第十一話 「アメジストの章」 胸をくすぐられる、こそばゆい感覚でボッグは目を覚ました。 目の前で黒色の三角帽子が上下に揺れ動いている。 「ちゅ・・・。あ、ボッグ様おはよー!」 裸のボッグの胸元にかぶさるようにして寝
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由美子の賑やかで忙しい一日
*******お読みになられる方へ******* この作品を読む前に、E=mC^2のサイト内の小説を一通りお読みになられることをお勧めします。 そうしないと、何が面白いのかわからないと思われるので。 「―
もっと読むジュエルエンジェル 第十話
第十話 「パールの章2」 「あ~、めんどくせ~・・・・・・楽しいけど、死ぬほどめんどくせ~」 支離滅裂な言葉をこぼしながら、ドリーパはカタカタとパソコンのような機器にデータを打ち込んでいく。 今ではすっかりドリーパの
もっと読む糸切り人シザー・人形の館
今にも降りだしそうな暗雲が、空一面を覆っていた。 吹きすさぶ北風が、土埃で汚れたマントを翻していく。 低く、長いその唸りは一向に鳴り止む様子はない。 身を切るような冷風のなか、旅の男は一人、平原にある小さな町の大
もっと読むジュエルエンジェル 第九話
第九話 「パールの章」 けたたましい音をたて、扉が開く。 「まったく、最近は千客万来じゃな」 本棚の前に立ち書物に目を通しながら、ゲルバはつぶやく。 怒りを込めた、乱暴に床を踏みつける足音。 誰が来たのかは明白だ
もっと読むジュエルエンジェル 第八話
第八話 「アクアマリンの章2」 目覚まし時計が鳴った瞬間、反射的に手が伸びてスイッチをオフにする。 夕は勢いをつけて起き上がると、網戸にした窓から流れる朝の程よく冷えた空気を胸いっぱいに吸い込んだ。 途端に眠気が消
もっと読むジュエルエンジェル 第七話
第七話 「アクアマリンの章」 扉が軋む音にゲルバは目を通していた書物から顔を上げる。 足音とともに陽気な鼻歌が聞え、やがて本棚と薬品棚の通路から一人の男が顔をのぞかせた。 ギョロ目の中の小さな黒目をあちこちにせわし
もっと読むジュエルエンジェル 第六話
第六話 「ルビーの章」2 それから数日たった夜の駅。 終電のドアが開き、ごくわずかな乗客たちががらんとしたホームに降りてくる。 そのなかに赤ら顔の中年サラリーマンの姿があった。 「ふい~っ、まいったまいった。接待に
もっと読むジュエルエンジェル 第五話
第五話 「ルビーの章」 尽きることなく立ち上る湯気が辺りを薄く覆う。 禍々しい紋様が彫り込まれた円柱に囲われた、丸い石造りの浴槽にはたっぷりと湯がたたえられている。 そこは幻界城の、幹部が個人で所有する専用の浴場の
もっと読むジュエルエンジェル 第四話
第四話 「サファイアの章」2 夜を迎えた繁華街は、昼間とはまたは違う活気にあふれている。 仕事の疲れを癒すため、家に帰る前に一杯引っかけようとするサラリーマン。 食事に出たついでにショッピングをする家族。 あちこ
もっと読むジュエルエンジェル 第三話
第三話 「サファイアの章」 今日も多くの人間が行き交いする、街の中心にある繁華街。 そのメインストリートにある小さな花屋の店先で、店員の女性が鉢植えの位置を調整している。 「あの・・・」 「はい、いらっしゃいませ」
もっと読むジュエルエンジェル 第二話
第二話 「ダイアモンドの章」2 「―――ゲルバよ、首尾はどうだ?」 幻界城最上階に位置する、ディスタリオンの司令室。 以前と同じようにその場に集まった七聖魔たちは、ゴーバの言葉でゲルバに注目した。 「ゲルバのじいさん
もっと読むジュエルエンジェル 第一話
第一話 「ダイアモンドの章」 ―――町外れの廃工場。 こうこうと照る月明かりの下、複数の影がその広大な敷地を飛び交っている。 「くうう・・・おのれ・・・おのれぇ!!」 その影の中の一つが、息を切らせながら忌々しげに
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