第一章 秋の収穫(前編)
-1-
秋が僕の家でハウスキーパーとして働くようになったのは、僕が中学の頃だった。
大学病院の医師として働いていた僕の父は家を空けることが多く、母親を亡くたった一人で父の帰りを家で待つ僕を心配した父が雇ったのが秋だった。
「今日からお世話になります。秋です。よろしくお願いしますね、志貴ぼっちゃん」
ショートカットの黒髪に凛とした顔立ち。どこか母親のような母性を感じさせるその姿に僕はすぐさま夢中になった。
清楚で可憐な女性。
秋の第一印象はそんな感じだった。
出会ってから数か月、僕は秋のことを実の姉のように慕うようになっていた。最初のころは買い物などにも一緒に出掛けていた。秋に少しでも良いところを見せようと、僕は重たそうな荷物を率先して持つようにした。
「ぼっちゃんは本当にお優しいですね」
そう言いながら秋は、よく僕の腕に抱きついてきた。
見た目よりも大きな胸を腕に押し当てられ僕はすこしどぎまぎしたが、まんざらでもなかった。
そんな秋との距離ができたのはいつからだったろうか。
「ぼっちゃんは私のことがお嫌いになったのでしょうか?」
そんなことを言われたこともあった。
そんなわけない。むしろ一人の女性として意識していた。
ただ、怖かったんだ。
思春期を迎えた僕にとって無防備にぐいと押し付けられる秋の胸の感触は毒でしかなかった。いつか僕は自分の欲望を抑えられなくなってしまうんじゃないだろうかと恐怖していた。
秋をこの手で犯したい。そんな風に思うようになっていたからだ。このままではいつか秋に酷いことをしてしまう。そう思った僕は秋から距離を置いた。
(ふうん、その秋っていう女を思い切り犯したいのに尊すぎて手が出せない。そうやって自分を偽り続けてきたってわけだ。へへっ、なかなか面白い話じゃねえか。それで、催眠を使って自分の欲望をかなえたいってわけだな)
僕の話を聞き終えたギィはそう言ってきた。
「……まぁ、ね」
(いいだろう、その願い叶えてやるよ。それで? 具体的な計画はあんのか?)
「ある」
今日は秋と僕以外は全員が外出する日だった。
朝早くからみんな出かけており、朝食も僕と秋の二人だけでとることになっていた。ギィと自室で今日のことを話し終えた後、僕は秋が準備してくれた朝食をとった。食事中は二人で他愛もない会話を楽しんでいたが、内心はドキドキだった。
食事が終わり、秋が入れてくれた紅茶を飲みながらキッチンで後片付けをしている秋の後姿を見つめ、
あくまでも今回の催眠は、父のためにやるんだ。
と、自分に言い聞かせていた。そんな僕の気持ちを感じ取ったのか
(もっと正直になっちまえよ。あの女とヤリたいんだろ? おやじのことは後回しにしてよ)
ポケットに忍ばせておいた鏡からギィの下卑た声が聞こえてきたが無視する。
「お腹、満足いただけましたか?」
朝食の片づけを終えた秋が濡れた手をエプロンでふきながら、秋がリビングに戻ってきた。
「うん。お腹いっぱいだよ」
「それはよかったです。今日は久しぶりにぼっちゃんと二人きりですね」
微笑みながらそう述べてきた。
「そうだね」
緊張のあまり、僕は思わずそっけない態度をとってしまったがそんな態度を気にする様子もなく秋は続けて言う。
「どうです? 久しぶりに一緒にお茶でもしませんか?」
思わぬ申し出に僕は少し驚いたが、
「いいね。そうしようか」
「ほんとですか? ありがとうございます」
「それじゃあ、十時ごろ僕の部屋にお茶を持ってきてくれるかな」
「かしこまりました。あ、じゃあ今からクッキーを焼きますね。それもお持ちします」
「うん。ありがとう」
僕は秋に微笑むと、高鳴る胸を秋に知られないよう慌てて自室へと戻る。
その途中で、
(へへへ、あいつが秋って女か。なかなかいい女じゃねえか。とくにあの大きな胸、いい感じだな。へへ、この女にならお前の童貞をあげてもよいってわけか。へへっ、なるほど、なるほど)
頭の中でギィがそう呟いてきた。ポケットに入れておいた鏡を取り出し、僕は鏡の向こうのギィに小声で苦言を呈す。
「さっきも言ったけど、それが目的ってわけじゃ」
(へいへい、そうやってまた自分を偽るんだな。いい加減正直になれって。お前はあの女と最終的にはそういう関係になりたいんだろ?)
僕はその言葉を無視し、ギィに尋ねる。
「……それで? この後、実際に秋に催眠をかけるわけだけど、その方法、教えてくれるんだろ?」
ギィは質問に質問を返され、少し不満そうに、
(……催眠の方は簡単お手軽なスリーステップ。これでお前さんも立派な催眠術師だ)
「早く教えろよ」
(まったく……いいか、よく聞けよ……まず)
それからしばらく、じっくりと時間をかけてギィが具体的な催眠のかけ方を僕に教えてくれた。
約束の十時。
トントン
と、扉をノックする音がした。
(さていよいよ本番ってわけだ。どうする?)
「どうするって?」
(お前が催眠をかけている途中で俺がアドバイスをしてやってもよいんだが……ほら、お前がお楽しみのところを邪魔しちゃ悪いだろ)
グハハという声が頭に響く。
「……僕が秋に対してそんなことするとは限らないだろ」
(おいおい、俺はここ何百年と人間に関わってんだ。人間の考えることなんてみんな同じさ。特にオスって生き物はその生殖本能ってのには勝てねぇよ。ま、そのときが来たらお前もわかるさ)
ギィはふぁぁと、あくびをすると、
(とりあえず教えてやったことを参考に自力でやってみるんだな。俺に出羽亀をする趣味はないんでな)
すっと、ギィの声が頭の中から消える。鏡に映っていたギィの姿も、いつの間にか僕の姿に戻っている。
「ぼっちゃん。コーヒーをお持ちしましたが……」
扉の向こうから心配そうな秋の声が聞こえる。
「あ、ごめんごめん、今開けるね」
僕は慌てて自室の扉を開けた。
ティーカップ二つと、クッキーの乗った皿の乗ったお盆を持った秋が立っていた。
「あの、もしかしてお忙しかったでしょうか?」
僕がなかなか部屋から出てこなかったことをいぶかしんだのだろうか、秋が心配そうに尋ねる。
「ううん、大丈夫。ちょっと手が離せなくて。さ、どうぞ」
「失礼いたします」
僕は秋からお盆を受け取り、部屋の真ん中に置かれた丸テーブルに置いた。テーブルをはさんで向かい合うように僕らは床に腰かける。
コーヒーの入ったコップを手に取り、一口。
うん。相変わらず秋の淹れたコーヒーはうまい。
コーヒーを飲んでいる僕に秋は優しく微笑んだ。
「ん? どうかしたの、秋」
「あ、いえ、昔からそんな風においしそうにコーヒーを飲んでいらしたなって。確か最初にぼっちゃんがコーヒーを飲んだのも私とでしたね」
「ん、あぁ、人生初のコーヒーは秋が入れてくれたんだよね。全然苦くなくて、すっごく口当たりの良いおいしいコーヒーだったよ」
「そうでしたね」
昔を懐かしむように秋が言う。
「今日はありがとうございます」
「え?」
「なんだかこうして二人でお茶をするのは久しぶりでうれしいんです。なんだかずっと、ぼっちゃんに避けられていたような気がして」
じっと、秋が僕を見つめる。
「……別に避けているつもりは」
「旦那様がなくなられてからは、特に」
秋のその言葉に、僕は表情を曇らせる。
「ごめん、その……父さんの話は、あまりしたくないんだ」
「……そう、ですよね。申し訳ございません」
何かを言いかけた秋だったが、僕の表情を見て言葉を変えたようだった。
気まずい沈黙が続く。
おもむろに秋は立ち上がると、
「ぼっちゃんは、今も推理小説が好きなんですね」
部屋の本棚に近づき、その中から一冊を取り出しそう言った。
「江戸川乱歩がお好きなんでしたよね?」
「ん、まぁね」
「私もよく乱歩は読みました。乱歩の中では、特に黒蜥蜴のお話が一番好きでした」
手に持った本のページをめくりながら秋はつぶやく。
「へぇ、なんでまた?」
「女盗賊、黒蜥蜴に共感できて」
「共感?」
「えぇ、きっと彼女、最後は明智探偵とともに死を選びたかったんだと思うんです。殺したかったんじゃなくて……手に入れられないくらいなら、いっそのことって。その気持ちがなんだかわかるんです。手に入れたくても手に入れられない。ならいっそのことって、ちょっとわかる気がするんです」
そう語る秋の様子をじっくりと見つめながら、僕は秋に気づかれないように床に隠して置いていた鏡を手にし、ページをめくる秋の背後でそっと立ちあがる。
秋は気づいていない。
そっとその背後に近づく。
「秋」
僕の呼びかけに秋がこちらを振り向く。
「はい?」
『見ろ』
秋の目の前に僕は鏡をかざし、強い口調でそう言い放った。
「あ」
次の瞬間、秋の瞳から光が失われ、だらりと上半身から力が抜け落ちた。
(ステップ1 まずは鏡に相手を映し出すこと。これだけで相手が催眠の予備状態に入る。簡単に言えば意識を失った状態ってわけ。鏡に映すだけ、めっちゃお手軽だろ)
ギィから教えてもらった第一段階は終了した。
「よし」
僕はうなだれたままの秋に近づくと、上半身をゆっくりと持ち上げる。
秋の目からは生気が消え、そのうつろなまなざしは虚空を見つめている。口の端からはよだれをたらし、全身の力も抜け落ちている。僕の支えなくなると、だらりと再び上半身が崩れ落ちてしまう。意識だけが本当になくなっているようだ。
僕は秋に声をかける。
『聞こえるかい? 秋……聞こえたらゆっくりうなずくんだ』
こくんと、秋は力なくうなずく。
僕は先ほどから何度も脳内でシミュレーションしていた言葉を紡ぐ。
『僕の声を聴きながらだんだんと身体の力を抜いていくんだ。いいかい? 体から力を抜くんだよ』
僕の声を聴いた秋は、そのまますーっと床にすっとへたり込んだ。はいていたスカートがめくれ上がり、そこから太ももが見える。僕はごくりと生唾を飲み込んだ。
『秋、僕の質問に正直に答えるんだ。いいね』
再びこくんとうなずく秋。僕は言葉を続ける。
『僕の父さんは義母さん……冬美さんが殺したんだろ?』
そう問いかけた瞬間、生気の消えていた秋の顔が一瞬苦痛にゆがむ。返事はなかった。僕は秋に再度同じ質問をする。
『秋、答えるんだ。僕の父さんを殺したのは冬美さんなんだろ? さぁ、答えるんだ、秋』
秋の顔がさらに苦痛にゆがむ。
秋の瞳の奥に一瞬ではあったが光が戻ってきたような気がした。だが僕は構わずもう一度同じ質問を繰り返す。
『父さんを殺したのは』
(おいおいおい。その質問はちょっと早すぎだぜ)
言いかけたところで突然、頭の中でギィの声がした。
「……寝てるんじゃなかったのかよ?」
(そのつもりだったけどよ、さすがにこの状況はまずい。見てみろ、この女の催眠、解け始めてるぜ)
僕は慌てて秋の顔を見る。確かに先ほどより顔色がよくなってきている。
(さっきも言っただろ、相手が心にしまっておきたい記憶や忘れたいと思っている記憶はそう簡単には言ってくれないってな。これ以上質問を続けたら、この女にかけた催眠が解けるか、それ以上やるとほんとの廃人になっちまうぜ)
「……だけど」
(まぁ焦んなって。これも教えたろ。まずは簡単な命令をする。そこからハードルを徐々に上げていく。ステップ2、命令の深堀りってやつだ)
「簡単な命令……」
僕は苦しそうに顔をゆがめる秋を見てしばらく考え、
『……秋、服を脱ぎなさい』
そう言った。
その命令に秋はゆっくりとうなずくと、その場におもむろに立ち上がり、着ていた服をそっと脱ぎ始めた。
衣擦れの音が僕の部屋に響く。ギィが嬉しそうな声を上げる。
(おいおい、こりゃまたいきなり大胆だな)
「……脱ぎました」
服を脱ぎ、下着姿になった秋の姿に僕は思わず釘付けになった。
上下おそろいのピンクのフリルをあしらったかわいらしい下着。しみ一つない秋の白い肌は少しだけ桃色に染まり、よく見れば秋の顔もほんのり赤くなっていた。
『秋、恥ずかしい?』
こくん。
(へへへ……いいじゃねえか。調子が出てきたようだし、また俺は消えるとするぜ。もうお前だけで大丈夫だろ。な、言ったとおりだろ? 本能にはあらがえないんだよ)
「……黙れ」
(ぐへへ。ま、ゆっくり楽しめよ)
ギィの下品な冗談に、僕は反論する気も起きなかった。
目の前の秋の姿をもう一度じっくりと見る。
中学時代から夢想し、何度も思い浮かべてきた秋のあられもない姿。気づけば僕のズボンの下の肉棒は大きく勃起していた。いまにもズボンを破って出てきそうなそれを抑えつつ、僕はさらに秋に命令を下す。
『秋、下着も脱ぐんだ』
秋は少しだけためらった様子を見せたが、おずおずと下着に手をかける。
まずはゆっくりと背中に手をまわし、ブラのホックを外す。床に落ちたブラジャーから解放された秋の大きな胸が重力に逆らえず揺れる。そのままショーツにも手をかけると、するすると太ももに沿っておろしていった。その光景を見ているだけで、僕は今にも射精しそうなくらいに高ぶってしまっていたが、必死でその感情を押さえつけた。
「ぬ、脱ぎました……」
生まれたままの姿になった秋は、僕の視線から逃げるかのように恥ずかしげに身体をよじる。両手で必死になって自分の恥部を隠そうとしている。そんな姿もとても煽情的で、僕の煩悩を高ぶらせた。
『だめだよ、秋。隠してはだめ。僕に全てを見せるんだ』
その命令に最初は戸惑っている様子だったが、観念したように秋はゆっくりとその身体を開いていった。
最初に解放されたのは大きな胸。音がするかと思うくらいに揺れ動く大きな胸の先に、すでに自己主張をし始めたピンクの乳首が見えた。それは遠目からもわかるほどに勃起しており、秋が興奮状態にいることを如実に表していた。
そのまま僕は視線を下にゆっくりとおろしていく。
秋の一番大切な部分を隠している黒い茂みが僕の目に飛び込んできた。
控えめではあるが、きれいに整えられた乙女の黒い茂み。そこは部屋の蛍光灯に照らされてつやつやと光っている。
「……秋」
秋のすべてを目にした僕は我慢できず自分のズボンをおろす。下着から勢いよく飛び出した肉棒は、天井を貫くがごとく硬直していた。その様子を濁った瞳で見つめていた秋の顔がさらに赤くなった。僕は自らの肉棒に手を添えゆっくりとしごきだす。
「これが秋の裸……」
そのまま勢いのままに押し倒してしまいたい欲望を抑えつつ僕は言葉を続ける。
『秋、僕の質問に答えるんだ。いいかい? 正直に答えるんだよ。わかったらうなずくんじゃなくて、ちゃんと返事をするんだ』
「……はい。わかりました」
『秋、おっぱいのサイズはいくつ?』
「……E、カップです」
想像していた以上に大きい。僕の手の中の愚息がビクンと脈打つ。
『……オナニーはするの? するとしたら、どれくらいするの?』
「…………それは」
言い淀んでいる秋に、僕はさらに続ける。
『正直に言わないとだめだ。僕の声に逆らってはいけないよ』
「しゅ、週に3回くらい、夜に……どうしても切なくなった時に、す、少しだけ、し、します……」
真っ赤に顔を染めたまま赤裸々に告白する秋の姿に、しごき続けていた僕の愚息から透明な液体がにじみ始めていた。
『それは……誰を思ってオナニーするんだい?』
「…………ぼっちゃん、です」
もう我慢できない。だけど、ここで襲ったら当初の目的も果たせなくなる。
僕は大きく深呼吸をした後、
『……秋、僕の声をよく聞いて。いいかい秋、君はこれから』
鏡をゆっくりと秋に向け、秋に言い聞かせるように言葉を紡いだ。
さて、いよいよ最後の段階だ。
-2-
ぴぴぴぴ……。
突然のスマホのアラーム音で、私は目を覚ました。
完全に覚め切っていないまどろみの中で、私はゆっくりと起き上がり周囲を見渡す。
私は『裸のまま』ぼっちゃんの部屋のベッドに横たわっている。
あれ? どうして私、ぼっちゃんの部屋にいるのかしら。確か、コーヒーをお持ちして、それから……。
記憶に霞がかかったかのように少し前のことが思い出せない。志貴ぼっちゃんはどこにもいない。
(僕は秋には見えない。今は視界に入らないんだよ)
どこかでぼっちゃんの声がしたような気がする。気のせいかな。
でもよかった、とほっと胸をなでおろす。
こんなだらけた私の姿、ぼっちゃんに見せるわけにはいかないもの。
ふと目の前に視線を向けると、ぼっちゃんの枕が目に入る。私はもう一度周囲を見渡す。
誰もない……。
私はゆっくりとぼっちゃんの枕に顔をうずめ、大きく深呼吸をした。
すぅぅっ
あぁ、ぼっちゃんのにおいがする……。
(自分に正直になってごらん、秋。自分のしてみたかったことをしていいんだよ)
「あぁ、ぼっちゃん……ぼっちゃあん」
嗅ぎなれたぼっちゃんのにおい。ずっと私はこうしたかったんだ。
ぼっちゃんを感じながら、私はするすると右手を自分の股間へとのばした。触れた私の股間はすでにしっとりと濡れていた。
あれ? 私、いつ服を……。
そんな疑問がよぎったが、
(秋、今はそんなこと考えないで。ほら、素直になっていいよ)
……そう、今はどうでもいい。今はこの高ぶった気持ちを静めたい。ぼっちゃんのことを考えながら思い切り気持ちよくなりたい。
「あぁぁぁ……」
ぼっちゃんの枕に顔をうずめたまま、股間に当てた右手を上下にスライドさせる。ぐちゅぐちゅと水っぽい音が部屋に響きだす。
「ん……くぁ」
ぼっちゃんの香りを肺にたっぷりと吸い込みながら、さらに指を激しく動かす。
「あ、ぼっちゃん……あぁ、そこ、はぁ……はぁぁっ」
ぼっちゃんの指が私の一番大切な部分をこすっている。そう妄想することでさらに高ぶってくる。
私はぼっちゃんのことが好きだ。
初めて会ったその日からずっと慕っていた。歳が5つほどしか離れていないからか、ぼっちゃんは私のことを姉のように慕ってくれた。私も最初は弟のように思っていた。でも月日を重ねるうちに、だんだんと私の中の欲望は頭を上げ始めた。
ぼっちゃんを犯したい。そんな欲望が。
私は、年下の男の子の初めてを奪うのが大好きだ。
高校時代も、後輩の童貞の男の子を片っ端から食べていた。顔を真っ赤にしながら、私のおっぱいにむしゃぶりつくあの顔。胸に顔をうずめたまま、一生懸命に腰を振るあの姿。私はそれらがとてもいとおしい。
同級生たちからは
「秋って、変態よねぇ」
なんて言われたが私はそうは思わない。下手に女慣れしている男の人よりも数倍よい。だからぼっちゃんに初めて会ったときも、いつかこの手で食べてしまいたいと思った。私の下で快感にあえぐぼっちゃんを見たいと思ったんだ。
「う、ぁぁ、あぁぁ、だめ、こんなこと……ぼっちゃんの部屋で……ん、ふぁっ!」
私は我慢できずそのまま指を膣内に差し入れる。そのまま指をゆっくりと時計回りに動かす。
「ん、あぁ、く、あああっ!」
まるで電気が走ったかのような快感が私の全身を駆け抜けた。
ぐちゅぐちゅ……。
あぁぁ。気持ちいぃ、きもちぃぃぃ。
快感に身をゆだねながら、私は空いている手を乳首へと向ける。すでに硬くなり、十分に準備の整った乳首をこりこりとなで回す。
「はうっ!」
それだけでもうイってしまいそうだったが、この快感をもっと味わいたいと、枕をかみしめながらその快感の波にのまれないように必死で耐える。
「ぐっ……んぐっ。ふぐぅ」
片方では陰裂を、もう片方でで乳首を激しくいじくりまわす。
「あぁぁあっ!」
枕から口を離し、声にならない叫びをあげながら私はその快感に身をゆだねていく。手を広げ固くなった両方の乳首をぐりぐりとこねくり、挿入した指のさらに激しく動かす。
口元から垂れたよだれが、ぼっちゃんの枕を汚す。その背徳的な光景でさえも私には快感だった。
ぼっちゃんを汚しているようなそんないけない快感。
その快感はやがて頂点に達し、私の体の中で爆発する。
「ぼっちゃん、ぼっちゃん……い、イク。イキます……ぃう、ふぅぅっ!!」
ぼっちゃんの枕をかみしめながら、絶頂を迎えようとしたその時だった。
「……なにしてるの?」
「え! あ、ぼ、ぼっちゃん!」
顔を枕から上げると、いつの間にか目の前にぼっちゃんが座っていた。
そ、そんな……さっきまで誰もいなかったのに。い、一体いつの間に。
「ち、あの、ぼっちゃん。これはその、違うんです!……あぁぁ、み、見ないでください、坊ちゃん、見ないでぇぇぇ!」
ぼっちゃんの存在に気づいてもなお、私はその指の動きを止めることができなかった。むしろ自分のことを凝視しているぼっちゃんの視線がさらに私の中の興奮をたぎらせる。
「ひいっ! らめっ! らめええぇぇ。ぼっちゃん! みちゃ、みちゃぃやあぁぁ」
叫びをあげながら、絶頂へ自らを導いていく。
「だめっ、だめえぇぇ! ぼっちゃんが見てるのに、あっ、ああっ。らめぇ、いく。ひくぅぅくっうぅ!」
びくびくと体をけいれんさせ、私は快楽の頂点へ達した。
「あ、あき……」
呆然と私を見つめる『裸の』ぼっちゃん。
あぁ、ぼっちゃんに見られてしまった。どうしようこのままでは……このままでは…………あぁそうだ。
ぼっちゃんにも同じようになってもえらばいいんだ。
荒い呼吸のまま、私はぼっちゃんに声をかける。
「はぁ、はぁ……ぼっちゃん。はぁ、ぼっちゃんは見てはいけないものを……はぁ。見てしまいまいましたね」
「え……あ、その。ごめん! 秋 ぼく……」
小動物のように目を潤ませて慌てふためくぼっちゃん。
あぁ、なんてかわいらしいのかしら。もうこのまま食べてしまいたい。
もう、我慢なんてできない。
私は絶頂によって乾いた唇を舌でぺろりと舐めながら、
「はぁはぁ……いけないことを見てしまったぼっちゃんは、とぉってもいけない子です」
ぼっちゃんにそう述べた。
「え? ぼ、僕はいけない子なの?」
「えぇ、とぉってもいけない子ですよ。そんないけない子には、ふふっ、お仕置きが必要ですね」
「お、お仕置き?」
私は目の前のぼっちゃんの手をつかみ、ぐいっとそのままベッドに引っ張った。
「うわっ!」
パタンとベッドの上に倒れこむぼっちゃん。私はすかさずぼっちゃんの上に覆いかぶさる。
「あ、あき、何を……」
「ぼっちゃん……ぼっちゃんは、好きな女性はいますか?」
私はぐっと、汗ばんだ自分の顔を寄せながらそう尋ねてみる。
「え! ええと……うん。い、いるよ」
ぼっちゃんのその言葉に、私はハンマーで殴られたような衝撃を受ける。
そんな! 私のぼっちゃんが誰かに恋をしているなんて! 私の知らない女が、私のぼっちゃんを奪っていく。
ぼっちゃんの唇を、乳首を、おちんちんを……ぼっちゃんの童貞を、ぼっちゃんの全てを奪っていく。
そんなこと、そんなこと……断じて許せない。
私はさらに質問を続けた。
「その方とはもう初体験は済ませましたか?」
「……ううん、まだだよ」
私は乾いた唇を舌で舐め、潤しながら言う。
「そうですか……」
よかった。それなら……。
「それなら、そうなったときの日のための練習が必要ですね」
「練習?」
「ええ。初めてのエッチでぼっちゃんが恥をかかないよう、ハウスキーパーの私が責任をもって、女性の殻についていろいろ教えて差し上げますね。まずは」
「え、あ、あき……なにを……むぐぅ!」
私はぼっちゃんに馬乗りになったまま上半身を倒し、ぼっちゃんのその唇に自分の唇を重ねた。
間髪入れず、ぼっちゃんの口腔内に舌を差し入れる。
「ん……ちゅ……んあ、ちゅ、んちゅ……へぁ、ん、あ」
先ほどとは異なる水音が部屋に響き始める。
最初こそ私が差し入れた舌に必死に抵抗していたぼっちゃんだったが、しばらくするとぼっちゃんの体から徐々に力が抜けてきた。最後には私の舌を優しく受け入れてくれた。
こんなときまで、ぼっちゃんはお優しい。
ぼっちゃんもつたない舌づかいではあるものの、自分の舌を私の舌に絡めようと試みている。
あぁ、ぼっちゃんの唇とってもやわらかい。舌を重ねるのこんなに気持ちいいんだ。
「ちゅ……じゅちゅ……ふぁむ……ちゅぴ」
しばらく唇を交わしていると、私のふとともあたりに熱く硬いものが押し当てられた。
あ、これって……。
私はゆっくりと唇を離す。そのままぼっちゃんの下腹部に目を向け、
「あらぁ……ぼっちゃんのここ、もうこんなになっていますね」
「え……あ!」
私はぼっちゃんの硬くなったおちんちんに手を伸ばす。
「あぁ、あつぅぃ」
触れたぼっちゃんのおちんちんはすでに大きく勃起しており、私の手の中で脈を打っていた。
……あれ? ぼっちゃん……いつの間に服を脱いだんだろう……そういえば、最初から何も着てなかったような気もするけど……。
「あ、あきぃ」
ぼっちゃんが切なそうな声をあげる。その声に私が感じていた疑問は霧消した。
「ふふっ、ぼっちゃんのここ、すぉごく熱い……もう立派な男の子だったんですね、ぼっちゃん」
私は体をずらし、そのまま自分の顔をぼっちゃんの股間へとおろしていく。
「あっ!」
「ちゅ」
私がぼっちゃんの熱くたぎったものに舌を這わせると、ぼっちゃんが悲鳴にも似た声を上げた。私はそのまま自分の舌を竿に沿って上下に移動させる。
「ん、ちゅ、ちゅぴ」
「あ」
そのまま舌の先でぼっちゃんの鈴口を軽くつついてみる。ぼっちゃんの体がびくんと痙攣した。
よかった。ちゃんと気持ちよくさせられているんだ。
その反応に私は嬉しくなり、さらに激しくぼっちゃんのおちんちんの先端に舌を這わせた。露出した亀頭を高速で舐める。
「ちゅぴ、ちゅ、えるえる、ん、ちゅ」
今度はぼっちゃんのおちんちんをねぶるように舌を這わせ、ときおり先端部を優しく円を描くように舐てみる。そのたびにぼっちゃんが小さくあえぎ、体を震わせる。その姿に私も徐々に興奮してきていた。
「んっ……んっ」
気づけば私の手は自分の股間に伸びていた。
私のそこは先ほど同様じっとりと湿っており、指先にぬるぬるとした感触がある。私は股間に指をはわせながら、ぼっちゃんの熱い分身をゆっくりと口に含んだ。
「んあ!」
「んんんっ!」
ぼっちゃんが思わず声を上げたが、私はそのまま自分の口の中でぼっちゃんのかわいいおちんちんをしゃぶる。
「あぁ、これがぼっちゃんのおちんちん……んん、ぐちゅ、ちゅぴ、んあ、れお、れおろ、じゅぷっ……じゅるる」
口の中でびくびくと跳ねるぼっちゃんのおちんちんからエネルギーを絞りだすように、私は口をすぼめたままゆっくりと顔を上下させる。口の中いっぱいにたまった私の唾液は潤滑剤となり、部屋中にいやらしい音を響かせる。
「ぐぽっ、ジュルルル、じゅ、じゅる、ん、あ……ろうれるか? ほっひゃん、ひもひいぃ……れふか?」
おちんちんを口にくわえたままそう尋ねると、ぼっちゃんは大きく首を何度も縦に振った。
「うん、気持ちいよ、秋……秋の口の中、熱くて、ぬるぬるで……あああっ、最高だよ」
「ろかった……もっほ、ひてあげまうね。じゅぼ、じゅぶ、んん、へあ、んあ……じゅるるるるっ!」
口に咥えたまま私は頭の上下運動をさらに激しくさせる。それに合わせ、自身の股間に這わせた指も激しく動かす。
「あっ……ふ……れるっれう……じゅ、ん、ちゅ」
「あき、僕、もう……」
ぼっちゃんが切なそうにつぶやく。その目は潤み、頬は赤く染まっていた。
「じゅるる……ん、ぐぽっ……はぁはぁ……そうですね……私も、もう我慢できません」
私はぼっちゃんの分身を口から取り出し、再度ぼっちゃんの上に馬乗りになる。ぼっちゃんの脚にお尻をあずけ、そのままぼっちゃんに自分の股間を見せつけた。
「どうです? ぼっちゃん、見えますか? これからここに、ぼっちゃんのおちんちんが入るんですよ」
私のおまんこをぼっちゃんが目を大きくして凝視する。私は大陰唇をゆっくりと広げ、すでにぬれそぼっている膣口を露出した。その瞬間、白く泡立った愛液が垂れ落ちぼっちゃんの腹部を汚す。
あぁ、ぼっちゃんの視線が私の恥ずかしいところに……。
「ぼっちゃん、いきますよ。ぼっちゃんの初めて、もらっちゃいますね。いいですよね」
私は態勢を戻し、ぼっちゃんの硬く反り立ったおちんちんを手に取る。激しく脈動するそれを、自分の肉の裂け目にこすりつけた。
「あっ! あああっ!」
ぼっちゃんが女の子のような悲鳴を上げる。
「んっ、どうです。ぼっちゃん? んっ。んっ……気持ち、いい、ですか?」
私の裂け目にぼっちゃんのおちんちんがこすれるたびに、私の体に電気が走ったかのような快感が走る。
「ん、あ、くっ」
私は快感を得つつぼっちゃんと一つなれる喜びに震えていた。眼下に見えるぼっちゃんの切なそうな顔。それを見ただけでもう絶頂に達しそうだった。
「あ、きぃ」
ぼっちゃんが切なそうな声をあげる。その声に反応するかのように、私の肉の裂け目からじわっと愛液があふれ、ぼっちゃんのおちんちんを濡らす。
「いきますよ……ぼっちゃん。これでぼっちゃんも、立派な男の子、です…ぅぅ…!」
ゆっくりと私は腰を落としていった。ぼっちゃんの熱いものが私の中にゆっくりと入ってくるのを感じる。ミチミチと私の体を割くように侵入してくる熱い塊。ぼっちゃんと一つになれたという喜びが私の身体中に、快感とともに駆け抜けていく。一番奥まで挿入し、
「あぁ、ぼっちゃん!ぼっちぁゃん!」
腰をゆっくりと動かし始める。
「あ、あき……あきぃ……ううぅ」
気づいたときには私の腰は勝手に前後に大きくグラインドしていた。私たちの二人の接合部からはグチュッ! グッチュっという艶めかしい水音が聞こえてきている。と同時に、私の下から聞こえるぼっちゃんの喘ぎ声。あぁ、幸せだ。
「くっ、ん、あ」
「ああぁっ! ぼっちゃん! どうですか……あっ! 気持ちい、いですか? あんっ!」
「うん。あき……秋の、あきのオマンコの中、すっごく熱くて、ぬるぬるしてて気持ちいいよ!」
オマンコという卑猥な言葉を私のぼっちゃんが……あぁあ、気持ちよすぎる。もう、もう我慢なんかしなくていいよね。
我慢できなくなった私は、叫ぶように下品な声を上げる。
「うれしいっ! あああっ! 私も、私もすごっく、いいですぅぅ! ぼっちゃんの硬いおちんちん! 私の、ああっ! おまんこのなかでびくびく脈打って! ああっ! ぼっちゃんとのエッチ、さいこうぉぉ!」
「あきっ、あきっ!」
私の卑猥な言葉に興奮したのだろうか、ぼっちゃんの腰の動きが激しくなる。
「あああっ! ぼっちゃん、下からそんなにつきあげたらっ、ひいひぃぃっ!」
私の横方向のグラインドとぼっちゃんからの下からの突き上げ。二重の快感に私はさらに声を上げる。
「うひっ! あああっ、お、おまんこぉ、こ、壊れる、こわれちゃいますぅぅ」
「あき、あきぃ!」
ぱん、ぱんという乾いた肉の音とぐちゅ、ぐちゅという淫靡な水音が奏でるハーモニーを聞きながら、私は押し寄せる快感に身をよじる。
「ひぅう! あ、あはあぁぁっ!」
「っぐ、あ、あき、も、もう、イキそうだよ! このまま、あき、秋の中でぇぇえ」
「いいですよ、あっ! 私の中で、あふうっ! イってください ひゃんっ!……ああぅぅ! 熱いぼっちゃんの子種を、私のおまんこの奥に恵んでくださいぃい! ああああっ!」
「い、イクっ! うああっ!」
「はひいぃっ! あっ! あああっ!」
ぼっちゃんのおちんちんから吐き出された熱い精液が、私の体内に流れ込んでくるのを感じた。びゅっ、びゅっと断続的に精液を吐き出されるたびに、私は体を小刻みに震わせる。
「っぐ、あふっ、出てるぅぅ、ぼっちゃんの熱いのが私のなかにぃ!」
私の中でぼっちゃんのが爆ぜた瞬間、私も絶頂に達した。
「あぁぁ、ぼっちゃぁあん……もう、私ぃ……」
ぼっちゃんのおちんちんの脈動を感じながら、私はぼっちゃんの上に倒れこみそのまま気を失った。
<続く>