催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~6

第三章 冬の終わり(前編)

 

-1-

 

 学校の保護者参観に父さんが来てくれたことは一度としてなかった。

 だから冬美さんが保護者参観に来てくれたときは、嬉しさよりも驚きの方が大きかった。冬美さんを初めて見た友人たちはみな口をそろえて、

「志貴! お前んちの母ちゃん、めっちゃ美人じゃん。しかもめっちゃ若くない?」

 そう言う。

 確かに冬美さんは美人の部類に入る。だから冬美さんと父さんがなぜ結婚したのか、いや、冬美さんがどうして父さんと結婚しようと思ったのか。それが不思議でしょうがなかった。

 父さんが死んだとき、その理由はすぐにわかった。

 金だ。

 父さんが死んだ直後から、父さんの遺産を冬美さんは湯水のごとく使いまくっている。高級ブランドバックや高級化粧品。そんなものを次々に購入し、夜は家に帰らずクラブ通い。家に帰ってきても若い男を侍らせて一晩中どんちゃん騒ぎの連続だった。

 だからこそ父さんの死に関して真っ先に僕が疑ったのが冬美さんだった。

 父さんを遺産目的のために殺したんじゃないか。そう思った。

 でもその証拠はない。

 物的証拠がない以上、冬美さん本人に直接父さんの死の真実を告白してもらうしかない。

 だけどどうやったら冬美さんから真実を聞き出せるのか、僕は春香や秋を催眠にかける前からずっと考えていた。どう考えても、冬美さんが正直に告白してくれるわけがない。どうにもならないんじゃないか、そうあきらめかけていたとき僕はこの力を手にした。

 電気を消した薄暗い自室で僕はパソコンの前に座り、じっとその画面を凝視していた。

 すると、近くにおいてあった鏡からギィが話しかけてきた。

(なにやらお悩みのようだな、志貴)

「……別に悩んでなんかないさ」

 そう言うと、ギィは鏡の中でゲラゲラと笑いながら、

(まだわかんねえのか、志貴? 俺に嘘ついても無駄だぜ。お前の心は全部、俺にはわかっちまうんだからな。お前、次の獲物であるあのえっろい母ちゃんにどんな催眠をかけてやるのかを考え中なんだろ。すっかりこの催眠術の虜になったな)

 そう述べた。

「悪い?」

(いや悪くないさ。むしろ良いことさ。ようやく自分の欲望に正直になってきてんだ。最高だろ。己の欲望に忠実になって、好き勝手にする気分は)

「……悪くない」

 僕のそんな言葉にギィはひひっと笑う。

(なぁなぁ、お前の母ちゃん俺好みの女だからよ。どうヤんのか今から楽しみで楽しみで仕方ねぇんだ。ちょっと教えてくれないか?)

 ギィの問いかけを僕は冷たくあしらう。

「……誰が教えるもんか」

(おいおい、つれないこと言うなよ。俺とお前の中だろ?)

「いつからそんな仲良しになったんだ? お前と僕が」

(またまたつれないねぇ。俺と出会って……あー、もう十日くらいか? すっかりマブダチだろ? 俺たち。この前も、俺が新しい催眠術の技をじっくり教えてやったじゃねえの。な、いいだろ? そのパソコンに映ってる女をそんな風にできるようになったのも俺のおかげなんだし。だから、な?)

 ギィにそう言われ、僕は再度パソコンの画面に目を向ける。

 パソコンの画面には、一糸まとわぬ姿のまま目隠しをされ、両手両足をベッドに固定された春香の姿が映っていた。

 春香がいるのは、自宅ではない。

 どこから薄暗い、廃墟のような場所だ。ぼろぼろの壁や廃材がカメラに映りこんでいる。

 そんな場所に春香は裸のまま、口には猿轡がかまされた状態でベッドにつながれていた。春香が画面の向こうで、言葉にならないうめき声をあげる。

「んんんっ! っうう!」

 固定され、大きく開かれた春香の股の間にはピンクローターがセットされ、ブブブブという鈍い音を立てながら小刻みに振動していた。

 ローターはちょうど春香の小さな陰核に当たるようにセットしてあり、春香に弱い快感を与え続けていた。

「んぶうぅっ!」

 もう何度目になるだろう。春香がうめき声をあげながらひときわ大きな痙攣をし始めた。

「んぶうっぅ! ふうぐううっ!」

どうやらイッたようだ。

 最初のころは春香が何度イったのか数えようと思っていたが、始めてから三十分が経過し、二十回を超えたあたりから数えるのをやめてしまった。

 もうそろそろ、一時間くらい経つ。

 順調に言っていれば、そろそろ五十回目の絶頂を迎えるころだろう。

「んぶぅ、ふ、ふぐぅぅぅ!」

 ローターで攻められ続けた春香の膣口からはどろどろとした白い愛液がとめどなく流れ落ち、目隠しで隠された目からは涙、鼻からは鼻水、猿轡の端からはよだれと、身体中のありとあらゆる穴から様々な体液をこぼしている。

 苦しそうにうめく春香に、僕はさっきからずっと興奮しっぱなしだった。

「んぶうぅっ! ふ、ううううっ!」

 春香が再び絶頂を迎えそうなっている。

 敏感になった春香の身体は先ほどから短いスパンで絶頂を繰り返している。

 ……そろそろ頃合いか。

 僕はパソコンを見つめたまま、手元のスイッチに手をかける。そして春香が絶頂を迎える直前、そのローターのスイッチを切った。

「んん?! んんう! んぶうぅぅっ!」

 絶頂を迎えそうになったところで突然刺激を止められ、春香は身体をよじり悶えだした。

「んんんっ。ん、んんんぃっ!」

 絶頂を迎えられず生殺しの状態になった春香は、必死に身体をよじり自分の女陰に刺激を与えようとする。だが両手両足を固定されているためか、まるでミミズがのたうち回るかのようにベッドの上でもだえることしかできなかった。

「んうぅ……ぐふぅ……ふぐうぅ」 

 猿轡の隙間から春香の熱い息が漏れる音が聞こえた。

 その音を合図に、

 さて、そろそろ次のショーに移ろうかな。

 僕はローターのスイッチを机の上に置き、代わりにスマホをとりだす。

 そのまま電話をかけると、

「もしもし? 誰よ、あんた?」

 受話器の向こうから聞こえてきたのは若い男の声だった。

 厳つい感じのその相手に僕は、

『さぁ、出番だ。僕の動物さん』

 そう呟いた。

 すると電話の向こうでボトッという音が聞こえた。

 どうやら電話の相手がスマホをその場に落としたようだ。僕はその音を確認した後、同じような電話を複数人にかける。

『さぁ出番だよ、僕の動物たち。野生の姿を僕にたくさん見せてくれ、春香にその牙を突き刺してくれ』

 電話を終えた数分後、パソコンの画面上に複数人の男が映し出された。

 男たちの服装や年齢は様々で、スーツ姿の中年男性から金髪の青年と多種多様だった。しかし全員に共通していたのは、その目には光が宿っておらず、まるでゾンビのようにふらふらとした足取りをしていていることだった。

 彼らはゆっくりとベッドに拘束されている春香に近づいていく。ベッドまでたどり着くと、おもむろにズボンを脱ぎ、太く屹立した肉棒を春香に向けた。

 男の一人がその肉棒を春香の濡れそぼった陰裂に一気に突き刺す。

「んぶぶぶっ!」

 突然のことに春香が悲鳴を上げた。

 だがその悲鳴も猿轡によって悲鳴になる前に消えてしまう。

「んんんっ! ぶ、ふうっ!」

 男が腰の抽挿を始めると、今度は別の男二人が春香に近づき自分の肉棒を春香の手に握らせ、激しくしごき始めた。

 さらに別の男は春香の猿轡を外し、

「んばぁ! や、め……ふごぐぅ」

 自分の肉棒を春香の口めがけ乱暴に突っ込んだ。

「んぐっ、んぶぶ、んぐふうぅ!」

 口に肉棒を突っ込まれ、激しく喉奥まで突き刺される春香。

 その一方では腰を激しく女陰に打ち付けられ、さらに別の一方ではその手で男たちの欲望をしごきあげる。

 その様子を見つめるあぶれた男たちは、自分の肉棒を激しくしごき、各々に快楽を味わっていた。

「んぐぅ! おぼぉぉ、ご、ぐぅ!」

 春香は声とも悲鳴ともとれる声を上げ続ける。

 僕はその様子をじっとパソコン画面から見つめていた。

 僕を裏切っていた春香にはちょうどよい罰だ。このまま男たちに慰み者にされ続けるがいい。

「うううっ、ぐぉぉお!」

「んぐふぅ、ああぁっ!」

 肉棒を春香の口に突っ込んでいた男が限界を迎えたのか、春香の口から肉棒を抜き出すと春香の顔に思い切り射精した。

 春香の顔に男の吐き出した白い欲望がばしゃばしゃと降り注ぐ。

「あああっ! あ、熱いぃぃぃ、熱い精液が私の顔にぃぃ! あ、だ、だめ、なんで! い、イク、イクゥぅぅぅ! 精液かけられて、私、イッちゃうううう!」

 顔面に精液を浴びた春香がそのまま絶頂を迎える。

 それに呼応するかのように、

「ぐおぉぉ」

「がはぁぁっ」

 春香の手で自らの肉棒をしごいていた男二人も絶頂を迎え、春香の顔にさらに精液を吹きかけた。ねっとりとした精液で真っ白に染まっていく春香の顔は快感にゆがんでいた。

「あっ! あっ! あっ! また、また精液きたあぁぁ! あぁぁあ、なんでぇ、なんでぇぇぇ! い、いやなのに、こんなの嫌なのなのぃぃぃ! きもちい、きもちいいよぉ! 精液かけられるの、きもちいいいいぃ! あっ、ふあぁぁ、あああっ」  

 僕の催眠によって被虐の喜びを覚えさせられた春香は、乱暴に犯されたり顔面に精液を浴びせられることを快感として受け取るようになっている。

 僕がそう改造したのだ。

 射精した男たちはそのまま床に倒れこみ、死んだように動かなくなった。だがすぐに、

「あぁぁぁ、またぁ、またきたあぁ、新しいおちんちん、きたぁぁぁ! おぼぅっ、ふぐっぅ」

 近くで肉棒をしごきながら控えていた別の男たちが、再び春香の口に肉棒を突っ込み、両手でその怒張をしごき始める。春香の女陰を占領している男もそろそろ絶頂を迎えそうなのか、腰を引くつかせていた。

(……楽しそうだなぁ。ええ?)

 突然、ギィが嬉しそうに僕に問いかけてきた。

「楽しい? 僕が?」

(あぁ、楽しそうだぜ。とってもな。その証拠に、口角が両方とも上がってるぜ)

 そう指摘され僕は慌てて口元を手で隠す。

 触れた唇の口角は確かに上がっていた。

(この前教えたばかりの『傀儡廻し』ずいぶん上手にできるようになったじゃないか、上出来、上出来)

 傀儡廻し。

 ギィ曰く、僕の催眠術の能力が上がったためにできるようになった、簡易的かつ広域にできる催眠方法のことらしい。

 秋や春香にかけたような、何かを聞き出したりできるような深い催眠はできない代わりに、簡単な指示で相手を自由自在に術者の思うように動かすことができる催眠らしい。

 最も、その指示はシンプルじゃなくてはいけないとのことだった。

 ギィからそれを教えてもらった僕は、さっそく近所を歩いていたサラリーマンや不良の男たちに片っ端から催眠をかけていった。指示はいたってシンプル。

『犯せ』

 その一言だった。

 それからは簡単。催眠をかけたそれぞれの男の携帯番号を控え、先ほどのように電話を通して命令を再度かけるだけでよかった。

 パソコンに映し出されている通り、僕の操る動物人形たちは春香を徹底的に犯している。

 ギィはさらに続けて言う。

(これでわかったろ? 志貴。お前はまじめで優しい人間じゃねぇんだ。女を虐めて悦びを感じるサディスト。女を催眠で屈服させ、己の意のままにすることに快感を覚えるそんな人間だ。そうだろ?)

「そんなこと……」

「ふぐうぃ、ひゃう! ふうぅぐっぅぅ!」

 パソコンの向こうで春香が声にならない声を上げている。

「そ、そこはちが……あぐぅぅうっ!」

 どうやら男の一人が春香のアナルを攻め始めたようだ。

「だ、め、お願い、そこは、そこは違う穴なの、い、やぁぁぁぁっ!」

 男は春香の懇願を無視し春香のアナルに肉棒をおもいきり突き刺した。

「んぎぐぃぃぃ!」

 オマンコとアナルの同時穴攻めに、春香が今までに聞いたことのない悲鳴を上げる。

「あああっ、なん、でぇぇぇ! い、痛いのが、痛いのが気持ちいいのぉぉぉ! ああぁっ、おかしくなる、おかしくなうぅ! 私、もう、もどれなぐ、おぐぅぅっ!」

 叫んでいた春香の口に別の肉棒が突っ込まれる。全身すべての穴を男たちの肉棒にふさがれもだえ苦しみながらも快楽を味わう春香の姿に、僕はひたすら見入ってしまっていた。

(ほら、まただぜ、志貴)

 パソコンに反射して映る僕の口角は先ほどと同じように鋭く吊り上がっていた。

 あぁ、冬美さんを犯すのが今からとっても楽しみだ。

 

-2-

 

 義理の息子の志貴が、もしかしたら何かに気づいたかもしれない。

 冬美の最近の悩みはもっぱらそれだった。

 夫が死んでから、冬美にとって夫の忘れ形見である志貴の存在は邪魔でしかなかった。もともと金銭目的で近づいての結婚だったため、義理の息子を最後まで育てる気は冬美には最初からなかった。

 夫が存命の時には保護者参観などの家族ごっこには付き合っていたが、死んでからはそれをやる必要もないともう自分の好き勝手放題に生きていた。

 まぁ、そもそもあの人とは「そういう契約」で結婚したんだし。

 死んだ夫との約束でその死後も何不自由なく生活していた冬美だったが、ここ最近、志貴の様子が気になってしかたなあった。

 以前から父親の死の真相を追求したがっていた様子には、流石に冬美も気づいていた。

 それでもなかなか真相にたどり着けず、鬱屈とした毎日を過ごしている志貴の様子を見て冬美も安心しきっていた。

 この真相は絶対に気づかれない。

 そう踏んでいた冬美にとって、ここ最近の志貴の行動、特にハウスキーパーの秋や、実の娘の春香とのやり取りが気になって仕方なかった

 三人の様子が最近おかしい。

 何やらこそこそと志貴の部屋にこもって話し合ったり、三人だけで外出したりと、ここ数日ずっと様子が変だった。

 一度、夏帆に様子を尋ねてみたが、

「別になんも変じゃないと思うけど」

 と一蹴されしまった。

 最も夏帆と冬美の関係もだいぶ冷え切っているので、夏帆も適当に言っているだけなのかもしれないと冬美は想像していた。

 まさか、事件の真相に気づいたのかしら。

 一瞬そんな風にも思ったが、

 まさかそんなこと、ないわ、よね。

 そう思い直す。

 冬美は相変わらず、連日のように家で若い男たちとホームパーティを開いていた。だが、最近はそんな不安もあってか、心の底から楽しめなくなっていた。

 そんなときだった。志貴から突然の申し出があった。

「冬美さん。今日ちょっと話があるんだけど、いいかな?」

 朝食後、そんな風に志貴の方から話を持ち掛けられたときは冬美もかなり動揺した。

「え、ええ……いいけど。どうしたの突然」

「どうしても話したことがあってさ。今日、出かける予定ある?」

「あ、えと、昼に買い物に行くけど。夕方には家に戻ってくるわ」

「そう……じゃあ家に帰ったらさ、僕の部屋に来てくれるかな。大事な話があるんだ」

 そう言うと志貴はリビングを後にし、自室へと戻っていった。志貴を見送りながら、

 一体何の話かしら……。

 そんな不安を抱えながら外出の準備をしていると、

「母さん」

 ふいに春香が部屋に現れた。

 春香ともここ最近ずっと話していなかった。

 だからこうして部屋にやってくるのも、とても珍しいことだった。

「母さん、出かけるの?」

「ええ。ちょっとね」

「ふうん。あ、母さん、顔になんかついてるよ」

「え? どこに?」

 春香にそう指摘され、冬美は慌てて鏡で自分の顔を確認しようとしたが、部屋においてあるはずの手鏡が見当たらない。

 どこにいったのかしら?

 きょろきょろと部屋の中を探していると、春香がおもむろに、

「はい、これ使って」

 そう言って冬美に手鏡を渡してきた。

 黒い色をした、鬼灯の装飾の施された高級そうな鏡。

 こんな鏡を春香、持っていたかしら。

 そう思ったが、

「あ、ありがとう」

 反射的に鏡を受け取ると、そのまま自分の顔を映した。

 額のあたりに埃のようなものがついていたので、冬美はそれをさっと取り払う。春香はその様子を見て、

「ん、準備OKだね。んじゃ、気を付けて」

 すぐさま部屋を出て行ってしまった。

 なんだったんだろう。

 冬美は手元の鏡に視線を向ける。突然のこと過ぎて、春香にこの鏡を返しそびれてしまった。

 まぁ、後で返せばいいわね。

 そう思った冬美は、その鏡を持ったまま玄関に向かった。すると玄関で、

「あら、冬美様。素敵な鏡をお持ちですね」

 今度は秋に出会った。

 秋は冬美の手にしている鏡を見てそう言う。

「ん? あぁ、これ? これ実は春香のなのよ。秋さん、悪いけど返しておいてくれるかしら?」

 冬美が手渡してきた鏡を受け取ると、

「わかりました。でも素敵な鏡ですね。ほら、冬美様、見てください」

 そう言って秋は鏡に冬美の顔を映す。

「きれいな鏡ですね、冬美様」

「さっきも見たけどすごく素敵よね。こんな鏡、春香ったらいつの間に買ったのかしら」

「私も存じておりませんでした。こんな高級そうな鏡を。でも冬美様、これを使うのが『当たり前』になるくらい、最近の春香さんはおしゃれに気を使っているんですよ」

「当たり前?」

「そうです。まぁ、女性として身だしなみに気を遣うのはとても『当たり前』のことですよね」

 秋が冬美に向かってそう述べる。

 その言い回しに、冬美は違和感を覚えたが、

「えぇ、そうね。鏡で身だしなみを整えるのは『当たり前』のこと、よね」

 そう言い返すことしかできなかった。

「えぇ、そうですとも。ところで冬美様、今日は何時ごろおかえりになりますか?」 

「え、ああ、そうね……夕食前には帰るわ。志貴さんと約束もあるのよ」

「わかりました。それまでにしっかりと『準備』をすすめておきますね」

「え、ええ」

 何やらいつもと様子が違う秋に冬美はさらに違和感を覚えたものの、その違和感が何なのか言葉にすることはできなかった。

 歯の奥に何かが挟まっているような歯がゆさを感じたまま、冬美は自宅を後にする。

 そんな冬美の姿を、秋、志貴、春香の三人が志貴の部屋の窓から貼り付けたような笑顔を浮かべ、じっと見つめていることに冬美が気付くことはなかった。

 

 夕方、冬美は外出から帰ると手洗いとうがいを済ませ、そのまますぐに志貴の部屋に向かった。

 いつもなら服を着替えたり、秋に入れてもらったコーヒーを飲んだりするなどして少し気持ちを落ち着かせてから行動に移すことが多いのだが、なぜだかこのときの冬美は今すぐ志貴の向かわなければならないという強迫観念にも似た感情にとらわれていた。

 義理とはいえ私も母親。母親が息子の部屋にすぐに行くのは『当たり前』よね。

 そう思いながら、冬美は志貴の部屋の前にやってきた。

 コンコン。

 ノックをする。

「志貴さん、入りますよ」

「どうぞ」

 志貴の応答を待ってから冬美が部屋に入ると、一瞬、くらっとした立ち眩みのようなものを感じた。

「どうしたの?」

 室内に『裸』でいた志貴が心配そうに冬美を見つめる。

「ううん、大丈夫よ……」

 志貴に視線を向ける冬美。

 初めて見る志貴の裸に一瞬目を奪われる。志貴の股間にぶら下がる一物は、今までに冬美が見てきたものとは比べ物にならないくらいに立派だった。

 意識せずとも、自然と視線がそちらに行ってしまう。

 やだ、私ったら。

 冬美はそう思ったが、どうしても志貴の股間から目を離せない。

「どうしたの? そんなに僕を……いや、僕のおちんちんを見つめて」

 自分の気持ちを見透かしたかのように、志貴がそう尋ねる。卑猥な言葉を言われたのだが、冬美はそれを気にも留めることなく、

「あ、えと、なんでもないわ」

 そう答えた。

「志貴さんはどうして」

 裸で部屋にいるの?

 そう尋ねようと思った冬美だったが、

「自分の部屋にいるときって、楽な恰好するのが『当たり前』だよね、秋」

「ええ、私も自分の部屋ではいつも、ダラっとした格好しております、春香さん」

 その声を遮るようにして春香と秋の声がした。

 その声の方に冬美が視線を向けると、そこには志貴同様に一糸まとわぬ姿の秋と春香が立っていた。そんな二人の姿を疑問視することもなく、冬美は自分を納得させるかのように述べる。

「そう、よね。ここは志貴さんの部屋だもの、どんな格好でいても、別にいいのよね」

「そうですよ、冬美様」

「当たり前、なのよね、それが」

「そうだよ、母さん」

 冬美の疑問に回答するかのように秋と春香の二人が答える。

「ええと、ところで」

 ここでようやく、どうしてここに二人がいるの? と冬美が質問しようとする。

 だが、すぐに

 あ、でも別に、志貴の部屋に二人がいるのはおかしいことじゃないわよね。

 そう、だって家族なんだし。なんの問題もないわ。

 そうよ、家族が部屋にいるのは『当たり前』だし、それに裸の付き合いをするのも家族としては『当たり前』のこと、だものね。

 そう思い直した冬美は、言葉をそのまま飲み込んだ。

「さ、母さん、ここに座ってよ」

「え、ええ」

 志貴に促されるまま、冬美は志貴のベッドに腰かける。志貴はその隣に、春香と秋は二人の目の前の床に腰かけた。

「ええと、それで話って何かしら?」

 冬美はそう切り出したが、その質問を無視し春香が言う。

「まぁまぁ、難しい話の前にさ。母さんとりあえず服を脱いだらどう? ここにいるのはみんな家族なのよ。そんなに堅苦しい恰好してないて、母さんも楽にしなよ」

「え、いや」

 服を脱ぐって、春香は何を言って……。

「そうですよ、冬美様。家族の前では服を脱いで楽になる。それは『当たり前』のことじゃないですか」

「あ、たりまえ?」

 その言葉がすーっと、まるで乾いた土に雨がしみこむかのごとく、冬美の心の奥の奥へと浸透していく。

 そう、よ、そうよね。

 ここは志貴の部屋。家族の部屋なのよね。

 家族の前では堅苦しい恰好はしてなくていいのよ。そう、みんなの前では服を脱いで楽になるのが当たり前よね。うん……そうよ。それに春香も秋も、二人も服を脱いで裸になっているし、私は間違ってない、わよ、ね。

「さ、冬美様」

「さ、母さん」

「え、ええ。わかったわ」

 二人に促された冬美は、着ていたジャケットやジーンズを一枚ずつ脱ぎ棄てていく。脱いだ服は丁寧に秋がたたみ、部屋の隅に置いた。

 あれよあれよと下着姿になる冬美。

 淡い紫色のブラジャーに、子どもを産んでいるとは思えないほどに張りのある乳房が押し込められている。ショーツからのぞく艶めかしい脚は大人の女性の色気を醸し出していた。

 そんな冬美の姿を上下に舐め回すかのように、ねっとりとした視線で見つめる志貴。思わず赤面し、身体を隠そうとする冬美だったが、

「冬美様、義理とはいえ自分の息子に顔を赤くして恥ずかしがるのは、変ではないですか? そんな隠さず、ご主人様にその姿をしっかりとお見せましょう。だって私たちは家族なんですから。それも当たり前ですよ」

 そう秋にたしなめられた。

 秋が漏らしたご主人様という単語に少しだけ引っ掛かりを感じたが、すでに思考がゆがめられている冬美にはそんなことどうでもよかった。

 それよりもむしろ、どうして自分は家族の前でこんなにも恥ずかしがっているんだ。義理とはいえ実の息子。子供じゃないか。子供に下着を見られても別に恥ずかしいことはないのに。

 という疑問で頭がいっぱいになっていた。

 冬美は身体、特に胸を隠そうとしていた両手をどける。

 両手をどけた瞬間、その大きな胸がぼろんと零れ落ちた。その様子に、志貴が思わずおおっ、という声を上げた。

「ほら、下着も脱いで、母さん」

 そう春香に促されたが、冬美はさすがに逡巡する。

「え、でも、私、今帰ったばかりでまだシャワーも浴びてないから、汗が」

「大丈夫ですよ。冬美様はそのままでもお綺麗ですし、汗くらい全然大丈夫です」

 遮るように秋が言う。

 なぜだかわからないが、そう言われると不思議と、そうよねと思ってしまう自分がいた。

「わ、わかったわ。脱げば、いいのよね」

 冬美はおずおずと、ブラとショーツを脱ぎ始めた。

 まずはブラジャー。後ろ手にホックを外し、隠すことなく胸をあらわにする。

 冬美の胸は白く、絹のように滑らかだったが、その先端で勃起している乳首は少しだけ黒ずんでいた。だがそんなギャップがかえって志貴の欲望を刺激したようで、

「うふふ、見て母さん、お兄ぃ様ったら、母さんのおっぱい見てもうおちんちん勃起させてる」

 志貴の肉棒が天井に向かってゆっくりと勃ち上がっていく。

 それをいやらしい目つきで見つめながら春香がそう呟いた。冬美はそのままショーツも一気に脱ぎ捨てた。 あらわになった冬美の股間を見て、

「え、冬美様、もしかして……」

 秋が思わず声を上げた。その声に合わせ、志貴の視線も冬美の股間に向けられる。志貴が見つめるそこにはあるべきはずの女性の黒い茂みがなかった。

「冬美さん、もしかして」

 志貴の問いかけに冬美は答える。

「え、あ、うん。ないのよ私、昔から、その……」

 言い淀む冬美に代わり、秋があけすけに告げる。

「冬美様、パイパンだったんですね」

 その秋の言葉に冬美は思わず赤面する。

「え、ええ……実は」

 そんな姿にニタニタと下品な笑みを浮かべながら志貴が言う。

「へぇ、いいね、冬美さん。ほら、もっとそのつるつるのオマンコ、僕に見せてよ」

「え、そんなの」

 躊躇する冬美だったが、そんな冬美を尻目に春香は、

「じゃあ私が先に見せる」

 そう言って、床からすっと立ち上がると、

「ほら、お兄ぃ様……じっくり見てみて、私のここ」

 部屋の壁に片手をつき、自分の股間を志貴の前にさらけ出した。

 後ろ向きのまま、空いている方の手で自らの外陰唇をくぱぁと開きその膣口を露出する。卑猥にひくつく春香の肉穴は、まるで志貴を誘うように閉じたり開いたりを繰り返していた。

「どう? お兄ぃ様、春香のここ……すっごくエッチでしょ?」

 志貴に見せつけるかようなポーズをとる春香のその卑猥な姿は、ベッドに腰かける冬美の視界にも当然入ってくる。

「は、春香……」

 実の娘が晒す痴態に冬美もさすがに狼狽する。

「こ、こんなの絶対におかし……」

「じゃあ私もさせていただきますね。ご主人様」

 冬美の声を遮って述べた秋も、春香の横にならんで壁に手をつき、同じように空いた手で自ら膣口を開いて見せてきた。

「どうですか? ご主人様、私のオマンコ、春香さんよりもぬるぬるですよ」

 互いに異なる色と形をした女陰と膣口が横一列に並び、志貴の肉棒を誘うかのように交互に脈動する。やがて丸々とした肉づきの良い二つ並んだ尻が、ゆっくりと左右に振られ始めた。

「さぁ、ご主人様、いつでも来てください。秋のオマンコは、もう準備万端ですよ」

「あぁん、秋ったらずるぅい。ほら、お兄ぃ様。春香のオマンコももう充分にぬるぬるになってるんだよ。こっちに挿入してよぉ」

 二人とも自分の最も恥ずかしい部分を志貴に見せつけながら卑猥なお願いをする。そんな二人の姿に冬美は戸惑うばかりだった。

 そんな様子を見かねてか、志貴が冬美に言う。

「あれ? 冬美さんはしないの?」

「え。あ、でも……」

「これくらいするの、家族なら『当たり前』でしょ?」

 志貴の言う『当たり前』という言葉に冬美は不思議と納得してしまう。

 そうよね……二人がやってるんだし。これって別に変なことではないわよね。

「わ、わかったわ、私も、やるわ……うん。やるのが当たり前、よね」

 自分にそう言い聞かせるかのように呟いた冬美は、秋の隣に立つと、そのまま壁に片手をつく。そして志貴の方に自ら腰を突き出し、

「こ、こうかしら……?」

 他の二人と同じように、空いている手でくぱっと自らの女陰の入り口を開いた。

 陰毛がないため、冬美の身体の奥の、その奥までがしっかりと見えた。

 その瞬間、部屋中にむわっとする匂いが立ち込める。一日中外で歩き回り、シャワーも浴びていない冬美の膣口から洩れる甘酸っぱい、芳醇な香りに当てられたのか、春香と秋はまるで犬が主人に尻尾をふるかのように尻を左右に振り続けた。

 三人は首だけを後ろに向け、熱い視線を志貴に送る。

「いいよ、三人とも。すごくエッチだよ」

 三者三葉のその淫らな後ろ姿に、志貴はこぼれる笑みを止めることができなかった。

 三人に近づいた志貴は、若くみずみずしさの残る春香の尻と、肉厚で熟した果実のような冬美の尻を同時に手でなぜる。

 そしてそのまま腰を落とし、目の前の秋のピンク色に膨張し始めた女陰をじっくりと眺める。

「やぁん」

 自分に注がれる志貴の視線に耐え切れなくなったのか、秋が恥ずかしそうに喘ぐ。

 するとそれに呼応するかのように、秋の膣口からはどろりとした白濁液が垂れ落ちてきた。

「見られて、感じてるの? 秋」

「あぁ、はい……秋は、ご主人様に見られているだけで、もう、もう……」

 はぁはぁと息を荒げ、志貴の顔を潤んだ瞳で見つめる秋に満足そうな笑みを浮かべた志貴は、そのまま秋の女陰に顔を近づけるとゆっくりとその舌先を濡れそぼた膣内に挿入した。

「ああんっ!」

 そのままべろべろと、熱くなった秋の膣内をほじくるようにして志貴は舌で蹂躙しはじめる。

 徐々に粘度の増してきた愛液がとめどなく溢れ、志貴の口元を汚していく。志貴は一滴も逃すまいとごくっごくっとすべてを嚥下する。

「じゅるる、じゅ、じゅずずすっ」

「ああん! ふ、あっ! ああっ! そんな、音……たてたらぁ、ああんんっ!」

 志貴がわざと音を立てながら愛液をすすると、秋は恥ずかしそうに声を漏らした。だがその声は明らかに艶っぽく、誰が聞いても悦びがあふれているのがわかった。

 そんな秋の声を聴いて春香も我慢できなくなったのか、

「お兄ぃ様ぁ。私も……春香もかわいがってくださいよぉ。秋ばっかり、ずるいよぉ」

 いやらしい声で志貴にねだってきた。秋の膣口から舌を抜いた志貴は、下で唇周りについた秋の愛液をなめとりながら、

「我慢できないなんて。全く、春香はダメな子だよ。そんな子には、これで十、分!」

 そう言うや否や春香の膣口に勢いよく中指を挿入した。

「んあっ!」

 突然のことに春香は思わず声を上げたが、すでに熱くなっていた膣内を志貴の指でぐりぐりとほじられうれしくないわけがなかった。

「あっ! お兄ぃ様ぁ。あっあっ! だめ、そこ、ぐりぐりしたらぁ……ふあぁぁ!」

 その様子を確認した志貴は、再び秋の膣校に舌を挿入する。

「ひゃふああっ!」

 突然のことに、秋は悲鳴のような声を上げた。だはその声はすぐに甘くねっとりとした嬌声へと変わり始める。

「あっ、あああっ、ご、主人さあまぁっ!」

「ふあああっ、き、もひいいぃよぉ。お兄ぃさまぁあ!」

 志貴に弄ばれながらも、気持ちよさそうにあえぎ続ける二人の様子を冬美はじっと見つめていた。

 あぁ、二人ともあんなに気持ちよさそうに声を上げて……。

「ああんっ! あっ、ふわぁあ!」

「んひぃ! ひ、ひゃううっ!」

 二人の嬌声に当てられたのか、冬美は溢れてきた唾をごくりと飲み込んだ。

 先ほどからずっと指で開きっぱなしにしていた膣口からどろりとした感触が伝わってくる。次第に冬美の呼吸も荒くなってきていた。二人を弄ぶ志貴の横顔を見つめながら冬美は、

 あぁ、そういえば、あの人と、最後にしたのはいつだったかしら……。

 そんなことを思っていた。

 志貴の父親、冬美の夫と最後にベッドで肌を触れ合ってからすでに一年が経とうとしている。

 その間、冬美はずっと男の肌に触れていなかった。

 夜な夜な遊びまわってこそいたが、実はそんな男たちと肉体的な関係を持つまでには至っていなかった。どうしてしなかったのか、冬美にもよくわからない。遊び友達の男やクラブのホストたちとホテルや自室でそのような雰囲気になっても、なぜか最後には拒否してしまう自分がいた。

 そしてそのたびに自分の旦那の顔が思い浮かぶ。

 この一年、冬美は男性と性交渉をしていない。だからここまで自分が高ぶったのも久しぶりのことだった。それに、

 あぁ、こう見ると志貴さん、あの人の顔にそっくりね。

 志貴の顔が最後に抱かれた男の顔に重なる。

 志貴から漂ってくる汗のにおいも、どことなくあの人と同じ匂いだ。

 あぁ、私は……志貴さんに抱かれたい……。

 長い間眠っていた女の欲望。志貴はその欲望を解放するのに十分だった。

 だが、寸でのところで冬美の理性がそれを邪魔する。

 だめよ。義理とはいえ、志貴さんは実の息子なのよ。

 禁忌を犯そうとする自らを抑制する理性に対し、冬美の本能は志貴の男を求めていた。そっと志貴の股間に視線を向ける。青い血管を浮かび上がらせ、勃起した志貴の立派な肉棒が見える。びくんびくんと脈打ちながら、女の膣内に入るのを、今か今かと待っているようにさえ冬美には見えた。

 その様子を見越したかのように、そっと志貴の手が冬美の股間へ伸びてきた。そのまますでに濡れそぼっていた冬美の女陰に触れる。

「きゃいんっ!」

 突然のことに犬のような声を上げる冬美。その声を聴いた志貴は満足げな声で、

「かわいい声で鳴くね、冬美さん。ここ、毛が無いからぬるぬるなのがすごくよくわかるよ。ほら、もっとその声を聞かせて」

 秋の股座から口を離した志貴は、冬美を見つめながらそう述べた。

 秋の愛液によってその唇がぬらぬらと怪しく光っている。

「だ、だめよ! 志貴さんと私は義理とはいえ親子なのよ」

 冬美が抵抗の言葉を口にするが、

「んあっ! 母さんてば、んっ、お固いんだから。ひゃううっ! あっあっ! わ、私とお兄ぃ様だって。うくっ……義理の兄妹だけどさ、あふ……こうしてちゃ、ちゃんと『スキンシップ』して、し、あっ、してるじゃない? ふあっ!」

 志貴に膣内をいじられながらも春香が言葉をはさむ。

「スキン、シップ?」

「そ、そうよ。あんんっ! スキンシップよ。ほら、が、外国とかではさ、は、ふぐっ、ハグやキスは『当たり前』な、こ、んんんっ! ことでしょ。それとぉぉっ! ふあああっ! お、なじ、よ。あっ! 変なことではない、わ、よ」

「ハグ、キスと、同じ」

 春香が告げる言葉を復唱するたび、冬美の理性のタガが少しずつ外れていく。

 志貴はそんな冬美に最後の一押しをする。

「冬美さん。僕と冬美さんはたぶん、こういうスキンシップが不足していたんだと思うんだ。だから最近なんだかぎすぎすしちゃっていたんだよ。ほら、たくさんスキンシップしよ? これは親子として『当たり前』の行為なんだから」

「あ」

 そっか、私と志貴さんがギスギスとした関係になっていたのはスキンシップ不足だったんだ。

 志貴の言葉に冬美の思考が書き換えられてく。

「そうだよ、冬美さん。スキンシップをしっかりすれば、よその家族と同じように、『当たり前』のように仲良くなれると思うよ」

 志貴さんといっぱいスキンシップをとって、この関係を改善しなくちゃいけない。

 冬美の中でそう結論づいた。

「そう、よね。これはスキンシップ。うん、スキンシップをたくさんとらないと。そうよ、私たちは義理だけど親子なんだもの。何も隠すことないわ。こういう付き合いもとっても大切なのよね」

 冬美から出てきたその言葉に志貴の唇がニタっとゆがむ。

「うん、ありがとう冬美さん。それじゃあ、スキンシップ。たっくさん、とろう……ね!」

「え?」

 いつの間にか冬美の背後に回り込みんでいた志貴は、突然自らの肉棒を冬美の女芯にあてがった。

「え、そ、え?」 

 突然のことに焦る冬美だったが、

「スキンシップだよ。冬美さん。全然変なことじゃないよ」

 志貴の言葉に、そうか、と冷静さをとりもどす。

「そうよね、これはスキンシップなんだものね。スキンシップには、これがいちば、んんんっ!」

 唐突に冬美の膣内にぬるりと侵入してきた熱い感覚に、冬美は思わず声を上げた。

 その感覚は冬美が久しく忘れていた、男の肉棒が突き刺さる感覚だった。

「お、おおお、おおきいわ! 志貴さんのおちんぽ、すごく、大きくいぃぃ!」

 久しぶりに感じる男の感覚に冬美は思わず大きな声を上げる。

「あっ! ん、ああああっ!」

「ほら、冬美さん。声をしっかり出すのも立派なスキンシップだよ。こういうことしてるときに声を出すのも『当たり前』だよ!」

 そう言いながら、志貴がゆっくり腰を動かし始める。するとその動きに合わせ冬美の嬌声も徐々に大きくなっていく。

「んあっ! ん、あ、ふああっ!」

「どう? 冬美さん……僕のおちんちん、父さんと比べてどうかな?」

 そんないじわるな志貴の言葉に冬美は頭を振りながら、

「そ、そんなの……あっあっ……言えるわけ、あんっ!」

 そう答える。

 志貴はさらに続けて言う。

「どうして? ちゃんと教えてよ。もっと、正直に、ほら、ほら、ほら、言って、言って、言って!」

 志貴の言葉に冬美は逆らうことができない。閉じていた口がゆっくりと開かれ言葉を吐き出す。

「あああっ! あっ……、あ、あっ……あの人のより、ああっ、あの人のおちんぽよりも……んんんっ! 大きいわ、ん、それに、んんっ。すごく、硬いのぉぉ!」

 それを皮切りに冬美の口から堰を切ったように言葉があふれだす。

「あああっ! あっ! 気持ちいいいっ! きもちいいのぉぉ! 久しぶりのおちんぽ、男のぉぉ、おちんぽぉ! すごいいのぉぉ! ふあああっ! もっとおおぉ、もっとおおぉぉぉっ!」

「ははっ! 冬美さん、そんなに気持ちいいんだ! それは嬉しい、なっ!」 

 その言葉を聞いた志貴は冬美の腰をぐっとつかむと、冬美の子宮口をつつくようにその奥深くに腰を打ち据える。何度も繰り返される抽挿に冬美は甘い叫び声をあげる。

「ふああっ! あっ、んぐっ! あひいいっ! ぎ、ぎおじぃぉ!」

 その様子を見ていた秋と春香が志貴に対して恨めしそうな声を上げる。

「いいなぁ、母さん……お兄ぃ様のおちんちん、そんなに深く刺してもらえて」

「私たちのおまんこも気持ちよくしてください、ご主人様ぁ」

 獣のように背後から犯される冬美の両側に並ぶように壁に手をついた二人は、再び自らの膣口を片手で開くと、先ほどと同じようにふりふりと自らの尻を志貴に向けて振る。

 発情期のメス犬のように肉棒の挿入をねだるその姿に、

「あああっ! 志貴さんのおちんちんがぁあ! すごおぉぉい、また硬くなったぁぁ!」

 志貴の肉棒がむくむくと冬美の膣内で硬度を増す。

「わかったよ二人とも。じゃあ順番にしてあげる。それまでは、これで我慢、してっ!」

「んんあっ!」

「ふあうんっ!」

 志貴は左右の手の中指を春香と秋の中にそれぞれ挿入し、ぐりぐりと膣内を蹂躙し始めた。

 三人の女芯から淫猥な水音が聞こえ始め、部屋中に淫らなハーモニーを奏で始める。

「あっ、あああっ、きもちいぃい、きもちいいよぉ」

 力強く挿入される肉棒の快感に冬美は口からよだれをたらしながらもだえる。

 壁についた手が何度もずり落ち、態勢が崩れそうになるが、それがかえって別の角度から膣内に肉棒を当てる結果となり、かえって冬美の快感を高めた。

「あふっ! そこ、そこはだめぇえ!」

 そんな冬美の姿に当てられたのか、

「母さん、あっあっ! ほんとに気持ちよさそう。ふあああっ! お兄ぃ様ぁ……そろそろ私にも、ふぐうううぅっ! お、おちんちんを、おちんちんをぉぉぉぉ! ここに、ここにくださいぃぃ」

 懇願するように春香が述べる。

「じゃあ、今度は春香の番だね」

「んん、あふっ!」

 冬美の膣からゆっくりと肉棒を抜き出した志貴は、そのまま春香の方へ身体を移動する。

「はやくぅ、はやくうう、おちんちん、おちんちんぅ!」

「わかったよ、春香。そう焦るなって」

 春香の腰を両手でつかみ、大陰唇に肉棒の先端をあてがう。

「あぁぁ、きたぁあ、おちんちん、きたぁぁ!」

 そのまま志貴は深々と春香の中に挿入した。

「ふあああっ、あっ、ああああっ!」

 入れた瞬間から、春香の膣内がきゅうっとしぼんでいく。まるで志貴の肉棒を、もう絶対に離すまいと抱き着いているかのようだった。

「あっ! 春香さん、とっても気持ちよさそう……ううんっ!」

 志貴は肉棒を春香に挿入したまま秋の膣内に入れた指も、忘れることなくそのまま小刻みに動かし続けた。そのたびに秋が気持ちよさそうに声を上げる。

「あああっ! あんんんっ! お兄ぃ様ぁぁ! これぇえ、これが気持ちいいぉ! お兄ぃ様のぉ、おちんちんぅ、あぁぁっ! さいこおおおぉぉ!」

「ぐっ」

 春香の膣がさらにきゅっと締まり始める。

 肉棒を余すことなくたっぷりと味わおうと志貴の肉竿にねっとりと絡みついてくる春香の膣圧で、思わず志貴の顔に苦悶が浮かぶ。

「あああっ! あっ、ひぃぃ! もっと、もっとおおぉぉ……あっ、いや、あ、だめ、まだ、だめぇぇ!」

「くっ……順番だからさ。少し我慢しててよ、春香……ほら、秋、おまた、せ!」

「きゃうんっ!」

 志貴はしばらく挿入していた肉棒を春香から抜くと、そのまま間髪入れず今度は秋へと挿入した。

「あぁぁ、ご主人様。こんなに熱く、おちんちんを硬くさせて……お待ちしてました、お待ちしてましたぁ、あああっ! いいいいっ!」

 待たされていた間ずっと志貴の指にいじられ続けていた秋の膣内からは、ぐちゅぐちゅしたと白い液体が零れ落ちていた。そんな秋の膣が志貴の肉棒をむさぼるかのようにぐっと締め上げてくる。

「くっ、きっつ」

 志貴が思わず声を漏らす。

「どう……ですか? ご主人様、私のオマンコ、気持ち、ああふっ! あふっ、い、いい、ですか? あっ、あっ!」

「あぁ、秋のマンコ、ん、すっごく締め付けてすぐ出ちゃいそうだ。くっ」

「う、うれしいぃです……あっあっ! どうか、私の中で、ぼっちゃんの精液をたっぷりと吐き出して、あああっ、いや、そんな、まだだめ、まだ抜いちゃ……あふうっ!」

 このままでは秋の膣内に射精してしまうと思った志貴は、慌てて秋の膣から肉棒を引き抜いた。

 不満そうな秋の視線をよそに、目の前で未だに放心している冬美に再度挿入する。

「やっぱり今日は、冬美さんに出さないとね」

「え、あ、あああっ!」

 突然の挿入に冬美は思わず悲鳴を上げた。

「あ、だ、だめ、だめえええっ、だめぇよぉ! 志貴さん、こんなの、こんな、もう、もうぅ、あああっ!」

「冬美さん、気持ちいいんでしょ? 父さんのなんかより、僕のおちんちんの方が気持ちよいんでしょ?」

「あああっ、ふぐ、あ、ええ、ぁ、い、いい、気持ちいいぃわぁぁ! 志貴さんのおちんぽは、あの人のよりすっごくきもじいいのぉぉ!」

 そう叫んだ冬美の中で何かがパンとはじけた。

「あああっ! だめだめだめだえぇぇぇ。私、私もう、こわ、こわれぅ、ああああっ! だめ、だなお、だめなぉぉぉ! だめなののにぃぃ、いやあああぁ、だめえぇぇぇ! ひぐぅぅ! あいぃ!」

 そう叫んだ途端、冬美の膣内の圧力が一気に高まった。志貴はそれに耐え切れず、

「ぐ、あ、冬美さん、で、でる……ああっ。ぐうっ」

「ひああああっ! あああっ! イぐぅぅぅぅっ!」

 冬美の膣内に自らの欲望を放出した。

「あっ、あっ、ふあっ!」

 どくっ、どくっ、と、自らの膣内に精液が流れ込んでくる快感に、冬美は精液が鈴口から放出されるタイミングに合わせ、ビクン、ビクンと身体を何度も震わせた。

 遠のいていく意識の中、冬美の耳に聞こえてきたのは、

「さぁ、冬美さん。冬美さんの罪を教えてくれよ」

 志貴のそんな言葉だった。

 

<続く>

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