クリスタルの中庭 第三話

第三話

(10)

「ねえ。日奈ちゃん」

 日奈の口に二度目の精を放った後、僕は口を開いた。日奈はザーメンを、喉を鳴らせて飲んでいた。

「ン…なあに?ご主人様」

「もしさ。僕が日奈ちゃんを抱きたいと言ったら、どうする?」

 無邪気な日奈の瞳に、困惑の色が広がる。

「ご主人様がしたいのならいいけど…日奈ちんエッチした事無いから、やっぱりちょっと怖い、かな」

 そういうと、困ったように日奈はえへへ、と笑った。
 これは施術の下に隠れた日奈の本音なのだろう。心の準備なんてできているはずがない。しかしだからと言って、彼女達がその気になるまで待っていても無駄な事だ。そんな日が来るはずは無いのだから。無理矢理にでも、日奈のセックスに対する認識を変える必要がある。そしてそれを後伸ばしにする理由はどこにもない。僕は小さく息を吐いて決断した。

「あれ?おかしいなぁ」

 僕は大げさに頭をひねった。

「何が?」

「だってメイドの一番大事な仕事は、ご主人様の性欲処理でしょ」

「せーよく処理?……」

「それにご主人様とのエッチは、メイドの一番の楽しみじゃないか」

「えっち…楽しみ……」

 日奈は僕の適当な言葉を反芻している。僕の言葉は日奈の中では絶対だ。日奈の中でセックス観が変化していく様を、僕はじっくり観察していた。ゆっくりと、困惑の表情が融けていく。
 少しずつ変わっていく日奈を見ながら、僕はぼんやりと考えていた。日奈の処女を奪う。彼女の意志を無視して。催眠術をかけているとはいえ、それはやっぱり重い出来事だった。僕はその重さから、目を背けたいだけなのかもしれない。形だけでも日奈には僕とのセックスを望んでほしい。

「ごめんなさい。日奈、やっぱりご主人様とセックスしたいなあ」

 瞳を輝かせて、あっけらかんと言った。それはいつもの日奈だった。セックスへの抵抗感は霧散したようだ。本質的には何かが変わったわけではない。変わってはいないが、泣き叫んで抵抗されるよりずっといい。

「それじゃあね……」

 僕は日奈に耳打ちする。それは今夜の計画だった。

 晩ご飯が終わると、僕はそそくさと自室に戻った。姉妹メイドには、お風呂に入って、寝る準備ができたら僕の部屋に来るように命令しておいた。目配せすると、日奈はにっこりと笑って頷いた。

 しばらく時間が経ってから、僕の部屋にメイド達が入ってきた。

「ご主人様。来たけど……」

 怪訝な表情で葉月は言った。

「それじゃ、歓迎会を始めようか」

「歓迎会?」

「もちろん君たち二人のさ。さあ服を脱いで」

「どうして服を脱がなきゃいけないのよ?」

「そんなの歓迎会なんだから当たり前だろ」

 無茶苦茶な理屈だが、ご主人様である僕の言葉は絶対だ。即座に否定するには抵抗があり、もしかしたら間違っているのは自分の方かと思えてくる。葉月は困惑していた。横を見ると、日奈はためらい無くぽんぽんと服を脱いでいく。

「お姉ちゃん?」

 素っ裸になった日奈が、訝しげに葉月を見た。僕の言葉に加えて、日奈もそれを当然として行動している。それで葉月も納得したようだった。

「わ、わかっているわよ」

 葉月はゆっくりと服を脱いでいく。ヘッドピースと手袋を取り、付け襟を外す。腰で結んだリボンを緩めて腕を抜くと、ストンとメイド服は床に落ちた。下着を身に着けない彼女が今着ているのは、ガーダーストッキングとハイヒールだけだ。それもためらいがちに脱いでいく。

「脱いだわよ……」

 やや上ずった声で葉月は言った。僕の寝室が少女達の匂いで包まれる。生まれたままの姿になった葉月は、両手で乳房や股間を隠していた。背中を丸め、体を縮めていた。

「もう。お姉ちゃんたら。そんなに手で隠していたら、ご主人様に見てもらえないじゃない。メイドは、どんなに恥ずかしくても体を隠さず、裸を晒してご主人様の目を楽しませないといけないのにぃ」

 事実、日奈は体を隠そうとはしていなかった。膨らみかけた胸も、薄く陰毛の生えた性器も、僕の目に入ってくる。少女から大人の女性になる、ちょうどその中間の体だった。

「そんな……!」

「うん、日奈ちゃんの言っている事が正しいね」

 自信満々で僕が言う。暗示を口にする時は、自信をもって断言しなければいけない。口にする時に不安があれば、それは確実に相手に伝わる。日奈の言葉は僕の言葉。それが条件付けされた事で、暗示はより説得力をもって葉月に影響する。

「知っているわよ。そんな事」

 日奈の言葉に、葉月のメイドとしての常識がまた一つ塗り変わっていく。葉月は両手をどけて、背筋を伸ばした。それは夢にまで見た葉月のオールヌードだった。恥ずかしさに耐え切れず、葉月は視線を逸らした。体を隠そうと両手を動かしたが、鉄の自制心で耐えている。今、両手は固く握られていた。
 こうして見ると葉月の乳房は形がよく、想像していたよりも大きかった。

「くっ……」

 葉月は視線を外す。僕の目の前に、杉原姉妹が全裸のまま立っていた。姉の方は恥ずかしそうに、妹の方は嬉しそうに。こうして並んでみると、さすが姉妹だけあってよく似ている。今はまだ薄い日奈の体も、数年後には葉月のように女性らしい丸みを帯びた体になるのだろう。あまりの刺激的な光景に、僕は口に溜まった唾を飲み込んだ。

「じゃ、じゃあ、ベッドに上がってきてよ」

 僕はベッドに入り、すでに裸になっていた。

「はーい。失礼しまーす」

 日奈がベッドに入ってくる。スプリングが小さな音をたてて軋んだ。

「ちょ、ちょっと。それって……」

「もちろんセックスするんだよ」

「なんでセックスしなければいけないのよ」

「なんでって……。ねえ?」

「ねえ」

 葉月の問いに答えず、僕と日奈は顔を見合わせた。優しく日奈を抱きしめる。日奈の裸はすべすべと気持ちよく、甘いミルクの匂いがした。

「ん……」

 自然に唇と唇が重なる。日奈は目を瞑り、僕に体を預けてきた。僕は日奈を横たえて、その体に指を這わせていく。

「ひぁん……!」

 感度のいい日奈の体は、どこを触っても白魚にように跳ねた。葉月は、僕が日奈を愛撫している様子を黙って見守っていた。全裸姿のまま、部屋の入り口で立ち尽くしている。

「ちょ、ちょっと……」

 葉月の言葉は力なく尻すぼみになっていた。無理矢理にというわけではなく日奈が積極的である以上、止めさせる事はできない。だからと言って、妹を置いて部屋を出て行ったりもできないようだった。

「はあ…いい…ご主人様の手、暖かくって気持ちいい…お姉ちゃんも来ればいいのに……」

 息も絶え絶えに、日奈が葉月に話し掛ける。

「そんな…私は……」

「一緒にエッチしようよぉ…メイドなら当然だよ」

 葉月がはっとした表情になる。

「メイドなら当然?セックスが?」

「うん。だって、ご主人様の性欲処理がメイドの一番大事な仕事じゃない。そうですよね?ご主人様」

「うん。まったく日奈ちゃんの言う通りだ」

 僕は大げさに頷いた。

「そ、そんな事ぐらい日奈に言われなくても知っているわよ」

 むきになって葉月が言う。

「ご主人様の夜のお相手を務めるなんて、メイドにとってすごく光栄な事でしょ」

「そりゃこんな風にセックスに誘ってもらえた事は、とっても光栄だとは思っているわよ」

「だったらいいでじゃない。メイドだったら、いつでもご主人様としたくて堪らないのは当たり前でしょ」

「私だってご主人様とセックスしたいわよ!」

 日奈の言葉によって葉月が変えられていく。もちろんこれは僕が仕組んだ事だ。日奈にはいろいろ吹き込み、僕とのセックスに対する抵抗を払拭させていた。更にその暗示を、日奈の口から葉月に教えるようにも命令していた。実の妹の手によって葉月がみだらに変えられていく。その事自体が僕を興奮させた。

「でも、セックスなんて…そんな……」

 それでもまだ葉月は逡巡している。恐らく性体験が無い為だろう。それでもあと少しといったところか。

「もう、いいじゃないか。嫌なのに無理にする事はないよ」

 僕は日奈の微かに色づいた乳首を触りながら、目で合図をする。それを察して、日奈は意味ありげに笑って頷いた。

「そうですよね。じゃあご主人様。お姉ちゃんの分も日奈を可愛がってくれます?」

「いいよ。たっぷり可愛がってあげる」

「わーい、やったぁ。でも私、お姉ちゃんをちょっと見損なっちゃいました。あれだけ学校では優等生だったのに、メイドの基本すらできないなんて」

「そんな事言ったら可哀想だよ」

 そう言いながら、もっと言って、と目で合図する。

「ご主人様は甘いんです。こんな駄目なメイドはこの屋敷では必要ありません。実家に送り返しちゃいましょう。私なんてほら、触ってください」

 日奈は僕の手を握ると、自分のあそこに導いた。

「ちゃんと奥まで触ってください」

 そう言うと、大胆に足を広げた。

「ん…ハァン…。ね、濡れているでしょ?日奈は、ご主人様とエッチできるって考えただけで濡れてきちゃうんです」

 確かに僕の指の先には、湿り気があった。日奈の愛液だった。

「わ……」

 静かに聞いていた葉月が、小さく声を発した。

「私だって、濡れている、わよ……」

「本当かなぁ?」

「本当よ。私だってご主人様とエッチできると思ったら、あそこがジンジンして、濡れちゃっていたんだから……」

「でもお姉ちゃん。ご主人様とセックスしないんでしょ?ご主人様は日奈とだけエッチするの」

 日奈は体を起こすと、挑発するように僕に抱きついた。

「わ、私もするのよ。セ、セックスぐらい……」

 さすが妹、負けん気の強い姉の操縦方法はよく心得ている。

 僕はただ、自分の手で葉月を変えてしまう事から逃げていたのかもしれない。だから日奈を利用した。やはり僕には勇気がない。しかしそんな自己嫌悪を、淫らな期待感が吹き飛ばす。

「まあ、そういうなら……三人でしようか」

 仕方ないといった様子で言ってはいるが、姉妹の処女を同時に奪う事なんて夢でも考えた事がない。しかも今二人は僕とのセックスに同意しているのだ。心臓の鼓動が激しくなっていた。
 恐る恐る葉月はベッドに入ってきた。広いベッドの上に、三つの肉体が重なり合う。

「お姉ちゃん。そうは言っても、ちゃんとご主人様を満足させられるの?」

「馬鹿にしないで。ちゃんとできるわよ」

 挑発するかのように言う日奈に、葉月が言い返す。まるで目から火花が飛んでいるかのようだ。

「へえ。じゃあ、これはできる?」

 そういうと、日奈は僕の男根を口に含んだ。ジャボジュボと音を立てながら、激しく吸い上げる。かと思うと一転して優しく、舌の上で転がす。たった一日で、日奈のフェラチオはかなりうまくなっていた。

「あう…いいよ。日奈ちゃん…出ちゃいそうなくらい、いいよ……」

 僕は情けない声を出していた。妹の様子に、葉月は目を丸くしている。

「日奈、あんたいつの間に」

「えへへ。お姉ちゃんがお昼買い物に行っている間に、ちょっとね。ご主人様に教えてもらっちゃった」

「ずるい、日奈ばっかり。…どいて」

 強引に日奈をどかせて、自分が僕の足の間に入る。

「ああん、もう。もっとペロペロしたかったのにぃ」

「いいから。どうやればご主人様が気持ちいいのか、教えなさいよ」

 そう言いながら、葉月は手で僕の肉棒を愛撫していた。それだけで充分気持ち良かった。

「仕方ないなぁ。…まずはおちんちんを持ち上げて、たまたまの方から舐めるの」

 そんな事は日奈もした事が無い。日奈は自分のフェラチオが中断させられた腹いせに、葉月にはずっと過激な事をやらせるつもりのようだった。

「ん…、こう?」

 必死に葉月が袋を舐める。

「ちがうの。もっと下の方から舐めるの。そこを男の人は舐められるととっても気持ちいいんだから」

 葉月の舌が、僕の敏感が部分に触れた。あまりの快感に体が震える。気をよくした葉月は、そこを重点的に舐め始めた。

「う、うまいじゃない。でも手がお留守になっているわよ。ちゃんと手でもしごかないと」

 そろそろと葉月の手が僕の男根に延びる。優しく握ると、上下に動き出した。すごい快感だった。葉月が夢中になって僕の股間を舐め上げている後ろで、日奈はどうだ、と得意げいう顔で僕を見ていた。日奈は想像よりもよくやってくれた。僕は満足げに頷くと、両手を広げた。その腕に中に日奈が飛び込んでくる。ご褒美と言わんばかりに、日奈は僕の唇をねだった。
 僕は下半身を姉の葉月の奉仕を受けながら、上半身で妹の日奈の体を抱きしめついばむようにキスの雨を降らしていた。

「はうん…はあ…あ…はん…あん……」

「ふぅ…ふぁぁ…はぁ…はぁ…ああン…はあ……」

 僕は夢中になって姉妹の体を貪った。二人とも感じやすい体で、僕の稚拙な愛撫にも反応が良かった。特に姉妹はわき腹が弱いらしく、そこを愛撫されると体を仰け反らせてよがった。僕が少し疲れて手を休めると、今度は日奈と葉月が絡み出す。

「そんな……。私達は姉妹なのに」

 二人に愛撫し合うように命じた時、そう言って葉月は反論した。さすがに抵抗があるようだった。

「姉妹である前にメイドだよ。メイドだったら愛し合うなんて当然じゃないか」

 僕の言葉は絶対だ。二人はおずおずとキスを交わした。美人姉妹のキスシーンに、僕は激しく興奮していた。

「はぁ…はぁ…日奈……」

「ひゃぅ…あん…お姉ちゃん……」

 二人の絡みは次第に激しく、情熱的になっていった。暗示の効果は絶大だが、完全に定着するには少し時間がかかる。心の中で完全に納得する為の時間なのかもしれない。いずれにしても、今や美人姉妹は快感を貪る為に積極的に絡み合った。もう躊躇いはないようだ。お互いの舌を絡ませつつ、乳首同士を擦り付ける。両手は膝立ちしたお互いの股間に伸びていた。それは二匹の美しい雌が織り成す淫靡な光景だった。

 美人姉妹の濃厚なレズシーンに、僕の肉棒は激しく反応する。すると、それを横目で見ていた姉妹が僕の元へやって来る。今度は姉妹が両側から男根に奉仕し始める。姉が先端を口に含んでしごけば、妹は顔を埋めて睾丸を舌で舐め上げる。二人は協力して僕を追い詰めてくる。いつの間にか室内は男女の汗や体液の匂いが立ち込め、淫靡な香りが漂っていた。いつ終わるともしれない性の宴は、いよいよ佳境に入ってきた。僕の分身もダラダラとカウパー液を分泌し、雌を求めて息づいていた。もう我慢できなかった。

「そろそろ、いいかな?」

 僕は絡み合っていた二人に言った。二人は顔を見合わせ、僕を見て欲情した顔で頷いた。

 二人はあお向けで並んで横たわった。二人とも股間は激しく濡れぼそり、ふとももまで愛液で濡れていた。二人は仲良くぎゅっと手を繋いでいた。心なしか弛緩した両足の奥には、サーモンピンクの女性器が僕を待っていた。

「ご主人様」

 葉月は言った。

「な、何?」

「私達はじめてなんだから。優しくしてよ」

「うん。わかっている。大丈夫。メイドだったら初めてでも痛くはないよ。とっても気持ちがいいはずさ」

「へえ、そうなんだ」

 葉月の顔から不安が消える。

「うん、そうだよ」

 僕は二人の痛がる顔は見たくない。だから『暗示』の力に頼る事にした。これは優しさではない。『暗示』で彼女達の人生を滅茶苦茶にした僕の、気持ちの問題だ。

「いくよ……」

 葉月の足を広げ、その奥に腰を鎮めていく。葉月の中は狭く、容易に異物を受け入れない。それでもしつこく挿入を繰り返した結果、葉月の中にすっぽり僕の分身は根元と納まった。

「あぁぁぁぁん……!!」

「くっきつい……!」

 動くどころではない。葉月の中はガチガチに僕自身を締め上げてくる。それでも僕は葉月の初めての男になれた感激で、胸が一杯だった。ビクビクと体が震える。暗示の力で痛みを消された葉月の体は、未知の快感にその身を震わせた。

「お姉ちゃん。良かったね」

 姉のロストバージンを横で見ながら、日奈は感慨深そうに言った。

「ご主人様。日奈の処女もぉ」

 美少女である妹は、腰を振って自分の処女を奪ってくれとせがんだ。僕は葉月の中からゆっくりと分身を引き抜いた。処女肉が、名残惜しそうに竿に絡みつく。葉月の中は名器と言ってよかった。
 今度は妹の処女を奪う。姉のより更に狭いそれは、中々入っていかない。それでもゆっくり時間をかけて腰を鎮めていくと、日奈の中に深々と突き刺さっていった。

「かはぁ…はぁ……」

 空気を求めて日奈が喘ぐ。痛みは消えても、未成熟な日奈のそこの負担が大きい事には変わりない。随分苦しそうだった。

「日奈。ちょっと大丈夫?」

 心配そうに葉月が声をかける。

「ひ、日奈ちんは平気だよっ…それより、嬉しいの。ちゃんとご主人様のお相手ができて」

 日奈は無理に笑顔を浮かべて言った。僕の胸は、日奈への愛おしさで一杯になる。とにかくこれで、二人とも処女を奪った事になるともに、
 僕のものになったと言っていい。シーツには、二つの赤い染みができていた。

「ご主人様。もう平気だから、次は私の中に……」

 葉月はもう一度僕の肉棒を求めてきた。

「う、うん」

 日奈の中に押し入れた自分の分身を引き抜いていく。

「嫌ぁ。抜いちゃ…いやぁ…!」

 日奈は不満の声を挙げた。

「だめよ。次は私の番なの」

「…じゃあ次の次は私。日奈ちんの番なんだから。コレは予約しましたぁ。売約済みでーす。」

 その晩。僕は姉妹に請われるままに、その体を何度も往復し、その美肉を貪った。

(11)

「チュバ…チュ…ン……」

 元々僕はうつ伏せで寝る癖があったが、この屋敷に来てからはあお向けに寝るようになった。
 下半身に、痺れにも似た甘い快感が走る。いやらしくて幸せな、素晴らしい一日の始まりに相応しい目覚め方と言っていい。

「チュ…ン…ご、主人様。まだおめめパッチリしませんか?…よぉし……」

 更に強い快感が走る。生暖かいものに包まれているような、むず痒い心地よさがあった。
 目を開ける。メイド服を身につけた日奈が、朝立ちのナニを口の中で転がしていた。こうしていると、まるで無邪気に遊んでいるかのようだ。昨晩は、娼婦顔負けの淫靡さを醸し出していたというのに。

「あっ起きたぁ。ご主人様。おはようモーニングでござんす」

 口に含んだペニスを離し、日奈はにっこりと微笑んだ。

「お、おはよう」

 なぜうつ伏せで寝ないのか。フェラで起こすのが定番のこの家では、うつ伏せで寝ているとフェラができずメイド達が怒り出すのだ。一度ついうつ伏せで寝てしまった時は、日奈にアナルを舐められて起きる羽目になった。

 僕が起きたのに、日奈はフェラを止める気配が無い。それどころか、日奈の奉仕はより熱を帯びてくる。

「あ、あの。日奈ちゃん。もう起きたんだけど……」

「日奈ちんはぁ、朝はミルクだと決めているんです」

 『精液が美容にいい』なんて信じ込ませるんじゃなかった。それ以来日奈は、夜にどれだけ濃厚に愛し合っても翌朝は濃いザーメンを求めるようになった。諦めて日奈の奉仕に身を任せる。随分と日奈のフェラもうまくなったものだ。毎日何回もこうしておしゃぶりしていれば、それも当然かもしれないが。
 暗示の効果もあり、今や僕の精液は日奈の大好物になっていた。

 美人姉妹の処女を同時に奪った夜から、数日が経過していた。
 暗示は完全に定着しているようで、二人とも新しい生活にまったく不満を感じてはいないようだ。両親や実家を懐かしがる様子もなく、熱心にメイドとしての仕事に打ち込んでいる。特に日奈の方は楽しそうだ。僕の妄想を実現させた、この生活が。
 日奈の子宮は完全に僕に馴染み、今では問題なく肉棒を咥え込む。それに合わせて性感も急速に発達し、情事の最中は姉の葉月が驚くほど激しい反応を見せるようになっていた。

「うっ……」

 ドクドクと、精液が迸る感覚があった。一瞬、頭の中が真っ白になる。また日奈にいかされてしまった。最近リードしているのは日奈の方だ。そればっかりじゃ面白くない。僕は少し意地悪な気分になっていた。

 日奈はまだ僕のものから口を離してはいない。それどころか、竿の部分をぴったりと密封し、外に精液が洩れるのを防いでいた。一滴残らず飲み込むつもりのようだった。

「まだ、飲み込まないで」

「んん?」

「口に咥えたままでいて」

 そういうと、日奈は素直に頷いた。
 日奈の口が離れると、僕とベッドの上に座り向かい合った。日奈は相変わらずノーパンだ。スカートがめくれ、薄い茂みが見えていた。奉仕していて昂ぶったのか、愛液で潤み下腹部に張り付いていた。

「僕の精液。好き?」

 ザーメンの匂いがする美少女は、無言でコクコクと頷いた。

「味も匂いも?」

 日奈はまた頷く。

「じゃあすぐ飲み込むんじゃなくて、よく味わわないと勿体無いよ。よく噛んで、口の中で転がすんだ」

 僕の言う通り、日奈の口がモゴモゴと動いている。舌の至る所に精液をこすり付けているようだった。噛んでいるうちに興奮してきたのか、僕を見る目が熱を帯びる。

「まだ噛んでいる?」

 日奈は無言で頷く。

「じゃあ両手に出して見せて」

 日奈は両手に吐き出した。自身の唾液を含んだ僕の精液は粘り気があり、顎にまで垂れてきた。両手に溜まった僕の精は糸を引き、ピンク色の日奈の舌と繋がっていた。

「はぁ…はぁ……」

 日奈の息が荒い。興奮しているのだ。潤んだ目で僕を見る。まるで芸がうまくできて褒めてほしい犬のようだ。

「ちゃんと口に含んでいたね。偉いね」

 頭を撫でてやると、日奈はえへへ、と笑った。口の回りには、べっとりと僕のザーメンが付いている。

「もう、飲んでもいい?」

「うん、いいよ」

 僕がそう言うと、日奈は一度吐き出した精液に口を付ける。ズルズルというすする音が響き、僕の精液は日奈のお腹の中に納まっていった。

(12)

 事が済むと、日奈は朝食の準備に向かった。その間、僕は浴室に向かう。朝お風呂に入るのが僕の習慣だ。脱衣所に入ると、葉月が床に正座して待っていた。

「遅かったじゃない」

 恨みがましい目で僕を見る。

「ご、ごめん」

「また日奈と遊んでいたんでしょう」

「そ、そんな事ないよ」

 図星だった。

「まったく……」

 そう言うと、立ち上がってさっさとメイド服を脱いでいく。ためらいも見せずに全裸になる。もうぎこちなさは欠片も無い。そして今度は僕の服を脱がせ始めた。

「ほら。手を上げて」

 口は悪いが手つきは優しい。葉月は甲斐甲斐しく僕の服を脱がせていく。

「パ、パンツくらいいいよ」

「いいから。私に任せなさいよ」

 葉月は何一つ自分で脱ぐのを許さない。結局跪いて僕のパンツまで脱がされてしまった。僕を全裸にすると、そのまま僕の性器を口に含む。これから体を洗うのに、その前に舌で清める意味などない。それでも、葉月は毎朝こうした濃厚な奉仕を欠かさない。

 脱衣所で全裸になり、仁王立ちした僕の前に膝を付き、葉月は熱心に頭を動かしている。手を使わず、口だけで奉仕するのが葉月の癖だ。手は僕のお尻に回り、抱え込んでいる。逃がそうとはしなかった。たまにチラチラと上を向く。僕の様子を窺っているのだ。僕が十分に快感を得ていないとわかると、葉月の奉仕が激しくなる。
 僕の肉棒が葉月の唾液でふやけるかと思った頃、ようやく葉月は口を離した。

「…精液と日奈の味がする」

「ご、ごめん」

「まあいいわ。…もうそこは私の味しかしないから」

 最後の方は聞き取れないほどの小声だった。

「えっ何?」

「な、何でもないわよ!それより洗ってあげるから、こっちに来てよ」

 そう言って、僕の手を引いて浴室へと入っていく。ちらりと固く勃起した僕の分身に目をやり、満足げな表情を浮かべた。

 屋敷の浴室は広く、数人が一度に入浴できる大きさに作ってある。風俗店に置いてあるような道具は一式揃えた。僕は真ん中の割れた通称スケベ椅子に座らせられ、軽く体を洗われる。なぜ軽くなのかと言うと、これからローションを使った奉仕を受けるからだ。浴槽に体を沈めている間、葉月はマットの用意をしている。温水シャワーでマットを暖め、僕が冷たくないように気を配る。マットにローションを垂らし、全身を使って広げていく。その間、葉月の全裸姿は丸見えだ。ローション塗れでぬらぬらと光っている葉月の裸体は、とてもエロティックだった。

「いいわよ。来て」

 頭の上で髪をまとめた葉月が、僕をマットに誘う。

「床滑るから気をつけてね」

 毎日こんな事をしているから僕だって慣れているわけだが、葉月はいつもそう言う。そっと手を握り、僕をマットの上に横たえさせる。葉月は僕の体の上にも暖めたローションを垂らし、それを全身で伸ばしていく。自分の胸を使って僕の足の裏から首までを擦り付け、自分の股間を股の間にまで差し入れる。葉月の陰毛が、僕の股間を刺激した。

 こんないやらしいテクニックの数々を、葉月は自分で学んで身に付けていった。教科書は僕のAVだ。僕は風俗の事は詳しくないが、少なくともAVに登場するようなテクニックの全てを必ず葉月は毎回使う。

 こんな光景、学校のみんなが見たら卒倒するだろうな。
 葉月は僕の胸に乳房を擦り付けながら、舌を出して僕の体を舐めていた。そんな様子を眺めながら、僕はそんな感傷に捕らわれていた。今では当たり前になってはいるが、葉月と日奈は学校中の人気者だった。憧れていない男子など、いなかったのではないか。そんな姉妹は、完全に僕のものになっていた。

 葉月の口の悪さは前と変わっていない。思った事は黙っていられない性格だ。いろいろいやらしい事をやらせると、不平や不満を口にはするが、命令は一言一句間違える事なく忠実に実行する。そして一度認識すれば、もう二度と言わなくても次回からはその通りの奉仕をする。不満らしきものを口にする事は、随分少なくなっていた。彼女の中で僕の妄想が、当たり前の事だと思うようになってきているのだ。
 彼女のメイドとしての矜持は、揺るがないものになっていた。そう仕向けたのは、僕自身だが。

「ねえ。どっちが気持ちいいのよ」

「えっ?」

「私と日奈と、どっちの奉仕が気持ちいいのかって聞いているのよ」

 葉月はよく僕にそう尋ねる。そう言われても、答えに困る。この美人姉妹は僕への奉仕を競い合っているようなところがあるのだ。お風呂での奉仕も最初は葉月だけだったが、日奈が自分もしたいとダダをこねた。それで今では朝と夕、二回入浴する決まりとなっていた。

「そ、それは」

「言いなさいよ。日奈にどんな事をされると気持ちいいのよ。…同じ事をしてあげるから」

 こうして僕の朝食前の入浴は、どんどん時間が長くなる一方だった。

(13)

 ちょうど台所を通りかかると、姉妹メイドは夕ご飯を作っている最中だった。コトコトと、鍋で何かを煮ている音がしていた。

「日奈の包丁の使い方は危なっかしいわね」

「へへー、これは日奈ちんオリジナルの野菜の切り方スペシャルなのだ」

「そんな切り方していて、指切っても知らないから」

 二人の会話が聞こえてくる。裸は見慣れてはきていたが、それでもノーパンメイド服姿で、お尻丸見えのまま料理している様子は一見の価値がある。僕はそっと二人の後ろに回りこんだ。

 二人は後ろ向きに並んで料理を作っていた。僕がちょっと体を低くすると、丸みを帯びた二つのお尻が丸見えになる。しばらく、このままお尻を見物している事にした。

「あ―あ。日奈、お塩入れすぎよ」

「えっそうかな?」

「だいたいあんたは何でも大雑把すぎるのよ。昨日だって鍋の中にマヨネーズ落っことしていたし」

 …昨夜の味のおかしなスープの事か。後で胃薬飲んでおこう。

「いいもーん。日奈ちんの愛情さえあれば、すごく美味しくなってご主人様も喜んでくれるし。そう言えばこの前ご主人様ったらね」

 葉月はげんなりとした声で言った。

「またご主人様の話?一日中ご主人様の話をしていて、よく飽きないわね」

「お言葉ですがね。ご主人様の話の半分は、お姉ちゃんから話し始めているよ」

「そ、そうかな?」

「そうだよ!ご主人様が人参食べてくれない。すり潰してピュレにしたけど見抜かれた、とかさ」

 二人はいつも僕の話をしているのか。それが悪口でなければすごく嬉しい。

「わ、私はメイドとしての役目に忠実なだけよ。ご主人様の健康を考えるのは、メイドとして当然の事でしょ」

「メイドとして、ですか。おじょーさん」

「引っかかる言い方をするわね。日奈もそうでしょ」

「…わかんない。メイドだからしなきゃいけないのか。したいからしているのか。ご主人様の事を考えると、胸がドキドキするの。こんな気持ち初めて。お姉ちゃんは違うの?」

 台所が静かになる。コトコトと鍋が音を立てていた。

「…私はメイドとしてのお仕事の事だけ考えているの。それ以上でもそれ以下でもないわ」

 僕は居たたまれなくなって、その場をそっと離れた。

< 続く >

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