「あれ?」
テスト作りのために休日出勤してきた咲 香苗(さき かなえ)は疑問の声を上げた。
テスト前で部活動禁止なのにも関わらず、校舎内に生徒の姿を見かけたからだ。
よくは見えなかったが、あの特徴的な長い黒髪は校内に一人しかいない。
生徒会長の天音 霞(あまね かすみ)その人だ。
こともあろうに生徒会長自ら決まりを破っている。
教師になったばかりの香苗は自身にもそういう覚えがあって、思わず苦笑してしまったが、決まりは決まり、注意をしようと霞の後を追っていった。
幸い、霞の向かった先は廊下が行き止まりになっているので、そこの廊下に面している教室を片っ端から調べていけばどこにいるのかはわかる。
まずは一つ目。
戸の窓から中を眺める。
もしも、ちゃんと勉強をしているようだったら、放っておいてもいいかなと香苗は思っていた。
だから、いきなり戸を開けて注意をこっちに向けるようなことはしたくなかった。
戸から見えないようなところにいる場合もあるので、一応中も調べる。
「・・・いないね」
香苗は一つ目の教室を後にした。
教室というのは案外大きいもので、一本の廊下に面している教室なんてものはせいぜい3,4個しかない。
すべてを調べるのはたいした時間の浪費ではなかった。
結局、最後の部屋まで、香苗は霞を見つけることができなかった。
最後の部屋。
ここは教材室で戸も引き戸でなければ、窓もない。
というわけで窓からみるという行為ができないので、香苗は戸に耳を当て、中の音を聞き取ろうとした。
チュパチュパチュパ・・・
「んっ、んんっ」
中から聞こえてくるのはくぐもった声と水っぽい音だった。
「ふふっ、さすがは合唱部のエース。舌使いが違うね」
「んっ、んんんっ」
ピチャピチャピチャ・・・
「いい動きだ。どれ、少し褒美をやろう」
「んあぁっっ!! あ、あ、あぁっ!!」
香苗はこれ以上聞いていられなかった。
バンッと思いっきり戸を開くと、中へと踏み込んでいく。
「何やってるの、あなたたちはっ!!」
中では一人の男子生徒と複数の女生徒がいた。
一人は男子生徒のために椅子になり、また一人は隅っこで自慰にふけっている。
霞は男子生徒のものを口へ含み、一心不乱に頭を動かしていた。頭を動かすごとにその黒髪が宙を舞う。
「テスト前の学校で!!」
香苗が叫ぶも男子生徒は何の動揺も驚きも見せない。
「わかってるの!? 停学、いいえ、下手すると退学ものよ!!」
男子生徒は不敵にも落ち着いたまま答える。
「わかってますよ。でも停学にも退学にもなりません。だって、誰もこのことは言えないんですから。香苗先生もね」
男子生徒がそういうと、香苗が先ほど開いた戸がばたんと閉められた。
驚いた香苗が振り返ると、そこには裸の少女が立っていた。
「それにしてもうれしいなぁ。次に決めていた香苗先生から来てくれるなんて」
再び男子生徒の方へ振り向いた香苗の眼前には男子生徒の顔が会った。
そして、香苗が驚いた瞬間を見逃さず、男子生徒は言う。
「はい、もう先生は動けない。僕から眼をそらせない!」
あまりに断定的な口調だ。
だが一瞬後、香苗は決定的な事実を思い知る。体が動かないのだ。眼をそらそうとしても眼球も自分の思い通りにはならない。
「え、ど、どうして・・・」
「催眠術ってしってますか? 先生」
男子生徒はどこからかペンダントを取り出すと一歩下がって、香苗の前でゆらゆらと一定のリズムで動かした。
「ほら、先生はペンダントを目で追っていってしまう。どんなにがんばっても、勝手に目が追っていってしまいます」
右、左、右、左・・・・・・
単調なリズムで揺れ動くペンダントに香苗の目はつられていく。
「ほーら、先生はどんどんどんどん、深いところへと落ちていきますよ。落ちていく落ちていく」
男子生徒は香苗の目の前でペンダントを揺らしながら、香苗の後ろへと回っていく。
「さあ、三つ数えると先生は深い催眠状態へと落ちていきます。そのときすぅっと後ろへと倒れてしまいますよ。でも怖くない。とても気持ちよく倒れます。一つ、二つ、三つ」
男子生徒が三つ数えると同時に香苗の体が後ろへと倒れ込んできた。男子生徒は香苗を支えて、ゆっくりと香苗を横たわらせた。
そして、服の上から胸を揉みしだいた。
「ほら、とても気持ちいいね」
「はい・・・気持ち・・・いい・・・」
うわごとのように香苗はつぶやく。その様子に男子生徒は満足気だった。
「さあ、これから三つ数えると先生は目を覚ましますが、目を覚ました後、どんなに先生がいやがっても先生は僕の命令には逆らえません。そして、助けを呼ぶことも僕から逃げることもできません」
「はい・・・・」
「では、三つ数えます。一つ、二つ、三つ」
その声で香苗は目を覚ます。
はじかれたように起きあがると、男子生徒から離れようとする。しかし、体が動かなかった。
「な、なに・・・?」
眼球がせわしなく動く。なんだかわからない恐怖が香苗を襲っていた。
「先生、立って」
香苗は立ってから不自然なことに気づく。
「え?」
自分は立とうなんて思ってなかったのに。
「久しぶりの上玉だなぁ。先生は霞以来だ」
男子生徒はにこにこと香苗をみるが、香苗はそれどころではない。
「な、何をしたの・・・」
「そんなの気にしなくていいよ」
男子生徒はにっこりと邪悪な笑みを浮かべる。
「先生、質問。どんな質問でも、絶対に答えてね。セックスの経験は?」
「・・・5回」
香苗は口を押さえる。
なんで答えてしまったのかわからない。
「オナニーは週何回?」
「週ではなく、たまらなくなったらやります」
「じゃあ、最後のオナニーは何日前?」
「4日前です」
「おしりの経験は?」
「ありません」
自らの意志と反して、個人情報が漏れだしていく。そして、それを行っているのは自らだった。
どんなに止めようとしても、体が勝手に動いてしまう。
その恐怖。
香苗は泣きそうな顔をしていた。
「先生はこれからとってもオナニーしたくなる。ほら、どんどんどんどんしたくなるよ」
「あああ、あ、あ、あ、あ」
香苗はぺたんと、その場に座り込む。スカートがふわっと広がった。
「だけど、先生はどうしても前ではオナニーできないんだ」
秘裂へとのばそうとしていた香苗の指がぴたりと止まる。そして、ぶるぶると震えだした。
「いやぁ・・・・どうして、どうしてよぉ・・・・」
必死に指を伸ばそうとする香苗。だが、その指は主の意を無視して動かない。
「先生。おしりがあいてるよ」
男子生徒は香苗に示唆する。だが、香苗は指をそちらへと動かそうとはしない。
ただ、いやいやと頭を振るだけだった。
「仕方ないなぁ・・・霞。先生を満足させてあげなさい」
男子生徒の指示に横で控えていた霞は香苗へと近づく。そして、香苗のお尻の穴へと指をつっこんだ。
「あぁぁぁっぁぁ。や、やめなさい、天音さん」
香苗を不思議な感触が襲う。気持ちいいのか香苗にはよくわからなかった。
「ほら、先生。先生のおしりは前と同じように感じるんだよ」
「ああぁうっ、はぁんっっ」
その言葉で、香苗は一気にたかぶった。
霞の一差し一差しに体を震わせる。
「うああんっ」
「ほら、僕が手をたたくと先生はイッてしまうよ」
パンッ
「はあぁぁぁぁぁん」
香苗は一気に脱力する。それをみて、霞は香苗から指を抜き取った。
その際、香苗の体が震える。
「な、なんでこんな・・・」
「先生。先生ばかり満足してないで、僕も満足させてほしいなぁ」
男子生徒の声に香苗はびくっと体を震わせた。
この生徒の言葉には逆らえないということがどこかでわかってしまっているのだ。
「パイズリしてよ」
その言葉に香苗の体が動き始める。
こんなことなら、そっちの知識を入れておくんじゃなかったとも思いながら。
ニットのセーターを脱いで、ブラウスも脱ぐ。そして、ブラジャーをはずすとその豊満な胸ですでに大きくなっている男子生徒のモノを優しく包み込んだ。
スリスリと、モノにそっと体を動かす。モノと胸がすれる感触を感じていた。
「先生。胸だけでなく、口でも奉仕してよ」
ぱくっと香苗は男子生徒のモノを口に含んだ。必死になって舌も動かす。それも自分の意志ではなかった。
しているうちにどんどん惨めな自分を自覚してきて、香苗の瞳からは涙が出てくる。
「そんなにうれしいんだ。僕に奉仕できて」
男子生徒はにっこりと笑う。
そんな男子生徒を香苗はじろっとにらみあげることしかできなかった。
「くすっ、そんな物欲しそうな目をしないでよ。じゃあ、ご褒美をあげる。これから三つ数えると先生の口はマ○コに変わるんだ。舌はクリトリスになる。そして、先生の胸、それぞれもクリトリスと同じ快感を得られるんだよ」
一つ。
二つ。
三つ。
男子生徒が言うと、香苗の体がびくんと震えた。
口から胸から膨大な量の快感が脳に流れ込んでくるが、体は勝手に動いているので、その快感を止めることはできない。
すぐに香苗は絶頂へと達し、脱力してしまう。
だが、それでもなお、香苗の体は奉仕を続けていた。
「先生、いくよっ」
そして、男子生徒は香苗の口へと放った。
「先生。それは飲み込んでもはき出してもだめだよ。口の中へため込んでおいてね」」
荒い息で男子生徒は香苗に命令した。そして、霞を呼ぶ。
「霞、せんせいから、僕のものを分けてもらいなさい」
霞は香苗へ近づくとそのつややかな唇を香苗の唇へと合わせ、腕を後ろへと回す。
そして、舌をのばすと香苗の舌へと絡ませる。
先ほどの暗示が続いているためか香苗はびくんびくんと体を震わせながら、霞の舌使いに振り回される。
霞の口が離れると、二人の間につと銀色のような白っぽい様な糸がひかれた。
「二人とも、そのまま絡み合って」
男子生徒のその指示に霞と香苗は上下と攻守を幾度となく入れ替わりながら互いに快感を貪りあう。
「いいかい、二人のマ○コは一つになった。どっちの刺激もどっちにも感じられるんだ。いいね」
それだけ言って、男子生徒はびちゃびちゃの秘裂に侵入した。
「「ああああぁぁぁぁ」」
二人の声がこだまする。
二人とも体を反らし、この快感を享受している。まるで、目の前の相手を鏡に映った自分であるかのように全く同じ行動をしていく。
男子生徒は香苗の後ろへと回り、香苗の口の中へ指を伸ばす。香苗の口も秘裂へと変わっているのでここへの刺激も霞に伝わるのだ。
霞が頭を振るとその真っ黒な髪の毛と煌びやかな汗はあたりへと舞い、幻想的な光景を作り出す。
香苗は目から涙、口からは涎、そして、秘裂からは愛液を垂れ流し、体中で快感を表現している。
三人の光景に当てられたのか、この部屋にいるすべての少女たちは一様に自慰をしたり、近くの者と絡み合っている。
「ああぁぁっ、もうっ、もうっ!!」
霞が声を上げる。
その叫びはその場にいるすべての者の言葉だった。
「ぼ、僕もだっ。よしっ、みんな、僕がイクとみんなイッてしまうんだ!!」
そして、男子生徒はスパートをかける。
その動きに霞と香苗は翻弄される。
「い、イクッ」
言って、男子生徒が放つと同時に霞、香苗はおろか、この教材室内にいるすべての子はイッてしまった。
そして、皆、意識失って倒れた。
「これから三つ数えると先生は目を覚まします。ですが、この中の僕たちを認識できません。そして、今ここであったことは心の奥底にしまって、普段は思い出せませんよ。一つ、二つ、三つ」
何か声がしたような・・・。
咲 香苗は教材室の真ん中で目を覚ました。
この教材室は幽霊がでるとか言う噂があり、学校関係者は一様に近寄らない。
「あれ?」
何でこんなところにいるんだろう?
香苗はテスト作りの資料として、教材を取りに来たことを『思い出した』。
そして、その目的のものを手に入れると外へ出る。
そこで気づいた。
教材室から漏れてくる声に。
教材室の幽霊。
そんな言葉が頭をよぎり、一目散に職員室へと戻っていった。
先ほどからずっと、教材室にいた集団に全く気づかずに・・・
< 終 >