第4話
チュンチュン・・・・・
窓の外から雀の鳴き声が僅かに入り込んでくる。
「ん・・・・・・」
差し込んできた光を浴びて、朱美は目を覚ました。
「あ・・・・・・寝ちゃったんだ・・・・・・」
パソコンデスクに突っ伏した体を起こし、頭を軽く振る。
その際にマウスにぶつかり、スタンバイ状態にあったモニターに画面が灯る。そこでは占いソフトが起動していて、女店主・陽子の姿が映し出されていた。
にっこりと笑いかけるその姿に朱美の表情も緩む。
ジリリリリリリリリリリリリ!!!
突然響き渡る目覚ましの音にビクンと朱美は体を震わせた。
反射的に目覚まし時計を見て、驚愕に目を見開いた。
「え、あ! 嘘っ!! もうこんな時間!?」
朱美は慌てて跳ね起きるといそいそと登校の準備をする。
服を着替え、教科書をつっこみ、焼き上がったパンを口にくわえる。
そして、昨夜からつけっぱなしだったパソコンの電源を切ろうとする。
「・・・・・・一回くらい大丈夫だよね」
占いソフトを終了させようとするが、一瞬の逡巡の後、朱美は占いを始めた。
『まあ、何て事!?』
陽子の貌が驚きに染まる。その声に朱美は焦った。
「え!? 何!? どうしたんですか?」
陽子に続きを促そうと、カチカチとマウスのボタンを連打する。
しかし、そのせいで陽子の言葉は流されてしまった。
「あ・・・・・・」
朱美は茫然と画面を見つめる。
数秒、そのまま固まっていたが、立ち直るとすぐに占いのボタンを押していた。
再び陽子が画面に映る。
タロットをきり、ぺらりぺらりと一枚ずつ捲っていく。そして、先程と同じように貌を驚愕に染めた。
『まあ、何て事!?』
今度は飛ばさないように焦りを抑えながらも陽子はマウスのボタンを押す。
すると、陽子は笑顔になって、朱美に語りかけた。
『よかったわね、朱美。今日はあなたの人生で最高の日になるわよ。最高のパートナーに会えるし、最大の幸せを感じることができる。今日と言う日を噛みしめて楽しんでイキなさい』
「はい、ありがとうございます!」
スピーカーから聞こえてくる陽子の声に朱美は元気よく答えてパソコンの電源を落とし、家を出て行った。
ブゥン。
誰もいないはずの部屋でパソコンが自動的に起動する。
モニターには陽子が映り、にやりと酷薄な笑みを浮かべていた。
『そう、あなたの人生観がまるっきり変わってしまう今日を愉しませてもらいなさい。朱美』
そして、陽子はメールを作成し、裏緑の端末へと送信した。
ぶぶぶぶぶぶぶぶぶ。
ポケットに入れておいた端末が震える。
端末を取り出し受信したメールを見た。
そうか。
口元が緩む。
ピッと端末の電源を切るとズボンの中へと滑り込ませた。
「何がそんなに楽しいのよ」
下から憎しみの籠もった声が聞こえてきた。
見ると水乃が体を起こしながらこっちを睨んでいる。
力が入らないのだろう、体を支える手ががくがくと震えていた。
「別に」
「こんなことがいつまでも続くわけないでしょ。高屋敷さんがきっと気づくわ! 絶対に何とかしてくれる!」
朱美。
水乃の口から出て来たその名前に笑いが込み上げてくる。
「何がおかしいのよ!!」
「別に」
絶対・・・・ね。
朱美になんとかできるものならな。
込み上げる笑いを何とかかみ殺しながら、俺は学校へと向かっていった。
「ガハ、緑松だガハ」
「おはよう、センパヒ」
教室に入るなり、外を見ているセンパヒを見る。
センパヒは望遠レンズをつけた改造眼鏡をかけて、外に歩いている女生徒達を見ていた。
「東野と朱美は?」
「東野はさっき下を通ったからもう来るはずガヒ。高屋敷はあそこにいるガハ」
外を見つつもセンパヒは声を出す。
センパヒの指さす方向をみると朱美が馬鹿でかい校庭を歩いていた。
朱美が落ちていく様を想像し、口元が緩む。
水乃、そして緑松の反応が楽しみでならなかった。
「緑松、にやけているガハ。誰か、可愛い子でもいたガヒか?」
「ち、違うよ!?」
センパヒに指摘されて口元を抑える。
「隠すことないガヒ。独り占めしてないで僕にも教えるガヒ」
「だから違うって!」
「何が違うんだ?」
がらりとドアが開き、東野は顔を見せるなりそう言った。
「緑松が可愛い子を見つけたのに僕に教えてくれないのだ」
「だから見つけてないってば」
「そうか、だめだぞ緑松。そう言うのはみんなで共有しないとな」
東野の腕が俺の首にからみつき、そのまま締めてくる。
「このやろ、俺にも教えろ」
「だから違うってーーー痛い痛い痛い! ギブギブギブ」
パンパンと東野の腕を叩き、降参の意を示す。
と言うか、分かってやってるから始末に悪い。
「さあ、答えろ、一体誰を見ていたーっ」
「だから違うって言ってんだろーっ」
東野の腕から何とか逃れると二人から距離を置く。
じっと東野の動向を見据え、いつかかってこられても大丈夫なように待機する。
・・・・・なんだって、こんな事をしているんだ。
面倒になってテレパシーで何とかしようかと思ったその時、がらりと教室のドアが開き、朱美の脳天気な声が響き渡る。
「ひーほー。マル男、ホネ男、フケ男ー。元気してるーって・・・・何やってるの?」
「べつ・・・」
「緑松が可愛い子を見つけたのに僕に教えてくれないのだ」
「緑松が可愛い子を見つけたらしいんだが、俺たちに教えてくれないんだ」
別にと言おうとしたのだが、それより先に二人が答える。
その答えを聞いた朱美はにやりといやらしげな笑みを向けてくる。
次の展開は予想出来た。というか、同じ展開だろ。
「ふーん、マル男。水乃ちゃんというモノがありながらそんなことをしているの? 水乃ちゃんに言いつけちゃおうかな」
「ばっ、なっ、何言ってんだよ! 雪の森ちゃんは関係ないだろ!?」
「ふ~ん」
朱美は曰くありげにこちらを見ると、同意を求めんとばかりにセンパヒや東野を見る。
しかし、センパヒや東野は茫然として朱美を見ていた。
その態度を訝しむ朱美に東野はそれ以上に訝しんだ貌で聞いた。
「なあ、死語使い女。その水乃ちゃんって誰だ?」
一瞬の間。朱美は今の言葉をどう取っただろう。
訝しんだ貌のまま、朱美は説明を試みる。
「水乃ちゃんは水乃ちゃんよ。よく一緒にいるでしょ?」
「だから、誰だよそれは?」
東野の言葉に朱美の貌が凍り付く。
へぇ、あの地雷もうこんな所にまで来てたのか。
「水乃よ。雪の森水乃。いつもあなた達と居た長身で長髪のゲームの上手な女の子」
「・・・・センパヒ知ってるか?」
「知らないガヒ」
その言葉に朱美は息を呑んだ。状況を把握し切れていないらしく、動揺に目が震える。
「どういう・・・こと・・・・・?」
能力を使って、二人の記憶を覗き見たのだろう、朱美の瞳が大きく見開かれた。
二人の記憶の中から水乃の記憶だけがごっそりと抜け落ちている。
次の瞬間、朱美の目つきが鋭くなった。
どちらかから地雷が移ろうとしているのだろう。それを能力で弾き返し、確信しただろう。
ジッとこっちを向く。
その瞳には鋭い意思が混在していた。
「どういうこと?」
その言葉にはもはや動揺はない。
じろりとこっちを睨み、拳をぎゅっと握りしめていた。
「お、おい、どうしたんだよ?」
「どうしたガハ?」
俺と朱美の間の空気を読み取った二人が慌てて仲裁に入ろうとする。
邪魔だな。
『上に行くぞ』
テレパシーで朱美に伝え、屋上へとテレポートする。
誰もいない屋上にでると、その一瞬後に朱美が現れる。
俺を睨む表情は微塵も変わらずにいる。
「どういうこと?」
三度同じ言葉を放つ。
その言葉は既に責める口調に変わっていた。
返答の代わりににやりと口を持ち上げた。
「やっぱり、あの二人のことはあんたの仕業って事ね」
「だとしたらどうする?」
「水乃ちゃんも・・・・ってことよね」
「だとしたら?」
朱美の眉毛がぴくっと動く。
「水乃ちゃんはどこ?」
「教えると思うか?」
俺の言葉に、朱美は右手を開いて俺へと突き出す。それは朱美の構えだ。
そして、その右手の薬指にはある指輪がはまっていた。それは既に穿たれた、朱美への楔。
既に朱美に勝ち目がないことを本人は分かっていない。
「力ずくでも聞き出すわ」
そして数秒の間。
おそらく、朱美が能力を使おうとしたのだろう。だが、何の変化も起こらない。
「な・・・・・・・」
右手の掌をみて、もう一度突き出す。
そして、またも数秒の間が開いた。
「・・・・・・・・」
「どうした?」
朱美の目が大きく見開かれる。その瞳には戸惑いの色が浮かんでいた。
何度も何度も俺に向けて右手を突き出す。
しかし、俺に向けて能力が発動されることはなく、むなしい朱美の動作だけが続いていた。
一歩踏み出す。
それにつられて、朱美は一歩下がった。
「力ずくで聞き出すんじゃないのか?」
「・・・・・っ!」
朱美は右手を下に向けて能力を放つ。
ガコッと言う音がして、野球ボール大のコンクリートの塊が朱美の右手に吸い込まれる。
次の瞬間、それを俺に投げつけた。
横に飛んで、その塊を避ける。右手を突き出す朱美が俺の視界に入ってきた。
ごろりと転がって、体勢を立て直す。
「な・・・・んで・・・・」
震える声。それと同じように朱美の体も震えていた。
「昔、あるゲームがありました」
ゆっくりと立ち上がり、朱美を見据える。
「そのゲームは通称”自殺”ゲームと呼ばれて、直ぐに回収になりました」
「なに・・・・・言ってるの?」
突然の話について行けないのか、朱美は茫然としたまま聞いてくる。
その朱美の右手、薬指についている指輪を指し示す。
「その指輪。昨日まではなかっただろ? どうした?」
「ど、どうでもいいでしょ」
どうでもいい・・・ね。
「まあいい、そのゲームというのは占いのゲームで、なぜか一日に何回もやってしまうそうだ」
占い。その言葉に朱美の瞳が不安に揺れる。
「そして、段々と催眠術にかけられたような状態になっていく」
一歩。
足を踏み出す。
それに併せて、朱美も一歩下がる。
「前にそのゲームと関わったことがあるんだが、そのゲームにはある付属品がついていたんだ」
一歩。
朱美の体はガタガタと震えている。
「その付属品・・・・もう分かるだろう。それがその指輪だよ。もう一度聞こうか、その指輪はどうした?」
「そ・・・・それは・・・・」
「東野に渡されたゲームに入っていた・・・・だろ?」
「・・・・・!」
俺の言葉に朱美は目を見開く。
「な・・・・んで・・・・・」
「何で知ってるかって? そりゃあ知ってるさ、俺が東野に渡させたんだから」
「な・・・・・・!!」
一歩。
「そうとは知らず、お前は見事に俺の術中にはまってくれた。お前は俺に対して能力を使うことはできないんだよ」
一歩。
「そして・・・・」
一歩。
とん。
朱美の背中が壁にぶつかる。
「逃げることも不可能だ」
「くぅっ!!」
朱美の中で能力が高まるのを感じる。
テレポートで逃げるのだろう。
だが遅い。
「朱美の扉」
その言葉を聞いた朱美から全ての力が抜け落ちる。
ガクンと朱美の体が崩れ落ちる寸前、駆け寄り朱美の体を支える。
ずるりとかつらが滑り落ちた。超能力者の証、突然変異の緑色の長髪がさらりと零れ落ちた。
「聞こえるか?」
「・・・・はい・・・・・」
感情の抜け落ちた声。僅かな音がその口から漏れる。
「自分で立て」
「・・・はい」
さて・・・・催眠状態に入れたもののどうすればいいんだ?
テレパシーで何とかするなら簡単なんだが、催眠術というモノはよくわからない。
やはりここは専門に任せた方がいいか。そのやり方を見ながら覚えていけばいいわけだし。
「陽子」
『はい』
朱美のはめた指輪から声が響いてくる。これは指輪型スピーカーらしく、そこから陽子の声が聞こえるらしい。
こっちの声を聞いてるところを見ると、マイクも兼ねているらしい。
「朱美を落とす。手伝え」
『はい、かしこまりました。暗示はどういったモノを』
「なんでもいい。お前に任せる」
『かしこまりました。朱美』
「はい」
茫然と虚空を眺めて朱美は答える。
そして、朱美のはめた指輪から合成された音声が零れだした。
『これから三つ数えると朱美は意識が戻る。けれども、朱美は催眠状態のまま。私が言ったことは必ずその通りになる。どうしても逆らうことはできない。そして、朱美は自分の意思で体を動かす事も超能力を使う事もできない。声を出す事はできるけれど、大声を出す事はできない。わかったわね?』
「はい・・・・・」
『三、二、一』
パンッ!
乾いた音が指輪から響く。
その音に体を震わせて、朱美は目を覚ました。
「あ・・・・」
目の前にいる俺を見上げ、不安に瞳を震わせる。
その頬にそっと指を這わすと、ビクンと全身が震えた。
「やっ」
次の瞬間、朱美の貌に戸惑いの色が走る。
そして、その戸惑いの色は不安と恐怖に取って代わられる。その恐怖を隠すように苛烈な感情を表に出して俺を睨みつけてきた。
「なにをっ・・・あたしになにをしたのよっ」
叫んだつもりだろうがその声は小さく、僅かに俺に届くだけの声量でしかない。
「何かするのはこれからだろ?」
『そうよ、朱美。胸を出しなさい』
朱美の着けている指輪から陽子の声が響いてくる。その声に反応して、朱美の体が動き始める。
「えっ!? やだっ」
朱美はぷちっぷちっとボタンを外し、後ろ手にブラのホックを外した。
綺麗な肌。平均並の大きさ。薄手の服に隠されていた胸が目の前に姿を見せる。
朱美はそんな姿を見たくないのかぎゅっと目を閉じて、俺から顔を背けている。
自分の口の端が持ち上がるのを認識しつつ手を伸ばし、さらけだされたその胸を鷲掴みにする。
「っ」
小さな声が朱美から漏れる。それと同時に朱美の体が小さく震えた。
ぎゅっと強く胸を掴む。その痛みに顔を顰めた。
「痛いか? だが、それが気持ちよくなるんだよな」
「そっ・・んなわけっ・・・・」
『いいえ、朱美。朱美は緑松様に触られるととても気持ちいい。どんなに嫌でも、どんなに痛くても、気持ちよく感じてしまう』
朱美の否定を遮るように響き渡る陽子の声。その声に朱美の体が震え出す。
「んっ・・・・」
ふるふると黒くしてある睫毛が震え、悩ましげな声が朱美の口から漏れてくる。
その声に驚いたのか、快感を示す己の体に驚いたのか、朱美は瞳を大きく見開いた。
「な・・・んで・・・・」
「いっただろ、催眠術だって」
ぐにと強く揉む。
快感が体を走り、朱美は体を震わせる。
「朱美。お前の能力は俺よりも強い。そんな事が分かっているのに、放っておくわけないだろ」
「ぅっ・・・・のっ・・・・卑怯者っ・・・」
ビクンビクンと体を震わせながら俺を睨み、朱美は叫ぶ。
しかし、真っ赤に染まった頬が朱美の状態を示していた。
「卑怯? 確かにそうかもな。だが、能力に差があるって言うのは既に卑怯なんじゃないか? 例えばレースで原チャ相手にナナハンでいくのは卑怯じゃないのか? まあ、そこまでの開きがあるとは思わないがな」
ぐにぃと力の限りに胸を潰す。
ビクンと一際大きく体を震わせ、朱美は叫びそうになる声を必死に押し止める。
泣きそうな顔。真っ赤に染まった顔をくしゃくしゃに歪めながら、それでも瞳だけは強く俺を睨んでいる。
ふ、その強気、いつまで持つかな?
『さぁ、朱美。座りなさい』
「あ・・・・・」
陽子の言葉にカクンと朱美の体が沈む。
ぺたんと言う音が鳴りそうな感じで朱美は座り込む。
キーンコーンカーンコーン。
始業のチャイムが鳴る。しかし、朱美も陽子もそして俺もそんな事は関係なかった。
『緑松様のベルトを外して・・・・・ズボンを下ろして・・・』
「あ・・・・・ああ・・・・・」
朱美は陽子に言われるがまま俺のズボンを下着を下ろしていく。
見たくはないのだろう。瞼を強く閉じ、必死に顔を背けている。
「だめだろ、朱美。ちゃんと見ないと」
陽子に解るよう、声に出して言う。その意図を汲んでくれた陽子が朱美に向けて命令を下す。
『そうよ、朱美。自分がやっている事をちゃんと見なさい』
「い・・・やぁ・・・・・」
陽子の言葉に絡め取られ、朱美の首が、瞼が動かされていく。
陽子からの強制力と見たくないという意思とに開かれた瞳がふるふると揺れる。
そうして、朱美からの視線を受ける中、俺のモノが姿を現した。
顔を背けたいのだろう。必死に顔を顰めながらそれでも俺のモノを凝視してしまう。
『さぁ、そうしたらそれをしゃぶりなさい。あなたが緑松様を気持ちよくさせるのよ』
「や・・・んむぅ・・・・」
泣き出しそうな表情のまま徐々に近づいていく朱美の顔。その艶やかな唇がモノの先に触れて開かれる。
その隙間に滑り込むように俺のモノが入っていき、その感触に朱美の目が見開かれた。
ねっとりとしたその口内で朱美の舌が動き回る。
「んっ・・・・んっ・・・・・ぅ・・・・・・」
朱美の舌が動く度、朱美の顔が動く度、ビクンビクンと朱美の体が震える。
そして朱美の貌が徐々にくしゃくしゃに潰れていく。
口の端、そして鼻から漏れる息は熱く、湿っぽく変わっていった。
必死に見ないようにしていたはずの瞳はいつの間にかじっと俺の股間を見つめていた。
その口から俺のモノを引きずり出す。
つうと涎が糸を引き、俺のモノと朱美の口の間に橋を架ける。
「あ・・・・」
突然なくなった感覚に朱美が僅かな声を出す。その貌は茫然としていた。
忠実に命令を遂行しようとしているのか、それとも単に俺のモノが欲しいのか、下がっていく俺のモノを追いかけるように朱美の顔が、口が、舌が前へと動いていく。
「どうした朱美? そんなに俺のモノが欲しいのか?」
「っ!!」
俺の言葉に朱美の体がビクンと震える。その貌は愕然とし、その瞳は再び恐怖に震えていた。
しかしそれでも暗示に囚われた朱美の顔は俺のモノをくわえようと前へと進んでいく。
「浅ましいな。そんなに俺のモノが欲しいのか」
再びの言葉。その言葉に朱美の瞳に怒りが灯る。
「あんたがやらせているんでしょ!!」
「ここをこんなにして、言える言葉じゃないだろ」
「あ゛ぅ゛っ!!」
つんと爪先で朱美の股間を軽く蹴る。朱美の体は敏感になっているのか、それだけでビクビクと激しく震えた。
はぁーっはぁーっと肩で呼吸をしながら朱美は体を震わせる。
しかしそれでも朱美の顔は俺のモノを舐めようと進んでくる。
その顔を押さえつけ、朱美の後ろへと回り込む。
「少しは我慢しろ。そんなに欲しいのか?」
「そんっ・・・・なわけっ・・・ない・・・・でしょ」
ハァハァと熱い吐息を漏らしながら弱々しく言う。
その言葉とは裏腹に朱美の体は俺のモノを銜えようと藻掻き、動いていく。
それを抑える俺の手に触れ、ビクビクと朱美は体を震わせる。
「陽子、いい加減にやめさせろ」
『はい・・・・朱美、ほら、もうしゃぶらなくてもいいわよ』
その言葉に朱美の体が動きを止める。はぁという安堵の息が朱美の口から漏れた。
『だけど、あなたの体はどんどん疼いてくる。セックスをしたくてしたくてたまらない』
「ひっ」
宣告された言葉。その言葉に小さな悲鳴を上げ、朱美の体が硬直する。それを見ているかのように陽子から言葉が紡がれる。
『ほら、疼いてきた』
ビクン。
陽子の言葉に朱美の体が大きく震える。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ・・・・・・・」
『でもね、朱美は緑松様にセックスしてもらわなければどうしてもイク事が出来ない。絶対にイケない』
声を漏らしながら小さい呼吸を繰り返す朱美。その体はビクビクと小刻みに震えていた。
その体を後ろから押し、前倒しにすると朱美の腰を持ち上げる。
「ひう゛っ!!」
ビクンと体を震わせる朱美の尻を持ち上げて、ショーツを脱がせる。
愛液でぐちょぐちょに濡れたショーツの隠されたその秘所はひくひくと蠢いて、そちらでも激しく呼吸をしているようだった。
「そんなに欲しいのか? ひくひく動いているぞ」
つんと秘所の周りを軽くつつく。
「あ゛ぅっ!!」
それだけで朱美の体が大きく震える。ハアハアと呼吸は乱れ、眼、鼻、口、そして秘所とあらゆる所から零れた体液が自らの体を汚していた。
つ。
スカートから生える太股に指を這わせる。
「あ゛あ゛あ゛!!」
伝わる刺激に朱美はガクガクと体を揺する。しかし、先程から格好は変わらず、ただ尻を振っているようにしか見えない。
「そんなに尻を振って、やって欲しいのか?」
「そ・・・・んな・・・・・・わ・・・け・・・・・・ひう゛っ!!」
痙攣する朱美の体、その動きが敏感な所を刺激するのか朱美の抗議は途中で止まった。
ブルブルと体を痙攣させながらも涙と涎と鼻水でぐちゃぐちゃに潰れた顔で俺を睨んでいた。
「はぁーっ・・・・ないっ・・・・・・はぁーっ・・・・でしょ・・・・」
「その気持ち。いつまで持つかな?」
「あ゛ぅ゛!!」
ピンと朱美のクリトリスを弾く。その刺激に大きく体を震わせた。
ぺらりとスカートを捲り上げ、晒された朱美の尻を撫で回す。
「ぁぁっ!!」
髪の毛と同じ緑色の毛が茂る秘所。森林のようなその茂みを掻き分けて、中に指を差し込んでやる。
「あ゛あ゛ぅ゛っ゛!!」
ぷしゅっと言う音がしそうな勢いで中から愛液が飛び出した。
両手を使って秘所を押し広げ、中をじっと見る。
「ぅあぁぁぁぅ!!」
「やっぱり変わったところはないなぁ。まあ、髪の色が違って、超能力が使えるだけで他には変わりないもんな」
「ひぅぅぅぅぅっ!!」
フッと押し広げた秘所に息を吹き込む。
予想外の刺激だったのか、朱美はガクガクと体を震わせた。
ペロリと指に唾をつけて、緑色の髪に隠されたうなじへと滑らせる。
敏感に押し上げられた感覚に朱美は流され、溺れていく。
「だっ・・・めぇっ・・変にぃっ! へんになぅっ!!」
「別に変になったっていいんだぜ。俺は気にしないしな」
「ぅあぁぅ!!」
ぐりぐりと秘所の中を刺激する。指の動きに合わせ、ビクビクと朱美の体が震えた。
持ち上げた朱美の感覚は落ちることなく、限りない上へと更に上っていく。
ピンとクリトリスを弾く。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」
ガクガクと朱美の体が震えた。
涎や涙、流れ出た愛液が朱美の下に水たまりを作る。
脱水症状でも起こすのではないかと思うくらいに流れ出た体液の中で、朱美はよがり続けていた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! もぉっ・・・・やぁっ・・・・!!」
ビクンと朱美の体が大きく震える。
まるでしゃっくりのように小刻みに空気を取り入れている朱美は弱々しくなった瞳で俺の事を見つめてきた。
「どうにかっ・・・なぅっ・・・・・イカっ・・・せてぇっ・・・いかせてょぉっ!! このままっ・・・・だとっ・・・・・へんにっ・・・・・なぅっ! おかしっ・・・・・くぅっ・・・・・なぅ・・・・・」
「欲しいのはこれか?」
言って、さっきから出しっぱなしでギンギンに勃起している肉棒を見せつける。
それを見た朱美の貌が歓喜に染まっていった。
「そっ、それぇっ! それっ! それほしぃのっ!! ちょうだいっ! いれてっ!! 気持ちよくしてぇっ!!!」
「・・・・それが人にモノを頼む態度か?」
『そうよ、朱美。人にモノを頼む時にはそれにふさわしい言葉というモノがあるのよ』
言って、くりくりっとクリトリスを擦ってやる。
激しい刺激が朱美の体を走り抜け、ビクンビクンと尻を大きく震わせる。
「あ゛あ゛ぅっ!! すっ、すいあせんっ・・・ごめっ・・・・なさいぃ・・・・・それをっ・・・それをくださぃ・・・・なんっ・・・でもっ・・・・なんでもっ・・・いうことっ・・・・ききますっ・・・・からぁっ!!」
ハアハアとこちらを見上げる朱美を見つめ、頬を緩ませる。
縋るような目つき。涎、涙、愛液を垂れ流し、俺に向けて尻を振る。
「わたしっ・・・・をっ・・・・きもちよくっ・・・っ・・・してぇ・・・・っ・・・・・くだっ・・・・・ぃ・・・・っ・・・・」
「まあ、いいだろう」
短く言って、そのまま肉棒を朱美の中へと突き入れた。
ぶちぶちという感覚。処女膜を破ったのだろう。その痛みも全て快感へと変換される。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ビクビクと震える朱美の体。その体を持ち上げて、屋上の入り口へと手をつかせる。
ガクガクと足を震わせ、今にも崩れそうな朱美の体を支えながら、肉棒を朱美へと突き込む。
その動きに併せて、朱美の体が大きく反らされる。
「っぁ!! ぅっ!!! ふぁっ!! いひっ!! ひぃのぉっ!! きもちいひぃっ! ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
先程まで抑えられていた絶頂が一気に吹き出し、朱美は絶頂へと至りっぱなしになる。
ズンと腰を動かす度に、緑色の髪を振り乱し、今出せる精一杯の声を上げる。
まだでるのかと言うくらいに涎や愛液を垂れ流し、与えられる快楽に溺れていた。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! あぁぁっぁぁぁぁぁぁあぁっ!!」
「どうだ? 気持ちいいか?」
「ひぁいっ!! きもちぃぃっ・・・ですっ」
呂律の回らぬ口で答える朱美。
処女だからだろう。その秘所はきつく、強く肉棒を締め付けてくる。
その感覚にゾクゾクと射精感が背骨を駆け上ってくる。
「そろそろだっ、なかにっ、だすぞっ」
「だしてぇっ・・・・なかにぃ・・・なかだしっ・・・きもちよくしてぇっ」
「よしっ、朱美っ、だすぞっ!!」
そう宣言して、朱美の中へと深く突きこみ、白濁液を吐き出した。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
一際長い声を上げて、朱美は体を震わせる。
支えていた手を放すと、朱美はずるずると崩れ落ちた。
「はぁ・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・・ぅ・・・・・・」
何もしていないのにびくっびくっと絶頂の余韻に震える朱美の体。
『ほらね、朱美。最高のセックスパートナー、最大の気持ちよさ。私が占った通りでしょう?』
「ふぁぁ・・・・い・・・・・とてもぉ・・・・きおひ・・・・・よかったぁ・・・・でふぅ・・・・」
指輪から陽子が朱美に声をかける。
ちゃんと理解しているのかいないのか、答えるその貌は快楽に蕩けていた。
< つづく >