催眠術師 鋭次01 (20)(21)

(20) 誓いのキス

「それでは、誓いのキスをしてもらおうとするか」
「キスですか?!」
「そうだ。”明日の夕方5時まで、俺の言うことをなんでも聞く”という、誓いのキスだ。出来るよな?」
 鋭次は、梨華にキスするように言った。最初は、嫌そうにしていたが、仕方ないと、あきらめたのか、梨華は、鋭次に近づいていった。そして、キスを受けるかのように唇を持っていった。
 しかし、鋭次は、キスをしなかった。そのかわり、次のように言った。
「お前から、キスをするんだ!!」
「私からですか・・・」
「そう。お前からだ」
 鋭次は、冷たく言った。梨華は仕方なく、鋭次の言うとおりに、自分からキスをしたのであった。
 キスをしている時、鋭次の目が自分の瞳に映った。何か、その時に強い暗示にかかった様な気がした。
 ”これで、明日の夕方まで、この人に逆らう事が出来ないんだ・・・”
 という、暗示にかかった気がした。

 それは、そのような気がしただけで、そのような暗示はかけられていない。
 実際は、別の暗示が、かけられていた。梨華が、キスが終わったと思った時は、一回目ではなく、二回目にされたキスが、終わったのであった。
 一回目のキスは、すぐに終わった。鋭次の目に見られ、鋭次が唇を離すと、梨華も唇を離した。
 そして、二回目のキスをする前に、鋭次が暗示をかける。
「俺が、”抵抗するな”と、言ったら、お前は、抵抗出来なくなる。お前の意志とは関係なく、抵抗出来なくなる。”抵抗してもいいよ”と、言ったら、抵抗出来るようになる。 そして、今から行うキスにより、今、暗示をかけられたのを忘れ、キスをしていた事しか、覚えていない・・・」
 そう言うと、鋭次は、二回目のキスを梨華にした。
 梨華は、キスの時間は、短いような気がした。
(これだけで、いいのかしら?)
 と、思うぐらい短いような気がした。しかし、鋭次は、
「よしよし。よく出来た!! これで、お前は、明日の夕方まで俺のものだ!!」
 と、嬉しそうに言った。

「それでは、まず、名前の呼び方だ!!」
 鋭次が、奴隷に対して言うように、宣言する。
「お前の事は、”梨華”もしくは、”お前”と呼んでやろう。わかったな?」
 鋭次が、確認する。
「あなたの思われるように呼んでください」
 梨華が、気に入らないように答える。
「よし。そうしてやる」
 鋭次は、そんな事は気にせず納得した。しかし、次の瞬間、いきなり怒り出した。
「”あなた”では無い!! 俺の事は、”鋭次様”と呼べ!!わかったな!!」
 鋭次が、急に荒々しく言った。
「はっ、はい。鋭次、様」
 びっくりした様に、梨華は返事した。
「わかればいい・・・」
 鋭次は、梨華が驚いているのに気付いて、優しく言った。

(さぁて、どのように、可愛がってやるかな・・・)
 梨華をどのように料理しようかと考える。
「それじゃあ、テーブルで話っていうのもなんだから、こちらに来ていただけますか」
 鋭次が梨華に、部屋の中央にある、丸形のスイートダブルベットに来るように言う。
 梨華が、それに従う。二人は、丁度、公園のベンチに腰を掛けるかのように、ベッドの端に腰を掛け、足を楽にして座った。
「この部屋に覚えがありませんか?」
 鋭次は、梨華に質問した。
「いえ・・・」
 梨華は、そう答えながら、
(初めて来るホテルなのに、知ってるはずないじゃない)
 と思いつつも、少しして、この部屋を思いだした。
「ここは・・・」
 梨華は、この部屋が、ビデオに写っていた自分が処女を捧げた部屋であることに気付いた。
「思い出したかい?」
 鋭次が、赤くなっている梨華に対して、もう一度、問いかける。
「はい・・・」
 梨華は、何か納得出来ないものを感じながらも、返答した。
「まぁ、思い出せなかったとしても、このベッドのシーツの真ん中を見れば、思い出せると思うけどね」
 そう言って、鋭次は、シーツの真ん中を指差した。
「あっ!! それは・・・」
 梨華は、思わず声を出した。そのベッドの真ん中には、血の染みがついていた。
 梨華が処女を奪われた時に出来た染みだ。
「完全に、思い出したようだね」
 鋭次が、また赤くなっている梨華に確認する。
「そう。この部屋は、梨華が、”処女を貰って下さい。”と言って、俺に抱かれに来た部屋だ。 この部屋は、あの日から毎日、きれいに掃除してもらっているが、そのシーツだけは、そのままにしてもらっておいた。梨華の大事な記念だからね」
 鋭次は、何か嬉しそうに言う。
「何なら、記念にこのシーツを持って帰るかい?」
 鋭次は、いやみっぽく、梨華に言う。
「結構です!」
 梨華は、怒って答えた。
「そうかい。じゃあ、俺がもらっておこう。梨華の大事な記念のシーツを・・・」
 そう言って、血の染みのついたシーツを外し始めた。そして、外し終えると、丁寧にたたんで、部屋にある金庫に入れた。
(なんて人なの・・・)
 梨華は、もう怒る気力も失せていた。

(21) 抵抗出来ない・・・

(それでは、たっぷりと可愛がってやる事にしよう・・・)
 鋭次の楽しみの時間が始まる。
「さぁて、それでは・・・」
 鋭次が、左隣りに座っている梨華に、後ろから左手を回し、左肩を掴んだ。
 少し抱き寄せられるような感じになっている。梨華は、ピクッと、しかけたが、
(抵抗しちゃいけないのよ・・・)
 と、自分に言い聞かせるようにして、気にしていない振りをした。
 しかし、鋭次の右手がゆっくりと自分の胸に近づいてくるのを見て、梨華は、胸を触られる恥ずかしさに、ついに抵抗した。
「いやっ!」
 鋭次から離れようとする。しかし、左肩を掴まれており、すぐには離れることが出来ない。
 鋭次は、右手をゆっくりと、胸から離していった。梨華は、あきらめたのかと思い、少しほっとしたが、鋭次が、優しい声で、ぼそっと一言、言った。
「抵抗するな」
 梨華は、(何を言っているの?)と、感じたぐらいであったが、特に深くは考えなかった。
 しかし、この時に暗示の効果が、かかっている事は、梨華は知らない。
 再び、鋭次の右手が、ゆっくりと胸に近づいていった。梨華は、また抵抗しようとしたが、恥ずかしさからなのか、なぜか身体が固まってしまい、抵抗出来なかった。
「いやっ!」
 梨華は、そう言うのが精一杯だった。鋭次は右手で、梨華の柔らかいオッパイをゆっくり揉み始めた。
 左のオッパイかと思えば、次は右のオッパイと、順番に楽しむように揉みまくった。
「どうしたんだい? 恥ずかしくて、固まっちゃってるのかな?」
 鋭次がオッパイを揉みながら、無抵抗の梨華に、問いかける。
「はい・・・」
 そうとしか、答えられなかった。梨華は、鋭次の言っている事が、当たっているような気がした。
 抵抗したいのだが、恥ずかしくて身体が動かない。まさか、先ほどのキスの時に暗示にかかっているとは、思ってもいない。
「そうか。可愛いなぁ」
 鋭次は、そう言って、梨華の両方の手首を持った。
(何をされるのかしら・・・)梨華は、少し不安になったが、それ程の事はされなかった。
 鋭次は、梨華の両方の腕を後ろに回させ、腰の後ろのあたりで、両手を組ませた。
 ただ、それだけであった。少し胸が突き出した感じになっている。
(両手を後ろで組ませたから、どうだっていうのかしら?)
 梨華は、おかしな感じがした。手をほどこうと思えば、すぐにほどく事が出来るし、この行為に何の意味があるのかと思った。
 しかし、その答えはすぐに、身に浸みてわかるのだった。

 鋭次は、梨華の前に中腰で立つと、両手をゆっくりゆっくりと胸に近づけた。
 まるで、”抵抗してみろよ”と、言わんばかりに、ゆっくりと両手を近づける。
 しかし、梨華は、やっぱり抵抗出来なかった。
「恥ずかしくて、固まっちゃってる間に、たっぷりと揉み揉みさせてもらおうかな」
 鋭次が、抵抗出来ない梨華に言う。梨華は、
「いやっ!」
 と言ったが、それだけであった。梨華は、抵抗しようとしたが、恥ずかしさからなのか、また、身体が固まってしまい、抵抗出来なかった。両手を後ろで組み、少し胸を突き出したような感じの状態で、鋭次の両手を待っている。
「それでは、揉み揉みしてあげるからね」
 鋭次は、抵抗しない梨華の顔を覗きながら、両手をオッパイに当てた。梨華はピクッと、しかけたが、鋭次のされるままになっていた。強く揉んだり、軽く揉んだり、また乳首の先を刺激するような揉み方など、いろいろな揉まれ方をされたが、全く抵抗しなかった。
 鋭次は、抵抗しない梨華に、追い打ちの言葉を浴びせる。
「可愛いねぇ。少し前までは、オッパイも処女だったのにね。俺に、”オッパイの処女”を捧げたからって、そんなに固まらなくていいんだよ」
 鋭次は、ビデオに映っていた、恥ずかしいシーンを梨華に思い出させる。
「いつまでも、恥ずかしいだろ? ”抵抗してもいいよ。”いつまでも、俺に触って欲しいんだったら、別にいいけどね」
 抵抗出来るキーワードを言われ、梨華の暗示が解けた。
 鋭次は、そうして、梨華の胸を強く揉んだ。 梨華は、急に力が入ったような気がして、後ろで組んでいた手をほどき、両手を押さえて、鋭次の両手を振りほどいた。
 鋭次は、すぐに、梨華の胸から手を離した。
「抵抗したな。お前はまだ、自分の立場がわかっていないようだな」
 鋭次が、低い声で言った。
「お前は、明日の夕方まで、俺のものだという事を忘れているんじゃないだろうな?」
 鋭次が確認するように、梨華に問いかける。
「いえ・・・そんなつもりじゃ・・・」
 梨華が、渋々答える。
「それなら、抵抗せずに、言うことを聞くことだな」
 鋭次が、誓いのキスの事を言う。梨華は、納得していないようだが、仕方がない。
「それでは、このセーターを脱いでもらおうか」
 鋭次は、胸を手で押さえている梨華に対して、このように言った。そして、嫌そうな素振りを見せる梨華に、続けて言った。
「どうした? 俺の言われた通りにするんだろ? さあ、セーターを脱ぐんだ」
 梨華は、恥ずかしくて、嫌であったが、逆らう訳にはいかなかった。
「はい・・・」
 梨華は、返事をして、グレー色のセーターを脱ぎ始めた。

< つづく >

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