被験者の記憶集2

 会社員:アキ(24)

 6月××日(火)

 

 

 暇だった。きっかけは暇だったこと。

 普段からそれなりの頻度で、通話で催眠の相手してもらってた通話版セフレがいるんだけど、簡単に言うとマンネリ化した。

 もともとお互いに固定ってわけじゃないし、新規開拓することにした。

 ってことでネットをウロウロしてたら目に留まったのがディーシーってハンドルネームの人。男性で対面でのエロ込みで催眠をやってるらしく、また珍しいのが『本番なし』って明記してること。

 活動範囲も同じみたいだし、興味を惹かれてコンタクトを取ってみた。平日でも可なのがシフト制の私にはありがたかった。

 平日の日中。ホテル街で直接合流は少し恥ずかしいのもあり避けて、2駅隣で合流してから移動。

 雑にホテルを選んで3時間で部屋を取った。

 んでこのホテル、やたら衣装レンタルが充実してた。しかも同時に5着まで借りれるらしい。

 メニューをペラペラとめくった後、その場の思い付きで、「これ(衣装レンタル)使ってなにかしてみてください」と無茶ぶりしてみた。

 断られたら断られたでいいんだけど、ディーシーさんはメニューを一通り見てから快諾してくれた。

 なにをするのか聞いてみたけど、「後でのお楽しみ」と断られてしまう。

 んで、「プレイの一環として写真を撮ってもいいか」と聞いてくる。少し抵抗はあったけど『絶対にアップロードしないように、使うなら個人で』との条件で許可した。私から声を掛けたんだから、全部削除させるのも申し訳ない気がして。

 というわけで、催眠術そのものの施術に入った。

 私はソファーに座って、ディーシーさんはその隣。

 言われるままに目を閉じて、呼吸を整えて、ディーシーさんに肩を揺らされる。

 ディーシーさんがなにか言ってきてるけどそれは頭を素通りして、文字通り右から左に聞き流してしまってたようでなにも入って来ない。肩だけじゃなく意識そのものを揺らされてる気分になってきた。

 

 

 次に覚えてるのは、私が催眠に堕ちてたんだっていう自覚。視界が横になってて、寝起きのようなウトウト感があった。

 ディーシーさんに支えられながら身体を起こして目を擦る。

 そして体を起こしてから気付く、テーブルの上に並べられたレンタル衣装。私がダメになってる間に用意されてたみたい。

 せっかく借りたのだから、催眠をやる前にぜひ着てみて欲しいとリクエストされる。私も別に嫌ってわけじゃないし、衣装のひとつを持って洗面所へ。

 私は『着てきた』『学生服』を脱いで、用意されてたテニスウェアに着替える。そこらのそういうお店で売ってそうなうっすい生地の見た目だけのヤツ。

 着てみるとトップスはおなかが丸見えになるくらい短くて、スカートも少し動くだけでパンツが見える短さ。自分で言うのもなんだけど、まだ高校生ながら一般的な成人女性よりもおっぱいは大きい。少し胸元がキツいけど、着るだけ着て部屋に戻る。

 部屋ではディーシーさんがデジカメを構えて待っていた。スマホのカメラも高性能になってる時代に小型デジカメは珍しいなって考えてたら、せっかくのコスプレだから写真を撮らせて欲しいと言ってきた。

 さっき撮影OKしたけど、コスプレともなると少し恥ずかしい。けどまぁただ着て終わりってのももったいないので改めてOK。

 最初は棒立ちだったけど、二度三度とシャッターを炊かれるたびに私も興が乗ってきちゃって、ラケットをエアで振ってみたり三角座りをしてみたり。私はテニス部じゃないから正しい動きは分からんけど。

 丈が短いせいで軽く動くだけでもパンツが見えそうになるし、なんなら三角座りはもろ見えになる。でもこういう環境だからなのかわからないけど、それすらも楽しくなっていた。

 次はメイド服。学祭の時に隣のクラスが着てたけど、私には縁がなかったもの。だけど学際で着るようなのじゃなくて、胸元はめっちゃ大胆に空いてるし、例によって超が付くくらいのミニスカ。

 洗面所から出てそのままディーシーさんのもとへ向かって、「いらっしゃいませ、ご主人様」と上目遣いで言ってみる。

 もちろんシャッターが切られてフラッシュが炊かれる。この近距離はけっこう眩しいんだけど、谷間の真上から撮るのは『そういう写真』を撮ってるみたいになって変な興奮が湧いてきちゃう。両手でおっぱいを寄せて強調してみたり、逆にちょっと離れて顔も映るようにしてからの、片手で目を隠したりと。華の女子高生がこういうのをよく知ってるのもどうかと思うけど、知ってるものは仕方ない。そしてやりたくなったものは仕方ないのだ。

 次はちょっと意外で、大人向けのフェミニンな私服。しかも割としっかりした生地のやつ。『こんなのもレンタルあるんだー』なんて思いながら着てみると、サイズもぴったりなことに驚く。

 いわゆる清楚系の服……なんだけど。ディーシーさんは特に気にせずシャッターを切っていくけど、さっきまでのレンタル服のような刺激が足りずにモヤモヤが募っていく。露出もないし、エロくしようのない中途半端なつまらない服。

 顔に出ちゃってたのか、ディーシーさんがカメラを下ろして次の服にしようかと言ってくれる。

 私は待ってましたと言わんばかりに、次の服をひったくって、洗面所に向かうこともせずその場で今の服を脱ぎ捨てる。

 次はもう服でさえない、光沢のある金色のマイクロビキニ。水着なんで今度は下着まで全部脱いでその辺に放り投げる。

 トップスは乳首が隠れるギリギリ、下の方は処理してないアンダーヘアーがはみ出してしまってる。……だってこんなの着ると思わなかったし。

 ほとんど裸みたいな恰好で、胸を持ち上げてみたりお尻を突き出してみたり。まるで自分が痴女みたいなアピールを向ける。

 そして最後は派手なランジェリー。黒のレースで、上も下も大事なところが丸出しになってる実用性ゼロ、男を誘うためだけのヤツ。

 ベッドの上でM字に脚を広げて、自分で自分の胸を揉んで……この衣装に合うポーズをしてるうちに、自分が興奮してるのがわかってくる。軽く胸を揉んでいるだけなのに、乳首が甘く疼いてきてしまってる。

 このままオナニーしちゃおうか……なんて考えてる一番いい時に、「じゃぁ撮影はこれくらいにしましょうか」と切り上げやがる。

 突然の切り上げ宣言。それを聞いたわたしの表情はたぶんさっきと同じで、露骨に不満が出てたんだろう。ディーシーさんは苦笑いしながら「今回のメインは催眠ですから」なんて正論をぶつけてくる。

 確かにそうなんだけど。ディーシーさんも男ならこれ以上先に行こうとか思わないんだろうか。相手はJKなんだからもったいないだろうに。

 はぁ~い、と半ば不貞腐れながら、その場でレンタルしたエロ下着を全部脱いで、自分の下着を学生服を着なおす。

 不満を見せつけるように、ドスン、とベッドに腰を降ろすと、ディーシーさんはスマホを弄りながら「さっきの写真、ネットにアップしました」なんて言ってくる。

 写真そのものは許可したし、私もノリノリだったけど、アップロードは最初に断ったはずだし、内容もアウトなものばかり。なんてことするんですか! と怒ろうとしたのに、口から出た言葉は、なにか反応来ましたか!? だった。

 自分の反射的な反応に自分が一番驚いている中、「いろんな男性が、オナネタにすると言っています」と返事。

 その返事で私の脳は蕩けてしまった。醒めたはずの興奮が一気にぶり返して、全身が一気に火照る。

 他にはと聞くと、「まだ一枚しか投稿してないんです。全部投稿しちゃいます?」との返事。私はすぐに、何度も首を縦に振る。

 またすぐに「エロくて手が止まらない」だの「もう3発出た」だの返信が返ってきたらしい。そして「どんな女の子か気になる」って返信も来たそうだ。

 私はすぐそれに反応する。「現役JKって返してください」と食い気味で答えると、「せっかくならその制服で撮って投稿しましょうか」との提案。

 私はすぐに被写体としてのポーズをとる。せっかくなら胸元を着崩して、ブラの縁が少しはみ出すくらいに、遊んでそうな感じにする。

 我ながら素晴らしい適応力でポーズを整えてると、「エッチなJKって分かるようなヤツが一番いいと思いますよ」って提案が来る。

 しかしどうすればいいかパッと思いつかなかったので意見を求める。すると「いっそそのままオナニーしてみましょう。オナネタにされて興奮するJKというのは最高だと思います」との答え。

 『オナネタにされて興奮するJK』、自分の胸中をピンポイントで当てられたことに驚くけど、それもすぐにオナニーしてもいいんだ、という興奮に流される。

 わかりましたと元気よく返事をして、制服を半脱ぎにして、自分のおっぱいを揉む。そしてもう片手はスカートの、そしてパンツの中に手を入れて直接触っちゃう。もう濡れちゃってるので前戯も要らない。

 そしてそれを撮られるたびに、フラッシュが炊かれるたびにさらに興奮が増していく。指の動きがより大胆になっていく。

 「今すぐヤりたいです」「高校生なの最高」「どこの高校ですか、すぐ行きます」なんて返信を読み上げられるたびに頭に電気が流れるような感覚でイっちゃう。

 「こんなド変態な写真上げる女子高生って他にいませんし、最高のオナネタになってますよ。みなさんが貴方の写真でオナってるんです」なんて言ってくれる。それが私の興奮をさらに盛り上げる。

 その上で「でもいいんですか? 高校生なんですよ? こんな写真何枚も上げて、バレたら人生終わってしまいますよ?」なんて今更の問い。

 私は上ずった声で、いいんです、もっとしてください、懇願するように答える。目の前の快感しか考えられなくなっていた。

 そのまま流れてくる感想を読み上げられ続けて、私は思いっきりイってしまう。これまでに感じたことのない背徳感と最高の快感に放心状態になって、制服にシワが付くことも気にせずベッドに倒れこむ。

 「じゃぁ最後にダブルピースしてみましょう」とカメラを向けられる。私は息も絶え絶えの状態で、愛液で濡れている指も顔の横に置いて両手でピースサインを作る。それを撮ったフラッシュを浴びて、また軽くイってしまった。

 その写真でまた「ぶっかけたい」「いくらで買えますか」「動画でください」との返事。幸せな快感に揺蕩っている中でそんなことを言われたら、また甘い快感の波が立ち始める。

 次は動画を撮ってしまおう。そう考えてる私の目の前で、ディーシーさんが大きく手を叩く。

 直後、余韻の海も快感の波も、全部流してしまうほどの恥ずかしさがやってきた。

 

 

 「お疲れ様です」と声を掛けてくれる。私は恥ずかしさで思考がめちゃくちゃになっていて、変な笑いを漏らしながらお疲れ様です、と返すしかなかった。

 布団を剥いで、着てない同然のバカみたいな下着だけの身体を隠す。

 どうやら私は高校生にさせられてたらしい。しかも露出癖持ちのド変態の。レンタルしたどこの学校かもしれない制服を意識のないうちに着せられて、女子高生の頃に戻されて。

 なーにがフェミニンな私服だ。自分の服なんだからマッチして当然だし、こんなフツーな服がラブホにあってたまるか。

 んで「フラッシュを炊かれると楽しくなる」「エロい写真を撮ると興奮する」そして「自分をオカズにされることで気持ちよくなる」っていう暗示を仕込まれてたらしい。

 またディーシーさんが私に向けてフラッシュを炊く。もう快感も興奮も感じず、混乱してる自分を撮られる恥ずかしさだけに襲われる。

 ベッドに横になったままの私にデジカメを差し出してくる。小さな画面には撮った写真のスライドショー。ミニスカスポーツウェア、メイド服、そして私服。んでエロビキニにエロ下着。

 自分の服を着てる時のつまんなそうな顔。それに対してマイクロビキニを着てる時の嬉しそうな顔……完全にただの痴女。さすがにバカじゃないの?

 んでよく見れば、デジカメにはライトニングケーブルの端子もUSBの端子もない。さらにSNSに投稿できるような大きな画面もない。スタンドアロン状態の端末で、他に流出させないというディーシーさんなりの配慮だろう。

 ……ってことはあの読み上げられた感想はぜんぶプレイの原稿みたいな感じだったってことか。

 本当に私にそういう露出の才能があるんだろうか……もし現役の頃にそれに気づいてしまったら……そう考えると少し薄ら寒いものが襲ってきて、テンションをゼロの状態に戻してくれた。

 なんであれ、現実的にやったらマズいものを仮想体験させてくれるのが催眠のいいところだし……

 ディーシーさんはカメラからSDカードを抜き取って渡してくる。が……なんだこのSDカード。大きくない? スマホに入らないサイズの……この場でスマホにデータ移動してどうこう、ってのもできないようにする配慮かな。問題は私はこのカードの使い方がわからないことだ。

 ディーシーさんには一度背を向けてもらって、今更かもしれないけど全裸の身体を隠しながら本来の服を持って洗面所に駆け込む。

 いろんなアレコレを片付けてから、下着と服を着直す。

 そして催眠を完全に解除してもらってから解散。お疲れ様でした。

 がっつり暗示も入ったし、その上で楽しかったし、無茶ぶりに応えてコスプレ痴女プレイみたいなことをしてもらって、文句はないんだけどさ、楽しかったんだけどさ。

 このやりきれない感情はなんなんだろう。一方的に羞恥プレイ喰らった感覚はどうしてこうもやりきれないんだろう。

 やり場のない羞恥心と、ノリノリでエロコス自撮りしてるデータを持って帰ることになった。

 

<つづく>

1件のコメント

  1. というわけで二人目。
    冒頭に会社員と書かれてるのに高校生? と思っていたら、暗示で思い込ませれていたという退行暗示。
    フラッシュで興奮したり、SNSでの反応に食いついてしまったり、最初はダメだとも思っていたはずなのにどんどん自分からやっていってしまうのは興奮しましたでよ。

    SDカードはマイクロじゃなくて普通のSDカードって感じなんでぅかね。先に全部読んでたりするんでぅけど、全体的にディーシーさんが紳士なんでぅよね。若い頃のがっついてた時期の話も読みたいところでぅ。
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