~ ファーストキスでは終われない ~
私の名前は松戸博士。唯のさえない科学者だった。そう、先日までは。
私はようやく完成させた。長年研究を続けていた、他人の心を操る「盗心器」を。
私としては、これを発表すればノーベル賞も間違いないと思っている。しかし、色々あってノーベル賞をあきらめた。代りにかわいい恋人兼奴隷を手に入れて、充実した毎日を送れることとなった。
そう、もはや私は「自称マッドサイエンティスト」と名乗ってもいいだろう。さっそく名刺に追加した。これで私にも肩書きができたというもんだ。なんか違うかな?いや、大丈夫だろう、多分。
「ふふふっ、はーっはははっ」
う、いかん、ますます染まってしまいそうだ。
さて、突然だが私は自動車教習所に来ている。まあ、ある事情があって免許があったほうがいいかと思ったからだ。
さっそく限界まで単位取得に励んだ私は、帰ろうとする時に学生風の美人が受付に向かうところを見かけた。興味をひかれてこっそり聞き耳をたてる。
どうも以前教習所でお世話になった教官がこちらに転任していると聞き、合格のお礼を言いに来たらしい。今日は休んでいるらしいが。しっかりした受け答えで、なかなか礼儀正しい真面目そうなお嬢さんだ。ちょっと声をかけてみるか。
「ちょっといいですか?」
「あ、はい、なんでしょうか?」
「お話し中すみません。免許をとられたばかりとお聞きしまして、どんなことに気をつけて教習を受ければいいか先輩としてのご意見を伺いたいかな、と」
「あ、そうですか。そうですね、私の経験から言えば・・・」
そうして彼女は少し考えてから色々とアドバイスをくれた。うん、やっぱり誠実な人だなぁ。
一通り聞き終わってから、私は手作りの名刺を取り出し、彼女に渡しながら話しかけた。
「どうも本当にありがとうございます。助かりました。あ、私はこういう者です」
「え、あの、この『自称マッドサイエンティスト』って何なんですか?」
「ああ、それはシャレです。私の雰囲気に結構あってるでしょ?」
「あ、そうなんですか。うふふ、そういえばそうですね」
そう言って彼女は楽しそうに微笑んだ。なるほど、こういう使い方もいいか。
それはそうと、そろそろ彼女の名前を聞き出したほうがいいかな?
「ところで、お嬢さんのお名前を教えていただけませんか?」
「私ですか? はい、山階水穂といいます」
「山階水穂さん、ですか。えっと、これでいいんでしょうか?」
もちろんこれはロックオン確認画面だ。これでいつでもこの娘と・・・ムフフ。
画面表示をみた水穂は、ちょっとびっくりしたように答えた。
「あ、そうです。よくわかりましたね」
「いや、まあちょっと特殊な仕掛けがありまして(そう、特殊な、ね)」
「そうですか。あ、私はそろそろこれで」
「ああ、すみません、お引止めしてしまって」
「いいえ、お役に立てたら嬉しいです。それでは失礼いたします」
「ありがとうございました」
そうして彼女と別れた。本当に折り目正しい真面目な人だったなぁ。結構しっかりした、いいとこのお嬢様という感じかな。
だが、逆にそういう人が性欲に悶えるところを見てみたくもある。オナニーはするのだろうか?
興味をひかれた私は、早速ロックオン機能で指示を出してみた。
“水穂さんは今度オナニーをするときには私に電話をして声を聞いてもらいたくなります”
“電話をしている以外は、まったくいつもどおりにオナニーします”
“オナニーの様子を私にはっきりと伝えます”
“絶頂に達したら電話を元に戻して、私に電話したことを忘れていつもの水穂さんに戻ります”
さあて、これでいつ電話がかかってくるかな?案外今晩すぐにかかってきたりして。
邪な期待をしながら私は家路についた。
家に帰ってしばらく作業をしてから、わたしは比奈子と会うために出かけた。
比奈子は現在予備校の夏季特別講習コースに出席している。その帰りに私とデートをするのだ。私に絶対の信頼と愛情を持っている彼女は、普段のおっとりした様子に似合わず嬉しそうに待ち合わせ場所に駆けて来た。
「松戸さ~ん」
「お、比奈子ちゃん、いつも元気だね」
「あ、違います。松戸さんの姿を見たら、嬉しくて元気になるの」
「はは、ありがとう」
そう言って、彼女が最近お気に入りの公園に向けて二人で歩き出した。
その途端、彼女のピッチが鳴り出した。
「はい、川井です。あっ七瀬ちゃん、どうしたの?」
どうもそれは、最近失恋したという後輩の女の子からの電話のようだ。ゆっくり歩きながらしばらく聞いていると、最後に比奈子が驚くべき発言をして電話が終わった。
「とにかく、くよくよしないで頑張っていれば、きっと素敵な人が見つかると思うの。私もこっちで素敵な恋人ができたの。今も、これからデートなの。七瀬ちゃんなら大丈夫。それじゃぁ、頑張ってね」
思わずひっくり返りそうになった。そういえば私のことを秘密にするようにとは言っていなかったなぁ。ちょっと失敗。何とかしなきゃ。「素敵な恋人」という言葉には感動したが。
その夜、さっそく比奈子の弟のコタロー君が殴りこみに来た。すごい早さだ。だが、強烈なシスコンだった彼も、私の英知を結集した説得(笑)にすっかり納得してくれた。そして、帰り際に私たちの幸せのためならどんな助力も惜しまないと約束してくれた。
彼は色々とマニアックな趣味に強そうだ。いつか彼の力を借りる日もあるかもしれない。
ちょっとした騒ぎの後、私はベッドの上で毛布にくるまって心配そうにしていた比奈子のところへ戻った。全く、これからだってところに水を差すなよなぁ。
「ご主人様、あの子、どうでしたか?」
「うん、納得してくれたよ。これからは精一杯応援してくれるって」
「そうですか。よかった。ありがとうございました、ご主人様」
「まあね。でもこんなこともあるから、私のことはあんまりおおっぴらにしないほうがいいな。特にお前が私の奴隷だということは絶対に秘密だぞ」
「わかりました、ご主人様」
「そういえば、夏休みが終わったら彼のいる実家に帰るんだったね」
「そうです、ご主人様。ここにいられるのは夏季講習の間だけです」
「そうか。寂しくなるなぁ」
「私もご主人様とお別れしたくありません」
そう言って、しばらく二人でしんみりしてしまった。何やってんだか。
気を取り直して、今夜も頑張ろう。よ~し、燃えるぞ~!
「さ、それじゃあ今夜もかわいがってやるからな」
「ありがとうございます。よろしくお願いします、ご主人様」
「それじゃあ、まずは元気にしてもらおうかな」
「はい、ご主人様。ご奉仕いたします」
比奈子は最初の頃、盗心器によるコントロールで私の精を飲んだりアヌスに受けたりすると絶頂に達するようになっていたが、それまでの間はそんなに興奮するでもなく、ただ私への奉仕の喜びで熱心にフェラチオするだけだった。しかし、最近ではある程度慣れてきたせいか、奉仕しながら興奮するようになってきた。
「比奈子、気持ちいいか?」
「ぷはぁ、はい、ご主人様にご奉仕してると、それだけで嬉しいです。それに、なんだかだんだん頭がボーっとなってきて、あそこも熱くなってしまいます」
「そうか、もしかしたらそろそろ精を飲む前でもイケるかもしれないな」
「ご主人様、とどめはいただけないんでしょうか?」
「ん~、そうだな、後でいつものようにアヌスで楽しませてもらうから」
「今日もバージンを奪っていただけないんですか?」
「それは、また別の機会にということで」
「でも、私、誕生日はこの前でしたし、来年まで待つなんてイヤです、ご主人様」
「わかったわかった、それは何とかするから。来年まで待たせないように考えるから、このことは私にまかせておきなさい。まあ、罪滅ぼしに今度の休み、いっしょにどこかへ出かけよう」
「えっ、いいんですか、ご主人様」
「まあね。車はまだダメだけど、自動姿勢制御機能付電動自転車なら週末までにはできるからね」
「ありがとうございます、ご主人様。とっても嬉しいです」
「うん、よかった。それじゃあ続きをしようか」
「あっ、はい、ご主人様」
そうして比奈子は更に熱心に、嬉しそうに私のペニスに奉仕を始めた。その姿は本当に喜びに溢れているという感じだ。そして、今まで以上に興奮してきた彼女は、喜びの中でとうとう精を受ける前に絶頂に達した。
「んんん~、んああぁっ」
ピクピク震えている比奈子。その肌は汗で輝きが増し、上気して真っ赤に染まっている。
とうとうファーストキスも知らない比奈子の口の性感帯を開発しきったな。私は達成感でいっぱいになった。まだ精を放っていないペニスに、更に力が漲るのを感じる。
幸せそうに私の下半身に取りすがって脱力している比奈子に声をかける。
「さ、比奈子、次はホンバンだよ」
「あっ、はい、ご主人様」
のろのろと体を起こした比奈子は、ベッドの上に座っている私に見えないようにお尻の準備をしているようだ。やがて私のところへ戻り、声をかけてきた。
「ご主人様、準備ができました」
恥ずかしそうに四つん這いになって私に向けてお尻を差し出す比奈子。毎日のアナルセックスにそこはすっかりほぐれ、私の分身をやすやすと根元まで迎え入れることができるようになった。バージンのまま、すっかりアナルセックスに馴染んでしまった比奈子。この分だと、こっちでも今日は私の精を受けずに初のエクスタシーを感じることができるかも知れない。
「いくぞっ」
妄想に突き動かされるように、私は慎重に、しかし力強く彼女のアヌスを征服していった。
「んはぁ、んんっ、どうですか、ご主人様」
満足げな吐息を吐き、上気した顔で恥ずかしそうに、でも嬉しそうに尋ねてくる比奈子。
「ん、いいよ、気持ちいい」
「ありがとうございます、ご主人様。それではご自由になさってください。どうか私でもっと気持ちよくなってください」
その言葉に煽られて私も動き始めた。最初はゆっくりと、しかしだんだん早くなっていく腰の動きを止められない。彼女も必死に私の動きに合わせようとしているので、その心地よさはたとえようもない。もう、すぐにでもイケそうなところまできた時、彼女の声の調子が明らかに切迫したものに変わってきた。
「ああん、ああぁ、ご主人様ぁ、ど、どうですか。私、なんだか変ですぅ。今まで途中でこんな気持ちになったことはなかったのに、なんだかもう我慢できません。どうか一緒に、一緒にイってください。お願いですぅっ」
「いやっ、今日は存分に、楽しんでいいぞっ、比奈子っ。私を気にせず、イキなさいっ、そらっ」
「ああん、だって、ご主人様ぁ、ご主人様と、一緒じゃないと、ああん、ああぁ、ダメ、イク、イヤ、イヤなの、ああぁっ、イっちゃう~」
一声叫んで大きく体をのけぞらせる比奈子。その瞬間ペニスに強力な締め付けを感じ、私はあやうく発射しそうになり懸命に耐えていた。一瞬硬直したようにそのまま動かず、やがて糸が切れたようにベッドに倒れ伏す比奈子。潮でも吹いたのか、私の股間はベトベトだ。
私はまたしても何とも言いようのない達成感を得た。そう、バージンの比奈子がアヌスの性感を開発され、ついにその感覚に屈服した瞬間なのだ。この瞬間に立ち会うことができて、私は今、猛烈に感動しているっ!
しばらく感慨にふけっていた私は、いつの間にやらまたしても腰を振りだしていた。う~ん、猿かな、やっぱり。だけど、もう収まりがつかないし。
「あっ、んんっ、ああんっ」
比奈子もそれにつれて回復したようで、体を起こしてきた。
「比奈子、今度は一緒にイってやる」
そう声をかけて力強く打ちつける。
「ああん、嬉しいっ、ご主人様ぁ」
そうして私は今日初めての絶頂に向けて、比奈子と濃密な時間を共有した。
こうして毎日が平凡(?)に過ぎていった。
比奈子は本当にかわいい。そして献身的に奉仕してくれる。そのお返しにと彼女を求めると、恥ずかしそうにしながらも喜んで私を迎え入れ、最近では何度も絶頂を迎え、アヌスでイキっぱなしになることもしばしばだ。
普段の清楚でおっとりとしたお嬢様といった雰囲気の彼女が私の体の下で何度も喜びに打ち震えるのを見ると、いつも私は大きな感動と満足感を覚える。何も知らなかった無垢な彼女が身も心も捧げているのが他ならぬ私であること、そして無垢な彼女を私の色に染めていっていることが実感できることが嬉しいのだ。
そんなこんなで、休みの前日もしっかり彼女と楽しんだ。ただ、デートに備えていつもより早めに切り上げたが。比奈子もそうだが、私のほうがバテてしまったらデートどころじゃなくなるからな。
比奈子の寝息が聞こえるようになっても、私はしばらく目覚めていた。まるで遠足の前日の小学生みたいに気分が高揚している。そういえば、夕方の短時間デート以外では初めての本格的(?)なデートだ。興奮してしまうのもムリないかも。
そろそろムリヤリ眠らなきゃと思ったところに、私のケータイがメロディを流しはじめた。
誰だ? こんな時間に。いぶかしく思いつつ電話に出てみる。
「はい、松戸です」
「あ、夜分遅く申し訳ありません。私、山階です。先日自動車教習所でお話しした」
おっと、そうだった。ラブラブな毎日に、すっかり忘れていた。んんっ? ということはもしかして?
「私、今日はなんだかエッチな気分になって、どうしようもないの。松戸さん、よかったら私のオナニーを聞いてください」
きたっ。やっぱりそうか。不意打ちだけに興奮するなぁ。
「いいよ、聞いてあげる。じゃあさっそく始めて」
興奮にかすれがちの声で私は返事をした。その途端、堰が切れたように彼女のなまめかしい声が飛び込んできた。
「あん、今、私、パジャマの上から胸を揉んでるの。ああっ、気持ちいい。
今度は右手をアソコにもってきたわ。今、クリちゃんをこすってるの。んっ、痺れちゃう。」
私はその姿を想像して、思わず生唾を飲み込んだ。あんな清楚なお嬢様がこんな声を聞かせてくれるなんて。興奮はどんどんピークに近づいていく。
「んっ、パジャマの胸をはだけたわ。ブラジャーの上から胸を揉んでるの。あんっ、だんだん胸が熱くなってきたわ。
ズボンもちょっと下げたわ。パンティの上からアソコを撫でてるの。んっ、ちょっと湿ってきてるみたい。
今度はクリちゃんを押し転がしてるの。ああっ、じんじんするぅ。」
おやおや、結構激しいんじゃないか。なんだかんだで溜まっているのかなぁ。私は興奮しながらも頭の片隅で冷静にそんなことを考えていた。
「あん、ブラジャーもはずしたわ。もう、乳首が尖ってるの。つまんでみるわ。あぅっ、電気が走るの。
パンティーの中に手を入れたわ。もうビショビショになってるわ。熱いの。体中、特にアソコが熱いの。ああん、ダメ、もうイきそう」
えっ、ちょ、ちょっと待って。いくらなんでも早すぎるだろ? そんなに簡単にイっていいのか?
「クリちゃんを摘んだわ、今ころころと転がしてるの。あっ、ああっ、来たわ、イ、イク、イク~~~」
カチャッ、ツーッ、ツーッ、ツーッ。
・・・嘘だろ? 何でそんなに早いんだ? もしかして慣れてないのかな? それともオナニーに罪悪感でもあって、早く終わらそうと一所懸命だったんだろうか?
頭の中にいくつもクエスチョンマークが飛び交いながら、生殺しの興奮をムリヤリ押さえつけて眠るようにした。ああっ、悶々。
デート当日がやってきた。
ゆうべの電話は惜しかったなぁ。結構興奮したのに。やっぱり普段清楚なお嬢様がオナニーで乱れるってのはいいねぇ。ちょっとあっけなさすぎたのが物足りなかったけど。
少しニヤつきながら私はデートの準備を始めた。といっても、自宅に戻って自転車に乗ってくるだけでいいのだが。しかし、ゆうべからの妄想が膨らむ一方で、自分でも何をしていたのかよくわからないうちに、気がつくと比奈子との待ち合わせ場所に到着していた。いかん、もっと冷静にならなきゃ。今日は頑張らなきゃならない日なんだぞ(何が?)。
またも妄想を膨らませているうちに、いつの間にか比奈子が隣に滑り込んできた。
「お待たせしました、松戸さん。あれっ、どうしたんですか?」
「うわぁっ、び、びっくりした~。あ、比奈子ちゃんか」
「なんだかボーっとしてたみたいなの。お疲れなんですか?」
「い、いや、そんなことはないよ。疲れているといえば比奈子ちゃんこそ。きのうも大変だったんだし」
「あっ」
途端に真っ赤になる比奈子。ありゃりゃ、いきなり失敗したかな?
「んもう、松戸さんったら、急に何言うんですか」
真っ赤な顔のまま、少しすねたそぶりを見せる。やっぱり普段の比奈子もかわいいなぁ。というか、普段からかわいい娘が二人っきりの時はあんなに従順に、そしてえっちになるのが萌えるのかも。
「ごめんごめん、じゃぁ気を取り直して、そろそろ行こうか」
「はい」
すぐに機嫌が直った彼女と並んで自転車を発進させ、私たちは初めての本格的なデートを開始した。
本格的とはいっても、実際私には何のノウハウもない。しかたがないので比奈子の望むまま海岸に向かった。真夏の海は想像以上に混雑していた。しかたがないので泳ぐのはあきらめ、人の少ない岩場の方へ行ってみる。
比奈子は泳ぐことができなくてがっかりするといった様子は微塵もなく、一緒にいられること自体が楽しいといった感じでにこにこと自転車を走らせている。岬の突端近くに来てから自転車を降り、付近の松の木陰に二人で座った。
「なんだか人がいっぱいで残念だったね」
「ううん、いいの。松戸さんと一緒にサイクリングしてるだけでとっても楽しいの」
「あははっ、ありがとう。そうだ、ねぇ、そろそろ私のことを苗字じゃなくって名前で呼んでくれない?」
「え、だ、だって恥ずかしいし、それはもう少したってからがいいの」
「ええぇっ、そんなぁ。昨日だってあんなに・・・」
「いやっ、ダメなの。あのときの私、自分でも変なの。あんな恥ずかしいこと、ホントはいやなの。だから忘れてほしいの」
「え、うぅ、そ、そう? わかった、忘れる。だから、もう少したったら名前を呼んでくれる?」
「は、はい」
そう言って、消え入りそうにうなずく比奈子。かわいいったらありゃしない。こんな娘が夜に二人っきりのとき、あんな事やこんな事を進んでしてくれるなんて、自分でも信じられないなぁ。ああっ、いけない、忘れるんだったっけ。ムリだよ、そんなこと。
ムリヤリ妄想モードを解除したわたしは、なんとか平静を保って彼女に話しかけた。
「でも、ここでただボーっと海を眺めているのもちょっともったいないかな。どうせなら、後で夕日がきれいだって評判の公園から海を見ることにして、もう少しサイクリングしようか」
「はい」
そうして二人でサイクリングを再開した。のんびり風を切りながらいろいろ話をしつつ、目的地を特に定めずに自転車を走らせ、めぼしそうな観光スポットでしばらく時間を過ごす。そんなゆったりとした優しい時間の中で、私と比奈子はますます互いを親しく感じるようになっていった。
最後に、今日のデートの締めくくりとして、約束の夕日が見える丘の公園へ向かった。
そろそろ水平線に夕日が沈む。
ここに着いてからも海を眺めながらしばらく話をしていたが、圧倒的な自然の美しさの前にいつの間にか言葉を失っていた。
だからといって、決して気まずい沈黙などではない。むしろ寄り添いあう二人の間には何も必要ないといった感じで、ただただ美しい自然のパノラマに目をむけている。
沈みきる前の最後の光が水平線にきらめいた時、比奈子が感にたえないといった感じでそっと呟いた。
「きれい」
そう言った彼女の美しい横顔をちらっと見やって、私も思わず呟いていた。
「そうだね」
見つめあう二人。そして、どちらからともなくまた海に視線を戻す。
茜色だった空がだんだん紫に変わっていく。海も随分暗い色になってきた。回りの喧騒がうそのようにひいていき、空もすっかり暮れてしまった。それでも二人は手すりにもたれながら黙って海を眺めていた。ついさっきの美しい光景を二人で一緒に感じられたこと、その感動が沈黙となり、優しく二人を包んでいる。夏の夜空には満天の星。天の川さえ手の届くような近さに流れている。
どれくらいそうしていたのだろう。ふと気がつくと風が強くなってきていた。私は比奈子の肩に手をおき、そっと自分の方に引き寄せた。彼女も自然に私の肩に頭を預けてきた。
彼女の方を見やる。するとちょうど彼女も目をあげた。期せずしてまた見つめあう二人。大きな瞳の中に吸い込まれてしまいそうだ。
少し彼女の方へ位置をずらす。そして今度は両手で彼女を抱きしめる。
「あっ」
彼女は少し驚いたような声をあげたが、そのままそっと私に抱きついてきた。そして私を見上げると静かに目を閉じた。桜色の唇がやけになまめかしい。
頭の中が真っ白になった。何も考えられない。気がつくと彼女と唇を合わせていた。
「んんっ」
それはどちらの声だったのだろう。はっとした私は彼女から顔を離した。緊張でがちがちに固まって彼女を抱きしめていた手の力をゆるめた。
彼女がうっすらと目を開けた。その目にみるみるうちに涙が溢れてくる。そして、そっと私にささやいた。
「うれしい」
そう、こうして私はファーストキスを体験した。あ、いや、比奈子ももちろんそうだ。感極まって泣いている比奈子をなだめ、ようやく泣き止んでから彼女に尋ねた。
「ね、今度からは名前で呼んでくれる?」
「・・・」
「ねえ、比奈子ちゃん」
「・・・はい」
やった。ちょっと性急だったかもしれないが、彼女がOKしてくれたからには大丈夫だ。私は有頂天になって、更に彼女にお願いした。
「ね、今呼んでみてくれない?」
「え、でも」
「お願いだから」
そう言われて断りきれなくなったようだ。恥ずかしそうに下を向いてもじもじしていたが、ついに私の望む言葉を返してくれた。
「・・・ひ、博士・・・さん」
うおぉぉっ、感動だぁ。彼女いない歴ずっとだった私の長年の夢がかなった瞬間だ。うっしゃぁっ。
いかん、感動しすぎで頭に血が昇ったのか、くらくらする。ちょっと木陰で休もう。
なんで木陰なんかに来てしまったんだろう。別にベンチに横になってもよかったのに。いや、やっぱりそんな情けない姿をあまり人目に晒したくはないからなぁ。無意識にこっちを選んだんだろうか。
冷静になった私が体を起こすと、比奈子が少し心配そうに声をかけてきた。
「松戸さん、大丈夫なの?」
「ん、大丈夫、ちょっと疲れただけだから。それより名前で呼んでくれるんじゃなかったっけ」
「あ、ごめんなさい、・・・博士さん」
そう言って、やっぱり恥らう比奈子。う~ん、かわいい。もっとこんな姿を見ていたい。
そのとき、天啓のようにアイディアが閃いた。そうだ、昨日電話してきた彼女のように、オナニーを見せてもらったらどうだろう。
善(?)は急げ。さっそく比奈子にお願いしてみよう。
「ね、比奈子ちゃん、あれからオナニーってしたことある?」
「え、な、何ですか博士さん、急にそんなこと、恥ずかしい」
ありゃ、失敗。やっぱりダメか。こうなったら奥の手だ。
わたしは盗心器を取り出し、比奈子にロックオンしてから指示をだした。
“比奈子ちゃんは私の質問には正直に答えてしまいます”
「あ、私、オナニーなんてしてません。・・・えっ、なに、どうして。博士さん、その機械は使っちゃだめなの」
いけない、泣きそうになってるよ。こうなりゃ畳み掛けるしかない。
“比奈子ちゃんは私が盗心器を使っても、それは自然なことだから違和感はありません”
“私のお願いは、どんなに恥ずかしいことでもきいてしまいます”
“私のお願いをかなえることは比奈子ちゃんの喜びです”
よし、これでいいだろう。一気にいくぞ。
「比奈子ちゃん、オナニー見せてくれない?」
「え? 私の、ですか?」
「そう。ダメかな?」
「う、ううん、いいの。でも、私、わからないの」
「いいよ、やり方なら私が指示するから。じゃぁ、もっと人目につかない所へ行こう」
「え? 今からですか?」
「そう。そっちの茂みの奥へ行こう」
そうささやいてから、比奈子とともに奥へ入っていった。
「さあ、ここらでいいだろう」
「でも、もしかして誰かに見られるかも」
「大丈夫だって。こんなに暗いと良くわからないから。ほら私のような装備がないとね」
そう言って自作の暗視ゴーグルをつける。ちゃんと日中と同じように色を識別できるスグレモノだ。かわいい比奈子ちゃんが白黒なんてイヤだからね。これで私の準備は完了した。
「さ、はじめなさい」
「あ、博士さん・・・」
「どうしても恥ずかしかったら服はそのままでいいから、せめてパンティは脱いでね」
「・・・は、はい」
そう言って恥ずかしそうに俯いていたが、やがて意を決したようにスカートの中に手を入れてパンティを降ろしていく。スニーカーを一旦脱いでからパンティを足から抜き、足を元に戻した。どうしたらいいかわからない顔で自分のパンティを手に持っている。
「預かっていてあげるよ」
そう言って、真っ赤な顔の彼女からパンティを受け取る。
「ね、ちょっとあそこをじっくり見せてくれる?」
お願いされると聞かざるを得ない比奈子は、恥ずかしそうにスカートを持ち上げ、私の前に腰を突き出してきた。
「ちょっとよく見えないなぁ。指であそこを開いて見せてくれない?」
またしても恥ずかしそうにしながらも、比奈子は右手をあそこに持ってきた。そして、おずおずと人差指と中指をあてがうと、ゆっくりと開いていく。
私はその光景に息を飲んだ。ピンク色の襞の間から彼女の膣口の奥が見える。もっとよく見えるようにお願いすると、指を少し中まで入れて開いてくれた。そうすると、処女膜まではっきり見える。女体の神秘に触れた思いで、感激もひとしおだ。
ひとしきり彼女の秘密の部分を堪能してから、おもむろに尋ねてみる。
「ねえ、最近アヌスは気持ちいい?」
本当のこと以外は答えることができない比奈子は、真っ赤になりながらも答えてしまう。
「はい、気持ちいいの」
「じゃぁ、今回はアヌスでオナニーしてみせて」
「ええっ、そんな、どうすればいいの?」
「いつものように、自分で準備をするでしょ。それからこれを使えばいいよ」
そう言って彼女の前に差し出したのは、言わずと知れたアナルバイブだ。初めて見る陰具に、彼女の目がまん丸になる。そういえば、何でこんなの持ち歩いているんだろ? 朝の記憶が少し無いが、それと関係しているのかも知れないなぁ。
おっと、そんなことの詮索は後でもいい。今は比奈子ちゃんだ。
「これはアナルバイブといって、アヌスを気持ちよくしてくれる専用の道具だよ。これをアヌスに入れて動かせば、初めての比奈子ちゃんでもきっと気持ちよくなれるから」
そう言われて、おずおずと手を伸ばしてくる。彼女に持たせた後に、スイッチやその他の使い方をレクチャーする。
「どう。わかった? それじゃぁ始めていいよ」
そうして比奈子の初めてのオナニー(しかもアナル!)を観賞することとなった。
比奈子は普段おとなしく、ものすごく奥手な娘だ。二人っきりでいる時とは、はっきり言って別人だ(こっちももちろんかわいくていい!)。だから、普段の彼女が恥ずかしそうにオナニーをする様子は非常に興奮をかきたてる。
「ん、あん」
下草の上に横になり、足を開いてゆっくりとアヌスをまさぐる比奈子。それは、毎日私に見せないようにしてアナルセックスの準備をしていた様子を想像させる。
ごくり。自分の生唾を飲み込む音が聞こえたような気がする。
だんだん興奮してきたのか、彼女のアソコから蜜がしたたってきた。それを指にまぶしながら、更にアヌスをもみこんでいく。何度か繰り返した後、おもむろに指を入れていく。
「ああん」
彼女の甘い喘ぎが闇の中に秘めやかに流れていく。もう十分ほぐれた頃だろう。
「そろそろアナルバイブを使ってみて」
そうささやくと、比奈子は真っ赤な顔をうなずかせて、それを手に取った。そして慎重にアヌスにあてがい、静かに挿入していく。
「ああっ」
押し殺した声があがる。オナニーなど全く知らない彼女が、私のお願いのままに自分でアヌスに異物を挿入していく様子は、何か信じられないものを見ているような気持ちにさせる。
「少し抜き差ししてみて。それで大丈夫だったら、スイッチを入れて」
私の指示に従い、恥ずかしそうにアナルバイブを抜き差しする比奈子。
「あっ」
ピクッと震える比奈子。だが、毎日のアナルセックスで開発された性感が徐々にわきあがってきているようだ。しばらくして、とうとうバイブのスイッチを入れた。
「あっ、ああん」
たちまち身悶えが激しくなる。声を押し殺そうとする努力もむなしく、だんだん激しくなっていく。真っ赤に上気した顔は汗びっしょりで、アソコからは止めどもなく蜜が流れている。目をつぶって快感に耐える様は、まるで今にも泣き出しそうだ。
「あっ、ああっ、博士さん、見て、博士さん」
うわごとのように呟きながら私の目の前で痴態を繰り広げる比奈子。そのいじらしさに胸が熱くなる。
「あっ、あんっ、ダメ、イク、イヤ、ああっ、ダメ、イク、イっちゃう~」
あまりの出来事に呆然とするほど、比奈子の乱れ方は凄かった。惜しげもなく晒された彼女の下半身は、湯気でも立ちそうなほどぐっしょり濡れている。
「んんっ」
声とともに比奈子が身じろぎした。はっと我に返った私は彼女のそばにかがみこみ、起き上がろうとする彼女の手助けをした。
荒い息の合間から彼女が尋ねてくる。
「どうでした、博士さん」
「素敵だったよ、比奈子ちゃん。とってもかわいくって見とれちゃった」
「ん、えへっ、ありがとう」
そう言って恥ずかしそうにしながらも笑顔を向けてくれる彼女に、いとおしさが更に募るのを感じていた。いつのまにか、またキスをしていた。
「んんっ」
ぷはぁ。堪能した。今日はホントに大収穫。最高のデートだったなぁ。
名残は尽きないけど、明日もあるからそろそろ今日はおしまいだな。少し冷静さを取り戻した私は、比奈子に声をかけた。
「さ、遅くなったし、そろそろ帰ろう」
「はい」
こうして、ちょっとしたおまけもついた初デートは終了した。なんて充実した一日だったんだろう。
でも、帰ったらこの猛り立ったものを静めるために、また比奈子にお願いしちゃうんだろうなぁ。ああ、ますます猿になっていってしまう。なんとかしろよ、私。
こうして私は更なるレベルアップを果たした。あ、もちろん初デートやファーストキスでの女性経験という意味だ。
「ふふふっ、はーっはははっ」
誰だ、妄想力やマッドぶりに磨きがかかったなんて言うのは。そうじゃないだろ? いや、やっぱりそうなのかな? ああっ、自分がますますわからなくなってきた。
でも、今が幸せだからいいや。
< 完 >