魔法使いの小冒険 第十二話

第12話

 体育館でのミスコンが終わったら、みんな何事もなかったかのように教室へ戻っていくよ。
 さっきのドールハウスで出した指示が効いていて、記憶どころか身体へのダメージとか疲労まで、全部消えちゃったんだね。
 この魔法、準備に時間はかかるけど、やっぱり凄い強力な魔法みたい。
 僕も何回も果てちゃったはずなのに、最後の指示の効果なのか、すっごい元気だもん。
 ってことは・・・、このまま続いていっちゃいますか?

 体育館を丸ごと『ドールハウス』や『傘の紋章』の支配下に置けたってことは、校舎全体、学校の敷地全体だって、ちゃんと印をつければ魔法で制御出来ちゃうってことじゃない?
 閉鎖された空間じゃないから、『ドールハウス』が使えるのかどうかはわかんないけど、せっかくだから、色々試してみた方がいいかも。

 第一、いっぺん全校生徒を思い通りに操っちゃったら、もうケチケチと小っちゃいイタズラをしてても、しょうがないよね!
 ここは一丁、ドーンといってみよう!(古すぎ?)

 ・・・ってなことを考えて、僕は授業もサボって学園内を徘徊しはじめたんだ。
 うーん、やっぱり大きなイベントの後で、気持ちが大きくなってたんだね。
 後から考えると、調子に乗ってました。はい。

 体育館から続く渡り廊下を通って、東棟の校舎に入る直前、レンガ模様の壁にコッソリ、『傘の紋章』と『部屋の紋章』を書き込んじゃう。
 『普段ありえないようなことが起きても、騒ぎ立てたりしない校舎』って記せば、多少のオイタは許してもらえるでしょう・・・。
 『ドールハウス』の印と、これらの紋章、中にある文字がよく似てるから、ごっちゃにならないように、気をつけないといけないね。

 って思ってたら後ろからドンッ!
 走ってきた女子にぶつかっちゃった。
 廊下に転がる僕。

「い、痛ーい。廊下を走るなよ~」

「アンタがボケっと歩いてるからいけないんでしょ!
 なんか知らないけど、朝礼が長引きすぎてて、すぐに次の授業が始まっちゃうんだから、急ぐのなんて当たり前じゃない!
 アタシの教室はイッチバン遠くなんだから、しょうがないでしょっ!」

 ポニーテールの女子はそれだけ言うと、また走り去っちゃう。
 もー、もっとおしとやかに振舞えないのかな?
 ちょっとお手伝い・・・。廊下の壁にもう一つ紋章を書いちゃう。

 走り去ろうとしてた女の子が、ピタッと足を止める。
 後姿でも、ちょっと迷ってるのが見てとれるけど、すぐに決心して、スカートの中に手を入れたよ。
 身をかがめてスカートに両手を入れながらモゾモゾしてた女の子は、白いパンツを膝の下まで下ろしちゃった。
 それだけじゃないよ。スカートの裾を両手で捲り上げて、白くて丸いお尻を丸出しにしちゃう。
 そのままの格好で前に進みだしたけど、パンツが邪魔して、小股のヨチヨチ歩きになっちゃってる。
 これぐらいのスピードなら、人とぶつかることもなくて、安心だよね。

 廊下の壁には『部屋の紋章』と、その下に『女性は必ず下着を膝まで下ろし、股間や尻を出して歩く廊下』って書いたんだ。
 それでも、少しでも早く教室に向かおうとして、お尻をプリプリ振りながら小股で歩いていく女子生徒。
 小さくなるその子の後姿に見入ってるうちに、他のクラスの列がやってきたよ。

 女の子たちは、渡り廊下から東棟の廊下に入る前に、みんな立ち止まってパンツを下ろすと、スカートを捲り上げて、歩いてく。
 当たり前みたいに澄まし顔でアソコを出してる子もいれば、顔を赤らめて、うつむき加減にお尻を見せてる子もいるよ。
 一緒に歩いてる男子の中にも、見てない振りをしながらチラチラと回りを見回してる奴、遠慮なく中腰になって至近距離から凝視してる奴、お目当ての子を探してキョロキョロしてる奴、色々いるね。

 男子の集団の中から、おどけた声が上がったよ。

「おっ、神保。意外と陰毛濃い!ヒロちゃん、お尻小っちゃいねー。
 丹羽はアソコのビラビラがちょっとはみだしてない?」

「うっさい!見るな!」

 クラスのお調子者的なキャラの男子が一人、口に出して解説し始めたら、すぐにリーダー格の女子に怒られちゃった。
 でも、注意した女子も、まるでその男子に見せつけるみたいにスカートを胸元まで捲り上げてる。
 注意の効果は、あんまり期待できないかもね。

 後ろの方にクラスのアイドル的な存在の女の子がいるみたいで、中腰になった男子の輪がこっちに近づいてくるよ。

「やだー、みんな、ついて来ないで」

 ショートカットのスレンダーな美少女が、困った顔で男子から離れようとするんだけど、脛にある純白パンティーが邪魔して、やっぱりゆっくりしか歩けないから、余裕で追いついてくる男子の群れに、恥ずかしい部分を全部見られちゃってる。
 こんな廊下に来ちゃったんだから、しょうがないよ。
 見られてるのは君だけじゃないんだから、我がまま言わないで我慢しましょうね。

 下半身露出パレードが続く廊下を進んでいくと、トイレの前を通る。
 お尻を揺らしながら、トイレに入っていこうとする女子がいたから、『ノーティー・バブル』を飛ばしてみるね。

 『私のトイレはここじゃないわ。教室の掃除道具入れにバケツがあるから、それをロッカーの上に置いて、そこで用を足すのが私の習慣だったじゃない。』

 プウゥーーーゥウウウッ
 フワフワフワ

 ピンク色のシャボン玉はユラユラと左右に揺れながら、女の子の後頭部に当たってハジケる。
 女の子は背筋をビクッとさせた後で、回れ右をしてトイレから離れていくよ。
 この後どうなるのか、ちょっと気になるけど、先に進もうかな(気になる?ゴメンね)。

 実は僕のお目当ては保健室。
 さっきやったミスコンでの、浅野麻衣子先生のオッパイには、感動させられちゃったんだ。
 ここはせっかくだから、学園の悩める男子生徒たちのために、もっともっと天使的な振る舞いをしてもらいましょう!

 保健室の窓が半分開いて、中からクリーム色のカーテンがヒラヒラしてる。
「あさパイ」、いるみたいだね。
 窓から覗くと、部屋の中には、白衣姿の浅野先生と、坊主頭の男子がいたよ。
 あっ、僕と同学年の石山だ。
 中等部の時に同じクラスだったことがある石山は、頭はいいけど、体が弱いんだよね。

「先生、またちょっと気分が悪いんです」

「あらまぁ、大変ね。
 今日は朝礼がすっごく長かったから、石山君、貧血になっちゃったのかもしれないわね。
 一応、お熱を測るわよ」

 優しそうな口調の浅野先生。同じ美人教師でも、佐竹先生みたいなハキハキと喋るキツめの美人とは正反対のタイプだね。
 机の引き出しから、体温計を取り出そうとする浅野先生に向けて、バブルを一つ、飛ばしちゃう。

 フワフワ・・、パチンッ!

 シャボン玉が頭に当たると、一瞬目を大きくした浅野先生。
 体温計は机に置いて、石山に寄りかかっちゃったよ。

「石山君、あのね。先生、今新しい体温検査方法を練習してるの。
 ちょっと付き合ってもらえないかしら」

 気だるそうな声を出して、白衣を肩まではだけた浅野先生は、シャツのボタンを上から一つずつ外していく。
 水色のブラジャーに包まれた大物のブツを石山に見せちゃう。

「オデコをね、こうやって、胸で挟み込んで、お熱を測るとね、手や体温計で測るよりも正確なんだって、・・・どこかで聞いたような、誰かに言われたような・・・気がするの。
 ちょっとの間、動かないでね」

 ブラジャーを外して、柔らかさ満点のオッパイを石山のオデコに押しつけると、自分の両手でそっとオッパイを揉み上げて、挟まれた石山を天国に追いやる先生。

「どうかしら?石山君。こうやってしばらくしていないといけないんだけど、今も気分悪くて吐きそうだったりしたら言ってね」

「ふわっ、気分悪いことは、ないです・・・先生。
 その、いい匂いですし、柔らかくて、あったかくて・・・。気分は最高です。
 でも、さっきまで熱はなかったはずなのに、今は、すごく、熱くて・・・」

 真面目な石山のくぐもった声が聞こえてくると、僕は笑いをこらえるのに必死。
 あんな風に体温測っちゃったら、うちの学園の男子生徒、全員高熱で
 学校閉鎖ってことになっちゃうってば。

 石山をからかうのが面白いから、もう一つバブルを飛ばしちゃう。
 今度のシャボン玉が当たると、石山に寄りかかってた浅野先生は、ちょっと強引に石山をベッドに押し倒しちゃうよ。

「せ・・・先生」

「お熱もあるんじゃ、大変よ。先生が特別検査をしないといけないわ。
 石山君のおチンチンの機能が心配なの。
 先生の大事なところで、確認させてもらうわ。
 大丈夫。怖くないのよ」

 颯爽と白衣を脱ぎ捨てる先生。
 悩める全校男子生徒に、天使が降りてきた瞬間だね。
 浅野先生、新しい勤務スタイルで、どうぞこれからもみんなを癒してくださいませ。

 保健室を後にして2階に上がると、もうとっくに授業は始まっていて、廊下は静かになっていたよ。

 コソコソと廊下を歩きながら、窓から見える、授業中の教室に一つずつ魔法をかけていく・・・。もう数で勝負って感じだね。

 まずは2年1組の制服を変更。
 僕が扉に紋章を書き込むと、教室の中の2年の先輩たちに異変が起きるよ。
 女子生徒がみんな、シャツもスカートも、下着まで脱いでいって、パンツを頭に被ると、その上からブラジャーを頭に括り付けちゃった。
 ヘルメットの紐みたいに、アゴのところでホックをつけると、とってもエッチでユーモラスな制服の誕生です。
 授業をしている男の先生も、目のやり場に困っちゃってるみたいだけど、ここはこういうクラスなんだからしょうがないよね。
 クラスメイトたちは全員、それが当然って顔して、勉強を続けてるよ。

 2年2組も同じように女の子たちには脱いでもらっちゃう。
 でも持ってるタオルとかの布切れ一枚で、体を一生懸命隠してもらいます。
 気分円盤を取り出して、教室の中には「見られて恥ずかしい」という気持ちと「見られて快感」っていう気持ちを同時に充満させちゃう。
 急に教室内の温度が上がったみたい。
 みんな色っぽい顔をしながら問題を解き始めたよ。
 タオルを持っていない女の子たちは、なんとハンカチで懸命に自分の体を隠してるけど、どうしてもオッパイかアソコかお尻か、どこか一ヶ所しか隠せないで、モジモジ。
 でも快感の度合いは彼女たちの方が強いみたい。
 潤んだ目で、周りを気にしながら挙手したり、落としたエンピツを拾いに歩いたり・・・。
「うっかりハンカチを落としちゃった」って素振りでハンカチを拾うけど、妙に男子の目を意識したような、体のくねらせ方をしているね。

 3組は綺麗な広沢先生が授業してたから、先生の服だけ変更。
 さっきのハンカチ一枚の生徒たちよりもエッチな雰囲気にするために、バブルを飛ばして、ティッシュペーパーしか身にまとってはいけないって思い込んでもらったよ。
 張りのある左右のオッパイとアソコに、テープでティッシュを一枚ずつ貼り付けて、それ以外はスッポンポンの先生が音読しながら教室を回る。
 男子も女子も先生の体に目が釘付けだね。
 ティッシュが風に揺れてヒラヒラするたびに、男子が生唾を飲む音が聞こえてきそう。
 人形を持ち出して、先生をさらにダイナミックに動かしてみると、ティッシュが一枚、左のオッパイから外れちゃった。
 慌ててティッシュを取り戻そうとする広沢先生。でも僕の動かす人形と同じように、急に繰り返し開脚前転をしちゃって、オッパイを隠すどころじゃないみたいだね。

 4組は基本に戻って、生徒の制服の変更です(何の基本かって?細かいことは気にしない・・・)。
 女子生徒は上半身裸!ただしオッパイ丸出しじゃあ可哀想だから、隣に座ってる男子生徒が、手をブラジャー代わりにして、オッパイを隠してくれます。
 男女の見事なチームプレーなんだけど、今までのクラスの中で、一番ヤラシイ光景になっちゃったね。
 女の子たちのオッパイを後ろから男子たちが手のひらで包み込んで隠そうとするんだけど、乳首が手のひらにこすれちゃって、あっちこっちで声が上がる。
 クレームが出てたり、感じちゃってる声が出たり。賑やかな教室だよ。
 中には全く遠慮なく揉みまくってる男子もいるみたいで、女の子たちは結構な災難みたい。
 でもこれでクラスの結束は強まるかもしれないから、しばらくは我慢してね。

 2年生たちがそれぞれの服装で、勉学に励んでる東棟2階を端っこまで行くと、音楽室に行き当たったよ。
 覗き見すると、合唱の練習中みたい。
 よーし、僕なりに、協力してみよう。

 僕が部屋に紋章を書いて、バブルをいくつか飛ばすだけで、練習風景は一変しちゃう。
 先生の指示に従って、女の子たちは全裸になっちゃう。
 同じくズボンとパンツを下ろした男子生徒たちが抱え上げて挿入を始めちゃうのにも耐えながら、必死で発声練習を始めたよ。
 リズム感を養うためには、駅弁ファックで思いっきり突き上げられながら、そのテンポに合わせて快感のままに声を出すのが一番、ってみんな思ってるから、誰も文句を言わないんだね。

「アー、アッ、アッ、アッ、アッ」

 みんな、様々な音階で、思い思いの発声練習をしているね。
 でも、ただの発声には飽きてきたから、ここでも気分円盤を操作。
 女の子たちには急に、発作的に『自分たちの思う、はしたない言葉』を叫びたくてしょうがなくなってもらったよ。

「チ・・・、チンポッ!チンポッ、チンポッ」

「マ○コー、・・・コッ、コッ、コッ、マ○コー・・・」

 それぞれが顔を赤くしながら、エロ単語をわめきちらしちゃう。
 みんなガンガン突き上げられて、されるがままに頭を揺らしながらも、落ちないように男子にしがみついて、エロ単語を合唱。
 ちょっと凄い光景だけど、音楽の三谷先生は、嬉しそうに指揮棒を振って、ハーモニーを楽しんでるね。
 うーん、芸術の世界は、奥が深いんだなあ。

 芸術、芸術・・・と言えば、美術室も回らないと、って思って3階に上がったんだけど、ちょうどその時に鐘が鳴って、放課時間になっちゃった。
 音楽室の上にある美術室からは、生徒がゾロゾロ出てきちゃったよ。

 じゃあ、せっかくだから、放課中の廊下をもっと華やかに飾り立てちゃおう。
 3年生が行き来してる3階廊下は、僕が壁に紋章を書き込んだ瞬間、女の人の体の見本市に早変わり!
 教室を移動しようとしてた子たちは立ち止まってその場でパンツを脱ぎ捨てると、廊下の端に一列にしゃがみこんで、足をガバッとM字に開いてアソコを開いちゃうよ。
 スカートもまくれ上がって、大事な部分がパックり丸見えになっちゃう。
 でも女の子たちの顔は、若干引きつりながらもみんなスマイル。
 歩いてく同級生や後輩たちの目を楽しませなきゃいけないもんね。
 みんな笑顔で頑張ろう。

 もうちょっと歩くと、新しい列が出来てるよ。
 こっちの女の子たちも同じように、パンツを脱いで廊下の端に並んでるけど、こちらはみんな壁を向いて四つん這いになって、こちら側にお尻を突き出してる。
 足を限界まで開いてるから、お尻の穴までしっかり曝け出しちゃってるね。
 ちょっと苦しい体勢みたいだけど、顔はしっかりこっちを向けて、みんな笑顔。
 頑張ってる笑顔を見ると、こっちも楽しい気持ちになってくるよね。

 あれ?そこで笑顔でお尻出してるのは、バスケ部の谷川先輩と相馬先輩?
 2年生のキャプテン、副キャプテンコンビが、なんで3年生の階にいるのかな?
 ちょっと声をかけてみようか・・・。

「えーっと、すいません。女子バスケ部の谷川先輩と相馬先輩ですよね?
 なんでこんなところで、そんな格好してるんですか?」

 相馬先輩は僕に聞かれて、困ったような笑顔を浮かべる。

「え?私たち、3年の先輩たちに、今度の練習試合の案内をしに来たんだ。
 なんでこんな格好って?・・・ねぇキャップ、なんでだっけ?」

「私に聞かれても・・・。別にこんな格好しに来たんじゃないはずなんだけど・・・。
 だって、こうしなきゃいけないような気がして・・・。
 あの、あんまり見ないで。恥ずかしいから。
 そっとしておいてくれないかな?」

 ポーカーフェイスの美女として有名な谷川先輩は、笑顔に慣れてないのか、ちょっと引きつった表情で、僕に答える。
 面白いから、二人だけさらにポーズを変えてもらおっか?

「きゃっ、洋子。そんなはしたない格好、やめなさい!」

「って、キャップだっておんなじ格好してんじゃん!」

 僕がちっちゃいバブルを一つずつ飛ばすと、谷川先輩と相馬先輩は同時に立ち上がって、大きく足を開いたまま、前屈姿勢で両足首をしっかり掴んじゃう。
 スカートは捲れ上がったまんまだから、お尻の穴とアソコがさらに奥まで曝け出されちゃったよ。

「先輩たち、どっちもアソコが綺麗な色ですねー。
 さすがにお尻の穴の方は若干、色がくすんでるけど・・・。
 あっ。相馬先輩の方が、アソコはちょっとプックリ出てますね。知ってました?」

 二人の股間のなだらかなふくらみを、スリスリ撫でて比べてちゃう。
 男子生徒たちの憧れの的、スーパースポーツ美少女コンビは、さらに慌てちゃう。

「わー、駄目、コラッ。触んなよっ!」

「あぁっ。そんなところっ。うんっ」

 先に切なそうな声を上げたのは谷川先輩。
 普段はクールを装っていても、実は感じやすくて、燃え上がる体質だっていうのは、さっきのミスコンでバレちゃった通りだね。
 二人とも体も柔らかいし、せっかく綺麗なオマ○コしてるんだから、放課時間中ぐらいこのまま、みんなの目を楽しませてあげようよ!

 もうこうなったら、止まらない。
 このままこの学校をピンク魔法で征服しちゃおう!
 東棟、西棟、中央棟。運動場も道場もプールも合宿所も、全部完全に僕のものにしちゃえ。
 今日は記念すべき魔法使い学校占拠の日だ。
 そうと決まれば、ピンプルも里美ちゃんも呼んで、みんなで酒盛りしちゃおう。

 僕は可愛い女の子のお尻を凝視してる、3年の男子(名札を見ると、犬飼君って言うんだってさ)に『子鬼の名刺』を渡して「デリバリーボーイ」に仕立て上げると、お菓子とジュースとビールを買ってきてもらうように注文したんだ。

「ポテトチップはオーソドックスな薄塩味にして。
 期間限定のお菓子があったら、それも追加ね。
 ジュースはカルピスソーダとハチミツレモン。
 あとピンプルのためにビールね。
 買ってきたら、僕、そのへんウロウロしてるから探してくれる?」

「はいっ。プロのデリバリーサービスに、全てお任せくださいっ!」

 犬飼先輩は気持ちのいい挨拶をすると、すぐに走って、買い物に行ってくれた。
 あとは紋章魔法と『ドールハウス』の刻印をつけながら、色んな棟を回るだけだね。
 里美ちゃんと、ピンプルを見つけたら、みんなで魔法使いの学校制覇を記念して乾杯しよう。

 お尻を展示している女の子たちの先には、オッパイを並べるグループを作ってみたよ。
 教室側から、窓を通してオッパイを展示してる。
 みんな窓のレールの部分に、ブラから出したオッパイをのっけて、こっちにニッコリ媚を売ってるよ。
 やっぱり平均的に見て、二年生より三年生の方が、オッパイは大きいみたいだね。
 特に発育のいいオッパイを、気の向くままに触ったり、指で弾いたりしながら、廊下を進んでいく・・・。
 すると、僕の前に、一人の女子生徒が立ちふさがってたんだ。

 5メートルぐらい先にその子を見た瞬間、もしからしたら僕、ちょっとマズい状況なのかもしれないって、自分で思ったよ。
 さすがにハシャギすぎてたのかもって・・・。

 だって、よくわかんないけどその女の子、鳥篭を右手に持って、こっちを睨んでたんだ。
 ストレートの長い黒髪と白い肌が印象的な、美少女だよ。
 学校の廊下で、鳥篭を持って立ち尽くしてさえいなければ、そんなに異様な雰囲気ではないんだけど、鳥篭持って僕を睨んでちゃーねぇ・・・。
 やっぱり、今この学校で起きてることの原因と、僕の正体を知っているのかな?
 この子自身も僕みたいに、「普通でない存在」ってことなのかな?
 目もバッチリ合っちゃった今、急に回れ右して逃げようとしても、あまりにも不自然だよねえ?
 どうする?どうか何も起きませんように。

「私、この学校に、1週間前に転入してきたの・・・。
 理由は大体わかるでしょ?ピンク魔術師、アプレンティスの草野君」

 その子との距離はあと3メートルぐらい。
 透き通った、綺麗な声なんだけど、聞いただけで、僕の肌は粟立っちゃった。
 だって、抑えてはいるけど、僕への敵意みたいなものが剥き出しなんだもん。
 こ、怖いよ~。

「や、やあ・・。き、君だよね、今朝の朝礼の時、途中で体育館から抜け出してったの・・。
 君も魔法使い?それともあの、レンガ職人のオジイサンみたいな不思議な存在?
 あの、どっちにしろ、僕、その、君と敵対するつもりはないから、そんな怖い顔しないで・・・」

「顔はもともとなの・・・。
 神聖であるべき、魔法を悪用している人を見ると、虫唾が走るってだけ。
 私、許せないの。貴方とか、・・・この人とか」

 静かに喋ってるはずなのに、その子の声はよく通った。
 その子が鳥篭を掲げると・・・、中には見覚えのある、緑の人影が・・・?
 ピンプル!
 鳥篭の中で、ふてくされたような顔で、寝転んで頬杖ついてる小人は、なんとピンプルだったんだ。

「ピ、ピンプル!もしかして・・・、捕まっちゃったの?」

 スネてるようにそっぽを向きながら、ピンプルが喋る。

「よう、ボーズ、ずいぶん遅かったじゃねえか。
 こっちは朝からこの様だよ。
 このお嬢ちゃん、白魔法のアプレンティスだ。貴様と同じように修行中の身だが、結構ヤるから気をつけな」

 鳥篭の中のピンプルがボヤいてると思ったら、急に鳥篭が変化を始めたよ!
 扉の部分の鉄片から、一つの目がギョロリと浮き出てきたと思ったら、下の網目の部分が口みたいにパクパク動き始めちゃった。

「自己紹介遅れまして。
 私は二重鳥篭のハルエルJr。白魔術師による、捕獲作業を支援しています。
 草野君、私のこの、捕獲作業者という立場を離れて客観的に見たとしても、貴方は今、大変不利な立場にいると言えますね」

 と、鳥篭が喋った!
 こいつはピンプルと同じように、魔法の世界の不思議な生き物なのかな・・・。
 でもピンプルが抵抗を諦めちゃってるところを見ると、きっとアイツの中に閉じ込められちゃうと、魔法を使って逃げることも出来なくなるのかも。
 捕獲作業って、やっぱり僕とピンプルのこと?
 うわーん、どうしよう。

「大体状況は理解出来た?
 私は今、貴方と同じように魔法の修行中の身。
 でも秩序の神々の系譜に連なる私たち白魔術師は、アプレンティスの卒業試験として、秩序を乱すカオスの落とし子たる貴方たちを捕獲するという試練を課せられるの。
 そして草野知也。貴方は今日、ここで捕獲されて、忌まわしい魔術の秘儀に関する記憶を失うことになるのよ」

 綺麗な「転入生」が、感情を抑えた喋り口で、淡々と何か怖いことを言ってる・・・。
 ピンプルが・・・師匠のピンプルが捕まっちゃってるんだから、ここは僕が頑張らないといけないみたい。
 僕は、震える声を振り絞って、勇気を出して啖呵を切ってみたんだ!

「ぼ、僕だってピンク魔術師の端くれだよ!
 そう簡単にやられてたまるか。
 君と同じように、これまで魔法の修行に励んできたんだ。
 ま、負けないぞ・・・」

「修行?・・・貴方、単にヤラしい魔法を面白半分に使って、遊んでただけとは違うの?」

 転入生がクールに言い放つ。
 僕はしばらく自問自答して、ピンプルに目で助けを求めてみた。
 ピンプルが、「お手上げ」とばかりに肩をすくめる。

 ・・・うーん、一言も言い返せません・・・。

 こりゃやっぱり、僕らの負けかな?
 あっさりしすぎ?じゃ、もうちょっとだけ頑張ってみるね。

「う、うるさいなー!これでも食らえっ」

 僕が胸ポケットから、短く切ったストローを取り出して、口にくわえる。
 必殺、『ノーティー・バブル』だっ!

 っと思ったら、なぜかピンクのシャボン玉は、ストローから離れる前に、情けなく割れちゃった。
 魔法が失敗した?
 こんなの初めてだよ。・・・どうなってるの?

「ルールは、公平であるために万人にとって明確であらねばならない。
 ここではっきり教えてあげるわ。これ、私の魔法。『修道院長との約束』って言うの」

 転入生が鳥篭を持ったまま、もう片方の手で、手帳を掲げたよ。
 そこには、表紙に大きく、「草野知也」って書いてあった。

「ここには禁止ルールを書き込むことが出来るの。
 貴方の魔法、これまで調査させてもらって、全部書き込んでるつもりよ。
 『ノーティー・バブル』、『野うさぎペテロの紋章:部屋、窓、傘』。
 『気分円盤』、『操り人形とドールハウス』、新魔法『子鬼の名刺』。
 さっきの朝礼の時、なんの警戒もなしに全部使ってるのをチェックしたから、全て禁止ルールのリストに書かれてるわ。今その効果を発動させたから、貴方はもう、これらの魔法を新たに使うことは出来ないの。
 これで私のリスクは減ったから、そろそろ名乗らせてもらおうかしら。
 私の名前は野宮瞳。貴方を捕獲するためにやって来た、白魔術師よ」

 魔法が使えない?
 だ、駄目じゃん。
 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイよ。
 駄目だよ、これ!

 僕はもう、ピンプルをおいて、逃げることしか出来なかったんだ。
 裏返った声で「ヒャー」とか変な悲鳴をあげて、一目散に逃げ出しちゃった。

 後ろから野宮瞳が追いかけてこようとするんだけど、僕のこれまでの魔法にかかって、廊下に笑顔で並んでる女の子たちの醜態が我慢できないみたいで、そっちを先に処理しようとする。
 その間に僕は必死で階段を駆け下りると、2階の端っこ、音楽準備室に駆け込んだんだ。
 ど、ど、どうすればいいの~?
 ピンプル助けて。でも、今はピンプルを助けなきゃ・・・。
 だけど、今朝は調子に乗って使える魔法を全部披露しちゃってたみたいで、全部が封じられちゃったよ~。
 どうしようか。なんとか方法は無いのかな。
 考えないと、考えないと、考えないと・・・。

 僕が「ダメもと」で壁に書いてみた紋章も、いつもの淡い光を見せてくれない。
 ナップサックから気分円盤を取り出しても、人形を取り出しても、力のない手ごたえから、直感的に、魔力を失っちゃってるのがわかる。
 ぼ、僕。普通の、駄目な高校生に戻っちゃった~。
 音楽準備室の片隅で、体操座りで頭を抱えちゃう。
 さっきまでは学園の王様気取りだったのに、急に無力な逃走犯に転がり落ちちゃったよー。

 15分ぐらいたったかな?
 急に、近くで扉の開かれる音がした。
 僕が背筋を凍りつかせて、準備室の扉を振り返ったけど、この部屋の扉は閉じたままだった。

「浄化に時間がかかるわ。貴方の撒き散らした忌まわしい魔法。
 簡単に完全には解けないから、この学園の人間は一度、強烈な浄化が必要ね。
 元と同じ人格でいられるかどうかはわからないけど、全員、きれいに漂白しなきゃいけないわ。
 草野君、ここら辺にいるのはわかってるのよ。
 ハルエルJrは耳もいいし、目にもなかなか役に立つ機能をもってるのよ。
 大人しく出ていらっしゃい」

 隣の音楽室から、野宮の声が聞こえる。
 さっきよりちょっと、エキセントリックに響くその声は、僕の居場所がわかってるかのように、だんだん準備室のほうに近づいてきたよ。
 でも、足音は野宮のものだけじゃない。
 引きずるように歩く、沢山の足音・・・こ、これ、ホラーだってば。
 ホントはこんなお話じゃなかったはずだよね?(ゴメンね)

 ガラガラガラ・・・。

 準備室の扉が開くと、そこには野宮瞳の冷ややかな美貌と、三年生の女子生徒たちの無表情な白い顔が沢山あった。
 みんな僕を見てる。怖いよ~。オシッコちびりそうだよー。

「この子たち、あとで完全に浄化してあげるけど、今は捕獲作業を手伝ってもらうわ。
 ほら、そこの草野君よ。貴方たちを玩具にした、憎い敵。
 捕まえなさい」

 ゾンビ映画みたい!
 無表情の人たちが、両手を前に伸ばして、トボトボと歩きながら、僕に近づいてくる。
 ひ~、皆さん、さっきはゴメンなさい、もうしませんー。
 僕が座ったまま後ずさりするんだけど、すぐに背が壁についちゃった。

「今さら後悔しても無駄よ、草野君。自分の犯した罪を、十分償いなさい。
 『傘の紋章』をつけてたところで、貪欲な白魔術師は追ってくるの。
 残念だったわね」

 野宮瞳が冷淡に言い放つ。
 僕はゾンビみたいに無機質に囲い込んでくる女の子たちを前にして・・・。
 事前に実験する暇も無いままに、一つの賭けに出るしかなかった。

 バンッッ!!

 大きな破裂音がして、僕を囲んでた三年生の女子たちは、みんなゆっくり崩れ落ちる。
 野宮瞳の切れ長の綺麗な目が見開かれる。
 間一髪。
 本当にぶっつけ本番で、魔法が効いたとは・・・!

 僕の右手には、破りとられた音符の紙。
 中には魔法の呪文と、『眠り込んで草野が呼びかけるまで起きない』っていう文字。
 僕が作り出した魔法が効いたんだ!
 呪文と指示文が書き込まれた紙鉄砲が音を立てる時、その破裂音を聞いた人たちはみんなその指示文に従うっていう魔法。
 ついさっき、僕が編み出した魔法なんだよ!
 凄いでしょう!

 ・・・って言っても、まだ完全じゃないみたい。野宮は紙鉄砲が弾ける音を聞いたのに、眠り込んでないからねぇ・・・。

「どういうこと?まだ、そんな魔法を隠し持ってたの?
 魔法辞典にもそんな魔法、載ってなかったと思うけど・・・」

 野宮の声がちょっとだけ震えてる。
 思わず手から鳥篭を落とすと、金属的な衝撃音と一緒にピンプルが不満そうな悲鳴をあげる。

「ハルエルJr!こんなの、辞書にも載ってなかったでしょ。
 私は、知らない。こんな魔法、聞いてない!」

「瞳、落ち着いて下さい。
 予想外の出来事はいつでも起き得ます。一旦、退避して立て直して」

 ゴロゴロと鳥篭が転がると、中のピンプルは、慌てて走りながら体勢を整えてる。
 寝そべる女生徒たちを踏み越えた僕は、足もとまで転がってきた鳥篭ハルエルJr.を左足のつま先で押さえる。

 ピンプルが、前に『子鬼の名刺』の魔法を編み出した時のことを、思い出して本当によかった。
 紋章の中のマークの意味さえ推測出来れば、もともとある紋章魔法をベースにしながら、新魔法を作ることは、可能なんだね。

 今日、『ドールハウス』の印、『傘の紋章』、『部屋の紋章』と三つ並べて、似ている文字の法則性に気づいた時から、僕の頭の中で点と点は繋がり始めてた(女の子にぶつかれられて、考えが中断しちゃったけどね)。
 そして気分円盤の四隅に刻まれてる印と、『名刺』の印を並べると、それはさらに明らかになったんだ。
 ここに書かれているマークと文字は、それぞれの魔法の守護者である不思議な存在を記したマークと、その下に、魔法の効果を意味してる。
 追記があればそれは多分範囲とか条件。でも範囲や条件の指定がなくても、道具に記された魔法はその道具を使った時に、記された効果を発揮する。
 効果を示す文字は全部の魔法で凄くよく似てる・・・。
 多分、『下の文字の通りに従え』って意味じゃないかな。

 ピンプルは、前からちゃんとヒントをくれてたんだね。

 僕は野宮が落ち着かないうちに、今度は強気にしかけてみることにした。
 ひょっとして優等生は、想定外の事態に弱いのかも・・・。

「野宮ちゃん、どうする?
 魔法の名前を禁止事項のリストにかかないと、封じられないんでしょ?
 この魔法、つい今、出来たばっかりで、まだ名前も何もないんだけど・・・。
 君の力じゃ、封じられないんじゃない?」

 僕が(内心コワゴワながらも)にじりよると、今度は野宮瞳が後ずさる。
 狭い準備室の中で、すぐに彼女の背中が、壁に当たった。

「う・・、嘘よ。アプレンティスが、新魔法を編み出すなんて・・・。
 それって・・・。こんなの、聞いてない」

 野宮瞳が狼狽する。やっと彼女のほっそりとした体格とか、僕と変わらない背丈とか、冷静に見られるようになってきた。

 僕が制服のジャケットを開くと、ズボンに挟まっているのはもう一枚の紙鉄砲。
 取り出して、思いっきり振り下ろすと、乾いた破裂音が部屋中に響き渡った。

 『全ての魔法を解除。草野知也がいいと言うまで、再び魔法は使えない。
 あと、着ているものを全て脱ぎ捨てて、武装解除しなさい。』

 さっき急いで汚い字で書きなぐった紙が、音を立てて破れると、目を見開いた野宮瞳は、ゆっくりと手から、手帳を落としたよ。

 カチャンッって金属の音がして、鳥篭が開くと、ピンプルがガッツポーズで転がり出る。
 床に落ちて開いた手帳から、ボフッって情けない音がして煙が上がると、僕の魔法が封印を解かれたってことが直感的に理解出来たんだ。

「嘘よ・・・こんな・・。駄目。許されないわ。
 認められない」

 野宮瞳はゆっくりと自分の制服のリボンを外して、ジャケットを床に落とすと、シャツのボタンを一つずつ外していくよ。
 スレンダーで牛乳みたいに白い体が、少しずつ露出していく。
 魔法が使えなくなったら、ただの細身の美少女だね。
 ピンク魔術師の敵じゃないって感じだよ(さっきと態度が違う?ゴメンね)。

「瞳ちゃん、胸、けっこう小さいね」

「うるさい!馴れ馴れしく呼ばないでよっ。貴方なんかに、こんな・・・。悔しい!」

 瞳ちゃんは僕を睨みながらも、手を止めずに、どんどん服を脱ぎ捨てていっちゃう。
 ブラジャーを外すと、プリンぐらいの大きさの、形のいいオッパイがポロンとこぼれ出ちゃった。
 スカートを落とすと、しなやかな足が全部見えちゃう。
 遠慮がちに、石鹸の匂いが漂ってくる。
 膝を合わせても太腿の間に隙間が出来るような、ほっそりとした華奢な体。
 恥ずかしそうに、ゆっくりとパンツを下ろす手が震えてるよ。

「こっちの毛も細くて、アワアワとそよいでるって感じだね。
 もっと成長すれば、コンモリと剛毛になるかもよ」

「やめてっ!触んないでよっ」

 僕が瞳ちゃんの陰毛に、美容師が髪をとかすみたいに指を走らせると、瞳ちゃんの顔が引きつる。まるで、男の人に体を触られたことが一度もないような・・・。
 あ、ひょっとして、瞳ちゃん・・・。

「瞳ちゃん。処女なの?これまでの男の人との経験は?」

 完全に生まれたままの姿になって立ち尽くしてる瞳ちゃんが、唇を噛んでそっぽを向く。
 僕がバブルを一つ飛ばすと、それが頭に当たった瞳ちゃんは、悔しそうに口を開いちゃう。

「はい、処女です。男の人とキスもしたことがありません」

 僕に対して一切隠し事が出来なくなっちゃった瞳ちゃんは、白い肌を真っ赤にしながら、正直に丁寧に僕の質問に答えちゃうよ。

「じゃあ、今日が瞳ちゃんの大切な記念日になるんだね」

「い、嫌っ」

 金切り声を上げて、瞳ちゃんが首をブンブン振る。
 目が弱々しく許しを求めてる。
 でもさっきの僕の方が今の瞳ちゃんより恐怖の虜だったと思うから、まだまだ許しませんよ。

「瞳ちゃんはセックスNGなの?性欲ゼロ?」

「きょ、・・・興味が全く無いわけじゃ、ないです。
 真面目で優しい人がいて、私のことを愛してくれたら・・・。
 その人だけに奉げようと思います。でも、怖いんです。
 その、性欲は、たまには感じるし・・・。自分で処理することだってあります。
 ・・・こ・・、こんな・・・こんなことまで、言わなきゃいけないの?」

 瞳ちゃんが目に涙をためて抗議するけど、僕が気分円盤を取り出すと、恐怖で口をつぐんじゃう。
 最後の気力を振り絞って、僕を気丈に睨みつける瞳ちゃん。
 でも僕が、彼女の名前と短い言葉を円盤に書き込んで針を回すと、また表情が変わってきちゃったね。
 今度は怒りでも泣きでも恐怖でもない、もっと別の表情だよ。

「こ・・・、こんなの、変。ヤダ、・・・嫌だよ。
 私が、・・・私じゃ、なくなっちゃう。あ・・・ぁぁ・・」

 僕がさらに針を回すと、さすがの瞳ちゃんの精神力も限界、おずおずと僕のズボンに手を伸ばして、チャックを下ろしちゃう。

「瞳ちゃんの好きにしていいよ」

「こんなの私がしたいことじゃない・・・。
 こんな・・、あぅ・・・し、したい・・。
 本当は・・・したい・・・かも・・しれないです」

 見下ろしてる瞳ちゃんの心の葛藤が手に取るようにわかる。
 『草野知也のチンポは私の宝物。存分に愛したい。口で奉仕したい』っていう気分が、だんだん最高潮になってきてるんだよね。

「はぁ・・、悔しい。・・・やだよう、こんなの・・・。
 はぁんっ、チンポ。草野君のチンポ。私の大事な、草野君のチンポ。
 こんなことしちゃったら・・・。こんな、こんなこと」

 うわ言みたいに独り言をくちにしながら、華奢で可憐な裸をさらす瞳ちゃん。
 思わず跪いて、僕の司令塔をチャックから出しちゃった。
 嫌そうな顔をして見せても、どんどんモノに顔を近づけてる。
 隠そうとしても、鼻がピクピク動いてるから、クンクン匂いを嗅いでるのがバレバレだよ。
 心底愛しそうに頬擦りをしたり、時々嫌悪感を丸出しにして顔を離したり、あからさまに迷いながら、とうとう可愛い舌を出して、僕の先端を舐め始めちゃう。
 僕がもうちょっと針を回すと、舌をさらに伸ばして僕のモノのを上にのせた。
 あったかい舌を、モノにそっとそわして、口にしっかり含んじゃう。
 男の人とキスもしたことがない、潔癖症の正義漢に、いきなりこんなことさせちゃった。
 僕を退治しにきて、返り討ちにあったんだから、これぐらいしょうがないよね。
 戦いとは非情なものなんです(・・・多分ね)。

 まだ時々眉をしかめて動きを止める、精神力の強靭な瞳ちゃんを諦めさせようと、針を限界まで回しちゃう。すると瞳ちゃんは急に我慢のネジが飛んじゃったみたいに、僕のを根元まで咥えこんで、頭を激しく前後させ始めちゃった。
 顔は幸せの一色。
 口の端から涎の垂れるのもそのままに、ストレートの黒髪を振り乱して、一心にフェラチオに励んじゃってる。

 わわっ、もう危ない。
 出そうだから慌てて瞳ちゃんの頭を離させて、新しいバブルを一個飛ばしちゃう。
 ゆっくりとシャボン玉が向かってくるのが見えるらしい瞳ちゃんは、ちょっと泣きそうな表情をする。
 でもシャボン玉は避けられないよ。
 ユラユラと時間をかけて瞳ちゃんの頭まで到達したバブルが弾けちゃうと、瞳ちゃんは床に腰を下ろして、膝小僧をゆっくりと開いていったんだ。

「私・・・草野君と・・セックスしなきゃ・・・。
 貴方に、身も心も、全部ささげなきゃ、いけない・・・のかも・・。
 そうしたい・・・のかも・・・しれないです」

 怖々と足を開いて、僕にすがるような目で見上げる瞳ちゃんは、さっきまでのクールな魔術師の様子とは打って変わって、か弱い女の子になっちゃってる。
 僕はそのギャップにすっかり興奮しちゃった!
 彼女の様子がまた豹変しちゃったりしないうちに(まだちょっと怖いから)、思い切って上にのしかかって、モノを彼女の割れ目に突っ込んじゃう。
 若くて固めの、彼女の割れ目がちょっとだけ抵抗する。
 最初、入るまでにちょっと時間がかかったけど、入り口がちゃんと見つかったら、途中の抵抗を無視して、思いっきり腰を押しつけちゃう。
 ズリュリッって、僕の腰に音が響いたような気が・・・。瞳ちゃんの顔が苦痛に歪む。
 でもなんか、苦痛に耐える瞳ちゃんの顔、妙に色っぽいかも・・・(これって、変態かな?)。

「イッ・・たっ・・・。でも、セックス・・・ちゃんとしなきゃ、やめないで、草野君。・・・もっとやって。もっともっと、無茶苦茶にして。
 私、貴方に全部奉げないと・・・いけないの」

 女の子にこんなお願いされて、断ったら男じゃない!
 ここはもう、頑張るしかないでしょう。

 顔をしかめて力の限り野宮瞳ちゃんの腰に僕の腰を突き合わせると、僕のモノが熱い瞳ちゃんの中で激しく前後する。
 締めつけられるとまるで背筋が蕩けるような快感が僕を突き抜けていくけど、ここで気持ち良さに酔ってたら、すぐイっちゃう。
 快感を振り払うようにさらに突き立てちゃう。
 体を起こして僕に抱きついてくる瞳ちゃん。
 二人で獣みたいに腰を振り続けてると、瞳ちゃんがアゴを上げて、あられもない喘ぎ声を漏らし始めちゃった。

「はぁぁっ、あぁぁんっ、ぜっ、全部、全部あげちゃうっ!
 もっと、もっと汚してっ!瞳を草野君のものにしてっ。
 もういいっ。もう、どうにでもしてくださいっ。
 お願いっ、もっとぉおおーっ」

 『ノーティー・バブル』のせいで、処女なのに感じまくるように感覚を変えられてるとはいえ、ここまでの乱れっぷりは、正直予想してなかったよ。
 一見、見た目は不感症っぽいというか、性欲の薄そうな子なのに、『激しいセックスをしなければいけない』って思い込むだけで、こんなに豹変しちゃう。
 こんな本性、瞳ちゃん本人も全く気づいてなかったんじゃない?
 これは彼女の精神力の賜物?
 思い込みの激しいタイプ?
 生まれつきの性質?
 ・・・女の子ってやっぱり不思議。

 そんなこと考えて、気を散らそうとしてたけど、やっぱり限界!もう、イッちゃう!

「出すよ、もう出るよ」

 って僕が声を漏らすと、瞳ちゃんは中に出してってオネダリしちゃう。

「出して。私の中に一杯出して!私を汚してっ。
 全部、変えちゃってほしいの」

 瞳ちゃんが叫ぶ。
 ビュって大きな音が出たみたいな気がする。
 僕の我慢が全部、解放されていくよ。
 何回か断続的に僕が発射したのを、瞳ちゃんは全部自分の中で受け止めちゃう。
 僕が一息つこうとしたその時、ブチュッ、チュッ、チュッて派手な音が出る。
 瞳ちゃんもたくさんの汁を出して、一緒に果てちゃったみたいだね。

 力なく床に横たわる瞳ちゃん。
 快感に蕩けきったような表情で、嬉しそうに失神しちゃってる。
 半開きの口から、また涎が垂れちゃってて、美貌がちょっと台無しかも。
 でも今の方が可愛いよ。
 幸せそうに気を失ってる瞳ちゃん。
 僕の学園に、ようこそってところかな?
 やっと離れた二人の股間からは、瞳ちゃんの血と二人のエキスが混ざって、ピンク色の液体になって垂れてたんだ。

「コゾー。・・・そろそろ、気も済んだだろうが。
 アプレンティス同士の技比べはテメエの勝利だ。
 だが、いつまでも調子に乗ってんじゃねえぞ、・・・コラ」

 ピンプルの声。妙に弱々しい・・・。
 僕が振り返ると、さっき鳥篭から転げ出たままの場所で、ピンプルが横たわってたんだ。
 てっきり、鳥篭から開放されたら、いつもの元気なピンプルが
 跳ね回ってるとばかり思ってたのに。

「ピンプル?どうしたの?・・・具合悪いの?」

 僕が慌てて駆け寄る。ピンプルはついさっきまでよりも、ずいぶんしなびちゃってて、オジイチャンみたいに見えた。
 僕が抱えあげると、ゼェゼェ言いながら、口を開いたんだ。

「ボーズ、テメエは、テメエの勝負に勝った。
 なかなか大したもんだよ。だが、オイラはどうも、オイラの勝負に負けちまったみたいだな。
 窓を開けてみな。
 ・・・本当の敵さんだ」

 僕が慌てて音楽準備室のカーテンを開ける。
 外には・・・、なんと青空の中に、デッカい鉄の棒が何本も通っていて・・・、まるで僕らの街全体が、鳥篭の中に入ってるみたいだったんだ。

「お父様―」

 転がったままの鳥篭のハルエルJrが、甲高い声を出した。

「ゴホッ・・・あれが本当の敵さん。二重鳥篭の大ハルエルだ。
 ここにいるガキや、そこのお勉強中のお嬢ちゃんはダミーみてぇなもんだ。
 俺たちがこいつらに手間取ってる間に、この街自体を鳥篭に納めちまいやがった」

「やりましたー!お父様。
 お父様の結界の完成です。ここから全てのマナを希薄化させて、真空状態にしてしまえば、妖精なんか干殺しです。
 大浄化の完成ですね」

 嬉しそうに床を転がる、ハルエルJrのキンキン声がうるさく響く。
 外には、強大な鉄格子の籠の網目の中を、鉄の扉がゆっくりと巡回していた。
 学校の前あたりの方角で止まったかと思うと、そこから大きな目がゆっくりと開く。
 その目は、確かに窓の奥の僕とピンプルを見て、瞬きをしたんだ。

「ピンプル・・・、僕、どうしたらいいの?」

「さあなぁ・・・。まず、とりあえずは服を着ろ。
 粗末なモン、いつまでもぶら下げてんじゃ、グフッ!」

 軽口を叩こうとしたピンプルが、僕の手の中で咳き込む。
 辛そうな咳の音から、僕は事態がすっごく深刻だって、理解したんだ。
 これ全部、僕が解決しなきゃいけないのかな?

 愚痴ってる場合じゃないかもしれないけど、・・・魔法使いも楽じゃないよ、ホント。

< 第13話へ続く >

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