へたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、執務室で痛い目に遭う

 俺が教会を制圧するのに三日掛かった。……いや、この言い方は違うな。
 俺が教会を自分の望み通りの環境にするのに、三日掛かったと言うべきか。

 あれから昼は教会の洗脳の強化、夜はソフィーヤを抱きまくる、とやる事が一杯あった。
 俺は淫魔だから女を抱けば抱くほど力が回復するし、疲れる事は無い。驚いたのはソフィーヤのタフさだった。
 昼は普通に教会の仕事をこなし、夜は俺に抱かれる生活。
 ほとんど寝てないはずだが、それでも普段となんら変わりない。
 ソフィーヤは『愛する人の為なら、いくらでも頑張れるのです』と言っていた。……六英雄にそこまで言われると悪い気はしない。てゆうか最高の気分だ。
 
 今朝も早起きして今日のミサの準備を進めているはずだ。
 そんな訳で、ほぼ俺の自室と化したソフィーヤの執務室で、今まさにルカが俺の息子におはようの挨拶をしようとしている。

「それではマルコーダ様、私の舌と口で一杯気持ちよくなってくださいね……」

 口を大きく開いて舌を突き出し、唾液でてらてらと光る口腔を見せ付けてくる。甘えた瞳で俺の目を見つめ、陰茎に手を添えるとゆっくり顔を近づけて来る。
 ああ、早くそのだらしなく垂れた舌で舐めまわしておくれよ、バンビーナ。

 その時、執務室のドアが勢いよく開かれ、プリシラが顔を出す。

「おっはようございまーす! プリシラが朝のご奉仕にやって参り……ってなんであなたが居るんですか、ルカさん!?」
「それはこっちの台詞です! 今朝のご奉仕当番は私の筈です!」
「そんなぁ、昨日シチューのお肉あげたじゃないですか……その代わり、今朝のご奉仕代わってくださいって言いましたよ?」
「あなたが勝手に私の皿に入れてっただけじゃないですか! あんなの私、認めてません!」

 俺の息子はシチューの肉で取り引きされてしまうのか。いやまあ、プリシラが一方的に決めつけただけのようだが。
 プリシラといえば、あのドジはやはり天性のものだった。それでも戦闘能力だけは高いので、テンプルナイツに編入されたという事らしい。

 いや、今はそれよりもこの二人だ。どうもルカとプリシラは相性が良くないようだ。
 お互いふーーーっと唸り声でも出しそうな勢いでお互いを威嚇しあっている。

「おいおい、喧嘩するな。せっかく来たんだ、今日は二人でやってくれよ」
「え、ホントですかぁ? やったぁ!」
「……マルコーダ様がそうおっしゃるなら……」
 
 プリシラは喜色満面、ルカは不承不承といった様子だったが、今度は俺のより感じる位置をキープしようと争いを始める。
 お互い尻をぶつけ合い位置をなんとか確保すると、竿の両側から子猫のようにチロチロと舌を這わせてきた。
 俺はルカの肩まで垂らしたストレートの金髪とプリシラの癖毛のショートの金髪を撫ぜてやる。
 二人ともふみゃあと甘えた声をあげる。……本当に猫みたいだな。

「あっ、マルコーダ様、先っぽからエッチな汁が出てきました……飲んでもいいですか?」
「だめぇ、それはあたしが飲むんですっ!」

 ……だから喧嘩するなってば。

 しかし二人のライバル心はこの場合、いい方向に作用してるらしい。争うように俺のモノにしゃぶりつき、口に含んではちゅぱちゅぱといやらしい音を奏でながら荒々しいストロークを繰り返し、陰嚢を口に含み、指先をアナルに伸ばす。

「んっ、んっ、んっ、くちゅ、マルコーダ様、気持ちいいですか? んっ」
「ちゅうぅっ、ぺろべろ、れろぉっ、マルコーダ様、あたしの方が気持ちいいですよねっ? れろっ」

 ……いや、両方とも気持ちいい。ルカの几帳面で繊細なフェラも、プリシラの荒々しく野性味のある愛撫もどっちも最高だ。
 俺は二人の顔にぶっ掛けてやる事に決めた。

「ルカ、口を離せ。お前たちの顔に大好物を掛けてやるっ」
「あっ、はいっ、ルカの顔に美味しい精液一杯掛けてくださいっ」
「あたしもぉっ、マルコーダ様の素敵な精液で、顔中どろどろにしてくださいっ」
「よし、イクぞっ。二人とも顔をこっちに向けろっ」

 俺が大量の白濁液を放つと二人は顔を突き出すようにして、一滴も零すまいと受け止めていく。

「ああっ、あああぁっ、イクっ、いくぅうっっ!」

 瞳を閉じ俺の精液を顔面に受けた二人はそれだけで絶頂を迎える。蕩けた表情をしながら俺のモノを扱き続け、一滴でも多く搾り出そうとする。
 それが終ると自分の顔に付いた精子を舐め取り、その度に軽くイってる。
 それでも満足出来なかった二人はお互いの顔を舐め合い始めた。

「ああっ、プリシラさんの顔、マルコーダ様の味がします……」
「ルカさんだって……ああ、舐めてるだけでイっちゃう……れろぉっ」

 うん、仲良き事は美しき哉、だ。
 二人が満足そうに手を繋いで退室したあと、部屋の隅に突然現れたサマエラに俺は仰天する。

「……いつもいつも焦らせんなよ。……何の用だ?」
「何の用だってご挨拶ねぇ、私の魔具のお陰で大司教さんを堕とせたんでしょお?」

 いつも通りの柔和な笑みを浮かべてサマエラが答える。そういえば俺はこいつの笑った顔以外を見た事が無い。

「いや、まあ、それについては感謝してるよ。でもさ……」
「じゃ、感謝ついでにそろそろ次の獲物に行ってみなぁい?」

 う……来た。いつか来るだろうと思っていたが、ついにその時が来た。正直この楽園にアリサとリズを呼んで一生を送りたいが、やっぱりやらねばならんのか……。

「残り日数16日よぉ? 教会を拠点にするのはいいアイディアだけど、そろそろ行動を起こさないとねぇ」

 分かってる。しかし教会を拠点ってのは建前で、大部分の目的はエロだとはとても言えないな……。
 その時、扉が開いてイセリナが入ってくる。

「マルコーダ様、ミサの準備が……!? 敵かっ!?」

 咄嗟に剣を抜きかかるイセリナを押しとどめ、俺の仲魔だと説明する。
 ついでにサマエラにも事情を説明する。

「……という訳でこのミサには三日もかけたんだ。どうしてもこれだけはやらせてくれ。……その後で、ちゃんと目的は果たすよ……」
「うーん、別に構わないけどぉ。……でも、マルコーダ、あなたってつくづく変態ねぇ……」

 そうなのか?同じ淫魔の目から見ても俺はつくづく変態なのか?……まあ、別に構わんが。

 大聖堂で執り行われる今日の特別ミサの準備は滞りなく完了していた。
 ここに居るのは俺が選りすぐった教会中の美女二十人。もちろん全員、完全に洗脳してある。当然だがルカやプリシラ、イセリナにマリアも居る。
 俺には無尽蔵の魔力タンクのソフィーヤがいるからな。夜にソフィーヤの部屋に呼び出して洗脳するのは簡単な事だった。

 残りの連中、特に男どもには『支配者の鉄杭』の力を利用して、ここで何が行われても当たり前だと思い込ませている。
 大聖堂の敷地から出ると効果が切れるが、ここであった非常識な出来事の記憶も一緒に消えるので問題ない。
 敷地に一歩でも入ればまた元通りだ。
 唯一の懸念は俺の命令を聞いてない外来者だが、こればかりはしょうがない。
 外来者の前では俺の決めたルールを口に出したり行動したりする事を禁じている。
 それがエロと陰謀のせめぎ合いの果て、俺が出したギリギリの答えだった。

 大聖堂の最奥、巨大な神の像が飾られたその足元にソフィーヤが居る。
 俺を認めるとうっとりした微笑みを浮かべ、軽く頭を下げる。
 他の女達も同様だ。熱に浮かされたようなぼうっとした表情で、無意識に太腿を擦り合わせる。

 ソフィーヤは全裸に大司教のローブを羽織っただけの姿だった。もちろんテンプルナイツは手甲と足甲のみ、アデプトは法衣の前を全開にし、シスターは胸の上まで修道服をまくり上げている。……まあ、平たく言えば全員が半裸モロ出しの状態だった。俺の趣味を理解してくれて嬉しいよ、皆。

 俺がソフィーヤの隣に立つと、彼女が前にずらりと並んだ俺の可愛いエロ奴隷達に向け演説を始めた。

「おはようございます。皆さん。今日のこの日がどれ程素晴らしい日か、ここに集まった……いえ、集めて頂いた皆さんには説明するまでも無いでしょう」

 皆がこくこくと頷く。中にはふるふると身を震わせ、歓喜の涙を流してる奴もいた。
 俺に選ばれたという事は、ここに居る女達にとって最高の栄誉であり、幸福なんだ。

「私達はマルコーダ様に身も心も捧げる栄誉に恵まれました。しかしいつまでもマルコーダ様のご好意に甘えていてはいけません。心身を磨き、いつでもマルコーダ様のどんなご要望にもお応え出来るようでなくては……あうんっ」

 ソフィーヤが甘えた嬌声をあげる。何故かというと俺がローブをたくし上げ、尻の穴に指を突っ込んだからだ。
 因みにソフィーヤはまだ処女だ。
 大聖堂での洗脳のあと、すっかりアナル好きになったソフィーヤは、セックスの時どうしてもアナルへの中出しを望んでくる。
 処女のままのアナル中毒はエロいので、俺もそのままにしてるという訳だ。

 ソフィーヤはまだ演説を続けようとしてるが俺が尻穴の指をクイクイと動かすと、もう腰が抜けそうになってる。
 荒く息をつきながら、尻にじっとりと汗をかき、自分の前の司祭用テーブルに肘をついてやっとの事で身体を支える。
 どろりと欲情に曇った藍色の瞳が美しい。
 それでもなんとか演説を続けようとするのは流石だった。

「それではぁ、これより、んぅっ、特別ミサを執り行います、ああんっ!」

 上手く言えたご褒美に指を二本にしてやる。それだけでソフィーヤは軽くイってしまった。ピクピクと震える丸い尻を見てると今すぐやりたくなる。
 でも、まだだ。まだミサは始まったばかりだ。

「まずはぁ、賛美歌の合唱をっ、あっ、伴奏は私がします……んっ」

 ソフィーヤがふらふらした足取りでパイプオルガンの前に立つ。とろりとした愛液は足首から流れ落ち、大聖堂の石畳にポツポツと斑点を作っていた。
 立ったままソフィーヤはパイプオルガンの鍵盤に繊細そうな指を伸ばす。……そう、立ったままだ。お尻には俺の指が入ったまま。
 指を三本に増やしてやる。度重なるアナルセックスですっかりこなれて柔らかくなった肛門は、まるでそこだけが別な生き物のようにヒクヒクと蠢き、俺の指を中へ中へ導き入れようとする。

「あっ、あっ、あっ、んくぅっ、それでは皆さんっ、始めますっ、はぁぁんっ」

 今にも崩れ落ちそうにプルプルと震える膝を必死で踏ん張ると、パイプオルガンから荘厳なメロディーが流れ出す。
 快楽のあまり目に涙を浮かべながらも、俺の考えたシナリオを守ろうと必死だ。
 分かってた事だが、やっぱりソフィーヤは可愛いな。 

 パイプオルガンの音と同時に歌いだした俺のエロ奴隷軍団だが、その様子にも明らかに変化が起こっていた。
 俺がソフィーヤのケツに指を突っ込んでパイプオルガンを弾かせた時、この上ない多幸感と快楽が押し寄せる。
 埋め込んだ暗示は正確に機能しているようだ。

 皆、汗と涙で顔をぐちゃぐちゃにして、火照る体を少しでも鎮めるため、ピンと尖った乳首やどろどろに湿った淫裂に指を這わす。
 マリアなんか自分の大きな乳房を持ち上げ、赤ん坊のように乳首をちゅうちゅう吸っていた。
 ……お前、それじゃ歌えないだろう……。
 いや、確かにもう歌とは言えない。それぞれが調子外れの音程で口々に歌詞を叫び、合間合間に喘ぎ声や嬌声が木霊する。
 これが神聖な光景に見えるのは俺が悪魔だからなんだろうか。

「よーし、皆、曲が終ると同時にイっていいぞ」

 俺が告げると全員が感謝と尊敬のこもった眼差しで俺を見る。うおお、凄くいい気分だ。
 ここまで多人数を操るのは始めての経験だが、俺もなかなかやるじゃん。パワーアップが効いてるのかもな。
 俺が得意になってる内に、曲は終盤にさしかかる。
 全員の指のペースが跳ね上がる。曲のピッチとは全然合ってないが、それがまたエロい。
 陰核を摘む奴、乳首を引っ張る奴、イセリナは相変わらず膣の中に指を突っ込んでぐちゅぐちゅと卑猥な音を奏でている。
 皆が一つのゴールを目指して混然となり、溶け合っている。

 ……曲が終った。

「あっ、ああああああああああぁぁぁぁっ」

 大聖堂に美女達の絶叫が響き渡る。うん、最後は綺麗なユニゾンだった。
 俺は仕事をやり終え満足そうに崩れ落ちたソフィーヤに囁く。

「よく頑張ったな。ご褒美に抱いてやる。……前と後ろどっちに欲しい?」
「あっ、ありがとうございます……もちろん、マルコーダ様のお好きな方に…………で、でも出来ましたら、その……お尻が……」

 俺はいつもの答えに満足すると、一気にソフィーヤの尻に肉棒を突き入れた。やや抵抗があったのは菊門のあたりだけで、俺の息子はあっという間に柔らかく温かいソフィーヤの体内に飲み込まれていた。

「んぁっ、私の我が儘なのに……嬉しいです、マルコーダ様、んっ」

 いや、気にしないでくれ。俺が誘導したようなもんだし。
 俺はソフィーヤにだけ聴こえるようにボソボソと呟く。ここからはソフィーヤにも教えてない、このミサのメインイベントだ。
 流石にソフィーヤは狼狽する。

「え、……私がですか?」
「そうだ。嬉しいだろ?」
「はっ、はい……嬉しい……です……」

 真っ赤になって瞳を伏せるソフィーヤだが、その口元が歓喜の微笑みに歪んでいるのを、俺は見逃さなかった。
 バックの姿勢のままソフィーヤを立たせると膝の裏に腕をいれ持ち上げる。
 大開脚の姿勢を保ったまま、俺はソフィーヤをまだハァハァと息をついているエロ奴隷達の所に連れて行った。もちろん繋がってる部分は丸見えだ。
 ソフィーヤが顔を紅潮させたまま厳かな声で宣言する。

「皆さん、見えますでしょうか……。んっ、今、マルコーダ様がそのたくましいモノで、私のいやらしいケツマンコを貫いてくださってます……」
「ああっ、羨ましいっ、ソフィーヤのくせにっ、マルコーダさまぁっ、私にもチンポのお恵みをぉっ」

 今の声はマリアだ。ソフィーヤに対抗心を燃やしてるのが面白くてそのままにしてある。
 俺は上手く言えたご褒美に腰の抽送を開始する。俺の陰茎に完全に馴染んだソフィーヤの肛門はスムーズに出入りを受け止める。

「あんっ、ご覧下さいっ、マルコーダ様がたくましいチンポを動かしてくださっていますっ。突き入れられるとお尻の中が一杯になって凄く幸せですっ。抜かれるのは寂しいですが、ずるずると引きずり出される感覚が凄く気持ちいいんですっ、ふぁっ」
「ああ、チンポ、チンポ、ずりゅずりゅ出たり入ったりしてるぅ、……凄く気持ちよさそう……」

 相変わらずスイッチが入ると止まらなくなるイセリナは食い入るように結合部を見つめている。
 俺は更に腰のストロークを速める。じゅぽっ、じゅぽっと淫靡な音が大聖堂に響く。溢れ出す腸液は滑りを帯びて俺の陰茎にまとわりつき、もっと奥へ誘おうとする。

「ああっ、んっ、あっ、腰の動きを速めていただけましたぁっ、んぁっ、皆さん、マルコーダ様はとてもお優しいお方ですっ、マルコーダ様のおっしゃる通りにしていれば、あんっ、何も心配はありませんんっ、はぁっ、ズボズボ気持ちいいですっ」
「そんなの当たり前じゃないですかぁ。マルコーダ様は私達皆のご主人様なんですから……ですよねぇ、皆?」

 屈託のないプリシラの言葉に全員が深く頷く。皆がとろけるような視線で俺達を見つめている。いやらしい音を聞き漏らすまいと耳をそばだてている。
 超エロい。もう限界だ。ちょっと我慢しすぎた。俺はこのまま出す事に決め、思い切り腰を打ち付ける。

「んああっ、おしりのなかぁっ、ズボズボって掻き回されてますっ、はあぁっ、いっちゃうっ、見てくださいっ、私イっちゃいますぅっ、あんっ、皆さん、マルコーダ様に永遠の忠誠をぉっ、あああっ、ああああああっっ!」
「マルコーダ様に永遠の忠誠をっ! はあっ、あああぁぁっんっ!」

 ソフィーヤがイったと同時にその官能にあてられて全員が絶頂を迎える。
 誓いの言葉も全員で復唱するが、一番でかい声で叫んでいたのはルカだった。真面目で誠実なルカらしい。
 俺もソフィーヤの中に大量の精液を放つ。放出に合わせてソフィーヤがガクガクと痙攣する。ドクドクと吹き出る精液を受け止めるたび、激しくイっているようだった。

 荒く息をつき、体をプルプルと震わせ、快楽に飛んだ瞳をしながらもソフィーヤは忠実に俺の指示を実行する。

「はぁっ、はぁっ、皆さん、今、私は、お尻の中に一杯、マルコーダ様の愛を出して頂きました……。んぅっ……それを皆さんに少しでもお分けしたいと思います……」

 羞恥で顔を真っ赤に染めながらソフィーヤは、熱に浮かされたようにぼうっとこっちを見ている女達にゆっくり語りかける。いつも通りの優しい声音で。

「今から、私は……その……お小水をします……。それを受け止め……なさい。私のお小水は聖水です。それを浴びれば、あなた方は神の下に、マルコーダ様の下に、もっと近づけるでしょう……」

 言い終わるとほうっと熱い溜め息をつく。極度の恥ずかしさに泣きそうな顔をしながらも、口元は嬉しさのあまり自然に笑みの形に歪んでいた。
 その横顔がたまらなくエロい。
 言われた女達にもちろん異論のある筈も無かった。全員が我先にソフィーヤのアソコ目掛けて集まり、期待を込めた眼差しで秘裂を凝視している。
 大開脚のままそんな姿を晒され、ソフィーヤの身体が熱を帯びる。ヒクヒクと蠕動するアソコから粘性の高い愛液が飛び散る。

「ふぅっ、それでは……させて頂きます。……全員に行き渡るよう、ちゃんと固まっていてくださいね……んっ……はぁ……」

 始めはちょろっと、しかし直ぐに水流は勢いを増す。
 俺は全員に行き渡るよう、ソフィーヤの身体を左右に振り回す。
 キラキラと輝くソフィーヤの小便はのたうつ蛇のように美女達の身体を汚していく。
 彼女の聖水を浴びたものはビクンと震え、一人残らず絶頂する。
 それでもなお空中を飛び交う聖水を求め、大きく口を開き、隣の者の身体を舐めあい、床に零れたモノまで一滴残らず啜りとろうとしていた。

 ああ、なんてエロくて背徳的な光景なんだ。全く悪魔冥利に尽きる。
 このまま死んでも悔いは無い……いや、死にたくはないが……。

「はあっ、はあっ、死んでしまうくらい恥ずかしかったですが、楽しかったです、マルコーダ様ぁ……」

 甘えたように、俺の顔に頭を寄せてくるソフィーヤにキスをしてやった。
 ソフィーヤは心底幸せそうな顔で俺の舌に自分のを絡ませてきた……。

 その後は懺悔の時間だ。俺は懺悔室の神父側に座って新興宗教オレ教の信者達の訴えに耳を傾ける。今はイセリナの番だ。

「ですからそのぉ……マルコーダ様の事を考えるだけで我慢出来なくなって、一日に何度もオナニーをしてしまうんです。……はしたない私をお許しください……」
「何度もってどれくらいだ?」
「あの……本当に何度もです。イった後でも、またすぐしたくなってしまって……訓練中でも食事中でもマルコーダ様に貫いて頂きたくて……こんな風に、あんっ」

 俺に見せ付けるようにオナニーの実演を始める。懺悔室にじゅぶじゅぶと指の出入りする卑猥な音が響く。
 格子越しに見る美女のオナニーはエロい。すぐさま向こうに行って犯してやりたい。
 しかし今の俺は神父だ。俺は出来るだけ厳粛な声でイセリナに告げる。

「イセリナ、お前の自慰行為は一日絶頂五回までとする」
「そんなっ、マルコーダ様、お許しくださいっ、そんな数では私はおかしくなってしまいますっ」

 ……結構多めに言ったつもりだったが、一日何回してんだ、こいつ?
 とはいえ、これは譲れない。単に俺の趣味だが淫乱なだけではつまらない。仕事をきっちりこなして、俺の前でだけエロ奴隷っていうのがいいんだ。

「いいか、イセリナお前なら出来る。何故なら我慢すればするほど、俺に抱かれた時の悦びは倍増するからだ。俺に抱かれるのを楽しみに頑張れ」
「あはぁぁ、分かりました。マルコーダ様に抱かれる悦びと比較するなら、私の悩みなどちっぽけなものでした。有難うございます。これで仕事に打ち込めそうです」

 まだ残り十人以上か……。神父ってのもなかなか大変だな……。

 背徳のミサが終わり、参列者がふらふらと自分の仕事に戻っていく。皆、心から幸せそうな表情を浮かべながら。
 逆に誰かが見ていたら、俺はきっと不幸せそうな表情を浮かべていただろう。
 いや、特別ミサには充分満足したんだが、この素晴らしいエロハーレムを捨ててまた死地に赴かなきゃならない。
 俺は執務室で溜め息をつく。全く自分が幸福なんだか不幸なんだか分からない。

 ……次のターゲットは一応決めていた。エルフのサーフィアだ。
 理由は単純、要職に就いてないサーフィアは一人で居る事が多いから。それだけだ。

 女王のイリーナは問題外として、近衛騎士団長のハヤはほぼその側に付き従ってる。騎士団長のニャムカもあまり王宮から出て来ない。……もっとも本人はそれに不満を持っているようだが。
 マグダレーネは王宮にいるか、王宮を守るように建っている〝魔術の塔〟に籠っているかのどちらかだ。ここは学校も兼ねていて一般の人間も多いし、もちろん凄腕の魔術師もわんさか居る。現状ではあまり近寄りたくない。
 個人的に誘い出す手も考えたが、要職にある人間は急な個人行動など許されないそうだ。人間も魔族も偉くなるといろいろ面倒なのは一緒だ。
 ……という訳で消去法でサーフィアだ。魔王様討伐後、要職に就かなかったサーフィアは森林衛視として近くの森に簡素な女エルフの集落を作ってそこで暮らしてる。
 まあ、全てソフィーヤから教えて貰った情報だが。

 サーフィアが要職に就かなかった理由も聞いた。
 エルフと人間の確執は結構根深い。エルフは人間を森を破壊する乱暴な種族だと思ってるし、人間はエルフの頑ななまでの自然主義と高慢な態度が理解出来ない。
 実際、エルフと人間の混成パーティーなんてほとんど見た事無い。
 魔族という共通の敵が力を持った為、共闘したようなもんだ。
 ソフィーヤによるとサーフィアはそんな国民感情に配慮して、要職に就くのを拒んだらしい。

 『でもサーフィアはいい娘ですよ。確かにエルフらしいところはありますが……マルコーダ様の愛に目覚めれば、きっと可愛いエロ奴隷になってくれます』
 ソフィーヤの言葉を思い出す。
 そしてあの日見た、サーフィアの銀髪を思い出す。
 透けるような銀髪は陽光を反射してこの世のものとは思えない色彩を創り出していた。

 よし、少しやる気が出てきた。

 ソフィーヤの手によって既に六英雄の<絶対聖域>は解かれている。完全に解くと気づかれるかもしれないので俺がギリギリ入り込める隙間を残して。
 なら、いきなり奇襲もアリだ。精神攻撃を全てガード出来るという油断があれば、俺でも侵入出来るだろう。
 ……いや、待てよ。とすると俺はまたあの地獄の精神抵抗を潜り抜けなきゃならないのか?
 エロミサの準備に夢中になって、嫌な事を考えるを極力避けていたのに気づく。
 
 エルフは人間に比べて筋力や生命力は遥かに劣るが、器用さ、敏捷性、知力は図抜けている。多分、精神抵抗力も相当なものだろう。
 俺も多少はパワーアップしたから死にはしないだろうと思うが、万が一って事もある。
 大体俺は痛いのが嫌なんだ。
 ああ、こんな事ならもうちょっとソフィーヤで練習しておけば良かった……。

 因みにソフィーヤは王宮で行われる、円卓会議とやらに出席中だ。
 あれだけ淫蕩に昂ぶってたくせに、大司教の正装を纏うといつもの穏やかで優しげなソフィーヤに戻っていた。……こういうところは素直に凄いと思う。流石、六英雄だ。
 円卓会議は今まで欠席した事が無いのに、急に休むのは不自然だというソフィーヤの提案を受け入れ、出席させる事にした。まあ、バレはしないと思うが……。

 あとはサーフィアの動向を探るという目的もある。
 サーフィアが森に戻るようなら、ソフィーヤから念話が届く。俺はその前に森の下見をしておく。夜になったらソフィーヤが応援に来てくれる筈だから、多分なんとかなるだろう。
 夜にならないと来れないのは大司教が一人で森に入っていくのは目立ちすぎるからだ。<姿隠し>はじりじりとしか動けないのでこの場合は使えない。
 本当は大聖堂に誘き寄せるのが一番いいんだが、信仰心というものを持たないエルフ族はまず大聖堂には立ち寄らない、らしい。
 大事な相談とかなら来るだろうが、どちらかといえばソフィーヤは相談を受ける側だ。怪しまれるような行動は出来るだけ避けたい。

 ごちゃごちゃ考えたが、結局やるしかないのか。
 とりあえず出発しようと俺がなんとか重い腰を持ち上げると、サマエラが話しかけてきた。

「あ、そうそう、マルコーダ、大事な話を忘れてたわぁ」
「……なんだよ」
「実はねぇ―――――」

 ―――――首都〝ディーテ〟からほど近い、森の中。まだ正午を少し過ぎたばかりだというのに、うっそうと茂った新緑の森は日の光を遮り、薄暗い。
 それでも普段ならこれ程の緊張感を感じる事は無い。
 森の木々の生命の脈動は私達に安心感を与えてくれるし、なによりここは六英雄の一人、エルフのサーフィア様が管理する神聖な森だから。
 サーフィア様は私達エルフの誇り。人間なんかの中に入って、魔王まで討ち果たした真の英雄だ。
 その事に驕らず、人間とは違って地位や名誉なんてくだらないものにこだわらないところも凄く尊敬出来る。
 
 でも一度だけ、真の英雄はイリーナ女王じゃなくてサーフィア様だと思いますって話をした時、ちょっと悲しそうな顔をして『人間にも尊敬出来る人はいるのよ』って言っていた。
 私には理解出来ないがサーフィア様がそうおっしゃるなら、そうなのだろう。一度でいいからそんな人間に巡り合ってみたいものだ。

 今日だって巡回の途中、コンビを組んでるコーネリアとそんな話をしていた。
 そう、今日だって森の巡回は何事も無く終る筈だった……目の前のこいつらに出会うまでは。

 見た目は普通の人間だけど、その禍々しい気配は明らかに魔族のものだ。
 二人組で黒づくめの服を着て、こちらを値踏みするようにニヤニヤと厭らしい薄ら笑いを浮かべている。
 ……うう、気持ち悪い。
 コーネリアが堪りかねたように口を開く。

「ここを何処だと思っている! 六英雄が一人、サーフィア様がおられる聖なる森だぞ! 汚らわしい悪魔などが立ち入っていい場所ではない!」
「そうよ! 痛い目に遭いたくないなら、とっとと出て行きなさい!」

 私も一緒になって警告の言葉を発する。弓をつがえて少年の姿をした方の悪魔に狙いを定める。
 でもそいつの気持ち悪いニヤニヤ笑いは止まらず、隣の青年の姿の悪魔に話しかける。

「聞いたかい? 兄さん……彼女達が僕達を痛い目に遭わせてくれるんだって……ゾクゾクするねぇ……」
「……ああ……そうだな……」

 そう答えた隣の男の瞳が一瞬、光ったような気がした。どくんと私の心臓が音を立てる。
 心臓の動きは止まらない。早鐘のように鳴り響いて私の気持ちもどんどん高まる。
 寂しいような切ないような変な気持ち。ああ、切ない。堪らなく切ない。
 私は自分が何をすべきか、完全に理解した。私は構えていた弓をそのままコーネリアに向ける。

「ちょ、ちょっと、エミー! どういうつもり!?」
「どういうつもりも何も、愛する人を守るのは当然の事でしょ? 弓を下ろしなさい、コーネリア」
「ふざけないで! ……あんた方が何かしたのね? エミーを元に戻しなさい!」

 いきなり三対一になった事に狼狽し、コーネリアが訳の分からない事を叫んでいる。
 全く何を言ってるんだろう、この娘は。愛する人を守るっていう女なら当然の幸せが理解出来ないのか。
 あんまり五月蝿いようなら、このまま殺しちゃおうかな。

「……さて、どうする? このまま逃げちゃっても構わないんだけど……そしたら残ったこの娘はどうなっちゃうのかなぁ……?」

 少年の方がコーネリアに話しかける。こいつの事は相変わらず気持ち悪いけど、ご主人様のお友達みたいだし我慢しないと……。
 コーネリアが渋々といった表情でゆっくりと弓を下ろす。
 そう、最初からそうしてればいいの。もう、余計な面倒掛けさせないで。

「……うん、いい子だね。……それじゃ兄さん……どっちにする?」
「……髪の長い方だ。」

 ああ、ご主人様の声、カッコいい。声だけでアソコ蕩けちゃう。
 ……ん?え、ちょっと待って、髪の長い方って……。
 私の髪は肩甲骨のあたりまでしかない。そしてコーネリアの髪は背中の真ん中くらいまである。
 ご主人様はコーネリアの側まで歩いていくと、その身体を押し倒し馬乗りになる。

「きゃああぁぁっ、やだっ、止めなさいっ、エミー、助けて、助けてぇっ」

 止めなさいですって?ご主人様に犯して頂けるのに、なによその態度は!
 助けてですって?助けて欲しいのはこっちの方よ!
 私は湧き上がる嫉妬と怒りでどうにかなってしまいそうだった。
 何故ご主人様は私を抱いてくださらないのだろう。何かご機嫌を損ねるような事をしてしまったのだろうか。
 ご主人様は泥棒猫の下着を乱暴に剥ぎ取る。ああ、あれが私だったらどんなに幸せだろう。

 私の心が、アソコがご主人様のモノを欲しがっている。
 ……なんだか甘い匂いがする。怒りに駆られて気づかなかったが、さっきからしていたんだろうか。
 その匂いを意識した瞬間、私の快感が跳ね上がる。
 あああああっ!気持ちいい!凄い気持ちいい!
 頭が沸騰しそうになる。意識が吹っ飛んで真っ白になる。
 狂うっ、ダメっ、このままじゃおかしくなるっ!
 なんでもいい!棒切れでもなんでもいいからアソコに突っ込んで、滅茶苦茶に掻き回して欲しい!
 たまらず膝をつく。下着なんかもうビチョビチョだ。ふと見るとコーネリアも同じような快感を感じているようだ。
 髪を振り乱して叫んでる。

「やだぁっ、嫌なのにぃっ、なんでこんな、あっ、エミー見ないで、見ないでぇっ」
「あっ、見ないで欲しいなら止めればいいでしょ、んぅっ、私なんかチンポ入れて貰いたくて、ずうっとオマンコびしょ濡れなのにっ。あんっ、ずるいよ、コーネリアばっかりっ!」
「ちがっ、違うのっ、はぁっ、これは身体が勝手にぃっ、ああんっ、お尻撫でないでぇっ」
「ああっ、羨ましいよぉ、コーネリア、ご主人様にお尻撫で撫でされてっ、あっ、私ならそれだけでイっちゃうよぉっ」

 その時、コーネリアがご主人様に挿入された。絶叫が聴こえる。本当に羨ましい、ご主人様に純潔を捧げる事が出来るなんて。
 私は匂いの発生源の後ろの少年を振り返る。一瞬こいつでもいいかなんて考えた自分が恥ずかしい。やっぱり初めてはご主人様に散らして頂かないと。
 ともすれば意識を失いそうになる強烈な快感の中、なんとか悲壮な覚悟を固める。
 しかし、そう考えた私を嘲笑うように私の下着が引き落とされた。
 ぷっくりと充血し、愛液を滴らせた私のアソコに薄気味悪い少年のモノが押し付けられているのが分かる。
 だっ、ダメっ、止めてっ、初めては、初めてはご主人様に……。
 そんな私の願いも空しく、少年のモノはめりめりと強引に私の秘裂に侵入してくる。
 ぶちぶちとお腹の中で何かが引き裂かれるような感覚がする。華奢な私は自分の身体が真っ二つにされたような衝撃に怯える。

 ……でも、痛くはない。それどころか……。

「んっ、んぅっ、ひあっ、ああっ、気持ちいいっ、気持ちいいよぉっ、こんな奴に犯されてるのにぃっ、ご主人様、すみませぇんっ、はぁっ」
「やだっ、あぅんっ、気持ちいいよぉっ、気持ちよすぎて怖いっ、あんっ、助けて、エミー、サーフィア様ぁ、ああんっ」
「あはぁっ、ご主人様、ご主人様ぁっ、私、お友達に犯されて、みっともなくイってしまいますっ、すみませっ、あっ、あっ、イクっ、イクぅううっ」
「あああっ、何か来るっ、来ちゃうっ、だめぇっ、サーフィア様ぁっ、あっ、あああぁぁぁっ」

 お腹の中にどくどくと大量の精子が流れ込む。私の膣肉はその全てを吸い取ろうと貪欲に収縮している。
 もちろんその度に私は激しい絶頂を迎える。……お腹の中に出されるのがこんなに気持ちいいなんて知らなかった……。
 快感のあまり動けなくなった私の心に何かが侵入してくる。私のいろんなものがぐちゃぐちゃに壊される……。
 ……でも、もうどうでもいい。
 こんな気持ちよさを味わったなら、もう死んだって構わない―――――。

 ……一仕事終えた僕と兄さんは目の前の女達を眺める。コーネリアと呼ばれていたエルフは焦点の合わない瞳でずっと自分の秘裂を弄り回している。
 涎を流しながら、口元にだらしない笑みを浮かべて。
 手首まで入っちゃうんじゃないかってくらい、アソコに深く指を突っ込むと、小便を漏らしながら意味不明な嬌声をあげている。
 エミーとかいう方は、まだかろじて正気を残してある。こいつには集落まで案内して貰わなきゃならない。……その後で念入りに壊してやろう。
 僕は改めてコーネリアを眺め、兄さんを振り返る。

「いい作品が出来たねぇ……兄さん」
「ああ……そうだな……」
「僕たちの力なら、絶対六英雄にも勝てるよ。……そしたら、もっともっと美しい作品を一杯作ろうよ……」
「ああ……そうだな……」

 僕は兄さんの答えに満足すると、集落に向かう事にする。
 ……僕たちは無敵だ。絶対に誰にも負けない―――――。

「―――――実はねぇ。アリキーノとチリアットが来てるのよぉ」
「……マジ?」
「うん。そう、マジよぉ。どうするのぉ? マルコーダ」

 いや、どうするって言われても……。
 アリキーノとチリアット……通称『地獄兄弟』。
 個人行動を好む淫魔の中では珍しく、いつも二人つるんで行動している。いやそれどころかお互いを兄弟と呼び合う程の仲だ。
 まあ、俺達淫魔は全員が一人の母上様から生まれてるから、厳密には間違いじゃないんだが。

 アリキーノは<魅了>の視線が得意だ。その威力は中級淫魔の中では一番だろう。
 チリアットは体の媚薬成分を揮発させる事が出来る。その効き目も多分中級淫魔では一番だろう。

 しかし、あの二人が本当に恐ろしいのは能力じゃなくてその性癖だ。
 淫魔にとって人間は餌だ。その事自体は否定しない。俺もそうしてるしな。
 只、あいつらはエロ奴隷を作るって事をしない。対象を徹底的に破壊して、作品と言っては放置する。当然、作品にされた人間はその後生きていく事が出来ない。
 どうも俺とは肌が合わない。……でもあいつらなら確かに来そうな気はする。異常な自信家だしな。
 
「……どうしよう、サマエラ……」
「私に聞かれても知らないわよぉ。……でもサーフィアの森に入っていったし、狙いはエルフさんで間違いないでしょうねぇ」
「マジかよ……なんでもっと早く教えてくれないんだよ……」
「あなたがミサの準備で忙しいって、ろくに話も聞いてくれなかったんじゃなぁい」
「う……」

 こいつには口では勝てない。いや、そんな事よりまずい。今、六英雄の(絶対聖域)は解けている。多分アリキーノもチリアットもそれを知らないだろうが、六英雄自身もそれを知らないのが問題だ。
 油断にあいつらの特化した能力が重なれば、あっさり陥落なんて事も無いとは言えない。
 六英雄が、あのサーフィアがぶち壊される……?
 ……嫌だ、そんな事はありえない!

「サマエラ! 頼む、何か魔具を貸してくれ! ……出来れば強力で俺が痛い思いをしないヤツ……」
「あなた、私の事をネコ型悪魔かなにかだと思ってなぁい? そんな都合のいい魔具は無いわよぉ」

 因みにネコ型悪魔とはケットシー族の事だ。確かにあいつらも魔具作りが上手い。
 ……やっぱりダメか……。俺ががっくりと肩を落としかけた時、サマエラが言った。

「痛い思いってのに目を瞑れば無い事もないのよねぇ……」
「マジか! この際多少なら我慢する。それをお願いします!」

 しかしサマエラが懐から取り出したものを見た時、俺は目を疑った。それは得体の知れない液体の中にぷかぷか浮かぶ二つの目玉だった。

「これが『奈落の義眼』よぉ。効果は付けたとき説明してあげるわぁ」
「え、いや、ちょっと待って。義眼……って俺の目はこの通りピンピンしてるけど……」
「そんなもの、くりぬいちゃえばいいじゃなぁい。六英雄が堕ちるくらいの精気を吸えば外れるように調整してあるから、心配御無用よぉ」

 うそ……だろ……。

「いや、やっぱりちょっと待って、いや、待って、来ないで、サマエッ、ぐうっ、ぎゃ、ぎゃああああああああああああああ―――――」

< 続く >

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