保健室の情事

「ん?」

 養護教諭弥生 織絵(やよい おりえ)はその変化に気が付いた。
 自らの職場にして、自らの城。保健室のベッドには隔離するためのカーテンが引かれている。つまり、誰かが使っているという事だ。だが、織絵はそんな話は聞いていない。

「また、誰かが勝手に寝てるなぁ・・・」

 そう、保健室にはベッドがあるためか、さぼりや睡眠によく使われる。織絵も何度かその現場を目撃し、何度も注意をしていたが、若い織絵は舐められているのか、その効果は皆無に等しく、一向に保健室をさぼりの場所として使う生徒が減らなかった。
 それが、織絵の悩みになっている。

「こらっ、起きなさーいっ!!」

 シャッと勢いよくカーテンを開き、大きく叫んでから勢いのまま掛け布団をはぎ取る。
 そこには気怠そうに目を開く男子生徒の姿があった。

「ん・・・・」

 眠そうに目を擦り、男子生徒は織絵をちらりと眺める。
 その視線をスラリと受け流し、じろりと織絵は男子生徒を睨んだ。

「こら、何さぼってるの? 今は授業中でしょ。自分の教室へと戻りなさい」
「いいじゃないですか、こんなに天気もいいんだし」

 その答えに、織絵は眉を顰める。男子生徒の横柄な態度に少し頭に来ているようだ。

「何言ってるの。ここは保健室。外がどんな天気だろうと関係ないでしょ。ほら、早く起きなさい」

 ぐいと乱暴に制服を引っ張る。なんども同じような生徒が来ているのでそういう態度が染みついてしまった。
 そのまま乱暴にベッドの上から引きずり出そうとする。その行為に男子生徒は織絵を見る。その瞳は無表情のような虚ろな瞳で、その奥にある感情を読み取る事はできない。
 その瞳は織絵を縛り付け、恐怖を喚起させる。ドクンドクンと織絵の心に男子生徒が流れ込んでいく。

「な、なによ・・・」

 自らのうちに溢れていく恐怖を押し殺し、何とか声を上げる織絵。年下から初めて与えられるその感情に織絵は戸惑っていた。
 あと数秒、この状況が続いたのなら、織絵は怒りを以て心の平静を保てただろう。
 だが、男子生徒はその間を与えなかった。

 ガァンッ!!

 鈍く、そして甲高い金属音が大音量で響き渡る。その音に織絵の心は恐怖で縛られ、思わず瞼を強く閉じる。男子生徒はそんな織絵の頭を優しく包み、優しい声で語りかける。

「ほら、怖くない・・・・怖い事なんてありません。ほら、気持ちいい・・・このまま何も考えず、私の声を聞いているのが気持ちいい」
「あぅ・・・・ああ・あ・・・・」

 ぐらぐらと揺らされる織絵。その顔の筋肉は徐々に弛んでいき、口も僅かに開いたままになっていく。

「ほら、だんだん、体中から力が抜けていく。まずは肩、そして腕。胸にお腹。上半身にはまったく力が入らない」

 男子生徒の言葉に織絵は翻弄されていく。力の抜けきった上半身はぐらぐらと揺れ、風に揺れる柳のようになっている。

「太股、ふくらはぎ、足首の力も抜けて立っていられなくなります。でも、私の方へ倒れれば、私が受け止めてあげますので安心して倒れてください。ほら、もう立っていられない」

 男子生徒のその言葉に織絵の足はがくんと崩れ、男子生徒へと倒れ込む。そんな織絵を受け止めると、男子生徒はベットから這い出し、代わりに織絵をベッドに横たえた。
 ベッドに横たわる織絵を男子生徒は見下ろす。しっかりと自己主張をしている胸は安らかに上下し、肉付きの良い四肢は触った時の気持ちよさを想起させる。そして、薄く開く真っ赤な唇は男子生徒の目を釘付けにした。

「気持ちいい。ずっとこのままでいたい。そうですね?」

 男子生徒の言葉にかすかに頷く織絵。喋るのも億劫なようだ。

「さあ、アナタはドンドン深いところへと潜っていきます。でも、まったく怖くありません。なぜなら、そこはあなたの中。回りも全てあなたなのです。自分に囲まれているので怖い事は何もありませんよ。ほら、すぅっと、あなたは沈んでいく」

 男子生徒は織絵の両肩を掴み、そっとベッドへ押しつける。織絵の体はベッドへ沈み、その感触は織絵の意識へと入り込んでいく。

「すうっと、あなたの中へと沈んでいく。とても気持ちいい。ここはあなたの中」

 織絵の瞼を上から覆う。そして、静かに声を重ねる。

「ここにはあなたしかいない。聞こえる声はあなたの声。この声に従っているととても気持ちいい・・・」

 織絵の頭を抑え、くるくると回していく。

「ほら、こうされると、とても気持ちいい。体中の力がどんどん抜けていく」

 その言葉に織絵の体中の筋肉から張りが失われていく。

「さあ、あなたの体からは力が抜けきりました。何も考える事はできない。聞こえる声に従っていればそれで良い」

 そこまで言って、男子生徒は再び織絵を見下ろした。
 若く、皺一つ無い白い肌、均整の取れたプロポーション。真っ赤に色付く唇が男子生徒を誘う。
 ごくりと男子生徒の喉が鳴った。
 男子生徒の顔が織絵の唇に近づいていき、気が付いた時には男子生徒と織絵の唇が重なっていた。
 ドクンドクンと胸が高鳴る。柔らかいその感触に男子生徒は驚いた。
 知らず、自分の唇に指を当てて、その瞬間に己の行動に気が付いた。
 自嘲するように小さく息をついて男子生徒はそっと織絵によっていく。

「さあ、この声に集中して・・・」

 男子生徒は織絵に覆い被さっていく。息づいているその胸をそっと揉みしだき、そして言葉を重ねていく。

「ほら、聞こえる声に集中しているとどんどん気持ち良くなっていく」

 織絵を上半身だけ起きあがらせ、織絵の後ろへと回る。両手で胸を揉み上げ、さらに声を重ねていく。

「気持ち良くなっていくでしょ? 気持ちいいのなら気持ちいいって言わなきゃ。言えばもっと気持ち良くなる」
「・・・・ぃぃ・・・・」

 男子生徒の要請に応えるように、薄く開いた唇の置くから、かすかな声が漏れだしていく。

「もっと大きく。あなたの声の大きさが、そのままあなたの快感の大きさになる。もっと大きい声で言えばもっともっと気持ち良くなる」
「きもち・・・いい」
「もっと、もっとおおきく」
「いいっ、きもちいい!!」
「もっと、もっと、もっとおおきくっ!!」
「ああああっ!! きもちいいぃっ!!!」

 他の教室に聞こえたのではないかと思えるような声量で叫ぶと同時に織絵の体はビクンビクンと跳ね踊る。そして、口から涎を垂らし、織絵は呆然とした表情で男子生徒に体を預ける。
 そんな織絵にだめ押しを重ねていく。

「ほら、とても気持ち良かったでしょう? 聞こえてくるこの声に従っていれば、あなたはとても気持ち良くなれる。気持ち良くなりたいでしょ?」
「・・・は・・・い・・・」

 途切れがちな声で答える織絵に男子生徒は満足したように頷く。
 ぐるりと織絵の体を180度回転させ、自分と向かい合わせる。三度、白い肌に映える真っ赤な唇が男子生徒を誘惑した。
 徐々に近づいていく男子生徒と織絵の間。ドクンドクンと胸が高鳴る。男子生徒は残る理性を総動員して織絵に声を重ねていく。

「さあ、これから重なる唇は最愛の大切な人のもの。さあ、いつものようにキスをしよう」

 男子生徒が言い終えた瞬間にその唇はふさがれた。ただ重ねただけの先程のキスとは違う。重厚な接吻。力強く吸い付いたその唇の間から舌が滑り込んでくる。その舌は相手を求め口の中を彷徨う。そして、見つけた相手に絡みつき、お互いに舌の刺激を共有する。
 そのキスがもたらす刺激は織絵だけではなく男子生徒の頭をも焼き尽くす。暴れそうになる頭をどうにか抑え、何とか織絵を引き離した。
 そして、そのまま織絵の意識をおとす。織絵は体を支えられず、男子生徒へ寄りかかる形で崩れ落ちた。
 男子生徒の耳元で静かな寝息を立てる織絵に、その深紅の唇に、意識が引き寄せられる。

「これから三つ数えると先生は目を覚まします。でもここは保健室ではありません。ここはラブホテルです。そして私も生徒ではなく、先生の恋人です。さあ、愛しい私とセックスをしましょう」

 男子生徒は織絵の唇へと指を重ね、言葉をさらに重ねていく。

「そして、その時にはあなたの唇がマ○コ、あなたのマ○コが唇です。そう、ここは唇。そしてここはマ○コなんだ。わかったね」

 男子生徒はそういって三つ数える。すると眠たげに目を開いた織絵がそっと男子生徒を見た。

「どうした? やるんだろ?」

 その言葉に織絵は満面の笑みで応えた。
 そして、いそいそと服を脱ぎ始める。服を脱ぎ終わった織絵はくるっと向きを変えて股間で男子生徒に飛びかかる。
 べちと肌のぶつかり合う音が響き、男子生徒の唇と織絵の膣がふれあった。その快感に、織絵の体がぶるっと震える。

「すごい・・・キスだけでこんなに感じるなんて・・・」

 呆然とした声が男子生徒の股間から聞こえてくる。織絵はさらに快感を求めて、男子生徒に『キス』をした。
 男子生徒はその『キス』に応える。舌を伸ばし、膣の奥へと進んでいく。織絵の膣から湧き出てくる愛液と自らの唾液を混ぜ合わせてピチャピチャと音を鳴らし、そして、ずずっと織絵に聞こえるように啜っていく。
 その激しい『ディープキス』に織絵の体がびくびく震える。男子生徒の股間に埋もれたその貌は頬を紅潮させ、熱っぽい吐息を漏らす。

「今日は口でしてあげる」

 明るく言い、織絵は男子生徒の上から降りていく。
 そして、顔が男子生徒の足の辺りまで持ってくると、そのまま自らの膣に男子生徒の肉棒を差し込んでいく。
 織絵は愛しい相手のため、必死に腰を動かし、膣の締め付けを強くする。相手に気持ち良くなってもらおうと必死になって『フェラチオ』をする。その快感は織絵も、男子生徒も狂わせていく。
 男子生徒は起きあがり、織絵の体をがっしり掴む。そして、ぐるりと横回転させ、織絵と向き合う形へともっていく。

「え? え?」

 戸惑う織絵ににっこりと笑いかけ、そしてその唇を自らの唇で塞ぐ。舌を伸ばし、織絵の舌へと絡ませる。ピチャピチャと音を鳴らし、『クンニリンクス』を施していく。
 合わさった唇を放すと、その接合部が銀の糸によって繋がれている。

「織絵だけにしてもらうのも悪いから、俺もしてやるよ。シックスナインなんて初めてだろ?」

 その言葉に織絵は嬉しさを露わにする。そして、自分から男子生徒へと口づけをする。否、『クンニリンクス』を迫った。
 男子生徒は織絵の期待に応えて、織絵へと舌を伸ばす。唇の接合部からピチャピチャと性器の接合部からはズチュズチュと水っぽい音が響き、部屋全体へと渡っていく。
 己を貫く快感に織絵の表情はとろけ、己の意思の届かぬ所でその『唇』は男子生徒の肉棒を扱きあげる。そして、男子生徒の唇を受けるその『膣』は懸命に男子生徒の舌を受け、絡みあっていく。

「ん、んんっ」

 ズンズンと『口』を貫かれ織絵の体は激しく踊る。ピンととがった乳首を摘み、くりくりと刺激を与える。男子生徒の唇でふさがれた『膣』の中は男子生徒の舌で弄ばれていいように嬲られていく。
 織絵は愛しい人のそんな思いに感激を覚え、気持ち良くなってもらえるように腰の動きを速め、『フェラチオ』を激しくする。ズンズンと出し入れされる男子生徒の肉棒は織絵の愛液が絡みつき、てらてらとてかっていた。
 深く『口』の中に肉棒を飲み込み、早くイッてもらえるように『口』をきつく絞り上げる。
 男子生徒は自らの限界が近い事を感じ、織絵の体を引き剥がした。

「そろそろイキそうだ。中にいいだろ?」

 突然の中断にきょとんとしていた織絵の貌に笑みが拡がる。本当に嬉しそうな笑顔でいそいそと男子生徒に股間を向けた。
 男子生徒は織絵の『口』に『キス』をして、織絵の『膣』へと『挿入』した。

 ビクン!

 織絵の体がその刺激に大きく跳ねる。そんな織絵をしっかりと抑え、男子生徒はベッドのスプリングを利用して、大きく腰を跳ね上げた。織絵の喉を肉棒が突き、その度に織絵は苦悶の表情を露わにする。織絵の愛液に唾液、そして男子生徒の先走り液が混じり合い、男子生徒の肉棒に絡みつく。
 織絵の『膣』は締め付けもよく、男子生徒深く刺激する。男子生徒も負けじと織絵の『口』への攻撃を強くする。織絵の『口』から垂れた愛液が男子生徒の顔にかかっていく。 織絵の『口』の上にあるクリトリスへと手を伸ばし、強く摘み上げる。するとビクンと織絵の体が跳ね、『口』からさらに大量の愛液が溢れ出る。
 織絵は『膣』の締め付けを強くして、男子生徒に射精を促す。同じく、男子生徒もクリトリスを刺激して、織絵に絶頂を促した。

「!!!!!!!!」

 2人は同時に絶頂へと誘われた。織絵は体を硬直させ、男子生徒は織絵の『膣』の中へと溜まっているモノを吐き出した。
 ドクドクと織絵の『膣』へと流れ込む男子生徒の精液。それを織絵の『膣』は残さず受け止める。
 男子生徒が出し切った直後、織絵の体は一気に弛緩し、男子生徒の上へと崩れ落ちる。
 寝返りを打つようにぐるりと織絵を下にすると、男子生徒はベッドから立ち上がり、服を整える。

「どう?」

 短い問いかけ。
 妖艶な、そして媚を売るようなそんな声。男子生徒が声の方を向くと、起きあがった織絵が顔を上気させていた。
 脈が多くなり、ピンク色に変わった肌。そんな中、一際赤い唇からは真っ白な液体がちらっと垂れていた。
 無意識にぺろりとその雫を舌で拭い取る織絵。
 その仕草に興奮を覚えつつ、男子生徒は織絵の顔を手で覆う。

「さあ、さっきと同じ、すうっとした気持ちいい世界へ入っていくよ」

 そっと織絵の耳元で囁く。それだけで織絵はさっきの深い催眠状態へと落ちていった。

「織絵、聞こえるかい? これから私がここから出て行くと君は目が覚める。その時君は今あった事を覚えていない。だけど、心の奥底では今の快感をずっと覚えていて、私に逆らう事ができなくなる。わかったね」
「は・・・い・・・・」

 かすかに聞こえる織絵の返事。その返事に満足し、男子生徒は自転車の鍵を取り出して、さらに言葉を重ねていく。

「ここは織絵の奥底。普段はここは閉じられているんだ。だけど、私が織絵の心の鍵を開けると、織絵はいつでもここへ来て、今の状態へなる事ができる。わかったね」
「は・・・い・・・」

 織絵の少し開かれた真っ赤な唇からは精液が垂れている。
 赤と白が互いを強調しあい、色が映えている。その状況に男子生徒はゴクンと生唾を飲んだ。

「では、私がここを出て行くと、織絵は目が覚める。目が覚めた後、織絵は自分の口に何かが溜まっているのに気付く。それは織絵の大好物だ。とても美味しいから、大事に飲むんだ。わかったね?」
「は・・・い・・・」
「じゃあ服を着て」

 そういって、男子生徒は織絵に服を着せると、ちょうどチャイムがなった。

「お? 授業終了か。ちょうどいいな」

 誰にともなく言って、男子生徒は保健室を出た。

「それでは弥生先生。また今度」

 パタン。
 ドアが閉まり、足音が遠ざかっていく。
 そんな中、織絵は目を覚ました。

「ん・・・」

 ベッドで起きあがり、きょろきょろと辺りを見回す織絵。そこには誰の姿も見て取れない。
 何かがあったような・・・。
 しゃっきりとしない頭で考えてみるが、何があったのかを思い出す事はできなかった。
 その代わりに、机の上に置かれている書類に気付き、仕事が残っている事を思いだした。
 ふぅと鼻でため息をつき、己の口内にあるものに気が付いた。それは織絵の大好物。その味はとても美味でこれに勝るものはないと織絵は信じている。
 なんでそれが今、自分の口内にあるのか?
 そんな疑問は露程も持たず、その味を楽しんでいく。すぐには飲まず、舌の上をころころと転がす。それだけで幸福感が織絵を満たしていった。
 自然と織絵の貌は綻び、本当に幸せそうな顔になった。
 そうやって5分くらい楽しんだだろうか。授業の開始を知らせるチャイムが聞こえてくる。
 そのチャイムに気付いた織絵は名残惜しみながらも口の中の大好物を一気に飲み込む。
 そして、口からちょっと垂れていた大好物を指ですくい取るとそれを舐めて、仕事へと戻っていった。

< 了 >

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