亜種王 第2話

第2話

*

 地上に出てみれば、まだ夜も明けてなかった。
 PCを通じて、何千年も旅をしてきたような感覚が俺を戸惑わせる。

 だが、世界は何一つ変わっていない。

 大きく息を吸う。
 何度もバイオテクノロジーに汚され、洗われてきた大気。生命を絶滅させるほどの毒に塗れたことも一度や二度じゃない。
 だが、うまい。俺の体には馴染みきったこの空気。
 地底遺跡の過去から、幾億もの滅びを繰り返し、地上は一応の安定と調和を身につけた。地球は精霊が守る緑の美しい星。今では誰もがそう信じている。
 だが全ては作り物だ。ここは生命の瓦礫を積み重ねた人形劇の舞台なんだ。
 悪食の神と呼ばれ、精霊に土地を譲った神様の正体は、俺たち人間。あんな神話は、精霊の連中が自分たちに都合良くでっち上げた、出鱈目だ。

 その秘密を知るのは俺だけ。
 今夜変わったのは、俺だけだ。

「きゃあ!?」

 感慨にふける俺を邪魔するように、エルフたちの悲鳴が響く。

「ちょっと、なんなのよ、ここは! まだこんなのが出てくるの!」
「次から次に…キリがないわ」

 見ると、新たなモンスターとウィルネたちの戦闘が始まっているところだった。
 まだやってたのか。ご苦労なことだ。
 ここに集まるモンスターは、かつてピースと呼ばれた原人たちの番犬だ。戦争用として地上に放たれ、後にピースにコントロールされ、地下人類の監視としてここをナワバリに指定された亜種の子孫。
 遺跡の周りにモンスターが集まってる理由も、ようやく理解できた。あれから何世代放置されてるのか知らないが、律儀なペットどもだな。

「ニンゲン、あんたどっから出てきたの!?」
「危ないから下がってて!」
「殺されても私たちは知らないわよ!」

 ちなみに今、彼女たちが相手にしているのは巨大な牙と角を持つイノシシだ。
 ここらではオークイノシシと呼ばれるモンスターで、熊のような重量とパワー、簡単な魔法など弾き返すほど固い皮膚を併せ持つ。この森では最強のモンスターだ。

「私のムチが効かないなんて…」
「ウィル…私の矢も刺さらないよ!」

 エルフの2人は落胆した声を出す。当たり前だ。お前らの魔法なんて大昔の技術者がヒマつぶしに開発した、ただの生活便利機能だ。監視用のゴブリンザル程度ならともかく、兵器として開発された本物の戦争用亜種に、そう簡単に敵うものか。
 俺は、2人のエルフの間を縫って、オークイノシシの前に出る。

「ちょっとニンゲン、何してんのよ!」
「殺されるよ!」

 オークイノシシ。古代の名称はツノブタ。
 名前のとおり、家畜用のブタを改良して戦闘能力を持たせたものだが、戦争用といっても、家畜としての肉質もそのままに保っている。
 ここらでは最強といわれているが、戦時中ではCクラスの亜種で、他の戦争用亜種たちの食料兼壁として使われていたにすぎない。
 そして戦争用の亜種である以上、コントローラーで操作可能だ。

「 “止まれ” 」

 喉にはめたコントローラーが俺の声に微妙な振動を与える。
 俺の命令がオークイノシシの脳を支配し、一切の行動を止める。荒い鼻息も、地をこする前足も、そのままにオークイノシシは完全に静止した。

 地下で学んだとおりだ。戦争用や家庭用の亜種生物であれば、たとえどんなモンスターでもボイスコントローラーの命令を受信する脳と、それに逆らえない遺伝子を備えている。
 1世代目は固有のIDで命令者を識別していたが、それらが繁殖して生まれた2世代以降はIDを持たない。だからボイスコントローラーで命じられれば、誰の命令であろうと、無差別に反応してしまう。
 絶対に、逆らえない。

「え…なに、どういうこと?」

 ウィルネが間抜けな声を出して、動きを止めたオークイノシシの鼻面を撫でる俺を、不思議そうに見る。
 何があったか、わからないだろ? だが、まだだ。あとでゆっくり教えてやるよ、お前らにも。

「 “お前の主は俺だ。それが理解できれば動いていい” 」

 ブタがエサをねだるように、鼻先を俺に擦りつけてくる。従順なペットになったオークイノシシが、小山のような体を、俺の足元に伏せる。

「なにそれ? あんた、何したの?」
「すごい…オークイノシシを手懐けてる…」

 エルフ様たちが驚きで眼を丸くする。じつにいい気分だ。でも、まだ驚くのは早い。
 俺はナイフを取り出した。護身用に持ってきた、長刃の丈夫なやつだ。

「 “動くな。俺に何をされても、絶対に動くな” 」

 そして、オークイノシシの前足の付け根、皮膚の柔らかい部分にナイフを突き立てる。

「きゃあ!?」

 血が飛び散った。筋肉がナイフを捉えて固まった。
「 “力を抜け” 」と命令して、肉を切り裂いていく。オークイノシシは鼻息を荒くする。だが、俺の命令を守り、微動だにせず、裂かれていく筋肉を弛緩させる。骨も神経も、ナイフ1本で、俺はオークイノシシの足を生きたまま切断した。
 そして、その足をウィルネとニーナの前の焚き火に放り投げる。

「いやああ!?」
「ちょっと、何するのよ、あんた!」

 愉快だ。2人とも、何が起こってるのかもわからず、青ざめた顔をしている。
 俺は笑いながらオークイノシシを振り返る。

「 “死ね” 」

 荒い鼻息が徐々に弱まり、数回の呼吸でオークイノシシは絶命した。静かに、森の一部になった。
 エルフの2人が、声を震わせる。

「ニンゲン…あんた、本当に何したのよ…?」
「ウィル…この人、怖いよぉ」

 俺は喉に填めた小さな首輪を撫で回す。
 面白い。このコントローラーは絶対だ。亜種の肉体を、死に至るまで支配する。
 次はどこまで心をイジることができるのか、実験だ。

「 “お前たちの足と手は止まる” 」
「え?」
「何言って…え?」
「ニ…ニンゲン! これ、何したのよ! どういうことなの!」
「ウィル! 助けて、ウィル! 動かないよ!」

 警戒した姿勢のまま、自由を失う2人。顔を強ばらせ、俺を睨みつけるエルフの少女たち。
 俺はその2人に近づく。かつての人類は、自分たちが造ったこの女たちを神の使いと崇めたり、あるいはその体に溺れたり、さんざんに振り回されてきたという。
 確かに美しい。この美しさにはそれだけの魔力がある。
 その顔立ちも、絹糸のような髪も、ぴんと尖った耳も、体も、肌も、余計な注文をつける場所など1個もないほど完璧な女たちだ。
 魂を奪われそうなほど良く出来た───性処理道具だ。

「な、何なのよ! こっち来ないでったら!」
「ウィル…ウィル、怖いよぉ」

 俺は2人の体を品定めしながら、ニーナの前に立った。
 震える白い肌。豊満な胸と尻。
 そそる体だ。まずはこの女から犯してやろうか。
 親友の見ている前でな。

「いや…いや…」
「な、何してるのよ! ニーナから離れなさい、ニンゲン!」
「 “ニーナ。お前は俺のモノだ” 」

 とたんにニーナの瞳から光が消えた。そして、うつろな目で俺を見つめたまま、

「…はい」

 と、確かにそう答えた。

「ニーナ? ど、どうしたの?」

 ウィルネの呼びかけにも応えず、ニーナは俺をぼうっと見つめる。俺はその頬に触れる。柔らかい。人間の女の肌よりも、ずっと柔らかくてすべすべしている。
 気持ちいい。触れるだけでこんなに気持ちいいのか、亜種ってやつは。

「何してるのよ、ニンゲン! ニーナに触らないでよ! ニーナ! 大丈夫、ニーナ!?」

 大げで喚き立てるウィルネには構わず、俺はニーナの肌に触れていく。
 柔らかい肌は、俺の指に合わせてぷにぷにと形を変える。うつろな目と、静かな息。人間に触れられていることも意に反さず、ニーナは意識を止めたみたいに、俺の指に肌を委ねている。
 俺はその耳にささやくように命令する。

「 “お前の体に自由が戻る” 」
「…あ」

 くったりと、ニーナの体が崩れそうになった。それを近くへ引き寄せる。甘い匂いと、心地よい柔肌。

「離しなさい! ニーナ、そいつから離れて!」

 大人しくされるままのニーナの体を抱きしめる。「くふ」と鼻から息を漏らして、ニーナは俺に体を預ける。
 まだ瞳がうつろなのは、俺の命令を深く認識できていないからか。
 大昔ならともかく、今の彼女らの常識の中に『人間の所有物になって抱かれる』などありえないことだ。単純な肉体操作と違って、その常識は簡単には塗り替えできないのかもしれない。
 今は命令の内容を深く理解できぬまま、言葉どおりに体を預けているだけのニーナ。
 しかし、それにしてもこの抱き心地の素晴らしさといったら。
 柔らかく無防備な肌は俺の手に張り付くようだ。それでいて、撫でると毛ひと筋の障りもなく、すべすべと温かくて張りもあって気持ちいい。興奮する。抱いているだけで射精しそうだ。
 これがエルフ。男に抱かれるために、最高の技術で造られた高級オナホか。
 俺が人間の村で抱いた女の貧しい体なんて、話にもならない。これならどんな男でも夢中になる。抜群の抱き心地だ。

「やめて! ニーナから離れて、ニンゲン! ニーナ! ニーナ!」
「 “ニーナ、俺の命令をよく聞いて理解しろ。お前の体は、俺に抱かれるためにある” 」
「…はい」

「ダメよ! こんなやつの言うこと聞いちゃダメ! 目を覚まして、ニーナ!」

「 “お前は俺の所有物だ。俺のオナホだ” 」
「…オナホ…わかりません…」
「 “俺の性欲を処理するための道具だ。今日からお前は精霊でもエルフでもない。オナホだ。オナホのニーナだ。お前はそのために生まれてきた女で、それがお前にとって幸せな生き方だ。よく覚えろ” 」
「…オナホ…ニーナはオナホ…オナホのニーナは、性欲処理の道具で、幸せ…」

「何言ってるのよ! ニーナ、やめて! バカなこと言わないで!」

「 “お前の体のすみずみにまで俺の言葉を染みこませろ。お前は俺のオナホ。俺の性欲を満たすための道具。今までの常識は捨てて、俺のオナホになれ。お前はこのアシュオウ様のオナホだ” 」
「…オナホ…ニーナはオナホ…」

 うつろだったニーナの瞳に光が戻り始める。頬を撫でる俺の指に、肌を紅く染める。瞳を潤ませて、俺に微笑みを浮かべる。

「理解できたか?」
「はい…ニーナは、アシュオウ様のオナホです」

 蕩けるようなニーナの顔。無垢な少女の頬が火照り、潤んだ瞳には男を誘う色気すら感じさせた。
 人間の俺なんかに抱かれて、エルフ様が恍惚の表情を浮かべてる。
 込み上げてくる笑いが、俺の頬を引き攣らせた。
 興奮する。この表情だけでもう射精しそうだ。俺はその華奢な体を締め付けた。ニーナは「あぁ」と嬉しそうに微笑んだ。
 
「ニーナ!」
 
 喉が裂けそうな声でウィルネが叫ぶ。俺はニーナに「ウィルネの言うことは無視しろ」と命令する。

「はい、アシュオウ様。ウィルネは無視します」

 ボイコンを使うまでもなく、ニーナは俺の命令に服従の笑顔を浮かべた。もうニーナは俺のもの。俺の命令には何でも従うオナホペットだ。
 青く波打つ海のように美しい髪。その海に浮かぶ夕焼けのような紅い瞳。少女ながらに母性を感じさせる柔らかな表情。
 今すぐ組み敷いて何度も何度も犯してやりたい。エルフのプライドも少女の無垢も剥ぎ取り、俺に対する服従の言葉を吐かせて、淫乱な性処道具としてめちゃくちゃに汚してやりたい。
 そしてその姿を、彼女の愛する親友に見せつけてやる。
 想像するだけで果ててしまいそうだ。

「ニーナ」
「はい」

 ニーナは無防備な瞳で俺を見上げる。今すぐ押し倒したい衝動を、ギリギリでこらえる。
 慌てなくても、どうせこいつは俺の女。俺は命令してやればいいだけだ。
 考えただけで、口元が緩む。俺はニーナから離れて、数歩下がる。
 
「脱げ。俺の見ている前で、自分の手で服を全て脱ぐんだ」
「はい」
「いや! やめて! ニーナ、やめて!」

 ニーナは胸元を留めるヒモを、ゆっくりと解いていく。俺に見られていることを意識して、恥じらうようにしているが、ちゃんと媚びる上目遣いも俺に向けている。
 脱いでいく。エルフ様が。あの生意気な精霊の少女が、自ら人間の男の前で肌を晒そうとしている。
 薄手のベストから大きな胸の谷間が広がる。白い腹。小さなへそ。俺は喉を鳴らす。
 ニーナが、両手で服を開いた。あの胸が露わになる。大きく形の整った女の胸。白く丸い丘の頂上にぽつんと控えめに自己主張する桜色の乳頭。
 股間が滲むほど興奮した。
 俺が久々に拝む女の肌。それは、エルフのとびきりの美少女の、憎らしいほどの美に恵まれた白肌だった。
 
「ニーナ、お願い! 目を覚まして! こんな男の言いなりになんてならないで!」

 次にスカートのベルトに手をかける。俺の興奮を読み取ったのか、ニーナは嬉しそうに微笑み、胸を見せつけるように突き出したまま、ベルトのヒモを解く。するりと抜き取って、スカートの横のボタンも外し、あっさりと地面に落とした。
 小さな布きれしかない、白い下着。健康的な裸体が焚き火に照らされて揺れる。
 圧倒的に優位な立場にありながら、俺は心臓が破裂しそうなほどの緊張に立たされていた。
 喉がカラカラに渇いて、いつ射精してもおかしくないほど、股間はギンギンに震えている。

 しかしニーナは、俺の食い入るような視線に気づいて、そこで手を止めた。
 下着にかけた指を外して、少し困ったような顔で髪をかき上げた。

 そして恥ずかしそうに、でもその豊満な胸を強調するように、体をくねらせ、刺激的な肢体を俺に見せつける。
 ヒモのような下着が食い込む尻をツンと突き出し、そして俺の顔色を伺うように、ぎこちなく微笑んだ。
 慣れない動きで、不器用なセックスアピール。だがその健気に揺れるたわわな胸に、俺は生唾を飲み込む。
 あぁ、そうだ。こいつはわかっている。
 お前は俺の性欲を満足させるための道具。だから、ここで焦らすのは俺のため。最後の一枚を外す前に、自分の体を使って、俺の期待をギリギリまで引き上げようとしている。
 正しい。男を奮い立たせるための、正しい所作だ。
 これが高級オナホのエルフ。まだ男を知らない処女のくせに、男を喜ばせる方法を本能で悟ってるんだ。
 抱きたい。もう我慢できない。早くこの女を抱きたい…!

「ニーナ…脱いでくれ」
「はい」

 俺は、半ば乞うようにニーナに命じた。
 ニーナはその細い指を下着のふちにかけた。

「ニーナ、やめなさい! そんなニンゲンに肌を見せちゃダメ! あなたにはフィアンセもいるのよ!」

 フィアンセ?

「ニーナ、待て」
「はい?」

 ニーナは下着をずらした指を止め、無垢な瞳を俺に向ける。

「フィアンセがいるというのは本当か?」
「はい」
「そうよ! ニーナには国法警察隊の許嫁がいるの! それに私のフィアンセは、裁判管理官よ! これ以上ニーナに何かしたら、あんたなんかすぐに逮捕されて一生監禁なんだから!」
「へえ」

 国法警護隊は警察機構の上部にあたる。裁判管理官もエリートにしか就けない役職だ。なかなか上等な彼氏じゃないか。
 都会に住むエリートエルフ様に、家柄だの許嫁だのって風習があってもおかしくはないが、こいつらはその中でも上流家庭の人間なのかもな。
 オナホとバイブの結婚式と考えると、かなり滑稽だが。

「ニーナ」
「はい」

 下着に指をかけたままのニーナに、俺は一歩近づく。

「お前にはフィアンセがいる。家柄の正しい精霊は異性と婚前交渉などしないし、結婚前にフィアンセ以外の男に肌を見せるなんてもっての外だ。そうだな?」
「はい」
「肌を許すのは心を許した同性の親友だけ。だが、それでも処女を汚すようなことは絶対にしない。精霊は結婚まで清い体を守るもの。そうなんだろ?」
「はい」

 俺の質問に素直に頷くニーナ。そのとおりだと言わんばかりに唇を引き締めるウィルネ。
 笑わせる。何が家柄だ。何が清い体だ。
 理想主義者の妄想家たちが夢見たファンタジーの世界に、こいつらは生きているんだな。
 アニメのキャラクターみたいに。

「だが、今日からお前はオナホのニーナだ。フィアンセなど関係ない。俺がお前の処女を突き破って子宮の中に精液を流しこんでやる。俺の前でマンコを広げてチンポをぶち込まれる準備をしろ。わかったら、繰り返せ」
「はい。今日から私はアシュオウ様のオナホのニーナです。フィアンセなど関係ありません。アシュオウ様に私の処女を突き破っていただいて、子宮の中に精液を流しこんでもらいます。アシュオウ様の前でマンコを広げて、チンポをぶち込んでいただく準備をします」
「ニーナ!? いやあ! やめてえ!」
「それがお前の望みなんだろう? ニーナは俺のチンポを口でしゃぶって処女を捧げて俺の精液まみれになって喜ぶオナホなんだろう?」
「はい。私はアシュオウ様のチンポを口でしゃぶって、そのチンポで処女を突き破っていただきたいです。どうぞ、好きなだけアシュオウ様のチンポでイジメてください。私をアシュオウ様の精液まみれにしてください。それがオナホのニーナの喜びです」
「ニーナ! ウソでしょ、やめて! ニーナ!」

 恍惚の笑みを浮かべて、ニーナは下着を下ろしていく。
 薄く青い陰毛の影が、爆ぜる薪の炎に浮かぶ。

 男に見せるのは初めての、少女の一番大事な場所。

 それを人間の男の前に晒して、ニーナは恥ずかしそうに、そして嬉しそうに足を広げて、自分からそこを見せつけた。
 俺は生唾を飲み込む。

「これがニーナの処女マンコです。アシュオウ様に捧げる処女オナホです。どうぞ存分にアシュオウ様のチンポで貫いて精液をぶち込んでください。ここも、お口も、アシュオウ様の使いたいようにお使いください。オナホのニーナは、アシュオウ様のためなら何でもいたします」
「ニーナぁ!」

 俺が教えるよりも先に、俺を喜ばせるような言葉をニーナは口にした。そして言い終わったあと、照れくさそうに俺から目を逸らした。その表情がますます俺を高ぶらせる。
 百点満点で合格だ。さすがエルフは、優秀なオナホだ。

「ニーナ。俺のズボンを脱がせろ」
「はい」
「…やめて…もうやめて…」

 ウィルネの緑色の瞳から涙がこぼれた。
 ニーナはしずしずと俺の前に立ち、跪いた。
 上から見下ろす豊満な胸の谷間に俺は喉を鳴らす。

「チンポを見たことはあるか?」
「いえ…ありません」

 頬を紅く染め、恥ずかしそうにニーナは俺のズボンのヒモを解いていく。もちろんこんなことしたこともないだろうから、その手つきは不器用でまどろっこしい。

「お願い…ニーナ、そんなことしないで…」
「下着もだ。お前の手で下ろせ」
「はい」
「やめて! やめなさい、この変態! ニーナから離れて!」

 下着の中から、俺のが跳ね起きる。すでにガチガチに固くなったそれは、天を指すようにニーナの前でそそり立つ。
 かあ、と顔を赤くしてニーナは目を背ける。ウィルネは固く目をつぶって、唇を噛みしめる。

「見ろ。これがチンポだ。見て感想を言え」
「はい…とても、想像してたよりも大きくて、驚いています。匂いも、強いです。これでお口やあそこを突かれるのかと思うと、不安でドキドキします。でも、昨日までの自分には想像もしなかったことですが、今はこのチンポが欲しいと思います。アシュオウ様のこれに貫かれるとどうなってしまうのか、期待している自分がいます」
「お前が欲しいのはこれだ。お前の一番の望みは俺のチンポだ。俺のチンポを体の中に入れたいと常に願え。そのために俺に媚びろ。許しを乞え。ただし、エルフとしての気品は失うな。誇りを持ったまま俺のオナホになれ」
「はい…私は、アシュオウ様のオナホです。アシュオウ様のチンポのためなら何でもいたします。どうかアシュオウ様、ご命令を…!」

 ニーナの瞳に淫乱な光が宿る。俺のチンポに喉を鳴らす。処女のエルフが、俺のチンポを欲しがって腰を浮かせている。ウィルネは目を閉じたまま、何か言いたげに口を開いて、あきらめたように唇を噛んだ。
 じつに気持ちのいい眺めだ。
 
「舐めろ。お前の口で」
「はい。喜んで舐めさせていただきます」
「いやっ!? いや、いやぁ! やめて、ニーナ! ニーナってば!」

 上気した頬を輝かせ、ニーナが細い指で俺の陰茎を包む。柔らかい感触にぞくぞくする。

「男を悦ばせるやり方は知っているか?」 
「わかりません…けど、やらせてください。もしも至らないところがあれば、どうか叱ってください」
「いいだろう。やってみろ」
「はいっ、ありがとうございます」

 舌を出して、おずおずと先端に触れる。その瞬間、ビリリとしびれるような快感が走った。
 柔らかく温かく、そしてぬめりのある舌だった。
 大人しそうな顔のわりに、彼女の舌は意外と長くて、そして器用に動いた。

「ぴちゃ…、んく、んっ、れろ、ちゅぴ、ちゅぴ、ん、ふぅ、ん、ちゅぴ…」

 遠慮がちで不慣れな動きなのに、彼女の舌が触れる場所から、俺も知らなかったような快感が掘り出されていく。そして彼女も、どんどんと動きを大胆にしていく。

「いかがですか、アシュオウ様…。んちゅ、私の舌は、ちゃんと、ちゅ、アシュオウ様のオナホとして、んっ、役に立ってますでしょうか…?」

 媚びるように瞳を潤ませて、ニーナは俺の裏筋をチロチロと舌を動かしながら舐めあげる。
 文句をつけるところなどあるはずない。俺の神経が快感に震える音を、その長い耳で聞き取ってるのかと思えるくらい、彼女の愛撫は正確で刺激的だった。ニーナの舌は、俺の好みにばっちりとハマっていた。
 まったく、どこまで優秀なオナホなんだ。
 俺はもうエルフの性能にいちいち驚くのはやめた。呻き声を上げてしまいそうな喉を絞り、強気の表情を崩すまいと口元を歪める。

「…まずまずだな。次は、咥えろ。俺のチンポを口に咥えてしゃぶれ」
「はい。しゃぶります。アシュオウ様のチンポを咥えて、お口の中でクチュクチュしゃぶらせていただきます…あむっ」
「う…!」

 ゾクリとした。彼女の口に包まれた瞬間、全部吐き出してしまいそうになった。我慢できずに声を上げてしまった。
 ニーナは、いきなり喉の奥まで俺のを飲み込んだ。先端が喉に当たるまで咥えて、さらに吸った。
 俺は呻く。ニーナの舌が、口の中で器用に俺の陰茎に絡まってくる。ぬめぬめと、形を変えるようにして俺を刺激する。
 やばい。唇を噛んで限界を堪える。ニーナはちらりと俺を見上げる。そして俺と目が合うと、嬉しそうに目だけで微笑み、そして、喉を引く。舌と頬で俺のチンポをこそげるように吸いながら、唇で擦る。あまりの快感に俺は悲鳴を上げる。息をつくヒマもなく、ニーナは再び俺を飲み込んでいく。
 頭が真っ白になった。かつて、一度も味わったことのない快感だった。
 ほんの数回、そうして吸われただけだと思う。俺は天国の快楽に震え、ニーナの口の中に全てを吐き出していた。
 せっかくのエルフのフェラチオを、ゆっくり堪能する余裕もなかった。処女オナホの愛撫に翻弄され、俺はあっけなくイかされてしまった。

「んく、んっ、く…んっ、んっ」

 眉をギュッと引き絞って、ニーナは俺の陰茎を口に咥えたまま、精液を喉に下す。初めて口にする味と匂いに、戸惑うようにしながらも、懸命に吸い付いていた。

「…どうだ。うまいか、ニーナ?」

 まだバクバクと暴れる心臓を抑えながら、俺はニーナの柔らかい髪を撫でつける。
 ニーナはボウッと頬を赤くして、「ふぁい…おいしいです」と応えて、愛撫を続ける。

「んっ、んちゅ、ちゅぅ、んんっ、はぁ、はぁ、ちゅぷ、ちゅぶっ、んんっ、ちゅる」

 出した後も俺のそれは固くそそり立ったままだ。萎える兆しも感じなかった。ニーナのフェラチオが気持ちよすぎる。また出してしまいそうだ。

「その調子だ、ニーナ。続けろ。お前の口で俺のチンポに奉仕しろ」
「ふぁい、んんっ、ごほうし、ちゅ、続けます。ん、オナホの、ニーナの、お口を、んっ、アシュオウ様の、ぷはっ、ために、使います。んっ、んっ、んっ、んんんー」

「…ニーナ…」

 俺たちの行為から目を逸らしていたウィルネが、涙をこぼす。

「ニーナ……ニーナ、ごめんね、ニーナ…」

 ウィルネはさぞかし惨めな気持ちなのだろう。愛する親友を、馬の骨にもならないような人間の男に奪われ、目の前で性奉仕までさせられている。
 それを自分は、何もできずに見ているしかないんだから。

「…くくっ」

 ニーナのフェラは極上だ。だが、もう一度口の中に出してしまう前に、もっと面白いショーをウィルネのために見せてやろうか。

「ニーナ。次は胸だ。お前のその胸で俺のチンポを挟め」
「はい」

 想像もしたことない行為を聞かされ、ウィルネが思わず目を開ける。
 俺のオナホとして、どんな命令でも聞くのが当たり前と思っているニーナは、当然のようにその大きな胸を自分の手で寄せて、俺のチンポをそれで挟む。

「揺すれ。お前の胸で俺のチンポを擦るんだ。ちゃんと俺が気持ちよくなるようにやるんだぞ」
「はい、アシュオウ様。私の胸で、アシュオウ様のチンポを擦らせていただきます。ちゃんと喜んでいただけるよう、頑張りますっ」

 嬉しそうに微笑んで、ニーナは胸を上下に数回揺する。エルフの肌は柔らかく滑らかで、その暖かい感触に挟まれただけで幸福感に包まれる。
 しかし、それだけでは物足りないと感じたのか、俺が命じる前に、ニーナは腰も使って全身で大胆な愛撫を始めた。
 俺の先端めがけて舌を懸命に伸ばしチロチロと舐め、そこからよだれを垂らす。そんな技は教えてもいないのに、自らの唾液で肌の滑りを良くして、その豊満な胸をなすりつけてきた。
 息を荒くして、俺のチンポのために全身で奉仕する。淫乱な行為だ。そして、屈辱だろう。エリート種族のエルフ様ともあろう者が、人間の男にこんないやらしい傅き方をするなんて。
 それを見下ろす征服感。ニーナは、息を荒くして、切なそうに瞳を潤ませる。

「ニーナ。これはパイズリというんだ。楽しいだろ?」
「はい! パ、パイズリ、楽しい、ですっ。アシュオウ様の、チンポを、んっ、胸でグニュグニュするの、はぁっ、私、大好きです!」
「…ニーナぁ…」

 満面の笑みでニーナは応える。ウィルネは絶望的な声を出す。俺はこの上ない興奮に震える。
 しばらくその奉仕を続けさせ、ニーナのいやらしい姿を楽しんでから、いよいよ本番行為を命じた。

「ニーナ。四つんばいになって尻をあげろ。お前のマンコを俺に差し出せ」
「は、はい! 出しますっ。ニーナの処女マンコ、アシュオウ様に捧げます。今すぐ、お尻ごとお見せします!」
「ニーナ、ニーナぁ! やめて! もうやめてぇ!」

 すっかり興奮しきったニーナが、俺に尻を向けて四つんばいになり、尻を高く掲げて俺に媚びる視線を向けた。

「あぁ、いかがですか、アシュオウ様? これが、私のオナホマンコでございますっ」

 焚き火の灯りに浮かぶ白い肌と、余すことなく俺に向かって開かれた女の秘部。
 処女のエルフが、俺をはしたなく誘ってる。極上の女の体が、俺に抱かれたがっている。
 興奮しすぎて、心臓が飛び出しそうだった。なんて美しい体だ。なんていやらしいアソコだ。
 ぷっくりと美味そうに膨らみ、赤みがかった中身を俺に晒し、そして、汁を垂らしている。
 俺に奉仕をしただけで、こいつはもう濡らしてたんだ。

「あぁ、アシュオウ様、お願いします…どうか、このオナホを抱いてください…アシュオウ様のチンポを、私にお与えください…」

 腰を揺さぶるようにして俺に突き出す。尻の穴まであらわにして、俺のチンポをねだる。
 処女のくせに。精霊の中の精霊、エルフのくせに。
 笑いが込み上げてくる。よだれがあふれる。俺は今、精霊を自分のモノにした。精霊に「抱いてください」と言わせてやった。
 これこそが俺が何年も思い描いてきた最高のシチュエーション。しかも、相手はエルフの女だぞ。最高だ。明日死んでもいいくらいだ。
 
「待って! 待ってよ! お願い、ニンゲン…ううん、アシュオウ。お願い、聞いて。取引がしたいの」

 ウィルネが俺を呼び止める。必死さのこもった声に、俺は振り返ってしまう。

「…取引?」
「ええ、そうよ。取引しましょう。あなた、お金は欲しくない? ニンゲンなんかじゃ…あ、ううん。こんな田舎じゃ一生稼げないくらいのお金。どう?」
「金? どういうことだ?」

 俺が話に乗ってきたと思ったのか、ウィルネは薄く笑みを浮かべた。

「ええ、好きな額を言いなさい。私がなんとしてでも用意してあげる。全部、あなたにあげる。それで今夜のことはなかったことにして。誰にも言わないでっ。私も誰にも言わない。あなたの安全も保障する。約束するわ。私の命にかけて…!」

 意志の強そうなその瞳は、エルフのプライドと誠実の証だ。
 彼女は真剣に俺と取引するつもりらしい。

「だから…お願い。ニーナをこれ以上辱めないで。元に戻して……私のニーナを、返してよぉ!」

 堰を切ったようにボロボロと涙を流し始める。
 ウィルネはもう限界だ。お上品な都会育ちのエルフ様には、耐えられない光景だろう。愛する親友が、ニンゲンの男なんかに尻を振るなんて。それを見ているしかないなんて。
 エルフだの精霊だの威張ったところで、ただの小娘だ。その哀れな涙が、余計に俺を喜ばせるとは知らずにな。

「金? 金だって? ハハハっ、何を言ってるんだよ、お前? 俺が欲しいものくらい、とっくに俺は持ってる。この世の全部が、もう俺のものなんだよ! ハハハハ!」

 ウィルネは、あっけにとられたように目を丸くする。
 俺はそんな彼女に高笑いを見せつける。

「ニーナ。今から俺のチンポで処女を失って、よがりまくるお前をウィルネに実況してやれ。それがどれだけ気持ちよくて、どれだけお前がチンポ好きのオナホなのかを、親友にちゃんと教えてやるんだ」
「はい、アシュオウ様」
「なッ!?」

 ニーナは尻を上げたまま俺に頷き、そしてウィルネに向かって至福の微笑みを浮かべた。

「ねえ、ウィル。見てて。アシュオウ様が、今から私の処女を奪ってくださるって。そして私のオナホマンコの中に精液を注いでくださるの。私、ちゃんと一人前のオナホになれるように頑張るね。ウィルに全部教えてあげるから、応援してね」
「いやあ!? やめて、ニーナ! 逃げてぇ!」
「ニーナ、いくぞ」
「はい、アシュオウ様…。あぁ、ウィル、見て…アシュオウ様が私のお尻をがっちり掴まえて…あん、もう、これだけで私、天国に昇ったみたい! 私のお尻、アシュオウ様のものなの。ずっと前からアシュオウ様のものだったの。あっ、あぁっ、撫でてる。アシュオウ様が私のお尻撫でてるっ。気持ちいいよぉ。くすぐったくて、ふわふわして、あぁ、マンコが、うずうずするっ。ねえ、ウィル聞いて! お尻、すっごい気持ちいいの! 私のマンコ、じゅんじゅんしちゃうぅ!」

 ニーナの尻は撫でるとすべすべで滑らかで、揉むと手のひらに吸い付いてくる。指は気持ちよくめり込んでいき、心地よい弾力で押し返してくる。
 人間女の肌とは比べものにもならない。極上だ。最高の尻肉だ。いつまでも揉んでいたい。
 この尻も俺のモノ。俺のオナホ尻なんだ。

「ニーナ、入れるぞ」

 俺はギンギンに猛ったモノを握って、ニーナのアソコに照準を合わせる。

「はいっ! アシュオウ様、きてください! ウィル、見て! アシュオウ様が私の処女を突き破るとこ、ちゃんと見ててぇ!」

 ニーナがせっぱ詰まったような声を上げ、尻をクイッと持ち上げる。

「ダメ、ニーナ! やめて! お願い、ニンゲン! もう許して! お願い!」

 ウィルネの懇願の叫び声を楽しみながら、グチョグチョに濡れた柔肉に俺の先端が触れる。ニーナの尻がビクンと跳ねる。熱い。やけどしそうに熱い。入り口に触れただけなのに、もう俺のを飲み込もうと、吸い付いてくる。強烈な刺激に早くも射精しそうになって、歯を食いしばる。

「あぁぁ、触れたよ…アシュオウ様のチンポ、今、私のマンコに触った…やだ、ビクビクしちゃう! ウィル、見た? 私、チンポで触ってもらっただけでビクビクしちゃったよぉ! わ、私、怖い…こんなに熱くて気持ちいいのが、私の体の中に入ってきちゃうなんて、想像しただけで頭おかしくなっちゃう! でも、あぁ、濡れちゃうぅ…チンポ欲しくて、嬉しいよぉ、ウィルぅ…」
「…いやぁ…やめてぇ…」

 先端を少しずつニーナのアソコにめり込ませていく。ビクビク跳ねる尻を押さえつけるようにして、処女肉を割っていく。
 初めは抵抗するようにぴったりと閉じていたソコも、割れたところからトロリとした蜜を滲ませ、俺のチンポを歓迎していく。小刻みに痙攣しながら、陰茎に絡みついてくる。
 奥へと導くようなその蠕動に、俺は喉を反らせてうめく。

「あぁぁ! 入って、入ってくる! アシュオウ様のチンポが、私の、処女をっ、あぁ、ウィル! ねえ、ウィル、ちゃんと見てて! すごいの! アシュオウ様のチンポ、熱くて、固くて、私のマンコ痛いのに、気持ちいいの! アシュオウ様のチンポが触れたとこ、蕩けてく! あぁ、まだ、入ってくるよぉっ。どんどんチンポ入ってくるよぉ! やだ、ビクビクしちゃう! 私の体、めりめりって剥がされてくみたい! あぁ! あぁ! 私、オナホになっちゃう! マンコから頭のてっぺんまで、全部アシュオウ様のチンポでいっぱいになっちゃうよぉ! あぁっ! ウィル! ねえ、ウィル! 私、アシュオウ様のオナホになれたよ! やったよ! チンポ、今、私の一番奥まで…あぁッ! やだっ!? なんかくる! 体おかしくなる! マンコからビリビリしたのが昇ってきて…背中、シビれる! あぁ、やだぁ! あ、頭も、変になっちゃう! なにか、来るの! 助けて! 助けてウィル! ウィルぅ!」
「ニーナ! ニーナぁ!」

 ニーナのアソコの蠕動に引っ張られるように、俺は彼女の最奥にまでチンポを埋め込んだ。その途端、彼女の体がビクンビクンと大きく跳ね、全身を痙攣させて、俺の陰茎を締め付けてきた。
 根本から先端を絞り上げるような動き。吸い付くように俺をニーナの奥へ引っ張っていく。
 まだ入れただけだというのに、ニーナのエクスタシーは強引に射精を促す。
 俺は悲鳴を上げて、あっという間にニーナの中に精を放ってしまった。

「あぁぁッ!? すごい! すごいよぉ、ウィル! 気持ちいい! 熱いぃ! 体が、壊れちゃう! 私のマンコに、アシュオウ様の精液が、出てるぅ…! ビシャビシャって、マンコの奥にかかってるの! やあ、いやぁ…腰、抜けちゃう…力入んないよぉ、ウィルぅ…はぁ、はぁ、気持ちいい…死んじゃいそうなくらい、気持ちいい…アシュオウ様のチンポ…すっごいよぉ、ウィル…」
「ニーナ…あぁ、ニーナ…」

 さっきニーナのフェラで出したばかりだというのに、一月ぶりに出したくらいに気持ちいい射精感覚に、俺は腰を震わせた。
 頭が真っ白になる。やった。とうとう俺は精霊の女の中に射精した。精霊の、エルフとセックスした。

「あっ、あぁ、ふわぁ…気持ちいい…気持ちいいよぉ、ウィル…私、もう動けない…アシュオウ様の精液で、体中が蕩けたみたい…幸せ…」

 挿入しただけの情けない射精だっていうのに、味わったことのない多幸感に全身が包まれる。
 これがオナホ用に開発された亜種か。確かにすごい。見た目も、感度も、中身も、非の打ち所もない。これなら一生人間の女を抱けなくなるのもわかる。これは、女以上のものだ。セックスの本当の気持ちよさを、この体で初めて知ったように思える。

 まだ挿れっぱなしのニーナのアソコから、俺の精液が伝ってくる。尻の穴をひくつかせながら、ニーナは俺に尻を掲げて体を弛緩させ、荒い息を吐いている。
 征服感と、獣欲。連続して出したというのに、俺のは全然萎えてなかった。
 足りるはずがない。この体をまだ俺は食べ終えていない。
 硬度を増していく俺のに反応するように、ニーナの中も蠢き出す。

「ニーナ…動くぞ」
「え? あっ、あぁっ、やっ、動い、てる! アシュオウ様が、私の中で、動いて、あぁぁ! すごい! 気持ち、いいです! まだ、こんなに、気持ちよくなるなんて! すごい! アシュオウ様ってすごい! ウィル! 聞いて! アシュオウ様のチンポが、ズンッて、私のマンコの中を、引っ張るの! 奥にゴンって、チンポが、当たったら、ビリビリって、あぁ、ビリビリってしちゃうよ! あぁっ! ひ、引くときは、私のマンコが、一緒に引っ張られて、あぁっ、行って欲しくないのに、こすられるの気持ちよくて、あぁぁっ、また、入ってきたら、嬉しくて、あぁ、気持ちいい! あぁ、もう、わかんない! もっとゴンゴンゴンゴンして欲しいの! してください! 私、気持ちよすぎてよくわかんないです! ウィル、ごめんね! あぁん! 私、セックスに夢中になっちゃって、うまく言えない! 気持ちいいの! セックス気持ちいいの! あぁ! あぁぁん!」

 俺の精液とニーナの愛液が混じって結合部から跳ねる。俺は夢中になって腰を動かす。ニーナの中は俺のチンポのためにあるのかと思うくらいに、気持ちいい。
 締め付けはギュッと強いのに、優しく俺のを愛撫するように蠢く。まるで泡だらけの手で扱かれているみたいだ。先端を柔らかい舌と唇で吸われているみたいだ。
 軽く動かしているだけなのに、もう限界が見えてくる。

「あぁっ、あぁん! すごい、すご、い…あぁっ、また変になります! アシュオウ様のチンポで死んでしまいそうです! シビれる…! 壊れちゃうぅぅ!」

 ギュウと、ニーナのアソコの中が俺の陰茎にしがみついてくる。そして、絞るような動きに、俺はまたもやあっけなくイかされてしまう。

「あぁぁぁッ! また、出てる! アシュオウ様の精液が私の中に出てる! あぁ、もう、溶けちゃい、ます…! 私の頭の中まで、アシュオウ様の精液で、いっぱいになっちゃった…ウィル…私、もうダメだよぉ…アシュオウ様のチンポがなきゃ、生きていけないよぉ…」

 止まらない。陰茎の神経がおかしくなったのかと思うくらい、精液が噴き出て、そして固くなっていく。
 これはおかしい。亜種の体のせいなのか? あるいは、カンフルの影響なのか?
 でも今は、考えている余裕もない。この熱いたぎりを、思い切りぶつけられる最高の体が、目の前にあるんだから。 
 俺はニーナの腰を突いた。ぐったりと脱力したニーナの尻を鷲づかみにして、乱暴に掻き回した。

「うわぁっ、あぁっ、あぁぁっ! まだ、あぁ、まだ、してくれるんですか! あぁ、もう、本当に、壊れちゃいそうです! 気持ちよすぎて、バラバラになっちゃいそうです! グチュグチュいってる! 私のマンコ、アシュオウ様の精液で、グチュグチュの、ドロドロなのに、まだしてくれるんですか! あぁ、嬉しい! 気持ちいい! ウィル、聞いて。アシュオウ様って、すっごいの! 素敵なの! 私のマンコが、アシュオウ様のチンポで、ぐちょぐちょ掻き回されてる音、聞こえる? ウィルにもこのいやらしい音、聞こえてるよね!? 気持ちいいっ。気持ちいいよぉ!」

 ウィルネは諦めたように目を閉じて、涙を流していた。ニーナは、俺とのセックスに夢中になって嬌声を上げる。

「ニーナ、お前も腰を振れ。オナホのくせに怠けるな。尻を振って俺を喜ばせてみろ」
「は、はいぃ! 振りますっ。お尻振ります! あぁ、私、頑張りますから、セックスやめないでください、アシュオウ様ぁ!」 

 小刻みにニーナは尻を振り出す。俺の動きに合わせて前後ばかりではなく、器用に角度を変えて俺のを刺激する。自分自身もそれで感じてしまうのか、ますます声を大きくして淫らなセックスに溺れていく。

「あぁっ! あぁぁ! ど、どうですか、アシュオウ様! 私、ちゃんとお尻振れてますかっ? アシュオウ様のオナホをやれてますか!?」

 もちろん気持ちいい。最高だ。
 だが俺は歯を食いしばって、この快感を堪える。

「ウィルネに聞け! お前がちゃんとオナホになれてるか、ウィルネに見てもらえ!」
「はい! ねえ、ウィル、見て! 私、ちゃんと、オナホできてるかなっ? アシュオウ様の、チンポを、マンコに咥えて、あんっ、お尻、頑張って、振ってるんだけど、どうかな? 私、アシュオウ様のオナホできてる? ねえ、こっち見てったら、ウィル!」

 ウィルネは歯を食いしばって目を固く閉じる。耳を塞げないのが悔しくて仕方ないというように、顔を真っ赤にして涙をこぼす。
 せっかく親友が頑張ってるのに、応援もできないなんて冷たい女だな。俺はボイコンのスイッチを入れる。

「 “ウィルネ。目を開いてニーナを見ろ” 」
「───っ!? いやっ! いやあ!?」

 緑の瞳が、驚愕に見開かれる。
 
「あぁ、ウィル、あんっ、あぁ、どう? 私、ちゃんとオナホに見える? アシュオウ様のチンポが、私のマンコに刺さってるの、見える? あん、ズポズポって、ジュブジュブってしてるでしょッ。あはっ、気持ちいいのっ、気持ちいいのォ!」
「いやっ! いやあ! 見せないで! こんなの見せないで!」
「ウィルぅ、そんなこと言わないでぇ。あんっ、ねえ、どう? あんっ、私、ちゃんとできてると思う? アシュオウ様の、んっ、セックスの、お役に立ててるかなぁ? ねえ、ウィルってばぁ!」
「やだ! やだやだ! 見たくない! そんなニーナ見たくないのォ! やめてえ!」
「…ニーナ。どうやらウィルネは、お前はオナホ失格だと言いたいらしいな。残念だが」
「ええッ!? そんな、ウソでしょ、ウィル! 私、こんなに、んんっ、頑張ってるのに! ねえ、見て! 私、お尻いっぱい振るから、ウィル、ちゃんと見て! 私、オナホだよねっ? ほら、アシュオウ様のオナホだよね! ほら! あぁ、ほらぁ!」

 グヂュグヂュといやらしい音を立てて、尻をぶつけるようにニーナは必死で腰を振る。目を逸らせないウィルネは、絶望的な声を出す。
 愉快だ。なんて面白いんだ、こいつら。
 射精する寸前まで高まっていたが、あえてニーナの尻をはね除ける。「あぁ!?」と悲しげな声を出して、ニーナの体が崩れる。

「失格だな。ウィルネがダメだというなら、お前は俺のオナホにはなれない。これっきりだ」

 紅潮していたニーナの頬が、まるで死刑を宣告されたみたいに、一瞬で青ざめた。

「そ、そんな! 私、無理です! もうアシュオウ様のチンポなしでは生きられません! 何でもしますから、捨てないでください!」
「しかしウィルネがダメだと言うからな」
「ウィルッ! 違うよね? 私はアシュオウ様のオナホだよねっ? ねえ、お願い! アシュオウ様に一緒にお願いして! ニーナをオナホにしてやってくださいって! オナホのニーナを犯してやってくださいって、アシュオウ様にお願いして!」
「ニーナ…もうやめて…目を覚まして」
「ウィルってば、もう! あの、アシュオウ様、お願いです。ウィルは、きっと誤解してるだけなんです。きっと、オナホのこと誤解してるんです! こんなに気持ちよくて素晴らしいことなのに…私、アシュオウ様のオナホできないなんていやです! 耐えられません! お願いですから、捨てないでください!」

 尻をこちらに突き出して、ニーナは必死で嘆願する。親友の屈辱的な姿に、ウィルは悲鳴のような泣き声をあげる。

「ニーナ、やめて…もうそんな恥ずかしいことしないで! 元のニーナに戻ってよぉ!」
「ウィルの方こそ、いい加減にしてよ! 私がこんなに頑張ってるのに、どうして認めてくれないの? 私はアシュオウ様のオナホになりたいのっ。そのためなら何でもするの! ウィルのバカ! 大っ嫌い!」
「…ニーナ…目を覚まして、ニーナ…お願い…」
「アシュオウ様。あの、ウィルはきっと、ひがんでるんだと思います。私がアシュオウ様のオナホになってセックスさせていただいてるのが、うらやましいだけなんです。こんな子の言うことなんて気にしないで、もう一度だけ私に機会をください! 私にもう一度だけセックスさせてください! お願いします!」

 尻を向けたまま、ペコペコと何度も頭を下げる。美しい青く波立つ髪を地面に擦るようにして、ニーナは濡れたアソコを俺に突き出す。
 だが俺は、その上の穴に目を奪われた。白い尻の中心で、濃い色をして、その穴は小さく俺をのぞき込んでいた。

「…いいだろう。ただし、次に試すのはマンコじゃない」
「え?」
「お前の尻の穴だ。そこに俺のチンポを突っ込んで、お前がオナホになれるかどうか試してやる」
「な、何言ってるのよ、変態! ニーナ、こんなヤツの言うこと聞かないで! 早く逃げて!」

 ウィルネは、おそらく聞いたこともないだろう変態セックスに顔色を悪くする。
 しかし、ニーナは一瞬驚いた顔をしただけで、すぐに頬を赤らめ、唇をいやらしく舐め、瞳を輝かせた。

「はい…ありがとうございます、アシュオウ様。もちろん、お好きなようにお試しください。私の体でアシュオウ様のモノじゃないところなんて、1個もありません…どこでも、いつでも、気が向くままに使ってください…」
「いやぁ! もうやめて! やめてぇ!」

 さらにニーナは高々と尻を上げる。俺はその尻の肉を両手で広げる。ウィルネが短く悲鳴を上げる。ニーナは甘い声を出す。
 俺はそこに先端を当てる。何度も性交して体液で濡れた陰茎は、滑るようにその小さな穴を押し広げる。
 ニーナはくぐもった声を出した。俺はそれに構わず腰を進めていく。

「んんんっ…!」

 ニーナも、歯を食いしばって、グッと尻を突き出してくる。俺に捨てられるのを怖がり、必死で俺に媚びてくる。プルプルと震える尻を抱えて、俺はさらに力を込めた。

「んっ…あああッ!?」

 尻を突き破るような感覚。ズリュリュと音がしそうな勢いで、先端を超えた陰茎は一気にニーナの肛門にめり込んだ。
 俺の陰茎が切り離されそうなくらい、きつい締め付け。すでに何度も絶頂を迎えそうになっている俺は、その衝撃を堪えるだけで精一杯だった。
 これが、アナルセックスか。古代人の知識の中にあった性交だが、なるほど、試してみる価値は十分になる。
 本来の場所とは性質の異なる快感。ギュウギュウと遠慮のない締め付け。確かにこれは、上級者向けだ。
 俺には、刺激が強すぎる。

「ふぅ、ふぅ…ううっ」

 ニーナも苦しそうな息を漏らしている。さすがに処女を失ったばかりの娘には酷な行為だったか。
 こんなところで体を壊されては、俺だって困る。

「おい、大丈夫か? 無理ならやめとくぞ」
「んっ!? いえ、平気です…! 全然、平気です!」

 しかし俺の気まぐれな気遣いを、失格の宣告と勘違いをしたのか、ニーナは必死に否定する。
 そして、自分から尻を揺らし始める。

「んんっ、んんーっ! へ、平気ですっ。私は、このくらい、平気です! んっ、ニーナは、ちゃんと、お尻の穴でも、ご奉仕できるんです! んんっ、あぁっ、ど、どうですか? 私のお尻の穴は、アシュオウ様のチンポに合いますかっ?」

 グイグイと、ニーナは尻の動きを大きくする。
 きついだけだった締め付けに潤いが出てきて、グニャグニャとした腸壁がいろんな角度から俺の先端を刺激してくる。
 快感がどんどん大きくなってくる。きつい締め付けと吸い込み。膣とは違う感覚で俺を楽しませるエルフのアナル。
 こんなところまで開発されてるのか。これが性処理のために作られた亜種か。
 俺はニーナの背中に覆い被さるようにして、その大きな胸を鷲づかみにする。そして、ニーナの腸に遠慮なく俺の陰茎を打ちつける。

「あーッ! いいです、アシュオウ様、すごくいい! 私、こんなところまで気持ちいいなんて知りませんでした! アシュオウ様は、すごいです! 素晴らしいお方です! お願いです、私を、私をアシュオウ様のオナホにしてください! どんなことでもします! 私の持ってるものは、全てアシュオウ様に捧げます! だから、だから私を、ニーナをオナホにすると仰ってください! そうしたら私、死んでもいい! あぁッ! アシュオウ様! アシュオウ様ぁ!」

 俺はニーナを抱きかかえるようにして持ち上げ、仰向けになった俺の上にしゃがませた。
 そして、自分から尻の穴に俺のを入れて動くように命じた。

「はい、挿れさせていただきますっ。アシュオウ様のチンポを、私のお尻の穴に挿れて、ズポズポさせていただきます!」

 躊躇いもなく、一気にニーナは俺のをアナルに飲み込んだ。奥まで咥えて、グイグイと腰を振り出した。
 強烈な刺激に、息が詰まりそうなくらいだ。

「あぁ! あぁぁ! 気持ちいい! 気持ちいいです! お尻の穴が溶けちゃいそう! お尻の穴が、アシュオウ様のチンポの形になっちゃいそうです!」
「これがアナルだ。アナルセックスだ。よく覚えておけ!」
「はい! ア、アナルセックスですね! 覚えました! アナルで、しっかりアシュオウ様のチンポの形を覚えました! 素晴らしいです! アナル最高です! あぁ、アシュオウ様! 私のアナルを、永遠にアシュオウ様に捧げます! だから、だから…!」
「あぁ、お前を俺のオナホにしてやる!」
「うわあああぁぁッ! ありがとうございます! ありがとうございます! ウィル、聞いた? アシュオウ様が、私をオナホにしてくださるって! 私のマンコもお口もアナルも、全部アシュオウ様のものよ! これから毎日アシュオウ様の性欲処理をさせていただくの! 毎日毎日、アシュオウ様の命令でセックスのお相手するの! あぁ、ウィル、ウィル! 私、嬉しいよぉ! 嬉しいよぉ!」

 腰をぐんぐん動かしながらニーナは歓喜の涙を流す。強烈な締め付けに気が遠くなりかける。
 俺はニーナの乳房を乱暴に掴むと、思いっきり腰を突き上げた。そして、その中にありったけの精液を放出した。

「ああぁぁッ!? 熱い! 熱いです! 私、あぁ! また、変に、なります! あぁぁぁぁ!」
「イけ! イクんだ! そういうときは、イクと言え!」
「はいッ! イクッ、イきます…! イきます~~っ!」

 ニーナの腸に搾り取られながら、俺はまた最高の快感を味わっていた。
 ぐらりと、ニーナの体が俺の上から崩れ落ちる。
 息をついて、体を起こした。何度も何度も今までにないような快感を経験して、ヘトヘトだ。
 だが、少しの呼吸の間に、体力が満ちていくのを感じる。やはりカンフルの効果か? 地下で学んだものより、作用が強い気がする。
 ひょっとして、長い年月を地上で過ごしている間に、人間の体質も変化したのだろうか。気がつけば疲れも消え失せていた。少々、腹が空いたくらいだ。
 ふと見ると、ニーナの尻から、俺の精液がこぼれだしていた。扇情的な光景に、また激しい劣情にかられて、勃起する。

「…やめて…」

 すっかり泣き疲れてしまったのか、か細い声をウィルネは出す。

「もう十分でしょ…もう許して…。ニーナを、元に戻してあげて。私たちを、うちに帰して…お、お願いだから…」
「ダメだ。コイツはもう俺のモノだ。どうしようと俺の勝手だ。この程度で、許されると思うな」
「くっ…な、なんで? なんで私たちがこんな目に遭わないといけないの! いいかげんにして!」

 まだだ。まだまだ全然足りない。
 俺が今まで受けてきた屈辱も、差別も、日陰の暮らしも。
 全てを取り戻してやる。
 もちろん、人間のためなんかじゃない。
 全部、俺一人のものだ。俺が独り占めしてやる!

「ハッ! 心配するな、お前たちだけじゃない。全部だ! この世の全てが俺のモノなんだ! お前たちは、たまたま最初の獲物になっただけだ。これから一生、お前らは俺のものなんだよ。お前も、この世界も、全部俺の奴隷なんだよ! ハハハハッ!」

 歓びが全身を満たす。万能感に高揚する。
 ウィルネは、怪訝そうに眉をしかめる。

「…何を言ってるの、あなた? 頭おかしいの?」
「ククッ…アハハハ! そうかもな。俺もあの遺跡で、あのPCで、頭をおかしくしたのかもな。だがな、おかしいのは、お前らなんだよ! お前らの、遺伝子がおかしいんだッ! お前らの、存在そのものが、おかしいんだって! アハハハ! 何が、精霊様だッ! オナホのくせに! アハハハハッ!」
「あ、あなた、何なの…? アシュオウじゃないの? 誰? 地下で一体、何が…?」

 香ばしい香りが、鼻をくすぐった。
 俺は、焚き火の中に放り込んだままだったツノブタの前足を取り上げる。焦げた毛と皮をナイフでこそげ落とせば、よく焼けた肉汁がいい匂いをさせていた。

「何、してるの…? やめて、まさか…」

 ウィルネの見ている前で、俺は肉にかぶりついた。 肉汁が口いっぱいに広がり、懐かしい味覚が開いて、胃袋に幸福を伝える。

「うまい。さすがは食用肉だな。こんなにも柔らかくて濃厚な味わいは…」
「いやっ、いやっ、いやあ~~ッ!?」

 ウィルネは、卒倒しそうな声を出して、全身に鳥肌を立てた。
 せっかく久しぶりの肉を堪能してるのに、騒がしい女だ。

「うるさいな…この程度のことで、大騒ぎするな」
「いや! 気持ち悪い! やめて、吐きそう!」
「ははっ、そうか。だったら、お前の友達の意見も聞いてみようか」

 激しいセックスを何度もしたせいか、ニーナはまだぼんやりとした顔をしている。
 俺は彼女のそばに肉をつきだした。ぼうっとした目でニーナは肉と俺の顔を交互に見上げる。

「 “ニーナ、食え。うまいぞ” 」
「…はい、アシュオウ様」
「いやあ!? やめて、お願い! それだけはやめて!」

 ウィルネが必死に止める前で、ニーナは「あーん」と口を開け、ツノブタの肉に齧り付く。
 そして、口の周りを肉汁だらけにして何度も咀嚼し、うっとりとした微笑みを浮かべて、頬に手をやった。

「とっても美味しいです、アシュオウ様…もっと、いただいてもよろしいですか?」

 ───ウィルネは、目を見開き、絶句した。
 そして俺の顔を見て、歯をカチカチと震わせた。

「…悪食の……神……?」

 かくんと首を落として、ウィルネは立ったまま気を失った。
 涙や鼻で顔中を濡らし、だらしのない失神なのに、それでも美しいと思わせる顔形は、さすがエルフ。
 まるで地上に絶望した女神の像のようだと思った。

 そして腹の底から、笑った。

< 続く >

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