十億分の一 ~ Hunter ~

~ Hunter ~

(プログラミングが面倒くさいなぁ……この場合はこう分岐して、と……)
 ぼくはプログラミングを一時中断してパソコンに繋がれたビンに入っている透明な液体を見つめた。
 これはただの水ではない。人の脳に寄生し、干渉するナノマシンが大量に泳いでいる。
 兄貴が会社で研究していた物を家に持ち帰ってきたのを拝借した。これは実に面白いアイテムだ。
 本来は脳障害の患者に対する医療用として開発していたものらしいが、プログラムを改造すれば人の意識、無意識を操ったり、ホルモンのバランスを変更して肉体的な改造をすることも可能だ。
 この力を使って女獣狩りをする。最初の獲物は……既に決まっている。

 ぼくは徹夜でプログラムを完成させた。仮にも人の体内に入れて脳に干渉する物だ。何度もシミュレートしてデバッグはきっちりとやった。
 ぼくはナノマシンの一部を小瓶に移しかえると最初の獲物の元に向かった。
 獲物の名は「黄 美花(ふぉん めいふぉあ)」。
 中国人だが、日本国籍も持っており、兄貴と同じ会社に勤めていて一人暮らしだ。家が近所なのでぼくも時々おじゃましに行っている。
 ぴんぽ~ん。
 チャイムを鳴らす。
「はーい……って、信くん、また遊びに来たの?」
「うん、だめだった?」
「そんなこと無いよ、上がって」
 美花さんは、身分証明書が無ければ決して大人には見てもらえないような低い身長と童顔、それに似合わない豊満な胸を持ってる。
 ぼくは歳相応に美花さんよりも頭一つ以上低いんだけどね。
「ねねね、ゲームしよ、ゲーム!」
「しょうがないなぁ……」
 ぼくは無邪気を装って美花さんとテレビゲームをはじめる。
 しばらくゲームをしながら頃合を見計らって言う。
「ぼく、喉が乾いちゃったんだけど、ジュースある?」
「オレンジとアップルがあるよ、どっちにする?」
「オレンジ!!」
「はい、ちょっと待っててね」
 美花さんが出ていって、しばらくするとお盆にクッキーとオレンジジュースを2杯持って戻ってきた。
 そして美花さんがテーブルにお盆を置いたのを見計らってポケットの中の携帯を操作した。
 ぴりりりり……。
 電話が鳴る。慌てて美花さんが電話を取りに部屋を出ていったのを見計らい、小瓶の中のナノマシンを美花さんの オレンジジュースの中に入れ、電話を切った。
「いたずら電話かしら……」
 ちょっと憮然とした表情で美花さんが戻ってくる。ぼくは自分のオレンジジュースを取って半分くらい飲んでおいた。
「ねぇ、信くん……」
「な、何!?」
「柘植さん、私のことなんて言ってる?」
 ほ、ばれたんじゃなさそうだ。
「兄貴?兄貴は美花さんのこと結構気にしているよ」
「本当!?」
「うん」
 美花さんって兄貴に気があるのか、なら気にすることは無いかも……。
 美花さんがオレンジジュースのグラスを取る。どきどきする……でも、罪悪感は無い。純粋に、仕掛けがうまく行くかどうかだけのどきどきだ。
 もうすこしっ。
 早くっ。
 飲めっ。
 飲んだ、飲んだ、飲んだ、飲んだ、飲んだぁ~っ!!
 これで今日のここでの任務は終わり。ナノマシンが脳までたどり着き、増殖してプログラム通り動き始めるのは明日の朝って所。
 ポケットの携帯を鳴らし、通話している振りをした後、ちょっと大げさに急用ができたみたいに伝え、美花さんの家を後にした。
 帰り道、ゴミ捨て場の脇の物陰に箱を置いた。ここは注意してみなければ何か落ちているなんてわからない。ゴミ捨て場の隣だからか、精神的な盲点になっているらしく、前に実験してみたときも、箱は一週間以上放置されていても片付けられる気配は無かった。
 この箱の中は兄貴のコレクションから失敬したあるアイテムが入っている。これはプログラムが成功したかどうかの確認と趣味なんだけど……。
 とにかく、明日が楽しみだ。

 今日は日曜日。先日、あまり寝てなかったせいか、お昼近くまで眠ってしまった。
 まぁ体力も回復したし、時間も丁度良いからいいんだけどね。
 今日は美花さんはゴミ捨て場に箱を拾いに行くだけでどこにも行かないで家にいるはず。そうプログラムしておいたから。
 ぼくはチャイムを鳴らして少し待つ。やっぱり、初めてのことが成功しているかどうかと言うのはどきどきするものだ。
 がちゃ……。
 扉が開いて美花さんが顔を出す。
「こんにちは」
「こんにちは、信くん。いらっしゃいアル」
 紫色のチャイナドレスとネコミミカチューシャ、肉球グローブとおそろいのスリッパ。これは箱の中に入れておいたアイテムだ。それにマンガなどで使われる中国人的なしゃべり。そしてかすかに聞こえるモーター音……間違い無い、成功だ!!
「今日は美花さんにお願いがあってきたんですけど……」
「いいアルよ、でもまずは部屋に行ってからアル」
 美花さんが後ろを向いて部屋に行こうとする。チャイナ服のお尻の部分に小さな穴があいて、そこからバイブ付きの尻尾が飛び出してうねうねと動いている。
 ぼくは美花さんにいくつかキーワードをプログラムしてある。これがちゃんと作動してくれるかどうか……。またどきどきしてきた。
 ここは美花さんの部屋、ベッドルーム。ここにはまだ一度も入ったことが無い。と言うより、入れてもらえなかったんだ。
 まずは一つ目のキーワードを……。
「美花さん、ぼくに『セックスを教えて』ください」
 しばらくの沈黙……。しまった、まだ完全じゃなかったのか?失敗したのか?
「信くんもどこでそんなことを覚えてきたアルか?いいアル。教えてあげるアルよ」
 やった!失敗していない!
「でも、ワタシも初めてアルから、うまく教えられないかもしれないアル」
 え?初めて?うーん、失敗したかな?よくよく考えれば、処女じゃないかなって思うけど、そう思わないでプログラミングしちゃったから、ちょっとズレが出ちゃうかも……。多分これくらいなら脳の中で修正されると思うけど……。
「それじゃ、服を脱ぐからちょっと向こう向いてて欲しいアル……」
「あ、うん……」
 ぼくは入ってきた扉の方を向く。後ろからしゅるしゅると美香さんの服を脱ぐ音が聞こえてくる。う~、どきどきする。このどきどきはさっきまでのどきどきとは違う気がする……。
「もう、いいアルよ」
 振り向くと美花さんは裸になっていた。肉球グローブは外しているが、耳と尻尾とスリッパは付けたままだ。
「少し、恥ずかしいアル……」
 美花さんはほんの少し顔を赤らめていて、何だかとっても可愛い。
「ほら、信くんも脱ぐアル!」
「うわ、たた、自分で脱ぐから~……」
 そう言うよりも早く、美花さんはぼくのズボンとパンツを剥ぎ取ってしまった。ぼくのおちんちんはすでにばきばきに固くなって上を向いていた。何だかすごく恥ずかしい……。
「あら、まだ剥けてないアルね……」
 剥けてない?どう言う……。
「あうっ!!」
 ぼくのおちんちんに衝撃が走って、おちんちんが……。これが剥けるって言うことなのか……。でも、何か変だ……。何かがおかしい気がする……。
「それじゃ、まずはキスからアル……」
「んむ、ふあぁっ……」
 美花さんの舌がぼくの口の中に進入してくる。それだけでぼくのおちんちんは暴発しちゃいそうになるくらい気持ちがいい……。
「次は……ここアル……」
「ん!!あああぁっ!!」
 美花さんがぼくのおちんちんを舐めている……。こんなに……こんなにも気持ちいいなんて……。
「うあぁっ!!ぼくっ、もうっ!!」
 びくっ、びくっ、びくっ、びくっ……。
 ぼくのおちんちんからこれまでに無いような大量の精液がほとばしり、美花さんの顔を汚していく……。
「もう、信くんったらいっぱい出したアルね……」
 美花さんはいとおしそうにぼくの精液を掬い取ると飲み干した。
「信くん、ベッドに横になるアル」
「え?……うん……」
 ぼくは何でベッドに横になるのか、理解できなかったが言われる通りベッドに寝転んだ。
「それじゃ、いくアルよ!」
「え?あぅっ!」
 美花さんはぼくのおちんちんをアソコにあてがうと一気に腰を落とした。騎乗位ってやつだ。美花さんのアソコから処女の証である一筋の鮮血が流れ出した。
「くぅんっ、ど、どうアルか?私の中は?」
「暖かくって、凄く……気持ちいいよ……」
 本当に凄く気持ちいい。これだけでももうイっちゃいそうだ。
「それじゃ、動くアルよ」
「え?あ、ひゃうぅんっ!!」
 気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい、何も考えられなくなっちゃいそう……。
「信くんのおちんちん、凄いアル、美花、もうイっちゃいそうアル……」
「ぼくももう……ああああっ!!」
 どくっ、どくっ、どくっ……。
 美花さんの膣にぼくの精液をたっぷりと注ぎ込む。でも、ぼくのおちんちんは固くなったまま、まだまだ衰えることは無い。
「若いっていいアルね、まだまだできるアル」
 美花さんが寝転がったままのぼくのおちんちんを弄ぶ。ぼくはそのまま流されていたいのを我慢して立ち上がり、外してあった肉球グローブを拾い上げ美花さんに渡した。
「それより美花さん、『美花さんは発情した雌猫』なんですか?」
 キーワード。そしてしばらくの沈黙のあと、美花さんはゆっくりと肉球グローブをはめた。
「そうニャ、美花は発情した雌猫ニャ。だから、いっぱいいっぱいセックスして欲しいニャ」
 少し遅れての反応。キーワードが発動するには多少のタイムラグがあるようだ。
「どうしたニャ?美花はもう我慢できないニャ。早く信くんのおちんちんを美花のおまんこに突っ込んでぐちゅぐちゅにゅぷにゅぷして欲しいニャ」
 美花さんはベッドの上で四つん這いになり、ぼくにお尻を向けお尻をくねくねと振って挑発する。それに合わせるように、バイブの尻尾もくねくねとぼくを誘う。
 ぼくは誘われるように美花さんの尻尾に手を伸ばす。
「きにゃっ!?し、尻尾は弱いのニャァ~!!」
 美花さんは背中を振るわせ、お漏らししたかのように愛液を滴らせた。プログラムとキーワードで耳も尻尾も肉球ももはや美花さんの一部と化している。
「『美花さんの大きな胸からはミルクが出る』んだよね?」
 三つ目のキーワード。
「そうにゃ、イヤらしい美花のおっぱいからはミルクが出るニャ、信くん、揉んで欲しいニャ、ミルク出させて欲しいニャ」
 今度のキーワードは早く効いた。前のキーワードと近かったせいかもしれない。
「信くん、早く挿れてニャ!揉んでニャ!もう我慢できないニャァ~!!」
 ぼくももう我慢できない。おちんちんをゆっくりアソコにあてがうと、一気に貫いた。
「にゃああああぁ~っ!!」
 それだけで美花さんは涎をたらしてイってしまった。
「も、もっとして欲しいニャ、おっぱいも揉んでほしいニャ」
 ぼくは美花さんの言うとおり、アソコを激しくつきながら手を前に回して胸を揉みしだいた。
「にゃはぁ!イくニャ、イっちゃうニャ、イきっぱなしで止まらないニャ、ミルクもびゅーびゅー出ちゃうニャアッ」
 美花さんのミルクが部屋中に飛び散り、甘ったるい匂いがぼくの鼻をくすぐる。
「ぼくっ、もっ、出ちゃいます!!」
「いいニャ、膣にたっぷり注いでニャッ!!」
 どくっ、どくっ、どくっ……。
 ぼくは美花さんの中で三度目の射精をした。とろけるような快感……。気持ちいい……。
「まだ、まだニャ、抜かずにもう一度やるニャ!」
 体勢を変え、今度は正常位。美花さんのお尻にはいったバイブがベッドに押さえつけられ振動が膣内のおちんちんに直接響いてくる。
「もっと、もっと激しくするニャ、おっぱいも舐めるニャ!吸うニャ!!」
 ぼくは言われるままに腰を激しく振り、美花さんの胸にしゃぶりつく。美花さんの甘くて美味しいミルクの味が口いっぱいに広がっていく。
「乳首も軽く噛んで欲しいニャ……あんっ!そうニャ、上手ニャよ……」
 ぼくももう何も考えられなくなっていた。ただ激しく腰を振り、胸を揉み、唇をむさぼる。
 そして何度も何度も大量の精液を美花さんの膣内に注ぎ込んだ。

 そしていつのまにかもう夕方。そろそろ帰らなくちゃ……。
 ぼくは美花さんの膣からおちんちんを抜き、最後の精液を美花さんの顔にぶちまけた。
「あんっ、もっと、もっとしてにゃぁ……もっとたくさんたくさん、せーえきをめいほわのおまんこにそそいでにゃあ……」
 美花さんのアソコから昼間から注ぎつづけていたぼくの精液がごぽごぽと音を立ててあふれだす。美花さんは虚ろな瞳でなおも快感をむさぼろうとぼくに体を摺り寄せてくる。
「美花さん、『今日は美花さんは何も無かった』よねえ……『セックスなんかしていない』よねぇ……」
 美花さんは一瞬硬直したかと思うと、ベッドに崩れ落ちた。
 これから美花さんはぼくが帰るとこの大変なことになった部屋を理由をこじつけて片付けるだろう。なにせ今日は『何も無かった』し、ましてや『セックスなんかしなかった』のだから……。
 ぼくは美花さんをほおっておいて服を着て帰路についた。
「あ、兄貴……」
 帰る途中兄貴と偶然出会い、そのまま一緒に帰宅した。
「今日も美花さんの所に行ってきたのかい?」
「うん、甘いミルクと中華饅をご馳走になったよ」
「そうか、それじゃ、又俺が御礼を言っておくよ」
 兄貴の仕事によって、得たこの力。この十億分の一メートルの小さな力を使ってぼくは女獣を狩る。
 オニイサマノタメニ……。

< つづく >

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