-6- ふと、衣擦れの音に目が覚めた。 「…………?」 真夜中の、奈々の部屋。 微かな衣擦れの音に、私はふとまどろみから目を覚ました。 可愛いデザインだが、しかし豪華で大きい彼女のベッドから顔を上げる。 私の正
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公立中学校の教師として三十数年、定年退職を迎えた私を、古くからの友人であったここの校長が迎えてくれ、早3年が経ちました。
どうやら私は、有難い事に子供に好かれる性質であるようで、現役時代も現在も子供達は「じーちゃん先生」などの愛称で呼び、接してくれます。
(では、用意に入るとしますか……)
老教師の午後 5
-5- 人生は、連綿と続く時間の積み重ねだ。 人はその時その時を、必死に生き、笑い、悲しみ、それが人生となっていく。 だが――それは言い換えれば、「今」の積み重ねに過ぎない。 過去は現在が辿って来た軌跡に過ぎず、
もっと読む老教師の午後 4
-4- 悪魔の力を手に入れたと言うのに、それでも盗撮行為を止めなかった一昨日の自分に、私は感謝していた。 格好の、ズリネタになったからだ。 老教師が得た「若さ」――それは、想像以上に激しいものだった。 いくら出し
もっと読む老教師の午後 3
-3- 「天使」と「悪魔」の争い――。 それはとどのつまり、人々の精神・感情のせめぎあい、なのだそうだ。 人の魂と言うものは、その一番の中心、一番の奥で、一人一人が、「神」に繋がっているらしい。 つまりは、極々一部
もっと読む老教師の午後 2
-2- 『それでいいのか?』 悪魔は問うた。 『確かにお前は優秀な教師だ、それは悪魔である俺ですら認めてやるよ』 『だがな、それでいいのか?』 『確かにお前は、何百人もの生徒を立派に巣立たせた』 『だが、それだけだ』
もっと読む老教師の午後 1
-1- ――良い、天気です。 抜けるような蒼穹が、次第に茜色に染まって行き、雲一つ無い春の空が、遥か彼方から軽やかな微風を運んで来ます。 弾ける様な、さざめく様な、生徒達の声が微かに聞こえます。 夕刻も迫り、がら
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