俺の妹が超天才美少女催眠術師のわけがない第2巻 (3)

(3)

 一応、前回までのあらすじな。
 俺、妹に「田舎の犬か」ってツッコまれたのきっかけに、アイドルの処女を奪ったわ。
 
「あぁぁーんッ!?」

 彼女の体が仰け反り、ぎゅっと俺の先端に圧力がかかる。
 ぞわりと射精欲がこみ上げてくるのを必死でこらえ、腰に力を入れる。
 やべ、これ、すげぇ気持ちいい。
 俺はすげぇ気持ちいいんだけど―――

「あぁっ……はっ、あっ、あぁ……」

 絵玲菜ちゃんの唇が震え、固くつむったまぶたの隙間から涙がこぼれた。

「あわわわ……」

 役に立たないケータイをぽろりと床に落とし、あずきはわなわなと震える。
 くだらんこと言ってる間に絵玲菜ちゃんを破瓜させてしまったことに、コイツなりにもショックを受けているようだった。

「は、破瓜ったの? 破瓜ったのね、兄貴?」
「あぁ……お前がいけないのだよ……」

 締めつけは確かにきつかった。だが、希よりもきついかと言えば、それぞれに違いもあって単純には比べられない。
 さんざん空撃ちしたおかげか、わりと冷静に膣の違いを感じることができた。希は全体的にキュッキュと締め付けてくるけど、絵玲菜ちゃんは入り口でギュウってきて、中でグニュグニュと絡みつく感じ。
 どちらも甲乙つけがたい気持ちよさだ。天使の膣口だ。
 そして、これが処女か。アイドルの処女を俺がもらったのか。

「ご、ごめんね? 血とか出てる?」

 ゴクリと喉を鳴らして、あずきが俺たちの結合部に顔を近づけてくる。

「いや、どうだろ? 大丈夫みたいだけど……」

 見た感じ、そういうのはなさそうだ。
 正直、俺も血とか結構苦手な方だし、あんまりいっぱい出たら嫌だなって思ってたけど、なきゃないで寂しいよな。「痛いけど……嬉しい」みたいなセリフも言われたいし。エロマンガでも抜けるしな、そういうシーン。純愛っぽいセリフって濡れるんだよな。

「そういや運動とかしてる人って、初めてでも血が出ないってあたし聞いたことある」
「へえ、そうなんだ。絵玲菜ちゃんもダンスとかやってるからかな。てか顔近すぎるだろ、あずき。邪魔だって」
「なによー。見せてくれたっていいじゃん。へー、こんなふうに入るんだぁ……ちょっと動いてみて?」
「しょうがねぇなぁ。ほらよ」
「んっ、あぁ!」

 ていうか、俺もよく妹に結合部を見せつけながらセクロスできるよな。
 こんな俺がいつ純愛なんて出来るんだよ。やってることが完全にAV男優だろ。

「はぁ……はぁ、はぁ……」

 絵玲菜ちゃんは苦しそうに呼吸を荒くしていく。
 慎重に、ゆっくりと浅い場所での出し入れを繰り返す。
 男は処女を抱くとき、紳士を試されるという。幸いにして希の疑似処女体験で童貞を捨てた俺には余裕があった。
 慌ててがっつくようなマネはしない。優しく、優しくだ。大丈夫。俺はこう見えても14年ほど「お兄ちゃん」をやっている。女の子に優しくするのは慣れている。いや実際に妹に優しくした記憶はないけど、とにかく女の子には優しくしなきゃダメだ。ベッドヤクザのケダモノになんてなるもんか。

「んっ、んんっ……はぁ、はぁ……んっ、んんっ! あっ!」

 絵玲菜ちゃんは口をやや大きく開けて、色っぽい息を漏らしていた。
 ひょっとして、意外と痛くないのかな?
 俺は慎重に、徐々に動きを大きくしていく。奥へ。絵玲菜ちゃんの中がほぐれて絡みついてくる。全然大丈夫そうだ。さらに奥へ。コツンと先が当たる。絵玲菜ちゃんが「んぐっ」と声を上げる。けど、ボッと顔に赤みが増して、嬉しそうに瞳を濡らした。

「もっといくよ?」
「は、はいっ。あっ、あっ、当たって、る……そこ、あっ、あん!」

 気持ちよさそうだ、絵玲菜ちゃん。全然感じてる。さすが見た目どおりにエッチな体だよ。
 つか、俺もやべえ。すげえ気持ちよくなってくるよ、絵玲菜ちゃんのOMK48。じつは名器ってやつなんじゃない? ものっすごい中で絡んでくるんだけど。

「はぁっ、あんっ! あん! あぁ、あぁっ、や、やぁん! なにこれ? あぁ、すごぉい! こんなの、知らないです! 初めてです、この感じ!」

 絵玲菜ちゃんのおっぱいが、俺の腰に合わせて揺れてる。ていうか跳ね回ってる。乳首が∞を描いていて、俺の性的興奮もまさに無限大だ。じっと見てると俺が催眠術にかけられちゃいそうだった。

「あっ、あっ、気持ち、いいです! 私、アイドルなのに、エッチしてるっ、男の人とエッチして、気持ちよくなってる! これが、男の人なんですね! 逞しくて、固くて、強いおちんぽ、私、大好きになっちゃってます! 私のおまんこが、おちんぽ好きになって、ぐちゅぐちゅ、エッチな音立ててますぅ!」

 エロい。エロいよ絵玲菜ちゃん。
 処女アイドルがアヘ顔で「おちんぽ大好き」発言とか、どこの薄い本なんだよ。
 
「おちんぽ好きぃ! おちんぽいい! こんなの初めて、初めてですぅぅっ。あぁっ、あぁっ、私のおまんこえぐれちゃう! 男の人って、男の人って気持ちいい! 匠さん、匠さぁん!」
「……な、なんかこの人すごくない? 希の偽処女ブレイクのときのほうが、もっとおとなしかったと思うんだけど……」
「いい! いいっ! おちんぽいいです! らめぇ、もう、気持ちよすぎて卵汁フットーしちゃう! おちんぽミルク欲しくて赤ちゃんドアが開いちゃう! あぁ、匠さん、お願い! 私の子宮にエッチなお薬飲ませてください! 匠さんのラブセメントで、私の入り口をあなたの形に固めちゃってくださいぃ!」
「え? え? なに? ちょっと意味わからない。女子って、エッチの時こういうこと言わなきゃだめなの? あたし、何にも思いつかないんだけど……」

 乱れる絵玲菜ちゃんのセクロスを超至近距離で見ながら、あずきは喉を鳴らす。
 確かにこれはすごいエロい。本当に処女なのか疑わしいほど。でも、絵玲菜ちゃんはあずきの催眠術の中で確かに体験はないと言った。100%ウソをつけない状況でそう言ったのだから、絵玲菜ちゃんはついさっきまで処女だったで間違いない。
 俺のセクロステクニックって、そんなにすごかったのか。
 俺のチンポって、マジカルチンポだったのか!

「つまり、この女は生まれながらの淫乱ビッチだったということね?」
「その可能性も微粒子レベルなら否定はしないけどファンの前でそんなこと言ったら普通に腹パンだからマジで気をつけろよお前のために言ってやってるんだからな?」
「くっせ。豚くっせ。どうでもよすぎ。ま、それじゃさっさと絵玲菜に催眠暗示すませちゃうね」

 あずきは俺のありがたい忠告を豚くさいの一言で流し、絵玲菜ちゃんの隣にコロンと横になる。
 そして、彼女の額に手のひらを合わせる。

「あぁん! あん、あん! これ、これ、いいっ! ダメ、はまっちゃう! 私、おちんぽに溺れちゃいます! おちんぽ好き! おちんぽ大しゅきぅ! おちんぽ! おちん――」
「はい、そのまま眠って」
「ぽきゅぅ~」

 かくんと絵玲菜ちゃんの力が抜け、電池が切れたみたいに体が沈む。
 あれほど乱れていたのがすっかり静かになり、俺の腰にかくかくと揺れるだけになった。

「あなたは今、オーディションでこの人とセックスをした。結果は合格よ。あなたは正式に新藤匠の恋人に選ばれた。セックスは気持ちいいんでしょ?」
「んっ、んっ……はい、んっ、んっ」

 俺にセックスされながら、うつろな顔と声で絵玲菜ちゃんは答えた。
 心はあずきのもので、体は俺のもの。
 ちぐはぐになったアイドルの体を、俺たちは弄んでる。

「あなたは仕事で彼に抱かれた。でもそれがあなたの感情と結びついていく。仕事から感情へ意識をシフトして。セックスの気持ちよさは恋の気持ちよさよ。あなたは新藤匠を好きなの。だからセックスをした。だから気持ちいい。思い出して。あなたは仕事のためにセックスなんてしていない。好きだから抱かれたの。好きだから気持ちいいの。好きだからセックスしてるの」
「んっ……好き、好き……んっ、好きな、人……んっ、んっ……」
「新藤匠。あなたを今抱いている男の恋人になるの。あなたは恋をしているの。だからセックスもして気持ちいいの。この気持ちよさはあなたを裏切らない。大切な想いへ変わっていく。気持ちいい。大好き。気持ちいい。大好き。何度もあなたの中で繰り返していく」
「気持ちいい……んっ、大好き、んっ、気持ち、いい……大好き……」
「セックスは?」
「んっ、気持ち、いい……」
「新藤匠は?」
「大好き、んっ……」
「その二つは決して切り離せない。あなたの体がセックスの気持ちよさを忘れられないのと同じように、新藤匠への恋心は決して忘れることができない。絶対に。さあ、この匂いを感じる?」

 俺の部屋にはアロマディフューザーがあり、絵玲菜ちゃんが来たときから同じ匂いを出し続けている。
 彼女が頭を乗せている枕にも染みこませてあった。

「これが恋の匂い。あなたはこれに似た匂いを嗅ぐたびに新藤匠と彼に抱かれる心地よさを思い出す。抱かれて心地よい男は新藤匠だけ。あなたにとって彼は絶対の男で、他の誰も代わりにはならない。で、今流れてるこの曲もあなたは知ってるよね?」

 そして小さな音で再生されてるNNPのアルバム。あえて、耳を澄ませてようやく聞き取れる程度の音量になっている。彼女の集中力を絞るためにだ。

「聞こえた? この歌声も思い出のカギ。あなたは若い女性たちの歌声を聞くことで新藤匠を思い出す。彼女たちの歌う恋の歌は新藤匠の歌。女性の歌声を聞くたびに必ず新藤匠を思う。あなたが彼を愛して、そして愛されていることを必ず思い出す。もう他の男のことは考えられない。歌詞に登場する男は新藤匠のこと。他の男は存在しない。あなたにとって男は新藤匠だけ」

 掠れた声で「はい……はい……」と繰り返し、絵玲菜ちゃんはあずきに逃げ道を封じ込まれていく。
 若い女性の歌声を俺のカギにしてしまえば、アイドルグループに所属している彼女はもう他の男のことなんて考えられなくなる。俺への恋を歌う曲に常に耳にする。大勢のファンの前で俺のための歌を歌う。アイドルとしての仕事を続けるかぎり、いや、音楽がこの世にあるかぎり、ほぼ永遠に俺への愛に縛られるんだ。

「アイドルとしてのあなたと、新藤匠の恋人としてのあなたが、今、一つになる。切っても切り離せない強固な関係よ。感じて。あなたにとって大切な仕事と、あなたにとって大切な人は同じなの。どちらも同じくらい大事。体に感じている快楽はその発見の喜び。あなたは恋をしている。アイドルでありながら新藤匠の恋人にもなれるなんて幸せなこと。だから彼に感謝しないと。アイドルを続けられるのも、好きな男に抱いてもらえるのも、全て彼の恋人になったおかげなんだから」
「は、はいっ、嬉しっ……私、アイドルで、あぁっ、匠さんの恋人で、嬉しっ、嬉しいっ! 気持ちいいっ! セックス、してもえらて、嬉しい! 恋人にセックスしてもらえて、嬉しい!」
「このことは誰にも内緒よ。あなたは新藤匠の恋人であることを仕事仲間や友人には絶対に知られないようにする。でないと、彼とは付き合えなくなっちゃうかも。そうすると、わかるでしょ? あなたは何を失うの?」
「あぁっ!? そ、それはダメです! 私は、全てを失ってしまいます!」
「そう。だから、誰にも内緒で、大事に愛し合いましょう。そうすれば新藤匠はあなたの恋を守ってくれるから。あなたは、恋を守るためにアイドルの仕事も今まで以上にがんばって、絶対に怪しまれないようにしましょう。大丈夫。きっとあなたの恋は上手くいくわ」
「あぁ……絶対、絶対、匠さんのことは秘密にします……私の、大事な恋……大事な、セックス……あぁ、私、私――」
「眠って」

 あずきが額に手を当ててそう命令すると、絵玲菜ちゃんはカクンと喉を反らせて静かになった。
 ぎし、ぎし、俺が揺するベッドの軋む音だけになる。

「……うん、施術完了」

 絵玲菜ちゃんの上で四つんばいになり、ぴっちりとしたTシャツにブラひもの形を透けさせ、短いスカートから覗く太ももの裏を見せたまま、あずきが呟く。
 そういやコイツ、絵玲菜ちゃんと一緒に帰ってきてから何故か着替えタイム取ってたんだよな。
 なんで、着替えたんだろ?
 コイツの家着っていつも無駄に露出度高いから、こういうエロい場面だと変に意識しちゃいそうで直視しずらい。

「兄貴、あとは好きにしなよ」
「あ、あぁ」

 俺に背中向けたまま、そっけなく言ってあずきは絵玲菜ちゃんの上に右手をかざし、指をパチンと鳴らした。
 眠ったまま俺に犯られてた絵玲菜ちゃんが目を覚まして、とたんに体を仰け反らせた。

「あぁーッ!? 気持ちいい! 気持ちいいです、匠さぁん!」

 ぎゅううぅと強烈にチンポが締め付けられ、バウンドする絵玲菜ちゃんの腰に引っ張られ、あっという間にイきそうになって慌てた。

「気持ちいいっ。好き、好きです、匠さん! セックス気持ちいいっ、おちんぽ気持ちいい! 匠さんのおかげですぅ! 大好きな匠さんにセックスしてもらえて嬉しいですぅ!」
「あ、あぁ…ッ!」

 すごい締めつけと、腰のリズム。処女とは思えない乱れっぷり。俺のチンポを全身でしごき、絵玲菜ちゃんは涙を流して喘いでいた。

「お、俺も気持ちいいよ! 絵玲菜ちゃん、気持ちいい!」
「あぁっ、匠さん! 好き! あぁ、大好き! もっと、もっと教えてください! 私に男の人を教えてください! 気持ちいい! オチンチン気持ちいい、オチンチンいいですぅ!」
 
 すごい。すごすぎる。
 濡れた瞳で俺を見つめ、真っ赤な顔から舌を覗かせ、はしたない大声を上げ、おっぱいをバインバイン揺らし、あの国民的アイドルが俺との初セックスでアヘってる。
 AVかよ、これ。MUTEKIなのかよ、これ。
 人生なんて、催眠術使える妹がいれば楽勝じゃねぇか。
 この家に産まれた時点で、俺は勝ち組のレールに乗っかってたのか。
 あとはトーマスみたいなアホ面して突っ走るだけじゃん!
 
「絵玲菜ちゃん、絵玲菜ちゃぁん!」
「匠さん、好き! 好き好き好き、大しゅき、気持ちいいーっ!」

 夢中になって腰を振る。
 絵玲菜ちゃんも足を俺の背中に回し、『大しゅき4の字固め』を決めて腰を振る。
 目が眩む。
 信じられないセクロスしてる。
 興奮しすぎてもう何も考えられない。
 イク。めちゃくちゃイク。死ぬほどイク。
 あぁ、もう、もう本当にダメ…ッ!

 ぼすん。

 さっきからおとなしくなって存在忘れかけてたあずきが、絵玲菜ちゃんの隣に横たわった。
 盛り上がっていたベッドに、いきなり身内が登場してせっかくの絶頂寸前ウェーブが盛り下がる。

「あずき、どいて! そこに出せない!」

 まずは顔射と決めていたのに、肝心の絵玲菜ちゃんのアヘ顔の横に妹の仏頂面があって、正直クソ邪魔だった。

「……えっちって、そんなに気持ちいいの?」

 なぜか不機嫌なあずきは俺のこと無視して、絵玲菜ちゃんのアヘほっぺを突いて、そんなことを呟く。
 俺にガンガン突かれてる最中の絵玲菜ちゃんには、当然他のことなんて耳に入らない。
 エロいこと叫びながらシーツを握りしめる。蕩ける瞳が俺を見つめている。

「処女でも、気持ちよくなれるものなの……?」
 
 舌を出してよがる絵玲菜ちゃんの前髪をすくい上げ、くりんと捻りながらそんなことを言う。
 あずきのことは無視しようと思っても、すぐそこに並んで寝られてはそうもいかない。
 それに、どうして機嫌が悪いのかもちょっと気になる。
 俺たちの望みどおりに絵玲菜ちゃんとセクロスしている最中なのに。
 あずきは口をつぐんで、乱れる絵玲菜ちゃんの横顔をじっと見つめている。

「あぁっ! 匠さん、匠さぁん!」
「…………」

 言いたいことを我慢しているときの顔。妹のこの顔を見るの久しぶりだ。
 こういうときは変につつくんじゃなく、あずきが自分で言葉を見つけるまで待ってやるのが兄妹の暗黙のルールだった。
 昔、俺たちがまだ仲良かった頃は。

「あずき、邪魔だっつってんだよ!」

 あくまで昔の話だ。
 今の俺は、とりあえず早く出したいの!
 
「…………」

 あずきは無言。
 そして絵玲菜ちゃんの耳を引っ張り、何事かをささやいた。

「あぁぁぁぁあぁんッ!?」

 突如、絵玲菜ちゃんのプッシーアイランドが地盤収縮し、俺の血圧式膣内削岩機に強烈なプレス攻撃を始めた。
 ねじねじにされちゃうかと思うようなブラックホール体験に、俺は自分でも聞いたことない悲鳴を上げ、急いでマイスペースシップを引き上げた。
 弾けて飛び出す俺のファンタジーソルト。
 自分でもビックリするぐらい精液が出て、こんなに出したら死ぬんじゃないかと思うほどで、そんなのが絵玲菜ちゃんの体をびしゃびしゃと濡らすのを、俺は恍惚と呆然の気持ちで見送る。
 あー、射精気持ちよすぎて死ぬー。

「あっ、あっ……はぁ、あぁん……んっ」
「……ひくっ」

 絵玲菜ちゃんは恍惚の顔で俺の大量の精液を受け止め、唇にはねた液まで舌で舐め取る。
 あずきは目を丸くしてそんな絵玲菜ちゃんを見て、しゃっくりみたいな声を出す。
 ちょっとくらいならあずきに精液かかってもかまわんと思って出したが、幸いそれは免れたみたいだ。
 すさまじい脱力感。
 久々に豪快なセクロスの満足を味わい、腹の底から息を吐く。
 絵玲菜ちゃんも呼吸を整えながら眠っていく。
 あずきは、ギュッと拳を握った。

「……すけべ」

 痺れるような感覚を残した俺のチンポは、まだ固さを残してだらしなく精液を垂らしている。
 俺はあずきのミニスカから覗いてるオレンジと白の縞々から目を逸らし、舌打ちをする。

「あのさ、もう俺だけで大丈夫だから、ちょっと部屋に戻っててくんね?」

 絵玲菜ちゃんのおっぱいの間に、俺の精液だまりが出来ている。
 そのいやらしい光景に俺は集中したかった。

「妹に見られてたら、やりづらいんだって」

 自分勝手なこと言ってると思うが、当たり前だろ。
 なんで厨房の妹を隣に寝かせて射精しなきゃならないんだ。

「兄貴はヘンタイだから、その方が嬉しいんでしょ?」

 あずきは横向いたまま、クソ腹立つことを言う。
 この俺がヘンタイなわけないし。
 しかし、ビシっと言ってくれようかと口を開きかけた俺の前に。

「……妹に手を出すくせに」

 刺さった。
 マジで、胸にきた。
 あずきは怒った顔して、赤くなってる。
 俺は動揺した。でも、なんでこんなときにその話を持ち出すんだっていう腹も立ち、おそらくこっちも真っ赤になりながら言い返す。

「もう出さねーよ。あのときは……たまたま、頭が変になってただけだし」
「頭変なのはいつもでしょ、兄貴の場合」
「んなことない。俺ぐらいノーマルな紳士はいない」
「ヘンタイ兄貴。ケダモノ兄貴。なに格好つけてんのよクズ兄貴のくせに」
「俺はヘンタイでもケダモノでもクズでもねえ。ただの兄貴だ。妹は下でテレビでも観てろよ」
「ヘンタイ、ケダモノ、クズ、スケベ、ロリコン、バカ、バーカっ、バカ兄貴!」
「うっせぇなお前、いい加減にしないと――」
「うるさいのはそっち!」

 ――パァン!

 あずきが目の前で手を打ち鳴らした。
 と、思った。
 ぐるんと景色が回転して真っ暗になってしまったので、俺はもう何も見えないし何もわからない。

「……ケダモノじゃん、兄貴なんて」

 遠くで誰かの声がした。誰かに呼ばれて、どこかのスイッチを入れられたような気がした。
 そうだ、俺はケダモノだ。人の皮をかぶったケダモノ。ビースト匠って俺のことだ。
 血がたぎるのを感じる。プリミティブな俺を感じる。ケダモノとして生まれ、野を駆けオンナを喰ってきた前世の俺が、「おはよ」って股間から顔を出している。
 おっす、俺。
 今日もケダモノモーニングの始まりだ。明るく陽気にオンナを犯ろうぜ、テキーラでも飲みながらさ!

「――ひひっ」
「え?」

 目を開けるとそこはオンナの園だった。
 すでに俺に喰われたオンナと、まだ俺が喰ってないオンナ。生意気そうな顔で俺を睨んでいるのは喰ってない方のオンナだ。

「うひひひっ!」
「ど、どしたの……?」

 真っ赤なほっぺたが俺と目が合うとグニっと歪み、唇を引きつらせる。シーツを握りしめる手は明らかに俺にびびって震えているのだが、ぴっちりとしたTシャツの胸は差し出されたかのように無防備に上下している。
 いいオンナじゃん。これ、実の妹? うっそだろ、信じられねえ。本当に血が繋がってるかどうか、犯ってみようぜ!

「んーっ!?」

 あずきの上に覆い被さって唇を奪う。ぷくっとした感触が美味い。ぢゅるぢゅると吸う。
 うめえ。なんだコレ。コイツの口、うめえ。

「んっ、んっ、ちゅぶ、あ、兄、んっ、ぷは、ちょ、なに、ダメっ、あ……ちゅぶ、じゅる、ダメ……」

 吸えば吸うほど抵抗が弱くなっていく。
 俺に押さえつけられていた手首はくったりとシーツの上に落ち、開ききった唇は俺の舌に蹂躙されるがままだ。

「やだ、あにき、んんっ……ちゅ、れろ、あう、そんな、んっ、べろべろすんな、あっ、あんっ、ダメ……」

 唇を舐め回し、ほっぺたも耳の後ろも舐め回す。ビクン、ビクンとあずきはそのたびに震え、体を熱くしていく。
 湿った肌を撫でながら背中に手を回し、Tシャツごしにブラを外す。身悶えしているあずきはそのことに気づいてないようだ。

「あずき、舌出せ」
「え……や、やだよ、なに言って……」
「出せ」
「ひくっ」

 語気強めに言うと、あずきは怯えたように肩をすくめ、目を閉じる。
 そしておずおずと出て来る舌を、俺は唇で挟んで吸う。

「んんんーっ!?」

 ビク、ビクっ。
 あずきは全身を震わせて体を仰け反らせる。面白いくらいに反応する妹の体を遠慮なく撫で回し、唇を吸う。

「お前、感じやすいんだな」
「やっ、な、そんなわけ……な、なに言ってんのよぉ……んんっ!」

 言い返そうとする生意気な口も、いつもの元気はない。俺にちょっと吸われただけで、ホラ、あっというまに蕩けてやがる。

「んんーっ、んっ、ちゅぶ、ちゅ、れる、はぁっ、やめ、やめて……もう、まいったから、兄貴、あんっ、んっ、んんっ、んっ! はぁ、ダメだってば……」

 キスしながらうなじを撫でてやるだけで、体をすくめて身悶えする。必死で俺を押し戻そうとしていた手も、いつのまにか俺の服を掴んで、すがるように体を寄せてきている。
 マジで敏感体質みたいだぞ、コイツ。
 勉強もスポーツも催眠術でも何でも完璧に出来ちゃうチート女で、クソ生意気に威張り散らしてるクソ可愛くない妹のくせに、キスされただけで簡単に溺れちゃうようなエロい体してたとは。
 兄としてはちょっと複雑な事実だが、ケダモノ的にはグッドニュースだ。
 このクソ生意気な妹を兄貴の性奴隷になるまで調教してやろうぜ。

「あっ、んん、んっ、兄貴ぃ……んっ……んんっ? ちょ、ちょっと、いつの間に……」

 キスしながらTシャツをたくし上げていた。
 とっくにブラを外されてるあずきの体が、兄の手で剥かれていく。
 妹の裸なんて見るの何年ぶりだろ。
 くびれのついたボディはしっかりと女に育ってて、ちゃんとお椀の形になったおっぱいは将来有望に実っている。
 えらいぞ、あずき。
 エロと感動と、よくわかんない複雑だけど嬉しい気持ちになって、あずきの前髪を撫でる。
 あずきは、ポーッとした顔で俺を見つめていた。

「あずきのあずきって、きれいなピンク色してんだな」
「やっ!? な、なに言ってんの、あんた…ッ、エッチ!」

 胸を隠して真っ赤になるあずきに、俺は再び覆い被さる。
 もちろん、おっぱいに両手を添えて。

「やぁっ! バ、バカ、バカっ! どこ触って、んっ、やだ、やだぁ! んっ……あ、やぁん!?」

 抵抗しているあずきだけど、その腕をかいくぐってギュッとおっぱい握りしめると、仰け反ってエロい悲鳴を上げた。
 もみ、もみ、回すようにこねる。希を何度も抱くことで身につけたパイ揉みスキルを妹に発揮する。お前のおかげで俺はここまでの揉み師になれたんだぞ、あずき。たっぷりと味わえ。

「んっ、やだ、なにこれ……バ、バカぁ、やめ……んんっ、ちゅぶ、んっ、んっ、キス、ダメぇ……」

 俺におっぱい揉みながらキスされて抵抗できる女はいないって、希が言っていた。
 まあ、彼女の場合は、俺に何されても嫌がることは100パーないので参考意見にならないけど。
 それでも、このあずきの反応を見るかぎり、あながち間違ってもいないように思える。
 体から力が抜けていってるのがわかった。

「んぐっ、んっ、んっ、あっ、あっ、あっ、んっ、あぁんっ、ん、んぐっ、ぷはぁ、はぁ、あんっ、んっ、んんんっ、あぁ、あぁん、あん、んんっ」

 あずきはもうロクな抵抗も出来ず、俺の手の動きに同調するように体をビクビク反応させ、そして俺に吸われるがままによだれを零し、俺のを飲む。
 アホみたいに単調なあえぎ声しか出せず、俺の揉み揉みに操縦されるかのように体を波打たせ、蕩けた瞳で俺を見つめる。
 オンナじゃん、完全に。
 妹のくせに、兄にエロいことされてオンナに目覚めてんじゃん。
 生意気な中学生め。
 俺はあずきのおっぱいを吸ってやることにした。

「あん、ダメぇ!」

 いきなり大きな声を出して、あずきは背中を仰け反らせる。汗の味がする乳首がコリっと俺の歯に当たり、全身を捻るようにしてあずきはまた大きな声を出した。

「だめ……やめて、バカ兄貴……んんっ……」

 ビクン、ビクン。
 まさかと思うが、これだけでイッてしまったんだろうか。
 いや、それはいくらなんでも感じすぎだろ。
 俺はまだ痙攣している体を押さえつけ、容赦なく乳首吸着を続行する。あずきはまた喉を反らせ、声を噛みしめる。刺激が強すぎるらしく逃げようとするが、俺はその腕を捕らえて離しはしない。
 ズズッ、ズズッ、わざと音を立ててあずきに聞かせる。あずきは首をイヤイヤするみたいに振って、胸まで体を真っ赤にする。

「あ、あぁっ、兄貴、吸ってる……あたし、兄貴に……吸われてる……?」

 声を我慢しながら、あずきは信じられないようなものを見る目で、自分の乳首を咥えている兄を見ている。
 俺は舌でそのピンク色のコリコリしたやつを転がしながら、下品に答えてやった。

「あぁ、お前の乳首吸ってるぞ。ビンビンに立ってるからな」
「~~ッ」

 あずきは涙を浮かべて目を逸らす。俺は激しく音を立て、男に乳を吸われる快感をあずきに与えてやる。

「うまいな、お前のおっぱい。ずずずずっ!」
「あっあぁぁぁぁぁッ!?」

 ビク、ビク、ビクン!
 ひときわ大きい痙攣をして、あずきの体が跳ねた。
 今のは、おそらくイッた。
 シーツを握りしめながら、何度もベッドの上をバウンドして、あずきの体が沈む。
 やっぱりコイツ、おっぱいだけでイきやがるんだ。
 希もよくキスだけでイッちゃったりしてるけど、てっきりあずきの催眠術の効果だと俺は思ってたが、じつはかなりのテクニシャンなのかもな、俺って。

「あ……はあ……はぁ……はぁ……」

 ひく、ひく。痙攣は小さく収束していく。あずきはまだ呆然とした表情で、荒い呼吸をしている。
 俺は猛りきった自分のをひと撫でして、準備が出来上がっていることを確認する。
 そして、ソイツを思いっきり妹の顔前に突きつけてやった。

「……ひくっ」

 でっかい目をまん丸にして、瞳孔にペニスを描くという矢吹先生顔負けのテクニックで、あずきは喉を引きつらせた。
 真っ赤な顔にますます熱が帯び、頭から湯気でも上がってるみたいに見える。俺のオチンチンが生意気な妹を怯えさせていると思うと、凶暴な興奮に俺の体も熱くなった。

「口、開けろよ」
「ひ、ひくぅ!?」

 あずきはまた目を丸くして俺の顔を見上げる。
 平常時の俺なら、その不安げに潤んだ瞳や震える唇に罪悪感や保護欲をかき立てられただろう。
 だが、今の俺は兄貴にしてケダモノ。妹が、オンナの肉体をかぶった子羊にしか見えない。舌なめずりしながら見下ろす俺に、あずきは首をすくませる。
 そして、俺の視線から逃げるようにきつく目を閉じて――おずおずと、その唇を開いていった。

「く……くぱぁ」

 くぱぁ言うな。
 大きく開いたその口中はビビッドな色をしていた。
 ぷっくりした唇。つやつやの歯ぐきときれいな並んだ白い歯。ピンク色の舌は奥に引っ込み、縮こまって震えている。
 健康的で、じつに女子中学生らしいお口だ。
 しかし俺は今からそれを「口マンコ」と呼ばせてもらおう。
 妹ロマンな口マンコだ。兄貴ロマンを突っ込むのに、これほどふさわしい場所もあるまい。

「歯マンコ立てるなよ?」

 低い声で命令する俺にビクッとあずきは震えたが、とりあえず意味は通じたみたいで、おずきはプルプル震えながらさらに口マンコを大きく開いた。残念ながら俺のはそこまで太くないが。

「おにゅ!?」

 俺の先端が舌に触れ、あずきは変な悲鳴を上げた。反射的に閉じようとした唇が俺の幹を覆う。温かいものに包まれる快感。あずきは律儀にも歯を触れさせないよう、唇の形を変えてどうにか良いポジションを探そうとしている。そのモゴモゴした動きが微妙に気持ちよかった。

「んーっ、んーっ!」

 ゆっくり腰を進めると、あずきは眉を寄せて嫌悪感をあらわにする。みるみる顔も真っ赤っかだ。
 ふん、兄貴の珍宝を咥えさせられたくらいで大げさな。まあ、気持ちはすげぇわかるけど。俺ならゲ○吐いてるわ。

「んーッ……んーッ……」

 あずきの小せぇ頭を掴んで、むにゅむにゅした唇の中を往復する。
 マナーモードみたいな声を出して、あずきの喉が窄まる。
 唾液と一緒に俺のが吸われ、ぞくぞくとした快感が背中を駆け上っていく。

「んっ、んっ、んっ、んっ」

 腰のペースを少しずつ早めていった。
 あずきは相変わらず目をギュッとつむり、俺にされるがままだった。
 時々、「じゅるっ」と喉を鳴らし、口の中に溜まる唾液を飲み干す。こんなときでもヨダレを垂らす自分を見られたくないっていうシャレオツ系女子の嗜み。その軽い吸引がお前の口マンコを犯している兄にどれほどの快楽をもたらすのか知らずに。

「んーっ、んっ、んっ、んっ、んーんーっ」

 開くたびに「死ね」とか「うざい」とか生意気な言葉しか生産してこなかった妹のその口を、俺は今、犯しているんだ。
 すごい感動。なんという達成感。ハルパゴスさんの「ば~~~っかじゃねぇの」に匹敵するカタルシス。
 じゅぶ、じゅぶ。自分で腰を動かしながら、あずきの頭も前後に揺らす。喉の奥を突くたびに、ごりっとした感触とあずきの苦しそうな声が俺の先端を刺激して気持ちいい。
 ていうか、すっげぇいい。ひょっとしたら希のフェラや絵玲菜ちゃんのオマンコよりも。

「えぐっ、んっ、こほっ、んっ、んぶっ、んっ、んっ、んーっ、こほっ、んっ、えぐっ、んんっ」

 あずきを犯している。生意気な妹に仕返ししてやってる。どす黒い快楽が頭を麻痺させる。
 俺にやられっぱなしのあずきが、ポロポロ涙を零している。
 気持ちいい。最高に気分がいい。
 それがますます俺の嗜虐心を煽り、さらにコイツを乱暴に犯してやろうと――

「んぐぅっ、んっ、けほっ、ごほっ、んっ、んーっ、んぶっ、うぅっ、うぅっ、んーっ、ふーっ……ん?」

 動きの止まった俺を、あずきが片目で開けて見上げる。
 涙で濡れた頬が、怖々と疑問系を浮かべていた。

「こ、ここからはお前がやれ。俺の指示どおりにお前が俺を気持ちよくしろ。いいな?」
「……は?」
「いいから、やれ! ほら、口はもういいから手を使え!」

 ペニスでぺちんとほっぺたを叩き、強く命令する。
 あずきは何か言いたそうにしたが、結局は何も言わないまま俺のに手を伸ばし、両手で握った。
 そして、ゆっくりと擦っていく。前にも手コキをしてくれたこともあるし、コイツはすでにそのへんは経験済らしい。誰に教えられたか知らないが調教のしがいがない妹だぜ。せいぜいそのテクニックを兄のために駆使するがいい。
 あぁ、気持ちいい。十分に気持ちいいぜ。

「く、口はもういいの?」

 慣れた仕草で俺のを擦りながら、あずきは不安げな顔をする。
 俺は内心で舌打ちしながら無視をする。
 そんなのはもういい。今はイラマチオよりも手コキの気分なんだ。決して、妹が泣いたくらいでビビるようなチキンだからじゃねぇ。俺はケダモノの嵐だかんな。

「……あたし、下手だった?」

 なのにあずきは的外れなこと言って、またじわって涙を浮かべる。
 シコシコと擦る手は休むことなく器用にペニスを刺激して、俺はそっちに意識を集中してあずきとは目を合わせないようにする。

「いいから黙って擦れ。手でイカせれば許してやる」

 別に、あずきのことなんて俺はどうでもいいし。だいたい希の大好きな俺チンチンを、なんであずきなんかにしゃぶらせてやらないといけないんだよ。俺のチンポは恋人たちのモノだっつーの。
 妹はおとなしくママゴトみたいな手コキでもしてればいいんだ。つーかお前なんてまだJCだし実妹だし、俺様のを咥えようなんて10年早いし、法律的にも規制強化の流れだろが。何やらせんだよ、警察あんまり舐めない方がいいぞ。
 まったく、どうかしてたぜ。こんなガキにむきになってイラマチオなんて大人のケダモノらしくないっつーの。

「ぺろっ!」
「おぅふっ!」

 いきなり裏スジを濡れた何かで擦られた。
 あずきの小さな手の感触に集中していた俺は、不意打ちのような刺激に思わず声を上げる。
 舌だ。
 ピンク色のあずきの舌が、俺のアレの下で蠢いていた。

「ぺろっ、ぺろっ」
「ちょっと、あずき、何を、どぅふっ!」

 俺のを擦りながら、ぺろぺろと子犬みたいにあずきが俺を舐め上げる。
 手とリズム違いのその動きは、不器用ながらに俺の感じるポイントをきちんと狙ってきていた。

「うっ……はぁ、あずき、お前……ッ」
「んっ、れろ、れろっ、んっ、れろ、ぺろ、ぺろっ、ちろちろちろちろっ」

 ゆっくりと遠慮がちに動いていた舌は徐々に調子づいてきて、執拗に俺の裏スジを攻撃してくる。
 安定感のある手コキは相変わらずちょうど良い塩梅。どうしてお前は兄の好みを知ってるのかと聞きたいくらい。
 それにプラスしてこの舌だ。アイスを舐める子供みたいに捻りのない単調な動きなのに、やはり俺好みを知ってるかのように的確なポイントを刺激してくるものだから、とんでもない快感になって俺の腰を震わせる。
 バカな、この俺が妹なんかに。
 学校一の美少女を毎日のように抱き、そして今、アイドル界の未来を背負う少女の処女を奪ったばかりのケダモノ匠チンが、JCのド下手なフェラなんかにキャインキャイン鳴かされるわけがない。笑わせんな。

「ちゅーーーーーッ!」
「きゃいーん!?」

 先端に唇がつけられ、そのままキスするみたいに吸われた。
 そして尿道口をほじるようにあずきの舌が尖り、チロチロとそこを刺激する。暴れるペニスはギュッと優しく両手で拘束され、なだめるように擦られる。なのに舌に先鋭的な刺激は容赦なく俺のから快楽をえぐり出していく。

「ちゅっ、ちゅっ、れろれろ、ちゅっ、ちゅぱっ、れろれろっ」
「うああああああ」

 吸われる。舐められる。擦られる。
 あずきは忙しなく攻撃を変え、俺の弱点ばかりを責めてくる。 「どうだコノヤロウ、気持ちいいと言え」とばかりに強気なその愛撫は、あずきらしいといえばあずきらしいが、そもそもコイツは男にこんなことをするような女じゃない。どんなに惚れた男だろうが、フェラとか求められたら「死ね」って返すタイプだ。俺の知ってるあずきってのはそういう女。
 しかし何がどうしてこうなったのか知らないが、完全にあずきに火がついていた。俺を倒すつもりのフェラだった。

「ちゅっ、ちゅっ、ちゅぱっ、ちゅううううっ」
「くっ、ああぁっ」

 俺の股の下で、俺のチンポをしゃぶりながら、あずきはジッと俺を観察していた。
 まだ涙が溜まったままの瞳はうるうる濡れているくせに、俺の表情の変化を、ペニスの反応を、しっかり見て学習しようとしている。

「れるっ、れるっ、んっ、ちゅっ、はぁっ、んっ、ちゅっ、ちゅっ」

 あぁ、ガキんときのこと思い出した。
 あずきがこんな顔するのは、コイツの執念深い『負けず嫌い』が発動しているときだ。
 そうそう、あゆりちゃんだ。
 昔、近所のマンションにあゆりちゃんって子が住んでて、俺たちは兄妹ぐるみで仲良かったんだけど、例えば彼女と、かけっこして負けたときとか、あずきは自分が勝つまで毎日かけっこ挑んで俺たちをあきれさせてたっけ。
 あと、あゆりちゃんがすっげー美味しいお菓子作ってくれたときとか、ピアノ上手に弾いたりとか、めちゃくちゃ上手い絵を描いてみせたりとか。
 今にして考えるとあずきより優秀だった子って彼女くらいしか俺は知らないんだけど、とにかくいろんな才能を見せる彼女に、同い年のあずきはなぜか必死になって張り合ってたんだった。
 おとなしいあゆりちゃんは、そんなあずきにいつも困った顔してたっけなあ。
 妹のフェラ顔を見てこんな気持ちになるのも変な話だが、なんだか懐かしい気分になった。今にして思えば、俺の初恋って、希の前にあゆりちゃんだったのかも。
 そういや、いつだったかテレビで一緒に催眠術番組を観てたあゆりちゃんが、「これやってみようよ」って言い出して――……って、それからどうなったんだっけ?
 
「んんっ、ちゅっ、ちゅぶっ、んんんんっ!」
「くはぁ!?」

 あずきがとうとう俺のを飲み込んだ。
 めくれあがった唇が強い吸引力を見せて、一瞬にして俺の思考が持っていかれる。
 アレ? 俺、今なんか思い出してたような。なんだっけ? ガキの頃の? 女の子が二人?
 一人はあずきのような気がするが……なぜだろう、まるで記憶にフタでもされちまったみたいに思い出せない。もう一人の子は誰だ? 別の友だち? いや、従妹のトン子か?
 そうだ、トン子だよトン子。あのブス、元気かなあ。

「んっ、んくっ、んくっ、んくっ」
「くはぁっ」

 いや、親戚のブスのことより今は妹のあずきだ。
 両手でしっかり握った俺のチンポを、頭の前後運動でしごいている。さっきあんなに苦しがっていたくせに、もっともっと深く飲み込もうと、また涙目になって吸い付いている。
 なんでムキになってるのかさっぱりわからない。兄貴のチンポしゃぶりなんかを、一体誰と張り合ってんだよコイツ。

「はっ、はぁっ、ふぅ、んっ、ちろちろちろっ」
「うぅっ……」

 いったん口から抜いたそれを、右手で高速シコりつつ、舌で往復ビンタする。

「ん、んぷっ、じゅぶっ、ちゅぶっ、ぢゅぶっ、ぢゅぶっ、ぢゅぶっ」
「くはぁっ!?」

 かと思えば、いきなりディープなスロートで俺のペニスが引っこ抜かれるような強い刺激を与えてくる。

「ぢゅっ、ぢゅうっ、ぢゅっ、んっ、ぢゅぶっ、ぢゅぶっ、んっ、ふぅんっ、ぢゅっ、ぢゅっ、ぢゅっ」

 さっきまで喉突かれて泣いてたくせに、自分から喉奥まで俺のを飲み込もうと必死になっていた。
 あずきのちっちゃい顔に、よくそんなに入るなってくらい俺のが侵入している。絶対コイツ、無理してる。意地になってやがるんだ。

「ぢゅっ、ぢゅっ、んん~~~ッ!」

 だって、めちゃくちゃ涙目じゃねぇかよ。自分が何してんのかわかってんのかよ、このバカ。
 他の男にもこんなことすんのかと思ったらぶん殴りたくなった。ガキのくせに覚えていいことじゃない。自分のこと棚に上げなのは百も承知だが、ケダモノにも一寸の兄心がある。こんなことやめさせないといけない。
 俺はドスケベな妹の頭に手を挙げて―――

「……すっげぇいいよ、あずき。気持ちいい。だからもっとゆっくり味あわせてくれ」

 撫でてた。
 ガキのくせにどんだけ金かけてんだよってくらいサラサラできれいな髪を、指入れて撫でてた。

「――ちゅぽ?」

 戸惑うように動きを止めたあずきの口から、俺のチンポが音立てて抜ける。
 それでも俺は、撫で続けた。妹のきれいな髪を。

「ホ……ホントすげぇな、あずきは。フェラも上手なんだな。でもこういうの、焦ってヌくのは趣味じゃねぇ。お前の手コキみたいにじっくりねっとりやってくれ。俺、もう少しあずきのフェラを楽しみたいんだ。い、いいよな?」

 顔がめちゃくちゃ熱くなってる。
 何を言ってるんだ、俺。すっげ恥ずかしい。
 でも、効果はあったみたいだ。

「……ふにゃ……」

 気の抜けた変な声だして、あずきはトロンとまぶたを緩めた。さっきまでの気の張った顔がウソみたいにとろとろに崩れる。まるで催眠術にかかったみたいに。
 俺はそんなあずきの髪を撫で続ける。「くぅん」とか「ふに」とか気持ちよさそうな声を出して、あずきはモゾモゾと身悶えし始める。
 やがて俺のに手を添えると、ゆっくりと顔を近づけ、優しくキスをした。

「ちゅ……ちゅ……」

 俺の顔を見ながら、何度もついばむようにキスをする。
 擦るというより撫でるような手つき。キスというよりも、頬ずりするみたいに顔を近づけ、愛おしそうに俺のペニスに唇をつけていた。
 昔から、『負けず嫌い』を発動させて『かんしゃく』にまでなったあずきは、誰にも手をつけられない。おふくろが叱ろうが親父が殴ろうが、コイツは絶対に引かない。超ガンコなやつなんだ。
 でも唯一、俺がこうやって頭を撫でて褒めてやると、あずきはそれで満足したようにおとなしくなったんだ。
 もちろん俺たちが普通の仲良し兄妹だった頃の話な。まさか、まだこの手が効くと思わなかったけど。

「はふぅ……ちゅ……ちゅ……」

 ていうか、すげぇ顔してるんだけど。
 目がうるうるしてて、ほっぺたも真っ赤で、口元がだらしなく緩んでて。
 あのあずきが、大嫌いなはずの俺の前でこんな顔するなんて。俺の妹が、俺のチンポ舐めてこんな幸せそうな顔するなんてありえないんだ。
 でも、どう見てもこれ、発情してる顔だから。

「ちゅ……れろ、ちゅ……んっ、ふにゃ、くぅん、はぁぁん……」

 火照った唇に柔らかい舌。亀頭を撫でる小さな手。ぷにぷにした感触の頬。そして、とろっとろに蕩けた瞳。
 なんちゅー顔してんだ、あずき、おまえ中学生のくせに。
 これが俺の妹のわけがない。勉強もスポーツも何でも出来て、それどころか県内に名を轟かせるほど多分野にわたって優秀で、天才美少女ぶりが評判になりすぎてたまに警官が家に立ち寄るくらいなのに、そのくせ家では口が悪くて、調子のってて、俺のことバカにしまくって、兄の下につくなど絶対ありえないプライドの塊のあずきが、こんな、『妹が後から生まれてくるのは、先に生まれたお兄ちゃんのオチンチンにご奉仕するためです♪』みたいな顔して甘えるはずがない。

「ちゅ、ちゅぱ、れろ、えへ、ちゅ、れる、れろ、えへへ、れろ、れろぉ」

 なのに今、俺のチンポをデレ舐めしているのは間違いなくうちの妹だった。
 アイスキャンディをしゃぶる子供みたいに、夢中で俺のに舌を這わせ、幸せそうな吐息を漏らす。さわさわとくすぐるように俺のを撫で、舌で濡れた幹に頬を擦りつけ、熱い息で陰毛をそよがせる。
 我ながら決して上品とはいえない形したオチンチンに、妹の美少女顔が媚びて甘えている。快感よりも何よりこの光景が俺を興奮させていた。
 ひょっとして、母ちゃんに見つかるたび泣く泣く処分してきた俺の美少女マンガコレクションたちの霊が、今のあずきに憑依しているのだろうか。それぐらい信じられない光景だった。

「れる、ちゅ、ちゅう、ちゅっ」
「うあっ、そこ……ッ」

 先端にキスの雨を降らせながら、あずきの手は俺の袋を優しくこねている。
 さっきの強引なフェラと違い、じっくりと楽しませる優しさで。まさしくそれは、俺がさっきあずきに命令したとおりに。

「んっ、んっ、れろっ」
「くっ……それ、やべぇ」

 ぱくっと先っちょを咥えて、れろれろと舌を転がす。
 口内でねっとりと絡まる感触はまるで熱々のシチューをかき混ぜてるみたいで、うっかり出しちゃいそうになって尻を締める。
 俺のその反応で快楽の尺度を測ったあずきは、少し舌のペースは緩めながら、手でさする動きをプラスしてくる。
 決してこの快楽は途絶えることない。でも、俺を「じっくりねっとり」楽しませるために妹はいろいろ考えてくれている。
 本当にコイツ、どこまで勘がいいんだ。どこの誰にこんなこと習ったんだ。妹の男関係に口出すようなみっともない兄貴にはなりたくないが、さすがにこれをどこぞの馬の骨に味合わせるなんて俺は――

「おぅふっ!?」

 俺の玉袋をこねていた指が、さらに奥へ潜ってくる。
 そして、俺のバージンホールをくりくりとイジり出していた。

「あ、あずき、おま、そんな……あぁっ!」

 汚いとこ触るんじゃねぇよ。
 そう言おうとした俺の尻穴に軽く指を侵入させ、くすぐってくる。
 あまりの衝撃に歯を食いしばる。そして、自分のペニスがビンビンと震えるのを見る。

「(にっこぉ♪)」

 あずきは満面の笑顔を浮かべた。
 不覚にも、俺のアヌスに指を突っ込むなどという蛮族の所業をやらかしてる妹だということすら忘れ、俺は――可愛いと思ってしまった。

「んっ、れろ、れろ、れろぉ」

 リズミカルに、楽しそうにあずきの舌が踊る。
 『思いきってお兄ちゃんのアナルをいじってみたら、予想以上に喜んでもらえて嬉しいです♪』とでも言いたいのかと、詰め寄りたいほど楽しそうに。

「ちゅ、ちゅ、んっ、ふふっ、れろ、ちゅっ、ちゅくっ、んっ、んっ」
「くっ、はぁっ」

 前と後を同時に愛撫されて、俺はもう何も考えられなくなる。
 希や絵玲菜ちゃんにまで愛されたこの俺のイケメンペニスが、中学生の妹ごときに翻弄されるなんて。
 でももう、そんな兄の意地などどうでもいい気分だ。
 気持ちいい。やっべぇくらい気持ちいい。
 射精を迫るような性急さはなく、絶えず様々な快楽を創造し、そしてどっぷりと身を任せられる安定感あるこの愛撫を前に、あれこれと悩むのは非常にもったいない。
 出来ることなら、ホント出来るならでいいんだけど、あずきを股間にぶら下げて学校通いたい。
 そんな妄想しちゃうくらい、俺はあずきのフェラが好きになっていた。

「れろっ、れろっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ」
「あぁ……はぁ……」
「ちゅるっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅくっ、じゅぶっ、じゅぶぅ」
「うっ、あ、いい……」

 妹の禁断の蜜に溺れて沈んでいく。
 腰から下が溶けちゃうような感覚に、思わず身震いして腰をあずきに押しつけていた。

「もふっ!? んーっ、んふっ、ちゅぷっ、こくっ、こくっ」

 いきなり乱暴に突っ込まれても、あずきは慌てず俺のを咥えこみ、喉の奥でキュッと締めつけながら、コクコクとさらに奥へと誘う飲み込み動作した。
 先端をキュウキュウされちゃうその快感に腰を引いて逃げる俺を、今度は舌でチロチロと撫でて見送りながら、「またいつでもおいで」とばかりに優しく尿道口にキスをする。
 泣きながらチンポしゃぶってたあずきはもういない。もはや貫禄すら感じさせるフェラである。
 
「あぁっ、んっ、ちゅっ、ちゅぷっ、れろっ、れろぉっ」

 両手を添えて愛おしげに俺のに奉仕する妹の髪を、軽く撫でてやる。
 あずきはうっとりと表情を蕩かせ、舌の先を震わせて気持ちよさそうな声を出す。

「てへっ、くぅん、ふっ、あっ、ちゅっ、あんっ、ちゅっ、ちゅっ、れろ、れろっ」

 身悶えしながらフェラを続けるあずきは、チンポ舐めるだけで快感を得ちゃってるみたいで、ますます顔に赤みが増し、吐息をエロく甘くしていく。

「んっ、ふぅ、んっ、んっ、んんんっ! あぁ、あ! んっ、ちゅっ、ちゅぷっ!」

 そして、だんだんとフェラ自体も情熱的になってきて、俺の擦る手も汗で湿っていく。
 高まっていく体温が口内を熱くして、俺のに伝わってくる。
 やばい。気持ちいい。ていうか、あずきがますますエロくなっていく。

「あぁ、あぁん! あっ、ちゅっ、あん! あっ! ちゅ、ちゅ、あっ! あぁ!」

 ひょっとしてコイツ、チンポしゃぶりでイッちゃうんじゃないの?
 あずきのエロい顔に触発されて俺も高まっていく。自分から腰を動かし、あずきの美少女顔に擦りつける。先走り汁と自分の唾液にてろてろになったあずきは、うっとりと瞳を濡らして甘い声をあげる。
 これ、やばい。すげえエロい。
 もう妹と一緒にイッちまえ。兄だとか近親相姦とかそういうの、イッてから後悔しとくわ。
 チンポを唇に擦りつける。舌を出したあずきになすりつけ、「あんあん」エロい声出すあずきの顔を犯す。
 イク。これマジでリットル級の精液出る予感。
 ビンビンに痺れる腰を妹の顔面に押しつけ、俺はじきに達する最高レベルのヘヴン状態に向けて必死に腰をカクカクと――

「あっ!? あっ! やだ、なんで!? なにこれ、あっ、あっ、あぁぁぁぁあああぁぁぁッ!?」
「え? あ、あずき?」

 ビクン、ビクン。
 あずきの体が俺の股下で痙攣し、ぐったりと沈んだ。
 うつろな瞳は完全にアクメで、軽く意識もとんじゃったみたいで名前を呼んでも反応しなかった。
 いやいや、さすがにそれはないっしょ。フェラで失神エクスタシーなんて、エロマンガでも失笑ものだぞ。
 だが、確かにうちの妹はイッていた。ていうか、兄がまだイッてないにも関わらず、勝手にその域まで達していた。
 おいおい誰だよ、ひとんちの妹をこんな牝豚に調教しやがったのは。けしからんな!
 と、そこで後ろを振り返ると、見覚えのある縞々模様をかぶったツインテールがあずきの股間で揺れていた。

「くっふっふっふっ。ちょっとクリちゃんしゃぶってあげただけでイッちゃうなんて、あまり自分でイジったことないのかしら。しかもこの味、間違いなく処女! う~んっ、やっぱり美少女は中学生が旬ですねぇ、匠さん♪」

 ぺろ、と唇を舐めながら顔を上げたのは、さっきまで俺の抱いていた美少女アイドル大藤絵玲菜ちゃんだ。
 いつの間に着直したのか制服はきちんと整い、前屈みに微笑むポーズはまるっきりグラビアみたいでドキンとときめくんだけど、なんだか女子とは思えぬ聞き慣れない言葉を口走ってたような気がしたのは、俺だけだろうか?。

「さてさて、いい感じにマンコも暖まったみたいだし、そろそろ服でも剥いちゃいますか? ていうか、すでに私が勝手に剥き剥き始めちゃいましたけどね! いやー、だってあんなに甘々なイチャエロご奉仕を見せつけられたら私もクリちゃん勃起ボキですよ~。ささ、妹ちゃんが目を覚ます前にパパパっとひん剥いて、まんぐり返してケツ穴晒しちゃいましょっ、うひ~!」

 乱れたあずきのスカートはとりあえず大事な部分だけなんとか隠れている状態で、どう見ても「はいてない」のは明らかだった。
 つーか、え、これ絵玲菜ちゃんが? どうして絵玲菜ちゃんがあずきのパンツ脱がせてペロペロしてんだ? うん、いや、どうなんだ? これ大藤絵玲菜か? え、あのアイドルの大藤絵玲菜? なになに、この子、まんぐりがどうとか言ってなかった?
 猛禽類のように爪を立ててあずきに伸ばしてくる手を、反射的に払いのけていた。
 本能が危険を感じたからなのだが、アイドル大藤絵玲菜の皮をかぶった何かは、アイドル大藤絵玲菜のベビーフェイスを可愛く膨らませて、抗議じみた視線を俺に向ける。

「もー、何するんですかー。匠さん、やっぱり私のこと除け者にしてるぅ。私のはじめての『男』になったくせに、ほったらかしにして妹にまで手をつけちゃうなんて悪い人ですねー。うふっ、でもそういう節操のないとこ素敵です♪ 美少女に目がないとこも、すっごく共感できちゃいますっ。あのですね、じつは私も……1日1美少女は食べないと死んじゃうタイプなんです~♪」

 頭が混乱してよくわからない。
 この子、何を言っている? うちの妹に何しようとしてんの?
 確かにケダモノの血が騒いで妹を押し倒してから記憶が曖昧だし、ほったらかしにしてたのは俺が悪いんだけど……でも、なんか違くない?
 これが俺の大好きなアイドルさんなの?

「だからぁ、いくら匠さんの妹とはいえ独り占めはナシですよぅ。美処女の愛液なんて不老不死の霊薬じゃないですかぁ? 天使のお小水じゃないですかぁ? 私も飲みたい飲みたいですぅ~! 匠さんが教えてくださった男性とのセックスは確かに天にも昇る快感でしたが、やはりそれはそれ、これはこれ。私ことレズ菜ちゃんには天然美少女の定期補給が必要必須の必死必然なのです。さあ、匠さん! 一緒に妹ちゃんをまんぐり返して両足広げさせ、いつものセリフで決めてやりましょう。『NNPの私ですら、こんなスケベなツインテールは見たことなくってよ』って!」

 どこで決まるので、そんなセリフ……。 
 ハイテンションとオーバーリアクションでまくしたてられる変態的な発言の数々に、俺は圧倒されていた。
 というより、完全に置いてけぼりを食らっていた。
 俺の理解をはるかに超える彼女に。
 催眠状態でもアイドルとしてでもない、初めて出会った『素顔の彼女』に。

「どうしました、鳩がお豆ちゃんをしゃぶられたような顔をして……? あっ、そうでした、まだ私の“裏自己紹介”がまだでしたね! 私ったら初カレの前で舞い上がっちゃって、大事なご挨拶を忘れてましたっ。てへ、ゴメンなさいっ!」

 裏自己紹介?
 聞き慣れないこと言いながら絵玲菜ちゃんはベッド脇に立ち上がると制服の乱れを直し、コホンと咳払いして、そして胸の前でハートマークを……いや、なんかちょっと複雑で卑猥な手の組み方してから、満面の笑顔を浮かべる。

「貝アレルギーだけど、アワビ大好きー♪ 男女交際禁止の業界に舞い降りた絶対正義のレズビアン。アイドル、美少女、お姉さん、きれいな人なら誰でも食べたい腹ペコアイドル野獣系♪ 大藤絵玲菜、あだ名はレズ菜の17才。男に興味はないけれど、芸能界を私のメス牧場にするまでアイドル頑張っちゃうんだにゃん♪ どうぞよろしくお願いしまーす!」

 身振り手振りのオーバーアクションを織り交ぜ、最後に握った拳の間から親指を突き出し、さらに小指を立て、それをひらひらと振って素敵なアイドルスマイルと可愛らしいポーズで決める絵玲菜ちゃん。
 よくあるアイドルの定番、萌え萌え自己紹介だった。ただ、あまりにも内容が酷すぎて頭に入ってこなかった。
 というより、理解を拒否していた。ものすごい勢いで脳が現実と戦っていた。
 がらがらと崩れ落ちようとしている絵玲菜ちゃんの虚像を必死に支えて石となる俺の前で、当の彼女はあごに指をあて、オレンジと白の縞々をかぶった頭に疑問符を浮かべ、きょとんと可愛らしく首を傾げる。

「あの、私の顔に何か付いてます?」
「ていうかあなたのかぶってるそれ、うちの妹のパンティですよね?」

 大藤絵玲菜。通称レズ菜。17才。
 国民的アイドルグループNNP48の主要メンバーにして、次期センターとの呼び声も高い清純派の期待株。
 やがてNNPセンターの座に着いた彼女は、その恐るべき性癖と貪欲により『西日暮里の妲己』と呼ばれるまでに業界を食い散らかし、数年後には若き女帝として芸能界に君臨することになるのだが、このときの俺たちはまだそのことを知らない。
 今の俺にわかっているのは、アイドルなんてやっぱり本当の姿を知るもんじゃないってことと、今日の俺とあずきの催眠悪巧みがイイ流れで終わろうとしていると思っていたのは勘違いだったってことと、今からこの変態ガチレズのせいで波乱の第2ステージが幕開けちゃうぞってことだけだった。

< つづく >

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