共振 第6話

第6話  この人たち、ニューエイジ・スピリチュアルコミュニケーションなんて大げさな言い方をして、毎週会合のように集まって、現代の科学で解明しきれていない謎の力を習得して、ただヤラシイことしているだけじゃないか。  芽衣は

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共振 第5話

第5話  月曜日の青蘭学園高校、3年D組の教室には甘い雰囲気が漂う。クラス1のイケメン、白川陸都の隣に、こちらも指折りの美少女、吉住芽衣が体を預けるように寄りかかって座っている。芽衣の表情はリラックスそのものといった様子

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共振 第4話

第4話 「え………全ライド、ファーストパス使いたい状態………」  いつも温和な雰囲気の大雅マスターの表情が曇った。 「はい………。私も、他の人たちを待たせて、私たちだけ優先的に何回もっていうのは、良くないんじゃないかって

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共振 第3話

第3話 「精神干渉って、結局のところ、精神体が振動する波長は合わせながら、振幅はこちらが強めにして、共振状態を主導するっていうことで正しいですか?」 「…………まったく、その通りだと思う」  メンターは頷く。ゆっくりと微

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共振 第2話

第2話  うっかりすると、呼吸をすることを忘れてしまうくらい、気まずい時間だった。同じソファーに座って、上体を捻るようにして向かい合っている伊吹と芽衣。吉住芽衣は今、セーラー服のスカートの裾を、自分の胸元の高さまで、両手

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共振 第1話

第1話  カランコロンカラン。  Cafe Diningグラス&ウールという名のお店は、木でできたドアを開くと、赤茶けたベルが、乾いた金属音を立てる。その音はどこか、牧場で飼育されている牛の首についた鈴の音を、芽衣に思い

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回路

 河川敷の土手、電車が川を渡るところが一番良く見渡せる位置まで来て、僕は腰を下ろした。手にはファミチキ。川向こうでは草野球の掛け声が響いている。僕が、湿った草の上に腰かけると、制服のズボンを通して生暖かい、雑草の湿り気が

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The Galactic Chasing

『ティナ、繰り返すよ。これ以上の追跡は危険。  流星群のうちのどれかにヒットしてグシャグシャになっちゃう。  腐れ縁の旧型プラネット・ホッパーも今日でスクラップだってば!』 「うるさいっ。ダニーボーイは突入傾斜角の計算に

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盗心器

 私の名前は松戸博士。唯のさえない科学者だ。そう、昨日までは。  私はようやく完成させた。長年研究を続けていた、その作品を。  今まで誰にも見向きもされなかった私だが、これでノーベル賞も夢ではない。 「ふふふっ、はーっは

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