第二話
「ねえ芹華。相談したいことがあるんだけど、いい?」
授業が終わって帰る準備をしていると寺島遥に声をかけられた。遥から相談を持ちかけられるのはなんだか久しぶりな気がする。前はよく遥の悩みを聞いたものだったが、ここ最近の遥は妙に付き合いが悪くなんとなく距離を置かれているような気がしていた。何かあったのかと尋ねても何でもないと言うばかりで取り付く島もない。自分を曲げてまで人と仲良くする必要はないというのが信条だが、幼いころからの親友である遥との友情が失われていくことは歯がゆく思っていた。これは関係を修復するいい機会かもしれない。
「相談? いいよ。それじゃ、うちに行こうか」
「ううん。それよりもっといい場所があるの。ついてきて」
「えっ、ちょっ、待ってよ!」
遥がこちらの返事も待たず歩き出したので慌てて追いかける。
「ねえ? どこに行くの?」
「いいからついてきて」
これが相談を持ちかけてきた方の態度だろうか。思わずむっとする。久しぶりにゆっくり話がしたいからうちが良いと思ったのに、一体どこへ連れて行くつもりだろうか。
遥の変化は付き合いが悪くなったことだけじゃない。前は内向的でいつも言いたいことを我慢しているような子だったのに、まるで自分を見ているかのようにあけすけな物言いをするようになった。男子からの誘いをうざいと一蹴した時には中身が変わってしまったのではないかとさえ思ったくらいだ。
ローファーに履き替えて外に出る。遥は人通りの少ない山側へ歩きながら、こまめに立ち止まっては妙に辺りの様子を気にしている。様子のおかしい遥に少し不安を感じながらも黙ってついていくと旧校舎が見えてきた。遥はずんずんと旧校舎の方へ歩を進める。途中から予想していた通り良い場所とは旧校舎のことだったらしい。今は物置として使われていてめったに人が出入りすることはないので確かに邪魔は入らないかもしれないが、入り口には鍵がかかっているはずだ。どうするつもりだろう。
私の疑問をよそに、遥は昇降口にたどり着くとポケットから鍵を取り出した。
「えっ、ちょっと。なんで鍵なんか持ってるの?」
「先生から借りたの」
それだけ言うと遥は鍵を差し込みロックを解除した。そのまま扉を開けて中へ入ると、入り口で立ち止まっている私を不思議そうに見る。
「どうしたの芹華? ついてきて」
今日の、いや最近の遥はおかしい。
私の知っている遥はおとなしくて、こんな強引に物事を進めるような人間ではなかったはずだ。不安が胸をよぎる。学校でも二人きりで相談できるような場所はあるのにわざわざこんなところまで来る必要はないはずだ。誰か他の人間が中で待っているんじゃないだろうか。ただでさえ人通りの少ない上、旧校舎の中に入ってしまえば助けを呼んでも届かないだろう。遥が私をはめようとしてるなんて思いたくないが、いくらなんでもこの状況はおかしすぎる。
踵を返して学校に戻ろうとした私を遥が抱きとめた。
「お願い芹華。芹華しか頼れる人がいないの」
「…………わかった」
ほとんど涙目になって懇願する遥に私の心は折れた。ここで帰ったら一生修復することのできない溝が残るかもしれない。大丈夫、遥が私を罠にはめるようなことするはずない。遥を信じよう。悩みがあるって言っていたじゃないか。多分、今の遥は情緒不安定になっているだけなんだ。
◇
旧校舎2階、かつては2年生が使用していた部屋に遥と芹華が入ってきた。二人は放置されていた机に腰掛ける。
「それで、相談って?」
芹華がウェーブのかかった髪をかきあげる。長い足を組み、後ろ手をついた姿はモデルの様にさまになっている。
「うん、あのね……」
芹華が遥の話に気を取られてるうちに僕はそっと教卓の影から抜け出した。足音を立てないよう背後から芹華に近づくとポンと肩を叩く。
突然肩を叩かれた芹華は「きゃあ!」と悲鳴を上げた。大きく目を見開いて振り返る芹華の肩をつかむと、すっとライターの火をかざした。
「芹華さん! この火を見て!!」
「えっ、あ……」
不意をつかれた芹華の目がライターの火に釘付けになる。小刻みに炎を揺らしながら言う。
「炎が揺れる。揺れる……。なんだかぼーっとしてきた。頭がしびれるような気がする」
芹華の眉間にしわが寄った。わずかにまぶたが垂れ下がる。
「頭がしびれる。もう何も考えたくない、考えることがめんどうくさい……。だんだんと体から力が抜けてきた。まばたきさえ出来なくなる。さあ、目を閉じてしまおう……」
芹華は抵抗するようにまぶたをぴくぴくとさせていたが、やがてゆっくりと目を閉じた。
「目を閉じると楽になった。芹華さん、あなたはもう何も考えることが出来ない。考える必要もない。なぜならあなたは今催眠状態だからです。催眠状態になるとあなたは凄く気持ちよくなれる。なーんにも考えなくていい、すごく楽な気持ちになれる」
芹華の口元が心なしか緩む。
「催眠状態のあなたは、僕の言葉だけが理解できる。僕の言葉が君の全てだ。僕の言葉の通り、どんなことでもするし、どんなものにでもなっちゃう。だってそれが君の全てだから。わかるね?」
「はい……」
芹華は催眠術に堕ちた。ここまでわずか1分。どうやら僕の腕は驚異的に成長しているらしい。
◇
「よくやってくれたな、遥」
芹華を椅子に座り直させると、僕はとなりで呆けたようにしていた遥に声をかけた。
彼女には初めて催眠に落として以来何度も催眠実験に付き合ってもらっている。遥に様々な暗示を与えることで催眠を深化させ、僕も実践を通して催眠術の腕を磨いた。おかげで今ではほんのわずかな時間で相手を催眠に落とせる程になっている。
遥を最初のターゲットにしたのは学年屈指の美少女ということもあるが、何より気難しい芹華が唯一心を許しているということが重要だった。芹華の周りには芹華を仲間にしてステータスを上げようとする人間が絶えず、中々二人きりになる隙がない。そこで芹華の親友である遥に目を付けた。まずは遥を操り人形にして芹華を誘い出す手引をしてもらうというわけだ。遥は僕の催眠奴隷であり催眠術の助手でもある、というとこかな。
ぐったりと頭を落とした芹華のあごに手を当てると顔を持ち上げる。
「芹華、お前は僕が手を離すと意識を取り戻す。だけど催眠が解けるわけじゃない。僕の言葉ひとつでまたすぐに催眠状態に戻っちゃう。いいね? ……目が覚めても手足がカチコチに固まってしまって動かすことが出来ない。首から上しか動かすことが出来ない。普段ださないような大声もだせないよ。さあ、目を覚まして」
「う、うぅん……」
すっと手を引くと芹華は眠たそうに目を開けた。まだ焦点の合わぬ目でこちらを見上げる。
「あ、あれ……桑田……? ちょっと、何これ!? えっ、そんなっ、何で。どうなってるの!?」
異常な状況を察した芹華が叫び出した。身体が動かないことに気づくとますますパニックになる。
「おはよう芹華ちゃん。君には催眠術をかけさせてもらいました。覚えてないだろうけどね。体、動かないでしょ?」
「はあ!? 催眠術? あんた何言ってんの!! 誰かたっ、ぁ……ぅ」
「無駄無駄。大声は出せないよ。そういう暗示を植え付けたからね」
「そんな……嘘でしょ……?」
「信じられない? それなら信じられるようにしてあげようか。おいで、遥」
「えっ!?」
芹華の死角にいた遥が僕のそばにやってくる。能面のような顔の遥の髪を撫でながら言う。
「こんなところに連れて来られておかしいと思ったでしょ? 彼女は僕の助手の遥ちゃん。君をおびき出すのに協力してもらいました。彼女は君よりも前に催眠術にかかって僕の言いなりになっちゃってます。さあ遥、芹華に自己紹介して差し上げろ」
「はい……。遥は……やすし様の操り人形1号です…………」
「うそ……。遥! しっかりして! 目をさまして!!」
親友の言葉にも遥は何の反応もしない。催眠状態の彼女にはもう僕の言葉しか届かない。
「芹華ちゃんに催眠術の力を見せてあげよう。遥、スカートをめくってパンツを見せるんだ」
遥はスカートの裾を摘むとすっと持ち上げた。レースに覆われた水色のパンティがあらわになる。
驚愕する芹華の前でさらに命令を重ねる。
「よしよし。次は鼻くそをほじくって食べるんだ」
遥は右手の人差し指を鼻の穴に突っ込んでぼりぼりと鼻をほじりだした。指を引き抜くとそのまま口に含んでなめしゃぶる。今度は左の穴に指を突っ込んで鼻をほじくった。
「はるか……」
目を背けたくなるような親友の痴態に芹華はもう声も出せないようだ。今にも泣きそうな顔になっている芹華に僕の嗜虐心が疼く。もっとやってやろう。
「遥、お前は薄汚いゴキブリだ。このきったない床を這いまわって餌を探すんだ」
遥は鼻をほじるのを止めビタっとうつ伏せになるとしゃかしゃかと床を這いまわり始めた。本物のゴキブリさながらに手足を素早く動かして前へ進んでいく姿は正直かなり気持ち悪い。遥のような美少女でさえこれなんだから、あの黒くてギトギトした生物が嫌悪されるのも当然だなと妙な納得をする。ゴキブリになった遥は荷物の隙間などやたら狭いところを通りたがるので制服がホコリまみれになっていく。親友の哀れな姿に耐え切れなくなった芹華の目から涙がこぼれ落ちた。
「お願い……もうやめて……わかったから…………」
「そうかい? それならよかった。遥、もういいぞ。動きをとめるんだ。そのままゆっくりと眠ってしまおう」
遥は教室の隅で動きを止めると、顔を床に伏せたまま眠りに落ちた。
「さてと、じゃあ次は芹華ちゃんの番だ。先に宣言しておこう。君はこの後僕に処女を奪われる。そして、僕のことが大好きになって自分から彼女してくれと頼むようになる」
「いや……やめて……!」
「やめません。それじゃ、あなたは催眠状態に戻りますよ」
恐怖で顔を歪める芹華の肩に両手を置いて円を描くように揺らすと、芹華はすぐに催眠状態に戻り再び頭を垂れた。
さて、存分に堪能させてもらおうか。
「立て、芹華」
芹華がゆっくりと立ち上がる。ぼんやりと開いたその目はうつろで頭がふらふらとゆれている。口が半開きだ。先程まで恐怖に震えていた美少女はもうどこにもいない。
「芹華、服を脱いで裸になるんだ」
僕が命令すると芹華は何のためらいもなく服を脱ぎ始めた。ソックスを脱ぎ、ネクタイをほどいてブラウスのボタンを一つづつ外していく。そのままブラウスを脱ぎ捨ててブラジャーも外すと、遥より一回りほど大きい胸がぽろんと転がり出た。ファスナーを開いて下着ごとスカートを下ろすと薄い毛で覆われた秘所があらわになる。下着から足を抜き取ると芹華は一糸纏わぬ姿となった。
透き通るような白い肌。支えられずとも垂れ下がることのない豊かな胸。きゅっと引き締まった腰からは細く長い足が伸びる。
高校生とは思えぬほど成熟した見事な肢体に思わず息を飲む。無意識のうちに伸びた両の手が芹華の胸を揉みしだく。片手に余るほどの胸はマシュマロのように柔らかく、弾むようなハリがある。胸が潰れるほど力を込めても芹華は顔色一つ変えない。興奮のままに僕はさらなる暗示を与える。
「芹華、パイズリをするんだ。お前の大きなおっぱいで僕を楽しませろ」
芹華は屈みこむと僕のベルトを外し、ゆっくりとチャックを下ろした。下着をずらし僕のイチモツを取りだすと、その豊かなふくらみで挟み込んだ。両手を使い、ゆるやかに、時にはげしく胸を揺さぶる。芹華の手で無造作に変形する胸からは強い弾力が返ってくる。この見事な攻撃に僕はすぐイってしまった。芹華の胸元に大量の精液が放出される。
「ああ……舌をつかって全部なめとるんだ」
芹華は両手で胸を寄せると、谷間に溜まった精液をきれいに舐めとった。イチモツに残ったそれも芹華に処理させる。
「もういいぞ芹華。そこの流しで口を洗ってくるんだ」
クリアになった頭で次のことを考える。おそらく、30分もあれば精力が戻るだろう。それまでちょっと遊ぶことにしよう。
戻ってきた芹華の頭を抱え込むと、耳元でささやくように言う。
「芹華、お前はもう自分が何者であるか全く思い出すことができない。人であることさえ忘れてしまう。何もかも思い出せない。だけど、僕の言葉が全て正しいことだけは覚えている。だから、僕が手を叩くと君は何でも言われた通りのものになってしまう。ほら、君は世界一有名なバレリーナだ。たくさんのお客さんの前で、自慢の踊りを見せてあげよう」
僕が手を叩くと、芹華は両手を大きく広げ弾むように回りはじめた。回転するたびに胸がぶるんぶるんと左右にゆれる。回転の勢いのままに高く跳び上がると両手を高々と掲げ空中で大股を開く。しかし見事な動きだったのはここまでで、着地に失敗するとすっころんだ。すぐに立ち上がるとがに股になってつま先でステップを踏み始める。優雅からは程遠い、まるで出来の悪いコントのような動きだ。背をそらし右足を高々と掲げると秘所の割れ目が覗く。
たっぷり10分程も鑑賞したか。芹華は激しい動きに顔を真っ赤にし、汗をびっしょりかいている。それでも休まず踊り続ける芹華に次の命令を与える。
「あれ、どうもおかしいな。やっぱりバレリーナじゃなかったような気がする。そうだ、ニワトリだ。君はニワトリだった。野生に戻って元気いっぱい駆け回ろう」
「コケーッ!!」
僕が手を叩くと芹華は奇声を上げた。前かがみになると手をバタバタと振り回し、部屋を縦横無尽に駆けまわる。手を振り回すたびに胸が激しく揺れた。
「コケーッ! コケコッコー!!」
外の人間に聞こえてしまうんじゃないかと思うほどの大声で芹華は鳴き声を上げる。ときおり口をニュっと突き出して餌をついばむような仕草をするので、試しに落ちていたほこりを差し出すと躊躇なく口にした。芹華は口をもぐもぐと動かした後、ごくりと飲み込んだ。再び奇声を上げて動き始める。その目はあらぬ方向を向き、完全に正気を失ってしまっている。いつもの知的な美少女の姿はどこにもない。完全に野生の動物になりきってしまっている。
「コケーッ! コケエェェ! コキャー!!」
芹華は奇声を上げ続ける。いい加減誰かに聞かれるんじゃないかと不安になってきたので別のモノに変えることにした。何か、遥で試したことがないものにしてみよう。そうだ、生き物以外になるよう命令したらどうなるのだろうか。面白い、やってみるか。
「芹華、お前はルンバになる。あの、勝手に動いて床を掃除するやつだ。この部屋は汚いから一生懸命掃除をしよう。今スイッチが入ったぞ。はいっ!」
ニワトリになっていた芹華はぴたりと動きをとめると床にうつぶせになった。腕を水平に広げるとカエルのように足を使って前に進み始める。これが芹華流の“ルンバ”らしい。勢い良く頭をゴンとぶつけては向きを変えて再び動き始める。自分の体をいっぱいに使って床を拭き続ける芹華の盛り上がった尻を見ていると股間がムズムズしてきた。どうやら精力が戻ってきたらしい。そろそろ本番に入ろうか。
「芹華、動きを止めろ。意志のない人形に戻るんだ」
ピンと腕を張っていた芹華の全身から力が抜ける。
「流しで体を洗って来い。遥、起きろ。体を拭くのを手伝ってやれ」
その間に僕は制服を脱いで全裸になった。身体を拭いた芹華が戻ってくると、新たな暗示を与える。
「芹華、お前はセックスが大好きな色情魔だ。頭の中はエッチなことでいっぱいで、男とヤることばかり考えている。ここ最近はご無沙汰だったから体中が疼いて仕方ない。さあ、目の前の男と思いっきりセックスをしよう。お前は僕に触れるだけでオナニーよりももっとずっと気持ちよくなることができる」
とろんとしていた芹華の目に意志の光が戻る。こちらを見ると頬を赤く上気させ、目をうるませた。舌なめずりをする。額がぶつかるほど顔を近づけると勢い良くやわらかい唇を押し付けてきた。口を開いて迎え入れるとむさぼるように舌を絡ませてくる。そのまま芹華を床へ押し倒した。
「あっ……!」
僕に触られるだけで芹華は敏感に反応した。左手で胸を揉み、右手でクリトリスを刺激してやると芹華は身悶えする。
「ああっ!!」
クリトリスを剥くと体を大きく震わせた。すでに乳首は勃起している。
その後もたっぷり手と舌で愛撫してやると芹華の秘所はまるで洪水のようにびちょびちょになった。
芹華がイってしまいそうになったのでいよいよ挿入することにする。
「芹華、これからお前のあそこに僕のイチモツが入ってくる。僕のモノが入ってくるとお前は今まで感じたこともない、すっごくいい気持ちになれる。痛みなんかどうでも良くなっちゃうほど、いい気持ちになれる。だけど僕がイクまではお前もイクことが出来ない。イクときは二人一緒だ」
ゆっくりと芹華の膣に僕のモノを挿入する。
「はあぁ……!」
芹華は笑みを浮かべる。初めてで痛いはずなのに芹華の顔には純粋な快楽のみが満ち溢れていた。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
僕が腰を動かすたびに芹華の口から大きな声が漏れる。白目を向き今にも気絶してしまいそうだ。僕の言葉がなければとっくにイっているだろう。
それでもかまわず腰を動かし続けると芹華は口から泡を吹いて痙攣しはじめた。僕ももう限界だ。
「せ、芹華! 出すぞ! 僕が出すとお前もイクことができる!! ……うぅっ!」
「ああああああああーーーーーーー!!!」
僕のものが芹華の中に注ぎ込まれると、芹華は僕を突き飛ばすほどの勢いで背を反らし絶叫した。そのままガクリと動かなくなる。
性欲から開放されけだるい満足感と虚脱感に襲われる。ああすっきりした。今日はもうこれくらいでいいだろう。
白目を向いたまま気絶している芹華の処理を遥に任せると、僕は服を着直した。
片付けを終えた遥にマッサージをさせていると、芹華が目を覚ました。再び催眠状態に戻し服を着させると最後に暗示を植え付ける。
「芹華、お前は僕のことが大好きだ。好きで好きで仕方がない。どうしても恋人になりたい。僕と付き合えるなら何だって言うことを聞いちゃう。お前は告白するために、僕を旧校舎に呼び出したんだ。授業が終わってからのことは何にも思い出すことが出来ないが、そんなことはどうだっていい。さあ、目を覚まして」
芹華はぼんやりと目を開けた。僕と目が合うと、顔を真っ赤にしてうつむく。
「どうしたの南條さん? こんなところに呼び出して。話したいことって何なの?」
芹華は何度かチラチラと僕の方を見ては恥ずかしそうに顔を伏せた後、意を決したように顔を上げた。
「あ、あの、桑田くん。私、その…………桑田くんのことが好きです! つ、つきあってください!!」
体を90度以上折り曲げて深くお辞儀する。垂れ下がった髪の間からのぞく耳は真っ赤になっていた。
「うーん、ま、芹華ちゃんならいいかな。彼女にしてあげるよ」
「ほんと!? ……やった、うれしい……」
芹華は涙を流し始めた。泣きたいのはこっちの方だよ、ほんとに。
やっぱり催眠術の力ってすげー!
「でも、学校では付き合ってることは内緒にしておこうね。嫉妬を受けるとめんどくさいからね。遥ちゃんだけだよ、言っていいのは」
「う、うん。わかった」
「じゃ、帰ろうか」
僕が右手を差し出すと芹華は腕を絡めてきた。豊かな胸の感触が伝わる。
こんなに素敵な彼女がいるなんて、多分僕は学園で一番幸せな人間だろうな。だけど、他にも何人か気になる子はいる。遥と芹華を堕とすとその子たちもモノにしたくなってきた。遥だけでなく芹華も使えば催眠に堕としていくのはもっと楽になるだろう。僕は次のターゲットを考えながら家路についた。
< 続く >