・6月21日(土)
「ふ……ふ……ふ……ふ……」
ソファに手をついて、僕に背中を見せる格好で四つんばいになった佳織さん。その下着を脱がせて、彼女を完全に裸にした。
そしてお尻を抱いて挿入している。
セックス。
佳織さんとお人形セックスだ。
「ふっ……ふ……ふ……ふ」
上向きの形の良いお尻の中心に、くすんだ色をした窄まりがある。
お人形アヌス。佳織さんのそこはとてもきれいで可愛く、触れると柔らかくて気持ちいい。
「ふ、ふ、ふ、ふ」
腰が自然と早くなる。柔らかい膣ひだの奥にあるこりっとした感触。そこを何度も擦るようにして動かす。お尻に指を食い込ませて深く深く。
「佳織さん、聞いてますね? あなたの体の奥に、僕のが触れてる。この感触、お人形さんのあなたでもわかるはずだ」
「ふ、ふ、ふ、ふ」
「ここにあなたの幸せボタンがある。僕にしか触れない秘密のスイッチだ。僕のおちんちんがこのスイッチのキーになっている。ここに触るのが他の誰のおちんちんでも変化はない。でも僕のおちんちんだけがこのスイッチにピタリと合う。なぜなら、僕がカオリちゃん人形の所有者だから」
「ふっ、ふ、ふ、ふ、ふ」
「こうやってここにおちんちんの先で触れると、あなたの体に幸福が流れる。ほら、感じているね? カオリちゃんのここが幸せになるのを。気持ちよくて頭の芯まで蕩ける幸せだ。セックスを超える快楽だ。僕のおちんちんにこのスイッチを触られると、お人形の体に幸せが流れる」
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
「僕の可愛いカオリちゃん人形…ッ、僕が、うんと気持ちいいセックスしてあげるからね…ッ!」
「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ」
お人形さんの呼吸が荒くなり、お尻がじわりと熱くなる。
僕が忙しく出し入れしている彼女のヴァギナもとろとろぬめりを増していく。
「はぁっ、カオリちゃん、最高だよっ。あぁっ、気持ちいい!」
「ふっ、ふぅっ、ふっ、ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ」
「出るよ!」
もちろんコンドームはしている。だけど、彼女の中で射精しているという満足感と征服感は、僕に彼女の所有者だという自信を与える。
先輩、すみません。あなたはすぐ帰ってくると思ってたんです。
だから一度だけのはずだったのに、彼女を抱いてしまったら、もう我慢できません。
カオリちゃんは僕のもの。
もうしばらくは、僕のセックス人形です。
「――はぁ」
下着を元通りにして催眠を解除すると、佳織さんは火照った顔で色っぽいため息をついた。
「……貴司くんのマッサージ、やっぱりすごいね」
赤くなった頬と潤んだ瞳は、完全に事後の女の表情だ。なのに、「マッサージしてもらっただけ」と思い込んでいる佳織さんは、発情後の匂いをさせながら僕に甘えるように微笑む。
白のシンプルな下着の股間は、内側から染みを作っていた。
「軽く手をマッサージしますよ」
「え……」
佳織さんの手を取って恋人のように指をかみ合わせる。
柔らかい肌をほぐすように握って、親指で撫でる。
「ふふっ」
くすぐったそうに笑って、佳織さんは僕の好きにさせてくれる。
これもマッサージ。二人きりの時間で行われる、ただのよくあるマッサージだ。
「はぁ……」
僕に触れられ、「マッサージだ」と言われれば佳織さんには快感になる。セックスを終えたばかりの体に淡い快楽をじわじわと送り込んで、僕は人妻の体が手を繋ぐだけで温かくなっていく変化を楽しむ。
「ほんと、貴司くんのマッサージ好き……」
彼女の肩が僕の腕に触れる。軽く引き寄せるように手を引いても、抵抗らしいこともしないで僕の体にもたれかかってくる。
テレビから賑やかな笑い声が聞こえてくるけど、僕らはその内容なんて頭に入ってこない。
彼女の息づかいにだけ耳を傾ける。佳織さんは俯き加減に、僕の指の動きに合わせて小さな吐息を漏らしている。
僕の指が手の甲を這い、そして彼女は「んん……」と鼻にかかった声を出す。
「佳織さん」
「あ……」
あごを持ち上げて唇を近づける。
佳織さんは「ダメ」と言って顔を背ける。
「もう一度だけ。軽くでいいんです。キスがしたい」
「ダメだって……あの人に怒られるから」
「僕だって悪いことしてると思ってます。でも先輩が帰ってくるまで、僕の恋人になってくれるって約束しました」
「し、してないってば。そんなこと」
「もう一度だけ、キスしたい。お願いです」
「…………」
手を強く握って頬を撫でる。セックスの後のマッサージは、彼女に絶え間なく快感を送り続けている。
コク、と喉を鳴らして佳織さんの頬はどんどん赤みを増していく。
「絶対にこれ以上のことはしません。軽く唇を合わせるだけ。佳織さんのキスを、少しだけ僕にください」
好きなんですと、耳元で囁くと肩をピクンとさせて唇を引き絞った。
あごを持ち上げると、佳織さんは眉根を寄せているけど瞳は閉じたままだった。
「…………」
ほんの数秒、唇を重ねて離す。
佳織さんはますます赤くなって俯いてしまう。
キスさせてくれた。やっぱり彼女も僕に心を許してきている。
体の奥を突かれて幸福を味わい、そして恋人みたいに甘い時間を過ごすことで、僕のことを「男」だって感じる意識を強くしている。
佳織さんだって女なんだ。
人妻だって、オンナになるんだ。
「佳織さん」
「んっ」
反対側の手も取って指を絡ませる。
佳織さんの正面に回って、そして彼女の太ももの下に僕の太ももを潜り込ませるようにしてソファに上がり、股間を重ね合わせる。
「マッサージの続きしますね」
「やっ、んっ、この格好、恥ずかしいってば」
「腰のマッサージです。変な格好じゃありませんよ。揺するから力を抜いて」
「や、あぁっ、あん、あっ、は、ずかし、いよ、あんっ、あっ、あっ、あっ」
顔を隠したがる彼女の両手は僕が恋人のように握っている。
佳織さんの感じている顔を見つめながら、下着越しに僕の陰茎を押しつける。
スウェット生地のズボンにはとっくに僕のシミが出来ている。それを彼女のパンツのシミと擦り合わせてさらに広げていく。
これもただのマッサージ。全然おかしなことじゃない。
佳織さんの甘い声とソファの軋む音がシンクロして、ますます僕の腰を急かす。
「あぁっ、あんっ、ふあっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ」
開きっぱなしになった佳織さんの口の中で艶めかしく舌が動いている。きつく閉じられた瞳は、さっきのキスの時と違って、肉体が感じている快楽に深く浸るためだ。
「んんっ、貴司くんっ、あんっ、貴司くんっ」
「はぁ、佳織さん、気持ちいいですか? 僕の、マッサージは、あなたを気持ちよく出来てますかっ」
「き、もちいいよっ、あんっ、貴司くん、気持ちいいっ。だけど、んんっ、つらくない? そんなに、動いて、疲れないっ?」
「平気ですっ、はぁ、全然、僕も、あぁ、気持ちいいですからっ」
「た、貴司くんも気持ちいいの? んんっ、私に、マッサージして、気持ちいいの?」
「そうですっ。だから、佳織さんは気にしないで、んんっ、感じてくださいっ。僕の、体で、マッサージしますから、うっ、僕を、感じてっ」
「はいっ、んんっ、あっ、貴司くんを、感じるっ。んんっ」
「どんな感じ、ですか。僕のマッサージは、どんな風に、あなたを感じさせてますかっ。教えてくださいっ」
「は、はいっ。あっ、あんっ、体の、くっついて、擦れてるとこ、あっ、熱くて、ビリビリするのっ。んんっ、体中が、あっ、あんっ、ポカポカして、下腹の奥が、じわじわして、んんっ、手を、繋いでてくれるの、なんだか、嬉しくてっ。あんっ、貴司くんが、私のために、がんばって腰を動かしてくれてるのっ、見てたら、あんっ、なんだか、んんっ、胸が、くすぐったくなるっ」
佳織さんが、ぎゅって僕の手を握ってくれた。
心が通じ合った感覚が、僕の胸を浸す。
僕のマッサージを喜んでくれている。セックスみたいに心で感じてくれてる。
夢中になって腰を動かした。佳織さんの体を持ち上げるように突いて擦って押しつけた。人妻の肉体を、催眠術で騙してめちゃくちゃに貪った。
そして彼女は、何も知らずに喜んでいる。
「あぁーっ、貴司くん、気持ちいいっ。気持ちいいよぉ、ありがとー!」
ブラジャーに包まれた大きなおっぱいがボールみたいに弾んでいる。
長い髪が頬に張りついて彼女の乱れた表情を艶っぽく飾っている。
「あぁーんっ、あっ、あっ、貴司くん、貴司くぅん!」
「佳織さん、佳織さん!」
「あぁぁっ!?」
僕の陰茎がぐりっと彼女の割れ目を強く擦り、佳織さんの太ももがぶるぶるっと痙攣した。
「やっ、あっ、熱いっ、貴司くんの、あっ、マッサージオイル、出てるっ。んんっ、あっ、私に、かけてくれてる……んんっ……熱い、マッサージオイル……」
ビク、ビクと小さな痙攣を繰り返し、蕩けた声で僕のマッサージオイルと精液を呼んで、股間に広がっていくスケベなシミにエクスタシーの波を味わっている。
佳織さんの顔がマラソンの後みたいに真っ赤になって、乱れた呼吸が甘い匂いをさせる。
彼女の体をソファに横たえ、そして僕もその上に軽く覆い被さるように横になる。
力が入らない彼女は僕のなすがままになり、肩にそっと手を添えてくる。
照れくさそうに下唇を軽く噛んで、潤んだ瞳で僕を見上げた。
「ありがと。とっても気持ちよかった」
抱かれた後みたいに火照った体温が、僕をまたムラムラとさせる。
頬を撫でながら、顔を近づけて唇を奪う。
「佳織さん……」
「んっ……」
こくっと、佳織さんの喉が動いた。
そしてすぐに唇を離して「いや」と顔を背ける。
「ダメだって言ってるのに……もう」
拒否の表情の中に、ほんのわずかに甘さが漂う。
僕とのキスに、少しずつ抵抗がなくなっていくのを感じる。
いつか、僕はもっとキスを出来るようになると確信する。
「僕の催眠人形……そして、催眠キス人形」
今はまだ、こうしてお人形さんとのキスしか楽しめなくても。
くるくると唇の上を回転し始める佳織さんの舌を、僕は自分の口の中に納める。
「くちゅ、くちゅ、ぬりゅ、んっ」
佳織さんの濡れた下着に手をかけて、お尻を引き抜いて下げる。
僕もべとべとにズボンを下着と一緒に脱ぎ、コンドームを着けて彼女の股の間に腰を入れる。
「カオリちゃん…ッ!」
「ちゅく、ふっ」
キスをしながら挿入する。
さっきよりも温かい。そして柔らかい。
お人形のアソコがどんどん僕の形に馴染んでいくのを感じる。
「カオリちゃん……最高だよ、最高!」
「ふっ、ふっ、ちゅ、ふっ」
彼女の息を吸い込んで、可愛く動き回る舌を吸って、腰をゆっくりと揺らす。
最高だ。カオリちゃん最高。
頭の中がそれだけになって蕩けていく。
最高。最高の毎日だ。
『ひまー。何してる?』
ズボンのポケットからこぼれたケータイが鳴って、画面に通知が開いた。
小田島からの簡潔なメールに、僕は思わず鼻で笑う。
「フッ」
やってるんだ。
佳織さんとやってる。
僕は今、ずっと憧れだった人妻を抱いているところ。
悪いけど君をかまっている場合じゃない。
「カオリちゃんっ、ちゅむっ、ちゅっ、んんっ」
「ふっ、んっ、ちゅむっ、ちゅっ、ふっ、ふ、ふっ、ちゅぶっ」
うつろな瞳で天井を見上げている彼女を、ぎしぎしと貫いて快楽を貪る。
そして、好きなときに射精するんだ。
僕のお人形さんに。
「いいっ、いいよ、カオリちゃんっ、佳織さんっ! すごい、いいっ! こんなセックス初めてだ!」
最高が止まらない。頭がおかしくなるくらい幸せだ。
体中から搾り取られるみたいに、精液があふれ出す。
「あぁっ、佳織さん……いいっ……」
物言わぬ人形は、じっと僕の射精が終わるまで待っててくれる。
・6月22日(日)
「僕を家に上げたら、下着姿になる。マッサージのために来ているんだから先に脱いでおくのが当然だ。恥ずかしくても、そういう習慣だしルールだから仕方ない。ただし、僕と二人っきりのときだけだから安心して。僕はあなたにとって安心できる男。そうですよね?」
彼女の心はいじっていない。
僕はただ、少しだけ生活のルールを変えているだけ。
自分の言葉にウソが混じっていることに気づいていながら、僕はそれをごまかしながら佳織さんの心に浸食していく。
「いらっしゃい。えっと……ちょっと待ってね。今脱ぐから」
仕事帰りの僕を迎えてから、佳織さんはリビングでエプロンを脱ぎ、そして長袖のTシャツとスカートも脱いでいく。
今日はポニーテールに髪を結んでいた。余計に裸がきれいに見える。何気ない日常のまま、彼女が肌を晒していくことに興奮を覚える。
「あ、あんまり見ないでくれると嬉しいんだけど」
グレーのプラトップとグレーと黒のストライプの下着。
地味な色合いなのに、彼女のくっきりとメリハリのあるボディをむしろ引き立てていた。
もちろん僕は、佳織さんが目の前で脱いでくれるのに目を逸らすなんて出来ない。
下着だけになったら、急いで佳織さんはエプロンを着直した。
「さっ、ごはんごはん」
白い肌を隠すブラトップにパンツに、そしてブラウンのエプロン。
その姿はむしろ想定外のエロスを生み出した。テーブルの上に料理を並べるお尻が、ムラムラと僕の情欲に火をつける。
「佳織さん」
「ん?」
「僕の催眠人形」
白い背中とエプロンの紐と小さな下着に包まれたお尻。
見返りポーズは彼女のスタイルの良さをあらためて浮き彫りにして、その体を抱いたという自信を僕に与えてくれる。
彼女の前で、服を着ていることもわずらわしくなるくらい。
「……佳織さん。僕も下着になります。あなたにだけそんな格好をさせているのは不自然だから、僕もこの部屋であなたと二人っきりのときは服を脱ぎます。それが自然なことで、あなたも不思議には思わない。僕の下半身の変化も気にならない。以前からそうだったから」
そして、彼女のお人形さんの瞳に見つめられながら服を脱ぐ。
佳織さんも僕も下着姿だ。夫のいない夫婦の家庭で、僕らは肌を晒し合う。
「待ってて。今、並べちゃうから」
トランクス一枚で立つ僕に、佳織さんは自然な笑顔を向ける。股間を固く起立させているというのに。
そして何事もなかったように佳織さんはお尻を向けてテーブルを並べる。僕はその横の椅子に下着姿のまま腰掛ける。
「今日はね、ホワイトソースから作ってみたの。ネットで簡単に出来る方法が載ってて――」
鍋からシチューをよそっている佳織さんのお尻に、僕はそっと手を伸ばす。
「じゃあ、かなり足腰もこったんじゃないですか? 軽くマッサージしますね」
「あん、な、なに? こってないってば、んんっ」
「こってますよ、結構。力を抜いてください」
お尻を揉みほぐすように撫でる。
逃げようとするお肉をぐっと握って、「少しだけですから」と指を食い込ませる。
「んんっ……だめ、よそってる最中だから、んっ」
ただのマッサージだ。セクハラじゃない。
僕がそう言えばどんな行為も正当化される。人妻の引き締まった形の良いお尻をいきなり触っても、普段しているマッサージの延長だ。
いやらしいことじゃない。
「んっ、んっ、あとで、いいってば。ね? ご飯の後にたくさんして?」
僕にお尻を向けたまま、少し上気した顔を恥ずかしそうに鍋のふたで隠す。
佳織さんは今日も可愛い。僕の股間はますます硬くなっていく。
「今すぐした方がいいですよ。放っておいたら、もっとこってしまいますから」
「い、いいってば。ね、シチュー冷めちゃうから、ねえ。あんっ、だめぇ」
立ち上がって本格的に腰をこすりつける。
エプロンの中に手を入れてブラジャー越しの胸も揉む。
キッチンの人妻に襲いかかるシチュエーション。なのに、これだってまだマッサージの延長だと佳織さんは思っている。
「だめ、あんっ、こんなとこで、んんっ、後でいいってばぁ、あん!」
薄いトランクスの生地が、いつも以上に佳織さんの肌を感じさせた。
そして、彼女も僕のカチカチになっている陰茎をいつも以上に感じている。
「なんか、あんっ、当たってるっ、んんっ、ね、貴司くん、これって、ねえ、あんっ」
「――僕の催眠人形」
おとなしくなった佳織さんのお尻にぐりぐりこすりつけながら、僕はその貝のようにきれいな耳朶にささやく。
「これは、マッサージのために固くしているだけです。あなたの体をほぐすためで、全然いやらしい意味はない。僕流のマッサージではこれは普通で、あなたもこれでほぐされるのは前から好きだったはずだ。おかしくない。マッサージの一部だ。熱くて固い棒で体を擦ると気持ちいい。オイルもここから出てくる。だから、とても自然なマッサージだ。おかしくない。全然おかしくない」
そして、催眠を解除する。
「あぁんっ、当たってるっ。いつもの、お尻に当たってるっ。気持ちいいっ。貴司くんのマッサージ、気持ちいいっ。でも、ご飯の後にしようよっ」
「もっと気持ちよくしてあげますから、じっとしてっ」
「あっ、だめ、やだ、恥ずかしい、それ、んんっ」
「マッサージです、ただのマッサージですからっ!」
下着同士が擦れ合う。互いのシミがにちゃにちゃと音を立てる。
こんなの、ほとんどセックスだ。
人妻の用意してくれた晩ご飯を前にして、僕はその人妻を犯しているんだ。
「やぁっ、こんなの、んんっ、あんっ、熱いっ、熱いよぉ!」
「これが効くんですっ。じっとして!」
「効き過ぎ、だよっ。あんっ、お願いっ、ここじゃ、なんだか恥ずかしいっ。マッサージは、ソファで、あんっ、テーブル、揺れちゃうからっ、あぁーッ!」
がたがたテーブルを鳴らして、彼女のお尻の割れ目に陰茎を擦りつける。
胸を強めに揉んで、彼女の髪の匂いを吸って、ひたすらに人妻の肌を堪能する。
「あぁっ、佳織さんっ、佳織さんっ!」
「貴司くん…ッ、だめっ、そんなに強くされたら、んんっ、力、抜けちゃうからっ」
しっとりと汗ばんでいく肌と、ぴったりと張り付く下着。
僕は思いきり射精する。
体をしっかり密着させて、お尻の間に陰茎を差し込む。
「出るっ、オイル、出します!」
「あぁぁぁぁ!」
びしゃびしゃと彼女のお尻の谷に精液をぶっかけた。
下着の向こう側へと染み出すように。
「うあっ、あっ、熱い……熱いぃ……」
太ももをモジモジと擦り合わせて、佳織さんは下着からあふれる僕の精液を白い肌に垂らし、肌を熱く火照らせた。
精液は、そのなだらかな太ももから膝の裏を伝い、彼女のくるぶしまで染め上げる。
彼女を汚す快感に、僕は身を震わせる。
「……もう、マッサージなんて後でいいって言ってるのに」
「すみません、思い立ったらすぐかなって」
「変な貴司くーん。もう、オイルがスリッパまで染みちゃってる」
僕の精液をティッシュで拭う佳織さんは、そんなに怒っているようには見えなかった。
多少強引に持っていっても、マッサージの快感が好印象に変えてくれる。下着のシミも太ももにべっとりと張り付いたぬめりも、軽く拭き取った程度で佳織さんは「さ、ご飯」と笑顔を見せてくれた。
「どう? 美味しい?」
下着姿の食卓で、彼女は無防備に身を乗り出してくる。
脱いだときは恥ずかしがっているけど、一度マッサージしてあげたらもう慣れてしまうんだ。
抱き合った肌の感触が、彼女の心の壁も崩してしまうんだと思う。
「最高です」
「へへっ、ありがと」
本当に最高だ。佳織さんのお尻に射精させてもらった後、彼女の作った食事を食べられるなんて。エッチな格好で微笑んでくれるなんて。
まるで僕の奥さんみたいだ。
「でも貴司くんって、何を食べても『美味しい』っていう人だよね。好きな食べ物ってないの?」
「んー、佳織さんの作ってくれたものなら何でも」
「真面目に聞いてるんだよー」
「真面目に答えてますよ」
「もう。ふふっ」
佳織さんも上機嫌だ。
親密な空気が食卓の上を流れる。
食事が終わった後も、しばらく向かい合わせで会話が続く。
「佳織さん」
僕は彼女に向かって手を伸ばす。
手のひらを見せて、わきわきと指を握ってみせる。
「えー、なに?」
彼女も笑いながら手を伸ばしてくる。
僕はその手を取って指を絡ませる。
「マッサージです」
「はい。ふふっ」
テーブルの上で手を握りながら、幸せな会話は続く。
指を動かすと、くすぐったそうに佳織さんは身をよじる。だけど、ニコニコしたまま僕に手を握らせてくれている。
恋人のように、僕らは仲良く見つめ合い、互いの話に笑った。
佳織さんが心からリラックスしてくれているのを感じる。そして僕に対する信頼も。
夫のいる女性に愛を告白するような僕のこと、数々の催眠暗示に溺れてしまった彼女は警戒するのを忘れている。
こっちは、一瞬たりともあなたへの欲望を忘れたことはないっていうのに。
「佳織さん」
「ん?」
「キスしましょうよ」
「むー」
佳織さんは、眉間にしわを寄せて僕を睨み、薄く微笑む。
「しまー………せんっ」
「えー、いいじゃないですか」
「いくないー。もう、いいかげんにしなさい」
僕らがキスしたことだって、こうして笑いながら言える。
彼女の貞操の壁は着実に低くなっている。それも、僕に対してだけだ。人妻の固い鍵を僕にだけ少し開けてくれている。
「じゃあ、そろそろ本格的にマッサージしましょうか」
その手を、優しく揉むようにして僕は言う。
「はい」
佳織さんは、期待に満ちた微笑みを見せて、手を握り返してきた。
「――んっ」
ソファの上で彼女に覆い被さった僕は、まず唇を奪った。
「こら、もう」
佳織さんは優しく押し返してくる。
もう3度目になるキス。
不意打ちだったけど、佳織さんはそれほど不機嫌な顔を見せなかった。
「真面目にマッサージしなさい」
「はい」
「ふふっ」
甘えん坊の弟を叱るみたいな優しい顔。
もう一度キスしたくなっちゃうけど、こっちの方も我慢できない。
真面目なマッサージというやつを、佳織さんとしたい。
「あっ」
股間を押し当てて、ゆっくりと上下に擦る。
佳織さんが「はぁ」と生暖かい吐息を漏らす。その反応に僕はますます興奮した。彼女の柔らかい肌の上を行き来するように全身を擦りつけた。
「んっ、んっ、はぁ、気持ちいい……」
胸の先が佳織さんのブラの先端と擦り合う。そして仰け反った喉の白さがまぶしくて口の中に唾液が溜まる。
たまらない。
佳織さんの色っぽさと2人の間にこもる性の匂い。
その肌を食べてしまいたい。
「あっ」
たまらなくなって、耳たぶにキスをする。「だめっ」と佳織さんは身をよじる。
「キスしないで。んんっ、それは、ダメなのっ。そんなのマッサージじゃないっ」
でも僕は、キスしたい。
あなたの体中を味わってみたい。
「僕の催眠人形」
固まってしまった彼女の耳元でささやく。
髪の匂いを吸い込みながら。
「これはキスじゃないですよ。吸引マッサージってあるじゃないですか。あの、カップとかを熱して皮膚を吸わせるマッサージです。見たことあるでしょう? よくある普通のマッサージです。道具がないから、僕の唇を使って吸っているだけです。唇にキスするわけじゃないから、そんなに警戒しなくても大丈夫です。唇へのキスは、特別ですから」
そこ以外を吸うだけですと、彼女にささやく。
催眠を解除して、また彼女の耳たぶを吸う。
「あんっ」
ビクって佳織さんは身を震わせた。
でも、もう怒ったりしなかった。
「ん、うん、んっ、あんっ」
耳から首筋、鎖骨のあたりにキスをしても、恥ずかしそうにはするけど、こんなのマッサージじゃないなんて言ったりはしなかった。
「はっ、はうっ、んっ、んっ」
ブラから覗く乳房の裾野にキスしても、くすぐったそうに身をよじるけど、じっと目を閉じて僕の好きにさせてくれる。
少ししょっぱくて、甘い匂いのする肌を僕に食べさせてくれるんだ。
ごちそうさまですと心の中で手を合わせて、ブラの上から先端にもキスをする。
「ひゃんっ」
ピクンと軽く背中を仰け反らせて、佳織さんは自分の反応に驚く。
そして、照れくさそうに笑う。そのうっとりとした瞳に、僕は自分を抑えきれなくなる。
「もっとここ吸いますね。下着の上からだから、強く吸わないと」
「え、そうなの……あんっ、あっ、強い、あぁん!」
ぎゅっと乳房を握って、絞り出すように先端を咥えて吸う。
僕の唾液が彼女のブラに染みこんでいく。それにもかまわず、僕は佳織さんのおっぱいを吸う。飢えた赤ん坊みたいに夢中になって、ブラの中でこりっと固くなっているそこにぐりぐりと舌を押しつけ、ぢゅるぢゅると音立てて吸う。
「あぁぁっ、あっ、貴司くん、強いっ、強いってばっ。あんっ、んっ、やっ、だめ、そこ、そんなに吸われたら、あんっ、腰、浮いちゃう…ッ!」
乳首を吸われることで全身が切なくなっているのか、佳織さんのお尻がソファの上で浮いたり沈んだりしている。僕はその腰を下から支えるようにして、指を食い込ませてマッサージする。
「あぁぁ~ッ! 貴司くんっ、貴司くん!」
くらくらするくらいエロい佳織さんの感触と匂いに、僕の先端から我慢できない汁がこぼれる。
ちゅうちゅうと吸いながら肌を下りていく。お腹、おへそ、そして脇腹。
吸うといいながら舌を這わせてくすぐり、そして彼女の太ももを抱えるようにして腰に顔を近づけていく。
佳織さんの股間から、濃い女性の匂いが立ち昇っていた。
「い、いやっ、そこはだめ!」
だけど、僕はもう唇をつけていた。
湿った下着が肌に張り付き、彼女の形が布越しでもわかる。舌をおしつけ、ぢゅっと音を立てて吸う。あなたのここが濡れていると彼女の耳に教えるように。そして、食むように花弁を咥えて吸い付く。彼女の一番柔らかくて熱いその場所を。
「だ、めぇぇぇ!」
佳織さんの太ももが僕の顔を挟んで、お尻がぐいんぐいん弾んだ。
だけど絶対に離さない。ここはもう僕が征服したんだと、腰をつかんで顔を押し当てる。
佳織さんの匂いに包まれ、幸福感に満たされる。そして胸の奥から湧き上がる奉仕心に従って、彼女のそこを吸う。ひたすら舐める。愛撫する。
「あっ! あっ、あっ、あんっ、んんっ、あぁっ、貴司、くん……あぁっ、あんっ、はぁ、はぁ、あっ!? あんっ、あっ! あっ、あっ、あぅ……あぁ!」
ビクン、ビクンと断続的に大きな痙攣をして、佳織さんはやがて僕の舌に屈服するように体を任せ、だらしなく下着を濡らしていく。
真っ赤になった顔と、汗ばんでいく太もも。
僕の舌が彼女のクリトリスに触れると、いよいよ切羽詰まった声を上げて、体を反らしていく。
「あっ、あっ……貴司くん……あっ、あんっ、あっ、あっ、やぁっ! あんっ、あっ、あっ……あ、あ、あぁぁぁぁ!」
ぢゅぶ、と下着の中で愛液が吹き出た。
そして佳織さんのお尻が高く浮いて、何度もバウンドした。
「はっ、あっ、はっ、はぁ、はぁ……」
やがてゆったりと沈んでいく彼女の体の上に、僕も自分の体を重ねる。
大きく胸が上下する呼吸。そして真っ赤になった顔。濡れた瞳と乱れた髪。
イッたんだ。僕の舌で。
感動に突き動かされて、そのまま彼女の唇を奪ってしまう。
「ん……」
口を開きっぱなしで喘いでいたせいか、佳織さんの唇は少しだけ冷えていた。
それを暖めるように僕の唇で挟む。ちゅっ、て彼女も僕の唇を吸い返してきた。
「だめ……」
だけどすぐに弱々しく顔を背ける。彼女のぎりぎりの抵抗だ。
僕はその頬をすくうように撫で、僕の方を向かせるとまた唇を近づけていく。
「……だめ……ん……」
さっきよりも長くキスをする。佳織さんは諦めたみたいに瞳を閉じる。
マッサージと称して肌を重ねてペッティングもされ、そして絶頂まで導かれた体は男に対する抵抗力を極端に下げていた。
もっと佳織さんと一緒にいたい。
彼女が、僕を受け入れてしまうまで近づきたい。
だけど時計はもう9時を回っていた。
長時間にわたるマッサージは、もう終わりにしないといけない。
先輩はいないっていうのに。
「僕の催眠人形」
瞳をうつろに変えた佳織さんの頬を、僕は優しく撫でる。
帰りたくない。
彼女のそばにいたい。
だから、また一つ僕は彼女の鍵を開けてしまう。
「先輩が帰ってくるまでの間、あなたは僕を泊めることにした。僕は安全な男だし、夜中にもしものことがあると怖いから。だから、夫婦のベッドで一緒に寝ることにした。先輩にはもちろんそんなこと言う必要はない。だって、そんな恐がりだなんて知られたら恥ずかしいし心配させちゃいますからね。僕にももちろん口止めをする。あの人には内緒で泊まってってくれとお願いする。僕は当然あなたの味方だ。安心してお願いしていい」
そして催眠を解いて、彼女の口からお願いされるのを待つ。
佳織さんは、僕のキスに濡れた唇を軽く噛んで、不安そうに見上げて言う。
「あのね……お願いがあるの」
「なんですか?」
「あの人がいないと、1人で寝るのは不安から……一緒に寝てくれる?」
僕はにやけてしまいそうなのを堪えてうなづく。
「もちろん、いいですよ」
夫婦の寝室に入るのは初めてだった。
自分から誘導したくせに、僕は思いっきり緊張した。
セミダブルとシングルをくっつけたベッド。先輩がセミダブルの方で寝ているという。
ダブルベッドで一緒に寝るところを想像していたから、少し拍子抜けする。だけど、佳織さんと枕を並べるとやっぱり心は浮き立った。
「ごめんね。変なお願いしちゃって」
「かまいませんよ。全然」
僕は下着姿のまま先輩のベッドにいる。そして佳織さんは、黄色のパジャマに着替えている。
僕らは布団の中で手を繋いでいた。寝る前のマッサージだと言って。
「なんだか変な感じ。貴司くんがいる」
小学生のお泊まり会みたいと、佳織さんはのんきなことを呟いた。
「でも、こんなこと絶対にあの人には言えないね」
「そうですね」
言うわけがないけど。
この数週間での出来事は、絶対に先輩に秘密だ。
毎日、秘密のことだらけだ。
「貴司くん」
僕に手を揉まれながら、ふぅとため息をついて佳織さんは唇を結ぶ。
「絶対に、他の人を好きになりなよ。あの人が帰ってきたら、もうこんなことはやめよう。ね?」
僕のしていることが佳織さんたち夫婦を崩壊させるようなことだってことくらい、もちろんわかっている。
あなたが素敵すぎるから、そして僕がケダモノだから犯しているルール違反を、僕自身も許しているわけじゃない。
先輩が帰ってくるまでがタイムリミット。それは当たり前の決めごとだ。
「わかってます」
僕は佳織さんの手をきゅっと握りしめて言う。
「ちゃんと、わきまえますから」
「……うん」
それでも少しは申し訳ないと思ってくれているのか、佳織さんも下唇を噛んで気まずそうに視線を逸らす。
そして、そこにつけ込むように僕は口を挟む。
「キスしてもいいですか? それ以上のことはしないです。絶対に」
佳織さんは、しばらく無言でいた。
だけど、そのうちコクリと小さく頷いてくれた。
布団から身を乗り出して、彼女の唇の頬に近い場所に「ちゅ」と音を立てる。佳織さんは恥ずかしそうにじっとしていた。
キスを許した。
夫がいるのに。
別の男をベッドに寝かせて、おやすみのキスをさせた。
「僕の催眠人形」
この僕の欲望がキスだけで終わるわけがないと知らず。
人妻は、夫の出張中のアバンチュールを始めてしまった。悪魔をベッドに上げてしまった。
可愛い可愛いお人形さんになって。
佳織さんのパジャマの下を脱がせる。履き替えたばかりのきれいな下着も脱がせる。乱暴にはだけさせた上半身のパジャマから白い乳房もこぼれさせ、隠して持ち込んだコンドームの袋を破りながら彼女にささやく。
「瞳を閉じて。ゆっくり。あなたは眠る。お人形さんのまま眠る。深く眠る。朝までぐっすり、眠ってしまう」
お人形の佳織さんに挿入する。
温かい僕の人形を抱く。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
ぎしぎしとベッドは朝まで軋み続ける。
人形とケダモノの息づかいがそれに重なる。
先輩が帰ってくるのは、今週末だ。
それまでずっと、彼女は僕だけのもの。
読ませていただきましたでよ~。
ま、間男だー!(最初から)
先輩の帰りが遅くなったのをいいことに弄んでますね。
っていうか、かえってくるまでと言いながらこれ絶対帰ってきたあとも続けるやつだw
何をやってもマッサージ、マッサージは全て気持ちいい。いやあいいでぅね。
いいぞもっとやれw
でも小田島も頑張れw
いやあ、一気に五話は長いなぁー
であ、来週も楽しみにしていますでよ~。
>みゃふさん
にんにん日記RTAお疲れ様です…!
次回はもっと長いと思われますが、また……