫でた。まるでご主人様にじゃれる子猫のように、もっと可愛がられたくなる。

 

「…………他にも、愛良に何か、暗示を植えつけられてないか、調べてみようか?」

 

 弘太に聞かれて、口をすぼめながらちょっとの間、考えた結沙は、口を開かずに、顔を左右に振った。

 

「それより………。もう1回、…………したい………な。弘太にいっぱい気持ち良くなってもらうために、私、今日も学校、頑張ってきたんだから………」

 

 恥ずかしさに目を合わせられなかったけれど、そこまで言い切った。その後で思い切って顔を上げる結沙。その彼女の唇に、恋人のリズムで、弘太が唇を重ねてきた。結沙の頭の中で、甘い快感が弾ける。2人はマットの上で、2回戦に突入した。

 

 

 恋人同士のラブラブなエッチが終わって、結沙が身繕いをした後で服を着始めると、弘太の悪戯が再開される。下着姿の時に1回、そして制服をきちんと着直したところで、もう1回。携帯のカメラを構える弘太が、結沙ちゃんは「最高に可愛い」と、新しいキーワードを口にする。そのたびに、結沙は鼻にかかったようなアニメ声で、さっきと同じセリフとポーズをさせられる。その一連の流れが、弘太の動画ファイルに収められていった。

 

 本当だったら、そんなことをしている間にも、愛良が他にも結沙の頭の中に、後催眠暗示の時限爆弾を仕掛けていないかどうか、念入りに弘太に調べてもらうべきだった。けれど、結沙は本能的に、それを避けてしまった。愛良にいくつもいくつも暗示を仕掛けられていたとして、それを弘太に一々探り当てられるのが、なんとなく怖かったからだ。沢山マーキングされた場所が、愛良の縄張りに見えてしまうように、彼女の痕跡が、弘太の結沙に対する熱を冷めさせてしまわないか………。そちらの方が、今の結沙にとっては、怖いことだった。

 

 

 そしてその時の判断を、結沙が後悔したのは、3日後のことだった。

 

 駅前のショッピングモールで新しく開いたカフェの話は、女子高生の間には、アッという間に広がる。スイーツが美味しいということで、結沙たち4人は珍しく、放課後に崇泉院学園へ直行するのではなく、カフェに出来た行列を並んでまでして、入店した。お喋りに興じる間に、紅茶や飲み物と、行列の先頭付近でオーダーした、スイーツがテーブルに並ぶ。

 

「結沙ちゃん、レモンティーとスコーン頼んだんだ。…………大人だ………」

 

 野乃が、クリっとした目を見開いて、自分と結沙のオーダーしたものを見比べる。野乃はストロベリーパフェと、ハニートーストを頼んでいる。スイーツがダブルだ。

 

「あんまり甘いモノ食べると、夕飯が食べられなくなるから…………。野乃は、ほら、彼氏が5人もいるんだし、しっかり体力つけていいと思うよ」

 

「スコーンって…………。味、無くない?」

 

「……………これはこれで、好きな人は充分だと思うけど。ちなみにここのお店のスコーンは、オレンジがカットされて入ってまーす。美味しいでーす」

 

 両手でスコーンを割った結沙が、野乃に中身を見せる。一緒にテーブルを囲む、梨々香と咲良も興味津々といった様子で顔を近づける。結沙は鼻歌交じりに、みんなにスコーンを見せる。こうやってカフェでじゃれ合っていると、4人は最高にイケてる女子高生グループに見える。誰も彼女たちが、この後で男子だらけのサークルに、弄ばれるためにバスで移動する予定だなんて、想像すらできないだろう。

 

「美味しそうじゃん、一口、頂戴よ」

 

「梨々香は、パンケーキあるじゃん」

 

「野乃のパフェからソフトクリームをすくって、載せて食べたら、美味しいと思うよ。もう2皿、スコーン頼んで見よっか。………結沙のオゴリで」

 

「ちょっと咲良っ………」

 

「わー、ヤッター。結沙ちゃん、ご馳走様!」

 

 野乃が無邪気に両手を叩いて喜ぶ。結沙はさすがに、軽く怒ろうかと迷った。結沙よりも野乃の家の方がずっと裕福なことを、皆知っているではないか。吉沢家はそこそこの中産階級の家。城崎家は桁が違う資産家の家だ。

 

「ちょっと、アンタたち、いい加減に…………」

 

 結沙が言いかけたところで、野乃が可愛い顔を輝かせて、オネダリする。きっと男子ならこのスマイルで9割方、撃沈出来るだろう。

 

「いいじゃん、結沙ちゃんは、格好いい彼氏とラブラブなんだし。ちょっとくらい幸せのお裾分けしても。恰好いい弘太君と、今日もイチャイチャするんでしょ? ………ねぇー?」

 

「…………うっ…………………」

 

 結沙が完全に絶句して、耳まで赤くなってしまう。それを見て、咲良と梨々香も目配せしながら、お互いの顔を傾けて、「ねーっ」と声を揃える。…………完全にペースを握られてしまった。なぜか椅子の上で縮こまる吉沢結沙。

 

「…………別に……………オゴらない………とは…………、言ってない………けど………」

 

 迷いながら、目を泳がせながら、結沙が屈服した。彼女の親友たちは、弘太を「格好いい」と本気で思っていないことくらい、賢い結沙にはわかる。小湊弘太は誰がどう見ても、十人並みの容姿だ。それでも、お世辞であっても、最愛の彼氏である弘太のことを褒められてしまうと、結沙は嬉しさと気恥ずかしさとで、冷静なお断りを入れることが凄く難しくなってしまう。そのことを親友たちに見透かされて、からかわれていることが分かるのに、結沙は新しいスコーンがテーブルに運ばれてくるまでの間も、湯気が出るほど熱くなった額に垂れる汗をハンカチで拭きながら、釈明する。「いや、確かに笑顔は可愛いと思うけど、別にそんな、格好良いっていうようなタイプじゃなくて。顔とかは私の好みって言うだけだし、声とか性格も、ただ私のストライクゾーンのド真ん中っていうだけなの。別に万人受けするタイプじゃなくて…………あ、でも、近くにいると、すっごいいい匂いで………もう、どうにでもして、って感じになるっていうか………。いや、自慢したいんじゃないよ…………。私に合うっていうだけ………。あれ? 私、何言ってんだろ。………変だね………あはは………」とひたすら、言い訳なのかノロケなのか、自分でも良くわからない言葉をボソボソと独り言のように唱え続ける。友人たちはすでに別の話題に興じていた。

 

 チェック柄のテーブルクロスの上に、パフェとハニートースト、パンケーキとベーグル。そしてスコーンが3皿、並べられる。

 

(ちょっとこんなに沢山、オーダーしてると、周りの人に変な目で見られるんじゃない? こんなにお客さん沢山いるんだから………。)

 

 そう口にしようと思って、結沙がハンカチを握る。顔を上げて口を開いたその時、自分が思ったような言葉が、口から出なかったことに気がついた。

 

「グァッ…………。…………グァ? ………グァアアッ」

 

 お喋りが盛り上がっていた梨々香、野乃、咲良がキョトンとした顔で。結沙を見る。結沙は今までとは、別の種類の赤面をしていた。

 

「グァア?」

 

 どうしたの? と言うような表情と口調で、咲良が口からアヒルの鳴き声のような音を出した。結沙と同じ声だ。

 

「ガー、ガー…………。ガー、ガー、グァ」

 

「グァグア、グァグアッ」

 

 梨々香と野乃も、2人のアヒルの鳴き真似に、何か声をかけようとして、自分たちの声の異常に気がついた。4人の女子高生は、半ばパニックになりながら、両手をバタバタと羽のように体の横で上下させながら、お互いに困った顔で、グァグァとアヒルの声を掛け合う。店内は静まり返って、皆が結沙たちのテーブルに注目していた。

 

「グァグァグア、グァグァ、ガ~」

 

 野乃がベソをかくような表情で訴えかける。「どうしよう、結沙ちゃん」と言おうとしていることは、付き合いの長い結沙にはわかった。けれど結沙も何か声をかけようとしても、両手を羽ばたかせながら、グァグァと、アヒルの真似しかすることが出来ない。

 

「ガー、ガー、ガ、グァグァグア、グァグァアア」

 

 咲良の言葉も、結沙には想像出来た。きっと「とりあえず、外に出よう」と言いたいのだ。結沙が目線を返して、頷きかけると、咲良が振り返って、レジへ進んでいく。中腰になって、アヒルのようにペタペタ、ヨチヨチと歩く。結沙も後を追う。両手を羽ばたかせながら、お尻を左右にプリプリと振ってしか、歩くことが出来ない。4人はアヒルの親子か何かの行列のようにして、レジまで進んだ。

 

「………あの、お会計…………ですか?」

 

 店員さんは、明らかに困惑している。強張った笑顔で、レジを操作する。きっと、悪ふざけする高校生たちに、早くお店を出てもらいたくて、言葉が通じなくても、お会計の計算をしてくれているのだろう。結沙がちょっと後ろを振り返ると、店内のお客さん全員と、窓の向こう側の行列待ちの人たち全員が、結沙たちを見ている。結沙は「ひー」と内心叫んで、その視線から逃げるように、慌ててレジの方を向いた。

 

「グァ……………グワワッ…………」

 

 咲良が、鞄から携帯を取り出そうと、顔と口とで苦戦している。きっと、財布から現金を出してお会計するよりも、携帯で支払いを済ませる方が早いと判断したのだろう。結沙も、一刻も早くお店から出たくて、口で咲良の鞄の端を咥えることで、その作業を手伝う。野乃と梨々香も両手を羽ばたかせながら口で咲良の携帯を取り出し、カバーを開けて、支払い操作をするのを手伝った。

 

「ワオンッ」

 

 よりによって犬の鳴き声で、支払いが済んだことを確認した咲良は、両手をパタパタさせて、口からグワグワとアヒルの鳴き声を垂れ流しながら、ペタペタヨチヨチとお店を出ていく。その背中を追って、結沙がお尻をフリフリ、ついていく。その後ろを梨々香が、野乃が。縦一列に並んでアヒルの行進をおこなう女子高生ご一行は、行列待ちをしているお客さんたちにも、モールの通行客たちにも、皆に見られる。4人は赤面しながら、逃げるように行進して、お手洗いを目指して人ごみのなかを突き抜けていった。

 

 

「…………あー………。あー、あー。………あ………、喋れる…………。やっと解けたみたい………」

 

 咲良が洗面所のシンクの前、鏡に映った自分を見つめながら、後催眠暗示が解けたことを確認する。次に梨々香が、そして野乃が、中腰の姿勢から解放されて、人間の言葉を話し始める。バタバタと上下に振っていた両手が自由になったことを確かめる。お互いに、災難を慰め、一難去ったことに安堵する。

 

「グァァ………………………」

 

 悲しそうな顔で、まだアヒルの真似をしているのは、結沙。やはり彼女が一番、被暗示性が高いようだ。結沙が人間に戻ることが出来たのは、親友たちが解放されたのを羨ましそうに見上げてから、10分もたった後のことだった。

 

 

 

「これさ、絶対、この前の今里愛良って子がかけた暗示だと思うけど、誰か覚えてない?」

 

 咲良の言葉に、残りの3人は自信なさそうに視線を交わす。

 

「わかんないけど、多分、あの子だと、私も思うグァ………」

 

 真面目な顔で咲良に回答しようとした結沙は、まだ語尾にアヒルの鳴き声が混ざってしまっていることに気がついて、両手で自分の口を押さえた。きっと4人一緒に暗示にかけられたのだろうに、自分ばかりが、いつまでも子供のイタズラの影響から逃れられていないのが、恥かしいやら、情けないやら。その後は無口になってしまった。

 

「実害っていうほど困ったことじゃないけど、部室とかサークル棟の外の、それも、こんなに人が沢山いるところで恥かかされたのは、ちょっと腹立つよね」

 

 梨々香が洗面所の鏡に映る、自分を見ながら髪を弄りつつボヤく。

 

「実害ってほどじゃないって…………。梨々香ちゃん。これ実害じゃないの~? 私、超、恥かしかったよっ。もうあのお店に行けないくらい………。ねぇ? 結沙ちゃん」

 

 野乃に振られて、結沙は無言で頷く。まだ両手で自分の口を押さえていた。とっさにまた、アヒルの声が漏れてしまうのが心配で、言葉を発することが出来なかった。

 

「野乃や結沙は、心配し過ぎじゃん? ………今時、罰ゲームとか、ショート動画の企画とか、あの程度のお騒がせは、やってる子たち、他にもいると思うよ。あんまり、気にしなきゃ、良いよ。別に営業妨害ってほどでもなかったし…………」

 

 野乃が目を丸くして、梨々香の言葉の受け止め方を、結沙や咲良に無言で尋ねてくる。結沙が口を開かずにいると、咲良が諸々察して、回答を出した。

 

「…………梨々香の世界観に全面的に同意する訳じゃないけど、今は私たち、そう思うしかないかもね。…………それより、他にも変な暗示とか、仕掛けられてたら嫌だから、早く、崇泉院学園に行こっか? …………愛良単独でのイタズラだったなら、他の部員に頼めば、解いてもらえるんじゃない?」

 

「あぁぁん…………。スコーンも、パフェも、ハニートーストも、ちょっとしか食べられなかった………。結沙ちゃん。ほとぼりが冷めたら、また奢ってね。お願いっ」

 

 野乃が能天気なオネダリをしてくるので、結沙は肘でコツンと彼女のコメカミを押した。ビシッと一言、言ってやりたかったが、今は口を開くのが怖いので、そこまでにした。

 

 

。。。

 

 

 4人の女子高生は駅前のショッピングモールから逃げるようにして抜け出した後、バスに乗り、崇泉院学園を目指した。途中、バスの外の景色やバスの中の広告やランプなどからも目を逸らして、基本的には下を向いて過ごす。車内のアナウンスも耳を塞いでブロックした。他にも愛良に何かの後催眠暗示のトリガーを刷り込まれたりしていて、そのトリガーを不用意にキャッチしてしまうことが怖かったからだ。今思うと、呑気に生活していたこの3日間に違和感を感じてしまうほどだった。

 

 恐る恐る部室まで辿り着くと、部室には愛良が、他の部員たちと一緒にいた。3日前に会って以来、2度目の対面だ。弘太や君彦が、結沙たちの表情を見て、全部わかっているという顔をして、手で合図した。

 

「結沙ちゃん、皆。ゴメン。僕らの気が抜けてた。………本当は、サポーターの人たちに、長期の後催眠暗示を入れる場合や、ステディな関係の部員がいるサポーターに継続する暗示を入れる場合、それから校外で発動するかもしれない暗示を入れたりする場合は、トラブル予防と対策のために、ここのホワイトボードに申し送り事項として、記入しておくのが、ルールなんだ。…………愛良はそれを破ってイタズラしてたから、皆で注意してたところなの」

 

 そんなホワイトボードがあったことに、結沙は今まで気がつかなかった。確かに言われてみると、扉から一番近い壁に、白い掲示板が掛けられている。今までそのことが全く気にならなかったのも、何かの暗示のせいなのだろうと、結沙は自分で解釈した。

 

 高校生の男子たちに囲まれた愛良は、3日前に結沙たちの前で見せた態度とは全然違う、シュンとした表情で、小柄な体をさらに縮こまるようにして立っていた。

 

「ゴメンなさい…………。だって…………………。私の知らないうちに、新しい子たちとか来てて、ちょっと、変な気分だったんだもん………」

 

 中等部の生徒だという愛良は、小学生と言われても、うっかり信じてしまうような、幼げな表情を見せていた。

 

「愛良はニュージーランドで2ヶ月、英語もあんまり喋れないせいで、ストレス溜まってたんでしょ? …………大体、外国行きたいからって、中等部の先生たちを操って、無理矢理ショートステイ選抜に割り込んだりするから、そんなことになるんだよ」

 

 タモツが、なだめるように、お説教するように、喋る。いつもの彼とは違うトーンで話す彼の、少し意外な顔を見た、と結沙は思った。

 

「あっちじゃ、誰も日本語通じないから、催眠術で操ることも出来ないし、そもそも人より羊ばっかりで、こっちが眠くなるくらいだったの…………。誰も操れなくて、イライラしっぱなしだったんだもん…………。うわーーーーーーんっ」

 

 愛良が、決壊するように大泣きを始める。こうなってしまうと、年上の男子たちは、みんな、それ以上、愛良を叱責することは出来なくなるようだ。タモツなどは、愛良の頭をナデナデして、なだめている。

 

 このあたりは、元・中学生女子である結沙たちにはお見通しだ。愛良は別に、『嘘泣き』をしている訳ではないが、ここで大泣きすることで、男子からの追求が弱まることくらいは、ある程度、冷静に計算して泣いている。けれど、それを声高に指摘するような立場でも無いし、気力もなかった。

 

「…………とにかく…………、あなたが私たちにかけた、変な暗示、全部、解いてよ………。このままじゃ、安心して外にも出られないんだから………」

 

 脱力した結沙が、やっとそれだけを言う。

 

「そうだよね。結沙ちゃんの言う通り、部室の外でも不安だらけって言う状況は、メンタルヘルスに良くない。僕たち、意識学研究会の設立テーマから、あまりにく大きく外れちゃう行動にはペナルティが発生するんだ。だから、愛良。結沙ちゃんたち、サポーターさんにイタズラしたり、玩具にして遊ぶ時は、ちゃんとルールを守ってすることっ」

 

 弘太は、タモツと比べると、まだ強い態度で、号泣する中学生女子に注意を与えていた。それを聞きながら、結沙もウンウンと頷く。

 

(そうそう。私たちを玩具にする時はちゃんとルールを守って…………、って、オイッ。そもそも玩具にすんなっ!)

 

 結沙がムッとして弘太に強めの視線を送ると、彼は少しだけ肩をすくめて、言い訳のように言葉を繋いだ。

 

「………だから、今日は愛良には、ペナルティとして、一部のレクリエーションには、サポーターさんたちと一緒に、操られる側として参加してもらいます」

 

 一応、古い部らしく、このスパイラル・サークルにも、先輩から受け継がれたルールが色々とあるらしい。弘太の宣言に対して、部員たちの誰も異を唱えないのは、そのルールらしきものが、きちんと皆に受入れられているからだろう。伝統ある(ほぼ)男子校において、異常な能力を持った研究会が存続していくためには、それなりのルールで、部外とのきわどいバランスを取り続けてきた結果のようだった。見ると、さっきまでワンワンと大泣きしていた今里愛良も、ピタッと泣き止んで、今度はムクレた表情で弘太を見返している。

 

「…………それで、今日のレクは、なぁに?」

 

「えっと………、モノマネ大会は明日だから………。今日は『魅惑のレズビアン・ダンス&トークショー』です」

 

「お…………おーー。イエーーーィ」

 

 一応、念のため、といったトーンで、君彦やタモツ、他の男子部員たちが、おずおずと歓声を上げて、拍手をして見せる。その拍手の音に紛れるように、小さく「チッ」と舌打ちした愛良が、観念したかのように溜息をついて、両手の甲を腰に当てた。

 

「アタシのキーワード、ちゃんとまだ、覚えてる?」

 

 そう言った愛良の近くに、笑顔の弘太が歩み寄ると、耳元で何かを囁いた。愛良の表情が突然、夢を見ているかのようにボヤける。

 

「もちろん、覚えてるよ。愛良は僕らの大事な部員じゃん。…………一応、要注意メンバーでもあるし…………」

 

 それだけ、結沙たちにも聞こえるように言うと、弘太は思わせぶりにウインクを投げかけてきた。

 

 

。。

 

 

「えーっ。こんな衣装着るの? …………ちょっと私のキャラじゃないんですけど!」

 

「これ、………前に誰が来て、いつ洗ったの?」

 

『プロの踊り子である』結沙たちは、並べられた「ショースーツ」を見て、思わず文句を口に出してしまう。

 

「………一応、演劇部には、ちゃんと女の子サイズで、新しくて立派なものを、って注文してるから、これがうちの学校の中で入手出来るものの中では、一番イイモノなんだよ………。ちゃんと、洗濯もされてるはずだよ」

 

 スパイラル・サークルの男子部員たちが言い訳がましく説明するが、女子である結沙たちには、演劇用の衣装の材質に触れただけで、それが洗濯に適した素材かどうかくらい、すぐにわかる。サポーターでありながらショーのパフォーマーでもある彼女たちは、今日は珍しく弘太たちのお薦めに不満を漏らした。

 

「………この、衣装だと………、ちょっと満足のいくショーが披露出来ないかもしれないです…………。せっかく私たち、お客様に喜んでもらえる、『魅惑のレズビアン・ダンス&トーク』をご提供するために、日々練習してきているのに………」

 

 いつもは素直で従順な野乃までも、勇気を出して運営側に懸念を伝える努力をしている。そう、結沙たちレズビアンダンサーは、単なる文句をぶつけたい訳ではない。最高のショーでお客様たちにご満足頂くためには、プロとして妥協をしたくないのだ。

 

「わ………わかりました…………。でも、スパイラルの旅行者さんたち………、このコスチューム、よく見てください………。第一印象は良くないかもしれないけれど、実は、見れば見るほど、触れば触るほど、素敵な衣装に思えてきませんか? …………今すぐにでも、このショースーツに着替えて、ショーを始めたい。………そう思うでしょ?」

 

「………はぇ…………。………はい………。本当だ…………」

 

「これ、私のっ」

 

「ズルい、私も、それ、狙ってたのに…………。ま………、こっちもこっちで、素敵かも………」

 

「ここで着替えちゃいまーっす」

 

 ウットリとした表情で、黒いスパンコールのハイレグ水着のような衣装に頬ずりをする結沙。深紅のビキニとパレオのようなセパレートドレスを奪い合う咲良と野乃。梨々香は紫のアラビア風衣装を手に取りながら、早くも制服のシャツを空中に放り投げ、ボリュームあるバストが揺れるところを見せつけていた。そんな高校生女子たちの様子をキョロキョロと見まわしながら、愛良が黒いスパンコールの、ハイレグ水着のようなコスチューム、結沙が着ようとしているもののサイズ違いに手を伸ばす。

 

 制服を脱いでいくと、結沙の視界の端に、同じように脱いでいく愛良の、ピンクの下着姿が目に入った。偶然かもしれないが、そのデザインが、三日前に結沙が来ていた、新しい下着のセットとよく似たものだったことが、少しだけ気になった。けれど、今の結沙はプロのショーガール。着替えの途中に、他ごとに集中している余裕はなかった。

 

 下着がはみ出ししてしまうような布地の面積なので、結沙は身につけているブラもショーツも脱ぎ捨てて、ショースーツを肌に直接つける。胸元は谷間が強調される寸法だし、かなりのハイレッグ仕様のせいで、お股とお尻への食い込みがキツい。それでも、あまりにも見た目が素敵な衣装なので、文句をつけることは出来なかった。ずいぶんと派手で大胆で、少し下品なくらいにセクシーな衣装。けれど結沙のお仕事は、この衣装に負けない、むしろこの衣装のインパクトを大きく超えた、派手で大胆で、下品なくらいセクシーなパフォーマンスでお客様を魅惑することなのだ。

 

「…………まだ着替えの途中かもしれないけど、とりあえずミュージックスタート」

 

 タモツがリモコンを操作すると、部室のオーディオコンポから、重低音の効いた電子音でクラブミュージックが流れ始める。小さめの胸部分の布地に、自分のオッパイをきちんと押し込めようと、人目を気にしながら調整していた結沙も、慌ててお客様たちの方を振り返って、笑顔で手を振りながら、ステップを踏み始める。ダンスタイムだ。結沙は両手をヒラヒラと頭の上で揺らしながら腰を振り、胸を弾ませる。辛うじてオッパイを収めきっていた小さな布地が、アッサリとずり落ちて、結沙の左右のオッパイが丸出しになってしまう。少し顔を赤らめながらも、プロ根性で踊り続ける。ダンサーの体は隠すためのものではない、元気一杯弾ける様を、皆に見てもらうためのものだ。そう自分に言い聞かせながら、結沙は両隣のダンサーと肩を組みつつ両足を蹴り上げる。即興のラインダンス。一蹴りするごとに、細いハイレッグの下半身部分の両横から、アンダーヘアーがはみ出していく。それを見て、指を指したり歓声を上げたりして囃し立てるお客様たちを、さらに盛り上げるために、結沙は恥ずかしさを押し殺して両足を大きく開くと、今度は両手を頭の上に組んで、股間をグイングインと前後左右、そして円の動きで見せつけた。もう、ショースーツの股間部分は紐のように細く食いこんで、ただ結沙のアンダーヘアーと割れ目部分を強調するだけのような存在になっている。動画を撮影しているらしきスマホが突き出される中で、結沙は赤い顔に営業スマイルを貼り付けて、精一杯のアピールを続けていた。

 

 音楽のテンポが変わると、結沙はダンサーたちと場所を交換して、ボックスステップを踏み始める。あえて、愛良の隣に来ている。衣装が対になっている2人のダンサーだから、ペアになって踊った方が、見映えが良いと思ったからだ。

 

「結沙ちゃん、愛良のことってどう思う?」

 

 お客様から声をかけられる。BGMがミディアムテンポになっている間は、トークの時間だ。といっても、特別なトーク技術なんて持ち合わせていない結沙たちに出来ることは、心のうちを何でも正直にお客様に伝えること、そして楽し気にお話しすることくらいだ。

 

「愛良ちゃんは…………可愛いですよねっ。……………ちょっと、………怖いけど………」

 

「………えーぇっ………。ショック………。私、…………結沙ちゃん好きなのに…………。出来れば、アタシ専用の、玩具にしたいくらいなのに………」

 

「私は…………、弘太の……………玩具ですっ……………。あと…………彼女でもあって…………。だから……………愛良ちゃんは……………、ゴメンなさいですっ……………」

 

 同じデザインのコスチュームを身にまとった(結沙の場合は辛うじて身にぶら下げている)2人のダンサーは、満面の笑顔のまま、心の内を正直に曝け出す。本音をぶつけ合っても、喧嘩にならないのは、彼女たちがプロフェッショナルな演者であり、なおかつダンサー仲間としての愛情で繋がった、レズビアン同士だからでもある。

 

「結沙ちゃんは…………レズビアン・ダンス&トークショーに出てるのに………、弘太の彼女って……………、変だと思いますっ………………。早く、私の玩具になった方が、良いです」

 

 ボックスステップを踏んで、結沙と交互に前に出たり後ろに下がったりを繰り返しながら、笑顔の愛良が言うと、結沙も言葉に詰まった。……………しばらく俯いて考えた後で、顔を上げて、笑顔のままの口を動かす。

 

「私は…………バイセクシュアルなんです…………。だから、……………レズでも…………、同時に、弘太が大好きで…………、問題無いです………………。うんっ…………。そうですっ………………。皆さん、私は、バイセクシュアルですっ!」

 

 咲良や野乃、梨々香のダンスを間近で凝視していた男子部員たちも、結沙の突然の宣言に反応して、顔を向ける。一応笑顔で応じる。

 

(…………確か、バイセクシュアルはレズビアンを内包する概念だったと思うけど、でも、ここのレズビアンショーのお客様は、もしかしたらもっと狭いカテゴリーで、女性だけが好きな女性を見に来たのかもしれないから、ちゃんと了解を取らないと………。)

 

 結沙は愛良と交互に前に出る、ボックスステップを続けながら、内心では生真面目に考える。弘太を見ると、笑いながら見守るような表情をしていた。

 

(…………バイセクシュアルっていうことだけじゃなくて、もっと全部私のことを説明しておかないと、不誠実になっちゃうかな? …………もう、どうせだから…………。)

 

 結沙は一度生唾を飲みこんで、愛良の動きと息を合わせながら、自分が前に出るタイミングで大きな声を出す。

 

「あのっ…………皆さんっ………。私は、バイセクシュアルなだけじゃなくて、その、普段は性欲なんて弱いですっていう顔をして学校に通っていますが、暇な時は大体いつも、弘太のこととか、弘太とのエッチなこととか、考えていますっ。夜は大体、毎晩、1人でエッチなことをして、自分を慰めていますっ」

 

 顔から火が出そうになるという感覚を実感しながら、プロのパフォーマーとしての誠実さをとことん追求して、トークを行う結沙。ギャラリー席の男子部員たちは、「また結沙ちゃんの、予想を超える暗示のハマりっぷりが始まった」といったことを呟きあいながら、笑っている。

 

「結沙ちゃーん。真面目そうな顔して、超エッチじゃん。嬉しいっ。………もっとイジメたいっ」

 

 愛良が、我慢できなくなった様子で、結沙のショースーツを引き下ろす。もともとオッパイが放り出されていた状態から、ほぼ全裸という状態に剥かれた結沙は、笑顔を強張らせて小声でたしなめる。

 

「こっ…………コラッ。…………調子に乗らないでよ。…………ショーの邪魔になるでしょ…………。あと、絶対イジメないで欲しいし………」

 

 両膝までおろされた黒いスパンコールのハイレッグスーツを、慌てて胸元まで引き上げる結沙。股間の割れ目に布地がキツくくいこんだ瞬間に、「あんっ」と弱々しい声を漏らしてしまう。しつこくズリおろそうとする愛良。抵抗して引っ張り上げる結沙。一連の動きを、何とかダンスに取り込みつつ、ワチャワチャと揉めている結沙と愛良。結沙としてはもっと厳しい態度で抵抗したいところなのだが、あまりキツく当たれないでいる。今、結沙が笑顔を保って陽気なダンスを続けているということも理由だが、それ以上に、バイセクシュアル・ダンサーとして生きている吉沢結沙は今、同じダンサー仲間であり、コケティッシュな魅力を持った華奢な美少女でもある今里愛良のことを、愛し始めてしまっているようだ。脱がされたり、ハイレッグスーツを引っ張り上げたりを繰り返している間にも、股間がビショビショに濡れつつあることが、愛良にも、男子部員たちにも、そして弘太にまでも明らかになってしまっている。だんだんと愛良の目に、サディスティックな光が灯っていく。

 

「結沙ちゃん、私のこと、好きでしょっ」

 

「す…………好き……………。やだ…………本当は、そうじゃないのに………………、ちょっと怖い子だと思うのに……………。好きは………………好きかも…………」

 

 本音を披露するトークショーと、さっきタモツに言われたせいで、結沙は自分の心のデリケートな部分を隠さずに曝け出してしまう。

 

「じゃぁ、この後のレズビアンセックス・パートは、アタシとのペアで決まりだね。エへへへ」

 

「いやだ」と言いたくて仕方がないのに、愛良が素の表情のような笑顔を見せたことで、結沙の胸の奥がキュンッと鳴って、お腹の下の子宮あたりの場所がヒクヒクッと痙攣した。

 

 意地悪でSっぽくて、コケティッシュな小悪魔のようなスマイル。その笑顔が、意外や意外、結沙の自分でも気がつかない好みに刺さってしまったような感触。いつの間にかBGMの曲調は、ミディアムテンポから、ムード満点のスローテンポに変わっていた。プロのパフォーマーとして、今、彼女がしなければならないことは、ショーのプログラムを一々思い出さなくても、わかっていた。

 

「愛良ちゃん、貴方っ………。私にまた何か、暗示を刷り込んだでしょっ? …………こんなの、変だよ………」

 

「知らないなぁ……………。ところで最初、愛良が上にいっていいかな?」

 

 潤んだ目で、結沙がしばらく迷ったあと、しぶしぶ首を縦に振ると、従順に床に背中をつけて寝そべった。その上に愛良が、結沙の顔を跨ぐような向きで覆いかぶさる。レズビアンダンサーたちの、シックスナインショーが始まったのだ。自由気ままに、結沙のアソコを舌で弄ぶ愛良。結沙はというと、下側で愛良を支える体勢になっているせいか、自分から顔を愛良の股間に密着させて、舌を伸ばして丁寧に、丹念に愛良のアソコへご奉仕する。BGMのAメロが終わったと思われるタイミングで、2人はポジションを変える。結沙は上になっても体重を小柄な愛良の体にかけてしまわないように、床についた両手、両膝に力を入れて、自分の体を支える。愛良はそんな献身的な結沙のご奉仕を満喫しながら、結沙のクリトリスを強めに吸ったり、お尻の穴まで指でツンツンと、つついてきたりする。

 

「やっ。………そんなところ、触っちゃ駄目っ。…………きれいじゃないよっ………」

 

「そっかな? …………でも結沙ちゃんはこうされるのが好き…………。これが癖になる…………。……………お尻の穴で遊ぶのが、大好きな、変態っ子になる………」

 

「やだやだやだっ。これ以上、私を変にしないでっ」

 

「変にして欲しいんでしょ? …………結沙はお尻の穴をつつかれたり、自分でつついたりして遊ぶのが大好き。これが癖になる。やめられない。もっともっとヘンになりたい。ヘンな子、恥かしい子にされたい。…………そうでしょ? …………正直に言いなさい」

 

 頭がクラクラして、まともなことが考えられない。愛良の言葉は怖いくらい簡単に、結沙の心の中に染みこんでくる。とにかく愛良の声は、綺麗で可愛らしくて神経質そうに繊細で、耳にするだけで脳がジーンと痺れていくようなのだ。

 

「わ………たしは……………お尻の………穴を…………。愛良ちゃんに…………つついて…………欲しい……………です………」

 

「アタシに自分のことを、もっとどうして欲しいんだっけ?」

 

「もっと…………変で…………………恥ずかしい…………子に………………。はぁああんっ」

 

 

「あれ? これ、愛良へのペナルティに、なってなくね?」

 

 ふと、急に気がついたように呟いたのは、小湊弘太だった。

 

「おっ……………そういえば、そっか。…………エロくて盛り上がってたから、忘れてたわ………」

 

「あ、そうだったね………。でも、エロいし。このまま続ける?」

 

 ボソボソと、呟く声。結局、弘太がリモコンを手にして、ボタン操作をすると、一旦、ムード満点のスローテンポなクラブミュージックが停止した。

 

「ちょっと! …………今、良いところだったのに、何よっ」

 

 愛良がイラついた声を出す。この子は本当に色んな声の表情を持っている。

 

「……………やだっ。…………私……………。危ないっ」

 

 BGMが止まると、結沙は自分がレズビアンでも、バイセクシュアルでもないことを思い出す。こんな部室でダンス&トークショーを披露しなければならないような仕事についた覚えもない。そう思うと、全裸で絡み合っていた中学生女子の体からもすぐに離れる。恋心が薄れると、愛良の言葉が持っていたその蠱惑的な魔力も、少し薄まったように聞こえる。

 

「はい、どうせだから、このままフィナーレまでいっとこう」

 

 弘太がまたリモコンの別のボタンを押すと、ピッと音をたてたオーディオコンポが、こんどは一転してハイテンポな、フルオーケストラのような賑やかな曲が響き渡る。瞬時に直立して背筋をビンッと伸ばした結沙、愛良、咲良、野乃、梨々香の5人が、またお互いの両肩に腕を載せて、右足、左足、と交互に蹴り上げる。ラインダンスが戻ってきたのだ。全裸で足を高々と蹴る彼女たちのなかには、そのたびに股間から恥ずかしい液の飛沫を飛ばしている子もいる。何度かイってしまったのだろう。結沙は、彼氏である弘太の前で、愛良にイカされなかったことを安堵しながらも、その弘太に「いい加減にしてよっ」と視線を送る。

 

 弘太は手のひらを向けて、「わかったわかった」と合図する。あの様子だと、この後は、きっと2人っきりになって、埋め合わせも含めて、優しく抱いてくれるのだろう。その無責任な笑顔を、結沙はまた不覚にも、『可愛すぎる』と思っては、ドキドキ、キュンキュンしてしまうのだった。

 

 

<第3話につづく>

4件のコメント

  1. 元旦に更新
    素晴らしい
    ファンに対するお年玉の様なサービスです
    今年もよろしくお願いします
    昨年の精力的な創作活動に続いて、本年も充実した創作活動で、楽しく参り盛り上げて下さりありがとうございます

  2. happy new year!
    今年も面白い小説をお願いします

  3. 読ませていただきましたでよ~。
    早速愛良ちゃん登場からのペナルティきたーと思ったら何もペナルティになってないw
    みゃふとしてはもっとこう愛良ちゃんがクソムカつくようなメスガキムーブを見せて、それに切れた弘太君が同じような暗示をかけて愛良ちゃんガチ泣きな展開を期待しているところなのでぅが。
    まあ、先輩の妹ということもあって、そんなに強く出れない感じなんでぅかね?(その辺の考えもあって前回は先輩が直々に催眠と書いたわけでぅが)
    それはそうと、愛良ちゃんにも既に催眠が仕込まれていることにちょっと驚きでぅ。
    先輩の妹だからそこは例外枠だと思ってましたでよ。何もかかってない状態からだまくらかして薬を飲ませて催眠をかけていくんだと思ってましたでよ。

    まあ、愛良ちゃんにもかかっているということなので次回以降も催眠をかけることができるということでぅね。
    次回も楽しみにしていますでよ~。
    ・・・そういえば、愛良ちゃんのキーワードは「スパイラルの旅行者」じゃないんでぅね。そこはサポーターとメンバーの違いでぅかね。一緒だと愛良ちゃんも一緒に催眠状態に入っちゃうしね。

  4. >筆筆さん

    明けましておめでとうございます。
    幸い精力だけは無駄にございますので、今年もペースを守って投稿できればと思っております。
    気長にお待ち頂けましたら、張り合いが出来て、とても嬉しいです!

    >ㅇㅇ よりさん
    Happy New Year! 今年も皆さんにとって良い年でありますように。
    って、日本を見るといきなり大変なことが多い年明けですが、
    コツコツ頑張ってまいりましょう。

    >みゃふさん
    今里愛良が成敗されるっていう流れも考えたのですが、それにはその前に、
    「これは酷い」っていう暗示をいくつか実現させて・・・。それには結沙たちは・・・。
    って考えると、今回の尺に合わなさそうでしたので、「困ったやっちゃ」くらいの扱いになりました(笑)
    毎度、感想ありがとうございます!とても励みになります。

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