共振 第6話

第6話

 この人たち、ニューエイジ・スピリチュアルコミュニケーションなんて大げさな言い方をして、毎週会合のように集まって、現代の科学で解明しきれていない謎の力を習得して、ただヤラシイことしているだけじゃないか。

 芽衣はこれまでレッスンを受けていて、何度もそう感じてきた。他人を自由に操れるような力を与えられながら、芽衣という一個人の片思いを成就させて喜んでいて、良いのだろうか? そう不安に思ったこともあった。今は、そんな疑問を抱いていられた頃が、とても平和だったと気づく。NASC武蔵野は、いや、少なくとも藤代隼人メンター1人は、本気で新しい時代の幕開けを信じて活動してきたのだ。

「………アイツは人から教わったんじゃなくて、共振の技法に子供の頃に勝手に覚醒しちゃったタイプでね。ガードの仕方とか覚えるまでは、結構、雑踏とか集団のノイズに苦しめられてきたみたいだ。人一倍、研究熱心で、若くしてメンターにまでなったのも、その影響かな………。ま、本気で人類を次のステップに進めるつもりで研究してたとは、俺も思わなかったけど」

 カウンターの向こう側で、大雅マスターが言葉を選びながら話す。

「新しい時代………。ホントに来たら、ちょっと凄いですよね」

 芽衣の横に座っている伊吹は、カウンターに身を乗り出して、少し興奮気味に喋る。芽衣より年上で、冷静な研究科肌だと思っていたが、意外なほど興奮している。男の子は皆、ロマンチストのツボでも持っているのだろうか。

「せっかく勉強して、受験に成功しても、…………みんなの意識が統合されちゃったら、もう大学に通う意味とか無くなっちゃうと思うよ。先生の知識が共有されて、それでお終い」

「そっか…………。……じゃ………新歓コンパも」

 眼鏡の奥の伊吹の目が力を失う。………この人は、何をモチベーションに浪人生活を過ごしているのか、時々パートナーの芽衣にもわからなくなる。

「ねっ………。高校も必要無くなるっていうことは、テストも宿題も?」

 伊吹の頭越しに、雪乃が純真な目を芽衣に向ける。

「……………………学校も、テストも。デートもオシャレも意味を無くしていくのかもね。特別な関係性とか、人の目とか、ファッションのトレンドとかが意味を持たなくなるなら」

 雪乃の頭上からズーンという音が聞こえてくる気がする。芽衣の隣には、重い空気に圧迫されるように俯いている男女が出来上がった。

 雪乃の向こう側に座っている里奈さんも、大雅マスターと不安そうな視線を交わしている。オトナな魅力のある里奈さんの、憂いを帯びた横顔はセクシーだ。この人はマスターと、視線だけでどんな会話をしているのだろう。そんなことを想像する楽しみも、人類が「次の次元にステップアップ」してしまったらきっと、奪われてしまうのだろう。隼人メンターには、高次元での人類に起こる問題やリスクが、全て見えているのだろうか? 芽衣は、隼人さんの穏やかな、それでも確認に満ちたような、いつもの口調を思い浮かべる。

『そんなこと、僕に全て見通せる訳は無いし、僕がそうする必要もないよ。人類の祖先が初めて二足歩行を始めた時、二足歩行のメリット・デメリットを全部検証してから始めたと思う? 始めてみないと分からない。それでも、留まっているわけにはいかない。それが進化だよ。』

 肩をすくめながら、余裕の表情を崩さずに答える、隼人さんの笑顔が目に浮かぶようだった。

「…………その肝心の、隼人さんは、今、どこにいるんですかね?」

 伊吹は、カウンターの一番奥。いつものメンターの特等席に目をやる。

「忙しく駆けまわってるよ。世界のNASC支部のなかの先鋭的なところとか、もしかしたら…………こことは違う次元なんかにも、顔を出してるのかもしれない」

 大雅マスターはコップを拭きながら、溜息をつく。その手に、里奈さんが細い手を添える。

「ねぇ…………。私たちには、………彼を止めることって、絶対に出来ないの?」

 芽衣も含めて、お店にいる全員が沈黙した。

 隼人マスターは全員の精神体を浮き上がらせたり、意に従わせたり出来る。扱える精神波の振幅の幅が桁違いに広いから、芽衣や伊吹、そしておそらく大雅マスターが出せる最も細かい波長の精神波も遥かに超えて、高い周波数の精神波を出すことが出来た。それは、他人の精神体だけではなくて、物質や、あるいは精神体コアの操作すら可能なレベルだったかもしれない。

「たまに私が誰かと共振すると、自分で意識している精神波よりも何段階か高音の振動を感じることがあるんです。キュイーンって、静かで高い、高音。………でも隼人さんはそのレベルの高音を、一歩目から出せるっていう感じ………」

 芽衣が、独り言のように呟く。伊吹が顔を上げた。

「あ………僕も、たまにその、自分が出したんじゃない、高音、聞こえる時、ある。…………特に、芽衣ちゃんと共振してる時………かな」

 共感。そんなシンプルな合図の送り合いだけでも、芽衣の心を少しだけ温めてくれた。芽衣は隣に座る予備校生に、一瞬だけアイコンタクトを送る。

「え? ………それって、倍音でしょ?」

 雪乃が、つぶらな瞳をパチクリさせながら、キョトンとした表情で聞き返す。

「バイオン? …………何? それ」

「音には、………っていうか、振動には、基音と倍音ってあって、自分で出している音の整数倍の周波数で2以上のものを、倍音っていうんだよ」

 雪乃は、さも当たり前だという顔で、芽衣が良く理解出来ないことを話す。これは珍しいことだった。そう言えば、雪乃は、小さい頃からフルートやピアノを習っていた。夏のバイトの間、ずっとオルガンで伴奏をしてくれていたことを、芽衣は今、思い出した。

「雪乃ちゃんって、音楽詳しいの?」

「…………まぁ、ちょっとは…………。それでね。昔の人たちは、賛美歌とか合唱してると、時々、誰も出していない高い音が聞こえたりした時に、『天使の歌声』って呼んだりしてたんだって。で、後の時代になってから、それは倍音同士が共鳴してたんだって、わかったの。………芽衣ちゃんたちが言ってるのも、それかと思って」

 ゆっくりと話す雪乃の顔が、伊吹と重なって見えなくなるので、芽衣は椅子から立ち上がって聞いていた。

「ちょっと待って。雪乃。………その倍音っていうものも、共振させることが出来るの?」

「へ? ………うん。倍音だって振動だもん。…………私たちには16音階分とか、聞き取れる限界あるけど、原理的には無限倍に出るものだって、言ってたよ。………ハーモニクスとか、難しい音楽の先生が言ってた」

 芽衣は伊吹の目を見る。次に大雅さん。そして里奈さん。全員と、思いを共有することが出来たと確信出来た。やはり、全人類の自意識統合なんて、必要無いと、17歳の芽衣は信じることが出来た。視線を交わすだけで、ここまで伝わることがあるのだから。

。。

「伊吹は、私に、出せる限界まで高い波長、短い波長で精神体を震わせて見せて。私はその精神波の倍音を探って、それと共振させることを意識する」

 吉住芽衣と川辺伊吹は、向かい合った状態で両手を繋いだ。静かに目を閉じて、集中する。2人とも、この姿勢が一番相応しいと、自然に直感で分かり合っていた。

「原理はそれで正しいとして、…………そんなに簡単に実現出来るものなの? …………隼人も長い時間をかけて習得してきたんだと思うけれど」

 囁くように呟いた里奈さんの肩に、大雅マスターが手を置く。目を閉じたままそれが理解出来るほど、芽衣の集中力は上がっていた。

「知覚することで8割は実現している。それがNASCの世界だよ。あとは、体験して、確信する。精神体は物質ほど物理の拘束を受けない分、『大化け』するんだ。確か隼人もそうだったような気がする」

 大雅マスターが里奈さんに囁いている。途中から、芽衣は聞いていなかった。髪の毛から足の爪まで、精神体全身を鼓膜のようにして、伊吹の精神波を聴き取ろうとしていた。

 シュワシュワシュワシュワ………。

 いつもの伊吹の精神体の振動。その上の音階に、確かにかすかに、同じ波形で波長が半分の振動が感じられる。それはより高音として聞こえてくる。その2倍の音階、さらにその2倍と追いかけていくと、認識不可能と可能の境界線のあたりで運動する。かすかな高音を手繰り寄せることが出来る。その波形に、精一杯集中して、性位相の波形を合わせるようにぶつけた。糸の震えに、もう一本の微細に震える糸を重ねるような感覚。その踊る波が一致した。そう思えた瞬間、芽衣の世界から音が消えていた。

 自分が真っ暗な虚空に浮いて、何の音も聞いていないことに気がつく。芽衣は暗闇を見通そうとして、精神体の顔を動かして、もがく。どれだけ時間がたったのか、わからないが、少しずつ理解を始める。これは暗闇ではない。おそらく全ての光が粒子の波動として降り注いできている。その波動の一つずつを知覚している間、芽衣にとって光という波動の集合体にはならない。全ての音が、芽衣に降り注いでいるものも、粒子の振動として近くしている間は、音にならない。そしてそれらを全て、個々の振動ではなく、全体の流れ、反響、ぶつかり合いの総体として捉えた時に………。

 モノの姿が。存在するものと空間の音が、一度にシャワーになって押し寄せて来た。

 色もモノの形も、光の反射であって、粒子の振動だった。音も同じ。その全てを、芽衣は停止させて個として分解して知覚することも、流れさせて総体として近くすることも出来るようになっていた。そしてその振動に干渉すると、モノは形を変える。音は音色を変える。その全ては、波動の調和させ方次第だった。全ての音に、全ての物質に、最初から無限大の倍音があったのだから。

 カウンターのグラスが、飴細工のようにニュルニュルと形を変えて、砂時計のようにくびれる。隣のグラスがパシュッとその場で消え去る。もう一つ隣のグラスは、中に、伸びていく花の茎のようなものを突然たたえたかと思うと、見る間に蕾、そして花を咲かせて、わずかな間に、花をいけた入れ物になっていた。それを里奈は口を開けて見守っていた。雪乃はまだ理解出来ていない。両手で口を押えて、驚いていた。そしてカウンター越しに大雅マスターは、自分が何かを思い出しかけているという感触を押し殺していた。

 芽衣は今、いつもの喫茶ダイニングにいる。けれど全ての光の粒子を一度、個として近くすると、周囲は舞台が暗転したかのように、暗い虚空に切り替わる。そしてある場所のことを思い浮かべると、虚空には新しい景色が像を結んでいく。芽衣が見回すと、彼女の周囲の景色は完全に変化している。芽衣は、太陽系の外に漂う、浮島の中の神殿のような建物の中にいた。

 吉住芽衣は白亜の建物の中にいる自分と、窓から見えるカラフルな宇宙を確認した後で、両目を閉じる。目を開くと、目の前には伊吹がいて、キョロキョロと左右を見回していた。

「………あれ………。芽衣ちゃん…………。ここって……………あの、………ここだよね? ………前の」

 ボンヤリとした質問を投げかけてくる伊吹に、芽衣が頷いて、そのまま近づいて、キスをした。

 芽衣が伊吹とキスをしている。その伊吹の3センチほど後ろに、3秒前の伊吹が見える。急に近づいてきて唇を重ねてきた芽衣に対して、少し驚いたような表情をしている。その3センチ後ろには、自分の左側を見ている伊吹。その後ろには右側を見ている伊吹。時間も空間も量子よりも微細な粒子の振動が生み出しているものだと理解した芽衣。振動には反響があって、その反響を辿ると過去が全てわかる。伊吹の過去を辿ると、彼の精神体に影響を及ぼした、隼人メンターからの干渉も探り当てることが出来た。

『伊吹君は芽衣ちゃんに対して好意を抱いたら、機会を見つけて、彼女と精神や肉体を重ね合うことを模索する。そして彼女が増幅器として覚醒した時には、僕の意思を、彼女の精神体を通じて増幅させる。』

 伊吹も気がつかない間に、藤代隼人メンターからの精神干渉が、彼の精神体の奥深くに刻み込まれていた。その楔のような精神波を、芽衣が取り除く。唇を離すと、芽衣は伊吹と至近距離で向かい合った。

『戻ろっか。これから、色々とやることがあるよ。』

 芽衣が優しい笑みを浮かべる。伊吹が頷く間に、2人の周りの景色は、神殿のような建物から、見慣れた喫茶ダイニングの店内へと再構成されていた。

。。

 お店に戻ってきた芽衣と伊吹は、目にしたものを全て、大雅さん、里奈さん、雪乃に話す。

「これまで精神体の使い方を習って、感じて来たこととか、もっと早く、雪乃と真面目に話し合ってくれば良かった。ゴメンね。雪乃。私、どこかで、貴方とは恋バナはしても、NASCの技法とか話すことを避けていたんだと思う。自分がちょっとだけ覚えが早いと思っていたから」

 芽衣が素直に伝えると、雪乃は少しだけ微笑んで、親友をハグした。雪乃自身も、自分が知っていることで、芽衣の役に立てることはきっとこんな話題だと、知らず知らずのうちに線引きをしていたのかもしれない。

「芽衣ちゃんが知覚した時間波の残響って、本当にどこまでも過去を追えるの? …………それってほとんど、タイムトラベルみたい」

 里奈さんが、大雅マスターを見る。マスターは腕組みしながら、細身の体を屈めて考えていた。

「アカシック……………レコード…………。芽衣ちゃんは、伊吹君以外も………僕たちの過去も正しく見晴るかすことが出来るのかな?」

 聞かれた芽衣は、なぜか顔を赤くして、口元をモゴモゴさせながら、小さく俯いた。

「…………あの…………。多分………、出来るは出来るんですけど…………。その、時間波の残響まで探ろうとすると、小さなノイズも邪魔になるから、その、…………事前に必要なチューニングが…………ありまして………」

 マスターが近づいてきて、芽衣の両肩に手を置く。

「隼人に対抗するつもりなら、アイツに気づかれる前に、僕たちは準備をしなければいけない。迷っている時間はないよ。………芽衣ちゃん。何が必要なのか、教えて」

 美形のマスターに顔を近づけられると、ドキドキする。けれど、今の芽衣の鼓動の速さは、マスターとの距離のせいだけではなかった。

 両目をギュッとつむって、覚悟を決めた芽衣が顔を上げる。

「・過去を探って、アンカリングを解くことなら、今でも出来ます。でも、隼人メンターに対抗できるように準備するには。…………せ…………。セックスです。……………精神体から物質まで、チューニングが必要だから、時間波の残響を遡及するには、……わ、私と、…………、エッチしないと……………いけません。一番、自分を曝け出した、全てを共有するセックスです」

 人類の進化と現状維持との分岐点だと思うと、恥ずかしいとか言ってはいられない。そう自分に言い聞かせた芽衣だったが、それでもマスターへの回答は、何度も口ごもった、たどたどしい口調になっていた。今さらだけど、これでは芽衣が伊吹とエッチしてきたことをわざわざ皆に公表しているのに近い。そう思うと、なおさら体温が上がった。

「芽衣ちゃん…………。だったらお願い。大雅とシテくれる?」

 里奈さんは男前だった。芽衣と雪乃の方がドギマギしていた。芽衣は呼吸を落ち着けて、里奈さんと雪乃を見る。

「大雅さん…………だけじゃなくて、私。多分、メンターと対抗するためには、里奈さんや雪乃とも、その………しなくちゃいけないと思う。…………本当に短い時間で、皆の精神体や肉体との調律が必要だから…………」

 しばらく、顔を赤くした女子同士が、視線を交わし合う。

「…………そう来たか………」

「しょ…………、しょうがない………んだよね?」

「ん……………。面目ない…………」

 精神体も物質も、空間も時間も操れるようになった、万能に思える17歳の女子高生は、皆の前でただひたすら恐縮して、押し寄せる恥ずかしさとギコチなく戦っていた。

。。。

 まずお店の2階に上がったのは、鵜沢大雅マスターと吉住芽衣だった。下で待っているマスターの恋人、里奈さんは一体どんな気持ちなんだろう。そう考えると、芽衣はいたたまれなくなる。早く必要な行為を済ませて、マスターを里奈さんのもとへ帰してあげたかった。

「芽衣ちゃん………。あんまりアレコレ、考えこまなくていいよ。これ、目的は連係するメンバー同士のチューニング精度を高めるために、お互いの精神体と肉体をより共鳴しやすくすることだよね? ………だったら、他事を考えていたら、効果も上がらない。そうだよね?」

 マスターが後ろで縛っていた髪を解く。ワイシャツを脱いだ細い肩に、髪がかかる。その様子がセクシーで、芽衣はドキドキした。

「………はい。そうです」

 目のやり場に困って、俯く芽衣の頭に、マスターの長い指が触れる。髪の毛を触られた。

「こんな可愛らしい、17歳の女の子に、隼人も、僕らも、とても重い責務を負わせちゃってるんだね。…………ゴメンね」

 そう言った後、マスターは芽衣の頭頂部とオデコの間くらいの場所に、チュッとキスをした。芽衣もこの状況で、自分から提案した戦法の準備で、この人を拒むわけにはいかない。急いで服を脱ごうと、ボタンに手をかける。その手を優しく包み込むように握って、もう片方の手で大雅さんが芽衣の服を脱がしていく。空気に触れた肌に、優しくキスをしてくれる。髭の感触が、芽衣の肌を擦ると、ゾワッとムズ痒く、そして温かく、触れた場所が痺れた。

 気がつくと、芽衣はソファーに身を投げ出している。服はほとんど、はだけてしまっていた。マスターは上手だった。芽衣をリードするように大雅さんが色んな場所を舌で優しく愛撫してくれる。脇腹、おヘソ、膝の裏。そしてショーツを下ろした、芽衣の恥ずかしい部分。器用にクリトリスの周りを舌がなぞった瞬間、芽衣は反射的に、太腿で大雅さんの頭を挟みこんでしまった。

「……あっ……………。やだ…………。上手…………」

 フフッと、大雅さんが顔を芽衣の下腹部に押しつけたまま。くぐもった笑い声を漏らした。

「上手かどうか分かるにも、それなりの経験が必要。………芽衣ちゃんは、たった2ヶ月前までは、キスもしたことがなかったはずなのに。………色々あったね。…………とっても素敵な女性になっていくよ。これから、もっと」

 大雅さんが喋ると、息を敏感な場所に吹きかけられているようで、芽衣は反射的に腰を突き出してしまっていた。ゆっくり、ジワジワと、芽衣を解いていくような愛撫。芽衣の性感帯の一番敏感なスポットをわかっていて、あえて少しだけそのスポットからずれた場所を可愛がりながら、焦らしていくような、大人の余裕を見せる時間。気がつくと子供の芽衣は、大雅さんに踊らされるように身をくねらせて、しがみついて喘いでいた。

『そ………そこの、もう少しだけ奥です。…………はぁぁぁ、そこです…………。……………いつも、お、オシッコ出ちゃいそうな感じになる…………。』

 芽衣は指を入れられた自分のナカの部分。Gスポットのあたりを擦られて、思わず心の声を漏らしてしまう。

『研究熱心だね。Gスポットを探り当てたのは、………彼氏の陸都君?』

『ぅぅぅ…………はぁ…………、ハイ、‥・まぁ………。』

 芽衣は、全部さらけだすのが恥ずかしくなって、適当に誤魔化そうとする。すると芽衣の尻尾が、クイッ、クイッと、引っ張られたような感触を覚えた。

『………いえ…………。あの、ゴメンなさい。…………伊吹が見つけました。…………この部屋で伊吹に教えられて、…………そのまま、最後まで行っちゃって、………最後、宇宙まで行っちゃったんです。』

 全部正直に答えることにしたが、体の甘い疼きにウットリと身を任せていると、心の言葉も支離滅裂になる。それでも、マスターはだいたいのことを察してくれた。

『芽衣ちゃんが、アイツのかけたアンカリングを、さっき僕から解いてくれたから………。ほら、こんな風になってる。…………久しぶりだ。』

「うわっ」

 芽衣は声に出してしまったあとで、口を手で塞ぐ。大雅マスターはいつの間にかズボンもトランクスも下ろしていて、彼のペニスはおヘソ近くまで伸びあがっていた。………これを見てしまうと、やっぱり伊吹のサイズは平均よりも遠慮がちなんだと思った。

『あんまり時間をかけちゃってもいけないと思うから、………入れちゃうよ。ここに。………もう、しっかり芽衣ちゃんのここは、準備出来てると思う。』

 大雅さんは多分、普段はこういうことを一々、相手の女性に言ったりする必要はないはずだ。それでも、まだ十代の芽衣を相手にする時、次にすることをきちんと教えてくれる。とても優しくてデリカシーのある人なんだと思った。そして、テクニックもある。手のひらの上で、コロコロと転がされているような感覚があった。そして、それは芽衣にとって、甘いお酒にジワジワと酔わされる感覚だった。

 オッパイをギュッと揉まれたと思ったら、ズルっと大雅さんのモノが芽衣のナカに入っている。そして大きめのペニスが奥に入ったり戻ったりするたびに、芽衣の口から、自然に恥ずかしい声が漏れた。

「芽衣ちゃん。ちょっとずつペースを上げるよ。…………とっても素敵な表情だよ。綺麗なカラダだ。素敵だよ」

 大雅さんが腰を振るたびに、低音の誉め言葉が耳元で囁かれる。こんな人に愛されたら、女の人はどんどん綺麗に、セクシーになっていくのではないかと、芽衣は素直に感じていた。握っている手に力を入れて、奥深くまでインサートされるたびに、優しくてストレートな誉め言葉を脳裏に染み込ませて来てくれる。そのたびに、芽衣の骨の奥から、女性ホルモンか何かがビューっと分泌されていくような気がした。

 腰の動きがだんだん激しさを増していく。芽衣の寝そべっているソファーが床から浮いて、ゆっくりと反時計回りに回転していくような感覚。その回転が速くなると、芽衣は投げ出されないように、大雅の体により強く、しがみついた。結合したオトコとオンナの部分を激しく動かされながら、芽衣は力の限り、大雅の細身の体を抱きしめた。

 そして気がつくと、芽衣は白亜の床の上に、寝転がっている。高い天井。それを支える何本もの円柱。窓の外には、カラフルな宇宙空間。芽衣はまた、太陽系の外、浮島にある神殿のような建物の中にいた。

「ここが………。芽衣ちゃんの精神体が辿り着いた、宇宙の隠れ家なんだ」

 大雅さんは、芽衣の体を優しく抱き上げて、座らせると、裸のまま立ち上がって、周りを観察し始めた。窓から見える、多彩な色が混じり合うような、響き合う宇宙。池と草のある、島の表面。建物の外に横たわっている、白い円柱と、いくつかの建物もの跡のような、静かで清潔な廃墟。その上には、土が被って草も生えている。

「綺麗で、穏やかな場所だね。…………ちょっと寂しい雰囲気もあるけれど」

「…………はい。………でも、どこか懐かしくないですか?」

 芽衣が聞くと、大雅さんは笑顔で芽衣の目をジッと見据えた。

「それは…………。この場所が、芽衣ちゃんの精神体が思い浮かべた、原風景の一つだからだと思う。………ここは、芽衣ちゃんと、伊吹君の意識が混ざり合って、作り上げたものとも言えるし、2人の共振がたまたま開いたチャネルにあった、大昔からある場所とも言える。………懐かしい気持ちがするのは、当然だと思うよ」

 建物から出て、草の上を歩いた大雅さんは、腰の横に手を当てて、大雅さんはあたりの景色を見回す。目を細めて、嬉しそうに見回していた。これほど能動的なマスターは、始めて見るかもしれない。友達と裏山を始めて探検する少年のような足取りで、マスターは浮島の色々なところを、嬉々として調べていた。

 喫茶店の2階に戻ってきた時、ほとんど時間がたっていなかったことに驚いた。芽衣の正直な気持ちとしては、ちょっと引いてしまうほど、マスターは時間をかけて、あの浮島をフィールドワークしていたのだ。3、4時間はたったいたかと思ったのだが、実際にはこちらの世界では一瞬の出来事だったようだ。

 そそくさと服を着こむ芽衣とマスター。コンコンとドアが叩かれて、2人は振り返る。2階の部屋のドアが15センチほど開くと、美少女の顔が隙間から現れた。

「あの………、次………。私で、大丈夫…………ですか?」

 芽衣の親友。松藤雪乃が、緊張気味に声を出した。

。。。

「なんか、芽衣ちゃんとこうしてると、………他の人たちとは違う恥ずかしさがあるよね」

 シーツの中でモゾモゾしながら、雪乃が言う。彼女の髪の毛に顔をくすぐられて、芽衣も思わずアゴを上げる。

「私だって、………雪乃とこんなこと、することになるなんて、思ってもみなかった」

 芽衣と雪乃は、夏のバイトを通じて急速に仲が深まった友達。幼馴染でもないので、お互いの裸を見たり、こうして抱き合ったりしたことはなかった。そんな親友同士だからこその、独特の恥ずかしさと居心地の悪さがある。芽衣はそれでも、雪乃の顔を見る。天才的な少女漫画家が自分の理想を筆にこめて描いたかのような、綺麗に整っている顔立ち。そこに柔和でチャーミングな目や唇といったパーツが配置されている雪乃の顔は、改めて、見ているうちに溜息が出るほど、可愛らしい。隣にいる同学年の女子として、早々に降参の旗を上げたくなるような気持ちと、眺めていて役得と感じる気持ちが入り混じる。そんな混乱した気持ちが最後には腹立たしくなって、芽衣は思わず、雪乃の頬っぺたを、指で摘まんで、ムニュっと引っ張ってしまう。

「…………めいひゃん、いはいよ………」

「ほっぺもスベスベ、プニプニですかい………。雪乃、アンタ。この顔で、このオッパイ持ってるのって、ほんとズルだよ。………どっちか、神様に返しなさい」

 良く考えると、芽衣が友人の前で、ここまでストレートに顔や体への憧れやコンプレックスを口にするのは、珍しいことだったかもしれない。吉住芽衣は、人一倍シャイな性格を守って、時にオジサン言葉を使ったり、時に「普通の女の子がよくするトーク」には興味が無さそうなスタンスをとって来た。ここ1ヶ月ほどの、ブッ飛んだ体験の連続のせいか、芽衣から少しずつ、その頑なさが抜けてきたように、雪乃には思える。

「………ヤンッ………」

 オッパイを触られて、雪乃が胸を腕で隠しながら寝返りをうって、一度、芽衣に背を向ける。

「もうちょっと、触らせなさい。………あんた、デスティニーランド行った時、私にテンション上げてハジけるようにって、アンカリングしてたんだね。………可愛い顔して、悪い奴めっ」

 振り返った雪乃の顔は、悪戯っぽい笑みを浮かべていた。

「ゴッメーン。………あんな風になるとは、思わなくて…………。…………ウフッ……。芽衣ちゃんの、バストアップ体操についての秘密と相殺にして、許してよ」

「…………バストアップ? …………なにが?」

 キョトンとする芽衣の顔を抱きかかえるように、雪乃が大きくて柔らかいオッパイを押しつけた。

「芽衣ちゃん、バストアップ体操ってやる時、理想のイメージって言って、私のオッパイ、イメージしてたんでしょ。………さっき皆の精神体をつなげた時に、伝わってきちゃったぞ。…………いつもは、肩コリそうとか、服選び難しそうとか、私のオッパイのこと同情してくれてたのに………。お友達のオッパイを、そんな目で見てたのかい。………エッチッチ芽衣ちゃん」

「だって………私にだって、プライドとか、キャラとか…………。その………………………………面目ない………」

 芽衣が赤い顔で雪乃のオッパイ攻撃に押されながら、謝る。雪乃はクスクスと笑いながら、芽衣の体に覆いかぶさるようにして、オデコとオデコをくっつけた。

「………全部、共有するんだよね………。‥芽衣ちゃん、私のちょっと恥ずかしい遊びにも、付き合ってくれるかな?」

「………そりゃ………まぁ………。何でも受け入れるって、言い出したのは、…………私だし………」

 雪乃の精神波はそれほど強力な波動ではないけれど、至近距離でジワジワと共鳴させられると、精神体の奥まで入ってくる。芽衣は、精神体だけでなくて体全体が、ポカポカと柔らかく解れていくのを感じる。色んなことに気を遣うのが、だんだん億劫になってくる。遊園地で遊ぶ時には勝手にアンカリングをしてきた不届き者とはいえ、芽衣の片思いも見守って来てくれた親友だ。吉住芽衣は、自分の精神体のコントロールも、松藤雪乃になら、委ねても良いかと思えてしまう。………それも、アンカリングの一つなのだろうか?

「芽衣ちゃんの、プライドとか、キャラとか………。かえって芽衣ちゃんを生きにくくしてるんだったら、一度全部捨てちゃって、生まれ変わっちゃいましょ~。芽衣ちゃんは、可愛い、可愛い。何にも知らない、何にもわからない、何にも出来ない、赤ちゃんでちゅよ~。芽衣ちゃんは、私の大事な大事な‥・赤ちゃん。………言えるかな? ………お喋り、してみて?」

 ボンヤリ放心している芽衣の表情から、どんどん理性の色が抜けていく。リラックスしきった、無邪気で屈託のない表情で、口をたどたどしく動かした。

「めい………。…………あかちゃん…………」

「そう。芽衣ちゃんは赤ちゃん。………欲しいもの、好きなものがあったら、何でも正直に言って良いのよ。赤ちゃんだもん」

 そう言われて芽衣の顔はさらにほぐれる。アウアウと言いながら、雪乃の豊かなオッパイに手を伸ばした。

「オッパイ…………。オッパイ………」

「あら、お腹が空いたんでちゅか~。芽衣ちゃん。………どうぞ」

 雪乃が芽衣の頭を抱きかかえて、オッパイを吸わせる。芽衣は雪乃の、薄くて綺麗なピンク色の乳首をチュッと口に含む。ホッペを動かして、ちゅうちゅうと吸い始める。始めは丸くした目で雪乃を見たり、珍しそうに天井を見たりしていた芽衣が、やがて安心しきったかのように、うっすらと目を閉じていく。

 幸せそうな表情で寝息を立て始める芽衣。それを見つめる、さらに幸せそうな雪乃。2人はこのまま、一日中でもこうしていられそうだった。ところが、雪乃は芽衣の下半身の方から、チョロチョロと不吉な音を聞く。

「あらっ………芽衣ちゃん。オシッコ出ちゃったの? 困った赤ちゃんね~」

 雪乃が少し慌てる。芽衣はその声を聞いて、両目を開けた。気持ち両膝を曲げている足の間から、チロチロと遠慮がちに、オシッコが出てしまっている。シーツに大きな染みが出来ていた。

「…………めい………。………ちっち………」

 まだあどけない口ぶりで話す芽衣。雪乃は内心慌てていたが、せっかく手にした可愛い可愛い親友の赤ちゃんを、失うのがもったいなくて、懸命に取り繕った。

「大丈夫ですよ~。ママしか見てないからね。………ここには、伊吹君も、陸都君もいませんから、安心して、チッチしてて………………あ………ヤバ…………」

 聞き覚えのある男子の名前が耳に入ってから、芽衣の表情に少しずつ理性が戻ってくる。雪乃は慌てて共振を取り戻そうとしたのだが、芽衣の精神波の波長は荒ぶっていて、雪乃には掴み切れなかった。

「……………アンタ……………これっ……………」

 真っ赤になった芽衣が体を起こす。オシッコはもう止まっていたが、シーツに出来たシミと、ほのかに立ち上がる匂いは、隠しようがなかった。

「キャー、ゴメンなさい。芽衣ちゃんが怒った~」

 2階の部屋のドアから、雪乃が悲鳴を上げて飛び出してくる。オデコの生え際あたりに、赤いタンコブが出来ていた。

「次の方、どうぞっ!」

 半分ヤケクソになったような声を聞いて、里奈が部屋に入ると、ベッドのシーツが取り換えられて、中央部分に新聞紙が敷かれていた。芽衣がプリプリ怒っているので、里奈は何が起きたのか、聞くのをやめておいた。

。。。

「里奈さん………、やっぱり、怒ってないですか?」

 芽衣は顔の鼻から下をベッドのシーツに潜りこませたまま、隣に寝そべる年上の友人に聞く。気になっているのは、里奈さんの恋人、大雅さんのことだった。ついさっき、このベッドの上で(その時点では敷く方のシーツも残っていたが)、芽衣は大雅さんと寝たばかりだった。そのことを、里奈も知っている。こんな状況でどんな顔をして里奈さんと話せば良いのか、ティーンエイジャーの吉住芽衣には全く経験値が無かった。

「芽衣ちゃんは気にしなくていいよ。大雅が決めたことでもあるんだし………。それにね、アイツも私も、芽衣ちゃんには感謝してるんだよ」

 里奈さんは寝そべった体を肘で支えながら、芽衣の前髪に自分の指を通した。

「芽衣ちゃんにアンカリングを解いてもらわなかったら、私たちはずっと、知らない間に隼人に操られ続けていたんだと思う。大雅は男性として不能で、私は、………このお店とサークルの性欲処理係のお姉さん…………。今から思うと、そんな悪夢みたいな生活から、芽衣ちゃんが解き放ってくれたんだもん。怒ったりする訳ないでしょ………。今、芽衣ちゃんにお手伝い出来ることは、なんでもするよ。…………で、なんだっけ?」

 芽衣は答えようとして、もう一段階、顔が赤くなる。目の下まで、シーツに潜り込んだ。

「…………私と………、エッチしてください。…………里奈さんとの共振を深めるために、里奈さんの全部を知って、共有する必要があるの…………」

 芽衣が顔を覆っていたシーツをめくりながら、里奈さんが覆いかぶさるように顔を重ねて、芽衣にキスをする。ウェーブのかかった栗色の髪が、芽衣のオデコを撫でた。

 精神体の振動が共振していく。1オクターブ高い、倍音も聞こえた。

「え? …………わっ…………。これちょっと…………、急にこんなには………………」

 芽衣が焦った声を出す。彼女の体中を、男たちの手が、舌が、唇が、いっせいに愛撫し始める感触で覆いつくす。芽衣には一人一人の息遣い、発する男性的な匂い、そして興奮した体温まで伝わってくる。テクニシャンの舌先も、経験豊富なオジサマの指も、思い入れたっぷりの若い人の唇も、みんながそれぞれの動きで、芽衣の体を弄りはじめる。芽衣は体をよじって逃げようとしたが、あまりに色んなところを同時に刺激されているので、力が入らない。

「やめ………ひぇ…………」

 里奈に、チューニングのペースを落としてもらおうと、お願いしたかったのだが、口も自由に動かない。芽衣の唇を何人もの男の人の唇が塞ぐ。口の中に次々と指が入ってくる。舌が絡められる、吸い上げられる。まともに話すことも出来なかった。

(里奈さんの体験が…………全部一気に………入ってきちゃう…………うわぁああっ)

 芽衣が悶えながら、不意に腰を跳ね上げるように浮かせる。クリトリスを何人もの男の人に舐められて、弄られる感覚、まだ経験の浅い性器に舌を入れられる感覚、様々なおチンチンが一度に入ってくる感覚。それに加えて、もっと後ろの、恥ずかしい穴に、ヌルヌルした指が入ってくる感覚が芽衣の頭と体を混乱させる。逃げたかったが、手足に力が入ってくれない。

(っ!!! …………………!)

「…………ゴメンね………芽衣ちゃん…………。色んな奴と色んなこと、してきちゃったから………。やっぱり、一気に共有しちゃうと、………キツイかな?」

 里奈さんが穏やかな口ぶりで、芽衣の髪を撫でた。その眼はほんの少しだけ、イジワルな光を見せたような気がした。

(やっぱり…………里奈さん、ちょっと、………怒ってるー!)

 芽衣がおぼつかない体でのたうって、襲い掛かる快感の渦に喘いだ。そしてすぐに訪れるエクスタシー。果てた後もまだ、芽衣の体は沢山の男の人の手と口に愛撫され、トロトロに溶かされた。芽衣はただ、天井をぼんやり見つめて、ポロポロと涙を流した。

「…………刺激…………、強すぎた? …………ゴメンね。芽衣ちゃん。…………苦しかったね………」

 気が収まったのだろうか? 芽衣の涙を指で拭う、里奈さんの声は、本当に芽衣に同情しているように聞こえた。芽衣は首を小さく横に振る。

「…………気持ち………良かった…………。どうしよう………」

 まだ子供のように泣いている芽衣をあやすように、里奈さんが顔をかぶせて、キスをした。

 そのあと、どういう経緯で雪乃も入って来たのか、よく覚えていない。芽衣は夢中になって女の人の柔らかくて温かい体に何度もキスをした。雪乃にも里奈さんにも、大切なところを優しく舐められて、声を出して喘いだ。芽衣もお返しをした。3人の体が解けるようにジンワリとじっくりとお互いの体を愛しているうちに、気持ちがさらに高まる。気がつくと、宇宙の浮島に3人で辿り着いていた。口を開けて見回している雪乃、大雅も見た景色だと知って、心を震わせている里奈の手を引いて、芽衣は草の中を歩き、島の案内をした。最後には3人で、裸のまま走ったり、重力の小さな浮島の中を跳ねまわったりした。

 そして、帰って来た時、芽衣は朝よりも幾分か、自信と決意を固めていた。

。。。

 土曜の昼下がり、最近忙しい藤代隼人メンターはいつもの時間よりも20分ほど遅れて、喫茶ダイニング『グラス&ウール』に来店した。カウンターの向こう側には、鵜沢大雅マスター。いつもの様子でグラスを拭きながら開店の準備をしていた。カウンターの椅子には、予備校生の川辺伊吹と、女子高生の吉住芽衣。壁側の、一番奥の椅子は、空いていた。レッスンを始める前にいつもそうしてあるように、大きな丸テーブルは壁に立てかけられていた。

「今日は2人は、2階じゃないんだ」

 丸眼鏡の鼻宛の部分を指で押さえながら、隼人さんは笑顔でスピリチュアル・パートナーの2人に話しかけながら、椅子に座る。いつものドリンクが出てくる。こうやって優しく茶化すと、いつも芽衣と伊吹は顔を赤らめるのだが、今日は少し反応が違う。伊吹は固い表情で生唾を飲んでいた。芽衣は、普段通りの物腰を心掛けているようだが、少し目が座っていた。2人とも、緊張しているのだ。隼人の可愛い、教え子たちだった。

「芽衣ちゃんは…………。増幅器として使われているのが、不満なのかな? ………君みたいな才能は、日本で10人くらいしかいない、貴重な資質なんだよ。…………正確には、13人なんだけど、今日現在で」

 芽衣と目線が合う。隼人は穏やかな表情を崩さなかった。

「これでも、協力的なNASC支部と、駆けずり回って掘り出した才能たちだよ。皆、芽衣ちゃんみたいにキラキラ輝いてる。15人もいれば、東アジアはカバー出来る。皆で人類を新しい次元に引き上げるんだよ。同志はアメリカにも、ヨーロッパにもいる。一斉に網を張れば、埋もれた才能は一気に掘り起こせるようになる。もう少しだ。………その日は近づいていると思ってね」

 芽衣は隼人を真っすぐ見据えていた。言葉を選んで、やっと口を開こうとする。

「その日は来ないな」

 横から、大雅マスターが、芽衣が話そうとしたところに割り込んだ。伊吹から見ると、マスターはいつもと違う表情をしている。声も厳粛な中にもどこか、力強さが感じられた。隼人メンターが視線を向ける間に、マスターは精神体を解放する。その過程で肉体の後ろ髪を留めていたゴムが千切れたようで、長めの髪が肩まで降りた。大雅マスターの精神波は、喫茶店自体と共鳴を始めた。

「おや?」

 隼人メンターは穏やかに口にして、マスターを見る。視線を交えるだけで、様々なことを察したようだった。ここにいるメンバー全員が、引き返せない一歩を踏み出したのだと実感した。

「1分。…………いや、40秒だな」

 マスターは事前に作戦を練っている時、芽衣に呟いていた。隼人メンターのアンカリングから解放されたマスターが全力を使っても、今の隼人メンターの精神体の波動を抑えこめるのは、40秒までだと言う。

「それでも、その40秒は、この店の中でだったら、隼人からの干渉を抑えこむつもりだ。あとは、君たちに委ねるしかない」

 大雅マスターはお店の天井や壁のあちこちに掛けてある油絵を見回していた。どれも絵の裏に、適切な材質の金属でしつらえた、反射板が仕込まれていた。芽衣は初めてこのお店に来た時のことを思い出していた。チグハグな位置に掛けられているように見えた絵は、全て角度が計算されて配置されていたのだった。カウンターの一番奥、特等席に座る人の精神波を抑えこむために。

「大雅さん………。貴方、いつ僕のアンカリング解いたの? …………ま、いいか。………この感じだと、1分持たないと思うんだけど、それからどうするつもりなのかな?」

 隼人メンターはまだ微笑んでいた。陽炎のように沸き立つ彼の精神体は、その波動を、様々な角度から浴びせられる逆位相の波動と打ち消し合っている。芽衣の頭の奥に、様々な音階の振動音が鳴り響いて、ぶつかり合っていた。芽衣は集中力を解かないように気をつける。伊吹が芽衣の2メートルほど後ろまで歩いていく。手筈通りだった。

「必要ないです」

 自分が発した言葉の意味を、芽衣は妙に冷静に、第3者くらいの視点で考えていた。1分も必要ないと言いたかったのか、それとも自分は、他のことについて語ったのか。

 店内1階からそう遠くない場所で、精神体が振動を発生させる。神経を研ぎ澄ましていた、隼人メンターを含む、全員が、その精神波に気がつく。場所は2階と、道を跨いだ向かい側にあるアパート。大雅が住んでいる部屋。伊吹が見上げると、小さな窓から松藤雪乃が、いつにない真剣な表情で、懸命に精神波を出していた。その波動は、この店の2階の窓に、向かい合うようにして立っている里奈さんの出す波動とぶつかり合う。そこで生まれる倍音の中の16倍音が、細かな振幅を出しながら、角度を変えて下へ降りて来る。その精神粒子の波は、錫でできた店の看板。武骨な質感と奇妙な角度で吊り下げられていた看板に当たって、反射角を店内1階に向ける。1階の壁に立てかけられた、裏側が円錐型にくぼんだ丸テーブル。スピーカーの振動板のように精神波の倍音と共振して、前に立つ伊吹に当たるように反射する。

 店のベルがカランカランと、誰もドアを開いていないのに、小刻みに音を上げる。雪乃と里奈の精神波の16倍音が適切にチューニングされていることを示していた。2人は角度の微細な調整を、練習通り、うまく合わせてくれていた。何より課題だった、雪乃側の高さの調整が、うまくいっている。彼女を20センチほど持ち上げて、里奈の呼吸に合わせて微妙に上下を調整しつつ支え続けるという、恐ろしく腕力のいる仕事を、雪乃の彼氏であるマッチョガイが、一つ返事で了解してくれたおかげだった。

「皆で倍音を作って、僕の精神体を………。いや、肉体も、精神コアも、打ち消そうとしているの? …………凄い発想だね。‥‥現実的には、複数メンバーの誤差が生まれるから、不可能だけど、とても筋の良い考えだ。考えたのは、………大雅? …………芽衣ちゃん?」

「全部…………。貴方が教えてきてくれたことです」

 芽衣は伊吹と隼人の間に立って、隼人に向かい合いながら両手を水平に伸ばした。この店全体がスピーカーの構造になっているというのも、ただのイメージ。けれど精神体が活動する世界で、イメージは何より大切なものだと、芽衣に教えてくれたのはメンターだった。そして、このイメージも。芽衣はお尻の少し上の部分から伸びる、精神体の尻尾をもう隠さなくなっていた。その尻尾は4本。伊吹だけでなく、様々な方向に伸びている。大雅、雪乃、里奈、伊吹の精神体と結びついて、精神粒子1個分の微細な調整も、今だけ可能にしてくれていた。

 伊吹が背中から届く16倍音に、さらに自分が今出せる最小振幅の高周波を出す。さらに振幅の細かい、超々高周波が生成された時、その消え入りそうな波動が芽衣の背中に届く。5人の細心の調整通り、それは慣れ親しみ、畏敬の念をもって感じ取ってきた、偉大なメンターの精神コアの生み出す波形と、正確に逆位相の波動になっていた。高性能ヘッドホンなどに搭載される、ノイズキャンセリング機能と同じ原理。隼人メンターが芽衣に教えてくれた、反同調の技法だった。芽衣が僅かな増幅を行い、隼人さんに向けた、その波動が、届く前の、ほんの一瞬、彼女は藤代隼人メンターが表情を崩すのを見た。

 悲し気な表情と言って良いのだろうか、それとも眉をハの字にして破笑しようとしていたのか、それを確かめる前に、芽衣たちの作り出した精神体の波動が、メンターに当たっていた。

「それ」が起こる瞬間、マスターは、店内いくつかのグラスが、割れることを想像していた。伊吹は、凄い光が、例えばバシュッと音を立てて迸ることを想像していた。芽衣は、純粋にどうなるか、副作用については分かっていなかった。いくつかの予想に反して、芽衣たちのメンターは、表情を変えようとした一瞬の残像だけを彼らの脳裏に残して、ただ静かに、その場から消滅していた。まるで、藤代隼人という人間なんて、最初からその場所にはいなかったかのように、カウンターの一番奥の席は、静かな空洞になっていた。黒い座面の回転椅子が、ゆっくりと回っている。そのことだけが、2秒前までこの場所に、誰かが座っていたことを想像させていた。

。。。

 計画を進展させようとしていたNASC支部のいくつかは、しつこくNASC武蔵野にコンタクトを続けていたようだけれど、前メンターの鵜沢大雅さんが対応しているうちに、少しずつ熱を失いつつあるそうだ。元々、それほど強い団結力と統一の目標を持っていない研究団体の集合体なので、ゆっくりとまた、自分たちの興味の対象に向けて、バラバラの活動に戻っていく。それが大雅さんの見通しだった。

 吉住芽衣はあの日のあと4日間、熱を出して寝込んだ。お母さんが大きな病院に連れていくことを考え始めた頃、やっと熱が引いて、登校することが出来るようになった。その後、一か月ほどは、喫茶ダイニング「グラス&ウール」に顔を出すことをしなかった。

 人間を1人、消した。そして人類の進化を妨げた。1人の女子高生が背負うには、重すぎる事実だったと思う。その事実のほんの一端を咀嚼するのに、50日近い、日数がかかってしまった。芽衣がお店に週2回、以前のように通い始めるようになった頃、街はもう肌寒くなっていた。

。。。

「芽衣ちゃん、最近、伊吹君とは会ってる?」

 里奈さんが聞く。駅前のカフェで、こうして里奈さんと雪乃とお茶をするのも、少し久しぶりだ。里奈さんは今、以前はしていなかった銀色のリングを、左手の薬指につけている。

「うんん。………そろそろ、受験も追い込みのシーズンだからって、予備校と図書館を往復してるみたい」

「私たちも、こうやって会うの、ちょっと久しぶりだよね。おんなじ大学に上がらない友達もいるから、芽衣ちゃんも、その子たちと集中的に遊んでるっていう感じでしょ?」

 雪乃が芽衣に肩を寄せながら、里奈さんと話す。以前の雪乃は、恋バナの時だけは目の色を変えて積極的になっていたけれど、それ以外の会話は、どちらかというとニコニコと聞いていて、何か聞かれた時にだけフンワリした答えを返すタイプだった。今は前よりも、自分から自信を持って話してきてくれる気がする。髪型も3学期を迎えて、ウェーブをかけていた。前のお嬢様っぽいストレートロングよりも、少しだけ大人びた雰囲気だ。モコモコの白いセーターを着ているセンスは、変わらない。そしてそのセーターを押し上げている、立派なお胸の膨らみも、変わらない。

(ここは相変わらず、羨ましいものですな。)

 芽衣は内心、呟く。雪乃がクスッと笑いを返す。

「そだね。………雪乃は、亮也さんと、うまくいってる?」

「うん。昨日もタンクトップだった。1月なのに、汗かいてたよ」

 芽衣が求めていた回答とは、少しズレた返事を返す雪乃。このあたりも、全く変わっていない。ここのところ芽衣は、友達とコミュニケーションが思い通りにいかない時のもどかしい気持ちも、楽しめるようになっていた。気の持ちようだろうか。夏から秋にかけて色々な体験をしたことによる、余裕だろうか。

「土曜日、久しぶりにNASCのメンバーが皆揃った時、伊吹君が芽衣ちゃんに何か話してたでしょ。あれって伊吹君、何を聞いていたのなか?」

 里奈さんが、注意深く言葉を選びながら、芽衣に質問してくれる。彼女はハッキリと、「NASCのメンバー皆」と言った。そこに藤代隼人さんはいなかったけれど。そのことが、里奈さんの何かの宣言のようにも響いていた。

「信じられます? ………伊吹、私にコソッと耳打ちしてくるから、何かと思って聞いたら、『芽衣ちゃん、アカシックレコードを覗いた時、過去だけじゃなくて、未来も見えたのかな?』って聞いてきたんです。だから、私、てっきり彼の、大学受験の結果を知りたいんだと思ったんです」

「あー。未来か…………。確かに気になるね」

 里奈さんは話しながら、唇についたティラミスをペロッと舐めとる。そのオトナな仕草もセクシーだった。

「私もっ。結婚式はドレスで教会って、ずっと決めてるのに、パパは神前式とか言うし、亮也はボストンにあるジムチェーンの1号店とか言うから、ずっと気になってて」

 急にテンションが1段上がる雪乃を「どうどう」と落ち着かせながら、芽衣は話す。

「そしたら伊吹。『芽衣ちゃんが未来で選んでるのは、陸都君か、僕か、もしわかったら…………』とか言ってきたんです。ありえないと思いません?」

 里奈は仰け反って、眉をハの字にして笑う。雪乃も、里奈の楽しそうな様子を見て、ニッコリ笑った。

「伊吹君らしいよね…………。未来の質問とかするより、今の芽衣ちゃんの気持ちをストレートに聞いてきたらいいのに。………でも、そうしないのが、伊吹君かな。やっぱり」

「で、で…………。芽衣ちゃんは見えたの? 皆の未来」

 雪乃の目は輝いている。芽衣はこのキラキラした美少女の期待をしぼませることに、申し訳ない気もしたが、素直に伝えた。

「ん…………。過去はハッキリ定まって見えてたけど、未来の方は、………色んなオプションがブレブレに重なってて、何とも言えない感じだった」

 里奈さんは、その答えに納得したのか、ニッコリ笑って、細いスプーンをお皿に置く。雪乃はまだ納得いかないのか、鼻息を荒くして、不満そうにしていた。

「もしかしたら、右に行くか左に行くか、迷うから精神体が振動するのかもしないよね」

 芽衣がそれだけ言うと、雪乃は黒目を上にして、難しそうな顔で考え込んでいる。

「じゃ、芽衣ちゃんには、両方見えたんだ。陸都君とお付き合いしていく未来と、…………伊吹君との未来も」

 里奈さんに言われて、思い出してみると芽衣の顔は赤くなる。

「いや、その。それ以外もいっぱい見えたんですよ。両方と付き合ってる未来とか、どっちにもフラれる未来とか………。受け入れられます? そんなの四六時中見えてる状態」

 フフフっと里奈さんが笑ってくれた。

「私も、無理だな。…………だから、芽衣ちゃんは今、扱う粒子と精神波のレベルを、私たちと変わらないレベルまで落として、抑えてるんだ」

「えぇ…………まぁ………」

「………ちょっと、もったいない感じするなぁ。………ホントは芽衣ちゃんが日本一なのに」

「いや…………。私、………ちょっとだけチートな、普通の学生でいいです。…………お構いなく」

 芽衣が答える。肩で、小さく隣の親友の肩を小突いた。雪乃とクスクスと笑い合う。正面に座っている里奈さんは、少しだけ悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「………でも、もしかしたら、尻尾一本だけ残して、私たちに見えないくらい細かい粒子で、まだ繋がってたりして。………誰かさんと…………。なんてね」

 里奈さんに言われて、反射的に芽衣は自分のお尻を、椅子の上から押さえる。3秒ほどたって、その反応で、何かがバレてしまったことに気がついて、芽衣は赤面したまま、里奈さんを恨めしそうに見た。

「そんな、尻尾なんて…………。花も恥じらう乙女でございますから、もうとっくに、無くしてます。…………人間だもの」

 自分に言い聞かせるようにして、心を静める芽衣。5秒ほどの沈黙の後で、彼女はまた口を開いた。

「ウキッ!」

 近くのテーブルのお客さんの何人かが振り返るような大きさで奇声を上げたあとで、その「花も恥じらう乙女」は、悔しそうに里奈と雪乃にニラミを効かせた。

「…………で、………今、言わせたの、どっち?」

 今日のデザートを奢るのが、誰になるか、芽衣は笑いを堪えている里奈と雪乃を交互に見つめた。

 カフェを出ると、冬の空が抜けるように青い、穏やかな天気。スカートを履いているので自重するが、芽衣の内心は、その場で側転したくなるくらい、軽やかになっていた。

<おわり>

3件のコメント

  1. 読ませていただきましたでよ~。

    隼人メンターをどうにかするのは予想してたのでぅけれど、肉体レベルで消滅させるとかなんて恐ろしい・・・
    MCサイトらしくMCして無害にするとかだと思ってたのでぅけど、その程度だとまた復帰しちゃうんでぅかね?

    みんなで掴んだ勝利・・・といいたい所でぅけれど、啓吾さんと学さんは仲間はずれw まあ、あの二人は欲望マシマシでどう考えても協力してくれる人たちじゃないでぅからね。しかたないでぅね。
    そしてMVPはどうかんがても亮也さんでぅねw みんなで振動を発しようと頑張ってる中、力技で雪乃ちゃんを持ち上げてる姿を想像したらものすごいシュールな図が浮かんでどうしようかと思いましたでよ。
    雪乃ちゃんが座ってる椅子を持ち上げたのかお姫様抱っこで上下させていたのかそれが問題でぅ(何も問題ではない)
    みゃふのイメージでは座椅子か何かに正座してる雪乃ちゃんを椅子ごと腕力だけで後ろから持ち上げてる感じだったのでぅがw

    それにしても共振は音波、そして周波数っていう物理分野、さらに音楽分野にも関わってきてるから理屈っぽい理由付けもすっきりと説得力があって納得しやすかったでぅ。精神が時間も空間も超えてアカシックレコードまでいっちゃうのはともかく、隼人さんの肉体まで消しちゃうのはちょっとだけ納得いかないでぅけど(まあ、突っ込むと精神と肉体にどこまで境界があるのか、精神波が物理的な力を持ちえるのかどうかという学術論に発展しそうな気がする)

    そんなこんなで最強の力を手に入れてしまったけど、力を抑えてる芽衣ちゃんが平穏を守りたい花も恥じらう乙女にちゃんと見えますね。
    雪乃ちゃんはともかく、芽衣ちゃんならこの先もほんのちょっとのチートで普通に恋愛しそうな気がしますでよ。

    であ、今度は冬でぅかね。
    楽しみにしていますでよ~

  2. 最終話、読ませていただきましたー!

    なるほど、精神だけでなく物質も全て波長なので、逆位相の精神波を当てれば完全に消滅させられる……いわゆる粒子と波動の二重性というやつを利用した技術ですね。まさか現実の物質をイメージ通りに変容させることも可能とは……
    ところどころ、コップを変質させるシーンとか、みんなの波長を合わせてぶつけるシーンとかが、映画っぽく非常に視覚的にイメージできます。
    スピーカーと波動を利用したMCというテーマでここまでレベルの高い描写を見せつけられるとは……!

    これ、他のNASC支部の中にもある程度協力者がいるみたいですし、隼人さんと同レベルまで到達した人とかそのうち登場したら世界がヤバいですね。
    というか、これだけ波動使いが増えている時点である意味既に人類の進化の第一歩を踏み出してるw
    しかし結局隼人さんはただ一つになった人類の姿が見たかっただけの目的だったのかは、気になりますね。
    >「現実的には、複数メンバーの誤差が生まれるから、不可能だけど、とても筋の良い考えだ。」
    このへんの台詞を見るに、隼人さんも同じこと考えてたっぽいんですよね。多分人類全体が一つになれば、誤差とかもなくせると思うので、もしその統一意思がその気になれば、相当なレベルでの現実改変ができるともくろんでいたと予想。
    それこそ神にでもなって、宇宙開闢とか未来干渉とかしようとしていたのかも?
    想像は尽きません。

    次回は年末でしょうか。楽しみに待っています。

  3. うわー..文をよく使うの翻訳越しに感じられる. 次の作品も非常に期待されます!

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