ねこのみゃー 前日

前日

「たま」
「ん?」

 突然呼びかけられた玉緒が声の方向を見ると、今からそっと顔を出した母親――黒石志摩子がちょいちょいと手招きをしていた。

「なに?」

 父親は撮影旅行に出かけ、妹も学校に行っている時間帯。家の中には自分と二人しかいないはずなのに何故か声を潜める母親に、玉緒は訝しみながらも近づいた。その時、玉緒は居間の中にもう一人、母親の親友であり、隣の奥様でもある三家音子がいるのに気がついた。

「おはよう、たまちゃん」
「おはようございます、ぶちさん。なに? ブチシマコンビが揃って、また旅行の相談?」

 にやにやしながら玉緒は母親達に聞き返す。すると、母親は周囲をきょろきょろとみまわし、奥様は玉緒に向かってしーっと口に指を当てて見せた。そんな二人の緊張感にあわせるように玉緒は声を潜めた。

「二人で何を内緒話? 今は私達しかいないのに」
「壁に耳あり障子に目ありってね。用心するに越したことはないのよ。で、たま、明日家出るじゃない。クロちゃんもとらちゃんも出てるから、この機にみゃーとミケくんをくっつけたいのよ。ほら、みゃーの気持ちなんかばればれでしょ? 何であれで気づかないんだろうって感じで見ててやきもきするのよ」
「それに洋平の方もね。みゃーちゃん程表に出してないけど、満更でもなさそうだし」

 ぼそぼそと言ってくる志摩子の言葉を音子が後を引き継ぐ。玉緒はくすりと口の端を持ち上げて、身を乗り出した。

「面白そうな話ね。で、私は何をすればいいの? 母さん達はいつものように旅行に行くんでしょ?」
「いやね、たまにはあの二人が二人だけで三日間大丈夫なのかを聞きたかったのよ。私達よりか、たまのほうがあの二人には詳しいでしょ?」
「ほんと、二人だけにして火事とかはちょっと怖いものね」

 志摩子の言葉を引き継ぐように音子が言う。その言葉に玉緒は苦笑を浮かべた。

「二人で気ままに旅行なんか行ってるからよ。面倒なことは全部私に押しつけるんだから」

 旅行が大好きなこの母親達は子供の世話を父親に押しつけて気ままに旅行に行っていた。さらに、玉緒が中学校にあがった頃からは父親達がいない時にも玉緒にすべてを任せて旅行に行ってしまう始末だった。

「まあ、それはそれとしてね。で、二人はどうなの?」
「う~ん、二人って言うかみゃーはって感じになるんじゃないかな? 多分、ミケ君は掃除はまだしも料理や洗濯はできないんじゃない?」
「はぁ・・・洋平ったら・・・」

 玉緒の言葉に音子が頭を押さえてため息を吐く。そんな音子の仕草に玉緒は苦笑を浮かべながら続けた。

「でも、みゃーは家事大丈夫だと思うよ。わざわざ教えた訳じゃないけど、父さん達がいる時に何度か手伝わせたしね」

 玉緒の結論に志摩子と音子の顔が明るくなった。

「それじゃあ、明日から決行って事で大丈夫ね。そもそも、あの二人には気づかれないように事を進めなきゃね」
「うん、じゃあ、私達はあの子達が学校行ってる間に出発という事で、あとは別にないわよね」
「じゃ、私はもういいよね?」

 勢い込んで杜撰な計画を立て始める二人を後目に、玉緒はすくっと立ち上がる。そして、今から出ようとした時に後ろから音子が声をかけてきた。

「あ、そうだ、たまちゃん。この話はもちろんあの二人に内緒にお願いね」
「りょ~か~い」

 玉緒はその声にひらひらと手を振って答えると居間から出ていった。

 その夜、玉緒は妹の部屋の前にいた。

「ブチシマコンビは失敗しても気にしなさそうだけど、みゃーのためにも保険くらいはほしいよね」

 くすりと極上の笑みを浮かべながら、ガチャとドアを開く。

「みゃー起きてるー?」
「なに、お姉ちゃん?」

 部屋に入っていった玉緒の目に映ったのはベッドに寝そべり携帯ゲーム機で遊んでいる美弥の姿だった。ゲームに集中しているのか、玉緒を見ずに美弥は答える。そんな美弥の姿にはあとため息を吐いて、玉緒はずかずかと部屋の中へと進んだ。
 ぐるりと部屋を見回す。その部屋は相変わらず少女の部屋と言うにははばかられる様相だった。きちんと整理整頓されているものの、本棚に並んでいる本やCDの種類、壁に貼られている両親のお土産の各地のペナントや提灯などはどう見ても少年の部屋のそれである。

「・・・相変わらずな部屋ねぇ」

 はあとため息を吐く玉緒に、美弥はむっとして体を持ち上げた。

「なに、喧嘩を売りに来たの?」
「事実でしょ? どう見ても女の子の部屋じゃないじゃない。そんなこと言われたくなかったら、本の後ろに隠している猫のぬいぐるみを全面に出しなさいよね。隠さなくてもミケ君は別に態度を変えたりなんてしないわよ」
「き、きしゃーっ! いいでしょっ別にっ」

 奇声とともに飛んできた抱き枕を軽く受け止め、玉緒ははあと再びため息を吐く。

「その更に奥に隠されてる豚の貯金箱も。ちゃんと見せてればミケ君だって少しは気付くでしょうに」
「にゃっ!?」

 美弥は玉緒の言葉にギクッと体を硬直させる。そんな美弥を見ながら、玉緒は言葉を続けた。

「子供の頃にミケ君にもらった誕生日プレゼントなんだよね」

 玉緒がそう言った途端、美弥の顔が真っ赤に染まる。そして、自分の中にこみ上げてきた想いを誤魔化すように、美弥は玉緒に殴りかかっていった。

「き、きしゃーっ!?」
「ほら、もう、暴れないの」

 一体どうやったのか。玉緒が美弥の拳をひょいと逸らすと、一緒に美弥の体までくるんと周り、ベッドの上に仰向けになっていた。

「そんな風に赤くなるくらいなら告っちゃえばいいじゃないの。新しい学校に行ったんだからさ」
「あたしはお姉ちゃんみたいになれないし、なりたくなんかないっ。告白は断ってるくせに、いろんな男と寝てるなんてっ。子供ができたって知らないからねっ」
「あら心外ね。私はちゃんと避妊してるわよ? それに気に入った相手にしかやってないし、初めてはちゃんと好きな人にあげたしね。それよりみゃーったら、お姉ちゃんのことをそんな風に思ってたの? お姉ちゃん悲しいなあ・・・それ、お仕置き~」

 そう言って、玉緒はつんつんと美弥の脇腹をつつく。その度にびくっびくっと美弥の体が震えた。

「き、きしゃぁっ!? おねっ、ちょ、やめてよっ」
「だ~め、これはお仕置きなのだ。うりうり~」
「ひゃぁっ、やぁっ、きしゃーっ!」

 玉緒の指に操られるように、美弥は面白いように反応する。びくっびくっと体を震わせながらも必死に奇声を上げた。

「ちょっ、ひゃっ、ぁっ、きしゃぁっ」

 数分後。ヒクヒクと体を痙攣させ、美弥はベッドに沈み込む。全身を脱力させた美弥の隣では玉緒がまだ物足りないのか、にやにやとしながら手をわきわきさせていた。

「あー楽しかったー」
「い、一体何しに来たのよ・・・」

 ピクピクと体を震わせながら、負け惜しみのように美弥が言う。その言葉に玉緒はぽんと掌を打った。

「そうだそうだ。ちゃんと目的があったのよ。みゃーが面白いから忘れてた」

 そう言って、玉緒は改めて美弥へと向き直る。美弥は先程の脇腹への攻撃を思い出し、びくっと堅くなった。

「そんなに警戒しないでよ~。お姉ちゃん悲しくなっちゃうよ?」
「どの口がそんなこと言うかな? お姉ちゃん相手に警戒するなって言う方が無理でしょ」
「え~、軽いスキンシップなのにぃ・・・」
「お姉ちゃんのスキンシップは軽くないでしょっ。自分でわかってる癖にっ」
「大丈夫よぉ。ちゃんとぎりぎりの線でやめてるんだから。人にはねそれぞれ許せる線と許せない線があるんだよ。それを見極めることが重要なの」

 きしゃーっと叫ぶ妹に姉はくすっと笑う。と、すぐにその笑みをやや真剣な顔に変え、玉緒は美弥に質問をした。

「みゃーはさ、今のままがいいの?」
「・・・っ」

 その質問に美弥の体が硬直する。何が、とは言われなくてもわかった。美弥は無意識のうちに窓を、幼馴染みと自分だけの出入り口を見ていた。

「・・・きしゃーっ」

 その事実に気付いた美弥はそう言って顔を逸らす。一つの思いが自身の中で渦巻いていながら、美弥が口に出したのはその言葉だけだった。

「相変わらずねぇ、そんな所も」

 美弥の答えに玉緒はふうとため息を吐いて苦笑する。

「そこがみゃーらしいって言えばみゃーらしいんだけど、やっぱり保険は必要ねぇ」
「え?」
「”人形のみゃー”」

 玉緒がそう言った瞬間、美弥の体からは力が抜けて、再びベッドへと沈み込んだ。前に突っ伏した美弥を玉緒は仰向けにしてやる。そして、静かに言葉を紡いでいった。

「みゃー、聞こえる?」
「・・・うん」

 玉緒の質問に美弥はこくんと頷く。

「そこはどこ?」
「深い深い、あたしの中」
「みゃーは一体どうなったの?」
「深い深い、あたしの中へと沈んでいった」

 淡々と玉緒の質問に答える美弥。その答えに玉緒はくすりと極上の笑みを浮かべた。

「うん、ちゃんと入ったね。そう、そこはみゃーの心の中、心の奥底。周りにはみゃーしかいない、みゃーの一番安心できる場所。周りにはみゃーしかいないから、聞こえてくる声はすべてみゃーの心の声。だから、逆らおうと思わないし、どんな事にでも従ってしまう。そして、どんな質問にも素直に正直に答えてしまう。わかった?」
「うん」

 美弥が頷くのを確認すると、玉緒は内緒話でもしようかという雰囲気で美弥の耳元で囁いた。

「じゃあ、みゃー。質問ね。あなたはたまお姉ちゃんの事をどう思ってる?」
「お姉ちゃん・・・お姉ちゃんは・・・とても綺麗で頭もいいしなんでもできるけど、意地悪で、えっちで、とっても奔放で・・・優しい人」

 美弥の返答に玉緒は嬉しそうに顔を緩める。そして、美弥の頭をそっと撫でた。

「ありがと。みゃー。じゃあ、今から三つ数えると、みゃーは目が覚めるけど、みゃーの中はたまお姉ちゃんでいっぱいになる。たまお姉ちゃんみたいにエッチが大好きになる。自分の気持ちにとても正直で素直になるよ。わかった?」
「うん」

 美弥が玉緒の手を乗せたまま静かに頷く。それを確認すると、玉緒は美弥に向かって三つ数えた。

「一つ、二つ、三つ」

 パチン。
 美弥の頭を撫でているのとは反対の手で指を鳴らす。その音を合図に美弥の体がピクッと震えた。
 すうっと閉じていた目を開き、ゆっくりと美弥は体を起こす。特徴的な癖毛はぺたんと髪の毛に埋没し、どことなく淫靡な雰囲気を漂わせていた。

「みゃー」
「お姉ちゃん・・・」

 玉緒の呼びかけに美弥はくすっと笑う。その笑みは普段の美弥からは絶対に見ることのできない艶に富んだものだった。

「ね、みゃー。このままでいいの? みゃーは今のままがいいの?」

 玉緒は先程と同じ質問をする。しかし、美弥の返答は先程とは違った。

「よくない・・・」

 ぽつりとこぼれる美弥の返答。その返答に玉緒は更に質問をする。

「なにがよくないの?」
「ミケにずっと幼馴染みだって思われているのはやだ。あたしのこの思いをミケに伝えたい。ミケに好きだって言ってもらいたい。ミケとずっと一緒にいたい」

 真情を吐露していく美弥に玉緒は微笑んで、そっと頭を撫でた。

「お姉ちゃん?」
「まったく、最初っからこう言えればいいのにね。そうすれば鈍感なミケ君だって流石にわかるのに」
「うん・・・あたし、ミケにこの気持ちを聞いてもらいたい」

 そう言って、美弥はガラと窓を開ける。そして、そこから隣に行こうとして、玉緒に止められた。

「はいストップ。”人形のみゃー”」
「お姉ちゃん・・・何・・・で・・」

 玉緒の言葉に美弥の体からは再び力が抜けていく。ぐらりと傾いた体は玉緒によって受け止められ、ベッドの上へと寝かされた。

「そっちのみゃーはあくまで保険だからね。普段のみゃーが言えるならその方がいいのよね」

 玉緒はふっと優しい笑みで美弥を眺め、その直後にくすりと天使のような極上の笑みへと変えた。

「でも、ま、せっかくだからね。みゃー聞こえる?」
「うん」
「みゃーはみゃーの中に戻ってきたけど、みゃーの中にはまだたまお姉ちゃんと同じ、エッチが大好きなみゃーがいるね。だけど、エッチが大好きなみゃーは普段のみゃーとは全然違うよね。だから、ミケ君に嫌われてしまうかもしれない。それは嫌だよね?」
「うん」
「うん、みゃーはミケ君には嫌われたくないもんね。だから、今からエッチが大好きなみゃーをみゃーの中から出してしまおう。みゃーはオナニーって知ってるよね?」
「うん」
「オナニーでイッてしまえばエッチが大好きなみゃーはみゃーの中から出ていってしまうよ。だって、オナニーでイッてしまえば、快感と一緒にみゃーの中からエッチが大好きなみゃーが抜けてしまうからね。わかった?」
「うん」

 玉緒の言葉を疑うことなく、美弥は頷く。それが常識的に考えておかしいことだと気付かずに。

「さ、じゃあ、ミケ君に嫌われないようにオナニーをしよう?」

 そう言って、玉緒は美弥の体を後ろから抱えあげる。そして、みやのタンクトップをたくしあげると、そっとわずかに膨らんだ胸へと手を添えた。

「うん、ちゃんとブラもしているね。感心感心」

 半年前に注意をして、三ヶ月前にはちゃんとしているのを確認していたが、改めてブラジャーをしていることに玉緒は感心した。玉緒はそのブラジャーのホックをはずし、タンクトップと一緒に胸の上へと持ち上げる。そして、露わになったかすかな胸をそっと撫でた。

「んぅっ」

 ピクンッ
 美弥の体が刺激に震える。ふにふにと美弥の胸を玉緒が揉み、その度に美弥の体がふるふると震えた。

「ほら、みゃーもいじって」

 玉緒はもう片方の手で美弥の手を美弥の秘裂へと導く。美弥は玉緒の声と手に導かれて、まだ、そんなに濡れていない秘裂に指を這わせた。

「ふっ・・・んぅ・・・」

 指を動かす度に美弥の体に刺激が走り、ビクビクと美弥の体が震えていく。

「大丈夫、もっともっと気持ちよくなれるよ」

 玉緒は美弥の耳元でそう囁くと、美弥の耳を甘噛みした。

「ひゃぁうっ」

 玉緒に後ろから抱き抱えられたまま、美弥の体がビクッと暴れる。それとともに美弥の秘裂からはとろりとした粘液がこぼれてきた。

「ほらね、感じてきたでしょ?」

 玉緒はそう言って、美弥の秘裂からこぼれた粘液を掬いとる。そして、それを美弥の胸へと塗っていった。

「やぁっ、ぁ、お、姉ちゃんんぅ」

 微かな胸の頂点を中心に丹念に撫でていく。美弥の声とともにその微かな頂点がぷっくりと尖ってきた。
 尖ってきた頂点を軽く摘み、コリコリと刺激していく。

「はぁっ、ぅん・・・ぁぁっ」

 ビクッビクッと美弥の体が震え、その度にとろとろと粘液が溢れだしてくる。それをくちくちと攪拌して美弥の秘裂を解していく。

「ほら、みゃーも指を動かして」
「はぁ・・・んんぅ」

 玉緒に言われ、美弥も自分の胸と秘裂へ手を伸ばす。

「そう、そこをもっと開いて。そう、そのまま」
「ひぁぁっ、ふぅ・・・んん」

 玉緒に言われるがまま、美弥は指を動かしていく。秘裂からも胸からも絶え間ない刺激が伝わって、美弥の頭の中で快感へと変換されていった。

「あぁぁっ、んぅっ、はぁぁぅっ、ひぁぁぁぁっ」
「ほら、みゃーのここもほしいって言ってるよ」

 美弥の体がビクビク震える。その中で、ヒクヒクと蠢く秘裂を玉緒は指し示し、ピンと自己主張を始めた豆を弾いた。

「ひゃあぁぁっ」

 その瞬間、美弥の体が大きく震え、秘裂からこぼれる粘液が洪水のように溢れた。ビクッビクッと震える美弥ははあはあと荒い呼吸を繰り返す。

「どう、みゃー。気持ちいい?」
「う・・・ん・・・」
「でも、まだなんだよね。もっともっと気持ちよくなれるよ」
「ひぅんっ」

 玉緒は更に美弥の体を撫でていく。つつと玉緒の手が美弥の敏感なところを通る度に美弥の体がビクッと震えた。

「ここがいいの? やっぱりみゃーはここが弱いのね」
「ひぃやぁっ、あぁっ、んんぅっ!」

 玉緒は美弥の脇腹をつんつんとつつく。その度に美弥の体が玉緒の中で震え、とろけるような声を上げた。

「ほら、みゃーももっと指を動かして、もっともっと感じないと。ミケ君に嫌われたくないんでしょ」
「あぁっ、んんぅ・・・ミケぇ・・・」

 玉緒に言われて、美弥もふらふらと自らの秘裂、微かに盛り上がる胸へと再び手を伸ばす。既に快感に流されている頭は何のために快感を得るのかを覚えていなかった。ただ、心の底から思っている単語がでたからそれに従っただけだった。

「んぅ、あっ、はぁあっ、ミケ、ミケェッ」

 ビクビクと体を震わせながらも、美弥は自分の体に指を這わせていく。秘裂から溢れる粘液はもはや川の氾濫のようになっておりビチャビチャにシーツを濡らしていた。

「ほら、この手はミケ君の手だよ。ミケ君の手がみゃーを触ってる。ミケ君らしく優しい手だよね。ほら、ミケ君の手に触られるととても幸せだよね。とても気持ちいい」

 玉緒はそう言って、見せつけるように美弥の秘裂へと手を伸ばす。溢れ出る粘液を手に絡ませて、ヒクヒクと蠢く秘肉の中へと指を差し込んでいった。

「ひぃぁっ、ぅぅぁっ、はっ、ぁぁあっ! ミケッ、ミケェッ!」

 ビクンと美弥の体が伸びて、キュッと美弥の秘裂が一気に締まる。飛んできた美弥の後方頭突きを避け、玉緒は一気にきつくなった美弥の秘裂をふにふにと解していった。

「そう、とても気持ちいい。それは幸せだから。みゃーはミケ君が好きだから、ミケ君に触られてとても幸せ。とても気持ちいい」

 玉緒は美弥の耳元で囁きながらもう片方の手で胸の頂点をくりくりと弄んでいく。そして、美弥の耳の裏をぺろりと舐め、さらに耳たぶを甘噛みした。

「ひゃぁあぁっ、ミケェッ、あぁぁうっ、んんんっ!」
「そう、ミケ君の手がみゃーに触れている。とても幸せで、とても気持ちいい。もっともっと気持ちよくなれる。もっともっと気持ちよくなればエッチなみゃーが抜けていくよ。ほら、こうするととても気持ちいい」

 そう言って、玉緒は美弥の秘裂の上にある豆をくりっといじる。その瞬間、美弥の体がぶるっと震えた。

「さ、五数えるとみゃーは最高に気持ちよくなる。大好きなミケ君に触られて盛大にイッてしまう。そうすれば、エッチ大好きなみゃーはみゃーの中から抜けてミケ君に嫌われなくてすむから必ずそうなるよ。いーち」

 そう言って、玉緒は美弥の体を刺激していく。ビクンと美弥の体が震え、はあっと熱い吐息がこぼれでた。

「にーい、ほら、みゃーももっと手を動かして」

 玉緒に言われるがままに美弥も手を動かしていく。秘裂は玉緒に明け渡し、美弥は自らの微かな両胸を揉んでいった。

「さーん、ほら、どんどんどんどん高ぶってくる。ミケ君の手が美弥の体を優しく触っているよ。それがみゃーにはとても気持ちいい」

 玉緒は片手で何度も秘裂を解し、もう片方の手は脇腹へと進めていく。

「よーん、ほら、すごく気持ちよくなっていく。とても気持ちいい。次でイケる。次でイケる。次でイケる」

 ふうっと美弥の耳に息を吹きかけ、ぺろりと耳の裏を舐める。それで軽くイッてしまったのか、美弥の体がビクンと震えた。

「ごっ」
「ひっ・・・・・あぁぁぁぁぁぁっ!!」

 玉緒はそう宣言すると同時に秘裂の上の豆と脇腹、耳を一遍に刺激した。瞬間、美弥の体がビクンと震え、数瞬後に大きな絶頂を迎えた。美弥の体は玉尾が抱きしめる中、びきびきと硬直し、数秒固まった後にがくっと脱力した。

「さあ、とてもきもちよかった。とても気持ちよかったからみゃーはまた気持ちいいみゃーの中へと戻ってきたよ」

 玉緒はそう言って、美弥の頭をくるくると回す。美弥は完全に脱力して玉緒にされるがままになっている。

「そう、みゃーは盛大にイッてしまった。とても気持ちよかった。エッチが大好きなみゃーは快感と一緒に口から外へと飛び出し、みゃーの中から抜けていった。だけど、みゃーの心の奥底ではエッチが大好きなみゃーを覚えているから、”エッチなみゃー”と言われると、エッチが大好きなみゃーを思い出して、みゃーはさっきと同じくエッチが大好きでとても素直になってしまうよ。だけど、それは思い出してなっているだけでエッチが大好きなみゃーは完全に抜けているから”人間のみゃー”と言われれば、すぐに普段のみゃーに戻れるよ。わかった?」
「う・・・ん・・・わかっ・・・た」

 玉緒の言葉に美弥は静かに頷いた。

「じゃあ、みゃーは今から目を覚ますけど、今あったことはなにも覚えていないよ。だけど、心の奥底では覚えているから言われたことは必ずそうなる。絶対に実行してしまうよ」

 玉緒はそう言って美弥の服を直すと、美弥の耳元で静かに囁いた。

「”人間のみゃー”」

 その言葉を聞いた瞬間、脱力していた美弥に力が戻る。ピクッと体を震わせ、美弥は玉緒の腕の中で目を覚ました。

「・・・あ・・・れ?」
「あ、起きた? おはよう、みゃー。まだ夜だけどね」

 ふるふると頭を振る美弥に耳元で玉緒は声をかけた。

「き、きしゃーっ!?」

 ビクンッ
 玉緒の声と、耳元の感触に美弥は驚き、玉緒の腕から飛び出した。

「あらあら、どうしたのよみゃー。そんなおっきな声を出して」
「それはこっちの台詞よっ。何でお姉ちゃんがあたしを抱いてるのよっ」

 きしゃーっと叫びながら美弥は玉緒に食ってかかる。そんな美弥を玉緒はくすっと笑みを浮かべて受け流した。

「そりゃあ、みゃーが可愛いからじゃない。みゃーってちっちゃいから抱き心地がいいのよ。軽いスキンシップよ」
「きしゃーっ!? だから、お姉ちゃんのスキンシップは軽くないって言うのよっ! って、なにそれっ!?」

 美弥は玉緒に向かって叫び、玉緒の座っている部分が盛大に濡れていることに気がついた。

「もう信じらんないっ! お姉ちゃんなにこぼしたのよっ!!」
「ん~、気持ちいいもの・・・かな?」
「もういいよっ、シーツ代えるからどいてっ」

 意味不明なことを言い出す玉緒を退かして、美弥はベッドからシーツを剥ぎ取る。そして、そのシーツを玉緒に押しつけると、マットレスを拭いて新しいシーツを敷いた。

「みゃー?」
「お姉ちゃんはそれ持ってってよねっ。って、もうこんな時間じゃないっ。お姉ちゃん明日起きれるのっ。っていうか、荷物の整理とか終わったのっ!?」

 時計を見て愕然とする美弥に、玉緒はふふっと笑みを浮かべる。

「みゃー、私を誰だと思ってるのよ。『完璧女王』よ。荷物の整理なんてとっくに終わってるし、寝坊なんてしないわよ~。みゃーこそ寝坊しないようにさっさと寝なさいね~」
「きしゃーっ」

 玉緒の捨て台詞に美弥は奇声で応じる。そして、玉緒が出ていったのを確認すると、美弥はドアに背中を向けてすうと寝入った。

「おはようございまーす」

 チュンチュンと雀の鳴き声が聞こえる朝。玉緒は声を潜めて美弥の部屋へと入っていった。ベッドの上からはすやすやと寝息が聞こえ、部屋の主が寝ていることを示している。
 玉緒は妹を起こさないようにそっと部屋の中を進んでいき、本棚の奥、猫のぬいぐるみたちよりもさらに奥に仕舞われている物を取り出した。それは美弥が小学校に上がる前からそこにある物。猫が好きな美弥の隠し持ち物の中で唯一の違う動物。隣の幼馴染みからもらった豚の貯金箱だった。

「ちゃんと貯めてるし」

 玉緒はふふっと笑いながら貯金箱の底の蓋をはずし、中に貯まった五百円硬貨の山を全て取り出す。そして、その五百円硬貨を机の引き出しに放り込んでやり、貯金箱を取り出したまま、机の上を片づけないで、むしろ書き置きを残していった。

『みゃーへ 餞別をもらっていくね。たまお姉ちゃんより』

 そう書いた書き置きを机の上に置くと、玉緒は豚の貯金箱にゲームセンターのメダルを入れながら出ていった。

< 二年前に続く >

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