後日談『護人』 事件は首謀者である『あやかし』の消滅により一応の結末を迎えた。 『あやかし』の被害に遭ったのは、双葉学園関係者の大半と、学園養護教諭・立花七海が住むマンションの住人など。その数は六百人を超えた。 それ
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男の手が美影の肩にかかった瞬間、美影の体に悪寒が走る。
いやな感覚だ。
それは……『あやかし』に魅入られた人間、ということ。
またか……美影は内面でため息をつく。
Shadow Twins 第10話 『解放』
第10話『解放』 「真澄ちゃん、大丈夫かしら……」 そんな事を考えながら駅前の広場に立つ椎名知佳。 知佳が真澄からの電話を受けたのは、守護者協会本部に備え付けの宿泊施設で朝食を取っていたときのこと。一瞬その内容に驚き
もっと読むShadow Twins 第9話(改) 『支配』
第9話『支配』 夜、工藤あゆみの自室…… あゆみはいつものように枕元に並ぶ5個の目覚まし時計を順にセットしていく。ここのところ8時に学校に着いて由紀と試験勉強をするため、いつもより少し早めに起きられるよう時間を合わせ
もっと読むShadow Twins 第8話 『伏線』
第8話『伏線』 本日は双葉学園の定期試験。 普段はのんびりした学園生たちも、こぞって勉学に励みだすのがこの時期の特徴。そこかしこの教室を覗くと、朝の早い時間や休み時間の合間にせわしなく教科書やノートとにらめっこ、など
もっと読むShadow Twins 第7話(改) 『交錯』
第7話『交錯』 「真田影美、お前に話がある」 「……あたしに?」 昼休み、影美が教室から出て行こうとしたとき、そう呼び止められ声のするほうに顔を向ける。 そこには永瀬真澄が立っていた。 「これから食堂で昼飯なんだけど
もっと読むShadow Twins 第6話(改) 『平穏』
第6話『平穏』 翌朝……土曜日。 由紀はゆっくりと目覚めた。周りを見渡す。脇で寝ていたはずの影美の姿はない。 影美を探してリビングへと向かう。影美は美影と一緒にキッチンで朝食を作っているところだった。 「先輩、手伝
もっと読むShadow Twins 第5話 『願望』
第5話『願望』 『あやかし』……それは、太古の昔より存在せし『人ならざるもの』の呼称……人により『妖怪』とも『幽霊』とも、あるいは『悪魔』『鬼』『邪神』などとも呼ばれてきたものたちのこと…… それは、時として人々の生活
もっと読むShadow Twins 第4話 『思惑』
第4話『思惑』 立花七海は保健室にいた。 男の忠実な奴隷となった彼女は、養護教諭の仕事をこなしながら、男に差し出すための獲物が来るのを静かに待っていた。 「失礼します」 3時限の始業チャイムが鳴るころ、そう言って保
もっと読むShadow Twins 第3話 『予兆』
第3話『予兆』 その日、美影の教室にいつもと違うことが起きた。 「はい、今日は新しくこの学園で学ぶことになった人を紹介します。お入りなさい」 クラス担任の促す声に合わせて教室のドアが開く。瞬間、クラスにどよめきが走る
もっと読むShadow Twins 第2話(改) 『日常』
第2話『日常』 翌朝…… 「影美せんぱ~い☆」 そう言って双子のそばに駆け寄ってきたのは風間由紀。 その声に振り返る学園生も少なからずいた。 無理もない。この学園で『影美』と言えば、学園一の有名人姉妹の片割れを指
もっと読むShadow Twins 第1話 『双子』
第1話『双子』 少女が一人、夜の帳が下りた公園を歩いていた。 名は真田美影。澄んだ黒色の瞳に、肩にかかる癖のない黒髪と飾り気のない眼鏡が特徴の、落ち着いた雰囲気を持つ少女である。 紺のブレザーにチェック柄のスカート
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