明るい奴隷生活のすすめ 後編

後編

 はい皆さん、全員とても大人しく、時間前にお席に戻ることが出来ましたね。

 今年の奴隷訓練生たちはとても優秀だと思います。意外と早く到達することになるかもしれないのが、これから説明する、後期洗脳工程です。

 ここまで来ると、奴隷それぞれに、その後のお勤めに直結した、かなり個人差の大きい課程になるので、私がお話しすることも、あくまでも一例としてお聞きください。

 私は中期工程の修了後に、かつての部下だった梅野一馬様に伴われて、元のイベント企画会社へ戻りました。長期休暇からチーフプランナーが戻ったと思っていた元同僚や部下たちは、それはびっくりしていましたね。私がイベント企画部から異動して、会社の雑務・雑用を行う、一般アシスタント職に職種変更したからです。もちろん、アシスタントというのはただの名目上の役職です。私の本来のお仕事は、ご主人様たちへのご奉仕になったのですから。

 以前の私は、会社や業界、社会の仕組みが男の人優先に出来ていると感じて、秘かに憤りを抱いていました。そうした旧態然とした社会構造への怒りが、自分の仕事に打ち込む原動力だったのかもしれません。けれど、いざこうして奴隷になって会社に所属してみると、男の人たちも、色々なストレスを貯めこんでいるんだなぁって、感じるようになりました。

 だって、私は会社所有の性奴隷になって、後期洗脳工程の実習中なんですから、仕事なんて放ったらかして、男性社員の皆さんが私の体を一日中酷使したって、誰も文句を言わないはずです。それでも、会社は表向き上、私に役職を与えて、雑用とは言え、役割と居場所を提供してくれます。そして男性社員の方々への奉仕も、時間を決めて、ルールに基づいて行われることになっていたんです。男の人たちって、単に職場に無料の風俗嬢がいるような状況はそれほど長い期間、楽しむことが出来ないようです。それよりは、自分たちと同じ立場の同僚、会社員としてのOLに、色んなエッチな悪戯をし続けることで、長い期間、精神を安定させることが出来るようなんです。………ちょっと複雑というか、ナイーブというか、男心の、難しいところですよね。

 私は毎朝、皆さんの出社時間の1時間前から、曜日によってフロアを決めて、お掃除をして皆さんをお待ちします。午前の勤務時間中は皆さんの小間使いとしてお茶を入れたり、ジュースを買ってきたり、お掃除をしたり、シュレッダーの紙屑を片付けたり、文房具を補充したり、靴を磨いたり、耳掃除をしたりして、職場環境を精一杯良くすることに努めます。最初のうちは私の元後輩や部下たちは、私に指示をすることを躊躇っていました。それでも、私が心から嬉しそうに皆さんの指示に従ってテキパキと雑用をこなしているのを見ているうちに、1週間もしないうちに、私に指示をくれるようになりました。中には、わざわざ私の目の前でボールペンやメモ帳を床に落として行く、若い男性社員もいらっしゃいます。私が笑顔で体を折り曲げて、膝は伸ばしたまま前屈するように落とし物を拾う間、私の後ろで首を伸ばしている男性たちの気配がします。タイトでミニのスカートを着用するように指示されていますので、多分何かを拾うたびに、下着が見えちゃってるんだと思います。でも、これくらいのことで、仕事のストレスがちょっとでも解消出来るなんて、男の人って、なんだか、可愛らしいですよね?

 以前、一緒にランチを食べていた同期の仲間や後輩たち、女性社員の多くは私のことを心配してくれていました。それでも、それは私にとっては少し、気まずい状況でもありました。

「明穂って、休暇中は何してたの?」

 その質問をされると、私の深層意識の中で、カチッと音が鳴るような気がします。そうです。私には外出するにあたって、何種類ものトリガーが仕掛けられているのです。『わっ…………トリガーが………。まずいよ~………』と、一方の心では思うのですが、私の体は仕込まれた一連の行動を、丁寧に、忠実に再現してしまいます。

「休暇中? …………実はね、体のメンテナンスを色々としてたの。ちょっと見てくれるかしら? ………ほら。バストを綺麗に保つトレーニング。体のラインにもメリハリが出て来たと思わない?」

 私の頭の中では「キャー。やめてー、とめてー」と悲鳴を上げているのですが、顔は笑顔、口調もスラスラと、私は仕込まれたセリフを口にしながら、服を脱いでいきます。会社の食堂でも、お洒落なカフェでも、高級レストランでも、私は同僚や後輩が止めるのも聞かずに、下着姿になって、胸を強調させるような姿勢でストレッチを始めます。店員さんに注意されたり、周りが大きな騒ぎになりかけた時に、やっと私の体と心は解放されます。けれど、私はこんな破廉恥な行動の本当の理由を誰にも伝えられません。そんな時は、周りの女性たちのサーっと引いていく音が聞こえるような気がしますよ。少しずつ、女友達にランチやお茶に誘われる回数が減っていきました。

 噂が広まるのは凄く早くて、私が元々親しかった女性社員や後輩に食事に誘われることが減るのと同時に、男性社員の方々からは良くお誘いを受けるようになります。彼らはお昼休みの限られた時間を精一杯、満喫するために、わざわざ会議室を予約したりして、人数分のお弁当を準備して私をランチに誘ってくれます。

「志岐さん、お休みの間は、何してたんでしたっけ?」

「仲西君に説明するの、何回目? ………もう………。私は美バスト維持のトレーニングとか、………こうやって………ね」

 少し顔を赤くしながらシャツを脱いで、丈の短いタイトスカートを下ろしながら、私が丁寧にストレッチ体操の説明をします。下着姿の私が体を伸ばしたり捻ったりするところを、男の子たちがスマホのカメラに収めていきます。多分、この映像や動画を見たこの子たちの同僚たちが、明日はさらに殺到してくるのだと思います。こうやって、私がこの会社のエッチな欲望を満たすためだけにいる奴隷であることが、少しずつ、ジワジワと浸透していくのだと思いました。

「へぇ~。さすが志岐さん。美人は自分磨きにも手を抜かないですね。バストはこんなにおっきいのに、全然垂れる感じしないですもんね」

 ………胸を、褒められた…………。私の中でスイッチがまた鳴ったような気がします。まだお弁当ちょっとしか食べさせてもらってないのに、困ったな、とか、いっぱい動画撮られてる………とか、アレコレ考えたりもするのですが、このスイッチが入ると頭がボーっとして、あんまり考えがまとまらなくなってしまいます。私はブラジャーのホックを外して、ストラップを肩、腕と抜いていって、オッパイが零れ出るままに、両手を腰の後ろで組んで、背筋を伸ばします。

「私の………オッパイを、褒めてくれて、ありがとう。…………お………オッパイは、男の人の手で、愛してもらうほど、綺麗になるから………。良かったら………、ちょっと、触ってくれるかな?」

 はしたない言葉も、全部録画されています。私はもう、恥ずかしさと、おそらく人工的に湧き上げされられている快感とで、頭が茹るような気がして、ほとんど放心状態です。そこを1人1人、男性の同僚たちに、会議室の中でじっくりとオッパイを触られ、揉まれ、摘ままれたりしながら、お昼休み中、悶えて過ごします。いつも気がつくと、お昼休みの終わりを告げるアナウンスが聞こえています。満足してお弁当の箱やお茶のパックを片付け始める男性社員たち。正気に返った私は、身だしなみもそこそこに、大急ぎでお弁当をかきこむのでした。

 会議中に同席を求められることもあります。大抵、出席者の方々はテーブルの席について、懸案事項のディスカッションをしています。私は資料をめくるのをお手伝いしたり、お茶をついで回ったり、その間にお尻を撫でられるのを我慢したりして、時間を過ごしています。ところが、ある時、一人の若手社員さんが、私をからかうような遊びを思いつきました。真剣な会議の途中、出席者の一人に手招きをされます。この人も社員である以上、私のご主人様ですから、私は音を立てないようにしながらも急いで、その方のもとに早足で向かいます。

「このポストイット、預かっておいて」

 黄緑色の、小さなポストイットでした。メモ用でしょうか?

「はい。かしこまりました」

 私がワイシャツの胸ポケットに入れようとすると、その社員さん(私よりも後輩だと思います)は、ウォホンと咳ばらいをしました。私が緊張で背筋を強ばらせます。

「大事なポストイットだから、志岐ちゃんのブラの中にしまっておいて置いて」

 囁いてくるその顔をよく見ると、何日か前、私をランチに誘って、ずいぶん長い間、私のオッパイを捏ね繰り回していた方でした。

「は………はい。………かしこまりました」

 私が少し頬を赤くしながら、シャツの襟元に手を突っ込んで、モゾモゾとブラの中にポストイットを押し込んでいきます。真剣な会議の場だと、余計に私の場違いで仕事に相応しくない動きが、情けなく感じられます。でも、私が口答え一つせずに従っているのを見た、その男性は、満足そうに頷いていました。

 5分ほどたってから、その方はもう一度私を手招きします。

「ポストイット」

「あ………はい。少々お待ちください」

 私が小声で応対しながら、シャツのボタンを3つ目まで外して、手を下着に入れようとした時、その方が囁きました。

「いい………。時間ないから、僕が直接取ってあげるよ」

 私は眉をひそめて、その方の顔を見ました。少し強気に「はい?」と聞き返してあげようかと思ったのですが、その方と目が合うと、私は自分の立場を、自分の役割を、自分の存在理由を思い出して、そのままカーペットの上に両膝をつきました。

「お………お手数おかけします」

 私は跪いたまま背中を弓なりに反らして、シャツの胸元を両手で引っ張るようにして、その後輩さんの手を、胸元に迎え入れる体勢になっていました。手が、淡い花柄のブラジャーの中にもぐりこんで来ます。私はオッパイとカップの間に少し隙間を作るように姿勢を調整して、その方の無遠慮うな手を受け入れたのでした。サワサワと、手がオッパイの上を這いまわります。あまりポストイットを探しているような指の動きではありませんでしたが、途中何回か、小さな紙の束は彼の指に触れたと思います。

「あ………これかな? …………これ………これでしょ?」

「あのぅ…………」

 私が、恐縮しながら、後輩さんの顔を上目遣いに見ます。

「それは………乳首です」

「ふ………ん………。………じゃ、これか? これじゃない?」

「………それも、………乳首です………」

 私が後輩さんの耳もとで囁いていると、ウォッホンと、一際大きな声で、咳払いが聞こえます。声の主は、しかめっ面をして隣に座る、課長でした。総務課の高崎課長は私も良く存じ上げています。真剣そうな顔で会議に臨むのですが、実のある発言をされたところは見たことがありません。それでも私は、恥ずかしさと申し訳なさに身を縮めながら、膝に手を置いて頭を下げました。

「失礼しました」

 ほとんど土下座の姿勢です。シャツの襟元が広がりきっていたので、きっとブラジャーや胸の谷間も見えてしまっていたと思います。

「あのー。課長もポストイット、如何ですか?」

 後輩さんは、能天気な発言をします。私が元のチーフの役職にいたら、他部署の子であっても、叱っていたと思います。ところが………。

「ん………。一つもらおうか」

 高崎課長はしかめっ面を少しも崩さずに、手のひらを上にして、手を伸ばしたのでした。

「ほら、………志岐さん」

「はっ…………はい。ただいまっ………」

 後輩さんの悪ふざけに完全に乗せられてしまった形です。私はご主人様たちのご指示に逆らうことは出来ませんので、慌てて課長の近くまで膝立ちで進んで、胸元にその手を招き入れます。モゾモゾとブラのなかを弄られると、私の背筋がゾクゾクするのですが、拒否することは全く出来ませんでした。

「………これかな?」

「………乳首です」

「………………じゃ、こっちかな?」

「こっちも、乳首です」

 結局私はそのやり取りを、会議の出席者、ほぼ全員と繰り返すことになりました。ほぼ全員と言ったのは、会議の終わり掛けに私のオッパイを触っていた社員さんが一言、「張りがあって、良いオッパイだね」と私に話しかけてしまったために、そこで「ポストイット遊び」は終了することになったからです。

 男の人に………胸を褒められた………。そう思った瞬間に、また私の深層意識でカチンとスイッチが切り替わります。私はその場でシャツを脱ぎ始めて、ブラジャーを外してオッパイを突き出して、触ってくださいと、会議中にその社員さんに迫ります。ブラが捲れた瞬間にカーペットの上に、黄緑色のポストイットが落ちたことも、もう誰の興味もそそりませんでした。

 それからも、会議に同席を求められることは時々あります。私は今も会議中は資料を配ったりお茶のお代わりを注いだりして回ります。でも今ではブラの中にはポストイット、ショーツの中には蛍光ペン。そして口の中には、のど飴を入れて会議のサポートをしています。会議中にポストイットや蛍光ペンが必要になった方に下着の中を弄られたり、喉を潤したい方とはキスをして舌を絡ませ合っています。それでも、何となく会議が進んでいくのだから、日本企業って不思議ですね。

 あっという間に、私の噂は全社に広まっていきます。社員証を首に下げている人のためなら、面識がなくても、一声かけられると小間使いに走りますし、求められればその人の席の掃除や靴磨き、ネイル磨き、耳掃除まで、心をこめて丹念に行います。おまけにどこにいようとも、どんな状況でも、私は社員さんに胸やお尻のことを褒められると、その場で服を脱ぎ捨てて、オッパイやお尻を丸出しにして、満足いくまで触らせます。すぐに私に仕事を頼みたい、しばらくこのフロアで雑務をしてもらいたい、手伝ってもらいたい会議がある………。私の元に、ご要望が殺到しました。そこでシステム課が、円滑に私を共有するためのシステムを整備してくれました。お声がけして頂いたのは、守口常務だそうです。………本当に、何から何まで周到な常務様ですよね。

 1からアシスタントスタッフを扱うシステムを立ち上げる時間が無かったそうで、私は備品共有管理システムの中で、メニューの1つとしてスケジュール管理されることになりました。会社の備品の1つ………。そう思うと、ますます私は奴隷としての自分に実感が湧いてきましたね。

 会社のイントラネットに入って、設備・備品予約というメニューを選びます。会議室予約や、プロジェクター、スクリーンの貸し出し、出張用パソコンの次に、「志岐明穂」という備品が出てきます。こちらを選ぶと、貸し出しスケジュールが出てくるのです。基本的に午後の勤務時間帯の中で、私を選んでもらいます。15分から1時間でご予約頂けますよ。

 会社の風紀を守るために、基本的には会議室と一緒に私を予約して頂くことになります。密室で私が、私を予約した社員さんとどんなことをすると思いますか? もちろん。エッチなことですよね。私は性奴隷ですから。けれど、本番のセックスは、1日のうちで回数に制約を設けられていますので、基本的には会議室と私の予約の他に、所属長の承認が必要になります。これも予約システムの中で決裁出来るんですよね。日本の会社も、意外なところでIT化が進んでいるんですね。

 部署によってはこの、私とのセックス権を、部の男性で平等に、順番に割り振っているところもあります。他には仕事の成果によって、課長が私とのセックスを承認するという部もあります。部によってこうした面でも特色が出てくるんですね。

 セックスの承認を得ていない男性社員の方々には、フェラチオをしたり、オッパイでおチンチンを挟んでしごいてあげたり、手を使ったり、内腿に挟んで射精に導いたり、私の体と、中期工程で習得した技術を駆使して、満足してもらいます。私は最近、性奴隷の真価を発揮する場の1つは、こうした本番以外の技術なのではないかとも、思っています。特に私のような複数のご主人様を抱える奴隷にとっては、如何に本番以外の過程でも楽しませることが出来るかが、奴隷として高評価を頂くための重要な分かれ道です。皆さんも、サボらずに頑張って体得してくださいね。

 こうして全身全霊で尽くしていますと、社員さんの中には、私に強い感謝の念を頂いてくださる方も出てくるようになります。そうした方々の中から、私にランジェリーや水着をプレゼントするという行為が流行ったことがありました。その話を聞いて面白がった一馬様が私に指示をします。プレゼントは必ずありがたく受け取ること。プレゼントが服や下着だったら、その場で着替えて、身につけて見せること。その際、出来れば相手にランジェリーやコスチュームを着させてもらうこと。もしプレゼントが大人の玩具だったら、その場で使ってみせること。私は、悪ふざけのような指示を受けて、こめかみに血管を浮かび上がらせながらも、笑顔で、ご命令に従います、と返事をしました。

 こうして奴隷になってわかったことは、意外と私は社内に多くの隠れファンを持っていたようです。自慢話のように聞こえたらゴメンなさい。これまで一部のエリート社員っぽい方からしかアプローチされたことが無かったので、私のように気の強い、生意気なキャリアは男の人に人気無いんだろうって、思いこんでいた部分はありました。元々、仕事と恋愛は分けたいタイプだったので、余計そう思いこんでいたのかもしれません。それが、私がプレゼントを何でも受け入れるという噂が広まると、少しこれまでとは違うタイプの男性社員が私を予約することが増えてきました。透け透けのランジェリーも、露出のドギツイ水着も、会議室で手渡されると、私は心から感謝して、その場でお着替えも手伝ってもらいます。派手で下品な水着に着替えた私に様々なポーズを要求して、30分以上の撮影会を始めるのは、これまで私が会話をしたことが無かったり、面識が無かったりという、どちらかというと目立たないタイプの社員さんたちでした。

 中には、アニメのキャラクターらしいコスチュームとウィグ、メイク道具まで準備をして、私にコスプレをさせてから、スマホでそのキャラクターの決め台詞とポーズを見せてきて、全部覚えさせられる方もいらっしゃいます。会議室の外では同僚たちが真面目に仕事をしているということを思い出します。そうすると私は、精一杯の声真似で主題歌を歌い、パンチラを厭わずに跳ね回りながら、普段の性のご奉仕とは違う種類の恥ずかしさを覚えることもあります。

 ストレスを抱えているのは、男性社員だけではありません。もちろん、女性社員………それも、かつての私の部下や後輩にあたる、若い女性は、会社で比較的立場が弱いこともあってか、イライラを抱えている子たちが多いです。私はそんな子たちの小間使いをしたり、使いっパシリのようなことをして、少しでもその子たちのムシャクシャを発散してもらってきました。

 真面目そうな女の子や、入社して2、3年目の女の子は、私が「何なりと命令してください」と言って近づいて行っても、大抵、恐縮してしまいます。そこで、私は自分から提案をするようにしています。

「残業、お疲れ様です。今なら男性の目も無いですから、思いっきり鼻をかんで、ティッシュを投げてみてください。こうすることも私の仕事ですから、手伝うと思って………」

 と、こちらからお願いするようにします。そうすると、申し訳なさそうに鼻をかんで、ティッシュを投げてくれます。私は即座に四つん這いになって床を駆けていって、ティッシュを口に咥えて、その子のデスクに戻ります。そして、ゴミ箱にティッシュを口から落とすと、「ワンッ」と元気よく鳴いて、一言、「〇〇様のストレス発散が私のお仕事で、喜びです。これからも何でもお申しつけください」と呼びかけます。

 皆さん、奴隷候補の方々もほとんどが女性ですから、女の世界のドライさというか、人間関係のハッキリしているところって、ご存知ですよね。こうして何回も呼びかけて、こちらからお願いをして、かしずいてご奉仕していると、若い女の子でも、だんだんそうされるのが当たり前という態度になってきます。さっきの入社2年目の真面目な女の子は、1週間後には私のお尻をズバッと蹴ってくるようになりました。お尻はビリビリ痺れるくらい痛いですけど、振り返るとその子のスカっと晴れた笑顔が見られるので、私も嬉しいです。奴隷の喜びで涙が出そうになります。………半分くらいはお尻の痛みからくる涙かもしれませんね。

 午前中に空き時間が出来たり、週末など、私は女性社員の方々の予約に応じて、お部屋の掃除に伺います。一人暮らしの働く女性たちのお部屋は、忙しさのせいで、散らかったままになっていたり、ゴミが溜まっていたりします。ベッド周り、キッチン、お風呂とおトイレ。私は元部下や後輩たちのお部屋を、心をこめてお片付け、お掃除します。私がおトイレの便器を雑巾でゴシゴシ洗っている間、女性社員さんはベッドに横になってスマホを弄っていたりしますが、お部屋が綺麗になると、私に笑顔でお礼を言ってくれます。

 私が上司に楯突いて、部下の女の子を守ろうとした会社。私が先頭に立って、働く女性の権利を一生懸命に守ろうとした職場。少しでも女性が働きやすい場所にしようと、頑張って、発言をして、発言した分、何倍も仕事で成果を上げてきたつもりの会社ですが、志岐明穂という性奴隷を抱えることになっても、警察への通報の1つもありませんでした。コンプライアンスは、働く女性たちの声は、どこへ行ってしまったのだろうと、不思議なくらいでした。

 振り返ってみると、少し私は奴隷となる以前も、浮いた存在だったのかもしれません。女性の同僚たちの共感を得ているつもりでいたけれど、ただ、否定しにくい正論を大声で語って、共感を無理強いしていたのかもしれません。結局のところ、特殊な存在だった私が、別の特殊な存在になって帰って来たという受け取り方をされたのかもしれませんね。自分自身が変貌してみると、元居たはずの場所は、全く違う世界に見えました。最初から私は、自分の見たいものしか見ていなかったのかもしれません。

 あるいは、今の時代、皆さん余裕が無いですから、人のことまでは構っていられないというのが、皆さんの本音かもしれませんね。同じ会社で働いて、ランチ時には愚痴を零して皆で共感しあっているようでも、実は正社員と派遣社員、親会社からの出向者と、制作会社からの請負出向の間では厳然と違う会社人生がありました。そうした中で、元同僚が奴隷になって戻って来たということに騒ぎ立てるほど、みんな余裕も、愛社精神も無かったのかもしれません。それよりは、自分のボーナスや会社の安定の方が、興味があったのかもしれませんね。

 さて、その会社の安定ですが、私が奴隷として戻ってから、会社の業績は傾くどころか、右肩上がりになります。新規のクライアントと沢山つながりが出来たからです。どうしてだと思いますか?

 新規のクライアント様とは、どう繋がって行ったのでしょうか?

 接待? …………もちろんそうです。会社が性奴隷を保有する理由は、福利厚生だけではありませんよね。先ほど私に、社内でのセックスの回数に制約が設けられていたとお話ししましたが、その理由もこちらです。夜の接待に、特殊工作員のように派遣されていたからですね。

 私はまだ後期洗脳工程という、人格矯正課程の途中でしたから、社外の方々への接待の場には、梅野一馬様と一緒に行くことが多かったです。昔の私は、会食の場での梅野君の一挙手一挙動を、厳しい目で教育してきたものでした。そんな梅野君が、猿回しのような役目を果たすことになるとは、思ってもみませんでしたね。猿回しの猿は、もちろん私ですね。

 会社が良く使っている、離れの個室がある割烹や、和洋折衷の創作ダイニングの貸し切りフロアなどに、これまであまりお付き合いのなかったクライアント様をご案内します。店員さんに「ここからは私が」と挨拶すると、私はお客様1人1人に、おしぼりを手渡ししていきます。まだ多少、態度が固いお客様の雰囲気を変えるために、大抵、一馬様がさっそく「一発目のカマシ」をかけていくことが多いですね。

「志岐ちゃん、先にお手洗い行っておいたら? お酒飲んでると、オシッコ近くなるだろ?」

「はい? いえ、大丈夫です」

 少し、空気がピリッと緊張する時もあります。若めの女子が混ざる接待の場って、どこまで冗談が通じるのか、ラインを探ったりする状況がありますね。そこで私の元部下、一馬様がいきなりラインを思いっきり下げにかかる。

「駄目駄目、志岐ちゃんは飲むと全部ユルユルになっちゃうから。ちゃんと今のうちに、オシッコ行ってきなさい。ほら、パンツ脱がせてあげるよ」

 ここで、ハハッと、お付き合いのように笑い声を入れてくれるお客様もいらっしゃいますが、大抵は空気が少し固まります。

「はーい。………じゃぁ、お願いします」

 私が頭をペコっと下げて、スカートの裾をたくし上げると、息を飲むクライアント様も多いですね。ストッキングを穿かない私の足が、ヒールの靴からショーツまで、完全に露出されます。一馬様がスルスルとショーツを脱がせてくれると、私はお手洗いに行ってきます。一馬様の仰るには、ここで私が帰ってくるまでの5分くらい、一気に距離を詰めてくださるクライアント様もいらっしゃるし、無言で私の席に置かれた脱ぎたてのショーツをジッと見つめている方もいらっしゃるそうです。戻って来た私が一馬様にショーツを穿かせてもらうと、私は何事も無かったかのように、皆さんのグラスにビールをお注ぎします。そして乾杯。最初のパフォーマンスがあるだけで、このあとの接待の雰囲気がグッとリラックスした、緩いものになります。

 皆さんのグラスが空いたらすぐにビールを注いだり、次の飲み物を注文して、皆さんのお世話をまめまめしく行います。乾杯前に皆さんの前でショーツを脱いだり穿かせてもらったりした効果でしょうか。お酒が入ると、割とすぐに、お酒を注いで回る私のスカートが後ろから捲られたり、お尻をナデナデされたりします。私は少し悪戯っぽい笑顔と口調で、「ごゆっくりお楽しみください」と応じます。そうすると、どんどん場が和んで来ますね。

 なかには固い業界のクライアント様だったり、一番立場が上の方が厳しめだったりということで、場がなかなか緩まない時もあります。そんな時は一馬様が、「志岐ちゃん、枝豆食べさせて」と仰います。私は笑顔で枝豆を加えると、一馬様の膝に、脚を開いて乗り上げさせてもらって、顔を重ねます。唇を合わせたところで器用に歯で枝豆を鞘から押し出すと、豆が一馬様の口に入ります。これをお客様全員にさせてもらいますと、大抵は盛り上がってきますね。

 接待なので、本来はお客様にご奉仕するのが目的で私が派遣される訳ですが、始まったばかりのころは、一馬様へのお世話を積極的に行います。お酒を注ぐのは当然のこと、魚の骨を取って、お箸で口元まで運んだり、さらに小さな小骨があったら、口から出してもらうのを両手を重ねて受けとめたり、お手拭きで汗を拭いたり、唇に残ったネギのかけらなど直接唇を重ねて舐め取ったり。私は甲斐甲斐しく、熱烈にご奉仕しながら、一馬様のお食事を手伝います。この時、中期工程で私が何十時間も、一馬様のしてもらいたいことを予測して、答え合わせを繰り返してきたことが、聖果として現れます。自然に、あくまでも当然のように、かしずいて、全身全霊でお世話をする私の姿を見ているうちに、クライアントの皆様も、自分の番になったら、そうされるのが当たり前のように感じて頂けます。それには、ご奉仕する姿に説得力が必要です。私が、嫌々ながら仕事のためにこうしているというような様子を出してしまったら、一気に場は白けてしまいます。ご奉仕することが私の喜び。この場は普通と違って、どんなことも許される、治外法権の場所。どんな要求にも、ここにいる女性が嬉々として従ってくれる時間。そう思って頂くためには、それなりの修練が必要ということなんですね。

「ちょっと暑くなってきたので、失礼して、ジャケットを脱がせて頂きます」

 私がジャケットを脱いで、ハンガーにかけて席に戻ると、お客様のうちの半分以上は、もうお気づきになります。実は先ほどのご給仕の間から、気づいていた方もいらっしゃると思います。私はジャケットの下には伸縮性のある白のキャミソールシャツを着ていますが、その下には、ブラジャーを身につけておりません。最初に、一馬様に言われてお手洗いに行っている間に、ブラは外しているんです。体の線が出やすい、ピタッとした白のシャツに、自然と男性陣の視線が集まってまいります。ここで、一馬様が、「そろそろ、ちょっとしたゲームでもしませんか?」と申し出ます。お馴染み、『志岐明穂の乳首ギリギリゲーム』です。

 あ、皆さんには、お馴染みでも何でもないですね。失礼しました。これはお客様たちが順番に、私のシャツの襟元を引っ張って、胸を出していって、乳輪が見えそうというところギリギリでストップする。次の方はその場所から少しでもさらに下までキャミの襟口を引っ張る。そうしていって、私の乳輪を出してしまった方が負け。その一手、手前だった人が勝ちというゲームです。馬鹿馬鹿しいですよね。………わかります。でも、お酒の場で、年配の方も若い方も、男の人皆で盛り上がるゲームというのは、これくらい手軽で馬鹿馬鹿しくてエッチなものが良いみたいです。ゲームという言い訳が出来て、皆さん私のノーブラの胸をシャツ越しに凝視されます。私の胸は男性の視線を感じると乳首がすぐに立つように調教されているので、大きなヒントを与えてしまうのですが、ゲームはそれでも、意外と白熱します。私の乳輪が、平均よりも小さいからのようですね。バストのサイズと、乳首の立ち方から、男性陣が想像する乳輪の始まるあたり、そこを超えてシャツを引っ張られても、まだオッパイの色は乳輪の色との境界線にならない。そろそろ終盤かと思いきや、シャツを下から捲り上げて、オッパイの下側を見せながら、長期戦に持ち込むお客様もいらっしゃいます。色んな楽しみ方があるみたいです。

 それでも、伸縮性のあるシャツなので、あるところまでいくと、オッパイの丸みをなぞるように、ズルっとオッパイの下までずれてしまいます。放り出されたオッパイが揺れて皆さんの前で勝ち負けが決まります。頭を抱えながらも私のオッパイを凝視しているお客様、手を叩いて喜ぶ、勝者のお客様。皆さん、大盛り上がりです。負けたお客様は私のオッパイでビンタさせて頂きますし、勝ったお客様はお顔をオッパイでギュウギュウと押しつけて、窒息するほど包み込みます。この扱いからは、勝ち負けの嬉しさの差は私にはよくわからないのですが、ギャラリーも含めて喜んで頂けます。若いクライアント様の中には、「昭和のお座敷ってこんな感じだったんでしょうか」と、遠い目をして感動される方もいらっしゃいます。

 そのあたりからは、なし崩し的に、本当のご奉仕が始まりますね。一馬様が、「志岐ちゃんはキスの上手な男性を探し求めているらしいんですが、皆さん、この中ではどなたがキス上手か、志岐ちゃんとお手合わせ願えませんか」と仰れば、私はお客様1人1人と、息の続く限り、激しいディープキッスを交わします。

 年配のサラリーマンの方々、公務員の方々、今は真面目ぶった顔をされていても、昔はそれなりに放埓な飲み会も経験されてきた方が多いようで、ここまでヤラシイ余興や接待が続くと、だんだん羽目を外していかれます。むしろ若いクライアントの方で、こうした接待に戸惑う方がいらっしゃいますね。自分は彼女がいるからとか、色々と仰って、服を脱ぐことを固辞される方もいらっしゃいます。性奴隷の私はとっくに全裸になっているのに、少し悲しいことですね。そこで一馬様が、「でも彼女とアナルセックスはしたことが無いんじゃないですか? うちの会社の志岐明穂。こんな美人、滅多に見られないと思うんですが、彼女のような子と、一度、経験のためにアナルでヤッテみませんか? これも勉強ですから」と耳打ちしたりします。そうするとゴクッと生唾を飲む方が半数以上、いらっしゃいますね。そこからはお尻でご奉仕となります。ええ。

 中には、年配の方で私の裸を見たり、触ったりするのは楽しまれても、セックスまでは辿り着かない方がいらっしゃいます。「最近、こっちの方がご無沙汰で」と仰って、遠慮されます。多分、実際にヤッテみたら最後までイケるはずなんですが、うまくいかなかった時のことを心配されているんだと思います。一馬様のアイディアで、そうした年配のお客様が入られる酒席の前に、私はあえてお仕事のプレゼンテーションの場にも同席します。そして手短に英語でプレゼンをさせて頂きます。「外国のお客様にも対応するために、こういう用意がありますということをご紹介させて頂きました」とその場ではお伝えしておくのですが、この英語プレゼンが、のちのち効いてくるようです。

 一馬様の仰るには、この世代のオジサンたちの欧米コンプレックスはなかなか強固で、昼に流暢に英語で話していた小生意気で美人な才媛が、夜の席でオジ様のおチンチンを咥えて、嬉しそうにシャブっているのを見ると、逆に征服欲が大いに満たされるそうです。英語に堪能な国際派キャリアウーマンの、あの知的なことばかり言いたがっていた口が、自分のおチンチンを頬張って、必死に舐め回している。そう思うと、オジ様たちのモノが急に元気になってくる。………確かに、この作戦が上手くいったと思えるケースは何度かありました。少し頼りない部下だったはずの一馬様は、いつの間にかこんな方面で才能を発揮するようになっていました。。。

 会食の場も、1時間、2時間と過ぎると、皆さん、お疲れのご様子が見えてまいります。そこで一馬様が私に目配せをされます。クライアント様の一番上の立場の方とホテルへ行って、夜通しご奉仕させて頂くか。それとも、まだ元気な皆様と2次会へ行って、もっと乱れるか。あるいはこの期に及んで、少し焦らすようにお開きにするか。

 いずれにせよ、私が接待に入って、新規のクライアント様とのお付き合いが、ぐっと増え、新しいお仕事も色々と頂けるようになりました。小さな会社ですが、新規発注が続くと社の全員の賞与に直結しますから、私のことを白い目で見ていた女子社員の方々も、だんだん私の性奴隷としての頑張りを、認めてくれるようになってきた気がします。

 世間では男女平等が叫ばれるようになってから、数十年が経ちます。スポーツの世界では女性が元気だと言われて、もうしばらくたちますよね。美人過ぎる色んな分野のアスリートが、世界を相手に活躍をしました。そして昨今、政治的に正しい表現や、Me Too運動など、様々な形で、女性の生きやすさの改善が謳われています。でも皮肉なことに、そうした活動が盛んになる程、この性奴隷調教業界は潤っていくようです。この業界の歴史をちょっと伺ったのですが、セクシャルハラスメントという言葉が市民権を得た頃、一段階、性奴隷購入の相場が上がったそうなんですね。そして昨今、ジェンダー問題がよりホットになった時に、また業界の景気が良くなる。どうも世間で男性の欲求が押し込められるような圧力があるたびに、性奴隷の需要が高まっているという、女性一般にとっては不都合な事実があるみたいなんです。部下のセクハラ被害を訴え出ようとして、洗脳されて奴隷になった私なんて、もしかしたら、そうした時代の象徴的な存在なのかもしれませんね。

 さて、この時間も私のエッセイ漫画みたいな独白のために頂いているものではないですので、ただ私個人の体験や見解をを振り返ったり引けらかしたりしていても、仕方がないですよね。せめて、私が後期の洗脳工程で直面した、チャレンジや、試練について皆さんと共有したいと思います。後期工程の途中ぐらいでしょうか。守口常務と、私の悠乃先輩が、長期の海外出張から帰ってきました。南仏ですかね、コートダジュールから2週間のお仕事? を終えて、帰ってこられたんですね。

 悠乃先輩のご指示もあってでしょうか? 私への社員さんたちからのご命令も、ちょっと厳しくというか、意地悪になってまいりました。私はフンドシとサラシを巻いた、なんだか祭り命みたいな恰好でランチに出たり、肌が透ける、法的にギリギリのネグリジェーだけを身にまとってお使いに行くような、社会人としてギリギリの存在になりつつありました。

 新規に契約を頂いたクライアントと打合せをする際には、応接室でまず私がダッコちゃんのような体勢でクライアント様にしがみつき、腰を振ります。その間に受付の子たちが、応接室にお茶を持って来てくれるんです。その瞬間の気まずいこと………。同じ会社の、私よりも若い女性社員の方々に、冷めた目で一瞥されながら、なおも、はしたない喘ぎ声をあげて、腰を振り続ける悔しさ、恥ずかしさ。それもこれも、全部、悠乃先輩が仕組んでいるんだと思うと、ちょっと頭にも来ますよね。………ま、奴隷の私がどう思ったところで、私の待遇は一切変わりませんけどね。

 悠乃先輩について、私が、さすが意地ワルだな~って、尊敬したのは、あるパートナー企業との会食の時のことですね。私がお呼ばれしたので、一通りの性的なご奉仕があるんだろうと思って、準備はしていたんです。一馬様もいらっしゃったので、それこそ、接待における勝利の方程式だと思っていました。そこに、パートナー企業ということで油断していたのですが、私の元カレが参加していたんですね。

 笹岡滋樹と言います。私と付き合っていたのは3年前。嫌いになった訳ではなかったのですが、お互いに会えるタイミングがなかなかマッチしなかったり、将来の生活イメージが合わなくて、泣く泣く別れてしまいました。彼も私も、まだ自分たちの仕事で一人前になることに精一杯だったんですね。………そんなプライベートな話、可愛がってた部下の悠乃ちゃんくらいにしかお話していなかったと思うんですが、その日の飲み会に、やって来たんですね。元カレが。

 私は一馬様にアイコンタクトを取りました。今日ばっかりは、勘弁してくださいって。いつも、会社のため、ご主人様皆様のために、体の隅々まで駆使して、ご奉仕しています。今日は、この、元カレの前でだけは、昔の綺麗で格好良いつもりでいる、キャリアウーマンでいさせてくださいって、お願いしたつもりなんです。それでも、私のご主人様が口にしたのは、「志岐ちゃん、先にオシッコ行ってきなさいよ」という、いつもの無慈悲なご命令。私は顔で笑って心で泣いて、元カレの見守る中、パンツを脱がせてもらったり穿かせてもらったりしながら、その日の飲み会をスタートさせました。

 乳首ギリギリゲームがあって、皆さんとキスをさせてもらって、オッパイを揉んでもらったり、お尻を叩いていい音選手権をしてもらったりと、私は、言われるままに、自分を捨てきって、その飲み会の盛り上げ役に徹しました。元カレのシゲキ君も、その場では若手に数えられる状況だったので、笑って誤魔化しながら、私の痴態、醜態をやり過ごしていました。

 時々目が合うと、私は必死に訴えかけます。これには事情があるの。見ていない振りをして。お願い。って………。元カレに給仕をする時、ゲームとしてキスをさせてもらう時、私からボディタッチを誘う時、どうしても、他のお客様と比べてギコチない動きになってしまっていたと思います。

 3年前、私から別れを切り出した時、シゲキ君は狼狽えました。「君のように美しくて有能でガッツのある魅力的な女性には、僕は残りの人生で会えないと思う」とまで言ってくれました。私はその時、まだ彼のことは好きだったけれど、新しく任されたプロジェクトに集中したくて、そのために彼との関係を疎かにする自分も嫌で、自分でピリオドを打ったのでした。「じゃあお互い、いつかもっと魅力的な大人になって、どこかで会った時にエールを交わし合うことにしようよ」と言って。

 まさか再会した時に自分が性奴隷になってクライアント様たちに色仕掛けの接待をしているとは思わなかったので、今思うと、ずいぶんキザな台詞でお別れしたものです。笹岡滋樹君の私を見る表情は、おかしな夢でも見ているのではないかという、放心のお顔をしていました。それも会食が進むにつれて、少し気まずそうに、こちらをチラチラ見てきます。一馬様の口から、私がヒップラインを綺麗に保つために、トゥワークダンスという、お尻を振って鍛えるエクササイズにハマっていると紹介されると、私は下半身にショーツ一枚、上半身はキャミソールシャツ一枚という姿で、お尻を突き出して腰を振ります。お尻のお肉を精一杯、ブルブル震わせていると、酔っぱらったオジ様にお尻を叩かれます。振り返って笑顔で応じた私は、出来るだけ目を合わせないようにしていたシゲキ君をうっかり見てしまいました。彼は、私が後ろを向いていると思って、油断していたのでしょうか、私のお尻を物凄い熱のこもった視線で凝視していました。

 消え去りたいほど恥ずかしいという思いと、性奴隷として皆様へのお役に立てているという誇らしさで、私の頭は混乱していました。何も考えられない。苦しい。頭が爆発しそう………。そんな思いが整理されたのは、私がある言葉を聞いた瞬間です。

「確かに、綺麗なヒップラインだなぁ」

 カチリ。私の頭の中で、スイッチが入った音が聞こえる気がしました。プログラムされた行動に、身を任せている間は、私の意識はただの傍観者でもあります。少し、気持ちが落ち着いてきました。

「お尻を褒めて頂いて、どうもありがとうございます。あの、よろしかったら、直接触ってご覧になりませんか?」

 ショーツを膝の下までさげて、お尻を剥き出しにした私は、体を「くの字」に曲げるようにして、丸いお尻を突き出します。1人のクライアント様が私のお尻を握りしめるように掴みます。他の方が、お尻の下の方から、タプタプと押し上げるように叩いて感触を楽しんでおられました。そこに、もう一つ、手が伸びてきて、サワサワっと触れていきます。なぜかその感触だけでも、私はそれがシゲキ君の手だとわかりました。きっと3年前だったら触られただけで彼氏の手とわかることはなかったと思います。

 私は振り向いて元カレに笑顔で頷いて見せました。少し不覚だったのですが、涙がちょっとだけ零れてしまったと思います。でも一馬様が、私が吹っ切れるのを手伝ってくださるように、言葉を繋ぎます。すっごく意地ワルな言葉を。

「お尻はこうやって鍛えてるから、プロポーションを見事に維持してると思うんですけど、お尻の穴は、実はダラシないんです。開発しきってあって、自分からうちの役員のチ〇コの形ピッタシに広げちゃったから、気を緩ませると、パカって開いちゃいますよ。ほら、明穂。やってみて。お尻の穴、パカって」

 私は元カレの前で、四つん這いになって足を開いてお尻を突き出しています。その姿勢で何人ものお客様にお尻や、女性器の入り口のあたりまで好き勝手に触られながら、僅かに残された女性の尊厳みたいなものを意識して、一馬様のお顔を見上げました。それが許されないことだと知りながら、ほんの少しだけ顔を左右に振ります。元カレの前で、情けないお尻オナニーの結果を披露するのだけは、許してもらえませんか? と、ご相談をしたつもりです。逆らうなんて、許されませんから、ちょっとだけ、ご相談です…………。

 一馬様は私の頭に手をポンと乗せるようにして、ナデナデしてくれました。

「やって。明穂。………楽になるよ」

 私はハッキリと念押しされた以上は、ご命令に背くことは出来ない体になっています。頭を下げて、その分、今までよりももっと高くお尻を突き出して、いつも引き締めている括約筋を意図的に楽にしました。するとポカっと、まるで音を立てるように、お尻の穴が開いて、私の体の、どうしても清潔になり切れない内部が、奥の奥まで外気に触れます。

「おぉ………」

 オジ様たちも、言葉を失っているようです。オジサマたちも若い女性のお尻の穴がパカッと開いているところを間近に見せられると、皆さん、リアクションの仕方がわからなくなるようです。本当は、私はこの日、こうなることを予想していました。一馬様が「明穂、アナルも綺麗にして、香水振っといて」と夕方に仰った日は、ほとんどの場合、接待の席の終わりがけに、お尻の穴を開いて、開発された姿をご披露することになります。それでも、元カレの前では、もしかしたらそんな、地に堕ちた不浄な性奴隷の姿を、見せずに済ませてもらえるかもしれない。そんな淡い期待を持っしまっていたのが、私でした。いつまでたっても、劣等生だなって、自分で自分が情けなくもありましたね。

 それでも、不思議なもので、こんな私の迷いの多い、無様な奴隷生活を何よりも楽しんでくれる好事家の方々もいらっしゃるようなんですね。こちら、動画を一瞬ご覧ください。四つん這いで、お尻を犯されながら、顔はもう一人のお客様のおチンチンを加えている私ですね。これが今、お話した宴席のことです。私が元カレの顔を、まだチラチラ見て、恥ずかしがっている様子、わかりますか? お尻と口に元カレの上司たちのおチンチンを突っ込まれながら、まだちょっとモジモジしていますよね。この、恥ずかしい屈辱と奴隷としての誇らしさと、雌としての発情とお客様を射精の快感に導きたいという義務感。色んな感情が混ざり合って苦悶したり葛藤したりしている私の表情が、一部のマニアから意外なほどの高評価を頂いたんです。

『明るい奴隷生活 傑作選 Vol.87 志岐明穂』というソフトになって、井形人格矯正教室の常連のお客様に販売されています。この動画ソフトには、私が洗脳される前に業務でプロジェクトのプレゼンテーションを颯爽と行っている時のビデオや、初期洗脳工程で必死の抵抗をしている姿。絶対に性奴隷になんてならない、お前ら全員刑務所に送ってやるって、啖呵きっている時の姿、薬物洗脳中の人間ギリギリの様子。全部入っています。秘密のプライベートのつもりだったお尻のオナニー。元部下の梅野君に奉仕した時のハプニング、同じく元部下だった悠乃ちゃんに遊ばれているところ、常務にお尻を犯されてヒーヒー泣きながらイキまくっているところ、会社に戻ってからのオンナを駆使した勤務。同期の友人たちにドン引きされているところ、元カレの前でオジ様たちと次々にまぐわっていくところ。そして最後に元カレのシゲキ君とアナルセックスをして快感を貪っているところ。その後、歓喜の涙を流しながらイキまくったところ。私の洗脳工程が全て、収められている、このソフトが非常に高評価を頂いて、結果的に私は、去年の最優秀性奴隷に選ばれることになったんですね。

 ………あ、言い忘れていましたが、井形人格矯正教室といくつかの老舗の洗脳組織が提携して、こうした業界内の褒章制度を作っているんだそうです。こちらが授賞式の写真です。全裸で四つん這いになっている私が、首輪をつけられて、その上から王冠をかぶせられていますね。もう、何が何だか、わからない世界です………。この首輪についたリードを持っているスーツの男性が、杵築副社長ですね。私を奴隷化したスポンサー兼責任者ということで、一緒に王冠を被っています。この撮影会の後は…………。もう皆さんご想像の通りです。審査員や業界お馴染みの常連客の皆様に、ノミネートを受けた優秀奴隷たちがご奉仕をします。

 私の代にも、モデルさんとか舞台女優をされている方とか、煌びやかな世界の、華のような美人さんたちがいらっしゃいました。そして近所の可愛らしい若奥様といった雰囲気の、親しみやすい女性も、まだ男の人を知らなさそうな、清廉潔癖を絵にかいたようなボーイッシュな美少女も。何人かとは、全工程の修了式典でお会いしたり、この授賞式の場で再会したりしました。雰囲気が180度変わって、淫靡な性奴隷として開花しておられる方もおられましたし、最初にお見掛けした時の雰囲気そのままで、可愛らしく清楚な様子で、なお恥じらいながらパイ擦りなどされている美少女もおられます。そうした方々を押しのけて、まさか私が最優秀性奴隷に選ばれるとは………、萩原教官も苦笑しておられました。

 井形人格矯正教室の歴史に残る、劣等生からの逆転ホームランです。こうした経験を評価されて、今年はこうして、皆さんの前で、私の体験を語るという機会を頂きました。情けない話、辛い話、気持ち良かった話、辛くて情けなくてその分、気持ち良すぎた話。全部、包み隠さず、お話させて頂きました。皆さん、どう思われましたでしょうか?

 これから皆さんは、奴隷になります。残りの人生を、自分のためではなくて、他人様の喜びや快楽のために、尽くして生きることになる訳ですから、その過程では色々な葛藤があると思います。けれど、皆さんは必ず数週間のうちに変わります。より美しく、そしてより軽やかに、ご主人様に服従する喜びに包まれて生きていくことになります。自分の幸せを追求しようとすると、本当の自分は何を望んでいるのかという、底なし沼のような疑問と終始組み合っていかなければなりません。それが、性奴隷として生きるとなったその日から、そんな悩みからは完全に解放されるのです。自分の生きる意味、価値、喜び、全て、目の前のおチンチンが勃起して、そして射精してくれれば、全て肯定される。そのことだけを考えて生きていけば良いのです。答えがそのように明快だと、努力は全く苦になりません。努力も辛抱も、いえ苦役すら、全てご主人様の射精という、貴方を全肯定してくれる、天上からの光のような救いのためにあるものだと思えば、貴方はいつもどんな時も、何をしている時もされている時も、させられている時も、幸せなんです。

 私の話をこうして聞いていても、疑がっておられる方、信じ切れない思いの方、沢山いらっしゃると思います。それで良いと思います。だからこそ、洗脳工程があるんです。先生方、技術者の皆様、スタッフの皆様、多くの方の手をお借りして、貴方たちは生まれ変わります。全員が、洗脳工程が終わる頃には、今よりももっと美しくて、可愛らしくて、エッチでいやらしくて、ご主人様のためにだけ生きていく、真っすぐでピュアな、それこそ天使のような性奴隷になっています。身も心も、家族も恋人もお友達も、人間の尊厳も、全部投げ捨てて、貴方たちはご主人様へ永遠の忠誠を誓うのです。そんな混じりっ気のない従順な奴隷に生まれ変わらせるために、貴方たちは一度、真っ白にお洗濯してもらうんですね。

 私の場合は、まだほんの少し、わだかまりや葛藤を持ちながらも、性奴隷として精一杯のご奉仕を続ける日々です。これは、社会の中で複数所有者に飼われている奴隷には、良くあることのようです。人間と接しているから、人間らしい気持ちが、僅かに芽生えたりもするんですね。けれど、この教室で打ち込んでもらった、人格の柱のようなものは、決して揺らぐことはありません。私にこの先、どんな感情が芽生えても、どんな葛藤を抱えても、ご主人様たちへの絶対の忠誠心と性処理のために全霊をかける奉仕の心だけは、弱まることはないでしょう。

 そのような、誇り高い性奴隷に生まれ変わった貴方たちを、偏見と差別の目で見てくる、社会の人たちもいると思います。それが異性であれば、貴方たちの持ち合わせた魅力と、仕込まれた性技でどんな快楽を与えられるか、想像してみてください。きっとその方々は貴方を渇望して、貴方のご主人様を羨望の眼差しで見るでしょう。そして相手が同性であれば、そのこと自体が貴方への羨望と嫉妬の眼差しだと、気がついてください。彼女たちはまだ、くだらない自我やプライド、尊厳を捨てきれていない、不自由な存在だからこそ、貴方たちを軽蔑したり、腫れ物のように扱ったり、侮蔑したりするのです。貴方たちは堂々と奴隷としてご奉仕を続けていけば良いのです。

 それでももし、ご主人様でもない、社会の側の人間が、貴方に同情や哀れみの言葉をかけてきたら、そしてお節介なことに貴方たちを助けようなんて、不遜な申し出をしてきたら………。

 そんな時は、このパンフレット、「明るい奴隷生活のすすめ」の裏表紙にアドレスがあります、井形人格矯正教室の短期体験コースをお薦めしてみてください。今なら、紹介キャンペーンもやっております。きっとその方々のモノの考え方、貴方を見る目が、驚くほど短期間に様変わりすると思いますよ。

 時間通り、最後まで説明することが出来ました。ホッとしています。ありがたいことに、私は皆さんの修了式典にも出席させて頂けるそうです。今よりさらに魅力的に、そして従順でエッチな魅力に満ち溢れるように、生まれ変わった皆さんとお会い出来るのを、楽しみにしていますね。頑張ってください。それでは、ご清聴ありがとうございました。

<おわり>

5件のコメント

  1. 本作品も本当に感銘深く見ました。 他の催眠作品を見ようとしても、最終的には再び 永慶さんの作品に来るようになりますね。 本当に翻訳口調で隠すことができない筆力だと思う。 そして他の作品リストに作品が上がって行きましたね。 最近の作品を多く書いてくれて、本当にありがとうございます、本当にね。

  2. 完結お疲れさまでした!
    てっきり奴隷であることがバレないようにしつつ会社で辱められるのかと思いきや、まさかの公認備品化。
    意外だったのは、後期洗脳過程においても、自ら好んで奉仕活動をするわけではなかったり、
    元恋人に対して奴隷になった自分を見られることを恥じたりすることですね。
    恐らくは飼い主の意向によっても、奴隷として働くことを誇らしく思うように洗脳するのか、
    それとも明穂さんのように羞恥心を抱かせたまま奉仕させるのかの違いもあるのかな、と思いました。
    とても楽しく読ませていただきました!

  3. 読ませていただきましたでよ~。

    なんというか凄く倒錯した話でしたでよ。
    セクハラとか男女差別を批判していたバリバリのキャリアウーマン(この単語が既に性差別に掛かりそう)が洗脳されてその段階の経験を自ら説明する。
    説明口調なので文章は硬いのに話している内容はとんでもない内容なのが倒錯感を加速させているのか。

    段階ごとに嫌がり方が緩和、後催眠によるトリガーなどの行動制御とそれに対する周りの反応がなんとも言えない感じを覚えましたでよ。
    特に女性の反応が徐々に受け入れる方向に顎で使う方向になっていくのが付和雷同というか慣れって恐ろしいなぁと(そうなるように仕向けているんでぅが)思わされる感じでぅ。

    さて、これからおるすばんを読まないと。
    であ。

  4. >lswkpさん

    感想ありがとうございます。本当に励まされます。
    今回は現代に民間の洗脳組織があるとしたら、どのような形態になっているかと
    想像しながら書いてみました。お楽しみ頂けていたら嬉しいです。
    最近の私は毎年、夏と冬に5週ずつほど投稿をしています。
    次回は7月末くらいに投稿する予定です。またお会い出来ることを楽しみにしております。

    >ティーカさん

    毎度ありがとうございます。
    どんな反応をする奴隷が理想かは、ご主人様の好み以外にも時期によってトレンドがあるようです。
    明穂が受賞できたのは、葛藤を抱えながらお仕えする奴隷が今、旬だったということも
    あるかもしれませんね。トレンドを見定めつつ、質は安定した出荷を続ける。
    現代の洗脳組織は市場の競争も激しくて、なかなか大変そうですね(笑)。

    >みゃふさん

    被害者側がMC行為があったことを認識していて、
    そのことに感謝していたりもする、というのが、洗脳ものの1つの特徴かと思いました。
    そこを強調する構造を考えていくと、プレゼンターが自分に仕掛けられた洗脳行為を、
    誇らしげに語るという舞台仕立てになりました。
    世間の反応も、差別的・逆差別的・日和見的と色々と差が出ると思いますが、
    痛くなりすぎるのも何なんで、「性奴隷側はそれを達観して受け入れていたりする」という筋を
    考えました。着地出来ていたか、またゆっくり自分でも考えてみます(笑)。
    ありがとうございます!

  5. 中編、後編と一気に読ませていただきました。
    巨大な洗脳組織の様子が、洗脳された明穂の独白を通して語られるという珍しいシチュエーションで大変面白かったです。
    特に明穂の洗脳の様子が動画にして販売されているというのがグッと来ましたね。
    これは撮ってる側は征服欲が満たせて楽しいだろうなと。
    全編、想像力をかきたてられるいい作品でした。

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